説明

POSシステム装置

【課題】 履歴データの該当箇所をユーザでも特定可能とするPOSシステム装置、そのデータ参照方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】 POSシステム装置は、取引に対応して付与される取引番号毎に入力操作の内容をデータとして記録する操作履歴DB141と、取引番号毎に入力操作の内容に対応して装置内で行われる処理内容をデータとして記録する処理履歴DB142と、取引番号毎に該当取引にて入力された一連のデータを処理した結果をもとに作成されるレシート印字データを記録する電子ジャーナルDB143と、電子ジャーナルDBに記録されたレシート印字データ、操作履歴DBに記録されたデータ、処理履歴DBに記録されたデータ等を取引番号毎に参照可能に制御する制御部15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はPOSシステム装置に係り、特にレシート印字データ等を参照可能とするPOSシステム装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータシステムにおいてソフトウエアに起因する障害は、ソフトウエアの動作状況が目に見えないため原因の切り分けが困難なことが多い。その解決のためプログラムの動作処理履歴等をデータとして記憶保存する技術が広く知られている。またPOS(Point Of Sales)システム装置では、あらかじめ規定した操作順で操作することが一般的であるため、操作履歴からも障害の原因の切り分けが可能であり操作履歴をデータとして記憶保存する技術も広く知られている。ただし、これらの履歴データは専門の知識を持ったメーカの技術者が調査・解析することを前提として記録されており、ユーザ自身にて調査・解析することは一般的に困難である。
【0003】
これらの履歴データに関する技術としては、例えば特開2008−40560号公報に記載の履歴情報の表示装置あるいは特開2005−56074号公報に記載の障害情報収集システムなどが知られているが、これらはいずれも履歴情報の記録方法に関する技術であり、履歴情報の調査・解析の簡略化を図り、ユーザ自身による調査・解析を実現させるための技術は提案されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−40560号公報
【特許文献2】特開2005−56074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
履歴データは一般的に、入力操作やそれに伴う装置内の処理が発生した順に、その発生日時、入力操作の内容、処理内容が記録されるが、その中から障害に該当する箇所を見つけだそうとするときには障害が発生した日時が手がかりとなる。しかし現場のオペレータから正確な発生日時が申告されることはまれであり、実際には、「何時頃」というように概ね1時間程度の範囲で申告されるため、その時間範囲の中から記録内容を参照して該当箇所を見つけ出す必要がある。
【0006】
POSシステム装置の履歴データに記録されている入力操作の内容や処理内容は1個1個の内容自体はユーザ自身でも理解可能なものであり、該当箇所が特定できればユーザ自身でもある程度の解析は可能であるが、1時間程度という広い範囲の履歴の羅列の中を解析して該当箇所を特定するということになるとユーザ自身での作業は非常に難しく解析はほぼ不可能というのが実情である。そのため操作ミス等本来、障害とは言えないレベルの障害も全ていちいちメーカに調査を依頼せざるを得ず、調査に相当の時間や費用がかかってしまうという問題がある。
【0007】
本発明の目的は上記問題を解決し、履歴データの該当箇所をユーザでも特定可能とするPOSシステム装置、そのデータ参照方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、以下のPOSシステム装置、そのデータ参照方法およびプログラムを提供する。
(1)取引に対応して付与される取引番号毎に入力操作の内容をデータとして記録する操作履歴データベースと、前記取引番号毎に前記入力操作の内容に対応して装置内で行われる処理内容をデータとして記録する処理履歴データベースと、前記取引番号毎に該当取引にて入力された一連のデータを処理した結果をもとに作成されるレシート印字データを記録する電子ジャーナル・データベースと、前記電子ジャーナル・データベースに記録されたレシート印字データを前記取引番号毎に参照可能に制御する制御部とを備えたPOSシステム装置。
