説明

N−(置換または無置換)シクロアルキル−2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチルアミン誘導体及び農園芸用病害防除剤。

【課題】N−(置換または無置換)シクロアルキル−2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチルアミン誘導体およびその酸付加塩、その製造法およびこれを含有する農園芸用病害防除剤を提供する。
【解決手段】式(I)のN−(置換または無置換)シクロアルキル−2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチルアミン誘導体は新規化合物であって、農園芸用病害防除剤の有効成分として利用できる。(式中、Rは、水素原子またはC〜Cアルキル基を示し、mは、1〜3の整数を示す。Aは、水素原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基等を示す。具体例としては2,6−ジクロロ−N−(2−メトキシカルボニルシクロペンチル)−4−ピリジルメチルアミンが挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N−(置換または無置換)シクロアルキル−2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチルアミン誘導体およびその酸付加塩、その製造方法、および、N−(置換または無置換)シクロアルキル−2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチルアミン誘導体およびその酸付加塩を有効成分として含有する農園芸用病害防除剤に関する。
【背景技術】
【0002】
イソニコチン酸誘導体に関する農業用殺菌剤としては、例えば、2,6−ジハロゲン化イソニコチン酸エステル誘導体および2,6−ジクロロイソニコチン酸ベンジルアミド誘導体が知られている。
【特許文献1】特開平1−283270号公報
【特許文献2】特開平8−208615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来から、人畜に対する毒性が低く、取り扱い上での安全性が高く、且つ広汎な植物病害に対して優れた防除効果を示す農園芸用病害防除剤に対する要望が高い。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、従来の上記のような要望にこたえることを課題としてなされたものである。従って、本発明の目的は、優れた防除効果を示す新規な化合物、その製造方法、また、その化合物を有効成分とする新規な農園芸用病害防除剤を提供するものである。
【0005】
本発明者等は産業上有用な、新規な2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチルアミン誘導体を見出すことを課題として種々研究を重ねた結果、新規な化合物であるN−(置換または無置換)シクロアルキル−2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチルアミン誘導体およびその酸付加塩が農園芸用病害防除剤として高い効果を有することを見出し、本発明の完成に至った。
【0006】
本発明の第1の要旨は、下記の一般式(I)で表されるN−(置換または無置換)シクロアルキル−2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチルアミン誘導体およびその酸付加塩に存する。
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、Rは、水素原子またはC〜Cアルキル基を示し、mは、1〜3の整数を示す。Aは、水素原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜Cアラルキル基(アルキル部分の炭素数は1〜3である)、フェニル基、COORまたはCONHR(Rは水素原子、C〜Cアルキル基を示す)を示し、これらの基は、無置換またはXで置換されていてもよい。Xは、XもしくはXを示す。AがC〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基またはC〜Cアルキニル基の時、XはXであり、且つ、Xは、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルキルスルフィニル基、C〜Cアルキルスルホニル基、ハロゲン原子またはシアノ基を示す。AがC〜Cアラルキル基(アルキル部分の炭素数は1〜3である)またはフェニル基の時、XはXであり、且つ、Xは、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルキルスルフィニル基、C〜Cアルキルスルホニル基、C〜Cハロアルキル基、C〜Cハロアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基またはフェニル基を示す。nは0〜7の整数を示し、nが2以上の時、Xは同一又は異なっていてもよい)
【0009】
本発明の第2の要旨は、下記の一般式(II)で表されるカルボニル誘導体と一般式(III)で表される2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチルアミン誘導体とを還元剤を用いて還元的アミノ化反応を行なうことを特徴とする一般式(I)で表されるN−(置換または無置換)シクロアルキル−2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチルアミン誘導体の製造方法に存する。
【0010】
【化2】

【0011】
(式中、Rは、水素原子またはC〜Cアルキル基を示し、mは1〜3の整数を示す。Aは、水素原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜Cアラルキル基(アルキル部分の炭素数は1〜3である)、フェニル基、COORまたはCONHR(Rは、水素原子、C〜Cアルキル基を示す)を示し、これらの基は無置換またはXで置換されていてもよい。Xは、XもしくはXを示す。AがC〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基またはC〜Cアルキニル基の時、XはXであり、且つ、Xは、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルキルスルフィニル基、C〜Cアルキルスルホニル基、ハロゲン原子またはシアノ基を示す。AがC〜Cアラルキル基(アルキル部分の炭素数は1〜3である)またはフェニル基の時、XはXであり、且つ、Xは、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルキルスルフィニル基、C〜Cアルキルスルホニル基、C〜Cハロアルキル基、C〜Cハロアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基またはフェニル基を示す。nは0〜7の整数を示し、nが2以上の時、Xは同一又は異なっていてもよい)
【0012】
本発明の第3の要旨は、下記の一般式(I)で表されるN−(置換または無置換)シクロアルキル−2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチルアミン誘導体およびその酸付加塩を有効成分として含有する農園芸用病害防除剤に存する。
【0013】
【化3】

