説明

PM発生装置

【課題】実際のディーゼルエンジン等からの排気ガスを十分に模擬した排気ガスを製造し供給することが可能な手段を提供することにある。
【解決手段】PM発生装置10の提供による。PM発生装置10は、空気入口113から筐体部5と外筒部6との間の空間に供給された燃焼用空気が、外筒部6の貫通孔61を介して外筒部6と内筒部7との間の空間へ導入されるとともに、燃料噴射手段3によって筐体部5と外筒部6との間の空間に噴射された燃料が、外筒部6の貫通孔61を介して外筒部6と内筒部7との間の空間に導入され、その空間で燃焼しPMが生成されるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DPFや触媒等を備えた排気ガス浄化装置を評価するために、ガス中にPMを発生させるPM発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の内燃機関等から排出される排気ガス中の微粒子や有害物質は、人体、環境への影響が大きく、これらの大気への放出を防止する必要性が高まっている。特に、ディーゼルエンジンから排出される粒子状物質(パティキュレートマター、Particulate Matter、PM)やNO(窒素酸化物)等は影響が甚大であり、それらにかかる規制は世界的に強化されている。そこで、PMを除去するためのフィルタ(Diesel Particulate Filter、DPF)やNOを窒素と水に還元するため等に有用な触媒を備えた排気ガス浄化装置の研究・開発が進められ、高性能な浄化装置が市場に提供されるようになった。
【0003】
ところが、その排気ガス浄化装置を試験し、その性能や耐久性を正確に高い精度で評価する手段は提案されていない、というのが現状である。関連する先行文献も多くはなく、評価ガス供給装置(特許文献1)、気化ガス供給装置(特許文献2)、及びガス分析試験装置(特許文献3)が知られるが、実際の排気ガスを十分に模擬したものとはいえなかったり(特許文献1を参照)、排気ガス発生のための具体的な手段が明らかとなっていない(特許文献2,3を参照)、という問題を有していた。
【0004】
以下、従来技術について説明する。排気ガス浄化装置の性能等を評価する手段としては、先ず、実際のディーゼルエンジン等からの排気ガスを排気ガス浄化装置に供給して、その処理ガスを分析する方法がある。次いで、カーボン粉末や実際の排気ガスから採取したPMを用い、これをガス中に混合して、実際のディーゼルエンジン等からの排気ガスを模擬した排気ガスを製造し、それを排気ガス浄化装置に供給して、その処理ガスを分析する方法が知られる(特許文献1を参照)。更には、軽油又は炭化水素を燃焼させてPMを含む排気ガスを発生させる方法や、黒鉛電極をスパークさせてPMを含む排気ガスを発生させる方法が知られ、これらにより得られた排気ガスを用いて、排気ガス浄化装置の性能等を評価することが可能である(特許文献1を参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2005−214742号公報
【特許文献2】特開平10−318888号公報
【特許文献3】特開平10−319006号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、実際のディーゼルエンジン等からの排気ガスを利用する方法では、排気ガス流量、PM発生量、排気ガス温度、SOF量を、独立して制御出来ないため、一定条件で排気ガス浄化装置の性能等を評価することが不可能であるという問題があった。又、ディーゼルエンジン等からの排気ガスを模擬した排気ガスを製造する方法(特許文献1を参照)では、実際に使用される燃料と異なっていたり、一旦採取されたPMを用いることから、既述の通り、実際の排気ガスを十分に模擬したものとはいえないという問題があった。更に、軽油又は炭化水素を燃焼させてPMを含む排気ガスを発生させる方法では、PMの性状、特にPMの粒径分布等の性状が、実際のディーゼルエンジン等からの排気ガスとは異なるものとなり、実際の排気ガスを十分に模擬したものとはいえず、排気ガス浄化装置の性能等の評価に適さないという問題があった。即ち、何れの場合も、排気ガス浄化装置へ供給する評価用の排気ガスを発生させる手段に問題があった。
【0007】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、排気ガス浄化装置を評価するために、実際のディーゼルエンジン等からの排気ガスを十分に模擬した排気ガスを一定の条件で安定的に供給することが可能な手段を提供することにある。検討が重ねられた結果、以下に示す手段により、上記目的を達成出来ることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、先ず、本発明によれば、液体及び/又は気体の燃料と、燃焼用空気と、の混合を行い、混合をされた混合気に不完全な燃焼をさせて、ガスの中にPMを発生させる装置であって、混合及び燃焼を生じる燃焼室と、その燃焼室へ燃料を噴射する燃料噴射手段と、混合気を着火するパイロットバーナと、を具備し、燃焼室が、燃焼用空気を供給するための空気入口、PMを発生させたガスを送出するためのガス出口、及びパイロットバーナに通じる火炎入口、を形成した筐体部と、その筐体部との間に空間を形成しつつ筐体部の中に組み込まれた外筒部と、その外筒部との間に空間を形成するとともに火炎入口と直接連通するように外筒部の中に組み込まれた内筒部と、を有し、外筒部及び内筒部は、それぞれの周面に複数の貫通孔を備え、燃料噴射手段によって筐体部と外筒部との間の空間に噴射された燃料と、空気入口から筐体部と外筒部との間の空間に供給された燃焼用空気とが、外筒部の貫通孔を介して外筒部と内筒部との間の空間へ導入され混合をされるように構成されているPM発生装置(Particulate Matter Generater)が提供される。本発明に係るPM発生装置は、ガスの中にPMを発生させる装置であり、換言すれば、本発明に係るPM発生装置は、PMを発生させたガス(PM含有ガス)を製造し供給する装置ということが出来る。尚、スート(煤、Soot)及びSOFは、PM(粒子状物質)に含まれるものである。
【0009】
本発明に係るPM発生装置においては、上記燃料噴射手段が、筐体部と外筒部との間の空間に、燃料を間欠で噴射することが可能な手段であることが好ましい。
【0010】
本発明に係るPM発生装置は、筐体部が円筒状部分を有するとともに、外筒部及び内筒部が円筒状を呈し、筐体部の円筒状部分の中に、円筒状の外筒部が、筐体部の円筒状部分と同軸になるように組み込まれ、円筒状の外筒部の中に、円筒状の内筒部が、円筒状の外筒部と中心軸方向を同じくし且つ偏心して組み込まれているものであることが好ましい。以下、このような態様における更に好ましい態様について説明する。
【0011】
本発明に係るPM発生装置は、ガス出口に通じる開口を備え、筐体部の中に組み込まれてガス出口側の端面を構成する前板部と、火炎入口に通じる開口を備え、筐体部の中に組み込まれて火炎入口側の端面を構成する後板部と、を有することが好ましい。そして、この場合に、前板部と外筒部とが一体化し、及び/又は、後板部と内筒部とが一体化していることが好ましい。更に、外筒部、内筒部、前板部、及び後板部が、金属材料で形成されていることが好ましい。そして、その金属材料が、インコネルであることが好ましい。この場合、燃料を燃焼用空気と混合し不完全な燃焼をさせてガスの中にPMを発生させる、という反応は、全てインコネル材料の部材で囲われた空間で生じることになる。