(2)前記制御部が、さらに前記操作履歴データベースに記録されたデータおよび前記処理履歴データベースに記録されたデータの少なくとも一方を前記取引番号毎に参照可能に制御する上記(1)記載のPOSシステム装置。
(3)前記データを参照する手段として前記データを表示する表示部および前記データを印字する印字部の少なくとも一方を備えた上記(1)または(2)記載のPOSシステム装置。
(4)取引に対応して操作履歴データベースに取引番号の行を作成し、前記取引番号の行に入力操作の内容をデータとして記録する第1の工程と、前記取引に対応して処理履歴データベースに前記取引番号の行を作成し、前記取引番号の行に前記入力操作の内容に対応して装置内で行われる処理内容をデータとして記録する第2の工程と、前記操作履歴データベースの前記取引番号の行に次の入力操作の内容をデータとして記録する第3の工程と、前記処理履歴データベースの前記取引番号の行に前記次の入力操作の内容に対応して装置内で行われる処理内容をデータとして記録する第4の工程と、前記第3および第4の工程を繰り返し行う第5の工程と、前記第5の工程後に電子ジャーナル・データベースに前記取引番号の行を作成し、前記取引番号の行に該当取引にて入力された一連のデータを処理した結果をもとに作成されるレシート印字データを記録する第6の工程と、前記第1乃至第6の工程を繰り返し行う第7の工程と、前記電子ジャーナル・データベースに記録されたレシート印字データ、前記操作履歴データベースに記録された入力操作の内容のデータ、および前記処理履歴データベースに記録された処理内容のデータの少なくとも一つを前記取引番号毎に参照可能とする第8の工程と、を含むPOSシステム装置のデータ参照方法。
(5)コンピュータに、取引に対応して操作履歴データベースに取引番号の行を作成し、前記取引番号の行に入力操作の内容をデータとして記録する第1の手順、前記取引に対応して処理履歴データベースに前記取引番号の行を作成し、前記取引番号の行に前記入力操作の内容に対応して装置内で行われる処理内容をデータとして記録する第2の手順、前記操作履歴データベースの前記取引番号の行に次の入力操作の内容をデータとして記録する第3の手順、前記処理履歴データベースの前記取引番号の行に前記次の入力操作の内容に対応して装置内で行われる処理内容をデータとして記録する第4の手順、前記第3および第4の手順を繰り返し行う第5の手順、前記第5の手順後に電子ジャーナル・データベースに前記取引番号の行を作成し、前記取引番号の行に該当取引にて入力された一連のデータを処理した結果をもとに作成されるレシート印字データを記録する第6の手順、前記第1乃至第6の手順を繰り返し行う第7の手順、前記電子ジャーナル・データベースに記録されたレシート印字データ、前記操作履歴データベースに記録された入力操作の内容のデータ、および前記処理履歴データベースに記録された処理内容のデータの少なくとも一つを前記取引番号毎に参照可能とする第8の手順、を実行させるためのプログラム。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、履歴データの該当箇所をユーザでも特定可能とするPOSシステム装置、そのデータ参照方法およびプログラムを得ることができる。これにより、参照したい操作履歴と処理履歴を簡単に検索し、特定することができ、ユーザ自身にて履歴の解析が可能となるため、問題発生時に早期の調査・解決が期待できる。またメーカへの調査依頼件数を減少させることができ、調査費用を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るPOSシステム装置の一実施例を示すブロック構成図である。
【図2】操作履歴DB141のフォーマットの一例を示す図である。
【図3】処理履歴DB142のフォーマットの一例を示す図である。
【図4】電子ジャーナルDB143のフォーマットの一例を示す図である。
【図5】電子ジャーナル検索画面2の一例を示す図である。
【図6】操作履歴表示画面3の一例を示す図である。
【図7】操作履歴印字出力4の一例を示す図である。
【図8】処理履歴表示画面5の一例を示す図である。
【図9】処理履歴印字出力6の一例を示す図である。
