説明

NMR用コンデンサスイッチ

【課題】NMR測定回路の共鳴周波数の帯域を調整することを可能にする。
【解決手段】NMR(核磁気共鳴)コンデンサスイッチは、個々に異なる値を有するコンデンサを回路に挿入する又は回路から切り離すことによってNMR測定回路の共鳴周波数の帯域を調整することを可能にする。一つのスイッチング部材の位置変更は、少なくとも二つのコンデンサの接続状態を変更するのに用いられる。幾つかの実施形態では、少なくとも2対の外部接点が溝に沿って異なる高さに配置されており、縦に間隔をあけた複数のコンデンサを含むスライダが、外部接点の対とスライダに沿って配置された異なるコンデンサとの間に電気接続を確立させるため、溝内で縦方向に移動する。他の実施形態では、二つのコンデンサ列が溝に沿って配置され、移動可能な縦部材がこの列に沿う異なる高さで二つの列の間に電気接続を確立する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核磁気共鳴(NMR)分光法、特に、NMR測定回路の共鳴周波数の調整システム及びその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
関連出願についてのデータ
本出願は、2004年3月31日に出願された米国仮特許出願番号60/558,339の優先権を主張するものである。
核磁気共鳴(NMR)分光計は一般的に、静磁界B0を発生させるために超電導磁石を、及び磁界B0に対して垂直で経時変化する磁界B1を発生させ且つ加えた磁界に対するサンプルの反応を検知するために一つ以上の専用無線周波(RF)コイルを含む。各RFコイル及び関連回路は、サンプル内に存在する目的とする核のラーモア周波数で共鳴することができる。RFコイルはNMRプローブの一部として典型的に設けられ、試料管又はフローセル内にあるサンプルを分析するのに用いられる。静磁界B0の方向は一般にz軸として示され、z軸に垂直な平面は一般にx−y面又はθ面と呼ばれる。
【0003】
目的とする周波数は、目的とする核及び印加した静磁界B0の強さにより決定される。NMR測定の精度を最大限に上げるために、励起/検出回路の共鳴周波数は目的とする周波数と等しい数値に設定する。励起/検知回路の共鳴周波数は、一般的に
【0004】
【数1】

【0005】
であり、L及びCはそれぞれ励起/検知回路の実効インダクタンス及び実効静電容量である。
更に、RFコイルへのRFエネルギーの伝達量を最大にするために、各コイルのインピーダンスは、コイルへのRFエネルギーの結合に用いられる伝送線及び関連構成部品のインピーダンスに整合(マッチング)させる。各コイルのインピーダンスが整合されていない場合、コイルに送られたRFエネルギーの最適量には及ばないエネルギー量が実際にはコイルに入ることとなる。残りのエネルギーは外部にそらされNMR測定に貢献しない。
【0006】
NMR分光計の回路を調整して、所望する共鳴周波数への同調又はインピーダンスの整合を実現するために、幾つかの方法が提起されている。例えば、下記特許文献1(発明者Triebe外)では、プローブ共振子の共鳴周波数を同調させるための可動調整ロッドを含むNMRプローブについて記述している。プローブは、可変抵抗器、インダクタやトリマコンダクタ等の電気装置又は機械装置を遠隔操作で調整するためのアクチュエータも含む。下記特許文献2(発明者Magnuson)では、制御可能なスイッチで同調回路に切り換えることができる複数のコンデンサを含む同調装置について記述している。下記特許文献3(発明者Hayes外)では、コイルの一部分を接地接続させることによって無線周波コイルを同調させる方法について記述している。
【特許文献1】米国特許第6,204,665号明細書
【特許文献2】米国特許第5,986,455号明細書
【特許文献3】米国特許第5,081,418号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
NMR測定回路の共鳴周波数の帯域を調整することを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの局面によると、核磁気共鳴サンプルコイル及びサンプルコイルに電気的に接続されたスイッチングアセンブリを含む核磁気共鳴装置であって、スイッチングアセンブリは、縦溝に沿って配置され少なくとも1つの接点がサンプルコイルに電気的に接続された第1の一対の接点と、第1の一対の接点に対して縦に間隔をあけて縦溝沿って配置された第2の一対の接点であって、少なくとも1つの接点がサンプルコイルに電気的に接続された第2の一対の接点と、縦に間隔をあけて配置された複数のコンデンサを備え、縦方向に移動可能なスイッチング部材と、を備えたことを特徴とする核磁気共鳴装置が提供される。スイッチング部材は、複数のコンデンサからなる異なるコンデンサを第1の一対の接点と第2の一対の接点との間に挿入することが可能となるように、縦溝に配置されている。スイッチング部材の縦方向運動は、第1の一対の接点及び第2の一対の接点に対する複数のコンデンサのうちの少なくとも2つの接続状態を変更し、それによってサンプルコイルを含む核磁気共鳴測定回路の共鳴周波数を調整する。
【0009】
本発明の他の局面によると、サンプルコイルに電気的に接続されたスイッチングアセンブリは、直列接続された複数の第1のコンデンサと、第1のコンデンサ間に規定される複数のコンデンサ間インターフェースに対応して接続された複数の横方向に突出した第1の接点とを含む第1のコンデンサ縦列と、直列接続された複数の第2のコンデンサと、第2のコンデンサ間に規定される複数のコンデンサ間インターフェースに対応して接続された複数の横方向に突出した第2の接点とを含み、第1のコンデンサ列に対し横に間隔をあけて整列された第2のコンデンサ縦列と、第1のコンデンサ列と第2のコンデンサ列との間に規定されたスイッチング溝に配置され縦方向に移動可能なスイッチング部材とを備えている。スイッチング部材は、選択された第1の接点と選択された第2の接点との間に配置されるとき、選択された第1の接点と選択された第2の接点との間に電気接続を確立する。
【0010】
