説明

N置換アクリルアミド、その調製方法および使用

本発明は、リン含有ジエンモノマーおよび(メタ)アクリロニトリルから、Ritter反応を介して調製される新しいモノマー、ならびにその調製方法に関する。これらのモノマーのポリマーは、水処理、レオロジー調整剤、表面改質などの種々の応用例において利用することができる。これらのモノマーは以下の構造(II)を有し、式中、R、R、R、R、R、RおよびRは、独立に、水素、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、またはアルケニル基を表し、RおよびRは、それぞれR0、およびR10を表し、式中、RおよびR10は、水素、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキル、シクロアルキル、アルケニル基、またはNa、Li、Caからなる群から選択される金属を表し、Rは、HまたはCHを表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホスホン酸および/または他の関連するリン官能基を有するN置換アクリルアミド、その調製方法および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
官能化(メタ)アクリルアミドは、重要なクラスの特殊モノマーである。これらのタイプのモノマーは最も反応性のモノマーであると考えられ、それらのポリマーおよびコポリマーは、水処理、コーティング、油田、家庭用品およびパーソナルケア製品などの工業製品および消費者製品の両方において使用されてきた。官能化(メタ)アクリルアミドのほとんどは、容易に入手できるアクリロニトリルからRitter反応によって製造される(Ritter反応について、非特許文献1および非特許文献2を参照)。
【0003】
特許文献1は、最初に少なくとも1つのアリル水素原子を含有するオレフィン性化合物を硫酸水素アシル(acyl hydrogen sulfate)と反応させてスルホン化中間体を形成し、その後、硫酸の存在下でこの中間体をアクリロニトリルと、次いで水と反応させることを含む2工程の反応手順によって調製されるアクリルアミドアルカンスルホン酸を記載した。特許文献2は、ジアセトンアクリルアミドの調製のためのプロセスであって、アクリロニトリルおよびジアセトンアルコールを少なくとも93%硫酸の中で反応させて、新規な中間体反応生成物を形成し、この中間体反応生成物を、結晶性の固体として回収し、有機溶媒で洗浄し、着色した油状不純物を硫酸とともに除去し、そして加水分解してジアセトンアクリルアミドを生成するプロセスを記載した。特許文献3は、固体ヘテロポリ酸触媒を使用して、Ritter反応を介して、tert−ブチルアクリルアミドなどのN−ヒドロカルビル置換アミドを調製するためのプロセスを記載した。特許文献4(1988)は、エステル基を含有するN置換アクリルアミを記載した。特許文献5は、アクリル酸またはメタクリル酸のN−アルキルアミドを調製するためのプロセスであって、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルが、硫酸の効果のもとでアルキルカルボニウムイオンを形成することができる、3〜40個の炭素原子を有する任意に置換されたアルキル基を有する化合物との反応に供されるプロセスを記載した。
【0004】
ホスホン酸および他の関連するリン官能基を有する反応性モノマーに対する市場のニーズがある。これらのモノマーから得られるポリマーは、水処理、レオロジー調整剤、表面改質などの種々の応用例を見出すであろう。
【0005】
特許文献6は、イソブテン、PClおよび(メタ)アクリロニトリルから2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンホスホン酸を製造するための方法を記載した。しかしながら、収率は低く、大量の危険な廃棄物がこのプロセスから生成した。効率的なプロセスを伴うホスホン酸またはホスフィン酸官能基を有する反応性の(メタ)アクリルアミドモノマーに対するニーズがまだ存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第3,506,707号明細書
【特許文献2】米国特許第4,239,885号明細書
【特許文献3】米国特許第5,712,413号明細書
【特許文献4】独国特許第86−3644009号明細書
【特許文献5】英国特許第2103216号明細書
【特許文献6】米国特許第4,526,728号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Organic Process Research & Development、1999年、第3巻、232−234頁
【非特許文献2】K.L.Reddy、Tetrahedron Letters、2003年、第44巻、1454 1453−1455頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
全般的に、本発明は、リン含有ジエンモノマーおよび(メタ)アクリロニトリルから、Ritter反応を介して調製される式IIのN置換アクリルアミドという新しいモノマーに関する。
【化1】

