説明

PWM信号出力回路とPWM信号出力制御方法およびプログラム

【課題】複数PWM信号を自由に設定可能なPWM信号出力回路で各PWM信号の相補の使用を適正に行う。
【解決手段】クロック計数用のカウンタとデッドタイム値記憶用レジスタと、開始設定値と停止設定値が設定され且つ生成した自開始信号で立上り自停止信号で立下るPWM信号を各々出力する複数のPWM信号出力手段とを備え、各々先の立下げPWM信号を出力する前段側と次の立下げPWM信号を出力する後段側とし、後段側は自開始設定値と前段側の停止設定値との差がデッドタイム値より小さく当該停止設定値とデッドタイム値の和がカウンタ値と一致した場合に、また差がデッドタイム値以上で自開始設定値とカウンタ値とが一致した場合に開始信号を生成し、前段側は自開始設定値がデッドタイム値より小さくデッドタイム値とカウンタ値が一致すると、また自開始設定値がデッドタイム値以上で自開始設定値とカウンタ値が一致すると開始信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成して出力するPWM信号出力回路とPWM信号出力制御方法およびプログラムに係り、特に、それぞれ周期およびディーティが任意に設定される各PWM信号に対するデッドタイム(各PWM信号が同時にオンしない時間)の付加を効率的に行うのに好適なPWM信号出力回路とPWM信号出力制御方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
PWM信号は、IT調理器や無停電電源装置などのインバータ制御に設けられたIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)の制御等に用いられている。
【0003】
例えば、IT調理器に用いられるインバータ回路は2個のスイッチング素子から構成され、それぞれのスイッチング素子をPWM信号によりオン・オフ制御する。このような構成において、2個のスイッチング素子が同時にオンした場合には、貫通電流が流れてインバータ制御回路にダメージを与えてしまう。
【0004】
このような問題に対処するために、複数のPWM信号が同時にオンしないように、インバータ制御用マイクロコンピュータとしてデッドタイム付きPWM信号を出力する技術が例えば特許文献1〜3等において記載されている。
【0005】
例えば、特許文献1では、インバータ制御用のための相補PWM信号を生成する半導体装置において、2つのPWM信号のそれぞれに対して、各PWM信号が同時オンしない時間(デッドタイム)を柔軟にかつ容易な構成によって付加可能とする技術が記載されている。
【0006】
具体的には、この技術においては、半導体装置として、第1のPWM信号と、この第1のPWM信号の反転信号である第2のPWM信号とを生成する相補PWM生成部と、第1のPWM信号の立ち上がり時に第1のデッドタイムを付加するとともに、第2のPWM信号の立ち上がり時に第2のデッドタイムを付加するデッドタイム付加部とを備え、デッドタイム付加部においては、第1のデッドタイムと第2のデッドタイムとを、個別に設定可能に構成している。
【0007】
また、デッドタイム付加部においては、デッドタイマと、第1,第2のデッドタイム設定レジスタとを備え、デッドタイマの値が第1のデッドタイム設定レジスタの設定値に達するまでの時間を、第1のPWM信号の立ち上がり時に第1のデッドタイムとして付加する一方で、デッドタイマの値が第2のデッドタイム設定レジスタの設定値に達するまでの時間を、第2のPWM信号の立ち上がり時に第2のデッドタイムとして付加している。
【0008】
このような構成とすることで、PWM信号とその反転信号とで異なるデッドタイムの設定が可能となり、回路上でデッドタイムの最適値を変更・設定する必要がなくなるとともに、個別に最適なデッドタイムの設定を実施することが可能となり、電力損失を抑えた、より高度な制御を行うことが可能となる。
【0009】
しかしながら、この特許文献5に記載の技術においては、以下のような課題には対処することができない。
【0010】
例えば、PWM信号を出力するIC(Integrated Circuit)は、必ずしも相補(逆相)の信号を出力するというわけではなく、相補であっても、また全く別のものであっても、2相の制御が可能であるICが望まれている。そのため、それぞれの周期やデューティを任意に制御できるように構成する必要がある。
【0011】
このような、出力する複数のPWM信号のそれぞれの周期やデューティを任意に制御可能な構成としたPWM信号出力回路について図1と図2を用いて説明する。
【0012】
図1は、周期やデューティを任意に制御可能なPWM信号出力回路の構成例を示すブロック図であり、図2は、図1におけるPWM信号出力回路の動作例を示すタイミングチャートである。
【0013】
図1に示すPWM信号出力回路は、例えばマイクロコンピュータ等の半導体装置として構成可能であり、カウンタ11、CH1周期設定レジスタ12、CH1デューティ設定レジスタ13、CH2周期設定レジスタ14、CH2デューティ設定レジスタ15、比較器(1)16a〜比較器(4)16d、CH1出力制御回路17、及び、CH2出力制御回路18を有する構成となっている。
【0014】
カウンタ11は、例えばマイクロコンピュータに内蔵されたタイマ等から出力されるクロックに同期して動作し、そのクロック数を計数してカウンタ値として出力する。
【0015】
また、CH1周期設定レジスタ12、CH1デューティ設定レジスタ13、比較器(1)16a,比較器(2)16b、及び、CH1出力制御回路17により、第1のPWM信号(PWM1)を出力する第1のPWM信号生成部を構成し、同様に、CH2周期設定レジスタ14、CH2デューティ設定レジスタ15、比較器(3)16c,比較器(4)16d、及び、CH2出力制御回路18により、第2のPWM信号(PWM2)を出力する第2のPWM信号生成部を構成している。
【0016】
このような構成からなる第1,第2のPWM信号生成部は、カウンタ11が出力するカウンタ値に基づき、CH1周期設定レジスタ12とCH1デューティ設定レジスタ13、および、CH2周期設定レジスタ14とCH2デューティ設定レジスタ15のそれぞれに設定された値に対応したデューティ値のPWM信号を生成して出力する。
【0017】
また、比較器(1)16aは、カウンタ11が出力するカウンタ値が予め設定された値に達すると当該カウンタ11の計数動作をリセットするリセット回路としての機能を有している。
【0018】
第1,第2のPWM信号生成部のそれぞれは、CH1デューティ設定レジスタ13、CH2デューティ設定レジスタ15に設定される値を、開始設定値として記憶し、比較器(2)16b、比較器(4)16dにおいて、カウンタ11が出力するカウンタ値と、CH1デューティ設定レジスタ13、CH2デューティ設定レジスタ15に記憶されている各開始設定値とを比較し、一致すると開始信号を生成・出力する。
【0019】
このようにして、比較器(2)16b、比較器(4)16dから開始信号が出力されると、第1,第2のPWM信号生成部のそれぞれは、CH1出力制御回路17、CH2出力制御回路18において、第1,第2のPWM信号(PWM1,PWM2)を生成して出力する。