【0014】
(式中、Rは、水素原子またはC〜Cアルキル基を示し、mは1〜3の整数を示す。Aは、水素原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜Cアラルキル基(アルキル部分の炭素数は1〜3である)、フェニル基、COORまたはCONHR(Rは、水素原子、C〜Cアルキル基を示す)を示し、これらの基は、無置換またはXで置換されていてもよい。Xは、XもしくはXを示す。AがC〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基またはC〜Cアルキニル基の時、XはXであり、且つ、Xは、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルキルスルフィニル基、C〜Cアルキルスルホニル基、ハロゲン原子またはシアノ基を示す。AがC〜Cアラルキル基(アルキル部分の炭素数は1〜3である)またはフェニル基の時、XはXであり、且つ、Xは、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルキルスルフィニル基、C〜Cアルキルスルホニル基、C〜Cハロアルキル基、C〜Cハロアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基またはフェニル基を示す。nは0〜7の整数を示し、nが2以上の時、Xは同一又は異なっていてもよい。)
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、式(I)で示されるN−(置換または無置換)シクロアルキル−2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチルアミン誘導体およびその酸付加塩は、農園芸用病害防除剤の有効成分として利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明のN−(置換または無置換)シクロアルキル−2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチルアミン誘導体(I)(以下、「本発明化合物」と略称することがある)の置換基(R、m、A、X、n)の定義の内、上位概念で示した置換基には、次のような好ましい置換基が包含される。
【0017】
Rは水素原子またはC〜Cアルキル基を示し、そして、RのC〜Cアルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。
【0018】
mは1〜3の整数を示す。
【0019】
Aは、水素原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜Cアラルキル基(アルキル部分の炭素数は1〜3である)、フェニル基、COORまたはCONHR(Rは、水素原子またはC〜Cのアルキル基を示す)を示し、そして、AのC〜Cアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられ、AのC〜Cアルケニル基としては、エテニル基、2−ブテニル基、2−プロペニル基、1,3−ブタンジエニル基などが挙げられ、AのC〜Cアルキニル基としては、エチニル基、2−プロピニル基、1−ブテン−3−イニル基、2−ブテン−4−イニル基などが挙げられ、AのC〜Cアラルキル基(アルキル部分の炭素数は1〜3である)としては、フェニルメチル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基などが挙げられる。AのCOORおよびCONHR(Rは、水素原子またはC〜Cアルキル基を示し、そして、RのC〜Cアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基などが挙げられる。)としては、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、カルバモイル基、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基などが挙げられる。
【0020】
Xは、XもしくはXを示し、Xは、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルキルスルフィニル基、C〜Cアルキルスルホニル基、ハロゲン原子またはシアノ基を示し、そして、Xとして、次のような具体的な置換基を挙げることができる。
【0021】
XのC〜Cシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられ、XのC〜Cアルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基などが挙げられ、XのC〜Cアルキルチオ基としてはメチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基などが挙げられ、XのC〜Cアルキルスルフィニル基としては、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、n−プロピルスルフィニル基などが挙げられ、XのC〜Cアルキルスルホニル基としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n−プロピルスルホニル基などが挙げられ、Xのハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。
【0022】
Xは、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルキルスルフィニル基、C〜Cアルキルスルホニル基、C〜Cハロアルキル基、C〜Cハロアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基またはフェニル基を示し、Xとして、次のような具体的な置換基を挙げることができる。
【0023】
XのC〜Cアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられ、XのC〜Cアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基などが挙げられ、XのC〜Cアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基などが挙げられ、XのC〜Cアルキルスルフィニル基としては、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、n−プロピルスルフィニル基などが挙げられ、XのC〜Cアルキルスルホニル基としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n−プロピルスルホニル基などが挙げられ、XのC〜Cハロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基などが挙げられ、XのC〜Cハロアルコキシ基としては、トリフルオロメトキシ基、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基などが挙げられ、Xのハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。
【0024】
nは0(未置換であることを意味する)〜7の整数を示し、nが2以上の時、Xは同一、又は異なっていてもよい。
【0025】
Xで置換されたAとして、次のような具体的な置換基を挙げることができる。
【0026】
XがC〜Cシクロアルキル基の場合:
シクロプロピルメチル基、シクロプロピルエチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基などのC〜Cシクロアルキル置換C〜Cアルキル基、エテニルシクロプロピル基、2−ブテニルシクロプロピル基などのC〜Cシクロアルキル置換C〜Cアルケニル基、2−エチニルシクロプロピル基などのC3〜Cシクロアルキル置換C〜Cアルキニル基が挙げられる。
【0027】
Xがアルコキシ基の場合:
メトキシメチル基、エトキシメチル基、2−(メトキシ)エチル基、2−(エトキシ)エチル基などのC〜Cアルコキシ置換C〜Cアルキル基、2−(メトキシ)エテニル基、2−(エトキシ)エテニル基などのC〜Cアルコキシ置換C〜Cアルケニル基、2−(メトキシ)エチニル基、2−(エトキシ)エチニル基などのC〜Cアルコキシ置換C〜Cアルキニル基が挙げられる。
【0028】
Xがアルキルチオ基の場合:
(メチルチオ)メチル基、(エチルチオ)メチル基、2−(メチルチオ)エチル基、2−(エチルチオ)エチル基などのC〜Cアルキルチオ置換C〜Cアルキル基、2−(メチルチオ)エテニル基、2−(エチルチオ)エテニル基などのC〜Cアルキルチオ置換C〜Cアルケニル基、2−(メチルチオ)エチニル基、2−(エチルチオ)エチニル基などのC〜Cアルキルチオ置換C〜Cアルキニル基が挙げられる。
【0029】
Xがアルキルスルフィニル基の場合:
(メチルスルフィニル)メチル基、(エチルスルフィニル)メチル基、2−メチルスルフィニル)エチル基、2−(エチルスルフィニル)エチル基などのC〜Cアルキルスルフィニル置換C〜Cアルキル基、2−(メチルスルフィニル)エテニル基、2−(エチルスルフィニル)エテニル基などのC〜Cアルキルスルフィニル置換C〜Cアルケニル基、2−(メチルスルフィニル)エチニル基、2−(エチルスルフィニル)エチニル基などのC〜Cアルキルスルフィニル置換C〜Cアルキニル基が挙げられる。
【0030】
Xがアルキルスルホニル基の場合:
(メチルスルホニル)メチル基、(エチルスルホニル)メチル基、2−(メチルスルホニル)エチル基、2−(エチルスルホニル)エチル基などのC〜Cアルキルスルホニル置換C〜Cアルキル基、2−(メチルスルホニル)エテニル基、2−(エチルスルホニル)エテニル基などのC〜Cアルキルスルホニル置換C〜Cアルケニル基、2−(メチルスルホニル)エチニル基、2−(エチルスルホニル)エチニル基などのC〜Cアルキルスルホニル置換C〜Cアルキニル基が挙げられる。