【0009】
また、本発明は、当該モノマーの調製方法にも関する。
【0010】
これらのモノマーから得られるポリマーは、水処理、レオロジー調整剤、表面改質などの種々の応用例を見出すであろう。このモノマーのさらなる誘導体化により、ホスホン酸またはホスフィン酸含有界面活性剤なども生成されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1つの態様では、本発明は以下の式IIの化合物
【化2】

を提供する。式中、
、R、R、R、R、RおよびRは、独立に、水素、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、またはアルケニル基を表し;好ましくは、当該アルキル、アルケニルは1〜24個の炭素原子を含み、当該アリールは6〜24個の炭素原子を含み、当該アルカリール、アラルキルは7〜24個の炭素原子を含み、当該シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルは3〜24個の炭素原子を含み;より好ましくは、当該アルキル、アルケニルは1〜18個の炭素原子を含み、当該アリールは6〜18個の炭素原子を含み、当該アルカリール、アラルキルは7〜18個の炭素原子を含み、当該シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルは3〜18個の炭素原子を含み;より好ましくは、R、R、およびRは水素を表すか、またはRおよびRはメチルを表す。
【0012】
好ましくは、Rおよび/またはRは水素を表し、そのため、そのようにして得られるモノマーは、重合に対してより反応性である。
【0013】
およびRはRO、およびR10Oを表し、式中、RおよびR10は、水素、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキル、シクロアルキル、アルケニル基、またはNa、Li、Caからなる群から選択される金属を表す。好ましくは、RおよびRは、それぞれROおよびR10Oを表し、R=R10=Hである。好ましくは、当該アルキル、アルケニルは1〜24個の炭素原子を含み、当該アリールは6〜24個の炭素原子を含み、当該アルカリール、アラルキルは7〜24個の炭素原子を含み、当該シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルは3〜24個の炭素原子を含み;より好ましくは、当該アルキル、アルケニルは1〜18個の炭素原子を含み、当該アリールは6〜18個の炭素原子を含み、当該アルカリール、アラルキルは7〜18個の炭素原子を含み、当該シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルは3〜18個の炭素原子を含み;
最も好ましくは、R、R、およびRは水素を表し、R、Rはメチルを表し、RおよびRはROおよびR10Oを表し、R=R10=Hである。
【0014】
は、HまたはCHを表す。
【0015】
当業者は、「RO」という用語は「R−O−」の構造を有する置換基を指すということは理解するはずである。例えば、「RO」は、「R−O−」の構造を有する置換基を指す。
【0016】
本発明の好ましい実施形態のうちの1つでは、R、R、R、R、R、RおよびRのうちのいずれか2つは、一緒になって、好ましくは3〜8員環から選択されるシクロアルキル、またはヘテロシクロアルキル基を形成する。
【0017】
本発明の好ましい実施形態のうちの別の1つでは、R、R、R、R、R、RおよびR10のうちのいずれか2つは、一緒になって、好ましくは3〜8員環から選択されるシクロアルキル、またはヘテロシクロアルキル基を形成する。
【0018】
ここで、または本願明細書の以下の残部で特段の記載がない限り、「本発明の化合物」または「本発明に従って調製される化合物」は、本願明細書に開示される種々の記載および構造式によって包含される化合物を指す。それらの化合物は、その化学構造および/または化合物名のいずれによって特定されてもよい。
【0019】
本発明の化合物は1以上のキラル中心および/または二重結合を含有してもよく、それゆえ、環状構造または二重結合に由来するZ−およびE−またはcis−およびtrans−異性体(すなわち、幾何異性体)、回転異性体、鏡像異性体またはジアステレオマーなどの立体異性体として存在してもよい。従って、キラル中心における立体化学が特定されないとき、本願明細書中で描かれる化学構造は、立体異性体として純粋な形態(例えば幾何異性体として純粋、鏡像異性体として純粋、またはジアステレオマーとして純粋)および鏡像異性体混合物および立体異性体混合物を含めた、それらのキラル中心におけるすべての可能な配置を包含するが、ただし、ただ1つの鏡像異性体が特定されているとき、その構造は、他の鏡像異性体も同様に包含する。例えば、本発明で開示される式IIの化合物がPに近い二重結合についてZ−体またはtrans−体である場合には、この技術分野の当業者は、その化合物のE−体またはcis−体も開示されていると理解するはずである。鏡像異性体混合物および立体異性体混合物は、この技術分野の当業者にとっては周知である分離技法またはキラル合成技法を使用して、それらの構成成分の鏡像異性体または立体異性体へと分割することができる。
【0020】
1つの他の態様では、本発明は、式IIの化合物を調製するための方法であって、式Iの化合物を(メタ)アクリロニトリルと反応させる工程を含む方法を提供する。本発明によれば、式IIの化合物は、リン含有ジエンモノマーおよび(メタ)アクリロニトリルから、Ritter反応を介して調製することができる。
【化3】