前述の本発明の局面及び効果は、以下の詳細な説明を読み図面を参照することにより、よりよく理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下の説明において、構成要素の組合せは、一つ以上の構成要素を含む。構成要素への言及はいずれも一つ以上の構成要素を含むと理解される。詳述された構成要素又は構造はいずれも、モノリシック構造から作られる若しくはモノリシック構造の一部である、又は複数の区別される構造体から作られ得る。サンプルに対して核磁気測定を行うのにコイルが用いられるとの記述は、コイルがトランスミッタ、レシーバー又はその両方として用いられることを意味すると理解される。電気的接続又は機械的接続の記載はいずれも、中間回路構成要素又は中間構造体を経ての直接接続又は間接接続であり得る。
【0012】
以下の説明では、本発明の実施形態は一例として示されるものであり、必ずしも限定するものではない。
図1は、本発明の実施形態による例示的NMR分光計12を図示した概略図である。分光計12は、磁石16、磁石16の円筒穴に挿入されたNMRのプローブ20、及び磁石16とプローブ20とに電気接続された制御/取得システム18を備えている。プローブ20は、一つ以上の無線周波(RF)コイル24と関連電気回路構成部品とを含む。話を簡単にするため、以下の説明では単一のコイル24に焦点を当てるが、本システムは他の同様なコイルを含んでもよいと理解される。サンプルに対して測定が行われている間、サンプル容器22は、目的とするNMRサンプルをコイル24内に保持するためプローブ20内に配置される。サンプル容器22は、試料管又はフローセルであってもよい。コンデンサ(キャパシタ)、インダクタ及び他の構成部品といった多くの電気回路構成部品がプローブ20の回路領域26に配置され、コイル24に接続されている。コイル24及びコイル24に接続されている種々の構成部品が、一つ以上のNMR測定回路を形成している。回路領域26は、コイル24の真下に、コイル24に隣接して配置されている。
【0013】
測定を実行するには、コイル24内に規定された測定領域にサンプルを挿入する。磁石16は、サンプル容器22内で保持されるサンプルに静磁界B0を生じさせる。制御/取得システム18は、プローブ20に所望の無線周波パルスを加えるよう構成された電子部品と、プローブ20内のサンプルの核磁気共鳴特性を示すデータを得るよう構成された電子部品とを備えている。コイル24は、サンプルに無線周波磁界B1を生じさせるのに用いられ且つ/又は印加された磁界に対するサンプルの反応を測定するのに用いられる。RF磁界は、静磁界に対して垂直である。RF磁界を印加するため、及び印加された磁界に対するサンプルの反応を測定するための両方に、同じコイルを用いてもよい。これに代えて、RF磁界を印加するために1つのコイルを、そして印加された磁界に対するサンプルの反応を測定するために別のコイルを用いてもよい。
【0014】
コイルを含むNMR測定回路の共鳴周波数を同調させることによって、複数の周波数で測定を行うのに単一のコイルを用いてもよい。例示的なNMRシステムにおいて、13C核は、約125MHzの周波数に対応し、31P核は202MHzの周波数に対応する。そのようなシステムで13C核と31P核との両方を測定するのに適したNMRプローブは、その共鳴周波数を、125MHzから202MHzまでの周波数スパンを含む帯域で同調できるようにしてもよい。NMR利用において共通して重要なもう一つの核は、15N核である。
【0015】
図2−Aは、本発明の実施形態による例示的なスイッチング構成における可変同調型(チューニング可能な)NMR測定回路30の概略図を示す。測定回路30は、NMRサンプルコイル24、及び補助インダクタとサンプルコイル24に接続される多くのコンデンサとを含む関連構成部品を含む。回路30の共鳴周波数を所望帯域内にする必要がある場合、コンデンサ34をサンプルコイル24と並列接続してもよい。入力端子36は、外部励起パルスを受ける。連続可変インピーダンス整合(マッチング)コンデンサ38は、入力端子36とサンプルコイル24の入力(近位)側との間に接続されている。回路30のインピーダンス整合を最適化するためコンデンサ38の静電容量を調整してもよい。2つの連続可変コンデンサ40及び44は、それぞれ接地とサンプルコイル24の入力側との間、及び接地(グランド)とサンプルコイル24の出力側との間に接続されている。回路30の少なくとも幾つかのスイッチング構成では、更に2つの固定値の動的に置き替え可能なコンデンサ52a及び52bを、それぞれサンプルコイル24の入力側、及びサンプルコイル24の出力側に接続してもよい。第1のコンデンサ52aはコイル24の近位側と二次(補助)コイル54との間に接続される。第2のコイル54は接地接続される。幾つかのスイッチング構成では、回路30の総インダクタンスを減らす為に二次コイルを用いてもよい。総インダクタンスの減少は、例えば31P NMR測定を行うのに望ましいかもしれない。第2のコンデンサ52bは、コイル24の遠位側と接地との間に接続されている。図2−Aで図示される以外のスイッチング構成では、コンデンサ52a及び52bは、以下に説明するように他のコンデンサ又は短絡に置き換えてもよい。
【0016】
一つの実施形態では、図3を用いて以下に説明するように、コンデンサ52a及び52bは、3つ以上のコンデンサを含む移動可能なスイッチング部材の一部である。コイル24には常に、スイッチング部材のコンデンサが2つだけ接続されている。コンデンサ52a及び52bは、スイッチング部材の単一並進運動を用いる他のコンデンサと置き換えてもよい。スイッチング部材の運動は、ノード/接点50a〜50dのセットの間に挿入されるコンデンサの値を変更する。破線53で図示される様に、2つのノード50a及び50cは回路30の幾つかのスイッチング構成において共通に接地接続されることがある。そのような構成において、第二のインダクタ54は、回路30の他の部分に実質的な影響を及ぼさないかもしれない。
【0017】
図2−Aで示される種々の構成部品に適したインダクタンス値及び静電容量値は所望のNMR利用により選択され得る。例示的な実現例では、サンプルコイル24は、およそ数百mH程度(例えば約250mH)のインダクタンス値を有する。可変コンデンサ40及び44は、1pFないし数十pF(例えば1〜15pF)の連続可変値をとり得る。コンデンサ34は、pFのオーダー(例えば約1.5pF)の値をとり得る。コンデンサ38の静電容量は、インピーダンスが50Ωに整合するよう調整されてもよい。以下に更に詳細に説明するように、コンデンサ52a及び52bは1pFないし数百pFの静電容量値を有してもよい。例示的な実現例では、図2−Aで示される種々のコンデンサは、2500V以上の電圧定格を有する。