【0020】
また、第1,第2のPWM信号生成部のそれぞれは、CH1周期設定レジスタ12、CH2周期設定レジスタ14に設定される値を、停止設定値として記憶し、比較器(1)16a、比較器(3)16cにおいて、カウンタ11が出力するカウンタ値と、CH1周期設定レジスタ12、CH2周期設定レジスタ14に記憶されている各停止設定値とを比較し、一致すると停止信号を出力する。
【0021】
このようにして、比較器(1)16a、比較器(3)16cから停止信号が出力されると、第1,第2のPWM信号生成部のそれぞれは、CH1出力制御回路17、CH2出力制御回路18における第1,第2のPWM信号(PWM1,PWM2)の生成と出力を停止する。
【0022】
このような第1,第2のPWM信号生成部のそれぞれの動作を、図2を用いて説明する。図2に示す例では、第1の周期において、CH1周期設定レジスタ12に停止設定値「7」、CH1デューティ設定レジスタ13には開始設定値「2」、CH2周期設定レジスタ14に停止設定値「4」、CH2デューティ設定レジスタ15に開始設定値「1」の各値が設定されている。
【0023】
このような設定状況において、クロックに同期してカウンタ11が動作し、カウンタ11の出力カウンタ値がCH1デューティ設定レジスタ13に設定されている開始設定値「2」と一致すると、比較器(2)16bは、開始信号を生成してCH1出力制御回路17に出力し、CH1出力制御回路17からのPWM1出力は「L(ロー)」から「H(ハイ)」に変化し、その後、カウンタ11の値がCH1周期設定レジスタ12に設定されている停止設定値「7」と一致すると、比較器(1)16aは、停止信号を生成してCH1出力制御回路17に出力し、CH1出力制御回路17からの出力であるPWM1出力は「H」から「L」に変化し、かつ、カウンタ11の値がクリアされる。
【0024】
また、カウンタ11の出力カウンタ値がCH2デューティ設定レジスタ15に設定されている開始設定値「1」と一致すると、比較器(4)16dは、開始信号を生成してCH2出力制御回路18に出力し、CH2出力制御回路18からのPWM2出力は「L」から「H」に変化し、その後、カウンタ11の値がCH2周期設定レジスタ14に設定されている停止設定値「4」と一致すると、比較器(3)16cは、停止信号を生成してCH2出力制御回路18に出力し、CH2出力制御回路18からの出力であるPWM2出力は「H」から「L」に変化し、カウンタ11の出力カウンタ値がCH1周期設定レジスタ12に設定された値「7」と一致するまで、すなわち、カウンタ11の値がクリアされるまで、その値「L」を保持する。
【0025】
このようにして、図1の構成からなるPWM信号出力回路においては、2チャンネルそれぞれの周期とデューティを自由に設定することができる。
【0026】
しかしながら、このように、第1,第2のPWM信号生成部のそれぞれにおいて、任意に開始設定値と停止設定値が設定可能な場合には、例えば、図2に示したように、各開始設定値と停止設定値の設定状況によっては、第1,第2のPWM信号生成部のそれぞれが出力する第1,第2のPWM信号(PWM1,PWM2)が同時に「H」となる期間が発生する。
【0027】
このようにPWM1とPWM2が同時に「H」となる区間が存在する場合、PWM出力の「H」区間でON(オン)する場合、2チャンネルが同時にONする区間が発生し、例えば、PWM1とPWM2とをIGBT等の制御に用いる場合には、部品にダメージを与えてしまう。
【0028】
このように、図1の構成からなるPWM信号出力回路においては、2チャンネルそれぞれの周期とデューティを自由に設定できる反面、例えばIGBT等の制御に用いる場合に誤った設定をして、2チャンネル同時ONのタイミングを作ってしまい、その結果、制御対象の素子に不具合を発生させてしまう場合がある。
【0029】
すなわち、図1の構成のPWM信号出力回路では、PWM信号出力回路における複数チャネルそれぞれの周期とディーティを任意に設定できる構成であるので、例えばIGBT等の制御に用いる場合において、誤った設定をして2チャンネル同時ONのタイミングを作ってしまう、という問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】特開2004−187492号公報
【特許文献2】特開2004−357450号公報
【特許文献3】特開2007−202329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、複数のPWM信号のそれぞれに対する自由度の高い設定を可能としつつ、各PWM信号の相補の使用においても適切な動作を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0032】
上記目的を達成するため、本発明のPWM信号出力回路は、クロック数を計数してカウンタ値を出力し、リセット信号が入力されると計数したカウンタ値をリセットして計数を再開する計数手段と、デッドタイム値を記憶するデッドタイム値記憶手段と、開始設定値及び停止設定値が設定されると共に、停止信号及び開始信号を生成し、自身で生成した開始信号により立ち上がり、かつ自身で生成した停止信号により立ち下がるPWM信号を各々出力する複数のPWM信号出力手段と、を備えたPWM信号出力回路であって、前記複数のPWM信号出力手段の各々は、自身の停止設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に、停止信号を生成し、先に立ち下がるPWM信号を出力するPWM信号出力手段を前段PWM信号出力手段、前記先に立ち下がるPWM信号の立ち下がりに続いて立ち下がるPWM信号を出力するPWM信号出力手段を後段PWM信号出力手段としたとき、後段PWM信号出力手段は、自身の開始設定値と前段PWM信号出力手段の停止設定値との差が、前記デッドタイム値より小さい場合には、前段PWM信号出力手段の停止設定値と前記デッドタイム値の和が前記カウンタ値と一致した場合に開始信号を生成し、前記差が前記デッドタイム値以上の場合には、自身の開始設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に開始信号を生成し、前段PWM信号出力手段は、自身の開始設定値が前記デッドタイム値より小さい場合には、前記デッドタイム値と前記カウンタ値とが一致した場合に開始信号を生成し、自身の開始設定値が前記デッドタイム値以上の場合には、自身の開始設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に開始信号を生成する。
【0033】
