説明

Q値測定システム及びQ値測定方法

【課題】建物内の室温を容易に均一化し、施工後の建物のQ値を実測し、建物間のQ値の相対評価を行うQ値測定システムを提供する。
【解決手段】本発明のQ値測定システムは、ヒータの放出する熱エネルギを攪拌する攪拌部、熱エネルギを制御する熱制御部、ヒータ、攪拌部の電力を測定し、電力データ記憶部に蓄積する電力データ記憶部を有し、各部屋の測定ユニットと、各部屋の室内温度計と、建物外の外気温度を測定する外気部温度計及びSAT計と、各温度計から温度データを読込む温度データ収集部と、建物内の温度を均一とするヒータの制御値を測定ユニットの熱制御部に出力し、電力データ記憶部から電力データを読込む測定ユニット制御部と、温度データ収集部から読込む外気温度、SAT温度と、測定ユニット制御部から読込むヒータ及び攪拌部の電力のデータと、建物の床面積の合計及び各部屋の空間容積データから、建物の熱損失係数を求めるQ値測定処理部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の熱性能指標値である熱損失係数(Q値)を、実際の建物において実測するQ値測定システム及びQ値測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、地球温暖化防止対策の一つとして、建物の省エネルギー化を進めることの重要性が指摘されており、住宅の断熱化が建物を建てる場合の基本的な技術の一つとなっている。日本における住宅の断熱化は、寒冷地を除けば、1980年の省エネルギー基準の制定を契機にして、国策として推進されるようになった。
また、住生活基本法や住宅性能表示制度などの法律や公的制度においても、住宅に必要な性能として位置づけられている。
【0003】
一方、上記断熱性能の評価や検査となると、熱貫流率や熱損失係数を計算して評価するという、机上の評価が実務において唯一の方法として用いられている(例えば、特許文献1参照)。
完成した建物を検査する手法自体は30年以上前に提案された(例えば、非特許文献1参照)が、現実に建物の断熱化が浸透しないこともあり、現場にて建物を実測してQ値を求めることはしていない。
【特許文献1】特開2002−4403号公報
【非特許文献1】松尾陽、斉藤平蔵、”現場測定に基づく住宅熱特性の推定”、日本建築学会、環境工学論文集、第3号、pp.13−18、1981
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したQ値は建物の熱性能指標として代表的なものであり、政府の住宅性能表示制度においては、設計図書などに基づいて算出される熱損失係数(以下、設計Q値とする)を用いて等級を判断して良いこととされている。
しかしながら、建物の断熱性能は、断熱材の性能や厚みのみで決定されるものではなく、施工方法や施工状況、気密性能、換気量によっても左右されることが分かっている。
したがって、設計Q値では施工後における建物の実際のQ値を測定することができないため、施工後の建物において実測したQ値を得ることができれば、設計Q値と併せて用いることにより、より確度の高い熱性能指標として用いることができる。
【0005】
また、現場にてQ値を測定するためには、建物の中を1つの空間として考える必要があり、複数の部屋の温度をほぼ同一にして、Q値の測定を行う必要がある。
したがって、従来例においては、分割されている各部屋にヒーターや空気の攪拌機を設置し、各部屋の温度を一定とする処理において、温度を調整するヒーターの放出エネルギーの制御など人手がかかり、容易に行えない問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、建物内の各部屋の室温を均一とする制御が容易に行え、施工後の建物のQ値を簡易に実測することができ、施工後の建物のQ値の相対評価が行えるQ値測定システム、Q値測定方法及びQ値測定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のQ値測定システムは、熱エネルギーを放出するヒーター、前記ヒーターの放出する熱エネルギーを攪拌する攪拌部、前記ヒーターの放出する熱エネルギを制御する熱制御部、前記ヒーター、前記攪拌部の電力を測定して、内部の電力データ記憶部に電力データとして蓄積する電力データ記憶部とからなり、建物内の各部屋に配置される測定ユニットと、前記各部屋に配置され、室温を測定する室内温度計と、建物の外部に配置され、外気温度を測定する外気部温度計及びSAT計と、前記室内温度計及び前記外気温度計及び前記SAT計から温度データを収集する温度データ収集部と、前記各部屋の室温が均一の室温になるよう設定される前記ヒーターの制御値を、前記測定ユニットの前記熱制御部に対して出力し、前記電力データ記憶部から電力データを読み込む測定ユニット制御部と、前記温度データ収集部から読み込む前記室温及び、前記外気温度、前記SAT温度と、前記測定ユニット制御部から読み込む前記ヒータ及び前記攪拌部の前記電力のデータと、測定対象の建物の床面積の合計及び前記各部屋の空間容積データから、建物の熱損失係数であるQ値を求めるQ値測定処理部とを有することを特徴とする。
【0007】
本発明のQ値測定システムは、前記室内温度計、前記外気温度計、前記SAT温度計各々が、一定周期毎に測定した温度データを内部の記憶部に記憶し、前記温度データ収集部が、無線通信よって一定周期毎に前記室内温度計、前記外気温度計、前記SAT温度計から温度データを収集し、前記室内温度計、前記外気温度計、前記SAT温度計それぞれを特定する温度計識別情報に対応して前記一定周期毎に内部の記憶部に記憶し、前記Q値測定処理部が、一定周期毎に前記温度データ収集部から温度データを読み込み、内部の記憶部に前記温度計識別情報に対応して記憶し、前記Q値の実測周期毎に前記内部の記憶部から前記温度計識別情報に対応して温度データを読み込むことを特徴とする。
【0008】
本発明のQ値測定システムは、前記Q値測定処理部が、設定される前記ヒーターの発熱量の前記制御値を、測定ユニットの識別情報とともに前記測定ユニット制御部に対して送信し、前記測定ユニット制御部が、入力される前記制御値を内部の記憶部に設定するとともに、該制御値を前記識別情報に対応させ前記測定ユニット各々に送信することを特徴とする。
【0009】
本発明のQ値測定システムは、前記測定ユニット制御部が、一定周期にて前記測定ユニットが測定した各測定ユニットの電力のデータを測定発熱量として収集し、前記測定ユニットそれぞれを識別する識別情報毎に対応して前記一定周期毎に内部の記憶部に記憶し、前記Q値測定処理部が、前記Q値の実測周期にて前記測定ユニット制御部から、前記測定ユニットの識別情報に対応して前記測定ユニットの前記測定発熱量を読み込むことを特徴とする。
【0010】
本発明のQ値測定システムは、前記Q値測定処理部が、前記建物の少なくとも前記部屋を含めた構造及び建築材料を示す仕様データ、各部屋に配置する前記ヒーター各々の発熱量の制御値を記憶する記憶部と、前記ヒーターの発熱により達成される均一の室温と、前記仕様データに含まれる前記建物の床面積の合計、前記室温及び前記外気温、前記SAT温度、前記測定ユニットの測定発熱量とから、設定された熱回路モデルの計算式を用いてQ値を算出するQ値算出部とを有することを特徴とする。
【0011】
本発明のQ値測定システムは、前記Q値測定処理部が、前記各部屋間の温度差に対応して、予め設定した発熱量の調整値にて前記ヒーターの発熱量を調整し、前記各部屋間の温度差を設定値以下に制御することを特徴とする。
【0012】
本発明のQ値測定システムは、前記室内温度計、外気温度計、SAT温度計及び前記温度データ収集部間と、前記測定ユニット及び前記測定ユニット制御部間とにおいて無線通信にてデータの送受信を行うことを特徴とする。
【0013】
本発明のQ値測定方法は、建物の各部屋を開放し、各部屋に熱エネルギーを放出するヒーター及び該熱エネルギーを部屋に攪拌するファンとを配置する過程と、前記ヒーター及び前記ファンを駆動し、予め設定した発熱量にて前記ヒーターから熱エネルギーを放出させる過程と、前記各部屋に配置された室内温度計にて室温を測定し、該室温に応じて前記ヒーターの発熱量を制御し、前記建物内の前記各部屋の前記室温を均一とする過程と、前記均一化された室温と、建物外部に配置した外気温度計により測定した外気温度と、前記発熱量と、前記建物の少なくとも前記部屋を含めた構造及び建築材料を示す仕様データとから、建物の熱性能指標であるQ値を求める過程と、を有することを特徴とする。
ここで、熱損失係数の測定方法は、建物を一つの部屋として測定するため、各部屋の扉を開放するとともに、外壁に面する家具や棚などの扉を開放し、各部屋に熱エネルギーを放出するヒーター及び熱エネルギーを攪拌させることで部屋内部に均一に拡散させるファンを配置し、ヒーターから熱エネルギーを放出させて建物内の温度を一定に保つ。このとき、各部屋のヒーターによる熱エネルギー(発熱量)の合計値を変化させず、建物内の温度を均一に保つために、各部屋のヒータの発熱量を調整する。
【0014】
本発明のQ値測定方法は、前記Q値を求める過程において、前記ヒーターの発熱量を測定した測定発熱量の合計値と、前記外部温度と、前記SAT温度と、前記室温と、前記測定建物の床面積の合計データから、熱回路モデルの計算式を用いてQ値を求めることを特徴とする。
すなわち、本発明のQ値測定方法は、建物内の各部屋の床面積の合計と、建物内の各室温温度を室内温度計の受け持ち範囲を定めて、この受け持ち範囲の空間容積により加重平均した室内温度データと、外気温度計、SAT計の測定した温度データと、各ヒーター及びファンの発熱データとしての電力とから建物の熱性能指標である熱損失係数(Q値)を求める。
【0015】
本発明のQ値測定方法は、前記室温を均一とする過程において、前記建物の熱損失が、屋根、外壁、開口部、基礎または床及び換気からのみとなるよう、前記開口部からの日射が入射しないように、前記建物の窓を遮蔽部材により遮蔽する過程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、温度データ収集部により各室内の温度を測定し、温度が均一化されるように、各部屋に配置された測定ユニットにおけるヒーター及び攪拌部を建物の外部から制御する構成としたため、建物内の各部屋の室温を均一化する制御が容易に行え、従来の様に、建物内部において測定者が室温に対応し、各ヒーターの発熱量の調整を行うことが無くなり、簡易に施工後の建物のQ値を実測することが可能となる。
【0017】
また、本発明によれば、上述したように、施工後の建物のQ値を実測することが可能となるため、建物の概要、仕様書、図面(各階平面図、断面詳細部)などの設計情報を収集し、省エネルギー基準に示された方法により算出されたQ値と異なり、設計変更あるいは施工方法の違いによるQ値の誤差が無くなり、建物の実効的なQ値を測定することが可能となり、高い精度の各建物の相対評価の指標として用いることができる。
という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、熱エネルギーを放出するヒーター、前記ヒーターの放出する熱エネルギーを攪拌する攪拌部、ヒーターの放出する熱エネルギを制御する熱制御部、ヒーター、攪拌部の電力を測定して、内部の電力データ記憶部に電力データとして蓄積する電力データ記憶部とからなり、建物内の各部屋に配置される測定ユニットと、各部屋に配置され、室温を測定する室内温度計と、建物の外部に配置され、外気温度を測定する外気部温度計及びSAT計と、室内温度計及び外気温度計及びSAT計から温度データを収集する温度データ収集部と、各部屋の室温が均一の室温になるよう設定されるヒーターの制御値を、測定ユニットの熱制御部に対して出力し、電力データ記憶部から電力データを読み込む測定ユニット制御部と、温度データ収集部から読み込む室内温度、外気温度、SAT温度と、測定ユニット制御部から読み込むヒータ及び攪拌部の電力のデータと、測定対象の建物の床面積の合計及び各部屋の空間容積データから、建物の熱損失係数であるQ値を求めるQ値測定処理部とを有している。
【0019】
以下、本発明の一実施形態によるQ値測定システム1を図面を参照して説明する。図1は同実施形態によるQ値測定システム1の構成例を示すブロック図である。
この図において、本実施形態のQ値測定システム1は、Q値測定処理部10、測定ユニット制御部11、温度データ収集部12、測定ユニット20、21、…、外気温度計221、室内温度計311、312、313、314、…、SAT温度計220から構成されている。