【0031】
Xがハロゲン原子の場合:
フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、4−フルオロブチル基、クロロジフルオロメチル基、ブロモジフルオロメチル基、2−ブロモ−2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル基、1,1,2,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロピル基、トリクロロメチル基、クロロメチル基、2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、2,2,2−トリクロロエチル基、3,3,3−トリクロロプロピル基、トリブロモメチル基、ブロモメチル基、2−ブロモエチル基、3−ブロモプロピル基、ヨードジフルオロメチル基、2−ヨードエチル基、3−ヨードプロピル基などのハロゲン置換C〜Cアルキル基、1−クロロエテニル基、2,2−ジクロロエテニル基、2−クロロエテニル基、4−クロロ−1,3−ペンタジエニル基、1−フルオロエテニル基、1−ブロモエテニル基などのハロゲン置換C〜Cアルケニル基、2−クロロエチニル基、2−フルオロエチニル基、2−ブロモエチニル基、4−フルオロ−1−ブテン−3−イニル基、4−クロロフルオロ−1−ブテン−3−イニル基などのハロゲン置換C〜Cアルキニル基が挙げられる。
【0032】
Xがシアノ基の場合:
シアノメチル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、4−シアノブチル基などのシアノ置換C〜Cアルキル基、2−シアノエテニル基、3−シアノ−2−プロペニル基などのシアノ置換C〜Cアルケニル基、2−シアノエチニル基、3−シアノ−2−プロピニル基などのシアノ置換C〜Cアルキニル基が挙げられる。
【0033】
Xで置換されたAにおいて、次のような具体的な置換基を挙げることができる。
【0034】
XがC〜Cアルキル基の場合:
(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2−エチルフェニル)メチル基、(2−メチルフェニル)エチル基、(3−エチルフェニル)エチル基などのC〜Cアルキル置換C〜Cアラルキル基(アルキル部分の炭素数は1〜3である)、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基などのC〜Cアルキル置換フェニル基が挙げられる。
【0035】
XがC〜Cアルコキシ基の場合:
(2−メトキシフェニル)メチル基、(3−メトキシフェニル)メチル基、(4−メトキシフェニル)メチル基、(2−エトキシフェニル)メチル基、(2−エトキシフェニル)エチル基、(3−エトキシフェニル)エチル基などのC〜Cアルコキシ置換C〜Cアラルキル基(アルキル部分の炭素数は1〜3である)、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−エトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基などのC〜Cアルコキシ置換フェニル基が挙げられる。
【0036】
XがC〜Cのアルキルチオ基の場合:
(2−メチルチオフェニル)メチル基、(3−メチルチオフェニル)メチル基、(4−メチルチオフェニル)メチル基、(2−エチルチオフェニル)メチル基、(2−メチルチオフェニル)エチル基、(3−エチルチオフェニル)エチル基などのC〜Cアルキルチオ置換C〜Cアラルキル基(アルキル部分の炭素数は1〜3である)、2−メチルチオフェニル基、3−メチルチオフェニル基、4−メチルチオフェニル基、2−エチルチオフェニル基、3−エチルチオフェニル基などのC〜Cアルキルチオ置換フェニル基が挙げられる。
【0037】
XがC〜Cアルキルスルフィニル基の場合:
(2−メチルスルフィニルフェニル)メチル基、(3−メチルスルフィニルフェニル)メチル基、(4−メチルスルフィニルフェニル)メチル基、(2−エチルスルフィニルフェニル)メチル基、(2−メチルスルフィニルフェニル)エチル基、(3−エチルスルフィニルフェニル)エチル基などのC〜Cアルキルスルフィニル置換C〜Cアラルキル基(アルキル部分の炭素数は1〜3である)、2−メチルスルフィニルフェニル基、3−メチルスルフィニルフェニル基、4−メチルスルフィニルフェニル基、2−エチルスルフィニルフェニル基、3−エチルスルフィニルフェニル基などのC〜Cアルキルスルフィニル置換フェニル基が挙げられる。
【0038】
XがC〜Cアルキルスルホニル基の場合:
(2−メチルスルホニルフェニル)メチル基、(3−メチルスルホニルフェニル)メチル基、(4−メチルスルホニルフェニル)メチル基、(2−エチルスルホニルフェニル)メチル基、(2−メチルスルホニルフェニル)エチル基、(3−エチルスルホニルフェニル)エチル基などのC〜Cアルキルスルホニル置換C〜Cアラルキル基(アルキル部分の炭素数は1〜3である)、2−メチルスルホニルフェニル基、3−メチルスルホニルフェニル基、4−メチルスルホニルフェニル基、2−エチルスルホニルフェニル基、3−エチルスルホニルフェニル基などのC〜Cアルキルスルホニル置換フェニル基が挙げられる。
【0039】
XがC〜Cハロアルキル基の場合:
(2−トリフルオロメチルフェニル)メチル基、(3−トリフルオロメチルフェニル)メチル基、(4−トリフルオロメチルフェニル)メチル基、(4−クロロメチルフェニル)メチル基、{4−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)フェニル}エチル基などのC〜Cハロアルキル置換C〜Cアラルキル基(アルキル部分の炭素数は1〜3である)、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、4−クロロメチルフェニル基、4−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)フェニル基などのC〜Cハロアルキル置換フェニル基が挙げられる。
【0040】
XがC〜Cハロアルコキシ基の場合:
(2−トリフルオロメトキシフェニル)メチル基、(3−トリフルオロメトキシフェニル)メチル基、(4−ジフルオロメトキシフェニル)メチル基、(4−トリフルオロメトキシフェニル)メチル基、(4−クロロメトキシフェニル)メチル基、{4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル}エチル基などのC〜Cハロアルコキシ置換C〜Cアラルキル基(アルキル部分の炭素数は1〜3である)、2−トリフルオロメトキシフェニル基、3−トリフルオロメトキシフェニル基、4−ジフルオロメトキシフェニル基、4−トリフルオロメトキシフェニル基、4−クロロメトキシフェニル基、4−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエトキシ)フェニル基などのC〜Cハロアルコキシ置換フェニル基が挙げられる。
【0041】
Xがハロゲン原子の場合:
(4−フルオロフェニル)メチル基、(2−クロロフェニル)メチル基、(3−クロロフェニル)メチル基、(4−クロロフェニル)メチル基、(2−ブロモフェニル)メチル基、(2−フルオロフェニル)エチル基、(3−クロロフェニル)エチル基などのハロゲン置換C〜Cアラルキル基(アルキル部分の炭素数は1〜3である)、4−フルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基などのハロゲン置換フェニルが挙げられる基が挙げられる。
【0042】
Xがシアノ基の場合:
(2−シアノフェニル)メチル基、(3−シアノフェニル)メチル基、(4−シアノフェニル)メチル基、(2−シアノフェニル)エチル基、(3−シアノフェニル)エチル基などのシアノ置換C〜Cアラルキル基(アルキル部分の炭素数は1〜3である)、2−シアノフェニル基、3−シアノフェニル基、4−シアノフェニル基などのシアノ置換フェニル基が挙げられる。
【0043】
Xがニトロ基の場合:
(2−ニトロフェニル)メチル基、(3−ニトロフェニル)メチル基、(4−ニトロフェニル)メチル基、(2−ニトロフェニル)エチル基、(3−ニトロフェニル)エチル基などのニトロ置換C〜Cアラルキル基(アルキル部分の炭素数は1〜3である)、2−ニトロフェニル基、3−ニトロフェニル基、4−ニトロフェニル基などのニトロ置換フェニル基が挙げられる。
【0044】
Xがフェニル基の時
(2−ビフェニル)メチル基、(3−ビフェニル)メチル基、(4−ビフェニル)メチル基、(2−ビフェニル)エチル基、(3−ビフェニル)エチル基などのフェニル置換C〜Cアラルキル基(アルキル部分の炭素数は1〜3である)、2−ビフェニル基、3−ビフェニル基、4−ビフェニル基などのフェニル置換フェニル基が挙げられる。
【0045】
尚、一般式(I)で示される本発明化合物として、下記の表1〜5に記載の化合物を例示することができる。これらの中で、AXnとして、Aが水素原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアラルキル基(アルキル部分の炭素数は1〜3である)、COOR(Rは、水素原子またはC〜Cのアルキル基を示す)であり、nが0〜3であり、Xの中のXがC〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルコキシ基、ハロゲン原子であり、Xの中のXがC〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cハロアルキル基、C〜Cハロアルコキシ基、ハロゲン原子である組合せが好ましい。
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】
【表3】

