説明

MRI装置

【課題】冷却管の配管にかかる手間を軽減することができるMRI装置を提供する。
【解決手段】被検体Pが載置される天板71と、架台10に設けられた開口部11を貫通して配置され、天板71を開口部11内に導くレール73と、レール73を支持する内部に流路が形成されたフレーム74と、架台10を冷却する冷却部80とを備え、冷却部80は、架台10で温度上昇する空気をフレーム74及びこのフレーム74に接続された架台10外に配置される冷却管を介して排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁場を発生する架台を冷却する機能を備えたMRI装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MRI(Magnetic・Resonance・Imaging)装置は、磁場を発生する架台に設けた開口部内に天板上に載置された被検体を送り込んで撮像が行われる。この撮像では、静磁場及び傾斜磁場内の被検体に高周波コイルからのRF(Radio Frequency)波を照射して水素原子核スピンを励起し、この励起により水素原子核から放出されるRF波を高周波コイルで受信して磁気共鳴(MR)信号を検出する。そして、検出したMR信号に基づいて画像データを生成する。このように、被検体に対して無侵襲で、骨や空気による影響を受けることなく画像データを得ることができるため、今日の画像診断の分野では不可欠なものとなっている。
【0003】
ところで、架台は開口部以外がカバーで覆われ、カバー内には撮像に関る多くの発熱部品を有する。そして、発熱部品により周囲の温度が上昇して、開口部内に送り込まれた被検体に不快感を与える恐れがある。この問題を解決するために、RF波を照射する高周波コイルの発熱により開口部内の温度が上昇するのを防止することができるMRI装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
このMRI装置では、天板を開口部内に導くレール内に形成されたダクト及びこのダクトに接続される架台外に配置された延長ダクトを介して、架台内の高周波コイルと架台外に配置されたファンが連通している。そして、ファンが高周波コイル内の温度上昇する空気を架台外に排出して冷却することにより、高周波コイルからの熱により開口部内の空気の温度が上昇するのを防止している。
【0005】
また、開口部と架台外に配置されたファンとが、架台外に配置されるダクトホースを介して連通しているMRI装置がある。この装置では、架台内からの熱により開口部内の温度上昇する空気をファンが架台外に排出して冷却することにより、開口部内の温度上昇を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−142647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、架台には様々なユニットが配置されており、そのユニットを避けて延長ダクトやダクトホースなどの冷却管を配管する必要がある。このため、冷却管の配管に手間がかかる問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、冷却管の配管にかかる手間を軽減することができるMRI装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のMRI装置は、被検体に対して磁場を発生する架台を備えたMRI装置において、前記被検体が載置される天板を前記開口部内に導くレールと、前記レールを支持するフレームと、前記フレーム及びこのフレームに接続される前記架台外に配置された冷却管を介して前記架台を冷却する冷却手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、架台の開口部内に天板を導くレールを支持するフレームに架台外に配置される冷却管を接続し、その冷却管及びフレームを介して架台を冷却することにより、冷却管の配管にかかる手間を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例に係るMRI装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施例に係る寝台部の構成の一例を示す図。
【図3】本発明の実施例に係るフレームの構成の一例を示す図。
【図4】本発明の実施例に係る第1のフレーム及び第1の冷却部の構成の詳細を示す図。
【図5】本発明の実施例に係る第2のフレーム及び第2の冷却部の構成の詳細を示す図。
【図6】本発明の実施例に係る第3のフレーム及び第3の冷却部の構成の詳細を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0013】