測定ユニット20、21、…は、建物500内部の各部屋(廊下及び階段等も含む)にそれぞれ配置されており、複数(例えば、5台)あるが、図1には測定ユニット20及び測定ユニット21のみ記載してある。測定ユニットそれぞれの構成は同様である。
また、Q値測定処理部10、測定ユニット制御部11及び温度データ収集部12も、建物500内部のいずれかの箇所に配置され、各測定ユニット(20、21)に設けられた後述する常時コンセントから稼働する電源の供給を受けている。
【0020】
測定ユニット20は、熱制御部201と、ヒーター202、203とファン204、205とを有している。
同様に、測定ユニット21は、熱制御部211と、ヒーター212、213とファン214、215とを有している。
ヒーター202、203、212及び213は、各室内のコンセント容量を考慮し、例えば、手動で発熱量を切り替えるタイプの場合、最大発熱量800W(400Wと800Wとの発熱量の切り替え可能)あるいは最大発熱量600W(200W、400W、600Wの発熱量の切り替え可能)などのシーズヒーターを用いている。各測定ユニットにおいて、それぞれのヒーターの発熱量を800W及び600Wの組み合わせ、あるいは400W及び200Wなどの任意の組み合わせにて使用する。また、ヒーター202、203、212及び213は、測定ユニット内(20、21)にある電力調整器により、段階的(たとえば、50Wずつ)に調整可能なタイプとがある。上記いずれのタイプのヒーターも内部に送風を行うファンによる送風部が設けられている。
ここで、各ヒータの制御方法としては、直接にヒーター自身に設けられた切替スイッチにより発熱量を制御する方法と、Q値測定処理部10からの制御信号により測定ユニット(20、21)内に、ヒーターの発熱量を制御する電力調整器を設け、各ヒーターの出力を制御する方法がある。直接にヒーター自身に設けられた切替スイッチにより発熱量を制御する場合、リモートによりリアルタイムにて各ヒーターの発熱量を制御することができなくなるが、測定ユニット内に上記電力調整器の機能を設ける必要が無くなり、システム全体のコストダウンを実現することができる。
しかしながら、本実施形態においては、測定の精度を向上させるため、無線によりリアルタイムにQ値測定処理部10により、各ヒーターの発熱量の制御を行えるよう、測定ユニットに設けられた電力調整器により各ヒータの発熱量を調整する方法を採用し、以下の測定ユニット内に上記電力調整器を用いる方法による説明を行う。
このQ値測定処理部10により測定ユニット内の電力調整器の出力を制御する方法の場合、例えば、すでに述べたように、1台の測定ユニット21に対し、700Wのヒーター212、213の2台を接続して使用する。このとき、Q値測定処理部10は、それぞれのヒーター212、213を、段階的に設定された単位発熱量(例えば50W単位)にて発熱量を調整できるようになっている。
熱制御部201は、0〜最大発熱量の範囲において、上記単位発熱量にてヒーター202、203それぞれが放出する発熱量を制御する。
また、熱制御部201は、測定ユニット20におけるヒーター202、203と、ファン204、205と、内部回路との合計消費電流から発熱量を、予め設定された時刻単位にて求めて測定ユニット制御部11へ送信する。
同様に、熱制御部211は、0〜最大発熱量の範囲において、上記単位発熱量にてヒーター212、213それぞれが放出する発熱量を制御する。
また、熱制御部211は、測定ユニット21におけるヒーター212、213と、ファン214、215と、内部回路との合計消費電流から発熱量を、予め設定された時刻単位にて求めて測定ユニット制御部11へ送信する。
【0021】
ファン204、205は、対応する測定ユニット20と同一及び隣接の部屋に配置されており、ヒーター202及び203の放出する熱エネルギーが室内全体に循環するよう、各部屋内部の空気を攪拌する。したがって、ファン205は、効率的に室内の空気を循環させ、室内の温度分布をなるべく一様とする位置に、ヒーター202及び203が放出する熱エネルギーを攪拌する位置に対応して配置する必要がある。このため、例えば、配置する室内が狭い場合、ファンを1台、例えばファン205を用いるとし、この1台のファン205が効率よく室内の温度を均一化するため、ファン205は、首振り機能を有し、送風強度が複数段階に調整可能となっている。また、ヒーター202及び203には、自身に設けられた送風部の電源から分岐したファン用のソケットが2個設けられている。
同様に、ファン214及び215は、対応する測定ユニット21と同一及び隣接の部屋に配置されており、ヒーター212及び213の放出する熱エネルギーが室内全体に循環するよう、各部屋内部の空気を攪拌する。したがって、ファン215は、効率的に室内の空気を循環させ、室内の温度分布をなるべく一様とする位置に、ヒーター212及び213が放出する熱エネルギーを攪拌する位置に対応して配置する必要がある。このため、1台のファン、例えばファン215が効率よく室内の温度を均一化するため、ファン215は、首振り機能を有し、送風強度が複数段階に調整可能となっている。また、ヒーター212及び213には、自身に設けられた送風部の電源から分岐したファン用のソケットが2個設けられている。
また、測定ユニット20、21には、Q値測定処理部10、測定ユニット制御部11等からの制御対象でなく、自身の電源が投入されていれば、常に電力を供給する常時コンセントが設けられている。この常時コンセントは、測定ユニット制御部11からの制御を受けずに常時電源を供給しているコンセントを示し、Q値を測定を行う測定期間内に、どうしても停止できない家電機器(例えば、冷蔵庫、ビデオ、電話、FAX、など)に電源を供給するものであり、これらの家電機器に供給した電力が測定ユニットにより測定され、測定ユニットは、自身の使用した電力にこの常時コンセントから供給した電力を加算し、この合計値を測定ユニット全体の使用電力とする。すでに述べたが、Q値測定処理部10、測定ユニット制御部11及び温度データ収集部12も、上記常時コンセントから電源の供給を受けている。
【0022】
測定ユニット制御部11は、無線通信により各測定ユニットとのデータの送受信を行い、現在Q値測定に用いられている各ヒーターの放出する発熱量がそれぞれ設定されており、この設定された発熱量を、測定ユニット20の熱制御部201と、測定ユニット21の熱制御部211とに対して送信し、各測定ユニットにおけるヒーターの発熱量の制御を行う。
また、測定ユニット制御部11は、測定ユニット20にて測定されたヒーター202、203、ファン204、205、測定ユニット内部回路の合計消費電流から求めた発熱量、また、測定ユニット21にて測定されたヒーター212、213、ファン214、215、測定ユニット内部回路の合計消費電流(ヒーター内部の撹拌部を含む)から求めた発熱量とを読み込み、それぞれの測定ユニットを識別するユニット識別情報に対応させて、発熱量を測定する一定周期(例えば、1分)毎に時系列に記憶部112に書き込んで記憶させる。すなわち、各測定ユニットにおいて、各ヒーターの制御値に対応して発熱した発熱量だけでなく、ファン及び内部回路の発熱を測定ユニットの発熱量として、後述する実測Q値の測定に使用することにより、各部屋にて発生する熱量を正確に実測Q値の計算に用いることができる。
【0023】
SAT温度計220は、SAT計220a及び温度計220bとから構成され、SAT(相当外気)温度(水平面SAT計温度)を測定するものであり、建物500の外部に配置、例えば、建物500の南面における日当たりの良い場所に高さ4.0mにて配置する。
外気温度計221は、外気温を測定するものであり、建物500の外部に配置、例えば、建物500の北面の日陰に高さ1.2mにて配置する。
室内温度計311、312、313、314は、例えば、グローブ温度計であり、それぞれ建物500内において、対応する測定ユニット20あるいは測定ユニット21が置かれた部屋に1.2mの高さにて配置され、各測定ユニットのヒーターが放出する熱エネルギーによる室内の温度変化を測定する。
本実施形態においては、測定ユニット20の配置される部屋に室内温度計311、312とが配置されて、制御と測定とを行う組を構成し、一方、測定ユニット21の配置される部屋に室内温度計313、314とが配置されて、制御と測定とを行う組を構成している。
【0024】
温度データ収集部12は、予め設定された一定周期(例えば、5分)において、SAT温度計220、外気温度計221、室内温度計311、312、313、314、…から、温度データを収集する。
ここで、温度データ収集部12と、SAT温度計220、外気温度計221、室内温度計311、312、313、314、…とは無線通信によりデータの送受信を行う構成となっている。温度データ収集部12が予め設定された上記一定周期において、SAT温度計220、外気温度計221、室内温度計311、312、313、314、…に対して温度データの問い合わせ信号を送信すると、SAT温度計220、外気温度計221、室内温度計311、312、313、314、…各々が、それぞれの温度計識別情報を付加した温度データを、温度データ収集部12に対して送信する。温度データ収集部12は、内部記憶部に温度データの測定を行う一定周期(例えば、5分ごと)の時刻毎に、各温度計識別情報に対応させて温度データを書き込んで記憶させる。
【0025】
Q値測定処理部10は、測定ユニット制御部11に対する測定ユニット20、21、…の各ヒーターの発熱量の制御値の設定を行うとともに、Q値計算周期(Q値の測定周期例えば、10分)毎に、測定ユニット制御部11から、測定ユニット20、21、…毎の各ヒーター及び撹拌部の発熱量(ソケットを使用しているファンの発熱量を含む)をQ値計算周期毎に読み込み、各測定ユニットのユニット識別情報に対応させて時刻毎に記憶部103へ書き込む。
また、Q値測定処理部10は、Q値計算周期(例えば、10分)毎に、温度データ収集部12から読み込むSAT温度計220、外気温度計221、室内温度計311、312、313、314、…の温度データを、各温度計識別情報に対応させて記憶部103へ書き込む。そして、Q値測定処理部10は、全測定ユニットの発熱量の合計と、外気温と、SAT温度と、室温(各室内温度を室内温度計の受け持ち範囲の空間容積にて加重平均した建物内を1つの部屋としたときの室温)と、建物の床面積の合計とによりQ値の計算を行う。ここで、Q値測定処理部10、測定ユニット制御部11及び温度データ収集部12は、それぞれ有線通信によりデータの送受信を行う。
【0026】
次に、図2を用いて図1のQ値測定処理部10の構成を説明する。図2は、本実施形態によるQ値測定システム1におけるQ値測定処理部10の構成例を示すブロック図である。
Q値測定処理部10は、送受信部101,入力部102、記憶部103、表示部104、制御部105、入力データ処理部106、Q値計算部107及び簡易Q値計算部108を有している。
【0027】
送受信部101は、測定ユニット制御部11及び温度データ収集部12との無線によるデータの送受信を行う。
入力部102は、キーボードやマウスなど、ユーザがデータをQ値測定処理部10に入力する装置である。
制御部105は、上記送受信部101及び入力部102から入力されるデータを、Q値測定処理部10内の各部に出力、または記憶部103に記憶させたり、あるいは各部からのデータを送受信部101及び表示部104に出力する。
入力データ処理部106は、制御部105を介して入力されるデータを基に、Q値計算、あるいは簡易Q値計算に必要なデータを計算し、計算結果を記憶部103に記憶させる。
【0028】
Q値計算部107は、Q値計算周期毎に、温度データ収集部12から読み込むSAT温度計220、外気温度計221、室内温度計311、312、313、314、…の温度データと、測定ユニット制御部11から入力される各測定ユニットにより測定された測定ユニット毎の発熱量により熱損失係数(以下、実測Q値とする)の計算を行う(詳細は後述)。
簡易Q値計算部108は、ユーザが入力する、建物概要、建物の仕様書、建物の図面(各階の平面図、断面詳細図)などの建物の各データから、省エネルギー基準に示された計算方法により、設計Q値を実測時の建物条件で補正した熱損失係数(以下、計算Q値)を計算する(詳細は後述)。
【0029】
次に、図3を用いて図1の測定ユニット制御部11の構成を説明する。図3は、本実施形態によるQ値測定システム1における測定ユニット制御部11の構成例を示すブロック図である。