【0018】
図2−Bは図2−Aに図示された回路30の種々の構成部品のNMRプローブ内の構成としてとり得る例を示す。可変コンデンサ40及び44は横長の導電性支持体51に取り付けられ、導電性支持体51は接地接続されている。インピーダンス整合コンデンサ38は、もう一つの横方向の導電性支持体51’に取り付けられている。接点82a〜82dの組合せは図2−Aに図示されるノード50a〜50dに対応している。第1の対の接点82a及び82bは第1の高さに配置され、第2の対の接点82c及び82dは接点82a及び82bの上方に整列して第2の高さに配置されている。接点82aと接点82bとの間、及び接点82cと接点82dとの間に必要に応じて、短絡又は異なる値を有するコンデンサを挿入するのに移動可能なコンデンサスイッチング部材が用いられる。
【0019】
図3−Aは、本発明の実施形態による移動可能なコンデンサスイッチング部材60の等角投影図である。スイッチング部材60は大略的に細長い形状で、NMRプローブの他の構成部品に対して縦方向(z軸に沿って)に移動することが可能である。スイッチング部材60は、幾つかの部品、すなわち、剛性スライダ62、スライダ62に取り付けられる複数のチップコンデンサ52a〜52d、及びコンデンサ52a〜52d上に配置される保護コンデンサカバー72、のアセンブリによって作られる。コンデンサ52a〜52dは、スライダ62に縦に均等に間隔をあけて配置されている。スイッチング部材60は、コンデンサ52a〜52dを保持し、コンデンサ52a〜52dが複数の接点位置に滑り込めるようにするコンデンサラックの役割を果たす。
【0020】
スライダ62は、大略的に縦長の支持板64、支持板64の最上部で支持板64に接続されている横方向の接触(短絡)突起66、及び支持板64に接続されNMRプローブ内で支持板64の下に配置される円筒状縦長延長部68を含む。一つの実施形態では、支持板64、接触突起66及び延長部68は、剛性の導電性材料である単一のモノリシック体から作られる。
【0021】
延長部68は、スイッチング部材60を幾つかの所望する縦方向の位置に配置することができるコンピュータ制御の位置調整機構を含んでもよく、当該機構に連結されてもよい。一つの実施形態においては、延長部68は外螺旋ねじ山を含み、その外螺旋ねじ山に整合する螺旋ねじ山と縦長の長孔(スロット)とを有するアウターチューブに挿入される。延長部68に接続されるピンは、長孔を貫通して延びる。アウターチューブがコンピュータ制御のモータを用いて回転されても、スイッチング部材60は突出するピン及び/又は支持板64(矩形の横断面を有する)とその外部との間の接触により回転が防止される。その結果、スイッチング部材60は、縦方向に移動する。スイッチング部材60を幾つかの位置間で縦方向に移動させるのに他の種々の機構を用いてもよいことを当業者は理解するであろう。
【0022】
カバー72は、カバー72の外面に沿って規定される複数の横長の導電性接触板74a〜74eを含む。各接触板74a〜74dは対応するコンデンサ52a〜52dに電気接続され、接触板74eは接触突起66に電気接続される。接触板74a〜74d間の領域は、電気絶縁性を有する。領域は、カバー72に沿う銅製の表面層を化学エッチングにより除去処理することにより形成され得る。カバー72の縦方向両端部76a及び76bは、スイッチング部材60の縦方向の滑り運動を容易にする為に支持板64に向かって内側に屈曲されている。内側への屈曲は、カバー72の端部が他のプローブ構成部品に引っかかるリスクを低下させる。カバー72は、コンデンサ52a〜52dにもたらされる機械的損傷のリスクを低下させる。
【0023】
図3−Bは、スイッチング部材60及びそのNMRプローブ環境の一部を示す。スイッチング部材60は、2つの大略的に縦長の外部導体アセンブリ78a及び78bの間に規定される縦溝又は開口61に配置される。スイッチング部材60は、外部導体アセンブリ78a及び78b間で規定される溝内で縦方向に滑ることができる。外部導体アセンブリ78a及び78bは、それぞれに対応する絶縁性支持板80a及び80b、支持板80a及び80bにそれぞれ対応する下部接点スプリング82a及び82b、並びに支持板80a及び80bにそれぞれ対応する上部接点82c及び82dを含み、接点スプリング82a〜82dはそれぞれ対応する締結具86a及び86b並びに締結具86c及び86dを用いて支持板80a及び80bに取り付けられている。接点スプリング82a〜82dは片側が開いている「D」字形のクリップで作られてもよい。クリップの片側は、クリップに加えられる側方からの圧力に応じて反対側に滑り得る。下部接点スプリング82a及び82bは、同じ高さに配置されている。同様に、上部接点スプリング82c及び82dは、同じ高さに配置されている。下部接点スプリング82a及び82bと、上部接点スプリング82c及び82dとの間の縦間隔は、コンデンサ52a〜52dの相互間隔と同じである。
【0024】
図3−Cは、カバー72の接触表面に面するスイッチング部材60の縦側面図を示す。複数のめっきスルーホール98が、接触板74a〜74eに沿ってカバー72の絶縁性基板を貫通して規定されている。一つの実現形態では、2つのスルーホール98が各接触板74a〜74eに沿って規定される。スルーホール98は、接触板74a〜74dと、各接触板に対応するコンデンサ52a〜52dとの間(図3−Aに図示されている)、及び接触板74eと導電性突起66との間(図3−Aに図示)に電気接続を確立させるために用いられる。
【0025】
幾つかの実施形態では、スライダ62はパラジウムコート又は金コートされた銅から作られる。他の導電性材料(例えば金属)もスライダ62に適しているかもしれない。幾つかの実施形態では、スライダ62は複合組立部品から作られてもよい。接点スプリング82a〜82dは、比較的弾力性があり非磁性であるパラジウムコート又は金コートのベリリウム銅から作られてもよい。他の材料(例えばばね鋼)も接点スプリング82a〜82dに用いられてもよい。カバー72は銅で被覆されているプリント回路基板(PCB)部分で作られてもよい。例示的な実施形態において、コンデンサ52a〜52dの寸法はおよそ1cmでありスイッチング部材60の縦寸法はおよそ10cm〜20cmである。