【0049】
【表4】

【0050】
【表5】

【0051】
表1〜表5に示されている、a)、b)、c)、d)は次の内容を示す。
【0052】
a):mは、環状飽和炭化水素部の鎖長を示し、例えば、1は5員環であり、シクロペンタン環を意味する。
b):Rは、2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチルアミノ基のアミノ基窒素原子上の置換基を示し、結合位置は、窒素原子に結合した炭素原子を水素が不足した炭素原子で示している。尚、Hは水素原子である。
【0053】
c):Xnで置換されたAについて説明する。例えば、化合物番号(I−31)のCHCHは、水素原子の不足した炭素原子で環状飽和炭化水素部で結合し、更に、他方の水素原子の不足した炭素原子でXnと結合していることを意味する。ここで、Xnの記載法について述べる。「−」は、未置換(n=0)であることを意味する。また、A上に置換基を有する場合、「−」の前の数字で結合位置を示し、後ろに、置換基(X)と、結合位置が2箇所以上ある場合の個数を示す。ここで、この結合位置は上記の表においても明細書の説明文と同様に、環状飽和炭化水素中の炭素原子と結合しているAXnとして記載しているので、Aの環状飽和炭化水素部に結合した炭素原子を1位として記載している。すなわち、2−OCHはCHCHの環状飽和炭化水素中の炭素原子と結合した炭素原子を1位として、更に、2位の炭素原子にメトキシ基が結合していることを示している。この結合位置の表記方法は、化合物の命名法と異なっている場合があるが、同じ内容を意味することは当然である。例えば、化合物番号(I−25)のCは、結合数の不足している炭素原子で環状飽和炭化水素部に結合し、更に、同じ炭素原子で3個のフッ素原子に結合していることを意味する。このように、Xnで置換されたAを炭素原子と水素原子で示す場合、環状飽和炭化水素部やXnに結合している炭素原子の結合数を不足させたままで記載している。
【0054】
d):Xnで置換されたAについて説明する。
1)Aがアラルキル基の場合:
例えば、化合物番号(I−101)のCHPhは炭素鎖が1で水素原子の不足した炭素原子で、環状飽和炭化水素部に結合し、且つ、フェニル基(フェニル基をPhで表す)と結合していることを示している。また、化合物番号(I−120)のCHCHPhは、炭素鎖が2で、水素原子の不足している末端の炭素原子で環状飽和炭化水素部に結合し、更に、もう一方の水素原子の不足した炭素原子がXn及び、フェニル基と結合していることを意味する。ここで、Xnの記載法について述べる。「−」は、未置換(n=0)であることを意味する。また、A上に置換基を有する場合、フェニル環上に置換基がある場合は「−」の前の数字で結合位置を示し、後ろに、置換基(X)と、結合位置が2箇所以上ある場合の個数を示す。この場合、環状飽和炭化水素部に結合しているアルキル鎖と結合している炭素原子を1位とする。
【0055】
また、アルキル鎖上に置換基を有する場合は「−」の前のギリシャ文字で結合位置を示し、後ろに、置換基(X)と、結合位置が2箇所以上ある場合の個数を示す。この場合、環状飽和炭化水素部に結合している炭素原子をα位とする。例えば、(I−120)のβ−Clは、水素原子の不足している末端の炭素原子で環状飽和炭化水素部に結合し、更に、もう一方の水素原子の不足した炭素原子が塩素原子及び、フェニル基と結合していることを意味する。また、化合物番号(I−121)のβ−Cl、4−CFは、水素原子の不足している末端の炭素原子で環状飽和炭化水素部に結合し、更に、もう一方の水素原子の不足した炭素原子が塩素原子及び、フェニル基と結合し、且つ、フェニル環上4位にトリフルオロメチル基が結合していることを示している。
【0056】
2)Aがフェニル基の場合:
フェニル基をPhで表わす。次に、Xnの記載法について述べる。「−」は、未置換(n=0)であることを意味する。また、フェニル環上に置換基がある場合は半角の「−」の前の数字で結合位置を示し、後ろに、置換基(X)と、結合ハ置が2箇所以上ある場合の個数を示す。この時、環状飽和炭化水素部に結合しているフェニル環上の炭素原子を1位とする。
【0057】
次いで、本化合物(I)の製造方法について説明する。第二の要旨に係る本発明の製造方法において、使用される溶媒としては、反応に関与しなければ特に限定されないが、通常、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、石油エーテル、ヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリジノン等のアミド類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、メタノール、エタノール等のアルコール類などが挙げられる。
【0058】
使用される他の溶媒としては、水、二硫化炭素、アセトニトリル、酢酸エチル、ピリジン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶媒は、2種類以上を混合して使用しても良い。本発明による方法の反応は、溶媒、または、溶媒混合物中で有利に行なわれる。また、互いに均一な層を形成することのない溶媒からなる溶媒組成物が挙げられる。この場合、反応系に相間移動触媒、例えば、慣用の第4アンモニウム塩または、クラウンエーテルを添加した方が良い場合もある。
【0059】
次いで、第二の要旨に係る本発明の製造法について説明する。本発明化合物(I)は、下記の一般式(II)[以下、化合物(II)と略称する]で表されるカルボニル誘導体と一般式(III)[以下、化合物(III)と略称する]で表される2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチルアミン誘導体とを還元剤を用いて還元的アミノ化反応を行なうことにより、化合物(III)のアミノ基窒素原子と化合物(II)のカルボニル炭素原子間に窒素−炭素結合を生成させることを特徴とする。これらを反応式で示したのが、下記の反応式である。
【0060】
【化4】