測定ユニット制御部11は、制御部111、記憶部112、送受信部113及びタッチパネル部114を有している。
送受信部113は、Q値測定処理部10、測定ユニット20、21、…とのデータの送受信を行い、Q値測定処理部10から発熱量の制御値が各ヒーターを識別するヒーター識別情報毎に対応して入力される。
【0030】
タッチパネル部114は、各測定ユニットの消費電力の表示や、データの入力を行う。
制御部111は、上記送受信部113及びタッチパネル部114から入力されるデータを記憶部112に記憶させたり、あるいはタッチパネル部114に出力する。例えば、制御部111は、入力される各ヒーターの制御値を、ヒーター識別情報毎に記憶部112に書き込んで記憶させる。
また、制御部111は、各測定ユニット20、21それぞれから、測定ユニットが実際にヒーター、ファン及びユニット内の回路が消費する消費電流を合計した合計消費電流から算出した発熱量を、各測定ユニット単位にデータ収集を行う一定周期(例えば、1分)毎に時系列に、測定ユニットのユニット識別情報に対応させて記憶部112に書き込んで記憶させる。
【0031】
<建物の現場測定の流れ>
次に、本実施形態におけるQ値の実測の全体的な流れを図4により簡単に説明する。図4は、本実施形態によるQ値測定システム1を用いたQ値測定の流れを示すフローチャートである。
Q値を実測する前の事前準備として、測定対象の建物の図面、概要、仕様の情報を入手し、測定期間(例えば、5日間)について関係者との調整を行うとともに、予めQ値測定システム1によって計算Q値を求めておく(ステップS1)。
【0032】
次に、実測準備としてステップS2〜S7の処理を行う。
Q値測定処理部10(計測用パーソナルコンピュータ)、測定ユニット制御部11、温度データ収集部12の設置を行い、データの送受信を行うために、それぞれの接続を行う(ステップS2)。
ここで、建物500内に配置されるQ値測定処理部10及び測定ユニット制御部11は、置かれた部屋に配置された測定ユニット、例えば測定ユニット20の常時コンセントに接続される。ここで、測定ユニット20は、Q値測定処理部10及び測定ユニット制御部11に供給した電力を自身の使用した電力に加算し、この合計値を自身の使用した電力、すなわち発熱量とする。
【0033】
そして、室内温度計(311、312、313、314、…)を、各部屋の室内温度の測定用に、各部屋の内部に1.2の高さにて配置、外気温度計(221)を建物外部の北面の日陰において1.2mの高さにて配置し、SAT温度計(220)を建物外部の南面の日当たりの良い場所において高さ4.0mの高さにて配置する(ステップS3)。
【0034】
次に、建物の内部における全部屋の温度が一様な温度となるように、複数のヒーターを設置し、対応する測定ユニットに接続する(ステップS4)。
ここで、室内温度計に対してヒーターの吹き出す熱風が直接に当たらないように、ヒーターの吹き出し口が室内温度計の近傍にならないように配置する。
【0035】
そして、建物500の内部の各部屋が一様な温度となるように、室内の空気攪拌用のファン(204、205、214、215、…)をそれぞれの部屋に設置し、対応する測定ユニット(20、21、…)に接続する(ステップS5)。
ここで、室内の空気を攪拌するファンの接続は、測定ユニットのコンセントのみではなく、撹拌しやすい位置におくために、ヒーターに設けられたコンセントに接続しても良い。この場合、このファンの使用した電力はヒーターの使用した電力に加算されることになる。

また、ファンの設置において、ファンをヒーターが熱風(熱エネルギー)を吹き出す吹き出し口近傍に配置(ただし、室内温度計に対してヒーターの吹き出す熱風が直接に当たらないように配置する。)し、この熱エネルギーにより加熱された空気が部屋全体に循環するように、室内の空気を攪拌する。
【0036】
建物の測定準備として、建物内の家電製品などの発熱機器を停止し、停止できない場合には消費電力として、測定における発熱量換算の消費電力に加算する。
各部屋の扉、押し入れの扉、収納庫などの蓋を開放し、カーテン及びブラインドなどを閉めて(あるいは遮蔽部材を窓ガラスに貼り付けるなどして)、外部からの日射を遮蔽し(日射による室内の温度上昇を防止する)、また、北側以外の日射遮蔽部材がないガラス部位を和紙などの遮蔽部材により覆う(ステップS6)。
【0037】
そして、建物の換気システムの動作状況を確認する(ステップS7)。
また、このとき、C値(建物の相当隙間面積)の測定を行う。用いたC値測定器の構成は、一般的なものであり、送風機と測定部で構成される。送風機には圧力管が付加されており、測定部に対し圧力管と温度センサと接続されており、それぞれ圧力と隙間面積とを出力する。測定方法は、(財)建築環境・省エネルギー機構の「住宅の気密性能試験方法」の規定に従った。また、測定する前に、換気扇、換気のための吸排気口、排水口など外気に通じている穴を全てテープで塞ぎ、建物の外部に通じるドア、サッシは全閉鍵ロックとして、室内のドアを全開にして行う。
【0038】
次に、室内及び室外の温度の実測と温度データ収集との処理が開始され、まず、ヒーターを駆動せずに、ファンのみを駆動した状態にて実際の測定前の助走運転を行う。この助走運転は予め設定されている助走運転期間の間、例えば6時間以上行い、この助走運転の後、実際の測定としてヒーターを駆動して加熱開始後に4日以上の温度測定を行う(ステップS8)。このとき、ファンは測定期間中において常に駆動され、部屋の空気を攪拌して加熱された空気を循環させて、室内の温度を一様とし、これにより全部屋の温度、すなわち建物内の温度を一様とする。測定ユニットは、ファンの消費電力を電圧及び電流から求めて測定ユニット制御部11に対して送信する。
【0039】
そして、助走運転期間が終了すると、すなわち、測定ユニット制御部11は、内部のタイマーにより助走運転開始から時刻経過をカウントしており、カウント結果が予め設定された助走運転期間を超えたことを検出すると、各測定ユニット20、及び21の各ヒーターの駆動を開始し、各ヒーター及び各ファンの消費電力を電圧及び電流から求めて測定ユニット制御部に対して送信する(ステップS9)。
【0040】
次に、Q値測定処理部10は、Q値を測定する測定周期毎(例えば、10分ごと)に、温度データ収集部12からSAT温度計220のSAT温度、外気温度計221の外部温度データ、室内温度計311〜314、…の温度データを読み込み、また、各測定ユニット20、及び21から各ヒーター及び各ファンのユニット単位の消費電力(発熱量)を読み込み、実測Q値を算出するための各種データを収集する(ステップS10)。
【0041】
実測Q値を算出するデータが収集されると、Q値測定処理部10は、SAT温度、外部温度及び室内温度の各温度データと、各ヒーター及び各ファンの消費電力(発熱量)とにより、実測Q値をリアルタイムに算出して同定し、この同定結果を外部装置に対して送信、あるいは表示部に表示する(ステップS11)。
そして、Q値測定処理部10は、予め設定された測定期間が終了したか否かを検出し、測定期間が終了していない場合、処理をステップS10へ進め、Q値の測定期間が終了した場合、実測Q値を測定する処理を終了する(ステップS12)。
【0042】
<SAT温度、外部温度データ及び温度データの収集>
図4のステップS8からステップS11においてQ値測定処理部10が行う温度データ収集部12からの温度データの収集処理について、図2を用いて説明する。
制御部105は、内部のタイマーにより時刻をカウントしており、予め設定されたQ値の測定周期毎に、温度データ収集部12からSAT温度、外気温度及び室内温度の各温度データを、温度データ収集部12から読み込み、入力データ処理部106へ出力する。
ここで、入力データ処理部106は、測定周期毎に、温度データ収集部12から入力した各温度計からの温度データを収集し、後述するプロジェクト毎に対応させ、温度計識別情報に対応させて、記憶部103における建物データ記憶領域へ書き込んで記憶する。
【0043】
このとき、入力データ処理部106は、SAT温度計220、外気温度計221及び室内温度計311〜314、…からの温度データに欠測(温度データの欠落)があった場合、予め設定した回数、温度データ収集部12から、SAT温度、外気温度あるいは室内温度の温度データの再収集を行う。
また、入力データ処理部106は、温度データ収集部12との間に通信異常を検出(例えば、送信信号に対して応答信号が検出されない)した場合、通信エラーを表示部104の表示画面に表示する。
【0044】
また、入力データ処理部106は、SAT温度、外気温度及び室内温度の各温度データを収集する測定周期の収集タイミングから所定の時間経過しても欠測が解消されない場合、
現在温度Tn=前回測定温度Tn-1+(前回測定温度Tn-1−前々回測定温度Tn-2)
の補正式を計算することにより、各温度データの欠測した部分の補完を行う。
また、通信異常などにより、欠側でなく異常な温度データ(非常に急激な温度上昇や温度低下、あり得ない数値の温度データなど)が検出された場合、入力データ処理部106は、対応する温度データに対し、他の温度データの欠損のない温度計の温度データとの比較を行う。
【0045】
例えば、現在の温度データが前回測定の温度データに比較し、5℃〜10℃の増加が検出された場合、入力データ処理部106は、他の全ての欠損のない温度計(例えば、全体で12個有り、欠損の無い温度計が10個あった場合、)の温度データと比較し、5℃以上開きがあれば、上記補正式にて温度データを補正する。
また、入力データ処理部106は、現在の温度データが前回の温度データに比較し、10度を超える増加がある場合、他の温度データの欠損の無い温度計のデータと比較することなく、上記補正式にて温度データを補正する。
【0046】
また、入力データ処理部106は、建物の外部の温度計(外気温度計221及びSAT(相当外気)温度計220)からの温度データが、現在の温度データと前回の温度データとの間にて10℃を超えて増加した場合にも、上記補正式により補正する。
また、入力データ処理部106は、(現在+前回+前々回)/3として相加平均を取った後、記憶部103の建物データ記憶領域に温度計識別情報に対応して書き込んでいる。
【0047】
<Q値測定処理部10による実測Q値の測定処理>
図1及び図2により、本実施形態における実測Q値の測定処理について説明する。
図1のQ値測定システム1におけるQ値測定処理部10、測定ユニット制御部11及び温度データ収集部12を起動すると、Q値測定処理部10において、実測Q値の測定処理のプログラムが起動され、制御部105は、表示部104に図5に示す建物データ(実測Q値を測定する建物の測定概要データ)を入力する画面を、画面データとして記憶部103から読み出して表示する。以下説明する各入力画面も、制御部105が記憶部103から画像データを読み出して表示部104に表示する。
そして、制御部105は、ユーザが入力画面の適用ボタンを押下することにより、ユーザによる入力データの入力が終了したことを検出し、図5に示す入力画面の各入力欄に対してユーザが入力した測定概要データを、ユーザが入力したプロジェクト名に対応させ、記憶部103の建物データ記憶領域に書き込んで記憶させる。以降、入力画面の押下については、ユーザがマウス等の入力装置により行うこととする。
【0048】
ここで、入力される測定概要データは、プロジェクト名(建物の実測Q値の測定処理を識別する識別情報)、測定名称(測定する建物の名称)、依頼主(実測Q値の測定を依頼した人あるいは法人名)、測定期間(実際にQ値測定する期間)、Q値解析に用いるQ値用床面積(各階毎の床面積を入力)、Q値解析に用いるQ値用気積(簡易Q値計算の熱損失係数計算表の換気(気積)に用いる)を求めるための各階の天井の高さ(床から天井までの距離)、部屋以外の空間の気積である。
制御部105は、図5の表示画面におけるデータ入力が終了し、適用ボタンがマウス等により押下されることにより、上記プロジェクト名に対応し、測定概要データ(Q値用床面積、Q値用気積)を、記憶部103における建物データ記憶領域に記憶する。
このとき、制御部105は、上記入力された各階の床面積を加算し、合計の床面積を求めて、上記床面積とともに上記建物データ記憶領域に書き込み記憶する。
また、制御部105は、階毎に天井の高さと床面積とを乗算し、階毎の気積を求めて各階毎に対応させて上記建物データ記憶領域に記憶するとともに、各階の気積と部屋以外の気積とを加算し、合計としてQ値用気積として上記建物データ記憶領域に書き込み記憶する。
【0049】