【0026】
スイッチング部材60は、コンデンサ52a〜52dをそれぞれスライダ62に規定される対応する溝上に取り付け、コンデンサ52a〜52dをスライダ62にはんだ付けし、カバー72をコンデンサ52a〜52d上にはんだ付けすることで作られてもよい。1回のはんだ付けステップで、コンデンサ52a〜52dをスライダ62及びカバー72に接続させてもよい。これに代えて、2回以上のはんだ付けステップを用いてもよい。カバー72は、導電性接触板74a〜74e間に絶縁性の条片をエッチング除去処理で作り、導電性接触板74a〜74eを貫通するスルーホール98を穿孔し、接触板74a〜74eに沿って、カバー72の反対側との間に電気接続を確立するためにスルーホール98にめっきを施すことで作られてもよい。スイッチング部材60はそれから駆動機構上に取り付けられ、接点82a〜82dの間に規定される領域で縦方向に滑らせる。
【0027】
回路30の作動は、スイッチング部材60の7つの連続するスイッチング構成を図示する図4−A〜図4−Gを用いてよりよく理解されるかもしれない。図4−Hは、スイッチング部材60用の静電容量値の構成としてとり得る一例を示す。表1は、図4−Hで示される静電容量値を用いたNMR回路において、図4−A〜図4−Gで示される構成で計測された共鳴周波数及び理論モデル化された共鳴周波数を一覧にしている。表1はまた、図4−A〜図4−Gで示されるスイッチング部材60の各位置における上部接点82cと上部接点82dとの間及び下部接点82aと下部接点82bとの間の静電容量値を一覧にしている。
【0028】
【表1】

【0029】
図4−Aは、スイッチング部材60が接点82a〜82dに触れていないシステム構成を示す。表1に一覧表記されているように、可変コンデンサ40及び44を調整する結果得られる共鳴周波数帯域は、82MHz〜130MHzであると観測された。対応する理論計算では、93MHz〜180MHzの帯域を得られた。図4−Bは、スイッチング部材60が下部接点端子82aと下部接点端子82bとを短絡させ、且つスイッチング部材60が上部接点端子82c及び82dに触れていないシステム構成を示す。図4−Cは上部接点82cと上部接点82dとを短絡させ、且つ下部接点82a及び82b間には静電容量値68pFの静電容量が導入されている構成を示す。図4−Dの構成では、68pF及び56pFの静電容量値を有するコンデンサがそれぞれ上部接点82c及び82d間並びに下部接点82a及び82b間に挿入されている。図4−E及び図4−Fの構成では、外部接点間に導入されたコンデンサ値の組合せは、それぞれ(56pF、39pF)及び(39pF、15pF)である。図4−Gは、静電容量値が15pFであるコンデンサが上部接点82c及び82d間に配置され、且つスイッチング部材60が下部接点82a及び82bに触れていない構成を示す。
【0030】
図5−Aは、本発明のもう一つの実施形態による可変同調型(チューニング可能な)NMRプローブ回路130の概略図である。回路130は、図2−Aを用いて上述したように接続されたサンプルコイル24、可変コンデンサ40及び44、インピーダンス整合コンデンサ38を含む。回路130の幾つかのスイッチング構成では、サンプルコイル24と同じ回路ノードの間に二次コイル154を接続してもよい。回路130の種々のスイッチング構成において図5−Aで示す回路ノード150a〜150e間に確立される接続は、図5−B、図6−A〜図6−D及び図7−A〜図7−Fを用いた以下の説明を考察することにより、よりよく理解することができる。
【0031】
図5−Bに、本発明の実施形態に係る図5−Aの回路の幾つかの構成部品の構成の側面図を示す。支持板51及び51’への可変コンデンサ40及び44とインピーダンス整合コンデンサ38の物理的配置は、図2−Bを用いて上述したのと同様である。第1の接点182aは接地接続され第1の高さに配置される。接点182aは、以下に説明する対応するコンデンサスイッチング部材の背面(後)側に面している。一対の接点182b及び182cが第1の高さより上方にある第2の高さに配置され、もう一対の接点182d及び182eが第2の高さより上方にある第3の高さに配置されている。補助インダクタ154は、接点182bと接点182dとの間に接続されている。接点182b及び182c間と、接点182d及び182e間に短結線及び/又は異なる値を有するコンデンサを挿入し、接点182aを通してスイッチング部材主軸を接地させるのに、移動可能なコンデンサスイッチング部材が用いられる。
【0032】
図6−Aは、本発明の実施形態による図5−Aの回路に用いるのに適した移動可能な静電容量スイッチング部材160の等角投影図である。図6−Bは、スイッチング部材160の縦側面図である。スイッチング部材160は、幾つかの部品、すなわち、剛性スライダ162、スライダ162に取り付けられる複数のチップコンデンサ152a〜152c、及びスライダ162に取り付けられコンデンサ152a〜152cの上方に配置される横長の導体延長部172、のアセンブリによって作られる。コンデンサ152a〜152cは、スライダ162に縦に均等に間隔をあけて配置される。スイッチング部材160は、コンデンサ152a〜152cを保持し、コンデンサ152a〜152cが複数の接点位置に滑り込めるようにするコンデンサラックの役割を果たす。スライダ162は、大略的に縦長の支持板164、支持板164の最上部で支持板164に接続されている横方向への接触(短絡)突起166、支持板164の最下部で支持板164に接続されている近位の横方向への接触(短絡)突起165、近位突起165に接続されNMRプローブ内で支持板164の下に配置される円筒状縦長延長部168を含む。スライダ162の各種部品は、図3−Aを用いて上述したように、パラジウムめっき又は金めっきされた銅の単一のモノリシック体から作られてもよい。
【0033】
