説明

N−フェニルピラゾール−1−カルボキサミドの製造法

式(II)および(III)の化合物ならびに塩化スルホニルを組み合わせることによる式(I)の化合物の製造法を開示する。
【化1】


またこの方法の出発材料として有用である式(III)の化合物も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボン酸をアントラニルアミドとカップリングすることによるN−フェニルピラゾール−1−カルボキサミドの製造法、ならびにこの方法に適切なアントラニルアミド化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
PCT特許公開(特許文献1)は、殺節足動物剤としての式iのN−アシルアントラニル酸誘導体の有効性を開示する。
【0003】
【化1】

【0004】
[式中、AおよびBは独立してOまたはSであり;RはHであり;RはH、C〜Cアルキル、C〜CアルコキシカルボニルまたはC〜Cアルキルカルボニルであり;Rは、特に、HまたはC〜Cアルキルであり;Rは、特に、HまたはC〜Cアルキルであり;RはH、C〜Cアルキルまたはハロゲンであり;RはH、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、ハロゲン、CN、C〜CアルコキシまたはC〜Cハロアルコキシであり;Rは、特に、各環または環系が場合により1〜3個の置換基によって置換されていてもよいフェニル環、ベンジル環、5員もしくは6員芳香族複素環、ナフチル環系であり、;そしてRは、特に、Hである]。この参照文献は式iの化合物のいくつかの製造法を開示する。しかしながら、より費用が低く、より効率的であり、よりフレキシブルであるか、またはより操作に都合のよい新規方法に対する必要性が存続している。
【0005】
【特許文献1】国際公開第03/015518号パンフレット
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、式1の化合物の製造法に関する。
【0007】
【化2】

【0008】
[式中、
はCHまたはClであり;
はBr、Cl、IまたはCNであり;
はHまたはC〜Cアルキルであり;
はCl、Br、CF、OCFHまたはOCHCFであり;
はF、ClまたはBrであり;
はH、FまたはClであり;
ZはCRまたはNであり;そして
はH、F、ClまたはBrである]
【0009】
この方法は、(1)式2のカルボン酸化合物と、
【0010】
【化3】

【0011】
(2)式3のアニリン化合物と、
【0012】
【化4】

【0013】
(3)塩化スルホニルと
を組み合わせて式1の化合物を形成せしめることを含んでなる。
【0014】
また本発明は、式3
[式中、
はCHまたはClであり;
はBr、Cl、IまたはCNであり;そして
はHまたはC〜Cアルキルである;
ただし、
(a)RおよびRがClである場合、RはH、CHCHまたはCH(CH)CHCH以外であり;
(b)RがCHであり、RがCl、BrまたはCNである場合、RはCHまたはCH(CH以外であり;
(c)RがClであり、RがClまたはBrである場合、RはCHまたはCH(CH以外であり;そして
(d)RがCHであり、RがCNである場合、RはH以外である]のアニリン化合物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本明細書に使用される場合、用語「含んでなる」、「含んでなっている」、「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」またはそれらの他のいずれかの変形は、非排他的包含を包括するように意図される。例えば、要素のリストを含んでなる組成物、プロセス、方法、物品または装置はそれらの要素のみに必ず限定されるのではなく、明白に記載されていないか、またはかかる組成物、プロセス、方法、物品もしくは装置に固有である他の要素を含んでもよい。さらに、それとは反対の記載が明白にされない限り、「あるいは、または、もしくは」は包含的論理和を指し、そして排他的論理和を指さない。例えば、条件AまたはBは以下のいずれか1つによって満たされる:Aが真であり(または存在する)、そしてBが偽である(または存在しない)。Aが偽であり(または存在しない)、そしてBが真である(または存在する)。ならびにAおよびBの両方が真である(または存在する)。
【0016】
化学試薬を組み合わせることとは、化学試薬を互いに接触させることを指す。
【0017】
また本発明の要素または構成成分を先行する不定冠詞「a」および「an」は、要素または構成成分の実例の数(すなわち、発生数)に関して非限定的であるように意図される。従って、「a」または「an」は1または少なくとも1を含むように読解されるべきであり、そして数が明らかに単数を意味しない限り、要素または構成成分の単数形は複数も含む。
【0018】
炭素をベースとする基とは、単結合を通して化学構造の残部に基を連結する炭素原子を含んでなる一価分子成分を指す。炭素をベースとする基は、場合により、飽和、不飽和および芳香族基、鎖、環および環系ならびにヘテロ原子を含んでいてもよい。炭素をベースとする基は、大きさに関して特定の制限を受けないが、本発明においては、典型的に1〜16個の炭素原子および0〜3個のヘテロ原子を含んでなる。注目すべきは、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、ならびに場合によりC〜Cアルキル、ハロゲンおよびニトロから選択される1〜3個の置換基によって置換されていてもよいフェニルから選択される炭素をベースとする基である。
【0019】
本明細書の記述において、略語「Ph」はフェニルを意味する。アルキルは直鎖または分枝鎖であり得る。用語「ハロゲン」としては、単独または「ハロアルキル」のような組み合わせた語において、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素が挙げられる。さらに、「ハロアルキル」のような組み合わせた語において使用される場合、前記アルキルは、同一または異なってもよいハロゲン原子によって部分的または完全に置換されていてもよい。「ハロアルキル」の例としては、FC、ClCH、CFCHおよびCFCClが挙げられる。
【0020】
本発明の実施形態としては、以下が挙げられる。
【0021】
実施形態M1。式2の化合物対式3の化合物のモル比が約1.2:1〜約1:1.2である方法。
【0022】
実施形態M2。式2の化合物対式3の化合物のモル比が約1:1〜約1:1.2である実施形態M1の方法。
【0023】
実施形態M3。式2の化合物対式3の化合物のモル比が 約1:1.1である実施形態M2の方法。
【0024】
実施形態M4。塩化スルホニル対式2の化合物のモル比が少なくとも約1:1である方法。
【0025】
実施形態M5。塩化スルホニル対式2の化合物のモル比が約1:1〜約2.5:1である実施形態M4の方法。
【0026】
実施形態M6。塩化スルホニル対式2の化合物のモル比が約1.1:1〜約1.4:1である実施形態M5の方法。
【0027】
実施形態M7。RがBr、ClまたはIである場合、塩化スルホニル対式2の化合物のモル比が約1.2:1である実施形態M6の方法。
【0028】
実施形態M8。RがCNである場合、塩化スルホニル対式2の化合物のモル比が約1.4:1である実施形態M6の方法。
【0029】
実施形態M9。塩化スルホニルが式4で表される方法。
【0030】
【化5】