以下、本発明によるMRI装置の実施例を、図1乃至図6を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施例に係るMRI装置の構成を示したブロック図である。このMRI装置100は、被検体Pに対して磁場を発生する架台10と、この架台10に磁場を発生させるための電力を供給する電源部20と、架台10で発生した磁場に基づいてMR信号を検出する高周波コイルユニット19と、高周波コイルユニット19により検出されたMR信号を受信する送受信部30と、送受信部30で受信されたMR信号に基づいて画像データを生成するデータ処理部40とを備えている。
【0015】
また、MRI装置100は、データ処理部40で生成された画像データを表示する表示部50と、各種コマンド等の入力を行う操作部60と、被検体Pが移動可能に載置される寝台部70と、寝台部70を介して架台10を冷却する冷却部80と、操作部60からの入力信号に基づいて、電源部20、送受信部30、データ処理部40、寝台部70、及び冷却部80を制御するシステム制御部90とを備えている。
【0016】
架台10は、被検体Pが送り込まれる水平方向に貫通する円筒状の開口部11を有し、開口部11の外周に配置された静磁場を発生する磁石12と、開口部11と磁石12の間に配置された傾斜磁場を発生する傾斜磁場コイルユニット13と、開口部11と傾斜磁場コイルユニット13の間に配置されたRF磁場を発生する例えばホールボディコイルなどの高周波コイルユニット14と、磁石12、傾斜磁場コイルユニット13、及び高周波コイルユニット14を覆うカバー15とを備えている。
【0017】
そして、磁石12は、例えば超伝導磁石が用いられ、開口部11内へ送り込まれた被検体Pに対して一様な静磁場を発生する。また、傾斜磁場コイルユニット13は、磁石12が発生した静磁場に傾斜磁場を発生する。また、高周波コイルユニット14は、被検体Pに水素原子核を励起させるためのパルス状のRF波を照射してRF磁場を発生する。
【0018】
電源部20は、システム制御部90から供給される制御信号に基づいて、架台10の磁石12に静磁場を発生させるための電力を供給する静磁場電源21、及び傾斜磁場コイルユニット13に傾斜磁場を発生させるための電力を供給する傾斜磁場電源22を備えている。
【0019】
高周波コイルユニット19は、被検体P近傍に配置された例えばヘッドコイルであり、架台10の高周波コイルユニット14からのRF波の照射に応じて、被検体Pから放出されるRF波を受信してMR信号を検出する。そして、検出したMR信号を送受信部に出力する。
【0020】
送受信部30は、架台10の高周波コイルユニット14にパルス状のRF波を照射させる駆動信号を供給する基準信号発振器、変調器、電力増幅器等を有する基板を備えた送信部31と、高周波コイルユニット19からのMR信号を受信して処理を行う受信部32とにより構成される。そして、受信部32は、増幅器、中間周波数変換器、位相検波器、フィルタ、A/D変換器等を有する基板を備え、送信部31の高周波コイルユニット14への駆動信号の供給に応じて高周波コイルユニット19で検出されたMR信号を受信する。そして、受信したMR信号に対して中間周波数変換、位相検波、フィルタリング等の処理、更にはA/D変換を施したMR信号をデータ処理部40に出力する。
【0021】
データ処理部40は、送受信部30の受信部32から出力されたMR信号を再構成して画像データを生成し、生成した画像データを表示部50に出力する。
【0022】
表示部50は、CRT又は液晶パネル等を備え、データ処理部40から出力された画像データを表示する。また、操作部60は、スイッチ、キーボード、マウス等の各種入力デバイスや表示パネルを備え、被検体Pの画像データを生成するための撮像条件の入力や、被検体Pを架台10の開口部11内に送り込むための入力などを行う。
【0023】
図2は、寝台部70の構成の一例を示した図である。この寝台部70は、被検体Pが載置される天板71と、天板71を上下方向及び長手方向に移動可能に支持する床面上に配置された支持台72と、天板71を架台10の開口部11内に導くレール73と、レール73を支持するフレーム74とを備えている。
【0024】
天板71は、支持台72及びレール73上を移動可能に配置され、ホームポジションにおいては架台10の正面側に配置された支持台72上に位置している。そして、レール73に沿って開口部11方向へ最大移動したとき、被検体Pの全身又は全身に近い広範囲に亘って撮像が可能なように、一端部が開口部11を貫通して架台10外の背面側に位置すると共に他端部が支持台72上に位置する長さに形成されている。
【0025】