また、前記複数のPWM信号出力手段は、第1の開始設定値及び第1の停止設定値が設定されると共に、第1の停止信号及び第1の開始信号を生成し、第1の開始信号により立ち上がり、かつ第1の停止信号により立ち下がるPWM信号を出力する第1のPWM信号出力手段と、第2の開始設定値及び第2の停止設定値が設定されると共に、第2の停止信号及び第2の開始信号を生成し、第2の開始信号により立ち上がり、かつ第2の停止信号により立ち下がるPWM信号を出力する第2のPWM信号出力手段と、により構成され、前記第1のPWM信号出力手段は、第1の停止設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に、第1の停止信号を生成し、前記第2のPWM信号出力手段は、第2の停止設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に、第2の停止信号を生成し、先に立ち下がるPWM信号を出力するPWM信号出力手段を第2のPWM信号出力手段、前記先に立ち下がるPWM信号の立ち下がりに続いて立ち下がるPWM信号を出力するPWM信号出力手段を第1のPWM信号出力手段としたとき、第1のPWM信号出力手段は、第1の開始設定値と第2の停止設定値との差が、前記デッドタイム値より小さい場合には、第2の停止設定値と前記デッドタイム値の和が前記カウンタ値と一致した場合に第1の開始信号を生成し、前記差が前記デッドタイム値以上の場合には、第1の開始設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に、第1の開始信号を生成し、第2のPWM信号出力手段は、第2の開始設定値が前記デッドタイム値より小さい場合には、前記デッドタイム値と前記カウンタ値とが一致した場合に第2の開始信号を生成し、第2の開始設定値が前記デッドタイム値以上の場合には、第2の開始設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に第2の開始信号を生成する、ようにすることができる。
【0034】
また、前記複数のPWM信号出力手段は、第1の開始設定値及び第1の停止設定値が設定されると共に、第1の停止信号及び第1の開始信号を生成し、第1の開始信号により立ち上がり、かつ第1の停止信号により立ち下がるPWM信号を出力する第1のPWM信号出力手段と、第2の開始設定値及び第2の停止設定値が設定されると共に、第2の停止信号及び第2の開始信号を生成し、第2の開始信号により立ち上がり、かつ第2の停止信号により立ち下がるPWM信号を出力する第2のPWM信号出力手段と、第3の開始設定値及び第3の停止設定値が設定されると共に、第3の停止信号及び第3の開始信号を生成し、第3の開始信号により立ち上がり、かつ第3の停止信号により立ち下がるPWM信号を出力する第3のPWM信号出力手段と、により構成され、前記第1のPWM信号出力手段は、第1の停止設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に、第1の停止信号を生成し、前記第2のPWM信号出力手段は、第2の停止設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に、第2の停止信号を生成し、前記第3のPWM信号出力手段は、第3の停止設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に、第3の停止信号を生成し、最初に立ち下がるPWM信号を出力するPWM信号出力手段を第3のPWM信号出力手段、前記第3のPWM信号出力手段が出力するPWM信号の立ち下がりに続いて立ち下がるPWM信号を出力するPWM信号出力手段を第2のPWM信号出力手段、前記第2のPWM信号出力手段が出力するPWM信号の立ち下がりに続いて立ち下がるPWM信号を出力するPWM信号出力手段を第1のPWM信号出力手段としたとき、第1のPWM信号出力手段は、第1の開始設定値と第2の停止設定値との差が、前記デッドタイム値より小さい場合には、第2の停止設定値と前記デッドタイム値の和が前記カウンタ値と一致した場合に第1の開始信号を生成し、前記差が前記デッドタイム値以上の場合には、第1の開始設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に、第1の開始信号を生成し、第2のPWM信号出力手段は、第2の開始設定値と第3の停止設定値との差が、前記デッドタイム値より小さい場合には、第3の停止設定値と前記デッドタイム値の和が前記カウンタ値と一致した場合に第2の開始信号を生成し、前記差が前記デッドタイム値以上の場合には、第2の開始設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に、第2の開始信号を生成し、第3のPWM信号出力手段は、第3の開始設定値が前記デッドタイム値より小さい場合には、前記デッドタイム値と前記カウンタ値とが一致した場合に第3の開始信号を生成し、第3の開始設定値が前記デッドタイム値以上の場合には、第3の開始設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に第3の開始信号を生成する、ようにすることができる。
【0035】
また、前記複数のPWM信号出力手段は、第1の開始設定値及び第1の停止設定値が設定されると共に、第1の停止信号及び第1の開始信号を生成し、第1の開始信号により立ち上がり、かつ第1の停止信号により立ち下がるPWM信号を出力する第1のPWM信号出力手段と、前記デッドタイム値が第2の開始設定値として設定され、前記第1の開始設定値が第2の停止設定値として設定されると共に、第2の停止信号及び第2の開始信号を生成し、第2の開始信号により立ち上がり、かつ第2の停止信号により立ち下がるPWM信号を出力する第2のPWM信号出力手段と、により構成され、前記第1のPWM信号出力手段は、前記第1の停止設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に、第1の停止信号を生成し、前記第2のPWM信号出力手段は、前記第1の開始設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に、第2の停止信号を生成し、先に立ち下がるPWM信号を出力するPWM信号出力手段を第2のPWM信号出力手段、前記先に立ち下がるPWM信号の立ち下がりに続いて立ち下がるPWM信号を出力するPWM信号出力手段を第1のPWM信号出力手段としたとき、第1のPWM信号出力手段は、前記第1の開始設定値と前記デッドタイム値の和が前記カウンタ値と一致した場合に第1の開始信号を生成し、第2のPWM信号出力手段は、前記第2の開始設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に第2の開始信号を生成する、ようにすることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、複数のPWM信号それぞれに対して、自由度の高い設定を可能としつつ、相補(逆相)の使用の場合においても適切な動作を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】従来の周期やデューティを任意に制御可能なPWM信号出力回路の構成例を示すブロック図である。
【図2】図1におけるPWM信号出力回路の動作例を示すタイミングチャートである。
【図3】本発明に係るPWM信号出力回路の第1の構成例を示すブロック図である。