【0031】
[式中、Rは炭素をベースとする基である]
【0032】
実施形態M10。RがC〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、または場合によりハロゲン、C〜Cアルキルおよびニトロよりなる群から選択される1〜3個の置換基によって置換されていてもよいフェニルである実施形態M9の方法。
【0033】
実施形態M11。RがC〜Cアルキル、CF、フェニルまたは4−メチルフェニルである実施形態M10の方法。
【0034】
実施形態M12。RがC〜Cアルキル、フェニルまたは4−メチルフェニルである実施形態M11の方法。
【0035】
実施形態M13。RがCHである実施形態M12の方法。
【0036】
実施形態M14。式2のカルボン酸、式3のアニリンおよび塩化スルホニルを約−70℃と100℃との間の温度で組み合わせる方法。
【0037】
実施形態M15。温度が約−20℃と40℃との間である実施形態M14の方法。
【0038】
実施形態M16。温度が約−10℃と20℃との間である実施形態M15の方法。
【0039】
実施形態M17。式2のカルボン酸を式3のアニリンと組み合わせて混合物を形成せしめ、次いで混合物を塩化スルホニルと組み合わせる方法。
【0040】
実施形態M18。塩化スルホニルとの組み合わせの前または後に塩基を混合物と組み合わせる実施形態M17の方法。
【0041】
実施形態M19。塩化スルホニルとの組み合わせの前に塩基を式2および3の化合物と組み合わせて混合物を形成せしめる実施形態M17の方法。
【0042】
実施形態M20。塩基を化合物2および3の化合物ならびに塩化スルホニルと組み合わせる方法。
【0043】
実施形態M21。塩基の量が塩化スルホニルに対して少なくとも約2当量である実施形態M18〜M20のいずれか1つの方法。
【0044】
実施形態M22。塩基の量が塩化スルホニルに対して少なくとも約2.1当量である実施形態M21の方法。
【0045】
実施形態M23。塩基の量が塩化スルホニルに対して少なくとも約2.1〜2.2当量である実施形態M22の方法。
【0046】
実施形態M24。塩基が第三級アミン(場合により置換されていてもよいピリジンを含む)から選択される実施形態M18〜M20のいずれか1つの方法。
【0047】
実施形態M25。塩基が場合により置換されていてもよいピリジンおよびそれらの混合物から選択される実施形態M24の方法。
【0048】
実施形態M26。塩基が2−ピコリン、3−ピコリン、2,6−ルチジン、ピリジンおよびそれらの混合物から選択される実施形態M25の方法。
【0049】
実施形態M27。塩基が3−ピコリンである実施形態M26の方法。
【0050】
実施形態M28。溶媒を式2および3の化合物ならびに塩化スルホニルと組み合わせる方法。
【0051】
実施形態M29。塩化スルホニルとの組み合わせの前に溶媒を式2および3の化合物と組み合わせて混合物を形成せしめる実施形態M17の方法。
【0052】
実施形態M30。溶媒が、ニトリル(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル)、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、ハロアルカン(例えば、ジクロロメタン、トリクロロメタン)、エーテル(例えば、エチルエーテル、メチル第三級ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、p−ジオキサン)、芳香族炭火水素(例えば、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン)、第三級アミン(例えば、トリアルキルアミン、ジアルキルアニリン、場合により置換されていてもよいピリジン)およびそれらの混合物から選択される実施形態M28またはM29の方法。
【0053】
実施形態M31。溶媒が第三級アミン(例えば、トリアルキルアミン、ジアルキルアニリン、場合により置換されていてもよいピリジン)およびそれらの混合物から選択される実施形態M30の方法。
【0054】
実施形態M32。溶媒が、ニトリル(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル)、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、ハロアルカン(例えば、ジクロロメタン、トリクロロメタン)、エーテル(例えば、エチルエーテル、メチル第三級ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、p−ジオキサン)、芳香族炭火水素(例えば、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン)およびそれらの混合物から選択される実施形態M30の方法。
【0055】
実施形態M33。溶媒がアセトニトリルである実施形態M32の方法。
【0056】
実施形態C1。RがCHである式3の化合物。
【0057】
実施形態C2。RがBrまたはClである式3の化合物。
【0058】
実施形態C3。RがIである式3の化合物。
【0059】
実施形態C4。RがCNである式3の化合物。
【0060】
実施形態C5。RがHまたはCHである式3の化合物。
【0061】
実施形態C6。RがCHである式3の化合物。
【0062】
注目すべきは、RがCHであり、RがClであり、そしてRがH、CHCH、CHCHCH、CHCHCHCH、CHCH(CH、CH(CH)CHCHまたはC(CHである式3の化合物である。また注目すべきは、RがCHであり、RがBrであり、そしてRがH、CHCH、CHCHCH、CHCHCHCH、CHCH(CH、CH(CH)CHCHまたはC(CHである式3の化合物である。また注目すべきは、RがCHであり、RがIであり、そしてRがH、CH、CHCH、CHCHCH、CH(CH、CHCHCHCH、CHCH(CH、CH(CH)CHCHまたはC(CHである式3の化合物である。また注目すべきは、RがCHであり、RがCNであり、そしてRがCHCH、CHCHCH、CHCHCHCH、CHCH(CH、CH(CH)CHCHまたはC(CHである式3の化合物である。また注目すべきは、RがClであり、RがClであり、そしてRがCHCHCH、CHCHCHCH、CHCH(CHまたはC(CHである式3の化合物である。また注目すべきは、RがClであり、RがBrであり、そしてRがH、CHCH、CHCHCH、CHCHCHCH、CHCH(CH、CH(CH)CHCHまたはC(CHである式3の化合物である。また注目すべきは、RがClであり、RがIであり、そしてRがH、CH、CHCH、CHCHCH、CH(CH、CHCHCHCH、CHCH(CH、CH(CH)CHCHまたはC(CHである式3の化合物である。また注目すべきは、RがClであり、RがCNであり、そしてRがH、CH、CHCH、CHCHCH、CH(CH、CHCHCHCH、CHCH(CH、CH(CH)CHCHまたはC(CHである式3の化合物である。
【0063】
以下のスキームにおいて、以下の式1〜34の化合物におけるR、R、R、R、RおよびRの定義は、特記されない限り、上記の発明の開示および実施形態の記載において定義された通りである。
【0064】
スキーム1に示されるように、本発明は、典型的に塩基および溶媒の存在下で、塩化スルホニルを使用して、式2のカルボン酸を式3のアントラニルアミドとカップリングすることによる式1の化合物の製造法に関する。
【0065】
【化6】

【0066】
従って、本方法において、式2のピラゾールカルボン酸、式3のアニリンおよび塩化スルホニルを組み合わせ(すなわち、接触させ)、式1の相当するN−フェニルピラゾール−1−カルボキサミドを提供する。
【0067】
広範囲の反応物比が可能であるが、式3化合物対式2化合物の公称モル比は典型的に約0.9〜1.1であり、そして好ましくは、両方の化合物が完全に消費されるように約1.0である。本方法は広範囲にわたる温度において実行可能であるが、一般的に−70℃〜+100℃の温度範囲で実行される。注目すべきは−20℃〜+40℃の温度である。都合のよい操作、好ましい反応速度および選択性ならびに高いプロセス収率の理由のため、特に注目すべきは、−10℃〜+20℃の温度である。
【0068】
塩化スルホニル化合物は、カルボン酸とアントラニルアミドとのカップリングを促進してN−フェニルピラゾール−1−カルボキサミドを形成せしめる反応物として使用される。下記の環化副反応がわずかな範囲(すなわち、0〜10%)で生じる場合、塩化スルホニル対式2化合物の公称モル比は典型的に約1.0〜2.5であり、好ましくは約1.1〜1.4である。塩化スルホニルは一般的に、R8が炭素をベースとする基である式RS(O)Cl(式4)である。典型的に、本方法に関して、RはC〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、または場合によりハロゲン、C〜Cアルキルおよびニトロよりなる群から選択される1〜3個の置換基によって置換されていてもよいフェニルである。市販品として入手可能であるため、本方法に関して好ましい塩化スルホニル化合物としては、塩化メタンスルホニル(RはCHである)、塩化プロパンスルホニル(Rは(CHCHである)、塩化ベンゼンスルホニル(RはPhである)および塩化p−トルエンスルホニル(Rは4−CH−Phである)が挙げられる。塩化メタンスルホニルは、低コスト、添加の容易さ、および/または廃棄物の少なさの理由のため、より好ましい。
【0069】
本方法において、塩化スルホニルを式2のピラゾールカルボン酸および式3のアニリンと組み合わせる。反応物を様々な順序で組み合わせることができ、例えば、塩化スルホニルを式2のカルボン酸と組み合わせ、混合物を形成せしめ、次いで混合物を式3のアニリンと組み合わせる。しかしながら、式1の特定のN−フェニルピラゾール−1−カルボキサミドの製造に関して、組み合せの最も好ましい順序は、式2のカルボン酸を式3のアニリンと組み合わせて、混合物を形成せしめ、次いで塩化スルホニルを混合物と組み合わせる(例えば、式2および3の化合物の混合物に塩化スルホニルを添加する)ことを含んでなることがわかっている。このような添加の順序はカップリングプロセスの都合のよい制御を可能にする。反応の速度は、単に塩化スルホニル化合物の添加の速度を制御することによって容易に制御される。従って、本方法の注目すべき実施形態は、(1)式2のカルボン酸および式3のアニリンを組み合わせて、混合物を形成せしめ、次いで(2)混合物を塩化スルホニルと組み合わせることの連続工程を含んでなる。式2のアニリンを含有する混合物への塩化スルホニルの添加は望ましくない副反応を潜在的に生じる可能性があるが、式2および3の化合物の特定の立体電子的プロフィールは、本方法を使用して式1の化合物の著しく高い収率を得ることを促進することが発見されている。
【0070】
組み合わせた液体相中で、それぞれが少なくとも部分的に可溶性である式2および3の出発化合物と塩化スルホニルとを互いに接触させた時、式1の化合物が形成される。特に式2および3の出発材料は典型的に通常の周囲温度において固体であり、出発化合物が著しい溶解性を有する溶媒を使用して、この方法は最も満足に実行される。従って、典型的に、この方法は溶媒を含んでなる液体相中で実行される。いくつかの場合、式2のカルボン酸はわずかな溶解性を有するが、添加された塩基によるその塩は溶媒中でより高い溶解性を有し得る。本方法のために適切な溶媒としては、アセトニトリルおよびプロピオニトリルのようなニトリル;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルブチルケトンのようケトン;ジクロロメタン、トリクロロメタンのようなハロアルカン;エチルエーテル、メチル第三級ブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、p−ジオキサンのようなエーテル;ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンのような芳香族炭火水素;トリアルキルアミン、ジアルキルアニリン、場合により置換されていてもよいピリジンのような第三級アミン;およびそれらの混合物が挙げられる。注目すべき溶媒としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、酢酸エチル、アセトン、MEK、ジクロロメタン、メチル第三級ブチルエーテル、THF、p-ジオキサン、トルエンおよびクロロベンゼンが挙げられる。しばしば優れた収率および/または純度の生成物を提供するため、特に注目すべき溶媒はアセトニトリルである。
【0071】
本方法の反応が副産物として塩化水素を発生させ、それは式1、2および3の化合物の塩基中心に結合するため、この方法は少なくとも1個の添加された塩基の存在下で最も満足に実行される。また塩基は、カルボン酸と、塩化スルホニル化合物およびアントラニルアミドとの構成的な相互作用を促進し得る。添加された塩基と式2のカルボン酸との反応は塩を形成せしめ、これは反応媒体中でカルボン酸より高い溶解性を有し得る。塩基は塩化スルホニルの添加と同時に、それと交互に、またはその後に添加されてもよいが、塩基は典型的に塩化スルホニルの添加の前に添加される。第三級アミンのようないくつかの溶媒も塩基として機能し、そしてこれらが溶媒として使用される場合、それらは塩基として化学量論的過剰である。塩基が溶媒として使用されない場合、充填された塩基対充填された塩化スルホニルの公称モル比は典型的に約2.0〜2.2であり、そして好ましくは約2.1〜2.2である。好ましい塩基は第三級アミンであり、置換されたピリジンが挙げられる。より好ましい塩基としては、2-ピコリン、3−ピコリン、2,6-ルチジンおよびピリジンが挙げられる。塩基として特に注目すべきは、式2のカルボン酸とのその塩がしばしばアセトニトリルのような溶媒において非常に可溶性であるため、3−ピコリンである。
【0072】
本方法の特徴は、N−フェニルピラゾール−1−カルボキサミドの形成間に消費されるカルボン酸、塩化スルホニルおよびアントラニルアミドの量を限定し、そして廃棄物を減少させながら、式1のN−フェニルピラゾール−1−カルボキサミドの効率的な製造を提供する。本方法は、式1のようなN−フェニルピラゾール−1−カルボキサミドの製造のための従来の既知のプロセスと比較して、カップリングプロセスの都合のよい制御を可能にし、そしてより少なく単純な操作を含む方法を提供する。
【0073】
本方法の好ましい実施形態は、適切な溶媒において式2のピラゾールカルボン酸、式3のアントラニル酸および適切な塩基を組み合わせ、続いて塩化スルホニル化合物(単独で、または適切な溶媒と混合されて)が添加される。
【0074】
式1の生成物N−フェニルピラゾール−1−カルボキサミドは、結晶化、濾過および抽出を含む当業者に既知の方法によって反応混合物から単離可能である。スキーム2に示されるように、いくつかの場合、式シクロ−1のイミノベンゾオキサジンへのアミド1の部分的環化がカップリング反応の条件下で生じる。
【0075】
【化7】