【0012】
また、外筒部、内筒部、前板部、及び後板部が、セラミック材料で形成されていることも好ましい。そして、このセラミック材料が、窒化珪素、炭化珪素、ジルコニア、燐酸ジルコニウム、アルミニウムチタネート、チタニア、及びこれらの組み合わせよりなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。この場合、金属材料に比べて更に耐久性能が向上する。さらに、セラミック材料は、金属材料に比べて熱変形が生じ難いため、熱変形に起因するPM発生量の低下を防止することができるという利点がある。なお、上記群の中でも、セラミック材料は、窒化珪素であることが好ましい。
【0013】
本発明に係るPM発生装置において、燃料噴射手段は、燃料の噴射方向が、外筒部の中心軸方向に対し概ね直角であり且つ外筒部の中心軸方向に垂直な断面の接線方向に傾くように、筐体部に設けられ、燃料噴射手段によって筐体部と外筒部との間の空間へ噴射された燃料が、外筒部の周面を廻りながら、外筒部の貫通孔を介して外筒部と内筒部との間の空間へ導入されるように構成されていることが好ましい。概ね直角とは、好ましくは直角であるが、厳密でなくてもよいことを意味し、燃料の噴射方向が、外筒部の中心軸方向に対し85〜95°であってよい。又、上記要件に従う限り、燃料の廻る方向及びそれを実現するための燃料噴射手段の筐体部への取付態様は限定されない。
【0014】
又、空気入口が、筐体部の前記燃料噴射手段の近傍に設けられ、空気入口から筐体部と外筒部との間の空間に供給された燃焼用空気が、燃料とともに、外筒部の周面を廻りながら、外筒部の貫通孔を介して外筒部と内筒部との間の空間へ導入されるように構成されていることが好ましい。
【0015】
本発明に係るPM発生装置において、外筒部に備わる貫通孔の一部又は全部が、外筒部の中心軸方向に垂直な断面の接線方向(外筒部の周面の方向(周方向))に傾いて形成されていることが好ましい。貫通孔が傾くので、外筒部の表面には楕円形の開口が形成される。
【0016】
本発明に係るPM発生装置は、筐体部の円筒状部分の中心軸方向に垂直な断面に、その中心軸を通り相互に直角をなすX軸及びY軸からなる座標軸を設定した場合において(但し、X軸とY軸とは中心軸方向に垂直な断面で相互に直角であればよく、絶対的な方向は限定されない)、筐体部の円筒状部分の内壁がY=+100に位置するとき、Y=+60〜80の位置に、燃料の噴射方向がX軸に平行になるように、燃料噴射手段が筐体部に設けられるものであることが好ましい。尚、外筒部は筐体部の円筒状部分と同軸であるから、上記座標軸は外筒部の中心軸方向に垂直な断面に設定されているということが出来る。
【0017】
上記要件は、燃料噴射手段の位置を規定するものである。座標軸は、筐体部の円筒状部分の中心軸方向に垂直な断面に中心軸を通るように設定されるから、筐体部の円筒状部分の内壁は、Y軸に対し+Y側及び−Y側の2箇所で交わり、X軸に対し+X側及び−X側の2箇所で交わるが、筐体部の円筒状部分の内壁がY=+100に位置するときとは、このうちの筐体部の円筒状部分の内壁がY軸と+Y側で交わる場合を指す。Yの大きさ及び極性によって、座標軸上における燃料噴射手段の位置や、後述する複数の貫通孔うちの少なくとも1つの位置や、外筒部の中心軸に対し内筒部の中心軸がずれる方向を規定しているのである。尚、筐体部の中心軸方向の位置については、燃料噴射手段は、筐体部に備わる外筒部の中心軸方向の長さを100としたときに、火炎入口側から20〜80の位置に設けられることが好ましい。
【0018】
本発明に係るPM発生装置は、(筐体部の円筒状部分の内壁がY=+100に位置するとき)外筒部の周面に備わる複数の貫通孔のうちの少なくとも1つが、Y=+70〜90の位置に設けられるものであることが好ましい。
【0019】
又、外筒部の周面に備わる複数の貫通孔のうちの少なくとも1つと、上記座標軸の原点と、燃料噴射手段と、が形成する角度が、10〜40°であることが好ましい。この角度は、換言すれば、複数の貫通孔のうちの少なくとも1つと上記座標軸の原点と燃料噴射手段とを結ぶ線が表す角度である。貫通孔及び燃料噴射手段には所定の幅があるので、角度は、貫通孔の中心部分と、原点と、燃料噴射手段における燃料が噴射される部分と、を結ぶ線で決まることとする。この好ましい態様は、外筒部の周面に備わる複数の貫通孔のうちの少なくとも1つが、燃料噴射手段と、近過ぎず遠過ぎない位置に設けられることを示している。そして、本発明に係るPM発生装置においては、複数の貫通孔のうちの1つの位置が上記条件で特定されたら、残りの貫通孔は、外筒部の周面に均等に配設されることが好ましい。円筒状の外筒部の中心軸方向に垂直な断面は円輪形(ドーナツ形)になるから、その円輪形の周上に均等間隔で3〜8箇所程度(即ち、中心角が45〜120°程度になるように)、配設する態様が例示出来る。
【0020】
更に、内筒部の中心軸が外筒部の中心軸より−Y側にずれることによって、外筒部と内筒部とが偏心していることが好ましい。これは、燃料噴射手段は+Y側に配設されるから、燃料噴射手段とは(座標軸上の)反対側で、外筒部と内筒部とが偏心していることを意味する。
【0021】
本発明に係るPM発生装置において、外筒部、前板部、及び後板部の合計の中心軸方向の長さと、筐体部の円筒状部分の内側における中心軸方向の長さと、の比が70:100〜98:100であることが好ましい。
【0022】
又、本発明に係るPM発生装置は、後板部と筐体部との間に、非膨張セラミックス繊維性マットが挿入されているものであることが好ましい。
【0023】
本発明に係るPM発生装置において、外筒部の周面に備わる貫通孔の径と外筒部の内径の比は、5:100〜20:100であることが好ましい。より好ましい比は、7:100〜15:100である。換言すれば、外筒部の内径を100%としたとき、外筒部の周面に備わる貫通孔の径の好ましい大きさは5〜20%であり、より好ましくは、7〜15%である。
【0024】
本発明に係るPM発生装置において、筐体部に形成されたPMを発生させたガス出口の径と、外筒部の内径(内側直径)と、の比が10:100〜50:100であることが好ましい。換言すれば、外筒部の内径を100としたとき、筐体部出口径は10〜50である。より好ましくは、筐体部出口径と外筒部の内径の比は、10:100〜30:100である。
【0025】
以上、筐体部が円筒状部分を有するとともに、外筒部及び内筒部が円筒状を呈し、筐体部の円筒状部分の中に、円筒状の外筒部が、筐体部の円筒状部分と同軸になるように組み込まれ、円筒状の外筒部の中に、円筒状の内筒部が、円筒状の外筒部と中心軸方向を同じくし且つ偏心して組み込まれている場合における、更に好ましい態様について説明したが、以下においては限定されない。
【0026】
本発明に係るPM発生装置において、燃焼室の外筒部の内側の容積(L、リットル)が、供給される最大の燃焼用空気の流量(Nm/min)の1.2倍以上であることが好ましい。より好ましくは、1.5倍以上である。上限は4倍以下である。例えば、供給される(使用される)最大の燃焼用空気の流量が0.5(Nm/min)の場合には、燃焼室の容積は、0.6L以上であることが好ましく、0.75リットル以上であれば、更に好ましい。尚、大気圧で1mは1000Lだから、この要件は、1分間あたりに供給される最大の燃焼用空気の量(NL)に対して、燃焼室の外筒部の内側の容積(L)が1.2×10−3倍以上であることが好ましい、ことを意味する。