【図4】図3のPWM信号出力回路の本発明に係る動作例を示すフローチャートである。
【図5】図3におけるPWM信号出力回路の第1の動作例を示すタイミングチャートである。
【図6】本発明に係るPWM信号出力回路の第2の構成例を示すブロック図である。
【図7】図5におけるPWM信号出力回路の動作例を示すタイミングチャートである。
【図8】本発明に係るPWM信号出力回路の第3の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図を用いて本発明の実施するための最良の形態例について説明する。
【0039】
図3に示す本発明に係る構成のPWM信号出力回路は、図1により示した従来の周期やデューティを任意に制御可能な構成としたPWM信号出力回路に、デッドタイム設定レジスタ30を設け、さらに、比較器(2)16bおよび比較器(4)16dのそれぞれに、新たに、複数のPWM信号それぞれに対して、自由度の高い設定を可能としつつ、相補の使用の場合においても適切な動作を可能とするための各機能を設けている。
【0040】
すなわち、図3に示すPWM信号出力回路は、例えばマイクロコンピュータ等の半導体装置として構成可能であり、カウンタ31、CH1周期設定レジスタ32、CH1デューティ設定レジスタ33、CH2周期設定レジスタ34、CH2デューティ設定レジスタ35、比較器(1)36a〜比較器(4)36d、CH1出力制御回路37、CH2出力制御回路38、及び、デッドタイム設定レジスタ30を有する。
【0041】
このような構成において、カウンタ31は、例えばマイクロコンピュータに内蔵されたタイマ等から出力されるクロックに同期して動作し、そのクロック数を計数してカウンタ値として出力する。
【0042】
また、CH1周期設定レジスタ32、CH1デューティ設定レジスタ33、比較器(1)36a,比較器(2)36b、及びCH1出力制御回路37により、第1のPWM信号(PWM1)を出力する第1のPWM信号生成部を構成している。
【0043】
また、CH2周期設定レジスタ34、CH2デューティ設定レジスタ35、比較器(3)36c、比較器(4)36d、及びCH2出力制御回路38により、第2のPWM信号(PWM2)を出力する第2のPWM信号生成部を構成している。
【0044】
このように図3に示すPWM信号出力回路は2相(2チャンネル)のPWM信号を生成して出力するよう構成されている。
【0045】
CH1周期設定レジスタ32は、第1のPWM信号生成部において生成するPWM信号(PWM1)の立ち下げ用に設定された第1の停止設定値を記憶し、CH1デューティ設定レジスタ33は、第1のPWM信号生成部において生成する第1のPWM信号(PWM1)の立ち上げ用に設定された第1の開始設定値を記憶する。
【0046】
CH2周期設定レジスタ34は、第2のPWM信号生成部において生成するPWM信号(PWM2)の立ち下げ用に設定された第2の停止設定値を記憶し、CH2デューティ設定レジスタ35は、第2のPWM信号生成部において生成する第2のPWM信号(PWM2)の立ち上げ用に設定された第2の開始設定値を記憶する。
【0047】
デッドタイム設定レジスタ30は、第1のPWM信号(PWM1)と第2のPWM信号(PWM2)とを同時にオフ状態とする期間として設定されたデッドタイム値を記憶する。
【0048】
比較器(1)36aは、CH1周期設定レジスタ32に記憶された第1の停止設定値とカウンタ31が出力するカウンタ値とを比較し、一致すると第1の停止信号およびカウンタ31の計数動作をリセットするリセット信号を出力する。
【0049】
比較器(2)36bは、本発明に係るデッドタイム付加制御処理を行う機能を有するものであり、まず、CH1デューティ設定レジスタ33に記憶されている第1の開始設定値から、CH2周期設定レジスタ34に記憶されている第2の停止設定値を減算した値を求め、次に、求めた値が、デッドタイム設定レジスタ30に記憶されたデッドタイム値より小さいか否かを比較し、より小さい場合には、当該デッドタイム値にCH2周期設定レジスタ34に記憶されている第2の停止設定値を加算した値と、カウンタ31が出力するカウンタ値とを比較し、一致すると第1の開始信号を生成・出力し、また、等しいか大きい場合には、CH1デューティ設定レジスタ33に記憶されている第1の開始設定値とカウンタ31が出力するカウンタ値とを比較し、一致すると第1の開始信号を生成・出力する。
【0050】
CH1出力制御回路37は、比較器(2)36bから第1の開始信号が出力されると第1のPWM信号(PWM1)を生成して出力し、比較器(1)36aから第1の停止信号が出力されると第1のPWM信号(PWM1)の生成を停止する。
【0051】
比較器(3)36cは、CH2周期設定レジスタ34に記憶された第2の停止設定値とカウンタ31が出力するカウンタ値とを比較し、一致すると第2の停止信号を出力する。
【0052】
比較器(4)36dは、本発明に係るデッドタイム付加制御処理を行う機能を有するものであり、CH2デューティ設定レジスタ35に記憶されている第2の開始設定値が、デッドタイム設定レジスタ30に記憶されたデッドタイム値より小さいか否かを比較し、より小さい場合には、当該デッドタイム値とカウンタ31が出力するカウンタ値とを比較し、一致すると第2の開始信号を生成・出力し、また、等しいか大きい場合には、CH2デューティ設定レジスタ35に記憶されている第2の開始設定値とカウンタ31が出力するカウンタ値とを比較し、一致すると第2の開始信号を生成・出力する。
【0053】
CH2出力制御回路38は、比較器(4)36dから第2の開始信号が出力されると第2のPWM信号(PWM2)を生成して出力し、比較器(3)36cから第2の停止信号が出力されると第2のPWM信号(PWM2)の生成を停止する。
【0054】
このように、図3のPWM信号出力回路では、第1,第2のPWM信号生成部は、カウンタ31が出力するカウンタ値に基づき、CH1周期設定レジスタ32とCH1デューティ設定レジスタ33、および、CH2周期設定レジスタ34とCH2デューティ設定レジスタ35のそれぞれに設定される値に対応したデューティ値のPWM信号(PWM1,PWM2)を生成して出力する際、それぞれが生成するPWM信号(PWM1,PWM2)に関して、当該生成PWM信号と隣り合う他のPWM信号とが同時にオフとなる期間と、デッドタイム設定レジスタ30に設定されているデッドタイム値と、を比較し、同時にオフとなる期間がデッドタイム値以上となるよう、生成するPWM信号(PWM1,2)の立ち上がりを遅らせる。
【0055】
このような図3におけるPWM信号出力回路の動作を図4のフローチャートを用いて説明する。
【0056】
まず、図3における比較器(4)36dにより、先に立ち上がるPWM信号の立ち下げ用に設定された前段停止設定値「Sp」を読み込み(ステップS401)、読み込んだ値を、自身の開始設定値「St」から減算して、その差「T」を求める(ステップS402)。
【0057】