延長部172はスライダ162に取り付けられる絶縁性支持体174、及び支持体174に取り付けられる縦方向に間隔をあけた2つの横長の導電性接触クリップ176a及び176bを含む。接触クリップ176a及び176bはそれぞれ、スイッチング部材160の背面側と正面側との間に電気接続を確立する。図6−Cは、支持体174の等角投影図であり、図6−Dは、本発明の実施形態による例示的な接触クリップ176aの等角投影図である。支持体174は、接触クリップ176a及び176bをそれぞれ受けとめるようにサイズ設定され、縦に間隔をあけた2つの平行な横方向の溝(溝形)178a及び178bを含む。溝178a及び178bは中央の隆起180により分離され、それぞれ、スライダ接続部182及び軸最上部184により外部と連結される。スライダ接続部182は、延長部172をスライダ162(図6−A及び図6−Bに図示)に固定する。支持体174はポリテトラフルオロエチレン(PTFE、テフロン(登録商標)として周知)等の絶縁性材料から作られてもよい。接触クリップ176は、パラジウムめっき又は金めっきされた銅から作られてもよい。スイッチング部材160は、図3−A〜図3−Cで示すように、コンデンサカバーを更に含んでもよい。
【0034】
図7−A〜図7−Eは、本発明の実施形態による図6−A及び図6−Bのスイッチング部材の幾つかの連続する配置及びスイッチング部材の配置に対応するスイッチング回路構成の概略図である。図7−Fは、本発明の実施形態による図7−A〜図7−Eに図示されるスイッチング部材用に選択されたコンデンサ値の組合せを示す。表2は、図7−Fで示される静電容量値を用いたNMR回路において、図7−A〜図7−Eで示される構成で計測された共鳴周波数を一覧にしている。表2はまた、図7−A〜図7−Eで示されるスイッチング部材160の各位置における上部接点182bと上部接点182cとの間及び中間接点182dと中間接点182eとの間の静電容量値を一覧にしている。例示的な実現例では、図7−Aの構成が13C核 NMR測定を実行するのに用いられ、図7−Bの構成が31P核測定に用いられ、図7−Eの構成が15N核測定に用いられる。
【0035】
【表2】

【0036】
図7−Aは、スイッチング部材160が接点182a〜182eに触れていないシステム構成を示す。表2に一覧表記されているように、可変コンデンサ40及び44を調整する結果得られる共鳴周波数帯域は、139MHz〜184MHzであると観測された。図7−Bは、スイッチング部材160が一対の接点182b及び182c、並びに一対の接点182d及び182eを短絡させている(すなわち、図5−Aで示すノード150bとノード150cとを短絡させ、ノード150dとノード150eとを短絡させる)構成を示す。図7−Bの構成では、NMR測定回路に、補助インダクタ154が、サンプルコイル24と同じ電圧ノードの間に導入されている。図7−Bで示すように補助インダクタ154を回路に導入することにより、回路の総インダクタンスを減らし、得られる最大共鳴周波数を増大させる。結果として得られる共鳴周波数帯域は、137〜202MHzであると観測された。図7−Cは上部接点182dと上部接点182eとを短絡させ且つ下部接点182aを経て接地させ、更に中間接点182b及び182c間、すなわちコイル24の近位側と接地との間に静電容量値2pFの静電容量が導入されている構成を示す。図7−Dの構成では、2pF及び47pFの静電容量値を有するコンデンサがそれぞれ上部接点182dと上部接点182eとの間、及び中間接点182bと中間接点182cとの間に挿入され、且つ接点182aがスライダ160を接地させるのに用いられている。図7−Eの構成では、47pF及び47pFの静電容量値を有するコンデンサがそれぞれ上部接点182dと上部接点182eとの間、及び中間接点182bと中間接点182cとの間に挿入され、且つ接点182aがスライダ160を接地させるのに用いられている。
【0037】
図8は、本発明のもう一つの実施形態による静電容量スイッチング部材260の縦断面図である。静電容量スイッチング部材260は、スライダ64、及び図3−Aを用いて上述したようにスライダ64に取り付けられたコンデンサ52a〜52dを含む。複数の絶縁性のコンデンサ間ブロック165a〜165eがコンデンサ52a〜52dとスライダ64との間の領域に配置されている。コンデンサ間ブロック165a〜165eは、保護カバー72(図3−Aに図示)と同様の保護機能を果たす。コンデンサ間ブロック165は、ウルテムの商標名でゼネラルエレクトリック社から売られているアモルファス熱可塑性ポリエーテルイミド等のプラスチック又は樹脂から作られてもよい。
【0038】
図9−Aは、本発明のもう一つの実施形態によるスイッチング回路330の概略図である。回路330は、サンプルコイル24、外部励起パルスを受けるための入力端子36、入力端子36とサンプルコイル24の入力(近位)側との間に接続される可変インピーダンス整合コンデンサ38、接地(グランド)とサンプルコイル24の入力側との間に接続される可変コンデンサ40、及び回路330の得られる共鳴周波数帯域を切り換えるためサンプルコイル24にわたって接続される静電容量スイッチングアセンブリ360、を含む。回路30のインピーダンス整合を最適化するためコンデンサ38の静電容量を調整してもよい。
【0039】
静電容量スイッチングアセンブリ360は、コイル24の入力側と接地との間で直列接続された第1のコンデンサ連鎖(チェーン)を備えた入力側コンデンサ列350a、及びコイル24の出力側と接地との間で直列接続された第2のコンデンサ連鎖(チェーン)を備えた出力側コンデンサ列350bを含む。図中353で概略的に図示されるスイッチは、コイル24の出力側を直接接地接続させることができる。図9−Aに示すように、2つの列350a及び350bのそれぞれ対応するコンデンサ間ノードの対の間で複数のスイッチング接続354を確立してもよい。幾つかの実施形態では、同じ高さに規定された対となる2つのコンデンサは同一の静電容量値を有してもよく、一方、異なる高さにあるコンデンサの対は相互に異なる静電容量値を有してもよい。
【0040】