【0027】
本発明に係るPM発生装置においては、燃焼室に備わる外筒部の内径(mm)は、外筒部の内径(mm)の2乗を、供給される最大の燃焼用空気の流量(Nm/min)で除した値が、2.0×10倍以上であることが好ましい。より好ましくは2.3×10倍以上である。上限は5.0×10倍以下である。例えば、供給される(使用される)最大の燃焼用空気の流量が0.5(Nm/min)の場合には、燃焼室の内径は100mm以上であることが好ましく、107mm以上であれば、尚好ましい。
【0028】
本発明に係るPM発生装置において、燃料の噴射圧力は0.1〜1.0(MPa)であることが好ましい。
【0029】
本発明に係るPM発生装置は、燃料が軽油である場合に、ガスの中に発生させるPMの量を0.1〜30g/L(軽油)とすることが可能である。又、ガスの中に発生させるPMのSOF(有機溶媒可溶性成分、Soluble Organic Fraction)を1〜50質量%とし、且つPMの平均粒子径を10〜150×10−9mとすることが可能である。本発明に係るPM発生装置は、このような能力が要求される場合に、好適に採用されるものである。
【0030】
本発明に係るPM発生装置では、1つの燃焼室に複数の燃料噴射手段を具備することが出来、このような態様も好ましいものである。
【0031】
又、本発明に係るPM発生装置は、燃焼室、燃料噴射手段、及びパイロットバーナを、複数、具備することが出来、このような態様も好ましいものである。
【0032】
本発明に係るPM発生装置は、PMを発生させたガスの供給先が排気ガス浄化装置であり、その排気ガス浄化装置の評価を行うために好適に使用される。そして、排気ガス浄化装置が、DPF(Diesel Particulate Filter)を備えたものであり、評価が、DPFの捕集効率、PM堆積圧損、再生性能、酸化性能のうちの何れか1又は2以上の評価である場合に、好適に使用される。尚、評価は、排気ガス浄化装置の耐久性の評価も含まれ、評価対象である排気ガス浄化装置としては、排気ガス中の有害物質を分解するための触媒を備えたものも含まれる。尚、触媒の酸化性能を測定する場合に、PM発生装置にNO(一酸化窒素)等を外部供給することも好ましい手段である。
【0033】
次に、本発明によれば、上記した何れかのPM発生装置を、複数、具備するとともに、それら複数のPM発生装置を、同一の条件で作動させ、あるいは、少なくとも一のPM発生装置を、他のPM発生装置と異なる条件で作動させ得る制御手段と、複数のPM発生装置で得られた、PMを発生させたガスを混合し、混合PM含有ガスを得るPM含有ガス混合手段と、を具備し、混合PM含有ガスを排気ガス浄化装置へ供給することによって、その排気ガス浄化装置の評価を行う排気ガス浄化装置の評価装置が提供される。更に、複数のPM発生装置の燃焼室の容積を変えることによって、小排気ガス量から大排気ガス量までをカバーするPM発生装置を得ることが出来る。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係るPM発生装置は、燃焼室が、筐体部とその筐体部の中に組み込まれた外筒部とその外筒部の中に組み込まれた内筒部とを有し、外筒部及び内筒部は、それぞれの周面に複数の貫通孔を備え、燃料噴射手段によって筐体部と外筒部との間の空間に噴射された燃料と、空気入口から筐体部と外筒部との間の空間に供給された燃焼用空気とが、外筒部の貫通孔を介して外筒部と内筒部との間の空間へ導入され混合をされるように構成されているので、筐体部と外筒部との間の空間に、燃焼用空気を連続的に一定量供給し、同じ空間に燃料噴射手段によって燃料を好ましくは間欠で噴射したときに、加熱されて外筒部で気化した燃料の濃度の高い混合気が、外筒部の貫通孔を介して外筒部と内筒部との間の空間へ導入され、その混合気のうちの空気と接している部分が燃焼し、空気と遮断された内側の混合気が、その燃焼の熱により蒸し焼きとなってPMが発生する。即ち、本発明に係るPM発生装置によれば、ディーゼルエンジンから発生するPMと概ね同じ発生メカニズムでPMを発生させることが出来、得られるPM含有ガスも、実際のディーゼルエンジンからの排気ガスと概ね同等なものになる。従って、本発明に係るPM発生装置によって製造されるPM含有ガスは、排気ガス浄化装置の性能等の評価に適したものになる。又、実際のディーゼルエンジンに比べて、軽油の使用量に対してPMを多く発生させることが出来るため、効率の面でも優れている。従来の燃料噴射装置付きバーナー装置を用いて燃料を不完全燃焼させると、燃料の気化が不十分であることから、PMの粒径(主にPMに含まれるスートの粒径)の分布が実際のディーゼルエンジンより広い範囲となってしまったり、SOFが増大して安定した性状のPM含有ガスを得ることが不可能であったが、本発明によれば、このような問題を解決出来る。
【0035】
本発明に係るPM発生装置は、その好ましい態様により、燃料の噴射方向が外筒部の中心軸方向に対し概ね直角であり且つ外筒部の中心軸方向に垂直な断面の接線方向に傾くように、燃料噴射手段が筐体部に設けられており、空気入口が筐体部の燃料噴射手段の近傍に設けられ、燃料噴射手段によって筐体部と外筒部との間の空間へ噴射された燃料と、燃焼用空気と、が外筒部の周面を廻りながら、外筒部の貫通孔を介して外筒部と内筒部との間の空間へ導入されるように構成されているので、燃焼用空気及び燃料の気化によって、外筒部と筐体部の中が冷却され、過度の温度上昇を防止する。そのため、燃焼室の筐体部及び外筒部の耐久性が、飛躍的に向上する。従来の燃料噴射装置付きバーナー装置では、筐体部の内側に燃焼炎が直接当たるため、筐体部は過度に温度上昇し、耐久性に乏しいが、本発明によれば、このような問題が生じない。
【0036】
本発明に係るPM発生装置は、その好ましい態様により、外筒部に備わる貫通孔の一部又は全部が、外筒部の中心軸方向に垂直な断面の接線方向(外筒部の周面の方向(周方向))に傾いて形成され、外筒部の表面に楕円形の開口が形成されるため、燃料を、安定して滑らかに、外筒部と内筒部との間の空間へ導入することが可能である。このことにより、燃料と燃焼用空気の混合が抑制され、混合気の中の燃料の濃度が部分的に高く維持されるため、導入された燃料が蒸し焼きとなり、SOF量の少ない、黒色で安定したPMが多量に発生する。外筒部に備わる貫通孔が傾かず、外筒部の表面に円形の開口が形成される場合には、噴射された燃料は、スムースに、外筒部と内筒部との間の空間へ導入されず、燃料は筐体部と外筒部との間の空間を廻るため、燃焼用空気と混合され、燃料の濃度が薄くなる。そのため、茶色のPMとなり、SOF量も多く、PMの発生量が少なくなり易いが、本発明によれば、このような問題は生じない。
【0037】
本発明に係るPM発生装置は、その好ましい態様により、燃料噴射手段の取付位置とは反対側で、外筒部と内筒部とが偏心しているため、外筒部と内筒部との間の空間が、その偏心した側で狭くなる。従って、燃料噴射装置近傍の外筒部の貫通孔から、外筒部と内筒部との間の空間へ導入された燃料及び燃焼用空気が内筒部の周りを廻る速度と、燃料噴射装置から離れた位置の外筒部の貫通孔から、外筒部と内筒部との間の空間へ導入された燃料及び燃焼用空気が内筒部の周りを廻る速度と、が概ね均一になり、燃料と燃焼用空気との混合が抑制され、混合気の中の燃料の濃度が部分的に高く維持されるため、SOF量の少ない、黒色で安定したPMが多量に発生する。