支持台72は、ホームポジションにおける天板71を上下方向及び長手方向に移動可能に支持している。そして、システム制御部90からの制御信号に基づいて天板71をホームポジションから開口部11方向へ移動し、天板71が開口部11方向へ最大移動した位置では、天板71の他端部を支持している。
【0026】
レール73は、開口部11を貫通して配置される。そして、一端部が架台10正面側の支持台72近傍に位置し、中央部分が架台10のカバー15の内の開口部11を形成している部分に支持されている。また、他端部が開口部11から突き抜けて架台10背面側に位置し、フレーム74に支持されている。
【0027】
そして、レール73は、中空部731、フレーム74に支持された他端部の下面に設けられた中空部731に連通している開口732、及び開口部11内の下面に設けられた中空部731に連通している開口733を有する。そして、中空部731は、開口732を介してフレーム74に連通し、開口733を介して架台10内の高周波コイルユニット14に連通している。
【0028】
図1の冷却部80は、架台10を冷却する第1乃至第3の冷却部81乃至83を備えている。そして、第1の冷却部81は、寝台部70のフレーム74に接続される架台10外に配置された冷却管811及び架台10内に配置された連通管812,813と、冷却管811、フレーム74、及び連通管812,813を介して架台10の開口部11内を冷却するファン814とを備えている。
【0029】
また、第2の冷却部82は、寝台部70のフレーム74に接続される架台10外に配置された冷却管821及び架台10内に配置された連通管822と、冷却管821、フレーム74、及び連通管822を介して架台10内に配置された送受信部30の基板を冷却するファン823とを備えている。
【0030】
更に、第3の冷却部83は、寝台部70のフレーム74に接続される架台10外に配置された冷却管831及び架台10内に配置された連通管832と、冷却管831、フレーム74、連通管832、及び寝台部70のレール73を介して架台10の高周波コイルユニット14を冷却するファン833を備えている。
【0031】
システム制御部90は、CPUや記憶回路を備え、操作部60からの入力信号に基づいて、電源部20、送受信部30、データ処理部40、寝台部70、及び冷却部80の各ユニットの制御やシステム全体の制御を行なう。そして、電源部20における傾斜磁場電源22の傾斜磁場コイルユニット13への電力供給タイミングを制御する。また、送受信部30における送信部31の高周波コイルユニット14への駆動信号を供給するタイミングや受信部32のMR信号を受信するタイミングを制御する。
【0032】
以下、図1乃至図6を参照して寝台部70及び冷却部80の構成の詳細を説明する。
図3は、フレーム74の構成の一例を示した図である。このフレーム74は、架台10背面側の床面上に配置され、例えば中空管状を成し、その中空が空気の流通する流路として形成された第1乃至第3のフレーム75乃至77及び2つの第4のフレーム78,79等により構成される。
【0033】
第1のフレーム75は、天板71の長手方向に対して垂直に床面上に水平配置された中央部751と、床面に対して垂直配置された中央部751の一端に一端が連なる一端部752と、床面に対して垂直配置された中央部751の他端に一端が連なる他端部753とにより構成される。そして、中央部751の架台10の開口部11側とは反対側の側面両端が第2及び第3のフレーム76,77に接合されている。また、一端部752の開口部11付近の高さに位置する端面が第4のフレーム78に接合され、他端部753の一端部752端面と同じ高さに位置する端面が第4のフレーム79に接合されている。
【0034】
第2のフレーム76は、第1のフレーム75の開口部11側とは反対側に配置され、床面上に配置されたT字状の一端部761と、床面に対して垂直配置された一端部761の一端に一端が連なる中央部762と、第1のフレーム75の中央部751に対して平行配置され、上面が第1のフレーム75の一端部752端面と同じ高さに位置して中央部762の他端に一端が連なる他端部763とにより構成される。そして、一端部761の開口部11側の側面の一部が第1のフレーム75に接合され、他端部763の上面一端が第4のフレーム78に接合されている。また、他端部763の端面が第3のフレーム77に接合されている。
【0035】
第3のフレーム77は、第1のフレーム75の開口部11側とは反対側に配置され、床面上に配置されたL字状の一端部771と、第2のフレーム76の中央部762に対して平行配置され、端面が第1のフレーム75の他端部753端面と同じ高さに位置して一端部771の一端に連なる他端部772とにより構成される。そして、一端部771の開口部11側の側面が第1のフレーム75に接合され、他端部772の端面が第4のフレーム79に接合されている。
【0036】