【0076】
これらの場合、反応生成物の単離の前に式シクロ−1化合物を式1のアミドへと戻すことはしばしば好都合である。この変換は、水性酸による反応混合物の処理によって達成可能である。あるいは、式シクロ−1のイミノベンゾオキサジンおよび式1のアミドの混合物を単離し、次いで、場合により適切な有機溶媒の存在下で、例えば希釈された水性酸による処理によって、この混合物を式1のアミドへと変換することができる。
【0077】
このプロセスの好ましい条件下で、式シクロ−1化合物へと式1の所望の生成物を変換する環化副反応は、通常、微量範囲のみ生じ、仮にあったとしても、その場合は、塩化スルホニルおよび塩基の好ましい比率は、カップリング反応を完了するために十分である。しかしながら、いくつかの式2のピラゾールカルボン酸、式3のアントラニル酸(例えば、RがCNである)および反応条件(例えば、塩基として立体的に妨害された置換ピリジン、例えば、2,6−ルチジンを使用する)に関して、式シクロ−1化合物への式1の所望の生成物の変換がより著しい範囲まで生じ得るか、または支配的な反応であり得る。これらの場合、塩化スルホニルおよび塩基のより高い比率の使用がカップリング反応の完成を促進し得る。環化副反応は、カップリング反応において消費される塩化スルホニルの当量に加えて、塩化スルホニルの当量を化学量論的に消費する。従って、100%の環化が生じる場合、出発材料の完全な消費を達成するために、2:1モル比の塩化スルホニル対式2化合物が化学量論的に必要とされ、そして環化が5〜10%のみの程度で生じる場合(ほとんどの塩基に関して典型的に、RはCNである)の約1.4:1モル比の塩化スルホニル対式2化合物および環化副反応が無視できる程度である場合(ほとんどの塩基に関して典型的に、RはBr、ClまたはIである)の約1.2:1モル比の塩化スルホニル対式2化合物と対照的に、典型的に約2.5:1モル比までの塩化スルホニル対式2化合物が使用される。環化反応が生じていることが観測される場合、反応が進行中であれば、追加的な量の塩化スルホニルおよび塩基を添加することができる。
【0078】
上記は本プロセスの有益な特徴を例示しており、すなわち、変換を完了するために必要に応じて、いずれものプロセス成分の追加量をいつでも添加することができる。この特徴の価値のもう1つの具体例は、式2の成分または式3の成分のいずれかが反応混合物に不注意に不十分に充填される状態に関する。HPLCおよびNMRを含む一般的に既知であり、利用可能である様々な方法のいずれかを使用して、反応混合物の分析によって、このような不十分な充填を検出することができる。一旦検出されたら、反応混合物により多くの適切な成分を添加することによって不十分な充填を修正することができる。それは充填の間違いからの回復を可能にし、そして結果として生じ得る高価な中間体の廃棄を防止するため、これは特により大規模な作業に有益であり得る。
【0079】
式2のピラゾールカルボン酸は、次の概説に見られる参照文献を含む文献において既知の複素環合成の方法を使用して製造可能である:ロッドのケミストリー オブ ケミストリー オブ カーボン コンパウンズ(Rodd’s Chemistry of Chemistry of Carbon Compounds)、第IVa〜IVl巻、S.コフェイ(S.Coffey)編集、エルゼビア サイエンティフィック パブリッシング(Elsevier Scientific Publishing)、ニューヨーク(New York)、1973;コンプリヘンシブ ヘテロサイクリック ケミストリー(Comprehensive Heterocyclic Chemistry)、第1〜7巻、A.R.カトリッツキー(A.R.Katritzky)およびC.W.リーズ(C.W.Rees)編集、ペルガモン プレス(Pergamon Press)、ニューヨーク(New York)、1984;コンプリヘンシブ ヘテロサイクリック ケミストリー(Comprehensive Heterocyclic Chemistry)II、第1〜9巻、A.R.カトリッツキー(A.R.Katritzky)、C.W.リーズ(C.W.Rees)およびE.F.スクリベン(E.F.Scriven)編集、ペルガモン プレス(Pergamon Press)、ニューヨーク(New York)、1996;ならびにシリーズ、ザ ケミストリー オブ ヘテロサイクリック コンパウンズ(The Chemistry of Heterocyclic Compounds)、E.C.テイラー(E.C.Taylor)編集、ウィリー(Wiley)、ニューヨーク(New York)。様々な複素環酸(ピラゾールカルボン酸を含む)およびそれらの合成のための一般的な方法は、国際公開第98/57397号パンフレットに見られる。
【0080】
式2aのピラゾールカルボン酸の製造に関して、1つの特に有用な手順をスキーム3に示す。
【0081】
【化8】

【0082】
式6のピラゾールと式7の2−ハロピリジンとの反応によって、所望の位置化学に関して良好な特性を有する式8の1−ピリジニルピラゾールが良好な収率で得られる。リチウムジイソプロピルアミド(LDA)による式8の化合物のメタレーション、それに続いて、二酸化炭素によるリチウム塩のクエンチングによって、式2aの1−(2−ピリジニル)ピラゾールカルボン酸が得られる。この方法の先行文献に関しては、国際公開第03/015519号パンフレットを参照のこと。
【0083】
スキーム4に示されるように、式9の適切に置換されたイミノハライドと、式10の置換プロピオレートまたは式11のアクリレートのいずれかとの3+2付加環化を通して式2bのピラゾールカルボン酸を製造することができる。
【0084】
【化9】

【0085】
アクリレートによる付加環化は、ピラゾールへの中間体ピラゾリンの追加的な酸化を必要とする。式12のエステルの加水分解によって式2bのピラゾールカルボン酸が得られる。この反応のための好ましいイミノハライドとしては、式9aのトリフルオロメチルイミノクロリドおよび式9bのイミノジブロミドが挙げられる。式9aのような化合物は既知である(ジャーナル オブ ヘテロサイクル ケミストリー(J.Heterocycl.Chem.)1985、22(2)、565−8)。式9bのような式9の他の化合物は既知の方法によって入手可能である(テトラヘドロン レターズ(Tetrahedron Letters)1999、40、2605)。
【0086】
式2bのピラゾールカルボン酸の製造に関するもう1つの方法をスキーム5に示す。
【0087】
【化10】

【0088】
式13のピラゾールは、A.クラパーズ(A.Klapars)、J.C.アンチラ(J.C.Antilla)、X.ファン(X.Huang)およびS.L.バックワルド(S.L.Buchwald)、ジャーナル オブ ジ アメリカン ケミカル ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)2001、123、7727−7729によって報告されるような方法を使用してヨウ化アリールによって、またはP.Y.S.ラム(P.Y.S.Lam)、C.G.クラーク(C.G.Clark)、S.ソウベルン(S.Saubern)、J.アダムス(J.Adams)、M.P.ウィンターズ(M.P.Winters)、D.M.T.チャン(D.M.T.Chan)およびA.コンブス(A.Combs)、テトラヘドロン レター(Tetrahedron Lett.)1998、39、2941−2944によって報告されるような方法を使用してアリールボロン酸によって凝縮可能である。得られた式15の付加物を過マンガン酸カリウムのような酸化剤で酸化し、式2bのピラゾールカルボン酸を得ることができる。
【0089】
式6および13の出発ピラゾールは既知の化合物であるか、または既知の方法によって製造可能である。例えば、文献手順(ジャーナル オブ フルオリン ケミストリー(J.Fluorine Chem.)1991、53(1)、61−70)によって、式6aのピラゾール(RがCFである式6の化合物)を製造することができる。ヒェーミッシュ ベリヒト(Chem.Ber.)1966、99(10)、3350-7で記載される手順によって、式6bのピラゾール(RがClまたはBrである式6の化合物)を製造することができる。
【0090】
式6bの化合物の製造に関する有用な別の方式をスキーム6に描写する。
【0091】
【化11】

【0092】
n−ブチルリチウムによる式16のスルファモイルピラゾールのメタレーション、それに続くヘキサクロロエタン(RがClである)または1,2−ジブロモテトラクロロエタン(RがBrである)のいずれかによるアニオンの直接ハロゲン化によって、式17aのハロゲン化された誘導体が得られる。室温でのトリフルオロ酢酸(TFA)によるスルファモイル基の除去はクリーンで良好な収率で進行し、式6cのピラゾールが得られる。当業者は式6cが式6bの互変異性体であると認識する。
【0093】
スキーム7に示されるように、ピラゾールカルボン酸2は、式19のピラゾールを与える式18のピラゾリンの酸化、それに続くカルボン酸への加水分解によって製造することもできる。
【0094】
【化12】