【0038】
本発明に係るPM発生装置は、その好ましい態様により、筐体部の円筒状部分の中心軸方向に垂直な断面に、その中心軸を通り相互に直角をなすX軸及びY軸からなる座標軸を設定した場合において、筐体部の円筒状部分の内壁がY=+100に位置するとき、外筒部の周面に備わる複数の貫通孔のうちの少なくとも1つが、Y=+70〜90の位置に設けら、貫通孔と燃料噴射手段との位置関係が、外筒部の周面に備わる複数の貫通孔のうちの少なくとも1つと上記座標軸の原点と燃料噴射手段とが形成する角度が10〜40°になるような位置関係である。そのため、燃料と燃焼用空気は、外筒部の周面と滑らかに衝突し、更に、燃料噴射装置と貫通孔との距離が適度に短いので、燃料と燃焼用空気とによる混合気は、燃料の濃度が高く維持されたまま、外筒部貫通孔から外筒部内部へと導入されるので、SOF量の少ない、黒色で安定したPMが多量に発生する。上記角度が40°より大きくなると、燃料と燃焼用空気は外筒部の周面と激しく衝突し、貫通孔も燃料噴射装置から離れるので、燃料と燃焼用空気は混合し易くなるため、茶色でSOF量が多く、PM発生量も少なくなり易い。上記角度が10°より小さく貫通孔が燃料噴射装置に近過ぎると、燃料が気体となる前に導入され燃焼するため、PMの粒径分布が広く、粒径が大きくなるので、ディーゼルエンジン等からの排気ガスとは異なるものとなる。
【0039】
本発明に係るPM発生装置は、その好ましい態様により、燃焼室に備わる外筒部の内側の容積(L)が、供給される最大の前記燃焼用空気の流量(Nm/min)の、1.2〜1.5倍以上であるため、使用される最大の燃焼用空気の流量に対し、充分大きい。又、燃焼室に備わる外筒部の内径(mm)は、燃焼室の内径(mm)の2乗を、供給される最大の燃焼用空気の流量(Nm/min)で除した値が、2.0×10〜2.3×10倍以上であり、更には、外筒部の周面に備わる貫通孔の径と、外筒部の内径(内側直径)と、の比が5:100〜20:100、より好ましくは、7:100〜15:100であり、各部分の流速が充分に低くなるように設定されているので、燃料と燃焼用空気の混合が抑制され、部分的に燃料の濃度が高い混合気として維持される。従って、その混合気中の燃料が蒸し焼きとなり、SOF量の少ない、黒色で安定したPMが多量に発生する。燃焼室の容積が1.2未満では流速が速く、燃料が燃焼用空気と混合し易く、燃料濃度が薄くなるため、茶色のPMとなり、SOF量も多く、PM発生量が少なくなり易いが、本発明によれば、このような問題は生じない。
【0040】
即ち、本発明に係るPM発生装置は、燃焼室が、筐体部とその筐体部の中に組み込まれた外筒部とその外筒部の中に組み込まれた内筒部とを有し、外筒部及び内筒部は、それぞれの周面に複数の貫通孔を備え、燃料噴射手段によって筐体部と外筒部との間の空間に噴射された燃料と、空気入口から筐体部と外筒部との間の空間に供給された燃焼用空気とが、外筒部の貫通孔を介して外筒部と内筒部との間の空間へ導入され混合をされるように構成されているが、このような構造は、燃焼室の大きさに比べ、燃焼用空気の多い範囲(上記した外筒部の内側の容積(L)が使用される最大の燃焼用空気の流量に対し充分大きい範囲)では、燃料濃度を、不均一なもの、濃淡があるもの、とするに好都合な構造ということが出来る。
【0041】
本発明に係るPM発生装置は、その好ましい態様により、筐体部のガス出口の径と外筒部の内径の比が10:100〜50:100であり、筐体部のガス出口の径を小さくしているので、燃焼室に圧力がかかり、燃焼の殆どが流速の低い燃焼室で生じる。従って、燃料と燃焼用空気の混合が抑制され、燃料の濃度が高い混合気として維持されるため、その混合気中の燃料が蒸し焼きとなり、SOF量の少ない、黒色で安定したPMが多量に発生する。上記範囲を外れ、外筒部の内径を100としたとき、筐体部のガス出口の径が50より大きいと、燃焼室にかかる圧力が低いため、燃焼が燃焼室の外で生じ、その間に、燃料が燃焼用空気と混合し、燃料濃度が薄くなるため、茶色のPMとなり、SOF量も多く、PM発生量が少なくなり易いが、本発明によれば、このような問題は生じない。
【0042】
本発明に係るPM発生装置は、その好ましい態様により、燃料の噴射圧力が0.1〜1.0(MPa)であり、圧力が高く、範囲が広い。従って、間欠噴射により圧力を高く設定した場合には、同じ流量の燃料を短時間に噴射出来るので、より高濃度の燃料を含む混合気となり、PMを多量に発生させることが可能となる。又、その圧力を様々に変化させることで、広い範囲のPM発生量の制御や、発生したPMの色、SOF量を、自由に制御可能となるため、排気ガス浄化装置の性能や耐久性を、正確に、高い精度で、評価する手段として好適である。
【0043】
得ようとするPMを発生させたガスの流量が少ない場合、即ち、PM発生装置において燃料及び燃焼用空気の流量が少ない場合には、燃焼において燃焼室の温度が充分に上昇せず、茶色のPMとなり、SOF量は多く、PM発生量が少なくなってしまう、という欠点を生じ得るが、本発明に係るPM発生装置は、その好ましい態様により、燃焼室、燃料噴射手段、及びパイロットバーナを、複数、具備することで、流量に対応した仕様を実現することが出来、小流量から大流量までに対応可能なPM発生装置とすることが出来る。更に、複数の燃焼室の容積を同一とせず、少なくとも一つを変えることによって、PMを発生させたガスが、より少流量から大流量の場合までを、カバーすることが出来る。
【0044】
本発明に係るPM発生装置は、実際のディーゼルエンジン等からの排気ガスを利用していないので、設備をより小型化することが可能であり、コストを抑制出来る。又、実際のディーゼルエンジンでは、排気ガスの流量、PM発生量、排気ガスの温度、SOF量、を独立して制御出来ない。しかし、この点においても、本発明のPM発生装置は、各々を独立して制御可能であり、ディーゼルエンジン等からの排気ガスを十分に模擬しながら、一定条件で排気ガス浄化装置へ排気ガスを供給することが出来るので、より優れた手段であるといえる。従って、排気ガス浄化装置へ供給する評価用の排気ガスを製造し供給する手段として好適なものである。
【0045】
得ようとするPMを発生させたガスの流量が少ない場合には、即ち、PM発生装置において燃料及び燃焼用空気の流量が少ない場合には、燃焼室の温度が充分に上昇せず、茶色のPMとなり、SOF量が多く、PM発生量が少ないという問題が生じ得るが、本発明に係る排気ガス浄化装置の評価装置は、本発明に係るPM発生装置を、複数、具備することで、そのような欠点をカバーすることが出来、PMを発生させたガスが、小流量から大流量の場合までをカバーした排気ガス浄化装置の評価装置とすることが出来る。更に、具備する複数のPM発生装置におけるそれぞれの燃焼室の容積を同一とせず、少なくとも一つを変えることで、より少流量から大流量の場合までをカバーすることが可能である。従って、大型から小型排気ガス浄化装置まで一つの排気ガス浄化装置で性能や耐久性を正確に高い精度で評価する手段として好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明について、適宜、図面を参酌しながら、実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されて解釈されるべきものではない。本発明の要旨を損なわない範囲で、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良、置換を加え得るものである。例えば、図面は、好適な本発明の実施の形態を表すものであるが、本発明は図面に表される態様や図面に示される情報により制限されない。本発明を実施し又は検証する上では、本明細書中に記述されたものと同様の手段若しくは均等な手段が適用され得るが、好適な手段は、以下に記述される手段である。