第4のフレーム78は、第1及び第2のフレーム75,76上に水平に、且つ第2のフレーム76の他端部763に対して垂直に配置され、一端に貫通孔が設けられている。そして、一端の下面が第1のフレーム75に接合され、中央近傍の下面が第2のフレーム76に接合されている。また、第4のフレーム79は、第1及び第3のフレーム75,77上に水平に、且つ第2のフレーム76の他端部763に対して垂直に配置され、一端に貫通孔が設けられている。そして、一端の下面が第1のフレーム75に接合され、中央近傍の下面が第3のフレーム77に接合されている。そして、第4のフレーム78,79上にレール73が固定されている。
【0037】
図4は、第1のフレーム75及び第1の冷却部81の構成の詳細を示した図である。この第1のフレーム75は、中央部751の開口部11側とは反対側の側面に設けられた第1の開口754、第4のフレーム78,79の貫通孔を貫通して一端部752及び他端部753端面上に設けられた第2の開口755,756を有する。そして、各第1及び第2の開口754,755,756が第1のフレーム75内に形成された流路757で連通している。
【0038】
第1の冷却部81の冷却管811は、一端が第1のフレーム75の第1の開口754に接続され、他端が架台10から離間して、架台10及び寝台部70が配置される磁気シールドルーム内又はこの磁気シールドルーム外に配置されたファン814に接続されている。そして、冷却管811は、架台10近傍においては、床面上(又は床に掘られたピット内)を例えば直線状に配管可能に配置される。また、連通管812は、一端が第1のフレーム75の第2の開口755に接続され、他端が開口部11内に配置されている。更に、連通管813は、一端が第1のフレーム75の第2の開口756に接続され、他端が開口部11内に配置されている。この連通管812,813により、架台10の開口部11と第1のフレーム75の流路757とが連通されている。
【0039】
そして、第1のフレーム75、第1の冷却部81の冷却管811の一端部、及び連通管812,813は架台10のカバー15内側に配置されている。また、冷却管811の一端部以外の部分及びファン814は、カバー15外側に配置されている。
【0040】
このように、開口部11に連通する流路757を、レール73を支持する第1のフレーム75内に形成すると共に、流路757に連通する第1の開口754を第1のフレーム75に設け、第1の開口754に冷却管811を接続することにより、配管を容易に行うことができる。これにより、配管にかかる手間を軽減することができる。
【0041】
また、第1の開口754を第1のフレーム75の開口部11側とは反対側の側面に設けることにより、冷却管811を直線状に整然と配置することができる。これにより、架台10近傍の冷却管811に必要な床面積を低減し、被検体Pへアクセスする通路の確保することができるため、作業性の向上を図ることができる。
【0042】
ここで、ファン814は、例えば架台10から離れた位置の空気を吸引して、冷却管811の他端内に送給する。この送給された空気は、冷却管811、第1の開口754、流路757、第2の開口755,756、及び連通管812,813を経由して、架台10の背面側から開口部11内に送給される。これにより、架台10の傾斜磁場コイルユニット13や高周波コイルユニット14から伝達される熱により温度上昇する開口部11内の空気は、架台10の正面側から開口部11外に排出される。このように、架台10から離れた位置の空気を開口部11内に供給することにより、開口部11内の温度上昇を防止することができる。
【0043】
図5は、第2のフレーム76及び第2の冷却部82の構成の詳細を示した図である。この第2のフレーム76は、一端部761の架台10の開口部11側とは反対側の側面に設けられた第1の開口764、送受信部30の一部の基板を覆うケース43近傍に配置される他端部763下面に設けられた複数の第2の開口765、及び一端部761の開口部11側の側面の他部に設けられた第3の開口766を有する。そして、各第1乃至第3の開口764乃至766が第2のフレーム76内に形成された流路767で連通している。
【0044】
第2の冷却部82の冷却管821は、一端が第2のフレーム76の第1の開口764に接続され、他端が架台10から離間して磁気シールドルーム内又は外に配置されたファン823に接続されている。そして、冷却管821は、架台10近傍においては、床面上(又は床に掘られたピット内)を第1の冷却部81の冷却管811と並べて直線状に配置可能に配管される。また、連通管822は、一端が第2のフレーム76の第3の開口766に接続され、他端が架台10のカバー15内側における磁石12外周側面に配置された送受信部30の一部の基板を覆うケース44に接続されている。この連通管822により、ケース44が第2のフレームの流路767に連通している。
【0045】