求めた差「T」とデッドタイム設定レジスタ30に記憶されているデッドタイム値「D」とを比較し(ステップS403)、求めた差「T」が、デッドタイム値「D」より大きいもしくは等しい場合には、カウンタが出力するカウンタ値「C」と、開始設定値「St」とを比較し(ステップS404)、一致した場合に開始信号を生成・出力する(ステップS405)。
【0058】
また、ステップS403での比較処理で、求めた差「T」がデッドタイム値「D」より小さい場合には、デッドタイム値「D」と前段停止設定値「Sp」の和「Sm」を求め(ステップS406)、求めた和「Sm」がカウンタ値「D」と一致した場合に開始信号を生成・出力する(ステップS407,S405)。
【0059】
尚、図3における比較器(2)36bは、最も先に立ち下がるPWM信号を出力するPWM信号出力部に設けられており、図示していないが、自身の開始設定値とデッドタイム値とを比較して、自身の開始設定値がデッドタイム値より小さい場合には、デッドタイム値とカウンタ値とが一致した場合に開始信号を生成し、自身の開始設定値がデッドタイム値以上の場合には、自身の開始設定値とカウンタ値とが一致した場合に開始信号を生成・出力する。
【0060】
以下、図5を用いて図3のPWM信号出力回路の本発明に係る動作について説明する。図5に示す例では、最初のフレーム(フレーム1)において、CH1周期設定レジスタ32に停止設定値として「7」が設定され、CH1デューティ設定レジスタ33には開始設定値として「5」が設定され、CH2周期設定レジスタ34には停止設定値として「4」が設定され、CH2デューティ設定レジスタ35には開始設定値として「2」が設定され、デッドタイム設定レジスタ30にはデッドタイム値として「1」が設定されている。
【0061】
また、次のフレーム(フレーム2)においては、CH1周期設定レジスタ32に停止設定値として「10」が設定され、CH1デューティ設定レジスタ33には開始設定値として「5」が設定され、CH2周期設定レジスタ34には停止設定値として「4」が設定され、CH2デューティ設定レジスタ35には開始設定値として「0」が設定され、デッドタイム設定レジスタ30にはデッドタイム値として「2」が設定されている。
【0062】
このような各値の設定状況では、第2のPWM信号生成部が第1のPWM信号生成部よりも先にPWM信号を生成することになる。
【0063】
このような設定状況において、第1のPWM信号生成部における比較器(2)36bは、まず、CH1デューティ設定レジスタ33に設定されている開始設定値から、CH2周期設定レジスタ34に設定されている停止設定値を差し引いた値を求め、求めた値が、デッドタイム設定レジスタ30に設定されているデッドタイム値より小さいか否かを比較する。
【0064】
図4に例示する最初のフレーム(フレーム1)では、CH1デューティ設定レジスタ33に設定されている開始設定値は「5」で、CH2周期設定レジスタ34に設定されている停止設定値は「4」となっており、その差は、「5−4=1」となり、このようにして求めた値「1」は、デッドタイム設定レジスタ30に設定されているデッドタイム値「1」と同じである。
【0065】
このように、求めた値「1」が、デッドタイム設定レジスタ30に設定されているデッドタイム値「1」と同じ(もしくは大きい)場合には、比較器(2)36bは、通常動作を行う。すなわち、CH1デューティ設定レジスタ33に設定されている開始設定値「5」とカウンタ31が出力するカウンタ値とが一致した際に開始信号をCH1出力制御回路37に出力する。それに伴い、CH1出力制御回路37からのPWM1出力は「L」から「H」に変化する。
【0066】
これに対して、図4に例示する次のフレーム(フレーム2)では、デッドタイム設定レジスタ30に設定されているデッドタイム値が「2」となっており、CH1デューティ設定レジスタ33に設定されている開始設定値(「5」)とCH2周期設定レジスタ34に設定されている停止設定値(「4」)はフレーム1の場合と同じで、その差も「1」となり、その差「1」はデッドタイム設定レジスタ30に設定されているデッドタイム値「2」より小さい場合となる。
【0067】
このような場合には、比較器(2)36bは、デッドタイム設定レジスタ30に設定されたデッドタイム値「2」に、CH2周期設定レジスタ34に設定されている停止設定値「4」を加算した値「6」と、カウンタ31が出力するカウンタ値とを比較し、一致する際に開始信号を生成・出力する。
【0068】
また、第2のPWM信号生成部側では、比較器(4)36dにおいて、CH2デューティ設定レジスタ35に設定されている開始設定値が、デッドタイム設定レジスタ30に設定されているデッドタイム値より小さいか否かを比較し、より小さい場合には、デッドタイム値とカウンタ31が出力するカウンタ値との一致に応じて開始信号を生成・出力し、等しいか大きい場合には、自開始設定値とカウンタ31が出力するカウンタ値との一致に応じて開始信号を生成・出力する。
【0069】
すなわち、図4に例示する最初のフレーム(フレーム1)では、CH2デューティ設定レジスタ35に設定されている開始設定値は「2」で、デッドタイム設定レジスタ30に設定されているデッドタイム値「1」より大きいので、CH2デューティ設定レジスタ35に設定されている開始設定値「2」とカウンタ31が出力するカウンタ値との一致に応じて開始信号を生成・出力する。それに伴い、CH2出力制御回路38からのPWM2出力は「L」から「H」に変化する。
【0070】
これに対して、図4に例示する次のフレーム(フレーム2)では、CH1デューティ設定レジスタ33に設定されている開始設定値が「0」で、デッドタイム設定レジスタ30に設定されているデッドタイム値が「2」となっており、CH1デューティ設定レジスタ33に設定されている開始設定値(「0」)が、デッドタイム設定レジスタ30に設定されているデッドタイム値(「2」)より小さい場合となる。
【0071】
このような場合には、比較器(4)36dは、デッドタイム設定レジスタ30に設定されたデッドタイム値「2」と、カウンタ31が出力するカウンタ値とが一致する際に開始信号を生成・出力し、それに伴い、CH2出力制御回路38からのPWM2出力は「L」から「H」に変化する。
【0072】
このように、図3に示す構成からなるPWM信号出力回路では、2相の第1のPWM信号(PWM1)と第2のPWM信号(PWM2)のそれぞれの周期設定値およびデューティ設定値がデッドタイム設定値以上の同時OFF(オフ)区間を持たない場合だけ、第1のPWM信号(PWM1)と第2のPWM信号(PWM2)のそれぞれのデューティを削減し、強制的に同時OFF区間を設けることができるので、設定値の自由度が増す。
【0073】
次に、本発明に係る他の実施例について図6および図7を用いて説明する。図6におけるPWM信号出力回路は、カウンタ61、周期設定レジスタ62、デューティ設定レジスタ63、デッドタイム設定レジスタ60、比較器(1)66a〜比較器(4)66d、CH1出力制御回路67、CH2出力制御回路68により構成されている。
【0074】