【0047】
先ず、本発明に係るPM発生装置について説明する。図1〜図6は、本発明に係るPM発生装置の一の実施形態を示す図である。図1は上面図であり、図2は側面図であり、図3は図1におけるPP断面を示す図であり、図4は図2におけるQQ断面を示す図である。又、図5は内部を分解して表す斜視図であり、図6は、燃料及び燃焼用空気の流れを説明するために図4において筐体部を拡大し燃料噴射手段を簡略化して描いた図である。
【0048】
図1〜図6に示されるPM発生装置10は、燃料131を噴射する燃料噴射手段3と燃焼を生じる燃焼室1とを具備する装置である。PM発生装置10は、燃焼用空気132を、空気入口113から燃焼室1へ、連続して供給するとともに、燃料131を、燃料噴射手段3によって好ましくは間欠で燃焼室1へ噴射することにより、高濃度燃料の混合気を生成し、この高濃度燃料の混合気が、燃焼室1において、燃焼用空気と接する側(外側)から燃焼するため、燃焼用空気と接しない側(内側)の燃料(気体)が燃焼用空気と遮断され、燃焼の熱によって蒸し焼き状態となり、排気ガスの中にPMが発生する装置である。即ち、PM発生装置10は、PMを発生させたガス(PM含有ガス133)を製造することが可能な装置である。
【0049】
PM発生装置10の燃料噴射手段3は、自らが噴射する燃料131の噴射方向(図6を参照)が、円筒状の外筒部6の中心軸方向(図5において横方向)に対し概ね直角であり、且つ、外筒部6の中心軸方向に垂直な断面(円形又は円輪形)の接線方向に傾くように、筐体部5に設けられる(図4及び図6を参照)。燃料噴射手段3としては、例えば、筐体部5と外筒部6との間の空間101に、燃料131を間欠で噴射することが可能な電磁式インジェクタが採用される。
【0050】
PM発生装置10の燃焼室1は、分割面53で2つに分割し内部を開くことが可能な筐体部5と、その筐体部5の円筒状部分5aの中に収められた外筒部6、内筒部7、及び外筒部6を保持するリング4を有する。外筒部6は円筒状を呈し、筐体部5の円筒状部分5aの中に、その筐体部5の円筒状部分5aと同軸になるように組み込まれ、更に、円筒状の内筒部7が、外筒部6の中に、外筒部6と中心軸方向を同じくし且つ偏心して(図3及び図4を参照)、組み込まれている。PM発生装置10の燃焼室1では、円筒状の外筒部6は、燃焼用空気が供給される空気入口113と連通しており、円筒状の内筒部7は、空気入口113と直接連通しておらず、パイロットバーナ2に通じる火炎入口51と連通している(図3を参照)。外筒部6、前板部8、及び後板部9の中心軸方向の長さは、筐体部5の円筒状部分5aの内側における中心軸方向の長さD(図3を参照)に対し、98%の大きさである。換言すれば、外筒部6、前板部8、及び後板部9の中心軸方向の長さと、筐体部5の円筒状部分5aの軸方向の長さDと、の比が98:100になっている。
【0051】
筐体部5には、パイロットバーナ2に通じる火炎入口51及びPMを発生させたガスを送出するガス出口52が形成され、前板部8は、ガス出口52に通じる開口81を備え、筐体部5の円筒状部分5aの中に組み込まれてガス出口52側の端面を構成し、後板部9は、火炎入口51に通じる開口91を備え、筐体部5の円筒状部分5aの中に組み込まれて火炎入口51側の端面を構成する。ガス出口52の径Cは、外筒部6の内径Aに対し、25%の大きさである(図3を参照)。換言すれば、ガス出口52の径Cと、外筒部6の内径Aと、の比C:Aは、25:100になっている。燃焼室1では、前板部8と外筒部6とは一体化していないが、後板部9と内筒部7とは一体化している。又、リング4と筐体部5の間にはガスケット301が挿入され、後板部9と筐体部5の間には図示しない非膨張セラミックス繊維性マットが挿入されている。
【0052】
燃焼室1において、外筒部6は、その周面に貫通孔61を備えている。貫通孔61は、円筒状の外筒部6の中心軸方向(図5において横方向)に3つの層を形成するように設けられ、各層毎に、円筒状の外筒部6の中心軸方向に垂直な断面の周上に、均等間隔で(中心角が90°になるように)4つ配設されている。即ち、外筒部6には、合計で(3×4=)12の貫通孔61が備わっている。外筒部6の貫通孔61は、全て、外筒部6の中心軸方向に垂直な断面(円形又は円輪形)の接線方向(外筒部の周面の方向)に傾いて形成されており(図4を参照)、貫通孔61が傾く結果、外筒部6の表面には楕円形の開口が形成される(図5を参照)。貫通孔61の径Bは、外筒部6の内径Aに対して7%の大きさである(図4を参照)。換言すれば、貫通孔61の径Bと、外筒部6の内径Aと、の比B:Aは7:100になっている。尚、貫通孔61の径Bは、図4に示されるように、外筒部6の表面の楕円形の開口で定められるのではなく、貫通孔61自体の中心軸方向に垂直な断面の直径として求められる。
【0053】
一方、内筒部7は、その周面に貫通孔71を備えている。貫通孔71は、円筒状の内筒部7の中心軸方向(図5において横方向)に2つの層を形成するように設けられ、各層毎に、円筒状の内筒部7の中心軸方向に垂直な断面の周上に、均等間隔で(中心角が90°になるように)4つ配設されている。即ち、内筒部7には、合計で(2×4=)8の貫通孔71が備わっている。内筒部7の貫通孔71は、全て、傾いて形成されておらず、内筒部7の中心軸方向に垂直な断面(円形又は円輪形)の法線方向(周面から中心軸へ向けた方向)に向けて形成され(図4を参照)、その結果、内筒部7の表面には円形の開口が形成される(図5を参照)。
【0054】
PM発生装置10において、外筒部6は、燃焼用空気が供給される空気入口113と連通しており、円筒状の内筒部7は空気入口113とは、直接、連通しておらず、パイロットバーナ2(に通じる火炎入口51)と連通している(図3を参照)。燃料噴射手段3によって筐体部5と外筒部6との間の空間101に噴射された燃料131は、気化し、外筒部6の貫通孔61を介して外筒部6と内筒部7との間の空間102へ導入され、燃焼する。このとき、燃料噴射手段3は、燃料131の噴射方向が既述の如く傾くように、筐体部5に設けられるから、燃料噴射手段3によって筐体部5と外筒部6との間の空間101へ噴射された燃料は、外筒部6の周面を廻りながら、外筒部6の貫通孔61を介して、外筒部6と内筒部7との間の空間102へ導入される(図6を参照)。
【0055】
空気入口113から筐体部5と外筒部6との間の空間101に連続供給された燃焼用空気132は、外筒部6の周面を廻りながら、外筒部6の貫通孔61を介して、外筒部6と内筒部7との間の空間102へ導入される(図6を参照)。そして、筐体部5と外筒部6との間の空間101に、好ましくは間欠で噴射された燃料131は、外筒部6の周面を廻りながら、外筒部6の貫通孔61を介して、外筒部6と内筒部7との間の空間102へ導入され、燃焼用空気132と接する側(外側)が燃焼し、接しない側(内側)の燃料(気体)は、空気と遮断され、燃焼の熱によって蒸し焼き状態となり、PMが発生し、PM含有ガス133となって、ガス出口52から、排気ガス浄化装置等へ供給される。PM発生装置10は、外筒部6、内筒部7、前板部8、後板部9は全て、インコネル材料で形成されたものであり、上記PMを発生させる不完全な燃焼は、全てインコネル材料からなる部材で囲われた空間で生じる。空気入口113は、燃料噴射手段3の近傍に設けられており、装置のコンパクト化、メンテナンス性向上の観点から都合がよい構造になっている。