そして、第2のフレーム76、第2の冷却部82の冷却管821の一端部、及び連通管822は、架台10のカバー15内側に配置されている。また、冷却管821の一端部以外の部分及びファン823は、カバー15外側に配置されている。
【0046】
このように、レール73を支持する第2のフレーム76のケース43近傍に第2の開口765を設けると共に、第2の開口765及びケース44に連通する流路767を第2のフレーム76内に形成し、更に流路767に連通する第1の開口764を第2のフレーム76に設け、第1の開口764に冷却管821を接続することにより、配管を容易に行うことができる。これにより、配管にかかる手間を軽減することができる。
【0047】
また、第1の開口764を第2のフレーム76の開口部11側とは反対側の側面に設けることにより、冷却管821を直線状に整然と配置することができる。これにより、架台10近傍の冷却管821に必要な床面積を低減し、被検体Pへアクセスする通路の確保することができるため、作業性の向上を図ることができる。
【0048】
ここで、ファン823は、例えば冷却管821の他端内の空気を吸引する。この吸引により、架台10外の空気がケース44内に吸気されると共に、ケース44内の基板により温度上昇する空気が、連通管822、第3の開口766、流路767、第1の開口764、及び冷却管821を経由して、ファン823から排出される。また、架台10外の空気がケース43内に吸気されると共に、ケース43内の温度上昇する空気が、第2の開口765、流路767、第1の開口764、及び冷却管821を経由して、ファン823から排出される。
【0049】
このように、ケース43,44を冷却することにより、ケース43,44から伝達される熱によって開口部11内の空気の温度が上昇するのを防止することができる。
【0050】
図6は、第3のフレーム77及び第3の冷却部83の構成の詳細を示した図である。この第3のフレーム77は、一端部771の架台10の開口部11側とは反対側の側面に設けられた第1の開口773、及び他端部772の中央付近に設けられた第2の開口774を有する。そして、第1の開口773と第2の開口774が第3のフレーム77内に形成された流路775で連通している。
【0051】
第3の冷却部83の冷却管831は、一端が第3のフレーム77の第1の開口773に接続され、他端がファン833に接続されている。そして、冷却管831は、架台10近傍においては、床面上(又は床に掘られたピット内)を第1及び第2の冷却部81,82の冷却管811,821と並べて直線状に配置可能に配管される。また、連通管832は、一端が寝台部70におけるレール73の開口732に接続され、他端が第3のフレーム77の第2の開口774に接続されている。この連通管832及びレール73を介して、架台10の高周波コイルユニット14が第3のフレーム77の流路775に連通している。
【0052】
そして、第3のフレーム77、第3の冷却部83の冷却管831の一端部及び連通管832は、架台10のカバー15内側に配置されている。また、冷却管831の一端部以外の部分及びファン833は、カバー15外側に配置されている。
【0053】
このように、レール73を支持する第3のフレーム77内に高周波コイルユニット14に連通する流路775を形成すると共に、流路775に連通する第1の開口773を第3のフレーム77に設け、第1の開口773に冷却管831を接続することにより、配管を容易に行うことができる。これにより、配管にかかる手間を軽減することができる。
【0054】
また、第1の開口773を第3のフレーム77の開口部11側とは反対側の側面に設けることにより、冷却管831を直線状に整然と配置することができる。これにより、架台10近傍の冷却管831に必要な床面積を低減し、被検体Pへアクセスする通路の確保することができるため、作業性の向上を図ることができる。
【0055】
ここで、ファン833は、例えば冷却管831の他端内の空気を吸引する。この吸引により、高周波コイルユニット14内の各素子により温度上昇する空気は、レール73の開口733、中空部731、開口732、連通管832、第2の開口774、流路775、第1の開口773、及び冷却管831を経由して、ファン833から排出される。
【0056】
このように、高周波コイルユニット14を冷却することにより、高周波コイルユニット14から伝達される熱によって開口部11内の空気の温度が上昇するのを防止することができる。
【0057】