【0061】
(式中、R、m、A、X、nは上述の通りである。)
【0062】
反応は通常、化合物(II)と化合物(III)と還元剤を溶媒中あるいは、無溶媒で混合することにより行なわれる。また、本反応は、反応中間体としてイミンまたはイミニウムイオン(若しくはエナミン)化合物を経由するので、反応は無触媒でも進行するが、触媒やプロトン源として酸を使用したほうが良い場合もある。また、本還元的アミノ化の反応条件について、特に制限はないが、化合物(II)の化合物(III)に対する使用量は過剰に加えた方が、反応は進行しやすいが、過剰に加えなくても反応は進行する。通常0.01〜100倍モル、好ましくは0.1〜10倍モルである。反応温度や反応時間は化合物(II)、化合物(III)及び還元剤によるが、反応温度は通常0〜200℃、好ましくは0〜100℃である。また、反応時間は数分〜数日である。
【0063】
上記において、酸の使用が好ましい場合、使用される酸性化合物としては、以下の化合物を例示できる。通常、塩酸、臭化水素酸、沃化水素酸、過塩素酸、硫酸などの無機酸。ギ酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸が挙げられる。これらの酸は、2種類以上混合して使用しても良い。
【0064】
本発明で使用される還元剤としては、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム等の複合水素化合物であることが好ましい。また、複合水素化合物以外にも、例えば、水素ガスとパラジウム/炭素やラネーニッケル、ギ酸などの各種水素化触媒の組み合わせも使用できる。また、水素化ホウ素ナトリウム、ボラン−ピリジン混合物、亜鉛−酢酸混合物、水素化ホウ素亜鉛−塩化亜鉛等も挙げることができる。
【0065】
還元剤の化合物(III)に対する使用量は還元剤にもよるが、例えば、好適に使用されるトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウムは過剰に加えた方が、反応は進行しやすいが、過剰に加えなくても反応は進行する。通常0.1〜100倍モル、好ましくは1.0〜10倍モルである。
【0066】
勿論、本反応は、反応中間体としてイミンまたはイミニウムイオン(若しくはエナミン)化合物を経由するので、この反応中間体をまず生成させた後、還元剤を加え、反応する方法でも合成可能である。使用される還元剤、及び、反応条件は本発明第二の条件と同様である。
【0067】
また、一般式(I)で表される化合物の内、一般式(I−a)で表される、アミノ基窒素上にC〜Cアルキル基を有する化合物は、一般式(I−b)で表される、アミノ基窒素上に水素原子を有する化合物を、アルキル化することによっても得ることができる。これを、反応式で示したのが、下記の反応式である。
【0068】
【化5】

【0069】
(式中、R1−aはC〜Cアルキル基、m、A、X、nは上記の通りである。)
【0070】
上記のアルキル化で使用されるアルキル化剤としては、臭化メチル、沃化メチル、塩化エチル、沃化エチル、2−ブロモプロパン、臭化(n−)プロパン、沃化(n−)ブタン等のハロゲン置換C〜Cアルキル化合物、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸等のジ(C〜Cアルキル)置換硫酸エステル化合物、メタンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル等のC〜Cアルキル置換スルホン酸エステル類等が挙げられる。
【0071】
本アルキル化の工程は塩基の添加がなくても反応が進行することもあるが、塩基の添加が好ましい場合には塩基を添加する。使用される塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属のアルコキシド、水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化合物等が使用できる。反応条件は、溶媒、化合物(I−b)の種類、塩基等により異なるが、反応温度としては、通常0〜200℃、好ましくは10〜100℃である。反応時間は、通常0.1時間〜数日であり、好ましくは0.5時間〜2日である。
【0072】
上記のアルキル化で使用される溶媒としては、反応に関与しなければ特に限定されないが、通常、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、石油エーテル、ヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリジノン等のアミド類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、メタノール、エタノール等のアルコール類等が挙げられる。
【0073】
使用される他の溶媒としては、水、アセトン、二硫化炭素、アセトニトリル、酢酸エチル、ピリジン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶媒は、2種類以上を混合して使用しても良い。本発明による方法の反応は、溶媒、または、溶媒混合物中で有利に行なわれる。また、互いに均一な層を形成することのない溶媒からなる溶媒組成物が挙げられる。この場合、反応系に相間移動触媒、例えば、慣用の第4アンモニウム塩または、クラウンエーテルを添加した方が良い場合もある。
【0074】
また、上述の反応式のアルキル化において、一般式(I−b)で表される化合物とカルボニル化合物(アルデヒド化合物やケトン化合物であって、炭素鎖がC〜Cの化合物)と還元剤を用いる還元的アミノ化によるアルキル化によっても一般式(I−a)で表される化合物を得ることができる。この反応で使用されるカルボニル化合物としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等のC〜Cアルデヒド化合物、アセトン、メチルエチルケトン等のC〜Cケトン化合物が挙げられる。尚、還元剤、反応条件、使用溶媒、反応時間等は、上述した本発明第二の条件と同様である。
【0075】
また、一般式(I)で表される化合物の内、一般式(I−c)で表される、AがCOHである化合物は、一般式(I−d)で表される、AがCO2−aである化合物を加水分解することによっても得ることができる。これを、反応式で示したのが、下記の反応式である。
【0076】
【化6】