【0056】
なお、PM発生装置10は、外筒部6、内筒部7、前板部8、後板部9を全て、インコネル材料で形成する代わりに、セラミック材料(窒化珪素)で形成されたものとすることもできる。このようにセラミック材料(窒化珪素)で形成すると、PM発生装置10の耐久性能が向上する。さらに、セラミック材料は、金属材料に比べて熱変形が生じ難いため、熱変形に起因するPM発生量の低下を防止することができるという利点がある。
【0057】
ここで、図6に示された座標軸を用いて、PM発生装置10における燃料噴射手段3及び貫通孔61の位置、並びに外筒部6の中心軸に対し内筒部7の中心軸がずれる方向について説明する。図6における座標軸は、筐体部5の円筒状部分の中心軸方向に垂直な断面に、その中心軸を通り相互に直角をなすように設定されたX軸及びY軸からなるものである。
【0058】
PM発生装置10では、座標軸上において、筐体部5の円筒状部分の内壁がY=+100に位置するとき、それに対し、燃料噴射手段3は、Y=+60の位置に、且つ、燃料の噴射方向がX軸に平行になるように、筐体部5に設けられている。外筒部6の貫通孔61のうちの1つである貫通孔61aの設けられる位置は、Y=+70の位置である。そして、既述のように外筒部6と内筒部7とは偏心しているが、それは内筒部7の中心軸が外筒部6の中心軸より−Y側にずれることによって実現されている。即ち、座標軸上で、燃料噴射手段3は+Y側に設けられ、それとは反対の−Y側で、外筒部6と内筒部7とが偏心している。又、PM発生装置10では、外筒部6の貫通孔61のうちの1つである貫通孔61aと座標軸の原点Oと燃料噴射手段3とが形成する角度θは、27°になっている。
【0059】
次に、本発明に係る排気ガス浄化装置の評価装置について説明する。図7は、本発明に係る排気ガス浄化装置の評価装置(単に「評価装置」ともいう)の一の実施形態を示す構成図である。図7に示される評価装置20は、4台の上記したPM発生装置10(No.1,2,3,4)を具備し、それらで製造されたPM含有ガスをPM含有ガス混合手段によって混合し、得られた混合PM含有ガスを、排気ガス浄化装置32へ供給することによって、その排気ガス浄化装置32の評価を行うことが可能な装置である。混合PM含有ガスは、切替弁22,23によって、排気ガス浄化装置32へ供給されるか否か選択される。又、切替弁22,23の下流には、例えば熱電対で構成される温度検出器33が取り付けられており、得られた混合PM含有ガスの温度を検出する。尚、図7において、各PM発生装置10の燃料間欠噴射手段、パイロットバーナ2等の詳細部分は省略され描かれていない。
【0060】
PM含有ガス混合手段は、PM発生装置10が製造したPM含有ガスの温度を調整する二次空気供給部31と、No.1〜4のPM含有ガスを合流させ混合するメインヘッダ部21と、によって実現されている。即ち、評価装置20では、4台のPM発生装置10が並列に接続され、最終的にメインヘッダ部21に合流し混合された混合PM含有ガスが、排気ガス浄化装置32へ供給される。尚、本発明に係る排気ガス浄化装置の評価装置では、PM含有ガス混合手段は、4台に限らず複数であって、同じものではなく異なる仕様のPM発生装置を、並列に接続で構成された態様とすることも可能である。
【0061】
評価装置20では、各PM発生装置10において、PM含有ガスが送出される出口に、二次空気供給部31が取り付けられている。それぞれの二次空気供給部31では、各PM発生装置10で製造されたPM含有ガスに、図示しないコンプレッサ等の二次空気供給手段によって流路15から供給された二次空気が合流し混合され、その二次空気の流量を調節することによって、各PM発生装置10毎に、PM含有ガスが、所定の温度及び流量になるように調製される。この二次空気の流量の調節は、流量計28と調節弁29とで行われる。即ち、各PM発生装置10毎に設けられた二次空気供給部31へ送られる二次空気の流路15には、各系統毎に、流量計28と調節弁29とが設けられており、それぞれの二次空気の流量を調節することが出来るようになっている。調節弁29は、流量計28から独立して手動調整出来るものであってもよいが、流量計28の検出流量に基づいて自動制御可能なものが特に好ましい。
【0062】
評価装置20では、又、4台のPM発生装置10を、同一の条件で作動させ、あるいは、全てを、他のPM発生装置10と異なる条件で作動させ得る制御手段が備わっている。この制御手段は、4台のPM発生装置10にそれぞれ備わる、電磁弁の開閉時間及び周期を制御する機能を持つ燃料間欠噴射手段(図7において省略)と、燃焼用空気流量調節手段と、で実現される。
【0063】
燃焼用空気流量調節手段は、燃焼用空気の流量を調節する手段であり、流量計24と調節弁25とで構成される。即ち、各PM発生装置10の燃焼室へ送られる燃焼用空気の流路14には、各系統毎に、流量計24と調節弁25とが設けられており、それぞれの燃焼用空気の流量を調節することが出来るようになっている。調節弁25は、流量計24から独立して手動調整出来るものであってもよいが、流量計24の検出流量に基づいて自動制御可能なものが、特に好ましい。
【0064】
図7に示されない評価装置20の制御装置により、4台のPM発生装置10のそれぞれにおいて、上記燃料間欠噴射手段を用いて燃料の噴射周期(電磁弁の開閉周期)を選択し、燃料の噴射時間により燃料の流量を調節するとともに、燃焼用空気の流量を調節し、更には、上記した二次空気の流量を調節することによって、最終的に排気ガス浄化装置32へ供給される混合PM含有ガスの流量、温度、PM含有量、含有されたPMの性状等を、自在に変更することが可能である。
【0065】
尚、図7において、排気ガス浄化装置32は、その側面が描かれており、性能及び/又は耐久性を評価する対象である排気ガス浄化装置32は、円筒状の空間と、両端において徐々に狭くなるすり鉢状空間と、を有する箱体として構成され、円筒状の空間の中に、例えばハニカム構造を呈するフィルタであって排気ガス中の微粒子を除去するフィルタや酸化触媒がコートされたフィルタであって微粒子を除去するフィルタ、あるいは、例えばハニカム構造を呈する触媒(触媒体)であって排気ガス中の有害物質を分解するための酸化触媒、三元触媒等の触媒(触媒体)、が収容されているものである。尚、図示しないが、排気ガス浄化装置32の下流側(排気ガスの出口側)に、ガス中のCO、HC、NO、SO等を分析する分析手段を備えることが好ましい。
【実施例】
【0066】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0067】
(実施例1)図1に示されるPM発生装置10に二次空気供給部(図7を参照)を設けた装置を使用し、燃料としては軽油を用い、燃料噴射手段によって燃焼用空気の中に燃料を間欠で噴射し、不完全燃焼させてPMを発生させ、PM含有ガスを製造した。そして、そのPM含有ガスに、二次空気供給部から二次空気を混合し、評価対象となる200℃のPM含有ガス(評価ガス)を得た。そして、そのPM含有ガス(評価ガス)を吸引して、濾紙(フィルタ)の質量から1時間あたりのPM発生量を測定するとともに、PMの粒径分布を測定し、更に、PM含有ガス(評価ガス)中の粒子状物質の成分と、PM含有ガス(評価ガス)中のガス成分を、分析した。