式中、R〜Rのすべての置換基は、R〜Rの前出の定義と同じである。
【0021】
好ましくは、本発明の方法によれば、当該化合物Iは、当該(メタ)アクリロニトリルに対して(0.1〜1):1、好ましくは当該(メタ)アクリロニトリルに対して(0.8〜1):1のモル比で加えられる。反応時間は4〜24時間、または好ましくは5〜18時間である。反応温度は、0〜100℃、または好ましくは30〜60℃である。
【0022】
式Iのジエンモノマーは、α,β−またはβ,γ−不飽和のケトンおよびアルデヒドから調製することができる。
【化4】

【0023】
例えば、メシチルオキシドは、穏和な条件下で、無水酢酸および酢酸の存在下で亜リン酸と反応し、90%超の純度で4−メチルペンタ−2,4−ジエン−2−ホスホン酸を与えた。
【化5】

【0024】
1つの他の態様では、本発明は、本発明に係る式IIの化合物の、または本発明に係る式IIの化合物のポリマーもしくはコポリマーの使用を提供する。例えば、本発明を限定するわけではないが、本発明に係る式IIの化合物は、ポリマーまたはコポリマーを調製するためのモノマーとして利用することができる。本発明の化合物、またはポリマーもしくはコポリマーは、水処理での応用、レオロジー調整剤での応用、表面処理での応用、油田での応用、鉱業での応用、歯科での応用、プラスチック類などの種々の応用例で使用することができ、好ましくは、本発明の化合物またはそれらのポリマーもしくはコポリマーは、プラスチック類またはテキスタイルにおける難燃剤として使用することができる。また、本発明は、式IIの化合物のポリマーまたはコポリマーを調製するための方法であって、本発明の方法に従って式IIの化合物を調製する工程と、重合または共重合工程とを含む方法に関する。本発明は、本発明に係る式IIの化合物のポリマーまたはコポリマーも提供する。
【0025】
当該モノマーのさらなる誘導体化により、ホスホン酸含有界面活性剤なども生成されるであろう。
【0026】
本発明は、下記の実施例によってさらに説明される。
【実施例】
【0027】
以下の実施例は、本発明を説明するために提供されるが、本発明を限定するために与えられるものではない。
【0028】
実施例1
真空下、50℃で約4時間乾燥した亜リン酸HPO、200g、および194gの酢酸を、冷却しながら2Lのフラスコに加えた。次いで、494gの無水酢酸を投入すると、温度は25℃に上昇し、無色の均質な混合物が得られた。1gのフェノチアジンを加えると、反応混合物は薄橙色になった。メシチルオキシド(1,2異性体および1,3異性体の混合物)284gを、撹拌しながら約4時間にわたって滴下し、温度を23〜25℃に維持した。反応混合物の色は、この不飽和ケトンの添加の後に暗橙色になった。次にこの混合物を48℃に7時間加熱した。反応を、以下の表に示すように、モル%に関して31P NMR(DO)によってモニターした。
【表1】