【図10】本発明に係るPOSシステム装置において入力操作が行われた時の履歴データの記録処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図11】本発明に係るPOSシステム装置において障害発生時等に履歴データを参照する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係るPOSシステム装置の一実施例を示すブロック構成図である。本POSシステム装置1は、売上げデータ等の入力の操作を行う入力部11と、データを表示する表示部12と、売上げレシート等を印字する印字部13と、データを記憶する記憶部14と、装置の動作を制御する制御部15と、外部との通信を行う通信部16とを備える。ここで、入力部11は例えばキーボード、タッチパネル、バーコードリーダー、磁気カードリーダー、ICカードリーダーなどであり、それらの一つまたは複数が用いられる。表示部12は例えばタッチパネル式液晶パネルである。印字部13は例えば感熱紙プリンタ、インクジェットプリンタ、レーザプリンタなどである。記憶部14は例えばメモリ、ハードディスクなどである。制御部15は例えば中央演算装置(CPU)を備えたコンピュータで構成することができ、内部メモリや外部メモリあるいは記憶部14等に格納されたコンピュータプログラムに基づいて上記各部の動作を制御する。なお、上記各部の構成は上述した具体例に限定されず、別のものを用いることもできる。
【0012】
記憶部14は、商品名称、値段、在庫、ポイントなど商品に関する基礎データを記録するマスターDB(データベース)140と、個々の取引に対応して付与される取引番号毎に入力操作の内容をデータとして記録する操作履歴DB141と、取引番号毎に入力操作の内容に対応して装置内で行われる処理(プログラムの動作処理)内容をデータとして記録する処理履歴DB142と、取引番号毎に該当取引にて入力された一連のデータを処理した結果をもとに作成されるレシート印字データを記録する電子ジャーナルDB143とを備える。ここで、制御部15は、電子ジャーナルDBに記録されたレシート印字データ、操作履歴DBに記録されたデータ、処理履歴DBに記録されたデータ等を取引番号毎に参照可能に制御することができる。これらのデータを参照する手段として、データを表示する表示部12、あるいはデータを印字する印字部13が用いられる。これらについては後で詳述する。
【0013】
図2は、操作履歴DB141のフォーマットの一例を示す図である。操作履歴DB141は、取引番号記録部1411と操作履歴記録部1412とを備える。操作履歴記録部1412には、取引番号毎に入力操作の内容がデータとしてそれぞれ操作1、操作2、・・・と列記され、最後の操作の後ろには「END」と記録される。なお、操作1、操作2、・・・は、図示しないが各々その操作を行った年月日、時分秒、および入力操作の内容がデータとして記録される。入力操作の内容とは例えば入力に用いたキーボードやバーコードリーダー等の機器名、キーボードやバーコードリーダー等により入力された商品コードなどの数値情報、機能キーの種別情報などである。
【0014】
図3は、処理履歴DB142のフォーマットの一例を示す図である。処理履歴DB142は、取引番号記録部1421と処理履歴記録部1422とを備える。処理履歴記録部1422には、取引番号毎にプログラムが動作処理した内容がデータとしてそれぞれ処理1、処理2、・・・と列記され、最後の処理の後ろには「END」と記録される。なお、処理1、処理2、・・・は、図示しないが各々その処理が動作した年月日、時分秒、および処理内容がデータとして記録される。処理内容とは例えば入力操作の内容としてバーコードリーダー等により入力された商品コード情報に対応する商品名称や値段の関連付け、ポイント計算、消費税計算、値段の合計、在庫更新などである。
【0015】
図4は、電子ジャーナルDB143のフォーマットの一例を示す図である。電子ジャーナルDBは、取引番号記録部1431とレシート印字データ記録部1432とを備える。レシート印字データは、該当取引番号の取引にて入力された一連のデータを処理した結果をもとに作成され、取引番号毎にレシート印字データ記録部1432に記録される。
【0016】