【0077】
(式中、R2−aはC〜Cアルキル基を示し、R、m、は上述の通りである。)
【0078】
上記の加水分解は、酸性および塩基性のいずれの条件下でも行なうことができる。加水分解を酸性条件下で行なう場合、触媒には、通常、塩酸、臭化水素酸、硫酸などの無機酸を使用する。溶媒には、通常、水中、若しくは、水に酢酸などの有機酸を加えて行なう。加水分解を塩基性で行なう場合、塩基には通常、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属塩基等を使用する。溶媒には、通常、水中、若しくは、水にエタノール等のアルコール類を加えて行なう。加水分解温度は、通常20℃〜還流点の範囲、また、反応時間は通常数分〜数時間である。
【0079】
上記で使用される一般式(II)で表されるカルボニル誘導体と一般式(III)で表される2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチルアミン誘導体は、市販品や既存の技術で製造される化合物を使用することができる。
【0080】
更に、本発明の一般式(I)で表されるN−(置換または無置換)シクロアルキル−2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチルアミン誘導体は、容易に酸付加塩を形成することができるので、無機酸塩または有機酸塩の形態で使用してもよい。ここで、酸付加塩を形成する酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などの無機酸;およびギ酸、酢酸、酪酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸、マレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、シュウ酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸、サッカリンなどの有機酸、などが挙げられる。
【0081】
次に、本発明に係る本発明の一般式(I)で表されるN−(置換または無置換)シクロアルキル−2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチルアミン誘導体及びその酸付加塩の農園芸用病害防除剤の活性成分としての有用性について説明する。
【0082】
本発明の一般式(I)は下記に示す広汎な植物病害に対して防除効果を呈する。イネいもち病(Pyricularia grisea)、イネごま葉枯病(Cochliobolusmiyabeanus)、イネ白葉枯病(Xanthomonas oryzae)、イネ紋枯病(Rhizoctonia solani)、イネ小黒菌核病(Helminthosporiumsigmoideun)、イネばか苗病(Gibberella fujikuroi)、イネ苗立枯病(Pythium aphanidermatum)、リンゴうどんこ病(Podosphaeraleucotricha)、リンゴ黒星病(Venturia inaequalis)、リンゴモリニア病(Monilinia mali)、リンゴ斑点落葉病(Alternariaalternata)、リンゴ腐乱病(Valsa mali)、ナシ黒斑病(Alternaria kikuchiana)、ナシうどんこ病(Phyllactiniapyri)、ナシ赤星病(Gymnosporangium asiaticum)、ナシ黒星病(Venturia nashicola)、ブドウうどんこ病(Uncinulanecator)、ブドウべと病(Plasmopara viticola)、ブドウ晩腐病(Glomerella cingulata)、オオムギうどんこ病(Erysiphegraminis f. sp hordei)、オオムギ黒さび病(Puccinia graminis)、オオムギ黄さび病(Pucciniastriiformis)、オオムギ斑葉病(Pyrenophora graminea)、オオムギ雲形病(Rhynchosporium secalis)、コムギうどんこ病(Erysiphegraminis f. sp tritici)、コムギ赤さび病(Puccinia recondita)、コムギ黄さび病(Pucciniastriiformis)、コムギ眼紋病(Pseudocercosporella herpotrichoides)、コムギ赤かび病(Microdochiumnivale)、コムギふ枯病(Leptosphaeria nodorum)、コムギ葉枯病(Septoria tritici)、ウリ類うどんこ病(Sphaerothecafuliginea)、ウリ類の炭疸病(Colletotrichum lagenarium)、キュウリべと病(Pseudoperonosporacubensis)、キュウリ灰色疫病(Phytophthora capsici)、トマトうどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、トマト輪紋病(Alternariasolani)、ナスうどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、イチゴうどんこ病(Sphaerotheca humuli)、タバコうどんこ病(Erysiphecichoracearum)、テンサイ褐斑病(Cercospora beticola)、トウモロコシ黒穂病(Ustillaga maydis)、核果類果樹の灰星病(Moniliniafructicola)、種々の作物をおかす灰色かび病(Botrytis cinerea)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)等が挙げられる。
【0083】
本発明化合物を農園芸用病害防除剤の有効成分として適用するには、他の何らかの成分も加えずそのままでもよいが、通常は固体担体、液体担体、界面活性剤、その他の製剤補助剤と混合して粉剤、水和剤、粒剤、乳剤などの種々の形態に製剤して使用する。これらの製剤には有効成分として本発明化合物を、通常0.1〜95%重量、好ましくは0.5〜90%重量%、より好ましくは2〜80重量%含まれるように製剤する。
【0084】
製剤補助剤として使用する坦体、希釈剤、界面活性剤を例示すれば、固体坦体として、タルク、カオリン、ベンナイト、珪藻土、ホワイトカーボン、クレーなど。液体希釈剤として、水、キシレン、トルエン、クロロベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アルコールなど。界面活性剤はその効果により使い分けるのがよく、乳化剤として、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなど。分散剤として、リグニンスルホン酸塩、ジブチルナフタリンスルホン酸塩など、湿潤剤として、アルキルスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩など、をあげることができる。
【0085】
上記製剤には、そのまま使用するものと水等の希釈剤で所定濃度に希釈して使用するものとがある。希釈して使用する時の本発明化合物の濃度は0.001〜1.0%の範囲が好ましい。また、本発明化合物の使用量は畑、田、果樹園、温室などの農園芸地1haあたり、好ましくは20〜5000g、より好ましくは50〜2000gである。これらの使用濃度および使用量は剤形、使用時期、使用方法、使用場所、対象作物等によっても異なるため、上記の範囲にこだわることなく増減することは勿論可能である。さらに、本発明化合物は他の有効成分、例えば、殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、除草剤と組み合わせて使用することもできる。
【実施例】
【0086】
以下、製造例、製剤例、試験例を示し、本発明を具体的に説明する。なお、本発明はその要旨を越えない限り以下の製造例、製剤例および試験例に限定されるものではない。
【0087】
製造例1:
<N−シクロペンチル−2,6−ジクロロ−N−メチル−4−ピリジルメチルアミン(化合物番号I−3)の合成>
シクロペンタノン(0.21g,2.5mmol)と2,6−ジクロロ−N−メチル−4−ピリジルメチルアミン(0.40g,2.3mmol)を1,2−ジクロロエタン(15ml)に溶解し、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.53g,2.5mmol)を加え、室温で24時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、pHを9としクロロホルムを加え攪拌した。有機層を分取し、水層をクロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して精製し、目的化合物を無色油状物として得た。
【0088】
【表6】

【0089】
製造例2:
<2,6−ジクロロ−N−メチル−N−(2−メチルシクロペンチル)−4−ピリジルメチルアミン(化合物番号I−4)の合成>
2−メチルシクロペンタノン(0.20g,2.0mmol)と2,6−ジクロロ−N−メチル−4−ピリジルメチルアミン(0.34g,1.9mmol)を1,2−ジクロロエタン(10ml)に溶解し、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.42g,2.0mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、pHを9としクロロホルムを加え攪拌した。有機層を分取し、水層をクロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して精製し、目的化合物を無色油状物として得た。
【0090】
【表7】