【0095】
酸化剤は、過酸化水素、有機過酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、モノ過硫酸カリウム(例えば、オキソン(Oxone)(登録商標))または過マンガン酸カリウムであり得る。この酸化は溶媒、好ましくは、テトラヒドロフラン、p-ジオキサン等のようなエーテル、酢酸エチル、炭酸ジメチル等のような有機エステル、またはN,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等のような極性非プロトン性有機溶媒の存在下で実行可能である。
【0096】
スキーム8に示されるように、適切なハロゲン化剤による処理によって式20のピラゾロンからRがClまたはBrであるハロピラゾリン18を製造することができる。
【0097】
【化13】

【0098】
使用可能なハロゲン化試薬としては、リンオキシハライド、リントリハライド、リンペンタハライド、塩化チオニル、ジハロトリアルキルホスホラン、ジハロトリフェニルホスホラン、塩化オキサリルおよびホスゲンが挙げられる。リンオキシハライドおよびリンペンタハライドが好ましい。このようなハロゲン化のための典型的溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロブタン等のようなハロゲン化アルカン、ベンゼン、キシレン、クロロベンゼン等のような芳香族溶媒、テトラヒドロフラン、p−ジオキサン、ジエチルエーテル等のようなエーテル、およびアセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミドのような極性非プロトン性溶媒が挙げられる。場合により、トリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン等のような有機塩基を添加することができる。N,N−ジメチルホルムアミドのような触媒の添加も場合によってある。
【0099】
あるいは、Rが異なるハロゲン(例えば、RがBrである式18の製造に関してCl)であるか、またはメタンスルホネート、ベンゼンスルホネートもしくはp−トルエンスルホネートのようなスルホネート基である式18の相当する化合物を、それぞれ臭化水素または塩化水素によって処理することによって、Rがハロゲンである式18の化合物を製造することができる。この方法によって、式18の出発化合物のRハロゲンまたはスルホネート置換基は、それぞれ臭化水素または塩化水素からBrまたはClによって置換される。すでに記載されたように、RがClまたはBrである式18の出発化合物を式20の相当する化合物から製造可能である。ジクロロメタンのような適切な溶媒中、塩化スルホニル(例えば、塩化メタンスルホニル、塩化ベンゼンスルホニルまたは塩化p−トルエンスルホニル)および第三級アミン(例えば、トリエチルアミン)のような塩基による処理のような標準方法によって、Rがスルホネート基である式18の出発化合物を式20の相当する化合物から同様に製造することができる。
【0100】
スキーム9に概説される方法によって、RがOCHFまたはOCHCFである式2cのピラゾールカルボン酸を製造することができる。
【0101】
【化14】

【0102】
この方法において、スキーム8に示されるようにハロゲン化される代わりに、式20の化合物を式21の化合物へと酸化する。この酸化反応条件は、スキーム7において式19の化合物への式18の化合物の変換に関してすでに記載されている。次いで、塩基の存在下でCHClFからその場で製造されたジフルオロカルベンとの接触によって式21の化合物をアルキル化し、式22の化合物を形成せしめることができる。また塩基の存在下でアルキル化剤CFCHLgとの接触によって、式21の化合物をアルキル化して式24の化合物を形成せしめることができる。テトラヒドロフランまたはジオキサンのようなエーテルおよびアセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド等のような極性非プロトン性溶媒を含んでなり得る溶媒においてアルキル化反応を一般的に実行する。塩基は、炭酸カリウム、水酸化ナトリウムまたは水素化ナトリウムのような無機塩基から選択される。好ましくは、溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミドまたはアセトニトリルとともに炭酸カリウムを使用して反応を実行する。アルキル化剤CFCHLgについて、Lgはハロゲン(例えば、Br、I)、OS(O)CH(メタンスルホネート)、OS(O)CF、OS(O)Ph−p−CH(p-トルエンスルホネート)等のような核脱離(すなわち、脱離基)である。抽出のような従来技術によって、式22の生成物を単離することができる。次いで、スキーム4において式2bへの式12の変換に関してすでに記載された方法によって、エステルを式2cのカルボン酸へと変換することができる。
【0103】
スキーム10に概説されるように、式20の化合物を式25の化合物から製造することができる。
【0104】
【化15】

【0105】
この方法において、塩基および溶媒の存在下で、式25のヒドラジン化合物を式26の化合物(フマル酸エステルもしくはマレイン酸エステルまたはその混合物を使用してよい)と接触させる。塩基は典型的に、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、カリウム第三級ブトキシド、リチウム第三級ブトキシド等のような金属アルコキシド塩である。アルコール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド等のような極性プロトン性および極性非プロトン性有機溶媒を使用することができる。好ましい溶媒は、メタノールおよびエタノールのようなアルコールである。アルコールがフマル酸エステルまたはマレイン酸エステルおよびアルコキシド塩基と一致する(すなわち、構成が同一である)ことは特に好ましい。反応条件および単離手段次第で、式20の化合物の−COR官能基は−COHへと加水分解されてもよく;例えば、反応混合物中の水の存在がかかる加水分解を促進し得る。カルボン酸(−COH)が形成される場合、当該分野で周知のエステル化方法を使用して、RがC〜Cアルキルである−CORへと戻すことができる。所望の生成物である式20の化合物を結晶化、抽出または蒸留のような当業者に既知の方法によって単離することができる。
【0106】
本発明のもう1つの態様は、本発明のプロセスにおいて重要な中間体である式3のアントラニルアミドに関する。式3のアントラニルアミドの試料は、アントラニルアミドの存在を決定するための分析標準としても有用である。
【0107】
スキーム11に示されるように、L.H.スターンバッチ(L.H.Sternbach)ら、ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(J.Org.Chem.)1971、36、777−781に記載のような手順を使用することによって、式3のアントラニルアミドを式27のイサト酸無水物とアンモニアまたはアルキルアミンとの反応から製造することができる。
【0108】
【化16】

【0109】
化学文献に十分文書化されている様々な既知の方法によって、式27のイサト酸無水物を製造することができる。例えば、アントラニル酸とホスゲンまたはホスゲン同等物との反応を含む環化を通して、相当するアントラニル酸からイサト酸無水物を入手可能である。この方法の先行文献に関して、コッポラ(Coppola)、シンテシス(Synthesis)1980、505およびファビス(Fabis)ら、テトラヘドロン(Tetrahedron)、1998、10789を参照のこと。
【0110】
スキーム12に概説されるように、式27のイサト酸無水物の合成は式30のイサチンからも達成可能である。
【0111】
【化17】

【0112】
F.D.ポッポ(F.D.Popp)、アドバンス イン ヘテロサイクリック ケミストリー(Adv.Heterocycl.Chem.)1975、18、1−58およびJ.F.M.ダ シルバ(J.F.M.Da Silva)ら、ジャーナル オブ ザ ブラジリアン ケミカル ソサエティ(Journal of the Brazilian Chemical Society)2001、12(3)、273−324のような文献手順に従って、式29のアニリン誘導体から式30のイサチンを入手可能である。過酸化水素によるイサチン30の酸化は一般的に、相当するイサト酸無水物28の良好な収率を与える(G.ライッセンウェベル(G.Reissenweber)およびD.マンゴールド(D.Mangold)、アンゲヴァント ヒェミー インターナショナル エディション イン イングリッシュ(Angew.Chem.Int.Ed.Engl.)1980、19、222−223)。
【0113】
スキーム13に示されるように、RがCl、BrまたはIである式30のイサチンは、ハロゲン化によって式31の5−未置換イサチンからも入手可能である。次いで、シアン化物置換によって式30aのイサチン(RがCNである式30)が提供され得る。
【0114】
【化18】

【0115】
文献において既知の多くの試薬および手順を使用して、ハロゲン化反応を実行することができる。適切な試薬としては、元素ハロゲン(塩素、臭素またはヨウ素)、トリクロロイソシアヌル酸、N−クロロスクシンイミド(NCS)、N−ブロモスクシンイミド(NBS)またはN−ヨードスクシンイミド(NIS)のような「ポジティブ−ハロゲン」試薬、ならびに過酸化水素およびハロゲン化水素を含んでなる混合物のようなハロゲン化試薬が挙げられる。文献において既知の方法を使用して、RがCl、BrまたはIである式30のイサチンの5位においてハロゲンをシアン化物によって置換することができる。これらの方法としては、通常、金属化合物を利用し、しばしば置換ホスフィンまたは置換ビスホスフィノアルカンのような配位子の存在下でのシアン化物塩の使用が挙げられる。適切な方法としては、P.E.マリグレス(P.E.Maligres)らによってテトラヘドロン レターズ(Tetrahedron Letters)1999、40、8193−8195およびM.ベラー(M.Beller)らによってケミストリー;ア ヨーロピアン ジャーナル(Chem.Eur.J.)2003、9(8)、1828−1836に記載されるようなパラジウムの化合物を利用する方法;S.L.バックワルド(S.L.Buchwald)によってジャーナル オブ ジ アメリカン ケミカル ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)2003、125、2890−2891に記載されるような銅の化合物を利用する方法;ならびに欧州特許第384392号明細書およびK.ササキ(K.Sasaki)によってブレチン オブ ザ ケミカル ソサエティ オブ ジャパン(Bull.Chem.Soc.Japan)2004、77、1013−1019、ならびにR.K.アルベラ(R.K.Arvela)およびN.E.リードビーター(N.E.Leadbeater)によってジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(J.Org.Chem.)2003、68、9122−9125に記載されるようなニッケルの化合物を利用する方法が挙げられる。RがClである場合、シアン化(すなわち、シアン化物によるハロゲンの置換)において選択性を得るため、式27のRは好ましくはBrまたはIであることを当業者は認識するであろう。
【0116】
スキーム14に示されるように、式3のアントラニルアミドは、ニトロ基の触媒水素化、それに続く式33のアントラニル酸エステルとアンモニアまたはアルキルアミンとの反応を通して、式32の相当する2−ニトロ安息香酸(またはエステル)から典型的に入手可能である。
【0117】
【化19】