図5は、電子ジャーナル検索画面2の一例を示す図である。電子ジャーナル検索画面2は表示部12に表示される。電子ジャーナル検索画面2は、図示のように、例えばキーボードより入力された取引番号の数値を表示する取引番号表示部21と、取引番号に該当するレシート印字内容を表示させるレシート表示ボタン22と、レシート印字内容を表示するレシート印字内容表示部23と、取引番号に該当する操作履歴を画面表示させる操作履歴表示ボタン24と、取引番号に該当する操作履歴をレシート用紙に印字させる操作履歴印字ボタン25と、取引番号に該当する処理履歴を画面表示させる処理履歴表示ボタン26と、取引番号に該当する処理履歴をレシート用紙に印字させる処理履歴印字ボタン27とを備える。これらのボタンはタッチパネル式で入力部11として機能する。例えば、画面2でレシート表示ボタン22を押すと、レシート印字内容表示部23に図示のようなレシート印字内容が表示される。
【0017】
図6は、操作履歴表示画面3の一例を示す図である。操作履歴表示画面3は表示部12に表示される。操作履歴表示画面3は取引番号を表示する取引番号表示部31と、操作履歴を表示する操作履歴表示部32とを備える。先の図5の画面2で操作履歴表示ボタン24を押すと、操作履歴表示画面3が表示される。取引番号表示部31には図5と同じ取引番号が表示され、操作履歴表示部32には図示のように入力操作が行われた年月日、時分秒および入力操作の内容が、操作が行われた順に表示される。
【0018】
図7は、操作履歴印字出力4の一例を示す図である。先の図5の画面2で操作履歴印字ボタン25を押すと、印字部13により操作履歴がレシート用紙に印字される。レシート用紙には、操作履歴印字出力4として、図示のように図5と同じ取引番号が印字されるとともに、入力操作が行われた年月日、時分秒および入力操作の内容が、操作が行われた順に印字される。
【0019】
図8は、処理履歴表示画面5の一例を示す図である。処理履歴表示画面5は表示部12に表示される。処理履歴表示画面5は取引番号を表示する取引番号表示部51と、処理履歴を表示する処理履歴表示部52とを備える。先の図5の画面2で処理履歴表示ボタン26を押すと、処理履歴表示画面5が表示される。取引番号表示部51には図5と同じ取引番号が表示され、処理履歴表示部52には図示のように入力操作に対応して装置内で行われた処理(プログラムの動作処理)の年月日、時分秒および処理内容が、処理が動作した順に表示される。
【0020】
図9は、処理履歴印字出力6の一例を示す図である。先の図5の画面2で処理履歴印字ボタン27を押すと、印字部13により処理履歴がレシート用紙に印字される。レシート用紙には、処理履歴印字出力6として、図示のように図5と同じ取引番号が印字されるとともに、入力操作に対応して装置内で行われた処理(プログラムの動作処理)の年月日、時分秒および処理内容が、処理が動作した順に印字される。
【0021】
図10は、本発明に係るPOSシステム装置において入力操作が行われた時の履歴データの記録処理の流れの一例を示すフローチャートである。本フローチャートでは取引番号00001の販売の入力操作を行った場合を例に挙げて説明する。まず、取引番号00001の販売の操作を開始し、最初の操作を入力部11にて実行する(S1)。これにより操作履歴DB141に取引番号00001の行が作成され取引番号記録部1411に00001が記録され操作履歴記録部1412の先頭に操作1が記録される(S2)。それに続いて処理履歴DB142に取引番号00001の行が作成され取引番号記録部1421に00001が記録され処理履歴記録部1422の先頭に処理1が記録される(S3)。次に取引番号00001の2番目の操作を実行する(S4)と、操作履歴DB141の操作履歴記録部の2番目に操作2が記録され(S5)、処理履歴DB142の処理履歴記録部の2番目に処理2が記録される(S6)。
【0022】
以降、フローチャートを省略するが、入力操作が行われるたびに同様に操作履歴DB141の操作履歴記録部の3番目に操作3、そして4番目に操作4・・・と記録され、処理履歴DB142の処理履歴記録部の3番目に処理3、そして4番目に処理4・・・と記録されていく。その後、10番目に取引の終了の入力操作を行うと(S7)、操作履歴DB141の操作履歴記録部の10番目に操作10が記録され、操作履歴記録部の11番目には取引の終了を示すENDマークが記録される(S8)。また、処理履歴DB142の処理履歴記録部の10番目に処理10が記録され、処理履歴記録部の11番目には取引の終了を示すENDマークが記録される(S9)。
【0023】