図5の表示画面におけるデータ入力が終了し、データの記憶部103への書き込みが終了し、図6の建物概要のタブをユーザが選択すると、制御部105は、図6に示す入力画面を表示部104に表示させ、この入力画面の各入力欄に対してユーザが入力した建物概要データを、ユーザが入力したプロジェクト名に対応させ、記憶部103の建物データ記憶領域に書き込んで記憶させる。ここで、制御部105は、ユーザが入力画面の適用ボタンを押下したことを検出することにより、ユーザが各入力欄に記入した建物概要データを上記建物データ記憶領域に書き込む。
ここで、入力される測定概要データは、建物名称、所在地、竣工年月日、建築確認用床面積、簡易計算用床面積、仕上げ(仕上げ材料データ)、断熱材(各部位に使用される断熱材の種類)、開口部(窓や扉などの開口部分の材料及び構成)である。
制御部105は、現在の日時と上記竣工年月日から築年数を計算して(減算して)求め、最終的な報告書に記入するため、プロジェクト名に対応してこの築年数を他の測定概要データと同様に、記憶部103の上記建物データ記憶領域に書き込んで記憶させる。また、簡易計算用床面積の記入欄に入力される数値は、後述する簡易Q値計算に使用される。
【0050】
また、制御部105は、ユーザが計算Q値あるいは想定Q値を入力すると、上記プロジェクト名に対応して、記憶部103の建物データ記憶領域に書き込んで記憶させる。
ここで、設計Q値(省エネルギー基準により計算されたQ値)または想定Q値(過去の同様の建物にて得られたQ値)が不明である(すなわち、入力されない場合)と、Q値計算部107がヒーターの発熱量を適切に判定できないため、制御部105は、簡易Q値計算部108に対して簡易Q値計算を行わせ、得られた計算Q値を求めて用いる。この簡易Q値計算については、後述するが、ユーザが表示画面下部の部位別面積入力のボタンを選択することにより、建物の各部屋の床面積等の情報を入力して設定した情報(図19に示すデータ)から計算する。
【0051】
また、制御部105は、屋根、天井、外壁、内壁、床などの仕上げの材料(仕上材)、各仕上材の厚さ、屋根、壁及び基礎等に用いられている断熱材の材料や、厚さ及び面積を、ユーザが入力欄に入力するデータを読み込んで入力し、プロジェクト名に対応させ、記憶部103の建物データ記憶領域に書き込んで記憶させる。
また、制御部105は、開口部として、窓の窓枠の材料、窓の材料(ガラスの種類、重ね枚数)、窓の面積や、扉の材料、ガラスの有無、扉の面積を、ユーザが入力欄に入力するデータを読み込んで入力し、プロジェクト名に対応させ、記憶部103の建物データ記憶領域に書き込んで記憶する。
また、制御部105は、後述する図8の測定器設定において表示される発熱係数を選択するため、建物にあわせてチェックボックスにより選択されて入力される、吹き抜けの有無(「吹抜または開放的な階段有り」)、又は開放的な階段の有無、あるいは各階の天井断熱材の有無(「各階天井断熱有り」)、2階の床面積が1階に比較して著しく小さいか否かについての情報(「2階の床面積が1階より著しく小さい」)それぞれを、プロジェクト名に対応させて、記憶部103の建物データ記憶領域に書き込んで記憶させる。
【0052】
次に、計算Q値を求めるため、ユーザが部位別面積入力ボタンをマウスなどにより押下することにより、制御部105は、計算Q値を算出する入力画面を表示部104に表示する。
そして、簡易Q値計算部108は、入力画面の計算Q値を算出するために、ユーザが入力欄に入力したデータを読み込み、計算Q値の計算を行い(詳細は後述)、結果を計算Q値としてプロジェクト名に対応させ、記憶部103の建物データ記憶領域に書き込んで記憶させる。
【0053】
次に、制御部105は、ユーザが実測C値あるいは想定C値を入力すると、上記プロジェクト名に対応して、記憶部103の建物データ記憶領域に書き込んで記憶させる。
ここで、実測C値(すでに図4のフローチャートのステップS1にて測定したC値)または想定C値(過去の同様の建物にて得られたC値)をユーザが入力する。
【0054】
そして、図6の表示画面におけるユーザのデータ入力が終了し、適用ボタンが押下されたことを検出すると、制御部105は、図7に示す入力画面を表示部104に表示させ、この入力画面の各入力欄に対してユーザが入力した室内温度計設定のデータを、ユーザが入力したプロジェクト名に対応させ、記憶部103の建物データ記憶領域に書き込んで記憶させる。すなわち、制御部105は、以下に説明するユーザが入力した各データを、プロジェクト名に対応して建物データ記憶領域に図6の入力欄の対応関係のテーブル形式として書き込んで記憶させる。
【0055】
ユーザは、図7の表示画面における室内温度計設定のタブを選択し、制御部105が表示する室内温度計設定入力画面において、室内温度計(311〜314、…)の温度計識別情報(図におけるNo.1〜No.12)それぞれの右側にあるチェックボックスを選択するか否かににより、対応する室内温度計を使用しないことを示す不使用情報を入力する。例えば、ユーザがチェックボックスを選択すると、制御部105は、対応する室内温度計を使用しないことを示す不使用情報を、この室内温度計の温度計識別情報に対応させ、記憶部103の建物データ記憶領域に書き込んで記憶させる。以降、記憶部103は、温度計識別情報に対応して不使用情報が付加されている場合、対応する温度計に関連するデータが入力欄にユーザにより記載されたとしても、このデータの入力を行わない。
【0056】
次に、ユーザは室内温度計(311〜314、…)の置いてある部屋の種別、すなわち室内温度計がそれぞれ受け持つ温度を測定する領域を示す温度測定範囲を入力を行う。すなわち、ユーザは、室内温度計の配置されている階、部屋名、この部屋の床面積及び高さ(床から天井までの距離)とをそれぞれ、対応する欄に入力し、入力画面における図示しない計算のボタンをマウス等の入力装置により押下する。
計算のボタンが押下されることにより、制御部105は、計算のボタンが押下されたことを検出し、上記入力欄に入力されたデータを読み込み、各室内温度計の上記温度測定範囲毎に、床面積と高さとを乗算して温度測定範囲の容積を算出し、対応する室内温度計の温度計識別情報に対応させてそれぞれ表示する。
【0057】
また、制御部105は、建物内の温度測定範囲の容積を全て加算し、加算結果として総容積を求め、この総容積により各温度測定範囲の容積を除算し、各温度測定範囲の建物の総容積に占める割合である相対容積を算出し、対応する室内温度計の温度計識別情報に対応させてそれぞれ表示する。ここで算出される相対容積は、各部屋の室温を加重平均するために用い、すなわち建物を1部屋とした場合の室温を求める際、建物内の各部屋の室温を加重平均して温度データを、建物を1部屋としたときの温度データとして算出する。
また、制御部105は、上記チェックボックスが選択されていない温度計識別情報の数を計算し、室温計設置数として入力画面の室温計設置数の欄に表示する。
ユーザが入力画面の適用のボタンをマウス等の入力装置で押下することにより、制御部105は、プロジェクト名に対応させて、記憶部103の建物データ記憶領域に、各温度計識別情報に対応させ、温度測定範囲(階及び部屋の情報)と、床面積と、高さと、容積と、相対容積と、室温計設置数とを、記憶部103の建物データ記憶領域に書き込んで記憶させる。
【0058】
そして、図7の入力画面におけるデータ入力が終了すると、制御部105は、図8に示す入力画面を表示部104に表示させ、この入力画面の各入力欄に対してユーザが入力した測定機器設定のデータを、ユーザが入力したプロジェクト名に対応させ、記憶部103の建物データ記憶領域に書き込んで記憶させる。
制御部105は、図5の測定概要において入力されたQ値用床面積として記憶部103にプロジェクト名毎に記憶されているデータから、現在処理しているプロジェクト名に対応したQ値用床面積を読み出し、入力画面のQ値使用延べ床面積の欄に出力(表示)する。
【0059】
次に、ユーザが図8の表示画面における測定器設定の入力画面を示すタブを選択すると、制御部105は、出力画面の内外温度差の入力欄に入力する内外温度差のデータを読み込み、計算Q値(あるいは想定Q値)と、Q値用床面積と、読み込んだ内外温度差とを乗算し、建物の発熱量合計値を算出する。ここで、ユーザは、内外温度差のデータとして、10〜15℃の範囲にて選択、あるいは直接入力する。このとき、ユーザが入力画面における規定値のボタンをマウス等の入力装置により押下することにより、制御部105は内外温度差のコンボボックスのボタンが押下されたことを検出し、10〜15℃の温度を表示する。ユーザがこの表示された内外温度差のいずれかをマウス等の入力装置により選択すると、制御部105は、選択されたデータを内外温度差とし、内外温度差の入力欄に表示する。
【0060】
ユーザが入力画面における計算のボタンをマウス等の入力装置により押下すると、制御部105は、発熱係数を記憶部103に記憶されている発熱係数のテーブルから読み出し、入力画面における各階に対応する発熱係数の欄に表示する。この発熱係数のテーブルは、発熱係数が、「計算Q値(あるいは想定Q値)」、「吹抜または開放的な階段あり」、「各階天井断熱あり」、及び「2階の床面積が1階より著しく小さい」のデータの組み合わせに対応して、各階毎に記憶されている。ここで、「計算Q値又は想定Q値」及び「実測C値又は想定C値」はそれぞれ設定された数値範囲にて量子化されており、Q値計算部は、量子化の範囲内にてテーブルにおける発熱係数の選択が行われる。
ここで、制御部105は、記憶部103の建物データ記憶領域から、現在処理しているプロジェクト名に対応し、「計算Q値(あるいは想定Q値)」、「吹抜または開放的な階段あり」、「各階天井断熱あり」、及び「2階の床面積が1階より著しく小さい」のデータを読み出し、これらの組み合わせに対応する発熱係数を、記憶部103の各階毎の発熱係数のテーブルから読み込んで、各階の発熱係数とし、全階の発熱係数を加算して総発熱係数を求める。
【0061】
そして、制御部105は、各階毎に、計算した発熱量合計に対し、当該階の発熱係数を乗算し、この乗算結果を上記総発熱係数により除算し、階当たりの発熱量を求め、各階毎に入力画面の階当たり発熱量(その階に配置される各ヒーターが供給する発熱量の合計)の欄に表示する。ここで、各階毎の発熱係数は、最も低層の階、例えば1階を1とし、高い階層の階ほど低く設定される係数であり、建物全体における発熱量の各階への振り分ける割合を設定する。したがって、この発熱係数は高い階層ほど熱エネルギーにより暖められた空気が移動するため、下の階よりも少なく設定されている。
また、制御部105は、現在処理しているプロジェクト名に対応し、記憶部103の建物データ記憶領域から、各階のQ値用床面積を読み出し、この読み出した各階のQ値用床面積により上記階当たり発熱量を除算し、各階の床面積当たり発熱量を求め、各階毎に入力画面の階の床面積当たり発熱量の欄に表示する。
ユーザが入力画面における適用のボタンをマウス等の入力装置により押下すると、制御部105は、適用のボタンが押下されたことを検出し、プロジェクト名に対応させて、各階毎に、階当たり発熱量と、床面積当たり発熱量と、発熱係数とを、記憶部103の建物データ記憶領域に書き込んで記憶させる。
【0062】
そして、図8の入力画面におけるデータ入力が終了し、ユーザにより図8の表示画面における発熱量設定の入力画面を示すタブが選択されたことを検出すると、制御部105は、図9に示す入力画面を表示部104に表示させ、各入力欄に対する入力が終了した後、ユーザにより図9の入力画面の適用のみのボタンが押下されたことを検出すると、この入力画面の各入力欄に対してユーザが入力した発熱量設定のデータを、ユーザが入力したプロジェクト名に対応させ、記憶部103の建物データ記憶領域に書き込んで記憶させる。
制御部105は、温度計欄に対し、記憶部103の建物データ記憶領域から、現在処理しているプロジェクト名に対応させ、使用する室内温度計の温度計識別情報毎に、室内温度計の温度測定範囲(階、部屋名)及び床面積を読み出し、入力画面の当該欄に対し、上記温度計識別情報に対応して、それぞれの階、部屋名及び床面積を表示する。
【0063】
そして、制御部105は、現在処理しているプロジェクト名に対応し、記憶部103の建物記憶データ領域から各階の床面積当たり発熱量を読み出し、各階毎に温度測定範囲それぞれの床面積に対し、床面積当たりの発熱量を乗算することにより、各温度測定範囲における各部屋の発熱量を求め、入力欄における各温度測定範囲の発熱量(必要発熱量)の欄に、それぞれの温度測定範囲毎に求めた発熱量を各部屋毎に表示する。