【0118】
典型的な還元手順としては、エタノールおよびイソプロパノールのようなヒドロキシル溶媒中、炭素上パラジウムまたは酸化白金のような金属触媒の存在下での水素による還元が挙げられる。還元は酢酸中、亜鉛の存在下でも実行可能である。ニトロ基を還元するためのこれらの方法は、化学文献に十分文書化されている。カルボン酸、エステルおよびアミドの相互交換のための多くの方法も化学文献に十分文書化されている。
【0119】
スキーム15に示されるように、式3のアントラニルアミドは、式34の5−未置換アントラニルアミドからハロゲン化によってRがBr、ClまたはIである式3のアントラニルアミドを得、場合により、それに続くシアン化物置換によって式3aのアントラニルアミド(RがCNである式3)を得ることによって入手可能である。
【0120】
【化20】

【0121】
適切な方法および手順は文献において既知であり、そしてスキーム13に示されるハロゲン化およびシアン化物置換に関して記載されるものと同様である。式3のアントラニルアミドの製造の他の段階において、ハロゲン化およびシアン化を実行することも可能であることを当業者は認識するであろう。
【0122】
式2および3の化合物を調製するための上記のいくつかの試薬および反応条件は、中間体に存在する特定の官能基には適合しないであろうことが認識される。これらの例において、合成系中に保護/脱保護配列または官能性の相互転換を組み入れることにより、所望の生成物を得ることが助けられるだろう。保護基の使用および選択は化学合成の当業者に明白であろう(例えば、グリーン,T.W.(Greene,T.W.);ワッツ,P.G.M.(Wuts,P.G.M.) プロテクティブ グループス イン オーガニック シンテシス(Protective Groups in Organic Synthesis),第2版;ウィリー(Wiley):ニューヨーク(New York),1991を参照のこと)。いくつかの場合、いずれかの個々のスキームに記述されたように与えられた試薬の導入後、式2および3の化合物の合成を完了するために、詳細に記載されていない追加の慣例合成工程を実行する必要があることを当業者は認識するだろう。式2および3の化合物を調製するために提案された特定の順序により示されるもの以外の順番で、上記スキームに図示された工程の組み合わせを実行する必要があることも当業者は認識するだろう。置換基を加えるため、または存在する置換基を変性するために、本明細書に記載の式2および3の化合物および中間体に、様々な求電子、求核、ラジカル、有機金属、酸化および還元反応を受けさせることができることも当業者は認識するだろう。
【0123】
さらなる詳細がなくても、前記を使用する当業者は、本発明をその最も十分な範囲まで利用することができると考えられる。従って、以下の実施例は単なる実例として解釈され、かついずれかの様式に本開示を限定するものではない。以下の実施例の工程は、全体的な合成変換における各工程の手順を例示し、そして各工程の出発材料が、その手順が他の実施例または工程に記載される特定の製造実行によって必ずしも製造されるわけではない。パーセントは、クロマトグラフィ溶媒混合物を除き、特記されない限り重量による。クロマトグラフィ溶媒混合物の部およびパーセンテージは、特記されない限り容積による。H NMRスペクトルは、テトラメチルシランからのppm低磁場で報告され、sは一重項であり、dは二重項であり、tは三重項であり、qは四重項であり、mは多重項であり、ddは二重項の二重項であり、dtは三重項の二重項であり、br sは広域一重項である。生成物の定量HPLCは、エース(Ace)C18またはC4 ウルトラ イナート(Ultra Inert)(登録商標)クロマトグラフィーカラム(マックモード アナリティカル インコーポレイテッド(MacMod Analytical Inc.)、ペンシルバニア州、チャドス フォード(Chadds Ford,PA)19317製の逆相カラム)(3μm粒度、4.6mm×15cm、溶出剤5〜80%アセトニトリル/pH3リン酸緩衝液)を使用して実行された。
【実施例】
【0124】
実施例1
2−アミノ−5−クロロ−N,3−ジメチルベンズアミドの製造
アセトニトリル(700mL)中の6−クロロ−8−メチル−2H−3,1−ベンゾオキサジン−2,4(1H)−ジオン(211.6g、1000ミリモル)の懸濁液に酢酸(7.3g、122ミリモル)を添加した。次いで40%メチルアミン水溶液(104mL)を25〜30℃で30分かけて滴下した。撹拌を2時間続け、次いで水(700mL)をゆっくり添加した。得られた懸濁液を5℃まで冷却し、そしてこの温度で30分間撹拌した。次いで懸濁液を濾過し、固体を水(3×200mL)で洗浄し、そして窒素下で乾燥させ、オフホワイト色針状物として表題の化合物を得た。172.8g(87.0%収率)、融点141〜143℃。
【0125】
H NMR(DMSO−d)δ2.08(s,3H)、2.72(d,J=4.5Hz,3H)、6.34(br s,2H)、7.12(d,J=2.4Hz,1H)、7.39(d,J=2.4Hz,1H)、8.31(br d,1H)
【0126】
実施例2
2−アミノ−5−クロロ−3−メチル安息香酸メチルの製造
工程A:2−アミノ−5−クロロ−3−メチル安息香酸の製造
N,N−ジメチルホルムアミド(50mL)中の2−アミノ−3−メチル安息香酸(アルドリッチ(Aldrich)、15.0g、99.2ミリモル)の溶液にN−クロロスクシンイミド(13.3g、99.2ミリモル)を添加し、そして反応混合物を30分間100℃まで加熱した。熱を除去し、そして反応混合物を室温まで冷却し、そして一晩静置させた。次いで反応混合物をゆっくり氷水(250mL)中へ注ぎ入れ、白色固体を沈殿させた。固体を濾過し、そして水で4回洗浄し、次いで酢酸エチル(900mL)中に溶解させた。酢酸エチル溶液を乾燥させ(MgSO)、そして減圧下で蒸発させ、そして残渣固体をエーテルで洗浄し、白色の固体として所望の中間体を得た。13.9g(75.4%収率)。
【0127】
H NMR(DMSO−d)δ2.11(s,3H)、7.22(s,1H)、7.55(s,1H)
【0128】
工程B:2−アミノ−5−クロロ−3−メチル安息香酸メチルの製造
0〜5℃でアセトニトリル(500mL)中の2−アミノ−5−クロロ−3−メチル安息香酸(すなわち、工程Aの生成物)(92.8g、500ミリモル)の懸濁液に1,4−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU、90mL、92g、600ミリモル)を添加し、次いでジメチルスルフェート(57mL、76g、600ミリモル)を、0〜5℃で滴下した。この温度で3時間の撹拌後、追加のDBU(15mL)およびジメチルスルフェート(10mL)を添加した。この温度でさらに3時間の撹拌後、さらなる追加のDBU(15mL)およびジメチルスルフェート(10mL)を添加した。この温度でさらに2時間の撹拌後、濃塩酸(60mL、720ミリモル)を0〜10℃で滴下した。得られた懸濁液を0〜5℃で30分間撹拌し、次いで濾過し、そして固体を氷冷2:1水−アセトニトリル(3×100mL)で洗浄し、そして窒素下で乾燥させた。粗製生成物をメタノール(250mL)中で懸濁させ、水(1000mL)を添加し、そして混合物を1時間室温で撹拌した。次いで固体を濾過し、4:1水−メタノール(100mL)、次いで水(3×100mL)で洗浄し、そして窒素下で乾燥させ、低融点白色固体として表題の化合物を得た。87.6g(87.8%収率)。固体生成物のHPLCによって、表題のエステルの99.7面積%が示された。
【0129】
H NMR(CDCl)δ2.15(s,3H)、3.87(s,3H)、5.82(br s,2H)、7.15(d,J=2.7Hz,1H)、7.74(d,J=2.7Hz,1H)
【0130】
実施例3
2−アミノ−5−クロロ−N,3−ジメチルベンズアミドの製造
アセトニトリル(12.4g)中の2−アミノ−5−クロロ−3−メチル安息香酸メチル(すなわち、実施例2の生成物)(4.03g、20.2ミリモル)の懸濁液にエチレングリコール(12.4g)中のメチルアミン(3.1g、0.10モル)の溶液を添加した。混合物を23時間60℃で加熱し、次いで室温まで冷却した。水(25mL)を滴下し、そして得られたスラリーを5℃まで冷却し、そしてこの温度で10分間撹拌した。混合物を濾過し、そして固体を水(3×10mL)で洗浄し、そして窒素下で乾燥させ、白色針状物として表題の化合物を得た。3.43g(85.5%収率)。
【0131】
実施例4
2−アミノ−5−クロロ−N,3−ジメチルベンズアミドの製造
工程A:2−アミノ−3−メチル安息香酸メチルの製造
3−メチル−2−ニトロ安息香酸メチル(98.5g、505ミリモル)、5%Pd/C(デグッサ(Degussa)CE105XRC/W、1.0g)およびアセトニトリル(300mL)を600mL圧力容器において組み合わせた。混合物を70℃まで加熱し、そして8時間65psi(450kPa)で水素化した。より多くの5%Pd/C(1.0g)を添加し、そして水素化を8.5時間100psi(690kPa)で続けた。次いで反応混合物を冷却し、窒素でパージングし、そしてセライト(Celite)(登録商標)珪藻濾過助剤を通して濾過し、アセトニトリル(3×25mL)ですすいいだ。組み合わせられた濾液は約160gの重量まで部分的に蒸発させ、次いで200gの総重量までアセトニトリルで希釈した。この溶液の定量HPLCによって、40.3重量%の表題の化合物(80.6g、97.5%収率)が示された。
【0132】
工程B:2−アミノ−5−クロロ−3−メチル安息香酸メチルの製造
工程Aで製造された溶液(195g、475ミリモル)をアセトニトリル(50mL)で希釈し、そして50℃まで加熱した。次いでアセトニトリル(100mL)中の塩化スルホニル(70.6g、523ミリモル)の溶液を50〜55℃で3.25時間かけて添加した。添加完了の直後、混合物を5℃まで冷却し、水(150g)を添加し、そして50%水酸化ナトリウム水溶液(103g)をゆっくり添加することによって溶液のpHを6.0に調節した。この温度で10分間撹拌後、有機層を分離し、そして水層をアセトニトリル(50mL)で抽出した。有機層を組み合わせ、乾燥させ(MgSO)、そして193.7gの重量まで部分的に蒸発させた。この溶液の定量HPLCによって、41.5重量%の表題の化合物(80.4g、84.8%収率)が示された。
【0133】
工程C:2−アミノ−5−クロロ−N,3−ジメチルベンズアミドの製造
工程Bで製造された溶液(96.2g、200ミリモル)をアセトニトリル(60.0g)およびエチレングリコール(180g)で希釈し、そしてクライゼン蒸留ヘッド下、大気圧で共沸蒸留によって乾燥させ、約72mLの揮発性物質を除去した。次いで蒸留ヘッドをドライアイス冷却凝縮器と交換し、残留溶液を0〜5℃まで冷却し、そしてメチルアミンガス(31.1g、1000ミリモル)を反応混合物の表面下で添加した。混合物を17.5時間70℃で加熱し、次いで水(400mL)をゆっくり添加し、生成物を沈殿させた。混合物を5℃までゆっくり冷却し、この温度で15分間撹拌し、濾過し、そして固体を水で洗浄し、そして窒素下で乾燥させ、対象化合物を得た(36.36g、91.5%収率)。HPLCによって99.3面積%純度が示された。
【0134】
実施例5
2−アミノ−5−クロロ−N,3−ジメチルベンズアミドの製造
工程A:2−アミノ−N,3−ジメチルベンズアミドの製造
酢酸エチル(200mL)中の8−メチル−2H−3,1−ベンゾオキサジン−2,4(1H)−ジオン(国際公開第00/27831号パンフレット)(18g、0.1モル)および酢酸(1.2g、0.02モル)の混合物を35℃まで加温し、そしてメチルアミン水溶液(40%、9.0g、0.12モル)を35〜37℃で50分かけて滴下した。次いでより多くのメチルアミン水溶液(40%、0.9g、12ミリモル)を添加し、そして混合物をさらに2.5時間36℃で撹拌した。次いで水(20mL)を添加し、層を分離させ、そして有機層を水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、そして蒸発させ、表題の化合物を得た。15.45g(92%)。
【0135】
H NMR(CDCl)δ2.14(s,3H)、2.94(d,3H,J=5Hz)、5.37(br s,2H)、6.21(br s,1H)、6.56(t,J=7.5Hz,1H)、7.10(dd,J=7.5Hz,7.5Hz,1H)、7.18(dd,J=7.5Hz,7.5Hz,1H)
【0136】
工程B:2−アミノ−5−クロロ−N,3−ジメチルベンズアミドの製造