さらに取引の内容が印字部13から図示しないレシート用紙に印字される(S10)。また電子ジャーナルDB143に取引番号00001の行が作成され取引番号記録部1431に00001が記録され、S10で印字した内容がレシート印字データ記録部1432にデータとして記録される(S11)。以上のように取引番号を用いることにより、操作履歴DB141、処理履歴DB142、電子ジャーナルDB143へ、取引毎に関連した形でデータを記録することができる。
【0024】
図11は、本発明に係るPOSシステム装置において障害発生時等に履歴データを参照する処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず入力部11にて、電子ジャーナル検索画面2を起動するコマンドを入力し電子ジャーナル検索画面2を表示部12に表示させる(S21)。その日の最初の取引の取引番号を入力部11より入力しレシート表示ボタン22を押す(S22)。制御部15は入力された取引番号に基づいて電子ジャーナルDBの取引番号1431を検索し該当する取引番号のレシート印字データ1432を電子ジャーナル検索画面2のレシート印字表示部23に表示する(S23)。オペレータは表示されたレシート印字内容を確認し障害のあった取引かどうか判別する(S24、S25)。障害のあった取引とは、例えば図5のレシート印字表示部23に表示されたレシート印字内容において本来商品Bの値段が「315」と表示されるべきところ「210」と表示されている場合などである。このような場合、レシート印字内容を参照すればユーザ自身で該当取引かどうかを容易に判別可能である。障害のあった取引ではないと判断した場合はS22に戻り、2番目の取引番号にてS22以降の工程を同様に行う。障害のあった取引であると判断した場合はその取引の履歴データの調査に移り、操作履歴と処理履歴のどちらを調査するかオペレータが判断する(S26)。
【0025】
操作履歴を調査する場合は電子ジャーナル検索画面2内の操作履歴表示ボタン24を押す(S27)。これにより表示部12に操作履歴表示画面3が表示される(S28)。このとき、S22にて電子ジャーナル検索画面2で入力した取引番号で操作履歴DB141の取引番号1411を検索し該当する取引の操作履歴1412を操作履歴表示画面3の操作履歴表示部32に表示する(S29)。オペレータはこの操作履歴表示を解析し、この取引にて実際に行われた操作を判別し、障害の原因を調査する(S30)。
【0026】
操作履歴の中から該当取引の箇所を見つけだす作業が不要となるためユーザ自身での解析が容易に可能である。また、本フローチャートには記述していないが、操作履歴印字ボタン25を押すと操作履歴表示ボタンを押した場合と同様に操作履歴DB141から該当取引を検索し操作履歴が印字部13からレシート用紙に印字されるので、この操作履歴印字出力4を参照して操作履歴を解析することも可能である。
【0027】
処理履歴を調査する場合は電子ジャーナル検索画面内の処理履歴表示ボタン26を押す(S31)。これにより表示部12に処理履歴表示画面5が表示される(S32)。このとき、S22にて電子ジャーナル検索画面2で入力した取引番号で処理履歴DB142の取引番号1421を検索し該当する取引の処理履歴1422を処理履歴表示画面5の処理履歴表示部52に表示する(S33)。オペレータはこの処理履歴表示を解析し、この取引にて実際に動作した処理を判別し、障害の原因を調査する(S34)。
【0028】
また、本フローチャートには記述していないが、処理履歴印字ボタン27を押すと処理履歴表示ボタンを押した場合と同様に処理履歴DB142から該当取引を検索し処理履歴が印字部13からレシート用紙に印字されるので、この処理履歴印字出力6を参照して処理履歴を解析することも可能である。
【0029】
上記のユーザ自身による履歴データの解析の結果、障害原因を特定できた場合はユーザ自身にて障害への対処を行う(S35,S37)。障害原因を特定できない場合はメーカに調査を依頼をする(S35,S36)。すなわち、ユーザ自身で対処可能な障害についてはメーカに調査依頼をしなくてすむようになり、障害の解決時間短縮、および調査費用低減が期待できる。
【0030】