生成物、4−メチル−2,4−ペンタジエン−2−ホスホン酸(PoDM)およびその無水物誘導体を、亜リン酸の100%転化率とともに、90%超の収率で、観察した。
【0029】
実施例2
実施例1からの反応混合物620gを75mlの水に加えた。得られた溶液を、DO中で31P NMRによってモニターした場合に、生成物の誘導体が観察されなくなるまで、50℃で5時間加熱し、次いで溶媒が出てこなくなるまで、酢酸を5mPaの減圧下で、50℃で6時間除去し、250gの褐色の油状物を得た。31P NMRは、87.4モル%がPoDMであると示したが、他方で、HPLC分析は、PoDMについて214nmのUVで96.1面積%および254nmのUVで87.3面積%を示した。HPLC−MS分析は、生成物の分子量が162.1であると示し、C−13およびH−1 NMRはともに、PoDMの構造を確認した。H NMR(DO,ppm): δ 6.30(d,1H),4.95(s,1H),4.79(s,1H),1.78(d,3H)および1.75(s,3H)。13C(DO,ppm),δ 141.6(d),141.1(d),126.7(d),21.8(s),13.4(d)。
【0030】
実施例3
実施例2から得た25g(0.129mol)のPoDM、0.02gのフェノチアジンおよび10.3ml(0.156mol)のアクリロニトリルを、冷水で冷却したフラスコに加えた。次いで、7mlのHSOを、混合しながらゆっくり加え、その間、このバッチを30℃に冷却した。この添加後、この混合物は、均質な濃厚な油状物となり、これを30℃で4時間、次いで60℃で1時間撹拌した。この反応を行った後、アクリロニトリルを真空下で除去した。100mlの水をこの混合物の中へと注ぎ込み、7g(0.129mol)の酸化カルシウムを、撹拌しながらゆっくり加えた。2時間の混合後、沈殿を吸引濾過し、少量の水で洗浄した。得た水溶液を真空中、40℃で3時間濃縮し、褐色の油状生成物を得た。HPLC分析により、4−アクリルアミド−4−メチル−2−ペンテン−2−ホスホン酸(AMPP)が、UV 214nmの面積積分によれば93.2%であることが示され、他方で、31P NMRにより、他の2つの未知のリン含有不純物とともに78.3mol%のAMPPが示された。アセトン沈殿によって白色固体生成物を得た。この生成物は、吸湿性であることが判明し、空気に曝すと、この生成物は液体へと変わった。LC−MS(ES−API)は、467.1の二量体および700.2の三量体とともに、234.1の分子イオンを示した。31P (DO),19.8ppm。H NMR(DO,δ ppm): δ 5.90(d,1H),5.74(m,1H),5.59(d,1H),5.18(d,1H),1.27(d,3H)および0.91(s,6H)。13C NMR(DO,δ ppm),δ 166.4,146.9,129.5,127.3および126.1(d),124,26.6および11.6(d)。
【0031】
実施例4
10g(0.121mol)の真空乾燥したHPO、14.2g(0.145mol)のメシチルオキシド、9.7gの酢酸、0.01gのフェノチアジンおよび10.3ml(0.156mol)のアクリロニトリルを、フラスコの中で、28℃で混合した。次いで、24.7gの無水酢酸を約70分にわたってゆっくり加え、この間、温度を30℃未満に保った。この添加後、この混合物を、48℃に加熱し、48℃で一晩加熱し、次いで60℃でさらに2時間加熱した。31P NMRにより、95%のHPOが86%の選択性で、AMPP、および大部分のその前駆体であるPoDMに変換されたことが示された。この反応後に硫酸を使用すれば、PoDMからAMPPへのさらなる変換は、行うことができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IIの化合物であって、
【化1】