【0068】
[PM発生量の測定方法]PM含有ガス(評価ガス)を20L/minの速度で吸引し、一定時間(1分間)、濾紙(ローボリ用フィルタ8015−3(AP2005500、55mm)、Millipore Corporation製)に通す。そして、濾紙に付着したPMの質量をミクロ天秤(ME5−F、0.001mg、SARTORIUS社製)で測定し、二次空気を混合した後のPM含有ガス(評価ガス)の流量、それから吸引されたガスの流量、及び吸引時間より、1時間あたりのPM発生量(g/Hr)及び消費した燃料1リットルあたりのPM発生量(g/l)を求めた。
【0069】
[PMの粒径分布の測定方法]二次空気を混合した後のPM含有ガス(評価ガス)から吸引されたガスを希釈し、TSI社製Scanning Mobility Particle Sizer (SMPS)Model 3936シリーズを使用してPMの粒径分布を測定した。
【0070】
[粒子状物質の成分分析方法]HORIBA社製Particulate Analyzer MEXA−1370PMを用いて分析した。
【0071】
[ガス成分の分析方法]HORIBA社製MEXA−9100Dを用いて分析した。
【0072】
結果は、PMの粒径分布が60〜120×10−9mであり、デイーゼルエンジンの排気ガスと概ね同等であった。又、PM発生量は30.6g/Hrであり、消費した燃料1リットルあたりのPM発生量は11.7(g/l)であった。PM含有ガスの粒子状物質の成分は、SOFが6.2質量%、スートが93.6質量%、SULFATEが0.2質量%であった。ガス成分は、COが40ppm、HCが50ppm、NOが12ppm、Oが14体積%、COが5体積%であった。
【0073】
(比較例1)図8に示される燃焼装置180を使用し、燃料としては軽油を用い、燃料噴射手段によって燃焼用空気の中に燃料を間欠で噴射し混合させ、不完全燃焼させてPMを発生させ、PM含有ガスを製造した。そして、そのPM含有ガスに、コンプレッサによって二次空気を混合し、評価対象となる200℃のPM含有ガス(評価ガス)を得た。そして、実施例1と同様な手段により、1時間あたりのPM発生量、消費した燃料1リットルあたりのPM発生量(g/l)、及びPMの粒径分布を測定するとともに、PM含有ガス(評価ガス)中の粒子状物質の成分を分析し、更に、PM含有ガス(評価ガス)中のガス成分を分析した。
【0074】
図8に示される燃焼装置180は、燃焼用空気を供給するための空気入口251から導入された燃焼用空気232を、空気予熱室185で加熱するとともに、燃料噴射手段183からバッフルプレート186によって燃焼筒187に向けて噴射された燃料231を、加熱された燃焼用空気232と、空気予熱室185内で混合し、燃焼器182で着火して燃焼筒187内で不完全に燃焼をさせて、ガス出口252から、PM含有ガス233を排出するように構成された装置である。
【0075】
結果は、PMの粒径分布が300〜1000×10−9mであり、デイーゼルエンジンの排気ガスとは大きく異なっていた。又、PM発生量は5.2g/Hr(軽油)であり、消費した燃料1リットルあたりのPM発生量は2.0(g/l)であった。PM含有ガスの粒子状物質の成分は、SOFが30質量%、スートが67質量%、SULFATEが3質量%であった。ガス成分は、COが30ppm、HCが50ppm、NOが300ppm、Oが14体積%、COが5体積%であった。
【0076】
(考察)実施例1により、本発明に係るPM発生器の使用により、粒径分布がデイーゼルエンジンの排気ガス並の60〜120×10−9mになることが確認出来た。又、PM発生量が増加してもSOFが増加することはなく安定した性状のPMを発生させ得ることが確認出来た。比較例1の結果より、従来の燃焼装置の場合、燃料が充分気化されないために、粒径分布が300〜1000×10−9mと広い範囲となる。又、PM発生量が、より少ないのにもかかわらず、SOFが増大し、安定した性状のPMを発生させることが出来なかった。尚、実施例1では、PMの色は黒色であったが、比較例1では灰色であった。これは、SOFの含有量の違いによるものと考えられた。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明のPM発生装置及び排気ガス浄化装置の評価装置は、排気ガス中の微粒子を除去するフィルタ、フィルタに堆積した微粒子を酸化燃焼除去するための触媒、又は排気ガス中の有害物質を分解するための触媒、等を備えた排気ガス浄化装置の性能及び/又は耐久性の評価を行うために、好適に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明に係るPM発生装置の一の実施形態を示す上面図である。
【図2】図1に示されるPM発生装置の側面図である。
【図3】図1におけるPP断面を示す断面図である。
【図4】図2におけるQQ断面を示す断面図である。
【図5】図1に示されるPM発生装置の内部を分解して表す斜視図である。
【図6】図4と同じ断面を示す図であり、筐体部を拡大し燃料噴射手段を簡略化して描いた断面図である。
【図7】本発明に係る排気ガス浄化装置の評価装置の一の実施形態を示す構成図である。
【図8】従来の燃焼装置の一の例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0079】
1:燃焼室、2:燃焼器、3:燃料噴射手段、5:筐体部、5a:(筐体部の)円筒状部分、6:外筒部、7:内筒部、8前板部、9:後板部、10:PM発生装置、11:火炎検知器、13:流路、14:流路、15:流路、20:(排気ガス浄化装置の)評価装置、21:メインヘッダ部、22,23:切替弁、24:流量計、25:調節弁、28:流量計、29:調節弁、31:二次空気供給部、32:排気ガス浄化装置、33:温度検出器、51:火炎入口、52:(PMを発生させた)ガス出口、53:分割面、61,61a:貫通孔、71:貫通孔、113:空気入口、132:燃焼用空気、180:燃焼装置、183:燃料噴射手段、185:空気予熱室、186:バッフルプレート、187:燃焼筒、231:燃料、232:燃焼用空気、233:PM含有ガス、251:空気入口、252:ガス出口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体及び/又は気体の燃料と、燃焼用空気と、の混合を行い、混合をされた混合気に不完全な燃焼をさせて、ガスの中にPM(パティキュレートマター、粒子状物質)を発生させる装置であって、
前記混合及び燃焼を生じる燃焼室と、その燃焼室へ前記燃料を噴射する燃料噴射手段と、前記混合気を着火するパイロットバーナと、を具備し、
前記燃焼室が、前記燃焼用空気を供給するための空気入口、前記PMを発生させたガスを送出するためのガス出口、及び前記パイロットバーナに通じる火炎入口、を形成した筐体部と、その筐体部との間に空間を形成しつつ前記筐体部の中に組み込まれた外筒部と、その外筒部との間に空間を形成するとともに前記火炎入口と直接連通するように前記外筒部の中に組み込まれた内筒部と、を有し、
前記外筒部及び前記内筒部は、それぞれの周面に複数の貫通孔を備え、
前記燃料噴射手段によって前記筐体部と外筒部との間の空間に噴射された前記燃料と、前記空気入口から前記筐体部と外筒部との間の空間に供給された前記燃焼用空気とが、前記外筒部の貫通孔を介して前記外筒部と内筒部との間の空間へ導入され前記混合をされるように構成されているPM発生装置。