図9−Bは、本発明の実施形態によるスイッチング回路330で用いるのに適した静電容量スイッチングアセンブリの縦側面図を示す。スイッチングアセンブリ360は、大略的に縦長の、平行な2つのコンデンサ列350a及び350bを含む。各列350a及び350bは、複数の積み重ねてはんだ付けされたチップコンデンサを含み、各コンデンサ間インターフェースには接触クリップが取り付けられている。上述のコンデンサが4つ(352a〜352d)ある場合を考察する。コンデンサ352a及び352bは、コンデンサ352c及び352dとは異なる同一の静電容量値を有し得る。コンデンサ352a及び352cははんだ接続部355aで接続され、コンデンサ352b及び352dははんだ接続部355bで接続されている。2つの接点スプリング(クリップ)357a及び357bもはんだ接続部355a及び355bにそれぞれ結合されている。接触クリップ357a及び357bは、2つの列350aと列350bとの間に、対応するコンデンサ間インターフェースの高さで横方向に突出している。スライド可能な接触部材359は列350aと列350bとの間に配置され、列350aと列350bとの間を縦方向に移動することができる。接触部材359は、2つの相互に電気接続された接点スプリング(クリップ)361a及び361bを含み、各接点スプリング361a,361bは、接触部材359が列350aと列350bとの間で適切な高さに配置された際に、それぞれ対応するクリップ355a及び355bに接触することができる。接触部材359により確立される電気接続は、図9−Aに354として図示されるスイッチ接続に対応する。
【0041】
接触部材359がサンプルコイル24近傍に配置される際には、比較的高い等価の静電容量がサンプルコイル24にわたって確立される。接触部材359が低い位置に配置される際には、直列接続された複数のコンデンサではより低い等価の静電容量がサンプルコイル24にわたって確立される。接触部材359の各スイッチング位置に望ましい周波数同調帯域を得るため、当業者は列350a及び350bのコンデンサに適した静電容量値を選択し得る。
【0042】
上述の好適なシステム及び方法は、個々に異なる静電容量値を有するコンデンサをNMR回路に挿入すること、又はNMR回路から切り離すことによって、NMR回路の共鳴周波数帯域のコンピュータ制御による同調を可能にする。上述のようにスイッチング部材の一つの縦方向運動を用いて2つの異なるコンデンサの接触状態を確立すること、又は変更することにより、NMR回路の構成部品を比較的密接にまとめることができる。このことは領域に制約のあるNMRプローブ環境においては特に重要である。利用可能な領域の確保はより大きなコンデンサを収めるのにも用いることができ、その結果、より高い電圧定格を有し得る。コンデンサカバー又はコンデンサ間保護ブロックはスイッチングアセンブリの信頼性を改善するのに用いることができる。実際の適用では、明白な性能劣化なしで何千回も開閉(スイッチング)サイクルが機能する必要があるかもしれない。更に、1つ以上のはんだ面上で摺動による電気接続を確立することで、スイッチが異なる位置間を反復すると、スイッチ性能に重大な性能低下をもたらし得ると観測された。上述の好適なスイッチングアセンブリの考案は、比較的丈夫で信頼できる導電性接触面の使用を可能にする。
【0043】
図2−Aで図示される様な幾つかの実施形態では、サンプルコイルと接地との間に補助インダクタを接続してもよい。図5−Aで図示される様な他の実施形態では、サンプルコイルと同じノードにわたって補助インダクタを接続してもよい。サンプルコイルと同じノードにわたって補助インダクタを接続することにより、優れたNMR測定性能(パルス幅の改善)を得ることができると観測された。幾つかの実施形態では、所望する利用次第では補助インダクタを用いる必要はない。
【0044】
上記の実施形態は、発明の範囲を逸脱することなく、種々に変更され得る。例えば、コンデンサカバー又は一つ以上のコンデンサ間保護ブロックは、上述した特定の形状を含め、種々の形状のスイッチング部材とともに用いることができる。上述したようなNMR回路は、補助インダクタを含んでもよく含まないでもよい。スイッチング部材を縦方向に移動させるために種々の駆動機構を用いてもよい。スライダは、相互に絶縁された幾つかの導電性部分を含んでもよく、スライダに沿って配置された異なるコンデンサは共通のノードに接続される必要はない。従って、発明の範囲は、以下の特許請求の範囲及びその法的均等物で定められるべきものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態による例示的NMR分光計の概略図である。
【図2−A】本発明の実施形態による可変同調型NMRプローブ回路の概略図である。
【図2−B】本発明の実施形態による図2−Aの回路の幾つかの構成部品の配列の側面図を示す。
【図3−A】本発明の実施形態による図2−Aの回路に適した移動可能な静電容量スイッチング部材の等角投影図を示す。
【図3−B】は、本発明の実施形態による図3−Aのスイッチング部材及びそのプローブ環境の縦側面図を示す。
【図3−C】図3−Aのスイッチング部材を図3−Bとは直角をなす方向からみた別の縦側面図を示す。
【図4−A】本発明の実施形態による図3−A〜図3−Cのスイッチング部材の配置及び当該スイッチング部材の配置に対応するスイッチング回路を概略的に図示する。
【図4−B】本発明の実施形態による図3−A〜図3−Cのスイッチング部材の配置及び当該スイッチング部材の配置に対応するスイッチング回路を概略的に図示する。
【図4−C】本発明の実施形態による図3−A〜図3−Cのスイッチング部材の配置及び当該スイッチング部材の配置に対応するスイッチング回路を概略的に図示する。
【図4−D】本発明の実施形態による図3−A〜図3−Cのスイッチング部材の配置及び当該スイッチング部材の配置に対応するスイッチング回路を概略的に図示する。
【図4−E】本発明の実施形態による図3−A〜図3−Cのスイッチング部材の配置及び当該スイッチング部材の配置に対応するスイッチング回路を概略的に図示する。
【図4−F】本発明の実施形態による図3−A〜図3−Cのスイッチング部材の配置及び当該スイッチング部材の配置に対応するスイッチング回路を概略的に図示する。
【図4−G】本発明の実施形態による図3−A〜図3−Cのスイッチング部材の配置及び当該スイッチング部材の配置に対応するスイッチング回路を概略的に図示する。
【図4−H】本発明の実施形態による図4−A〜図4−Gに図示されるスイッチング部材用に選択されたコンデンサ値の組合せを示す。