式中、
、R、R、R、R、RおよびRは、独立に、水素、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、またはアルケニル基を表し、
およびRは、それぞれRO、およびR10Oを表し、式中、RおよびR10は、水素、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキル、シクロアルキル、アルケニル基、またはNa、Li、Caからなる群から選択される金属を表し、
は、HまたはCHを表す、化合物。
【請求項2】
前記アルキル、アルケニルは1〜24個の炭素原子を含み、前記アリールは6〜24個の炭素原子を含み、前記アルカリール、アラルキルは7〜24個の炭素原子を含み、前記シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルは3〜24個の炭素原子を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記アルキル、アルケニルは1〜18個の炭素原子を含み、前記アリールは6〜18個の炭素原子を含み、前記アルカリール、アラルキルは7〜18個の炭素原子を含み、前記シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルは3〜18個の炭素原子を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
および/またはRは水素を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
、R、R、R、R、RおよびRのうちのいずれか2つは、一緒になって、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
前記シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基は、3〜8員環から選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
、R、R、R、R、RおよびR10のうちのいずれか2つは、一緒になって、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキル基を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
前記シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基は、3〜8員環から選択される、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
、R、およびRは水素を表す、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
およびRはメチルを表す、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
およびRは、ROおよびR10Oを表し、R=R10=Hである、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
、R、およびRは水素を表し、R、Rはメチルを表し、RおよびRは、ROおよびR10Oを表し、R=R10=Hである、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
式IIの化合物を調製するための方法であって、式Iの化合物を(メタ)アクリロニトリルと反応させる工程を含み、
【化2】

式中、
、R、R、R、R、RおよびRは、独立に、水素、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、またはアルケニル基を表し、
およびRは、それぞれRO、およびR10Oを表し、式中、RおよびR10は、水素、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキル、シクロアルキル、アルケニル基、またはNa、Li、Caからなる群から選択される金属を表し、
は、HまたはCHを表す、方法。
【請求項14】
前記アルキル、アルケニルは1〜24個の炭素原子を含み、前記アリールは6〜24個の炭素原子を含み、前記アルカリール、アラルキルは7〜24個の炭素原子を含み、前記シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルは3〜24個の炭素原子を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記アルキル、アルケニルは1〜18個の炭素原子を含み、前記アリールは6〜18個の炭素原子を含み、前記アルカリール、アラルキルは7〜18個の炭素原子を含み、前記シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルは3〜18個の炭素原子を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
および/またはRは水素を表す、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
、R、R、R、R、RおよびRのうちのいずれか2つは、一緒になって、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキル基を形成する、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基は、3〜8員環から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
、R、R、R、R、RおよびR10のうちのいずれか2つは、一緒になって、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキル基を形成する、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基は、3〜8員環から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
、R、およびRは水素を表す、請求項13から請求項20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
およびRはメチルを表す、請求項13から請求項20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
およびRは、ROおよびR10を表し、R=R10=Hである、請求項13から請求項20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
、R、およびRは水素を表し、R、Rはメチルを表し、RおよびRは、ROおよびR10を表し、R=R10=Hである、請求項13から請求項20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記化合物Iは、前記(メタ)アクリロニトリルに対して(0.1〜1):1のモル比で添加される、請求項13から請求項24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記化合物Iは、前記(メタ)アクリロニトリルに対して(0.8〜1):1のモル比で添加される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
反応時間は4〜24時間である、請求項13から請求項24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記反応時間は5〜18時間である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
反応温度は0〜100℃である、請求項13から請求項24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記反応温度は30〜60℃である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の式IIの化合物のポリマーまたはコポリマー。
【請求項32】
水処理における、レオロジー調整剤としての応用における、表面処理での応用における、油田での応用における、鉱業での応用における、歯科での応用における、プラスチック類における、および/または難燃剤としての、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の式IIの化合物、または請求項31に記載のポリマーもしくはコポリマーの使用。

【公表番号】特表2013−509355(P2013−509355A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535580(P2012−535580)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【国際出願番号】PCT/CN2009/074727
【国際公開番号】WO2011/050534
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(510019093)ロディア チャイナ カンパニー、リミテッド (6)
【Fターム(参考)】