2−アミノ−N,3−ジメチルベンズアミド(すなわち、工程Aの生成物)(16.6g、100ミリモル)およびN,N−ジメチルホルムアミド(15.0g)の混合物を10℃まで冷却し、そして濃塩酸(70g、700ミリモル)をゆっくり添加した。次いで混合物を30℃まで加熱し、そして30%過酸化水素水溶液(18.5g、160ミリモル)を30〜35℃で15分かけて滴下した。3時間、約35℃で撹拌後、混合物を約10℃まで冷却し、次いで水(200mL)を添加した。亜硫酸ナトリウム(7.56g、60ミリモル)を添加し、次いで50%水酸化ナトリウム水溶液(38.1g)をゆっくり添加することによってpHを2.2に調節した。15分間10℃で撹拌後、混合物を濾過し、そして固体を水(2×50mL)で洗浄し、そして真空オーブンにおいて乾燥させ、ピンク色固体として表題の化合物を得た。14.61g(72.7%収率)。固体生成物の定量HPLCによって、99.1重量%の表題の化合物が示された。
【0137】
実施例6
2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミドの製造
工程A:2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミドの製造
2−アミノ−N,3−ジメチルベンズアミド(すなわち、実施例5の工程Aの生成物)(14g、85ミリモル)、酢酸(50mL)および水(50mL)の混合物を12℃まで冷却し、そして濃臭化水素酸(28.5g、0.34モル)をこの温度で10分間かけて添加した。次いで30%過酸化水素水溶液(9g、0.08モル)を10〜11℃で5分間かけて添加し、そして2.5時間、撹拌しながら、混合物をゆっくり室温まで加温した。次いでより多くの濃臭化水素酸(2.9g)を添加し、そして混合物を室温で一晩撹拌した。次いでこの混合物に水(50mL)および亜硫酸水素ナトリウム(1.5g)を添加し、次いで50%水酸化ナトリウム水溶液(約15mL)の添加によってpHを5〜6に調節した。混合物を濾過し、そして固体を水で洗浄し、そして真空下で乾燥させ、表題の化合物を得た。19.5g(94%)。
【0138】
H NMR(CDCl)δ2.14(s,3H)、2.95(d,J=5Hz,3H)、5.55(br s,2H)、6.01(br s,1H)、7.21(m,1H)、7.30(d,J=2Hz,1H)
【0139】
工程B:2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミドの製造
乾燥窒素でパージングされたフラスコに、酢酸パラジウム(II)(370mg、1.64ミリモル)、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(850mg、2ミリモル)、活性化亜鉛粉末(500mg、7.64ミリモル)、シアン化亜鉛(II)(51g、434ミリモル)および2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミド(すなわち、工程Aの生成物)(200g、820ミリモル)を充填した。次いで新たに脱気されたN,N−ジメチルホルムアミド(500mL)を添加し、そして混合物を25.5時間130℃で加熱した。次いで温度を95℃まで低下させ、そして酢酸(200mL)を添加した。室温まで冷却しながら、混合物を窒素でスパージングし、水酸化ナトリウムおよび次亜塩素酸ナトリウム水溶液で充填されたスクラバーを通してシアン化水素を除去した。次いで水(1500mL)を1.5時間かけて添加し、そして窒素スパージングを一晩続けた。次いで混合物を濾過し、そして固体を水で洗浄し、そして真空オーブンで乾燥させ、綿毛状淡黄色固体として表題の化合物を得た。141.5g(90.9%収率)。
【0140】
H NMR(CDCl)δ2.16(s,3H)、2.98(d,J=4.8Hz,3H)、6.17(br s,3H)、7.34(d,J=1.8Hz,1H)、7.56(d,J=1.8Hz,1H)
【0141】
実施例7
3−ブロモ−N−[4−クロロ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの製造
アセトニトリル(35mL)中の3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸(製造に関しては国際公開第03/015519号パンフレットを参照のこと)(93.6%純度、16.16g、50.0ミリモル)および2−アミノ−5−クロロ−N,3−ジメチルベンズアミド(すなわち、実施例1、3、4および5の生成物)(10.43g、52.5ミリモル)の混合物に、3−ピコリン(12.65mL、12.11g、130ミリモル)を添加した。混合物を−5℃まで冷却し、次いでアセトニトリル(10mL)中の塩化メタンスルホニル(4.64mL、6.89g、60ミリモル)の溶液を−5〜0℃で滴下した。混合物をこの温度で15分間、次いで室温で3時間撹拌した。次いで水(15mL)を滴下し、そして混合物を1時間0℃まで冷却した。混合物を濾過し、そして固体を3:1アセトニトリル−水(2×10mL)、次いでアセトニトリル(2×10mL)で洗浄し、そして窒素下で乾燥させ、淡褐色粉末として表題の化合物を得た。23.98g(92.9%未補正収率)、融点239〜240℃。
【0142】
H NMR(CDCl)δ2.18(s,3H)、2.95(s,3H)、6.21(m,1H)、7.10(s,1H)、7.24(m,2H)、7.39(m, 1H)、7.80(d,1H)、8.45(d,1H)
【0143】
実施例8
塩基としてピリジンを使用する3−ブロモ−N−[4−クロロ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの製造
アセトニトリル(18mL)中の3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸(製造に関しては国際公開第03/015519号パンフレットを参照のこと)(6.05g、20.0ミリモル)および2−アミノ−5−クロロ−N,3−ジメチルベンズアミド(すなわち、実施例1、3、4および5の生成物)(4.17g、21.0ミリモル)の混合物にピリジン(4.20mL、4.11g、52ミリモル)を添加した。混合物を−5℃まで冷却し、次いで塩化メタンスルホニル(1.86mL、2.75g、24ミリモル)を−5〜0℃で滴下した。混合物をこの温度で1時間、次いで室温で3時間撹拌した。次いで水(6mL)を滴下し、そして混合物を室温で1時間撹拌した。混合物を濾過し、そして固体を3:1アセトニトリル−水(2×4mL)、次いでアセトニトリル(2×4mL)で洗浄し、そして窒素下で乾燥させ、オフホワイト色粉末として表題の化合物を得た。9.35g(96.8%未補正収率)。
【0144】
実施例9
塩基として「混合ピコリン」を使用する3−ブロモ−N−[4−クロロ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの製造
アセトニトリル(18mL)中の3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸(製造に関しては国際公開第03/015519号パンフレットを参照のこと)(6.05g、20.0ミリモル)および2−アミノ−5−クロロ−N,3−ジメチルベンズアミド(すなわち、実施例1、3、4および5の生成物)(4.17g、21.0ミリモル)の混合物に、3−ピコリン(2.53mL、2.42g、26ミリモル)、続いて4−ピコリン(2.53mL、2.42g、26ミリモル)を添加した。4−ピコリン添加の後、混合物はより濃厚になった。混合物を−5℃まで冷却し、次いで塩化メタンスルホニル(1.86mL、2.75g、24ミリモル)を−5〜0℃で滴下した。混合物を0〜5℃で2時間撹拌した。次いで水(6mL)を滴下し、そして混合物を0℃で1時間撹拌した。混合物を濾過し、そして固体を3:1アセトニトリル−水(2×4mL)、次いでアセトニトリル(2×4mL)で洗浄し、そして窒素下で乾燥させ、黄色粉末として表題の化合物を得た。9.15g(94.7%未補正収率)。
【0145】
実施例10
アセトン中での3−ブロモ−N−[4−クロロ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの製造
アセトン(18mL)中の3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸(製造に関しては国際公開第03/015519号パンフレットを参照のこと)(6.05g、20.0ミリモル)および2−アミノ−5−クロロ−N,3−ジメチルベンズアミド(すなわち、実施例1、3、4および5の生成物)(4.17g、21.0ミリモル)の混合物に、3−ピコリン(5.06mL、4.84g、52ミリモル)を添加した。混合物を−5℃まで冷却し、次いで塩化メタンスルホニル(1.86mL、2.75g、24ミリモル)を−5〜0℃で滴下した。混合物を0〜5℃で3時間撹拌した。次いで水(9mL)を滴下し、そして混合物を0℃で1時間撹拌した。混合物を濾過し、そして固体を氷冷2:1アセトン−水(2×4mL)で洗浄し、そして窒素下で乾燥させ、ほぼ白色の粉末として表題の化合物を得た。9.32g(96.4%未補正収率)。
【0146】
実施例11
テトラヒドロフラン中での3−ブロモ−N−[4−クロロ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの製造
テトラヒドロフラン(THF、18mL)中の3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸(製造に関しては国際公開第03/015519号パンフレットを参照のこと)(6.05g、20.0ミリモル)および2−アミノ−5−クロロ−N,3−ジメチルベンズアミド(実施例1、3、4および5の生成物)(4.17g、21.0ミリモル)の混合物に、3−ピコリン(5.06mL、4.84g、52ミリモル)を添加した。混合物を−5℃まで冷却し、次いで塩化メタンスルホニル(1.86mL、2.75g、24ミリモル)を−5〜0℃で滴下した。混合物を0〜5℃で3時間撹拌した。次いで水(9mL)を滴下し、そして混合物を0℃で1時間撹拌した。混合物を濾過し、そして固体を氷冷2:1THF−水(2×4mL)で洗浄し、そして窒素下で乾燥させ、ほぼ白色の粉末として表題の化合物を得た。6.93g(71.7%未補正収率)。
【0147】
実施例12
ジクロロメタン中での3−ブロモ−N−[4−クロロ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの製造
ジクロロメタン(18mL)中の3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸(製造に関しては国際公開第03/015519号パンフレットを参照のこと)(6.05g、20.0ミリモル)および2−アミノ−5−クロロ−N,3−ジメチルベンズアミド(すなわち、実施例1、3、4および5の生成物)(4.17g、21.0ミリモル)の混合物に、3−ピコリン(5.06mL、4.84g、52ミリモル)を添加した。混合物を−5℃まで冷却し、次いで塩化メタンスルホニル(1.86mL、2.75g、24ミリモル)を−5〜0℃で滴下した。混合物を0〜5℃で3時間撹拌した。次いで水(9mL)を滴下した。より多くのジクロロメタン(18mL)を滴下し、濃厚な懸濁液を撹拌し、そして混合物を0℃で1時間撹拌した。混合物を濾過し、そして固体を氷冷2:1ジクロロメタン−水(2×4.5mL)で洗浄し、そして窒素下で乾燥させ、ほぼ白色の粉末として表題の化合物を得た。8.86g(91.7%未補正収率)。
【0148】
実施例13
プロピオニトリル中での3−ブロモ−N−[4−クロロ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの製造
プロピオニトリル(18mL)中の3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸(製造に関しては国際公開第03/015519号パンフレットを参照のこと)(6.05g、20.0ミリモル)および2−アミノ−5−クロロ−N,3−ジメチルベンズアミド(すなわち、実施例1、3、4および5の生成物)(4.17g、21.0ミリモル)の混合物に、3−ピコリン(5.06mL、4.84g、52ミリモル)を添加した。混合物を−5℃まで冷却し、次いで塩化メタンスルホニル(1.86mL、2.75g、24ミリモル)を−5〜0℃で滴下した。混合物を0〜5℃で1時間、次いで室温で3時間撹拌した。次いで水(9mL)を滴下し、そして混合物を室温で1時間撹拌した。混合物を濾過し、そして固体を3:1プロピオニトリル−水(2×4mL)、次いでプロピオニトリル(2×4mL)で洗浄し、そして窒素下で乾燥させ、ほぼ白色の粉末として表題の化合物を得た。9.37g(97.0%未補正収率)。
【0149】
実施例14