この図6に示す本発明に係る構成のPWM信号出力回路においては、デューティ設定レジスタ63は、図3に示したPWM信号出力回路における第2のPWM信号生成部を構成するCH2周期設定レジスタ34として、第1のPWM信号生成部を構成するCH1デューティ設定レジスタ33を共用したものであり、また、デッドタイム設定レジスタ60は、図3における第2のPWM信号生成部を構成するCH2デューティ設定レジスタ35として、デッドタイム設定レジスタ30を共用した構成となっている。
【0075】
すなわち、周期設定レジスタ62、デューティ設定レジスタ63、比較器(1)66a,比較器(2)66b、及びCH1出力制御回路67により、第1のPWM信号(PWM1)を出力する第1のPWM信号生成部を構成し、デューティ設定レジスタ63、デッドタイム設定レジスタ60、比較器(3)66c、比較器(4)66d、及びCH2出力制御回路68により、第2のPWM信号(PWM2)を出力する第2のPWM信号生成部を構成している。
【0076】
周期設定レジスタ62は、第1のPWM信号生成部において生成するPWM信号(PWM1)の立ち下げ用に設定された第1の停止設定値を記憶する。
【0077】
デューティ設定レジスタ63は、第1のPWM信号生成部のそれぞれにおいて生成する第1のPWM信号(PWM1)の立ち上げ用に設定された開始設定値を記憶するが、この開始設定値は、第2のPWM信号生成部において生成する第2のPWM信号(PWM2)の立ち下げ用(第2の停止設定値)にも用いられる。
【0078】
デッドタイム設定レジスタ60は、第1のPWM信号(PWM1)と第2のPWM信号(PWM2)とを同時にオフ状態とする期間として設定されたデッドタイム値を記憶するが、このデッドタイム値は、第2のPWM信号生成部において生成する第2のPWM信号(PWM2)の立ち上げ用(第2の開始設定値)にも用いられる。
【0079】
すなわち、第1のPWM信号生成部を構成する比較器(2)66bは、デューティ設定レジスタ63に設定された開始設定値にデッドタイム設定レジスタ60に設定されたデッドタイム値を加算し、加算した値とカウンタ61が出力するカウンタ値とを比較し、一致すると(第1の)開始信号を生成・出力し、この開始信号の出力に伴い、CH1出力制御回路67はPWM信号(PWM1)を生成して出力する。
【0080】
第1のPWM信号生成部を構成する比較器(1)66aは、周期設定レジスタ62に設定された停止設定値とカウンタ61が出力するカウンタ値とを比較して、一致すると(第1の)停止信号およびリセット信号を出力し、この停止信号の出力に伴いCH1出力制御回路67はPWM信号(PWM1)の生成・出力を停止し、リセット信号の出力に伴いカウンタ61の計数動作がリセットされる。
【0081】
また、第2のPWM信号生成部を構成する比較器(4)66dは、デッドタイム設定レジスタ62に設定されたデッドタイム値とカウンタ61が出力するカウンタ値とを比較し、一致すると(第2の)開始信号を生成・出力し、この開始信号の出力に伴い、CH2出力制御回路68はPWM信号(PWM2)を生成して出力する。
【0082】
第2のPWM信号生成部を構成する比較器(3)66cは、デューティ設定レジスタ63に記憶されている開始設定値とカウンタ61が出力するカウンタ値とを比較し、一致すると(第2の)停止信号を出力し、この停止信号の出力に伴い、CH2出力制御回路68はPWM信号(PWM2)の生成・出力を停止する。
【0083】
このように、図6に示す構成のPWM信号出力回路は、カウンタ61、周期設定レジスタ62、デューティ設定レジスタ63、デッドタイム設定レジスタ60、比較器(1)66a〜比較器(4)66d、CH1出力制御回路67、CH2出力制御回路68で構成され、比較器(1)66aは、カウンタ61の計数値(カウンタ値)と周期設定レジスタ62の値の比較を行う。
【0084】
また、比較器(2)66bは、カウンタ61の計数するカウンタ値と「デューティ設定レジスタ63の設定値+デッドタイム設定レジスタ60の設定値」との比較を行う。
【0085】
また、比較器(3)66cは、カウンタ61の出力カウンタ値とデューティ設定レジスタ63の設定値との比較を行う。
【0086】
また、比較器(4)66dは、カウンタ61の出力カウンタ値とデッドタイム設定レジスタ60の設定値との比較を行う。
【0087】
このような各比較器(1)66a〜比較器(4)66dの動作により、図7に示すように、フレーム1の区間、すなわち、周期設定レジスタ62の設定値が「7」、デューティ設定レジスタ63の設定値が「3」、デッドタイム設定レジスタ60の設定値が「1」と設定されている区間では、クロックに同期して動作するカウンタ61の出力カウンタ値が「デューティ設定レジスタ63の設定値(「3」)+デッドタイム設定レジスタ60の設定値(「1」)」と一致すると、比較器(2)66bは開始信号としての「H」信号を出力し、その開始信号の立下りにおいてCH1出力制御回路67のPWM1出力は「L」から「H」に変化し、その後、カウンタ61の出力カウンタ値が周期設定レジスタ62の設定値(「7」)と一致すると、比較器(1)66aは停止信号としての「H」信号を出力し、その停止信号の立下りにおいてCH1出力制御回路67のPWM1出力は「H」から「L」に変化し、カウンタ61がクリアされる。
【0088】
また、カウンタ61の出力カウンタ値がデッドタイム設定レジスタ60の設定値(「1」)と一致すると、比較器(4)66dは開始信号としての「H」信号を出力し、その開始信号の立下りにおいてCH2出力制御回路68のPWM2出力は「L」から「H」に変化し、その後、カウンタ61の出力カウンタ値がデューティ設定レジスタ63の設定値(「3」)と一致すると、比較器(3)66cは停止信号としての「H」信号を出力し、その停止信号の立下りにおいてCH2出力制御回路68のPWM2出力は「H」から「L」に変化し、カウンタ61の出力カウンタ値が周期設定レジスタ62の設定値(「7」)と一致するまで「L」レベルを保持する。
【0089】
また、フレーム2の区間、すなわち、周期設定レジスタ62の設定値が「10」、デューティ設定レジスタ63の設定値が「4」、デッドタイム設定レジスタ60の設定値が「2」と設定されている区間においても、カウンタ61の出力カウンタ値が「デューティ設定レジスタ63の設定値(「4」)+デッドタイム設定レジスタ60の設定値(「2」)」と一致すると、PWM1出力は「L」から「H」に変化し、その後、カウンタ61の出力カウンタ値が周期設定レジスタ62の設定値(「10」)と一致すると、PWM1出力は「H」から「L」に変化し、カウンタ61がクリアされる。
【0090】
そして、カウンタ61の出力カウンタ値がデッドタイム設定レジスタ60の設定値(「2」)と一致すると、PWM2出力は「L」から「H」に変化し、その後、カウンタの値がデューティ設定レジスタ63の設定値(「4」)と一致すると、PWM2出力は「H」から「L」に変化し、カウンタ61の出力カウンタ値が周期設定レジスタ62の設定値(「10」)と一致するまで「L」レベルを保持する。
【0091】
このように、図6に示す構成からなるPWM信号出力回路においても、デッドタイム設定用のレジスタを設けて、その設定値の区間では、PWM1出力とPWM2出力を立ち上がりでデューティを削減することにより、共に必ず「L」とすることができる。これにより、PWMの周期およびデューティレジスタに誤った値を設定して2チャンネル同時にONするタイミングを作ってしまうことがなくなる。