【0091】
製造例3:
<2,6−ジクロロ−N−(2−メトキシカルボニルシクロペンチル)−4−ピリジルメチルアミン(化合物番号I−5)の合成>
2−メトキシカルボニルシクロペンタノン(0.15g,1.1mmol)と2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチルアミン(0.21g,1.2mmol)を1,2−ジクロロエタン(10ml)に溶解し、酢酸(0.13g,2.1mmol)、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.14g,2.1mmol)を加え、室温で20時間攪拌した。反応液を水に注ぎクロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して精製し、目的化合物を無色油状物として得た。
【0092】
【表8】

【0093】
製造例4:
<2,6−ジクロロ−N−(2−メトキシカルボニルシクロペンチル)−N−メチル−4−ピリジルメチルアミン(化合物番号I−6)の合成>
2−メトキシカルボニルシクロペンタノン(0.28 g,2.0mmol)と2,6−ジクロロ−N−メチル−4−ピリジルメチルアミン(0.39g,2.2mmol)を1,2−ジクロロエタン(10ml)に溶解し、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.47g,2.2mmol)を加え、室温で4時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、pHを9としクロロホルムを加え攪拌した。有機層を分取し、水層をクロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して精製し、目的化合物を無色油状物として得た。
【0094】
【表9】

【0095】
製造例5:
<N−シクロヘキシル−2,6−ジクロロ−N−メチル−4−ピリジルメチルアミン(化合物番号I−8)の合成>
シクロヘキサノン(0.24 g,2.5mmol)と2,6−ジクロロ−N−メチル−4−ピリジルメチルアミン(0.40g,2.3mmol)を1,2−ジクロロエタン(15ml)に溶解し、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.53g,2.5mmol)を加え、室温で24時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、pHを9としクロロホルムを加え攪拌した。有機層を分取し、水層をクロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して精製し、目的化合物を無色油状物として得た。
【0096】
【表10】

【0097】
製造例6:
<N−(2−ベンジルシクロペンチル)−2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチルアミン(化合物番号I−101)の合成>
2−ベンジルシクロペンタノン(0.40 g,2.3mmol)と2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチルアミン(0.41g,2.3mmol)を1,2−ジクロロエタン(15ml)に溶解し、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.54g,2.5mmol)を加え、室温で24時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、pHを9としクロロホルムを加え攪拌した。有機層を分取し、水層をクロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して精製し、目的化合物を無色油状物として得た。
【0098】
【表11】

【0099】
製造例7:
<N−(2−ベンジルシクロペンチル)−2,6−ジクロロ−N−メチル−4−ピリジルメチルアミン(化合物番号I−102)の合成>
2−ベンジルシクロペンタノン(6.0 g,34mmol)と2,6−ジクロロ−N−メチル−4−ピリジルメチルアミン(6.7g,38mmol)を1,2−ジクロロエタン(120ml)に溶解し、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(8.0g,38mmol)を加え、室温で24時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、pHを9としクロロホルムを加え攪拌した。有機層を分取し、水層をクロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して精製し、目的化合物を無色油状物として得た。
【0100】
【表12】

【0101】
製造例8:
<N−[2−(4−クロロベンジル)シクロペンチル]−2,6−ジクロロ−N−メチル−4−ピリジルメチルアミン(化合物番号I−109)の合成>
2−(4−クロロベンジル)シクロペンタノンi0.40 g,1.9mmol)と2,6−ジクロロ−N−メチル−4−ピリジルメチルアミン(0.37g,2.1mmol)を1,2−ジクロロエタン(15ml)に溶解し、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.45g,2.1mmol)を加え、室温で24時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、pHを9としクロロホルムを加え攪拌した。有機層を分取し、水層をクロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して精製し、目的化合物を無色油状物として得た。
【0102】
【表13】

【0103】
上記で使用される化合物(II)は市販品を利用することもできるが、例えば、下記参考製造例1及び、これに準じた方法で合成することができる。
【0104】
参考製造例1:
<2−ベンジルシクロペンタノン(化合物(II)、m=1、A=CHPh、n=0の化合物)の合成>
無水DMF(25ml)中に水素化ナトリウム(1.2g,30mmol)を加え、そこに2−メトキシカルボニルシクロペンタノン(3.78g,25mmol)を滴下し、その後室温で30分間攪拌した。ベンジルブロマイド(4.79g,28mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液を冷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、メチル−1−ベンジル−2−オキソシクロペンタンカルボキシレートを得た。得られたケトエステルを、47%臭化水素酸(18ml)、酢酸(26ml)中で還流下、6時間攪拌した。反応液を冷水に注ぎ、有機層を7%炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して精製し、目的化合物を無色油状物として得た。
【0105】
【表14】

【0106】
上記で使用される化合物(III)は、例えば、下記参考製造例2,3、及び、これらに準じた方法で合成することができる。
【0107】
参考製造例2:
<2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチルアミン(化合物(III)、R=Hの化合物)の合成>
2,6−ジクロロ−4−クロロメチルピリジン(3.2g,16mmol)をDMF(30ml)に溶解させ、フタルイミドカリウム(3.3g,18mmol)を加え70℃で2時間攪拌した。反応液を冷水に注ぎ得られた白色結晶をろ取、水洗、乾燥した。得られたフタルイミド付加物を水(150ml)に懸濁させ、25%水酸化ナトリウム水溶液(3.5g)を加え70℃で1時間攪拌した。続いて、10%塩酸(15g)を加え、還流下、2時間攪拌した。反応液をトルエンで洗浄し、水層に食塩(4.5g)、50%水酸化ナトリウム水溶液(4.5g)を加え、クロロホルムで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、目的化合物を白色固体(m.p.74−75℃)として得た。
【0108】
【表15】

【0109】
参考製造例3:
<2,6−ジクロロ−N−メチル−4−ピリジルメチルアミン(化合物(III)、R=CHの化合物)の合成>
40%メチルアミン水溶液(6.9g,89mmol)の入ったフラスコにトルエン(2.0ml)に溶解した2,6−ジクロロ−4−クロロメチルピリジン(2.0g,10mmol)を15分かけて滴下し、その後室温で4時間攪拌した。反応液を有機層と水層に分配し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、目的化合物を白色固体(m.p.51℃)として得た。
【0110】
【表16】