以上述べた本発明の実施例によれば、開口部11に連通する流路757を、レール73を支持する第1のフレーム75内に形成すると共に、流路757に連通する第1の開口754を第1のフレーム75に設け、第1の開口754に冷却管811を接続することにより、配管を容易に行うことができる。また、レール73を支持する第2のフレーム76のケース43近傍に第2の開口765を設けると共に、第2の開口765及びケース44に連通する流路767を第2のフレーム76内に形成し、更に流路767に連通する第1の開口764を第2のフレーム76に設け、第1の開口764に冷却管821を接続することにより、配管を容易に行うことができる。更に、レール73を支持する第3のフレーム77内に高周波コイルユニット14に連通する流路775を形成すると共に、流路775に連通する第1の開口773を第3のフレーム77に設け、第1の開口773に冷却管831を接続することにより、配管を容易に行うことができる。以上により、配管にかかる手間を軽減することができる。
【0058】
また、第1の開口754,764,773を第1乃至第3のフレーム75,76,77の開口部11側とは反対側の側面に設けることにより、冷却管811,821,831を直線状に整然と配置することができる。これにより、架台10近傍の冷却管811,821,831に必要な床面積を低減し、被検体Pへアクセスする通路の確保することができるため、作業性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0059】
P 被検体
10 架台
11 開口部
12 磁石
13 傾斜磁場コイルユニット
14,19 高周波コイルユニット
15 カバー
20 電源部
21 静磁場電源
22 傾斜磁場電源
30 送受信部
40 データ処理部
70 寝台部
71 天板
72 支持台
73 レール
74 フレーム
80 冷却部
81 第1の冷却部
82 第2の冷却部
83 第3の冷却部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対して磁場を発生する架台を備えたMRI装置において、
前記被検体が載置される天板を前記開口部内に導くレールと、
前記レールを支持するフレームと、
前記フレーム及びこのフレームに接続される前記架台外に配置された冷却管を介して前記架台を冷却する冷却手段とを
備えたことを特徴とするMRI装置。
【請求項2】
前記フレームは中空管状を成し、その中空が流路として形成されていることを特徴とする請求項1に記載のMRI装置。
【請求項3】
前記レールは、前記開口部を貫通して配置され、一端部が前記天板を移動可能に支持する前記支持台近傍に位置し、他端部が前記開口部から突き抜けて前記フレームに支持されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のMRI装置。
【請求項4】
前記開口部内に導かれた前記天板上の前記被検体に対して磁場を発生する前記架台内に配置された磁場発生手段、及び前記流路に連通する前記フレームに設けられた第1の開口を有し、
前記冷却手段は、前記磁場発生手段からの熱により温度上昇する前記開口部内の空気を、前記開口部に連通する前記流路、前記第1の開口、及びこの第1の開口に接続される前記冷却管を介して排出するようにしたことを特徴とする請求項3に記載のMRI装置。
【請求項5】
前記開口部内に導かれた前記天板上の前記被検体に対してRF磁場を発生する前記架台内に配置された高周波コイルユニット、及び前記流路に連通する前記フレームに設けられた第1の開口を有し、
前記冷却手段は、前記高周波コイルユニット内で温度上昇する空気を、前記レールに形成された前記高周波コイルに連通する中空部、この中空部に連通する前記流路、前記第1の開口、及びこの第1の開口に接続される前記冷却管を介して排出するようにしたことを特徴とする請求項3に記載のMRI装置。
【請求項6】
前記開口部内に導かれた前記天板上の前記被検体に対してRF磁場を発生させる駆動信号を生成すると共に前記RF磁場の発生に応じて検出されるMR信号を受信する基板を備えた送受信手段、並びに前記流路に連通する前記フレームに設けられた第1及び第2の開口を有し、
前記冷却手段は、前記第2の開口近傍に配置された前記基板により温度上昇する空気を、前記第2の開口、前記流路、前記第1の開口、及びこの第1の開口に接続される前記冷却管を介して排出するようにしたことを特徴とする請求項3に記載のMRI装置。
【請求項7】
前記第1の開口は、前記フレームの前記開口部側とは反対側の側面に設けられていることを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれかに記載のMRI装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−167468(P2011−167468A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36445(P2010−36445)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】