次に、ユーザは、各温度測定範囲にて発熱量を提供するヒーターの設定を行う。ここで、本実施形態において、1つの測定ユニット(ユニット識別情報であるユニット1、ユニット2などが付加され、測定ユニットに対応するデータを記憶部103に記憶する際、ユニット識別情報に対応して記憶される)に、2つのヒーターを制御するため、2つの制御単位(以降、チャネル)Ch1及びCh2が設けられている。
ここで、ユーザは、ユニット識別情報によって測定ユニット単位において、各チャネルCh1及びCh2の温度計欄それぞれに対し、ヒーターを配置する温度測定範囲に配置されている室内温度計の温度計識別情報(No.1〜No.12)を入力する。本実施形態においては、各測定ユニットのチャネル毎に3つの温度計を対応付けることができる。このチャネル毎に対してヒーターが1台対応することになり、ヒーターがエネルギーを供給する部屋あるいは領域の容積の大きさに対応し、部屋あるいは領域の各所に対して温度計を3個まで配置することができる。
【0064】
上記ユニットにおける各チャネルの温度計の入力欄において、制御部105は、ユーザが各チャネルの温度計の温度計識別情報入力欄に設けられているコンボボックスを表示するボタン選択することにより、使用されている室内温度計の温度計識別情報(No.1〜No.12)を全て表示した一覧表のコンボボックスを表示する。
そして、制御部105は、ユーザが上記コンボボックスの一覧表からマウスなどの入力装置により選択した温度計識別情報を、ユニット識別情報に対応する各測定ユニットにおける各チャネルCh1及びCh2の温度計欄(3つのうち入力した温度計欄に対応させて)それぞれに、ユニット識別情報に対応させて表示する。
そして、制御部105は、各測定ユニットのチャネルCh1及びCh2各々に対応させ、温度計欄に入力された温度計識別情報に対応した室内温度計が配置されている部屋名(例えば、居間、食堂、子供部屋など)または領域名(例えば、廊下、玄関、階段等)を階の情報(たとえば、1階、2階など)を含めた配置情報とを、それぞれチャネル番号に対応する階、部屋名(及び領域名)の欄に表示する。
【0065】
また、ユーザが各測定ユニットのチャネルCh1及びCh2に対応する発熱量を、室内温度計の温度測定範囲に対応した上記必要発熱量を参考にし、チャネルCh1、Ch2に接続させるヒーター(202、203、212、213、…)の発熱量の欄に入力する。
チャネルCh1及びCh2の発熱量の欄に各ヒーターの発熱量が入力されると、制御部105は、入力された発熱量を読み込み、隣接する現在設定値の欄にこの発熱量を表示する。ここで、上記ユニットにおける各チャネルの発熱量の入力欄において、制御部105は、ユーザが各チャネルの発熱量の入力欄に設けられている温度を上昇及び下降する調整ボタンをマウスなどによりクリックすることにより、設定可能なヒーターの発熱量を表示する。ユーザが上げるのボタンをクリックすると温度を上昇させるため、現在の設定より高いヒータの発熱量を表示する(発熱量をヒーターのスイッチで行うタイプの場合、200、400、600、800の順。発熱量を電力調整器で行うタイプの場合、50、100、150、・・・、650、700の順。)。一方、下げるのボタンをクリックすると制御部105は、温度を下降させるため、現在より低いヒータの発熱量を順に表示させる。
すなわち、制御部105は、発熱量の欄に対し、対応するヒーターの使用可能な最低発熱量から最大発熱量までの範囲で、単位発熱量ごとに増加した設定可能な発熱量を全て表示した一覧表を表示し、この一覧表からマウスなどの入力装置により選択された発熱量を、各測定ユニットにおける各チャネルCh1及びCh2の発熱量の欄それぞれに表示し、この発熱量を入力し、隣接する現在設定値の欄にこの発熱量を表示する。
【0066】
また、実測Q値を測定中に各部屋の温度調整を行う際、各ヒーターの発熱量の調整もこの図9に示す入力画面にて行う。ただし、実測Q値の測定中に発熱量を変更する場合、全てのヒーターを加算した総発熱量は、測定を開始した時点における総発熱量と同一である必要がある。ここで、発熱量の仮合計と、現在設定値の合計とは一致している必要があり、比較の結果が一致していない場合、制御部105は、ヒーターの制御値としての発熱量を測定ユニット制御部11へ送信することができない。
【0067】
また、ユーザが発熱量を入力するのではなく、ヒーターに対応するチャネルCh1及びCh2に温度計識別情報が入力された際、制御部105が設定する発熱量を選択するようにしても良い。すなわち、制御部105は、各温度計識別情報に対応する必要熱量を読み込み、この必要発熱量に最も近い発熱量を、対応するヒーターの設定可能な発熱量から抽出し(例えば、各設定可能な発熱量と必要発熱量との差分を取り、最も差分が小さな設定可能な発熱量を抽出し)、この抽出した発熱量を、各測定ユニット毎にそれぞれ対応するチャネルCh1及びCH2の発熱量の欄に表示する。
そして、ユーザが入力画面における適用のみのボタンをマウス等の入力装置により押下すると、制御部105は、プロジェクト名に対応させて、記憶部103の建物データ記憶領域に、各温度測定範囲毎に発熱量を書き込むとともに、ユニット識別情報の示す各測定ユニットのチャネルCh1、CHh2毎に、温度測定範囲(階、部屋名)と、有効発熱量及び現在設定の発熱量とを書き込んで記憶させる。
【0068】
各部屋毎、すなわち各温度測定範囲毎の内部の温度分布を調整する場合、各温度測定範囲に配置するファン(204、205、214、215、…)の位置や風量、あるいはヒーターの発熱量のバランスを調整し、内部の空気の攪拌の効率を変化させることにより行う。ここで、上記発熱量のバランスとは、各部屋に配置されたヒーター間の発熱量を設定するさい、建物全体の全発熱量の数値を、Q値の計算における温度上昇において一定値とする必要があるため、各部屋のヒーター間の発熱量を調整し、建物全体の発熱量を一定とした状態にて建物内の温度の均一化を行う。
また、上の階と下の階との温度差の調整は、上の階及び下の階とのヒーターの発熱量を調整するか、またはダクトファンを階段あるいは吹き抜けに配置し、上の階と下の階との間にて空気の攪拌を起こすことにより行う。
【0069】
そして、図9の入力画面におけるユーザのデータ入力が終了し、適用のみのボタンが押下されたことを検出すると、この入力画面の各入力欄に対してユーザが入力した発熱量設定の各入力欄のデータを、現在処理しているプロジェクト名に対応させ、記憶部103の建物データ記憶領域に書き込んで記憶させる。そして、図9におけるスタート設定のタブをユーザがマウス等により選択すると、制御部105は、図10に示す入力画面を表示部104に表示させる。
制御部105は、現在処理中のプロジェクト名に対応させ、ユニット識別情報に対応させて各測定ユニットのチャネルCh1及びCh2毎の有効発熱量を、記憶部103の建物データ記憶領域から読み出し、各測定ユニット毎のチャネルCh1及びCh2の有効発熱量を合計し、スタート設定の領域において、各測定ユニット毎に各ヒーターの発熱量の求めた合計値を、対応するヒータの合計値の欄に表示する。
【0070】
また、制御部105は、内部タイマーの時刻を読み込み、入力画面の現在日時の欄に、この読み込んだ時刻を表示する(予め設定した周期毎にこの処理を行う)。
ユーザは、実測Q値の測定期間(例えば、日数及び時間数)を、測定期間設定の欄に入力する。この測定期間の間、Q値測定システム1は実測Q値の測定を行い、設定された測定期間が経過すると、例えば図10においては7日間が経過すると測定を停止する。
また、ユーザは、測定ユニットに接続されているヒーターの開始日時を、ヒーター稼働タイミングの項目における開始日時の欄に入力する。
また、ユーザが、設定送信ボタンをマウス等の入力装置により押下すると、制御部105は、測定開始の項目における開始日時(助走運転を開始する日時)及び助走運転を開始するまでの時間を表示する。
ここで、制御部105が表示する時間は、設定送信ボタン押下時点から例えば1分以上2分未満の時刻で、開始時間の秒が0秒となる時刻である。このように時間をあけて開始時刻を定めるのは、測定ユニット制御部11の前回の測定(保存)データのフォーマットと、今回の測定の設定を行うのに要する時間のためである。
ユーザが表示画面下部の設定送信のボタンをマウス等により選択すると、制御部105は、ヒーター可動タイミングの開始日時を、及び助走運転の開始日時を、対応する各欄から読み込む。
【0071】
そして、ユーザが入力画面における設定送信のボタンをマウス等の入力装置により押下すると、制御部105は、図9にてユーザが入力した各測定ユニットのチャネルCh1、CHh2毎に、温度測定範囲(階、部屋名)と、有効発熱量との対応させたデータを、現在処理中のプロジェクト名に対応させ、記憶部103の建物データ記憶領域から読み出し、ヒーター可動タイミングの開始日時とともに、測定ユニット制御部11に対して送信する。
【0072】
また、制御部105は、この温度測定範囲と、有効発熱量との対応を示す設定データを送信する際、測定ユニット制御部11との時刻合わせを行うため、内部タイマーの時刻を読み込み、時刻設定データとして、温度測定範囲と、有効発熱量とを対応させたデータとともに、測定ユニット制御部11へ送信する。
このとき、制御部105は、現在処理中のプロジェクト名に対応させ、ユニット識別番号の示す測定ユニット毎のヒーターの合計値と、ヒーター可動タイミングの開始日時を、記憶部103の建物データ記憶領域に書き込み記憶させる。
また、測定ユニット制御部11が上記温度測定範囲と、有効発熱量とを対応させたデータを、正常に受信したことを示す応答信号を送信すると、制御部105は、この応答信号を受信することにより、表示画面におけるQ値測定システム状態の領域に正常を示す文字データを表示するとともに、表示画面下部における測定開始のボタンを選択可能な状態、すなわち測定開始を制御する制御信号を入力可能な状態とする。
一方、測定ユニット制御部11が上記温度測定範囲と、有効発熱量とを対応させたデータを、正常に受信できないことを示す応答信号を送信すると、制御部105は、この応答信号を受信することにより、図10に示すように、表示画面におけるQ値測定システム状態の領域に正常でないことを示す文字データ(エラー)を表示し、表示画面下部における測定開始のボタンを選択不可能な状態、すなわち測定開始を制御する制御信号を入力不可能な状態とする。ここで、制御部105は、この測定開始のボタンを、図10の入力画面の各入力欄に各データが入力され、かつ測定ユニット制御部11からデータを正常に入力したことを示す応答信号を受信した後に測定開始のボタンを選択可能とし、それ以前においては選択を不可能な状態としている。
また、測定ユニット制御部11における記憶部112に各プロジェクトに対応した記憶領域において、送信した測定ユニット毎の温度測定範囲、あるいは有効発熱量とを対応させたデータ、あるいは各測定ユニットから収集した発熱量のデータを確認する際、ユーザが発熱データの参照の表示欄におけるアドレスの入力欄にリンク先を示すファイル名(ディレクトリ名付き、例えば、\\Spu-default\pccards\PCCard1\Data.csv)を入力し、参照のボタンをマウス等により選択すると、制御部105は、測定ユニット制御部11にアクセスし、記憶部112における上記ファイルを読み出し、ファイルデータを表示画面に表示する。
【0073】
上述したこれより、測定ユニット制御部11は送受信部113により設定データ、ヒーター稼働タイミングの開始日時及び現在日時を受信し、制御部111が記憶部112に設定データ及びヒーター稼働タイミングの開始日時を書き込み、図示しない内部タイマーに対し、受信した時刻設定データの現在日時の時刻を設定する。
また、上述したように、測定ユニット制御部11は、Q値測定処理部10から入力される測定ユニット毎の温度測定範囲、あるいは有効発熱量のデータが正常に受信できたか否かをデータに付加されているパリティ等によりチェックし、正常に受信できた場合には正常に受信できたことを示す応答信号をQ値測定処理部10へ送信し、一方、正常に受信できない場合には正常に受信できなかったことを示す応答信号をQ値測定処理部10へ送信する。
そして、制御部111は、正常に受信できた場合、内部タイマーの時刻をタッチパネル部114に表示するとともに、設定データである測定ユニット毎のチャネルCh1、Ch2に対応した発熱量をタッチパネル部114に表示する。
【0074】