メチルエチルケトン中での3−ブロモ−N−[4−クロロ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの製造
メチルエチルケトン(MEK、18mL)中の3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸(製造に関しては国際公開第03/015519号パンフレットを参照のこと)(6.05g、20.0ミリモル)および2−アミノ−5−クロロ−N,3−ジメチルベンズアミド(実施例1、3、4および5の生成物)(4.17g、21.0ミリモル)の混合物に、3−ピコリン(5.06mL、4.84g、52ミリモル)を添加した。混合物を−5℃まで冷却し、次いで塩化メタンスルホニル(1.86mL、2.75g、24ミリモル)を−5〜0℃で滴下した。混合物を0〜5℃で3時間撹拌した。次いで水(9mL)を滴下し、そして混合物を室温で1時間撹拌した。混合物を濾過し、そして固体を3:1MEK−水(2×4mL)、次いでMEK(2×4mL)で洗浄し、そして窒素下で乾燥させ、ほぼ白色の粉末として表題の化合物を得た。9.27g(95.9%未補正収率)。
【0150】
実施例15
3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−N−[4−シアノ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの製造
アセトニトリル(120mL)中の3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸(製造に関しては国際公開第03/015519号パンフレットを参照のこと)(95.4%純度、15.85g、50.0ミリモル)および2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミド(すなわち、実施例6の生成物)(9.93g、52.5ミリモル)の混合物に、3−ピコリン(17.5mL、16.7g、180ミリモル)を添加した。混合物を−10℃まで冷却し、次いで塩化メタンスルホニル(5.4mL、8.0g、70ミリモル)の溶液を−10〜−5℃で滴下した。混合物をこの温度で5分間、次いで0〜5℃で3時間撹拌した。次いで水(55mL)を滴下した。混合物を15分間撹拌し、次いで濃塩酸(5.0mL、60ミリモル)を滴下し、そして混合物を0〜5℃で1時間撹拌した。次いで混合物を濾過し、そして固体を2:1アセトニトリル−水(2×10mL)、次いでアセトニトリル(2×10mL)で洗浄し、そして窒素下で乾燥させ、オフホワイト色粉末として表題の化合物を得た。24.70g(99.5%未補正収率)、融点177〜181℃(分解)。
【0151】
1−プロパノール(50mL)からの粗製生成物(5.00g)の結晶化によって、白色結晶として表題の化合物が得られた。4.44g(88.8%回収)、融点217〜219℃。
【0152】
H NMR(DMSO−d)δ2.21(s,3H)、2.67(d,J=4.8Hz,3H)、7.41(s,1H)、7.60(m,1H)、7.76(d,J=1.8Hz,1H)、7.87(d,J=1.8Hz,1H)、8.16(dd,1H)、8.36(m, 1H)、8.49(dd,1H)
【0153】
実施例16
塩基としてピリジンを使用する3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−N−[4−シアノ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの製造
アセトニトリル(120mL)中の3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸(製造に関しては国際公開第03/015519号パンフレットを参照のこと)(95.4%純度、15.85g、50.0ミリモル)および2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミド(実施例6の生成物)(9.93g、52.5ミリモル)の混合物に、ピリジン(14.6mL、14.3g、180ミリモル)を添加した。混合物を−10℃まで冷却し、次いで塩化メタンスルホニル(5.4mL、8.0g、70ミリモル)の溶液を−10〜−5℃で滴下した。混合物をこの温度で5分間、次いで0〜5℃で3時間撹拌した。次いで混合物を室温まで加温し、そして水(85mL)を滴下した混合物を15分間撹拌し、次いで濃塩酸(5.0mL、60ミリモル)を滴下し、そして混合物を1時間撹拌した。次いで混合物を濾過し、そして固体を4:3アセトニトリル−水(2×10mL)、次いでアセトニトリル(2×10mL)で洗浄し、そして窒素下で乾燥させ、オフホワイト色粉末として表題の化合物を得た。24.29g(97.9%未補正収率)。
【0154】
実施例17
塩基として2−ピコリンを使用する3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−N−[4−シアノ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの製造
アセトニトリル(120mL)中の3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸(製造に関しては国際公開第03/015519号パンフレットを参照のこと)(96.7%純度、15.64g、50.0ミリモル)および2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミド(すなわち、実施例6の生成物)(9.93g、52.5ミリモル)の混合物に、2−ピコリン(17.8mL、16.8g、180ミリモル)を添加した。混合物を−10℃まで冷却し、次いで塩化メタンスルホニル(5.4mL、8.0g、70ミリモル)の溶液を−10〜−5℃で滴下した。混合物をこの温度で5分間、次いで0〜5℃で3時間、次いで室温で18時間撹拌した。次いで水(25mL)を滴下した混合物を15分間撹拌し、次いで濃塩酸(5.0mL、60ミリモル)を滴下し、そして混合物を1時間撹拌した。次いで混合物を濾過し、そして固体を4:1アセトニトリル−水(2×10mL)、次いでアセトニトリル(2×10mL)で洗浄し、そして窒素下で乾燥させ、オフホワイト色粉末として表題の化合物を得た。22.52g(92.0%未補正収率)。
【0155】
実施例18
塩基として2,6−ルチジンを使用する3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−N−[4−シアノ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの製造
アセトニトリル(120mL)中の3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸(製造に関しては国際公開第03/015519号パンフレットを参照のこと)(97.6%純度、15.50g、50.0ミリモル)および2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミド(すなわち、実施例6の生成物)(9.93g、52.5ミリモル)の混合物に、2,6−ルチジン(21.0mL、19.3g、180ミリモル)を添加した。混合物を−10℃まで冷却し、次いで塩化メタンスルホニル(5.4mL、8.0g、70ミリモル)の溶液を−10〜−5℃で滴下した。混合物をこの温度で5分間、次いで0〜5℃で1時間、次いで室温で1時間撹拌した。反応マスのNMR分析によって、表題の化合物はほとんど存在しないことが示されたが、10.3%の環化誘導体が形成されていた。追加の2,6−ルチジン(11.7mL、10.8g、100ミリモル)および塩化メタンスルホニル(3.9mL、5.8g、50ミリモル)を添加し、そして混合物を室温で22時間撹拌した。反応マスのNMR分析によって、9.6%の表題の化合物および89.8%の環化誘導体が形成されたことが示された。水(55mL)を滴下した混合物を15分間撹拌し、次いで濃塩酸(5.0mL、60ミリモル)を滴下し、そして混合物を1時間撹拌した。次いで混合物を濾過し、そして固体を2:1アセトニトリル−水(2×10mL)、次いでアセトニトリル(2×10mL)で洗浄し、そして窒素下で乾燥させ、淡黄色粉末を得た。21.92g。この固体をアセトニトリル(60mL)中に懸濁させ、そして水(10mL)および塩酸(1N、10mL)を添加し、そして混合物を室温で30分間撹拌した。次いで混合物を濾過し、そして固体を3:1アセトニトリル−水(2×10mL)、次いでアセトニトリル(2×10mL)で洗浄し、そして真空オーブン中で乾燥させ、オフホワイト色粉末として表題の化合物を得た。20.72g(85.4%未補正収率)。
【0156】
実施例19
アセトン中での3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−N−[4−シアノ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの製造
アセトン(120mL)中の3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸(製造に関しては国際公開第03/015519号パンフレットを参照のこと)(97.6%純度、15.50g、50.0ミリモル)および2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミド(すなわち、実施例6の生成物)(9.93g、52.5ミリモル)の混合物に、3−ピコリン(17.5mL、16.7g、180ミリモル)を添加した。混合物を−10℃まで冷却し、次いで塩化メタンスルホニル(5.4mL、8.0g、70ミリモル)の溶液を−10〜−5℃で滴下した。混合物をこの温度で5分間、次いで0〜5℃で3時間撹拌した。次いで水(55mL)を滴下した。混合物を15分間撹拌し、次いで濃塩酸(5.0mL、60ミリモル)を滴下し、そして混合物を0〜5℃で1時間撹拌した。次いで混合物を濾過し、そして固体を2:1アセトン−水(3×10mL)で洗浄し、そして窒素下で乾燥させ、オフホワイト色粉末として表題の化合物を得た。24.07g(99.2%未補正収率)。この固体のカール フィッシャー(Karl Fisher)滴定(KFT)によって、5.5重量%の水が含まれることが示された。固体の部分(23.35g)を真空オーブン中で乾燥させ、オフホワイト色粉末として表題の化合物を得た。22.16g、ただしKFTによると0.76重量%の水が含まれる。
【0157】
実施例20
プロピオニトリル中での3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−N−[4−シアノ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの製造
プロピオニトリル(120mL)中の3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸(製造に関しては国際公開第03/015519号パンフレットを参照のこと)(97.6%純度、15.50g、50.0ミリモル)および2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミド(実施例6の生成物)(9.93g、52.5ミリモル)の混合物に、3−ピコリン(17.5mL、16.7g、180ミリモル)を添加した。混合物を−10℃まで冷却し、次いで塩化メタンスルホニル(5.4mL、8.0g、70ミリモル)の溶液を−10〜−5℃で滴下した。混合物をこの温度で5分間、次いで0〜5℃で4時間撹拌した。次いで水(55mL)を滴下した。混合物を15分間撹拌し、次いで濃塩酸(5.0mL、60ミリモル)を滴下し、そして混合物を0〜5℃で1時間撹拌した。次いで混合物を濾過し、そして固体を2:1プロピオニトリル−水(2×10mL)、次いでプロピオニトリル(2×10mL)で洗浄し、そして窒素下で乾燥させ、オフホワイト色粉末として表題の化合物を得た。21.85g(90.1%未補正収率)この固体のカール フィッシャー(Karl Fisher)滴定(KFT)によって、5.4重量%の水が含まれることが示された。固体の部分(21.03g)を真空オーブン中で乾燥させ、オフホワイト色粉末として表題の化合物を得た。20.07g、ただしKFTによると0.9重量%の水が含まれる。
【0158】
表中、以下の略号を使用する:tは第三級を意味し、sは第二級を意味し、nはノルマルを意味し、iはイソを意味し、Meはメチルを意味し、Etはエチルを意味し、Prはプロピルを意味し、i−Prはイソプロピルを意味し、そしてBuはブチルを意味する。当該分野において既知の方法と一緒に本明細書に記載の手順によって、以下の表1の化合物を本発明の方法において製造および使用することができる。
【0159】
【表1】