【図5−A】本発明の他の実施形態による可変同調型NMRプローブ回路の概略図である。
【図5−B】本発明の実施形態による図5−Aの回路の幾つかの構成部品の配列の側面図を示す。
【図6−A】本発明の実施形態による図5−Aの回路に適した移動可能な静電容量スイッチング部材の等角投影図を示す。
【図6−B】本発明の実施形態による図6−Aのスイッチング部材の縦側面図を示す。
【図6−C】本発明の実施形態による図6−Aのスイッチング部材の絶縁性延長部の等角投影図を示す。
【図6−D】本発明の実施形態による図6−Cの絶縁性延張部に取り付けることのできる導電性接触クリップの等角投影図を示す。
【図7−A】本発明の実施形態による図6−A及び図6−Bのスイッチング部材の配置及び当該スイッチング部材の配置に対応するスイッチング回路を概略的に図示する。
【図7−B】本発明の実施形態による図6−A及び図6−Bのスイッチング部材の配置及び当該スイッチング部材の配置に対応するスイッチング回路を概略的に図示する。
【図7−C】本発明の実施形態による図6−A及び図6−Bのスイッチング部材の配置及び当該スイッチング部材の配置に対応するスイッチング回路を概略的に図示する。
【図7−D】本発明の実施形態による図6−A及び図6−Bのスイッチング部材の配置及び当該スイッチング部材の配置に対応するスイッチング回路を概略的に図示する。
【図7−E】本発明の実施形態による図6−A及び図6−Bのスイッチング部材の配置及び当該スイッチング部材の配置に対応するスイッチング回路を概略的に図示する。
【図7−F】本発明の実施形態による図7−A〜図7−Eに図示されるスイッチング部材用に選択されたコンデンサ値の組合せを示す。
【図8】本発明の他の実施形態による静電容量スイッチング部材の縦側面図を示す。
【図9−A】本発明の更に他の実施形態によるスイッチング回路の縦側面図を示す。
【図9−B】本発明の実施形態による図9−Aの回路に適した静電容量スイッチングアセンブリの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
核磁気共鳴サンプルコイルと
上記サンプルコイルに電気的に接続されたスイッチングアセンブリとを備え、
上記スイッチングアセンブリは、縦溝に沿って配置され少なくとも1つの接点がサンプルコイルに電気的に接続された第1の一対の接点と、
上記第1の一対の接点に対して縦に間隔をあけて上記縦溝に沿って配置された第2の一対の接点であって、少なくとも1つの接点が上記サンプルコイルに電気的に接続された第2の一対の接点と、
縦に間隔をあけて配置され、3つ以上のコンデンサを含む複数のコンデンサを備え、縦方向に移動可能なスイッチング部材であって、このスイッチング部材は、複数のコンデンサから選択される異なるサブセットの2つのコンデンサを上記第1の一対の接点と上記第2の一対の接点との間に挿入することが可能であるように、上記縦溝に配置され、上記スイッチング部材の縦方向運動は、上記第1の一対の接点及び上記第2の一対の接点に対する上記複数のコンデンサのうちの少なくとも2つの接続状態を変更し、それによって上記サンプルコイルを含む核磁気共鳴測定回路の共鳴周波数を調整するスイッチング部材と、
を含むことを特徴とする核磁気共鳴装置。
【請求項2】
上記第1の一対の接点の間に配置されるとき、上記第1の一対の接点を短絡させるようなサイズに設定された横方向への短絡突起を含む主軸であって、導電性を有する剛性の主軸を、上記スイッチング部材が含むことを特徴とする請求項1に記載の核磁気共鳴装置。
【請求項3】
上記スイッチング部材が、上記複数のコンデンサが取り付けられた剛性の主軸と、
上記剛性の主軸の反対側に配置された上記コンデンサに取り付けられた保護カバーとを備えたことを特徴とする請求項1に記載の核磁気共鳴装置。
【請求項4】
上記保護カバーが、絶縁性領域によって分離された複数の横方向の導電性接触板を含む外面を有し、少なくとも1つの上記横方向の導電性接触板が上記複数のコンデンサの1つに電気的に接続されていることを特徴とする請求項3に記載の核磁気共鳴装置。
【請求項5】
上記スイッチング部材が、上記複数のコンデンサ間に配置された複数の絶縁性を有する保護コンデンサ間ブロックを更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の核磁気共鳴装置。
【請求項6】
上記スイッチング部材が、上記複数のコンデンサに対して縦方向に間隔をあけた縦長の延長部を更に備え、上記縦長の延長部が、絶縁性の支持部材と、この絶縁性の支持部材上に取り付けられた横長の短絡コンデンサとを備え、上記横長の短絡コンデンサが上記第1の一対の接点の間に配置されるとき、上記第1の一対の接点を短絡させるようなサイズに設定されていることを特徴とする請求項1に記載の核磁気共鳴装置。
【請求項7】
上記第1の一対の接点及び上記第2の一対の接点から選択された少なくとも1つの接点に接続された補助インダクタを更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の核磁気共鳴装置。
【請求項8】
上記第1の一対の接点及び上記第2の一対の接点の各接点が、上記スイッチング部材に接触するよう配置された導電性クリップスプリングを含むことを特徴とする請求項1に記載の核磁気共鳴装置。
【請求項9】
上記サンプルコイルの第1端子とグランドとの間に接続された第1の可変コンデンサと、
上記サンプルコイルの第2端子とグランドとの間に接続された第2の可変コンデンサとを更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の核磁気共鳴装置。
【請求項10】
上記第1の一対の接点の接点と上記第2の一対の接点の接点との間、且つ上記第1の一対の接点及び上記第2の一対の接点に対し上記サンプルコイルの反対側に接続された補助インダクタを更に備えたことを特徴とする請求項9に記載の核磁気共鳴装置。
【請求項11】