また、ユーザが入力画面における適用のみのボタンをマウス等の入力装置により押下すると、制御部105は、現在処理中のプロジェクト名に対応させ、測定ユニット毎のヒーターの合計値と、ヒーター可動タイミングの開始日時を、記憶部103の建物データ記憶領域に書き込んで記憶させる処理のみ行い、測定ユニット制御部11への設定データの送信を行わない。
【0075】
また、ユーザ図11に示す入力画面下部における試運転のボタンをマウス等の入力装置により押下して選択すると、制御部105は、表示部に試運転の設定を行う入力画面として、図11に示す入力画面を、表示部104に表示する。この入力画面には、各測定ユニットにおけるそれぞれのヒーターに対するヒーター設定値に対して加算する発熱量(単位発熱量×n、n=1,2,3,…)を設定する入力欄と、試運転の期間としての運転時間を設定する入力欄とが設けられている。ここで、現在の設定値に対して加算する発熱量としては、コンボボックスの発熱量の数値の一覧から任意に選択することができ、本実施形態においては50Wあるいは100Wが設定可能となっている。
ユーザがヒーター設定値及び運転時間をそれぞれの欄に入力し、入力画面における開始のボタンをマウス等の入力装置により押下すると、制御部105は、表示部104に図12に示す入力画面を表示し、かつ試運転であることを示す制御信号とともに、ヒーター設定値と運転時間とを、測定ユニット制御部11へ送信する。制御部105は、図12の入力画面に示すように、試運転を停止することを検出する入力ボタンとして、図10の入力画面の試運転のボタンを試運転停止のボタンに変更して表示する。
【0076】
ここで、測定ユニット制御部11において、制御部111は送受信部113を介して受信した制御信号により試運転であることを検出し、現在設定されている全てのヒーターの発熱量に対し、受信したヒーター設定値を加算し、加算後の発熱量により、ユニット識別情報の各測定ユニットのCh1、Ch2に接続されているヒーターの稼働を開始させる開始信号(発熱量が付加されている)を各測定ユニットに送信し、開始してから運転時間が経過したことを内部タイマーにより検出すると、ヒーターの稼働を停止する停止制御信号を各測定ユニットに送信して試運転を終了する。
このとき、各測定ユニットは、測定ユニット制御部11から送信される開始信号により、指示された発熱量を放出するようヒーター(各ヒーター内蔵のファンも含め)を稼働及び制御し、かつファンを駆動させる。
ここで、試運転でも、また実際の測定においも、測定ユニット制御部11は、各測定ユニットに対して、時間差を設け、予め設定した順番に、上記開始信号を送信する。これにより、各ヒーターが一斉に稼働を開始し、稼働時における負荷電流が同時に流れることにより、Q値測定対象の建物のブレーカが落ちることを防止している。
【0077】
この試運転は、実測Q値の測定には多くの電力を使用するため、試運転により測定対象の建物のブレーカが落ちないか否かの確認及び測定器が規定通りに動作しているか否の確認のために行う。
また、ユーザが入力画面における試運転停止のボタンをマウス等の入力装置により押下すると、制御部105は、試運転停止を示す停止制御信号を、測定ユニット制御部11へ送信する。
上記停止制御信号を受信すると、測定ユニット制御部11において、制御部111は、各測定ユニットに対し、この停止制御信号を送信する。
これにより、各測定ユニットは、ヒーター(各ヒーター内蔵のファンも含め)及びファンを停止させる。
【0078】
また、ユーザが入力画面における測定開始のボタンをマウス等の入力装置により押下すると、制御部105は、現在時刻に対して測定ユニット制御部11の記憶部112に記憶されている前回のプロジェクトにおける記録データを初期化(フォーマット)するのに必要な時間(例えば、60〜120秒)を、送信した測定開始の日時に加算した測定開始の日時を求め、この日時とともに測定開始を示す開始制御信号を、測定ユニット制御部11へ送信する。
このとき、制御部105は、上記測定開始の日時を、測定開始の項の日時の欄に表示するとともに、現在処理中のプロジェクト名に対応させ、記憶部103の建物データ記憶領域に書き込み記憶させる。
ここで、記憶部112における上記記録データとは、各測定ユニット(たとえば、20、21)のCh1及びCh2のヒーターの発熱させるために用いた消費電力、すなわち測定ユニットに接続されている各ヒーターにおける消費電力(内蔵のファンの消費電力、ヒーターのコンセントに接続されているファンの消費電力)と、各測定ユニットに接続されているファン(コンセントに接続されているファンの消費電力)を稼働させる消費電力と、測定ユニット自身(内部回路等)の消費電力と、測定ユニットの常時コンセントに接続されている電子機器(例えば、停止できない家電機器の消費電力、測定ユニット制御部11の消費電力、Q値測定処理部10の消費電力)がそれぞれ、測定ユニット識別に対応してQ値を測定する測定周期(測定周期)毎に記録されている。この各測定ユニットの消費電力の総量が常に一定となっていれば、実測Q値の測定は高い精度にて行うことができる。
【0079】
開始制御信号を受信して入力すると、測定ユニット制御部11において、制御部111は開始制御信号とともに入力される測定開始の日時を記憶部112に書き込んで記憶する。
そして、制御部111は、記憶部112の測定データの記憶領域のファーマットを行い、フォーマットの終了後に、測定開始の日時となったことを、記憶部112に記憶された測定開始の日時と、タイマーの時刻とを比較することにより検出し、双方が一致したことを検出すると、ユニット識別情報に対応して各測定ユニットのCh1、Ch2に接続されているヒーターの稼働を開始させる制御信号を送信する。これにより、各測定ユニットは上記ヒーターの駆動を開始させる制御信号を受信すると、それぞれのヒーターに設定されている発熱量となるように、内蔵した電力調整器により、それぞれ対応するヒータの駆動を開始する。
すなわち、制御部111は、各ヒーターの発熱量の制御を、記憶部112に記憶されているそれぞれのヒーターの発熱量の設定値を読み出して、この設定値に対応させて、内蔵した電力調整器により、発熱量の調整を行う。
また、このとき、ヒーターの可動タイミングが、測定開始の日時より前に設定されている場合、測定を開始するための開始制御信号を、測定ユニット制御部11へ送信せず、図10の入力画面におけるQ値測定器システム状態の欄にエラー表示を表示する。このQ値測定器システム状態の欄は、Q値測定システム1の稼働状態を表示するためのものである。
このとき、各測定ユニットはコンセントに電源を供給し、接続されたファンを駆動させる(電力調整器により風量の調整を行うようにしても良い)、あるいはヒーターのコンセントに接続されたファンも駆動を開始する。
【0080】
次に、制御部105は、図13に示す測定結果(室温、ヒーターの発熱量のモニタリング)の表示画面を表示部104に表示する。この図13のA1領域には、時間経過による各ヒーターの発熱量の変動のグラフが表示され、横軸が時間(Q値の測定周期)を示し、縦軸が各測定ユニットにおける発熱量を示している。また、図13のB1領域には、時間経過による各温度計(室内温度計311〜314、…、SAT温度計220、外気温度計221)の測定した温度の変動のグラフが表示され、横軸が時間を示し、縦軸が温度を示している。
【0081】
すなわち、制御部105は、入力データ処理部106が送受信部101を介し、上記測定周期(例えば、5分周期)に温度データ収集部12に温度収集制御信号を送信し、この温度収集信号に対応して温度データ収集部12から送信される各温度計(室内温度計311〜314、…、SAT温度計220、外気温度計221)からの温度データを、すでに述べたようにデータ処理し、各温度計の温度データをB1領域において測定周期毎にプロットする。
また、制御部105は、測定周期毎に発熱量収集制御信号を温度データ収集部12に送信し、この発熱量収集制御信号に対応して測定ユニット制御部11から送信されるユニット識別信号毎に入力される各測定ユニットの発熱量(Ch1、Ch2に接続されるヒーターの発熱量、ファンの発熱量、内部回路の発熱量を合計した測定ユニット単位の発熱量)を、各測定ユニット毎にA1領域において測定周期毎にプロットする。
【0082】
次に、制御部105は、内部タイマーの時刻が記憶部103に記憶されているヒーター稼働タイミングの開始時刻となると、測定開始制御信号を測定ユニット制御部11へ送信するとともに、図14に示す測定結果(室温、ヒーターの発熱量のモニタリング、分析結果)の表示画面を、表示部104に表示する。本実施形態において、制御部105はヒーターの加熱が開始された時点にて、測定周期をヒーターの加熱開始前と同様の時間間隔にて行う。例えば、制御部105は、本実施形態においてQ値の測定周期を10分としている。また、温度データ収集部12は、温度データの測定を一定周期の5分ごとに行っている。
【0083】
この図14のA2領域には、測定周期毎に求められる実測Q値のグラフが表示され、横軸が時間(Q値の測定周期)を示し、縦軸が実測Q値の計算値(W/m・K)を示している。また、B2領域には、測定周期毎に求められる平均残差δのグラフ(熱損失係数と平均残差の関係)が表示され、横軸が時間を示し、縦軸が後述する平均残差δ(K)の計算値を示している。また、C2領域には、制御部105が測定ユニット制御部11から送信される全測定ユニットの発熱量を加算した合計発熱量が表示され、横軸が時間(Q値の測定周期)であり、縦軸が上記合計発熱量の数値である。また、領域B1には、図13表示画面と同様に、各温度計の温度データを測定周期毎にプロットしたグラフが表示される。
ここで、制御部105は、図14の領域A2及び領域B2において、平均残差δが最低値となった時間に、時間を示す横軸に対して垂直な線を表示する。この垂直な線により、ユーザは平均残差δが最低となった時間を検知することができる。
図13及び図14の各グラフにおける横軸の時間は、測定開始の時点を原点、すなわち測定開始の時刻からカウントが開始された時間経過を示している。
【0084】
そして、制御部105は、図14の表示画面における図示しない測定終了ボタンをユーザがマウス等の入力装置により押下したことを検出するか、あるいは記憶部103に記憶されている測定期間設定における測定期間と、測定周期をカウントする測定タイマーの時間とが一致したことを検出すると、測定終了制御信号を測定ユニット制御部11へ送信する。
これにより、測定ユニット制御部11における制御部111は、ヒーターの稼働を停止する上記測定終了制御信号を各測定ユニットに送信して測定処理、すなわち各測定ユニットからの発熱量のデータの収集を終了する。
測定終了制御信号が入力されると、各測定ユニットは、ヒーター及びファンを停止させる。
【0085】
次に、制御部105は、実測Q値の測定が終了した時点にて、図15に示す解析データの結果を示す表示画面を表示する。
すなわち、制御部105は、現在Q値として、後述するように上述した測定期間において、平均残差δにより同定された実測Q値と、ユーザの設定した時間範囲にて平均残差δにより設定されるΔQ値により同定された同定Q値とを、それぞれその同定Q値に対応したΔQ値とともに表示する。ここで、制御部105は、図14の全測定時間の範囲にて、予め設定した数値以下となる時間範囲をΔQ値として出力する。このΔQ値が最も小さくなる範囲におけるQ値の最低値を実測Q値として検出して、実測Q値の同定結果として出力する。
また、ユーザが図15の表示画面における同定範囲設定のボタンを押下すると、制御部105は、この押下したことを検出する信号を入力し、図16に示す同定範囲設定の入力画面を表示部104において、図15の表示と異なる位置に図14の表示画面に重ねて表示する。
【0086】
そして、ユーザが同定範囲設定の入力画面において、ノイズなどのQ値の誤検出の要因となる範囲を除く機能として、開始時間と終了時間とをそれぞれの入力欄、あるいはスライドバーにて入力し、入力画面における決定ボタンを押下すると、制御部105は、この決定ボタンが押下されたことを検出し、開始時間と終了時間とを読み込み、入力された上記開始時間と終了時間とにおいて、この時間範囲にて最低のQ値を抽出し、その同定範囲における実測Q値を求め、図15の同定Q値の欄に表示する。
また、ユーザが図16の同定範囲設定の入力画面における閉じるのボタンを押下すると、制御部105は、この閉じるボタンが押下されたことを検出し、図16に示す同定範囲設定の入力画面を閉じる。