以上のように、本発明に係るPOSシステム装置のデータ参照方法は、取引に対応して操作履歴データベースに取引番号の行を作成し、前記取引番号の行に入力操作の内容をデータとして記録する第1の工程と、前記取引に対応して処理履歴データベースに前記取引番号の行を作成し、前記取引番号の行に前記入力操作の内容に対応して装置内で行われる処理内容をデータとして記録する第2の工程と、前記操作履歴データベースの前記取引番号の行に次の入力操作の内容をデータとして記録する第3の工程と、前記処理履歴データベースの前記取引番号の行に前記次の入力操作の内容に対応して装置内で行われる処理内容をデータとして記録する第4の工程と、前記第3および第4の工程を繰り返し行う第5の工程と、前記第5の工程後に電子ジャーナル・データベースに前記取引番号の行を作成し、前記取引番号の行に該当取引にて入力された一連のデータを処理した結果をもとに作成されるレシート印字データを記録する第6の工程と、前記第1乃至第6の工程を繰り返し行う第7の工程と、前記電子ジャーナル・データベースに記録されたレシート印字データ、前記操作履歴データベースに記録された入力操作の内容のデータ、および前記処理履歴データベースに記録された処理内容のデータの少なくとも一つを前記取引番号毎に参照可能とする第8の工程と、を含むものである。
【0031】
これらの工程は、コンピュータに次のプログラムを実行させることで実施することができる。すなわち、このプログラムは、コンピュータに、取引に対応して操作履歴データベースに取引番号の行を作成し、前記取引番号の行に入力操作の内容をデータとして記録する第1の手順、前記取引に対応して処理履歴データベースに前記取引番号の行を作成し、前記取引番号の行に前記入力操作の内容に対応して装置内で行われる処理内容をデータとして記録する第2の手順、前記操作履歴データベースの前記取引番号の行に次の入力操作の内容をデータとして記録する第3の手順、前記処理履歴データベースの前記取引番号の行に前記次の入力操作の内容に対応して装置内で行われる処理内容をデータとして記録する第4の手順、前記第3および第4の手順を繰り返し行う第5の手順、前記第5の手順後に電子ジャーナル・データベースに前記取引番号の行を作成し、前記取引番号の行に該当取引にて入力された一連のデータを処理した結果をもとに作成されるレシート印字データを記録する第6の手順、前記第1乃至第6の手順を繰り返し行う第7の手順、前記電子ジャーナル・データベースに記録されたレシート印字データ、前記操作履歴データベースに記録された入力操作の内容のデータ、および前記処理履歴データベースに記録された処理内容のデータの少なくとも一つを前記取引番号毎に参照可能とする第8の手順、を実行させるものである。このプログラムはPOSシステム装置の制御部あるいは記憶部に格納しておくことができるが、これに限定されずCDROM等の記録媒体に格納して又は外部から通信手段によって提供することも可能である。
【0032】
POSシステム装置では取引毎に販売レシートを印字するが、印字した内容はデータとして電子ジャーナルDBに記録し、後ほど参照できる機能を有する。障害が発生した取引の販売内容がわかる場合には、電子ジャーナルDBのレシート印字データを参照していけば該当取引を特定することは可能である。本発明では、上述のように、取引単位で付与される取引番号毎にPOSシステム装置の操作履歴と処理履歴をデータベースに記録することにより、取引番号に関連付けて履歴データを取り出すことができる。このため、電子ジャーナルDBのレシート印字データにて障害取引を特定後、その取引の履歴データを取り出して参照することができ、障害等の解析を容易にすることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 POSシステム装置
11 入力部
12 表示部
13 印字部
14 記憶部
140 マスターDB
141 操作履歴DB
142 処理履歴DB
143 電子ジャーナルDB
15 制御部
16 通信部
1411 操作履歴DB内の取引番号
1412 操作履歴DB内の操作履歴
1421 処理履歴DB内の取引番号
1422 処理履歴DB内の処理履歴
1431 電子ジャーナルDB内の取引番号
1432 電子ジャーナルDB内のレシート印字データ
2 電子ジャーナル検索画面
21 電子ジャーナル検索画面の取引番号表示部
22 電子ジャーナル検索画面のレシート表示ボタン
23 電子ジャーナル検索画面のレシート印字内容表示部
24 電子ジャーナル検索画面の操作履歴表示ボタン
25 電子ジャーナル検索画面の操作履歴印字ボタン
26 電子ジャーナル検索画面の処理履歴表示ボタン
27 電子ジャーナル検索画面の処理履歴印字ボタン
3 操作履歴表示画面
31 操作履歴表示画面の取引番号表示部