第1の一対の接点と第2の一対の接点との間に規定された縦溝に配置されたスイッチング部材の縦方向運動を行うことにより、上記第1の一対の接点の少なくとも1つの接点と上記第2の一対の接点の少なくとも1つの接点がサンプルコイルに電気的に接続されており、上記スイッチング部材が、縦に間隔をあけて配置され、3つ以上のコンデンサを含む複数のコンデンサを含み、上記縦方向運動が、上記複数のコンデンサから選択される異なるサブセットの2つのコンデンサを、上記第1の一対の接点の間及び上記第2の一対の接点の間に挿入して、上記縦方向運動が上記第1の一対の接点及び上記第2の一対の接点に対する上記複数のコンデンサの少なくとも2つのコンデンサの接続状態を変更し、核磁気共鳴測定回路の共鳴周波数を調整することと、
上記サンプルコイルに挿入されたサンプルに対し核磁気共鳴測定を行うことと、
を含むことを特徴とする核磁気共鳴方法。
【請求項12】
核磁気共鳴サンプルコイルと
上記サンプルコイルに電気的に接続されたスイッチングアセンブリとを備え、
上記スイッチングアセンブリは、直列接続された複数の第1のコンデンサと、この第1のコンデンサ間に規定される複数のコンデンサ間インターフェースに対応して接続された複数の横方向に突出した第1の接点とを含む第1のコンデンサ縦列と、
直列接続された複数の第2のコンデンサと、この第2のコンデンサ間に規定される複数のコンデンサ間インターフェースに対応して接続された複数の横方向に突出した第2の接点とを含み、上記第1のコンデンサ列に対し横に間隔をあけて整列された第2のコンデンサ縦列と、
上記第1のコンデンサ列と上記第2のコンデンサ列との間に規定されたスイッチング溝に配置され縦方向に移動可能なスイッチング部材であって、このスイッチング部材は、選択された上記第1の接点と選択された上記第2の接点との間に配置されるとき、上記選択された第1の接点と上記選択された第2の接点との間に選択的に電気的な接続を確立するスイッチング部材と、
を備えたことを特徴とする核磁気共鳴装置。

【図1】
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【図2−A】
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【図2−B】
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【図3−A】
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【図3−B】
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【図3−C】
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【図4−A】
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【図4−B】
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【図4−C】
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【図4−D】
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【図4−E】
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【図4−F】
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【図4−G】
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【図4−H】
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【図5−A】
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【図5−B】
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【図6−A】
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【図6−B】
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【図6−C】
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【図6−D】
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【図7−A】
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【図7−B】
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【図7−C】
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【図7−D】
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【図7−E】
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【図7−F】
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【図8】
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【図9−A】
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【図9−B】
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【公表番号】特表2007−530972(P2007−530972A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506127(P2007−506127)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/028757
【国際公開番号】WO2005/103749
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(599060928)バリアン・インコーポレイテッド (81)