図示しない入力画面におけるレポートボタンをユーザが押下すると、制御部105は、この決定ボタンが押下されたことを検出し、予め記憶部103に記憶されているレポートのフォーマットファイルを読み出し、このフォーマットファイルにおける出力欄に、実測Q値及びΔQ値等のデータ、及び、図16の実測Q値及び平均残差δのグラフ、建物概要、測定概要を報告書にし、例えばプリンタにより結果レポート(報告書)として印刷する。
【0087】
また、測定において予め予見していた異常が発生し、この異常を制御部105が検知することにより、送受信部101を介して、予め設定したメールアドレスに対して、制御部105が異常検出を通知する電子メールを送信させる設定を行うことができる。
後述する異常を検知した場合、制御部105は、記憶部103において現在処理中のプロジェクト名に対応したメールアドレスを読み出し、異常の種類とその数値とを警報メールに記述して、読みだしたメールアドレスに対して送信する。
警報メールを送信する周期と上記異常名と異常と検知する基準値とは、プロジェクト名に対応して記憶部103に対し予め設定しておく。
異常名とその基準値は、例えば以下に示す事項である。任意に設定した周期(例えば、60分)にて警報メールを送信するよう設定する。
【0088】
・温度異常
室温が記憶部103に設定した温度と時間とを超えて経過しても、設定した温度を超えた状態が続いた場合であり、制御部105は、各室内温度計それぞれの温度データにおいて、設定した温度から温度が上昇して変化する間隔を測定し、この間隔が設定した温度を超えた場合、温度異常として検出する。
【0089】
・温度データ取得異常
各温度計(室内温度計、外気温度計、SAT温度計)のいずれかから、設定回数以上の欠測が発生した場合であり、制御部105は、温度データ収集部12から読み込む温度データが欠測となる回数を温度計識別情報毎にカウントし、いずれかが設定回数以上となると温度データ取得異常として検出する。
【0090】
・温度差異常
室温が記憶部103に設定した時間を超えて経過しても、室温が一定とならない場合であり、制御部105は、各室内温度計それぞれの温度データにおいて、設定した測定周期毎の温度差の変化が設定した時間を超えて続く場合、温度差異常として検出する。
【0091】
・発熱量異常
発熱開始後の出力が、発熱量設定の任意の下限割合以下(例えば、70%以下)、あるいは任意の上限割合以上(例えば、130%以上)のいずれかである場合であり、制御部105は、各ユニットの発熱量のデータを測定周期毎に読み込み、設定出力が設定した下限割合以下あるいは上限割合以上であることを検出すると、発熱量異常であることを検出する。
【0092】
また、正常に処理されていることを検知した場合にも、電子メールにて正常に処理されていることを通知するように設定する構成としても良い。
例えば、設定時間毎に、上述した以上の何れもが検出されず、正常に処理されている場合、制御部105は、設定されたアドレスに対して電子メールにて、正常に処理されていることを通知する。
【0093】
また、測定器設定において、図9に示すように、ユーザが各測定ユニットの発熱量を最初に設定した値から変更するのでは無く、制御部105が各部屋の温度のバラツキを検出して、各部屋間の温度が均一化されるよう、各測定ユニットの発熱量を制御させる設定を行うことができる。この場合、制御の前提として、各測定ユニットにおける各Ch1及びCh1の各ヒーターに対応して、各ヒーターに対して1つの温度計を対応付ける構成とする。
図9の表示画面において、ユーザがオプション設定のボタンを押下すると、制御部105は、上記オプション設定のボタンが押下されたことを検出し、室内の温度データにより、自身(制御部105)が各ヒーターの発熱量の制御を行う際の条件を入力する図17に示す入力画面を表示部104に表示する。すなわち、図17の入力画面は、制御部105が発熱量の自動制御を行う際に必要なデータの入力画面である。
制御部105は、温度データ収集部12から取得する各室内温度計からの温度データにより、ユニット識別情報の示す各測定ユニットの各Ch1及びCh2の発熱量の調整を行う。
【0094】
ユーザは各測定ユニットの各Ch1及びCh2の発熱量の最大値と、測定ユニット自体及びファンの電力の補正値(図9にて設定値した発熱量を中心とした発熱量の補正幅)とを入力する。
また、ユーザは、発熱開始後において発熱量の調整制御を行う時間(例えば、1時間経過後)と、調整制御を継続する時間(7時間継続)とを入力し、また調整制御を行わない時間帯(例えば、07:00〜18:00の間、すなわちユーザが作業している昼間の間)とを入力する。
また、発熱量制御を行う各部屋の温度差(例えば、温度差の設定温度として2℃あるいは3℃、設定温度未満の場合には発熱量の調整を行わない、図17では4℃未満では発熱量の調整を行わない)と、発熱量の調整間隔の時間(例えば、30分)と、測定された温度データにおいて最高あるいは最低室温に対応するヒーターの発熱量の調整単位(例えば、±50Wなどの調整する単位の発熱量)などを入力する。
ユーザが上述した各データを入力欄に入力し、入力画面の保存のボタンを押下することにより、制御部105は上記保存のボタンが押下されたことを検出し、各入力欄に入力されたデータを、プロジェクト名に対応させ、記憶部103の建物データ記憶領域に書き込んで記憶させるとともに、発熱開始後において発熱量の調整制御を行う時間と、調整制御を継続する時間と、調整間隔の時間と、発熱量制御を行う各部屋の温度差を記憶する。
また、ヒーター1つに1つの室内温度計が対応している(ヒーターが配置される部屋あるいは領域に1つの室内温度計が配置されている)場合、単純にその室内温度計の温度データを用いるが、例えば、1つのヒーターに対して複数の室内温度計が対応している(1つのヒーターが複数部屋あるいは複数の領域に対して配置され部屋あるいは領域毎に2つ以上の室内温度計が配置されている)場合、制御部105は、最低室温あるいは最高室温が複数の室内温度計にて検出された際、気積の大きい部屋に置かれている室内温度計の温度データを用いて、上記温度差を算出する。すなわち、調整対象のヒーターを設定することになる。また、このとき、気積が同一の場合、図9のユニットにおけるチャネルに対応して記述された順番、例えば先に記述された室内温度計を、温度データを用いる室内温度計として選択する。
上述したように、各部屋間の温度差が設定した以上であり、最高温度または最低温度が複数検出された場合、制御部105は、プロジェクト名に対応し、記憶部103から最高温度あるいは最低温度の各部屋の気積を読み込み、気積の大きい方の部屋を検出し、検出した気積の大きい部屋に配置された測定ユニットにおける最大値及び最低値を測定した室内温度計に対応するヒーターの発熱量の制御を行う。
【0095】
制御部105は、各測定ユニットの発熱開始からの時間をカウントし、発熱量の調整制御を行う時間に達したことを検出すると、入力される各室内温度計間の温度データの差分を求め、いずれかとの差分が発熱量制御を行う各部屋の温度差以上であるか否かを検出し、上記差分が発熱量制御を行う各部屋の上記温度差未満である場合、調整制御の処理を停止し、調整間隔の時間の時間が経過したことが検出されるまで、調整制御の処理を行わない。
一方、制御部105は、上記差分が発熱量制御を行う各部屋の温度差以上である場合、各測定ユニットにおける発熱量の制御を行う。
【0096】
また、ユーザが図17の入力画面において「(図9に示す各ユニットのチャネルにおける温度計の設定において)2つ以上の温度計が設定されている場合、選択枠の1つ目(先頭)にあるものを優先にする」チェックボックスがマウスなどの入力装置により選択されていると、制御部105は、上記優先にするチェックボックスが選択されていることを検出し、保存のボタンが押下された際、他のデータとともに内部の記憶部に、図9の上記選択枠にある室内温度計の1つめの温度計にて室内の温度データの取得を行うことを記憶させる。
すなわち、図17における表示画面下部にある最高・最低室温の判定は1つ目の温度計のみで行うというチェックボックスをユーザがチェックした場合、制御部105は、最高あるいは最低室温の判定を、上述した1つのヒーターに対して複数の室内温度計が対応している場合の処理を行い、最高・最低室温として差分を用いるための温度データとして用いる。
一方、表示画面下部にある最高・最低室温の判定は1目の温度計のみで行うというチェックボックスをユーザがチェックした場合、制御部105は、最高あるいは最低室温の判定を選択枠の先頭にある室温のみで行う。すなわち、図9でユニットにおけるチャネルに対応して入力した順番で、1番目の室内温度計の温度データを、室内温度計間の上記差分を求めるために用いる。
【0097】
また、制御部105は、発熱量の調整を行う際、プロジェクト名に対応して記憶部103から読み出した制御値において、最低室温の室内温度計に対応するヒーターが最大値の場合、あるいは最高室温の室内温度計に対応するヒーターが最低値(0W)の場合、ヒーターの制御を行わずに、ヒーターの調整異常である(「ヒーターの発熱量が最大値」、または「ヒーターの発熱量が最低値(0W)」の情報を付加し)ことを、上述したメールアドレスに対して送信して通知する。
【0098】
また、図1に示すように、1つのヒーターに1つの室内温度計を対応させず、2つのヒーター(あるいは1つの温度測定範囲)に1つの室内温度計が組み合わされている場合の構成における発熱量の調整を以下に説明する。
この構成において、上述したように、ユーザが図17の入力画面において選択枠の先頭にあるものを優先にするチェックボックスがマウスなどの入力装置により選択すると、制御部105は、上記優先にするチェックボックスが選択されたことを検出し、保存のボタンが押下された際、他のデータとともに内部の記憶部に図9の選択枠の先頭にある室内温度計のみで室内の温度データの取得を行うことを記憶させる。
このとき、制御部105は、最高温度あるいは最低温度となった室内温度計に対応する測定ユニットにおいて、調整単位を発熱量の調整可能な量とし、ヒーターの発熱量を増加させる場合、出力の小さい方のヒーターから調整単位毎に増加させ、一方、ヒーターの発熱量を低下させる場合、出力の大きい方のヒーターから調整単位毎に低下させる制御を行う。
【0099】
すなわち、1個の室内温度計を複数のヒーターに対応させることなる(例えば、部屋が大きく気積から複数のヒーターが必要、あるいは複数の部屋に対して熱エネルギーを供給する)場合、制御部105は、最低温度の部屋あるいは領域に配置されたヒーターの出力する発熱量を上昇させる際、設定した調整分100Wを、例えば50W単位に分割し、複数あるヒーターのうち、現在出力している発熱量が小さい方のヒーターから出力する発熱量を上昇させる。一方、最高温度の部屋あるいは領域に配置されたヒーターの出力する発熱量を下げる際、設定した量成分100を、例えば50W単位に分割し、複数有るヒーターのうち、現在出力している発熱量が大きいほうのヒータから発熱量を低下させる。
したがって、制御部105は、最高温度を示す室内温度計に対応するヒーターの発熱量を上記発熱量の調整単位分だけ制御値を低下させ、最低温度を示す室内温度計に対応するヒーターの発熱量を調整単位分だけ制御値を増加させる。
すでに述べたように、それぞれのQ値を測定する測定周期において、建物全体に与える発熱量は一定とする必要があり、いずれかのヒーターの発熱量を上昇させた場合、他のヒーターの発熱量を、いずれかのヒーターにおいて上昇させた発熱量と同様の値を低下させる必要がある。
このヒーターの発熱量の制御を行う際、制御部105はこの新たなヒーターの発熱量の制御値を測定ユニット制御部11へ送信し、測定ユニット制御部11は各測定ユニットに対して新たな制御値を送信する。
これにより、各測定ユニットは新たな制御値にて各ヒーターの発熱量の制御を行う。
【0100】
<Q値測定処理部10による実測Q値の解析処理>
すでに温度データ及び熱エネルギーの設定値が測定され、記憶部103に記憶されているプロジェクトのデータから、実測Q値の解析用データを作成する場合を以下に説明する。
Q値測定処理部10において、ユーザが解析ソフトを起動すると、制御部105は図18に示す解析を行う操作・表示画面の画像データを、記憶部103から読み出し、読み出した図18に示す画像を表示部104に表示する。
制御部105は、この操作・表示画面に対してユーザが入力したプロジェクト名を読み込み、このプロジェクト名に対応して記憶されている各データを記憶部103から読み出す。
【0101】
そして、ユーザが建物データ入力のボタンを押下すると、制御部105は、建物データ入力のボタンが押下されたことを検出し、図5〜図10に示した建物データ及び測定器の設定における入力画面の画像データを記憶部103から順次表示し、プロジェクト名に対応して記憶部103から読み出したデータを対応する入力欄に対して表示する。