32 操作履歴表示画面の操作履歴表示部
4 操作履歴印字出力
5 処理履歴表示画面
51 処理履歴表示画面の取引番号表示部
52 処理履歴表示画面の処理履歴表示部
6 処理履歴印字出力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取引に対応して付与される取引番号毎に入力操作の内容をデータとして記録する操作履歴データベースと、前記取引番号毎に前記入力操作の内容に対応して装置内で行われる処理内容をデータとして記録する処理履歴データベースと、前記取引番号毎に該当取引にて入力された一連のデータを処理した結果をもとに作成されるレシート印字データを記録する電子ジャーナル・データベースと、前記電子ジャーナル・データベースに記録されたレシート印字データを前記取引番号毎に参照可能に制御する制御部とを備えたPOSシステム装置。
【請求項2】
前記制御部が、さらに前記操作履歴データベースに記録されたデータおよび前記処理履歴データベースに記録されたデータの少なくとも一方を前記取引番号毎に参照可能に制御する請求項1記載のPOSシステム装置。
【請求項3】
前記データを参照する手段として前記データを表示する表示部および前記データを印字する印字部の少なくとも一方を備えた請求項1または2記載のPOSシステム装置。
【請求項4】
取引に対応して操作履歴データベースに取引番号の行を作成し、前記取引番号の行に入力操作の内容をデータとして記録する第1の工程と、
前記取引に対応して処理履歴データベースに前記取引番号の行を作成し、前記取引番号の行に前記入力操作の内容に対応して装置内で行われる処理内容をデータとして記録する第2の工程と、
前記操作履歴データベースの前記取引番号の行に次の入力操作の内容をデータとして記録する第3の工程と、
前記処理履歴データベースの前記取引番号の行に前記次の入力操作の内容に対応して装置内で行われる処理内容をデータとして記録する第4の工程と、
前記第3および第4の工程を繰り返し行う第5の工程と、
前記第5の工程後に電子ジャーナル・データベースに前記取引番号の行を作成し、前記取引番号の行に該当取引にて入力された一連のデータを処理した結果をもとに作成されるレシート印字データを記録する第6の工程と、
前記第1乃至第6の工程を繰り返し行う第7の工程と、
前記電子ジャーナル・データベースに記録されたレシート印字データ、前記操作履歴データベースに記録された入力操作の内容のデータ、および前記処理履歴データベースに記録された処理内容のデータの少なくとも一つを前記取引番号毎に参照可能とする第8の工程と、
を含むPOSシステム装置のデータ参照方法。
【請求項5】
コンピュータに、
取引に対応して操作履歴データベースに取引番号の行を作成し、前記取引番号の行に入力操作の内容をデータとして記録する第1の手順、
前記取引に対応して処理履歴データベースに前記取引番号の行を作成し、前記取引番号の行に前記入力操作の内容に対応して装置内で行われる処理内容をデータとして記録する第2の手順、
前記操作履歴データベースの前記取引番号の行に次の入力操作の内容をデータとして記録する第3の手順、
前記処理履歴データベースの前記取引番号の行に前記次の入力操作の内容に対応して装置内で行われる処理内容をデータとして記録する第4の手順、
前記第3および第4の手順を繰り返し行う第5の手順、
前記第5の手順後に電子ジャーナル・データベースに前記取引番号の行を作成し、前記取引番号の行に該当取引にて入力された一連のデータを処理した結果をもとに作成されるレシート印字データを記録する第6の手順、
前記第1乃至第6の手順を繰り返し行う第7の手順、
前記電子ジャーナル・データベースに記録されたレシート印字データ、前記操作履歴データベースに記録された入力操作の内容のデータ、および前記処理履歴データベースに記録された処理内容のデータの少なくとも一つを前記取引番号毎に参照可能とする第8の手順、
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−186514(P2011−186514A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47683(P2010−47683)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000233295)日立情報通信エンジニアリング株式会社 (195)
【Fターム(参考)】