【0092】
以上の図3から図7を用いて説明した例では、2相(CH1とCH2)のPWM信号を生成して出力するPWM信号出力回路について説明したが、本発明は、このような2相のPWM信号を生成して出力するPWM信号出力回路に限るものではなく、3相以上のPWM信号を生成して出力するPWM信号出力回路にも適用可能である。
【0093】
例えば、3相以上の場合については図8に示す構成とする。この図8においては、第1から第nのPWM信号生成部を設けたPWM信号出力回路となっており、第1のPWM信号生成部は、図3に示した第1のPWM信号生成部と同様の構成で動作も同じ動作を行い、第2のPWM信号生成部から第n−1のPWM信号生成部の各々も、リセット信号を生成して出力する機能が無いだけで、図3に示した第1のPWM信号生成部と同様の構成で動作も同じ動作を行い、そして、第nのPWM信号生成部が、図3に示した第2のPWM信号生成部と同様の構成で動作も同じ動作を行うものである。
【0094】
以上、図3〜図8を用いて説明した本例のPWM信号出力回路では、前後して立ち上がる2つのPWM信号間がデッドタイム設定値より小さければ、後段のPWM信号の立ち上がりを遅らせることにより、PWM信号が同時にデッドタイム設定値より長い期間オフする状態を設けることができる。このことにより、複数のPWM信号それぞれに対して、自由度の高い設定を可能としつつ、相補の使用の場合においても適切な動作を可能とすることができる。
【0095】
尚、本発明は、図3〜図8を用いて説明した例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。また、本例のPWM信号出力回路は、マイクロコンピュータ等の半導体装置として構成可能であり、各構成要素の機能の一部もしくは全てを、プログラムされたコンピュータ処理により実現することでも良く、あるいは論理素子回路からなるハードウェア構成で実現することでも良い。
【符号の説明】
【0096】
11,31,61 カウンタ
12,32,62 CH1周期設定レジスタ
13,33,63 CH1デューティ設定レジスタ
14,34 CH2周期設定レジスタ
15,35 CH2デューティ設定レジスタ
16a,36a,66a 比較器(1)
16b,36b,66b 比較器(2)
16c,36c,66c 比較器(3)
16d,36d,66d 比較器(4)
17,37,67 CH1出力制御回路
18,38,68 CH2出力制御回路
30,60 デッドタイム設定レジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロック数を計数してカウンタ値を出力し、リセット信号が入力されると計数したカウンタ値をリセットして計数を再開する計数手段と、
デッドタイム値を記憶するデッドタイム値記憶手段と、
開始設定値及び停止設定値が設定されると共に、停止信号及び開始信号を生成し、自身で生成した開始信号により立ち上がり、かつ自身で生成した停止信号により立ち下がるPWM信号を各々出力する複数のPWM信号出力手段と、
を備えたPWM信号出力回路であって、
前記複数のPWM信号出力手段の各々は、自身の停止設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に、停止信号を生成し、
先に立ち下がるPWM信号を出力するPWM信号出力手段を前段PWM信号出力手段、前記先に立ち下がるPWM信号の立ち下がりに続いて立ち下がるPWM信号を出力するPWM信号出力手段を後段PWM信号出力手段としたとき、
後段PWM信号出力手段は、自身の開始設定値と前段PWM信号出力手段の停止設定値との差が、前記デッドタイム値より小さい場合には、前段PWM信号出力手段の停止設定値と前記デッドタイム値の和が前記カウンタ値と一致した場合に開始信号を生成し、前記差が前記デッドタイム値以上の場合には、自身の開始設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に開始信号を生成し、
前段PWM信号出力手段は、自身の開始設定値が前記デッドタイム値より小さい場合には、前記デッドタイム値と前記カウンタ値とが一致した場合に開始信号を生成し、自身の開始設定値が前記デッドタイム値以上の場合には、自身の開始設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に開始信号を生成する、
PWM信号出力回路。
【請求項2】
前記複数のPWM信号出力手段は、
第1の開始設定値及び第1の停止設定値が設定されると共に、第1の停止信号及び第1の開始信号を生成し、第1の開始信号により立ち上がり、かつ第1の停止信号により立ち下がるPWM信号を出力する第1のPWM信号出力手段と、
第2の開始設定値及び第2の停止設定値が設定されると共に、第2の停止信号及び第2の開始信号を生成し、第2の開始信号により立ち上がり、かつ第2の停止信号により立ち下がるPWM信号を出力する第2のPWM信号出力手段と、
により構成され、
前記第1のPWM信号出力手段は、第1の停止設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に、第1の停止信号を生成し、
前記第2のPWM信号出力手段は、第2の停止設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に、第2の停止信号を生成し、
先に立ち下がるPWM信号を出力するPWM信号出力手段を第2のPWM信号出力手段、前記先に立ち下がるPWM信号の立ち下がりに続いて立ち下がるPWM信号を出力するPWM信号出力手段を第1のPWM信号出力手段としたとき、
第1のPWM信号出力手段は、第1の開始設定値と第2の停止設定値との差が、前記デッドタイム値より小さい場合には、第2の停止設定値と前記デッドタイム値の和が前記カウンタ値と一致した場合に第1の開始信号を生成し、前記差が前記デッドタイム値以上の場合には、第1の開始設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に、第1の開始信号を生成し、
第2のPWM信号出力手段は、第2の開始設定値が前記デッドタイム値より小さい場合には、前記デッドタイム値と前記カウンタ値とが一致した場合に第2の開始信号を生成し、第2の開始設定値が前記デッドタイム値以上の場合には、第2の開始設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に第2の開始信号を生成する、
請求項1記載のPWM信号出力回路。
【請求項3】
前記複数のPWM信号出力手段は、
第1の開始設定値及び第1の停止設定値が設定されると共に、第1の停止信号及び第1の開始信号を生成し、第1の開始信号により立ち上がり、かつ第1の停止信号により立ち下がるPWM信号を出力する第1のPWM信号出力手段と、
第2の開始設定値及び第2の停止設定値が設定されると共に、第2の停止信号及び第2の開始信号を生成し、第2の開始信号により立ち上がり、かつ第2の停止信号により立ち下がるPWM信号を出力する第2のPWM信号出力手段と、