【0111】
次に、製剤例と試験例を示すが、担体(希釈剤)および助剤、その混合比を有効成分は広い範囲で変更しえるものである。
【0112】
製剤例1:
<粉剤>
化合物(I−5): 3重量部
クレー: 40重量部
タルク: 57重量部
を粉砕混合し、散粉として使用する。
【0113】
製剤例2:
<水和剤>
化合物(I−6): 50重量部
リグニンスルホン酸塩: 5重量部
アルキルスルホン酸塩: 3重量部
珪藻土: 42重量部
を粉砕混合して水和剤とし、水で希釈して使用する。
【0114】
製剤例3:
<粒剤>
化合物(I−102): 5重量部
ベンナイト: 43重量部
クレー: 45重量部
リグニンスルホン酸塩: 7重量部
を均一に混合しさらに水を加えて練り合わせ、押し出し式造粒機で粒状に加工乾燥して粒剤とする。
【0115】
製剤例4:
<乳剤>
化合物(I−5): 20重量部
ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル: 10重量部
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート: 3重量部
キシレン: 67重量部
を均一に混合溶解して乳剤とする。
【0116】
試験例1:
<イネいもち病防除効果試験(水面施用)>
水田土を詰めた1/10000aワグネルポットに3葉期のイネ(品種:コシヒカリ)を移植し20〜35日後、製剤例3に準じて調整した粒剤を所定濃度(500g/10a)となるように水面施用した。薬剤処理10〜20日後に、イネ罹病上で形成させたイネいもち病菌の胞子懸濁液を噴霧接種し、ガラス温室内のビニールトンネル内で高湿度下に保った。接種から10〜20日後に下記の調査基準(中国農試葉いもち調査基準)により、発病度を一試験区あたり全苗について調査し、一ポット当たりの平均発病度から、計算式:防除価=(1 処理区発病度/無処理区発病度)×100により防除価(%)を算出した。調査基準を表17に示す。
【0117】
【表17】

【0118】
例えば、化合物(I−5)、(I−6)、(I−102)等は60%以上の防除価を示した。
【0119】
試験例2:
<コムギうどんこ病防除効果(茎葉散布)>
角型ポット(1.5cm×2.0cm)を用いて、分げつ期温室内で栽培したコムギ(品種:農林61号)に、製剤2に準じて調製した水和剤を所定濃度(90g/ha)に水で希釈懸濁し、1000L/haの割合で散布した。薬剤処理10〜20日後、コムギうどんこ病の胞子をふりかけ接種した。その後、ガラス温室内で発病させた。接種後10〜20日目に発病面積率(%)を達観で調査し、下記の調査基準により、一ポット当たりの平均発病度から、下計算式:防除価=(1 処理区発病度/無処理区発病度)×100により防除価(%)を算出した。調査基準を表18に示す。
【0120】
【表18】

【0121】
例えば、化合物(I−5)、(I−6)、(I−102)等は60%以上の防除価を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(I)で表されるN−(置換または無置換)シクロアルキル−2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチルアミン誘導体およびその酸付加塩。
【化1】

(式中、Rは、水素原子またはC〜Cアルキル基を示し、mは、1〜3の整数を示す。Aは、水素原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜Cアラルキル基(アルキル部分の炭素数は1〜3である)、フェニル基、COORまたはCONHR(Rは水素原子、C〜Cアルキル基を示す)を示し、これらの基は、無置換またはXで置換されていてもよい。Xは、XもしくはXを示す。AがC〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基またはC〜Cアルキニル基の時、XはXであり、且つ、Xは、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルキルスルフィニル基、C〜Cアルキルスルホニル基、ハロゲン原子またはシアノ基を示す。AがC〜Cアラルキル基(アルキル部分の炭素数は1〜3である)またはフェニル基の時、XはXであり、且つ、Xは、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルキルスルフィニル基、C〜Cアルキルスルホニル基、C〜Cハロアルキル基、C〜Cハロアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基またはフェニル基を示す。nは0〜7の整数を示し、nが2以上の時、Xは同一又は異なっていてもよい)
【請求項2】
下記の一般式(II)で表されるカルボニル誘導体と一般式(III)で表される2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチルアミン誘導体とを還元剤を用いて還元的アミノ化反応を行なうことを特徴とする一般式(I)で表されるN−(置換または無置換)シクロアルキル−2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチルアミン誘導体の製造方法。
【化2】

(式中、Rは、水素原子またはC〜Cアルキル基を示し、mは1〜3の整数を示す。Aは、水素原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜Cアラルキル基(アルキル部分の炭素数は1〜3である)、フェニル基、COORまたはCONHR(Rは、水素原子、C〜Cアルキル基を示す)を示し、これらの基は無置換またはXで置換されていてもよい。Xは、XもしくはXを示す。AがC〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基またはC〜Cアルキニル基の時、XはXであり、且つ、Xは、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルキルスルフィニル基、C〜Cアルキルスルホニル基、ハロゲン原子またはシアノ基を示す。AがC〜Cアラルキル基(アルキル部分の炭素数は1〜3である)またはフェニル基の時、XはXであり、且つ、Xは、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルキルスルフィニル基、C〜Cアルキルスルホニル基、C〜Cハロアルキル基、C〜Cハロアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基またはフェニル基を示す。nは0〜7の整数を示し、nが2以上の時、Xは同一又は異なっていてもよい)
【請求項3】
下記の一般式(I)で表されるN−(置換または無置換)シクロアルキル−2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチルアミン誘導体およびその酸付加塩を有効成分として含有する農園芸用病害防除剤。
【化3】

(式中、Rは、水素原子またはC〜Cアルキル基を示し、mは1〜3の整数を示す。Aは、水素原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜Cアラルキル基(アルキル部分の炭素数は1〜3である)、フェニル基、COORまたはCONHR(Rは、水素原子、C〜Cアルキル基を示す)を示し、これらの基は、無置換またはXで置換されていてもよい。Xは、XもしくはXを示す。AがC〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基またはC〜Cアルキニル基の時、XはXであり、且つ、Xは、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルキルスルフィニル基、C〜Cアルキルスルホニル基、ハロゲン原子またはシアノ基を示す。AがC〜Cアラルキル基(アルキル部分の炭素数は1〜3である)またはフェニル基の時、XはXであり、且つ、Xは、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルキルスルフィニル基、C〜Cアルキルスルホニル基、C〜Cハロアルキル基、C〜Cハロアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基またはフェニル基を示す。nは0〜7の整数を示し、nが2以上の時、Xは同一又は異なっていてもよい。)

【公開番号】特開2006−16355(P2006−16355A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−197282(P2004−197282)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(000001100)株式会社クレハ (477)
【Fターム(参考)】