【0160】
表2は、本発明の方法に従って式1の化合物を製造するための特定の変換を説明する。
【0161】
【表2】

【0162】
【表3】

【0163】
【表4】

【0164】
【表5】

【0165】
【表6】

【0166】
【表7】

【0167】
【表8】

【0168】
【表9】

【0169】
【表10】

【0170】
【表11】

【0171】
【表12】

【0172】
【表13】

【0173】
【表14】

【0174】
【表15】

【0175】
【表16】

【0176】
【表17】

【0177】
【表18】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1
【化1】


[式中、
はCHまたはClであり;
はBr、Cl、IまたはCNであり;
はHまたはC〜Cアルキルであり;
はCl、Br、CF、OCFHまたはOCHCFであり;
はF、ClまたはBrであり;
はH、FまたはClであり;
ZはCRまたはNであり;そして
はH、F、ClまたはBrである]
の化合物の製造法であって;
(1)式2
【化2】


のカルボン酸化合物と、
(2)式3
【化3】


のアニリン化合物と、
(3)塩化スルホニルと
を組み合わせて式1の化合物を形成せしめることを含んでなる方法。
【請求項2】
塩化スルホニルが式4
【化4】


[式中、RはC〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、または場合によりハロゲン、C〜Cアルキルおよびニトロよりなる群から選択される1〜3個の置換基によって置換されていてもよいフェニルである]
で表される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
塩化スルホニルが塩化メタンスルホニルである請求項2に記載の方法。
【請求項4】
式2のカルボン酸を式3のアニリンと組み合わせて混合物を形成せしめ、次いで該混合物を塩化スルホニルと組み合わせる請求項1に記載の方法。
【請求項5】
塩化スルホニルと組み合わせる前に、塩基を式2および3の化合物と組み合わせて混合物を形成せしめる請求項4に記載の方法。
【請求項6】
塩基が第三級アミンから選択される請求項5に記載の方法。
【請求項7】
塩基が場合により置換されていてもよいピリジンから選択される請求項6に記載の方法。
【請求項8】
塩基が2−ピコリン、3−ピコリン、2,6−ルチジンおよびピリジンから選択される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
塩化スルホニルが式4
【化5】


[式中、RはC〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、または場合によりハロゲン、C〜Cアルキルおよびニトロよりなる群から選択される1〜3個の置換基によって置換されていてもよいフェニルである]
で表される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
溶媒を式2および3の化合物ならびに塩化スルホニルと組み合わせる請求項1または4に記載の方法。
【請求項11】
溶媒がアセトニトリルである請求項10に記載の方法。
【請求項12】
式3
【化6】


[式中、
はCHまたはClであり;
はBr、Cl、IまたはCNであり;そして
はHまたはC〜Cアルキルである;
ただし、
(a)RおよびRがClである場合、RはH、CHCHまたはCH(CH)CHCH以外であり;
(b)RがCHであり、RがCl、BrまたはCNである場合、RはCHまたはCH(CH以外であり;
(c)RがClであり、RがClまたはBrである場合、RはCHまたはCH(CH以外であり;そして
(d)RがCHであり、RがCNである場合、RはH以外である]
の化合物。

【公表番号】特表2008−523069(P2008−523069A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545568(P2007−545568)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/044131
【国際公開番号】WO2006/062978
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】