【請求項2】
前記燃料噴射手段が、前記筐体部と外筒部との間の空間に、前記燃料を間欠で噴射することが可能な手段である請求項1に記載のPM発生装置。
【請求項3】
前記筐体部が円筒状部分を有するとともに、前記外筒部及び内筒部が円筒状を呈し、
前記筐体部の円筒状部分の中に、前記円筒状の外筒部が、前記筐体部の円筒状部分と同軸になるように組み込まれ、
前記円筒状の外筒部の中に、前記円筒状の内筒部が、前記円筒状の外筒部と中心軸方向を同じくし且つ偏心して組み込まれている請求項1又は2に記載のPM発生装置。
【請求項4】
前記ガス出口に通じる開口を備え、前記筐体部の中に組み込まれて前記ガス出口側の端面を構成する前板部と、
前記火炎入口に通じる開口を備え、前記筐体部の中に組み込まれて前記火炎入口側の端面を構成する後板部と、を有する請求項3に記載のPM発生装置。
【請求項5】
前記前板部と前記外筒部とが一体化し、及び/又は、前記後板部と前記内筒部とが一体化している請求項4に記載のPM発生装置。
【請求項6】
前記外筒部、内筒部、前板部、及び後板部が、金属材料で形成されている請求項4又は5に記載のPM発生装置。
【請求項7】
前記金属材料が、インコネルである請求項6に記載のPM発生装置。
【請求項8】
前記外筒部、内筒部、前板部、及び後板部が、セラミックス材料で形成されている請求項4又は5に記載のPM発生装置。
【請求項9】
前記セラミックス材料が、窒化珪素、炭化珪素、ジルコニア、燐酸ジルコニウム、アルミニウムチタネート、チタニア、及びこれらの組み合わせよりなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項8に記載のPM発生装置。
【請求項10】
前記燃料噴射手段は、燃料の噴射方向が、前記外筒部の中心軸方向に対し略直角であり且つ前記外筒部の中心軸方向に垂直な断面の接線方向に傾くように、前記筐体部に設けられ、
前記燃料噴射手段によって前記筐体部と外筒部との間の空間へ噴射された前記燃料が、前記外筒部の周面を廻りながら、前記外筒部の貫通孔を介して前記外筒部と内筒部との間の空間へ導入されるように構成されている請求項3〜9の何れか一項に記載のPM発生装置。
【請求項11】
前記空気入口が、前記筐体部の前記燃料噴射手段の近傍に設けられ、
前記空気入口から前記筐体部と外筒部との間の空間に供給された前記燃焼用空気が、前記燃料とともに、前記外筒部の周面を廻りながら、前記外筒部の貫通孔を介して前記外筒部と内筒部との間の空間へ導入されるように構成されている請求項3〜10の何れか一項に記載のPM発生装置。
【請求項12】
前記外筒部に備わる貫通孔の一部又は全部が、前記外筒部の中心軸方向に垂直な断面の接線方向に傾いて形成されている請求項3〜11の何れか一項に記載のPM発生装置。
【請求項13】
前記筐体部の円筒状部分の中心軸方向に垂直な断面に、その中心軸を通り相互に直角をなすX軸及びY軸からなる座標軸を設定した場合において(但し、X軸とY軸とは中心軸方向に垂直な断面で相互に直角であればよく、絶対的な方向は限定されない)、
前記筐体部の円筒状部分の内壁がY=+100に位置するとき、Y=+60〜80の位置に、燃料の噴射方向がX軸に平行になるように、前記燃料噴射手段が前記筐体部に設けられる請求項3〜12の何れか一項に記載のPM発生装置。
【請求項14】
前記外筒部の周面に備わる複数の貫通孔のうちの少なくとも1つが、Y=+70〜90の位置に設けられる請求項13に記載のPM発生装置。
【請求項15】
前記外筒部の周面に備わる複数の貫通孔のうちの少なくとも1つと、前記座標軸の原点と、前記燃料噴射手段と、が形成する角度が、10〜40°である請求項13又は14に記載のPM発生装置。
【請求項16】
前記内筒部の中心軸が前記外筒部の中心軸より−Y側にずれることによって、前記外筒部と内筒部とが偏心している請求項13〜15の何れか一項に記載のPM発生装置。
【請求項17】
前記外筒部、前板部、及び後板部の合計の中心軸方向の長さと、前記筐体部の円筒状部分の内側における中心軸方向の長さと、の比が70:100〜98:100である請求項4〜16の何れか一項に記載のPM発生装置。
【請求項18】
前記後板部と前記筐体部との間に、非膨張セラミックス繊維性マットが挿入されている請求項4〜17の何れか一項に記載のPM発生装置。
【請求項19】
前記外筒部の周面に備わる貫通孔の径と、前記外筒部の内径(内側直径)と、の比が5:100〜20:100である請求項3〜18の何れか一項に記載のPM発生装置。
【請求項20】
前記筐体部に形成された前記PMを発生させたガス出口の径と、前記外筒部の内径(内側直径)と、の比が10:100〜50:100である請求項3〜19の何れか一項に記載のPM発生装置。
【請求項21】
前記燃焼室に備わる外筒部の内側の容積(L(リットル))が、供給される最大の前記燃焼用空気の流量(Nm/min)の、1.2倍以上である請求項1〜20の何れか一項に記載のPM発生装置。
【請求項22】
前記燃焼室に備わる外筒部の内径(mm)は、前記外筒部の内径(mm)の2乗を、供給される最大の燃焼用空気の流量(Nm/min)で除した値が、2.0×10倍以上である請求項1〜21の何れか一項に記載のPM発生装置。
【請求項23】
前記燃料の噴射圧力が、0.1〜1.0(MPa)である請求項1〜22の何れか一項に記載のPM発生装置。
【請求項24】
前記燃料が軽油である場合に、前記ガスの中に発生させるPMの量が0.1〜30g/L(軽油)である請求項1〜23の何れか一項に記載のPM発生装置。
【請求項25】
前記ガスの中に発生させるPMのSOF(有機溶媒可溶性成分、Soluble Organic Fraction)が1〜50質量%であり、且つPMの平均粒子径が10〜150×10−9mである請求項1〜24の何れか一項に記載のPM発生装置。
【請求項26】
前記燃焼室、前記燃料噴射手段、及び前記パイロットバーナを、複数、具備する請求項1〜25の何れか一項に記載のPM発生装置。
【請求項27】
PMを発生させたガスの供給先が排気ガス浄化装置であり、その排気ガス浄化装置の評価を行うために使用される請求項1〜26の何れか一項に記載のPM発生装置。
【請求項28】
前記排気ガス浄化装置が、DPF(Diesel Particulate Filter)を備え、前記評価が、前記DPFの捕集効率、PM堆積圧損、再生性能、酸化性能のうちの何れか1又は2以上の評価である請求項27に記載のPM発生装置。
【請求項29】
請求項1〜28の何れか一項に記載のPM発生装置を、複数、具備するとともに、
それら複数のPM発生装置を、同一の条件で作動させ、あるいは、少なくとも一のPM発生装置を、他のPM発生装置と異なる条件で作動させ得る制御手段と、
複数のPM発生装置で得られた、PMを発生させたガスを混合し、混合PM含有ガスを得るPM含有ガス混合手段と、を具備し、
前記混合PM含有ガスを排気ガス浄化装置へ供給することによって、その排気ガス浄化装置の評価を行う排気ガス浄化装置の評価装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−155708(P2007−155708A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−294391(P2006−294391)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】