第3の開始設定値及び第3の停止設定値が設定されると共に、第3の停止信号及び第3の開始信号を生成し、第3の開始信号により立ち上がり、かつ第3の停止信号により立ち下がるPWM信号を出力する第3のPWM信号出力手段と、
により構成され、
前記第1のPWM信号出力手段は、第1の停止設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に、第1の停止信号を生成し、
前記第2のPWM信号出力手段は、第2の停止設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に、第2の停止信号を生成し、
前記第3のPWM信号出力手段は、第3の停止設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に、第3の停止信号を生成し、
最初に立ち下がるPWM信号を出力するPWM信号出力手段を第3のPWM信号出力手段、前記第3のPWM信号出力手段が出力するPWM信号の立ち下がりに続いて立ち下がるPWM信号を出力するPWM信号出力手段を第2のPWM信号出力手段、前記第2のPWM信号出力手段が出力するPWM信号の立ち下がりに続いて立ち下がるPWM信号を出力するPWM信号出力手段を第1のPWM信号出力手段としたとき、
第1のPWM信号出力手段は、第1の開始設定値と第2の停止設定値との差が、前記デッドタイム値より小さい場合には、第2の停止設定値と前記デッドタイム値の和が前記カウンタ値と一致した場合に第1の開始信号を生成し、前記差が前記デッドタイム値以上の場合には、第1の開始設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に、第1の開始信号を生成し、
第2のPWM信号出力手段は、第2の開始設定値と第3の停止設定値との差が、前記デッドタイム値より小さい場合には、第3の停止設定値と前記デッドタイム値の和が前記カウンタ値と一致した場合に第2の開始信号を生成し、前記差が前記デッドタイム値以上の場合には、第2の開始設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に、第2の開始信号を生成し、
第3のPWM信号出力手段は、第3の開始設定値が前記デッドタイム値より小さい場合には、前記デッドタイム値と前記カウンタ値とが一致した場合に第3の開始信号を生成し、第3の開始設定値が前記デッドタイム値以上の場合には、第3の開始設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に第3の開始信号を生成する、
請求項1記載のPWM信号出力回路。
【請求項4】
前記複数のPWM信号出力手段は、
第1の開始設定値及び第1の停止設定値が設定されると共に、第1の停止信号及び第1の開始信号を生成し、第1の開始信号により立ち上がり、かつ第1の停止信号により立ち下がるPWM信号を出力する第1のPWM信号出力手段と、
前記デッドタイム値が第2の開始設定値として設定され、前記第1の開始設定値が第2の停止設定値として設定されると共に、第2の停止信号及び第2の開始信号を生成し、第2の開始信号により立ち上がり、かつ第2の停止信号により立ち下がるPWM信号を出力する第2のPWM信号出力手段と、
により構成され、
前記第1のPWM信号出力手段は、前記第1の停止設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に、第1の停止信号を生成し、
前記第2のPWM信号出力手段は、前記第1の開始設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に、第2の停止信号を生成し、
先に立ち下がるPWM信号を出力するPWM信号出力手段を第2のPWM信号出力手段、前記先に立ち下がるPWM信号の立ち下がりに続いて立ち下がるPWM信号を出力するPWM信号出力手段を第1のPWM信号出力手段としたとき、
第1のPWM信号出力手段は、前記第1の開始設定値と前記デッドタイム値の和が前記カウンタ値と一致した場合に第1の開始信号を生成し、
第2のPWM信号出力手段は、前記第2の開始設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に第2の開始信号を生成する、
請求項1記載のPWM信号出力回路。
【請求項5】
前記PWM信号出力手段は、
開始設定値を記憶する開始設定値記憶手段と、
停止設定値を記憶する停止設定値記憶手段と、
停止信号を生成して出力する停止比較手段と、
開始信号を生成して出力する開始比較手段と、
前記開始信号により立ち上がり、かつ前記停止信号により立ち下がるPWM信号を生成して出力する出力制御手段と、
を含む請求項1記載のPWM信号出力回路。
【請求項6】
コンピュータを、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のPWM信号出力回路における各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項7】
クロック数を計数してカウンタ値を出力し、リセット信号が入力されると計数したカウンタ値をリセットして計数を再開する計数手段と、
デッドタイム値を記憶するデッドタイム値記憶手段と、
開始設定値及び停止設定値が設定されると共に、停止信号及び開始信号を生成し、自身で生成した開始信号により立ち上がり、かつ自身で生成した停止信号により立ち下がるPWM信号を各々出力する複数のPWM信号出力手段と、
を備えたPWM信号出力回路のPWM信号出力制御方法であって、
前記複数のPWM信号出力手段の各々に、自身の停止設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に、停止信号を生成させ、
先に立ち下がるPWM信号を出力するPWM信号出力手段を前段PWM信号出力手段、前記先に立ち下がるPWM信号の立ち下がりに続いて立ち下がるPWM信号を出力するPWM信号出力手段を後段PWM信号出力手段としたとき、
後段PWM信号出力手段に、自身の開始設定値と前段PWM信号出力手段の停止設定値との差が、前記デッドタイム値より小さい場合には、前段PWM信号出力手段の停止設定値と前記デッドタイム値の和が前記カウンタ値と一致した場合に開始信号を生成させ、前記差が前記デッドタイム値以上の場合には、自身の開始設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に開始信号を生成させ、
前段PWM信号出力手段に、自身の開始設定値が前記デッドタイム値より小さい場合には、前記デッドタイム値と前記カウンタ値とが一致した場合に開始信号を生成させ、自身の開始設定値が前記デッドタイム値以上の場合には、自身の開始設定値と前記カウンタ値とが一致した場合に開始信号を生成させる、
PWM信号出力制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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