ここで、ユーザは、実測時に入力したデータに修正がある場合、または空欄であった場合に、対応する入力欄に修正データあるいは新たに入力するデータを上書きし、適用ボタンを押下する。
適用ボタンが押下されると、制御部105は、適用ボタンが押下されたことを検出し、すでに各入力画像のデータ入力として「Q値測定処理部10による実測Q値の実測処理」において説明した処理と同様に、入力(あるいは修正)されたデータを、プロジェクト名に対応して記憶部103に書き込む。
【0102】
図5〜図10におけるすべての入力欄への修正データ及び新たなデータの入力が終了したことを検出すると、すなわち、各入力画像における適用ボタンが押下されたことを検出すると、制御部105は、温度データ収集部12からの温度データの収集を行うボタンが表示された入力画面(図示せず)を表示する。
そして、ユーザが温度データの収集を行う上記ボタンを押下すると、制御部105は、温度データの収集を行うボタンが押下されたことを検出し、温度データ収集部12からの温度データの収集を行う。
【0103】
ここで、制御部105は、プロジェクト名に対応して記憶されている温度データのファイル名を記憶部103の建物データ記憶領域から読み出し、この温度データのファイル名に対応するファイルを、温度データ収集部12の記憶部から読み出し、このファイル名に対応して温度データのファイルを記憶部103の建物データ記憶領域に書き込んで記憶させる。
入力データ処理部106が入力した温度データには、欠測が存在して、補完されている可能性がある。しかしながら、すでに測定が終了している時点においては、温度データ収集部12から欠測のない温度データ(各温度計の温度計識別情報毎に1分刻みで時系列に記録された温度データ)を、温度データ収集部12から入力することができる。
【0104】
また、ユーザが温度データの収集を行う上記入力画面における作成のボタンを押下すると、制御部105は、上記作成のボタンが押下されたことを検出し、記憶部103に記憶されたプロジェクト名に対応して記憶された温度データのファイルから、温度計識別情報毎に、温度データを順次入力する。ここで、室内温度計311〜314、…、外気温度計221、SAT温度計220それぞれの温度データは、1分ごと(1分刻み)のデータが入力される。
【0105】
そして、制御部105は、各室内温度計の配置されている相対容積を、プロジェクト名に対応させ、温度計識別情報毎に記憶部103から読み出し、同一の温度計識別情報にて対応する移動平均温度データと相対容積とを乗算し、合計値を算出して建物内部の部屋全体の加重平均温度データを求める(発熱量の加重平均値)。
次に、制御部105は、加重平均温度データ、外気温度計、SAT温度計の温度データそれぞれを、10分単位にて平均し、10分刻みの温度データとする。
【0106】
また、制御部105は、測定ユニット制御部11における記憶部112から、データ収集周期(1分)毎に時系列に測定されて記憶されている発熱量データを読み出し、ユニット毎に、予め設定された時間範囲(例えば、10分)の移動平均発熱量を算出する。
そして、制御部105は、測定ユニット毎の発熱量データを加算し、建物全体の合計発熱量データを計算し、この合計発熱量データを10分単位にて平均し、10分刻みのデータとする。
そして、制御部105は、後段の解析により、上述した温度データと、発熱量データとを用い、後述する実測Q値の算出方法により実測Q値を算出する。
後段の解析は、図示しない解析範囲を指定する入力画面において、ユーザが解析を行う日時の範囲と、発熱を開始した日時を入力することにより、制御部105が日時の範囲及び発熱を開始した日時を読み込み、実測Q値の解析処理を行う。
解析処理については、「Q値測定処理部10による実測Q値の実測処理」にて図14から図16に記載した図にて同様な処理にて行われる。ここで、図14は、制御部105が図18におけるグラフ部分のみを表示した図である。
【0107】
<簡易Q値計算部108による計算Q値の算出処理>
次に、計算Q値を求めるための処理を説明する。ユーザが図6の表示画面における部位別面積入力ボタンをマウスなどにより押下することにより、制御部105は、図19に示す部位別面積を入力する入力画面を、表示部104に表示する。
制御部105は、枠が太い簡易計算用床面積の入力欄に対し、図6の入力画面にて入力した建物データを記憶部103の建物データ記憶領域から読み出し、対応する階の入力欄に表示する。
また、制御部105は、網掛けされている入力欄(各階の高さ:床と天井との距離、屋根の勾配、床の高さ、各階の床面の縦横比、各階の開口部の割合)に、予め記憶部103に設定してある数値を表示する。また、この簡易計算用床面積は、実測した数値をユーザが直接に入力欄に入力して設定することができる。
【0108】
簡易Q値計算部108は、平面H1及びH2の簡易面積を、各部位の面積を計算する計算式に対し、枠の太い入力欄の数値及び網掛けされている入力欄の数値を読み込み、各部位に対応した計算式に代入し、各部位の平面H1及び平面H2の面積を求め、求めた面積それぞれを簡易計算の表示欄に表示する。
各部位の面積はユーザが直接入力することもできる。そして、各部位毎に、直接入力した部位の面積、平面H1の簡易計算の面積あるいは平面H2の簡易計算の面積のいずれを簡易Q値の計算に用いるかを、ユーザがチェックボックスにより選択することができる。
そして、簡易Q値計算部108は、簡易Q値を計算する際に、各部位の面積としてチェックボックスにて選択されている、あるいは直接入力した部位の面積、平面H1の簡易計算の面積あるいは平面H2の簡易計算の面積のいずれかを用いる。
【0109】
開口部の面積についても同様に、簡易Q値計算部108は、各階の床面積、階の高さ(天井と床との距離)と、開口部割合とから簡易計算により開口部の面積を求める。また、開口部の面積をユーザが直接に入力することもできる。そして、各開口部毎に、直接入力した開口部の面積、または簡易計算の面積のいずれを簡易Q値の計算に用いるかを、ユーザがチェックボックスにより選択することができる。
そして、簡易Q値計算部108は、簡易Q値を計算する際に、各開口部の面積としてチェックボックスにて選択されている、直接入力した開口部の面積、または簡易計算の面積のいずれかを用いる。
また、上述した部位別面積の各簡易計算の結果を用いるのではなく、ユーザが直接に入力欄に入力する数値を用いることができる。
制御部105は、図19における各データの入力処理が終了すると、図6に示す入力画面を表示部104に表示する。
【0110】
制御部105は、図19において入力された、あるいは求められたデータを、プロジェクト名に対応させて、記憶部103の建物データ記憶領域に書き込んで記憶させる。
次に、制御部105は、図6の入力画面における熱損失係数計算表のボタンをマウスなどにより押下することにより、図20に示す熱損失係数計算表を表示部104に表示する。
この図20において、簡易Q値計算部108は、一般部の各表示欄に示される各部位における実質熱貫流率を、各部位の材料の厚さと材料の熱伝導率を記憶部103から読み込み、各部位毎に熱抵抗値(=材料の厚さ/材料の熱伝導率)を計算し、この熱抵抗の逆数として求め、各部の実質熱貫流率の欄に表示する。材料の熱伝導率は予め記憶部に材料と熱伝導率との対応関係が記憶されており、簡易Q値計算部108は、各部位に使用されている材料に対応した熱伝導率を読み込む。
【0111】
そして、簡易Q値計算部108は、各部位の面積に対し、対応する部位の外周の接する外気等の区分に応じて掲げる係数及び上記実質熱貫流率を乗算して、各部位の熱損失を算出し、算出された各部位の熱損失を加算し、一般部熱損失合計を求める。ここで、係数Hiは、屋根、天井、壁、床などに対応して予め設定されているが、ユーザが直接に入力することができる。
【0112】
また、簡易Q値計算部108は、各土間床の項に関し、図6の建物概要の床下断熱の項で選択された断熱工法に対応し、記憶部103に予め記憶(設定)されている(住宅の省エネルギー基準に定められている)土間床ならびに基礎断熱住宅の床部の熱貫流率を用い、この実質熱貫流率を熱損失とし、各土間床の熱損失を加算し、土間床熱損失を求める。
【0113】
次に、簡易Q値計算部108は、各開口部の面積として、図19における計算にて求められた面積を記憶部103から読み出して表示する。
そして、簡易Q値計算部108は、予め開口部の材料と、この材料に対応する熱貫流率とが対応付けられた記憶部103に記憶されたテーブルから、開口部毎の材料に対応する熱貫流率を読み出し、各開口部毎に、開口部の面積に対してこの熱貫流率を乗算し、熱損失を計算し、各開口部の熱損失を加算し、開口部熱損失合計を求める。
また、簡易Q値計算部108は、各部屋にある付属品の補正熱貫流率を、記憶部103に予め記憶されている各付属品とこの付属品の単位面積当たりの補正熱貫流率との対応を示すテーブルから、対応する付属品の単位面積当たりの補正熱貫流率を読み込み、付属品の面積にこの補正熱貫流率を乗算し、付属品の熱損失を算出し、開口部熱損失合計に加算する。
【0114】
そして、簡易Q値計算部108は、換気の気積の欄に、図5にて入力されたQ値用気積の数値が記憶部103から読み出されて表示される。
また、換気回数は予め設定された数値(例えば、0.5)が表示されるが、ユーザが建物の特性に合わせて数値を直接に入力することができる。入力画面における熱交換率も、予め設定されている複数の数値から選択するか、あるいはユーザが数値を直接に入力することができる。
そして、簡易Q値計算部108は、以下の式により換気の熱損失を算出する。
換気の熱損失=0.35×気積×換気回数×(1−熱交換率%/100)
【0115】
次に、簡易Q値計算部108は、上記一般部熱損失合計と、土間床熱損失と、開口部熱損失合計と、換気の熱損失とを加算し、加算結果を建物における全階の床面積の合計値にて除算し建物の熱損失係数であるQ値を算出し、このQ値を計算Q値として出力する。
ここで、簡易Q値計算部108は、計算Q値を算出するが、各部位面積を内部にて算出するため、精度が高くなく簡易数値であり、各部位面積を直接入力すれば通常の設計Q値の計算となる。
そして、簡易Q値計算部108は、計算した計算Q値を、図6の入力画面における計算Q値の入力欄に表示するとともに、プロジェクト名に対応させて、記憶部103の建物データ記憶領域に書き込んで記憶させる。
ここで、簡易Q値計算を行うのは、ヒーターの適切な発熱量を予め求めるためであり、想定Q値が大きくずれてしまっていると、初期設定するヒーターの発熱量が不足したり、過大となってしまい、実測Q値の測定のための温度データが正確に取得できなくなる。
しかしながら、測定日数が4日以上と長期にわたるため、再度のQ値測定を行うことが難しく、設計Q値を算出する余裕が無い場合に、簡易Q値計算を行い、実測Q値測定に必要なヒーターの発熱量の適正な設定値を求めることとなる。
【0116】
<Q値計算部107による実測Q値の算出処理>
本実施形態におけるQ値測定のアルゴリズムについて以下に説明する。
図21は、建物全体を一つの容器として、この容器を形成する壁の材質の熱抵抗等により、容器内部における発熱により上昇した容器内温度と外部温度との差に対応し、上記熱抵抗により熱エネルギーが容器の壁を伝達し、容器外に排出されることを示す熱回路モデルを説明する概念図である。
すなわち、すでに述べた様に、一つの建物全体を1つの部屋として、図21に示す熱回路のように、部屋内部に発熱量Hの発熱体が内部に存在する場合、外部の温度に対して室温(建物の各部屋の室温が均一化された温度)の上昇を求めることにより、相熱貫流抵抗Rを求め、すなわち建物全体の熱貫流率を求め、その熱貫流率を建物の延床面積にて除算したものをQ値として算出する。
ここで、図の熱回路によりモデル化し、キルヒホッフの法則を適用すれば、以下に示す(1)式が得られ、室温θに関する微分方程式である。この(1)式を適当な条件の下において解き、外乱θによる室温のステップ応答、及び発熱Hによる室温のステップ応答を求める。
【0117】
【数1】

【0118】
たとえば、発熱量Hがステップ関数などのように、時間t>0において一定であれば、上記(1)式の右辺において、dH/dt=0となるため、
発熱量の変化が式から消去されて、以下に示す(2)式の構成となる。
【0119】
【数2】

【0120】
この微分方程式は、外乱θが時間t>0において一定であれば、変数分離形となるため、θについて以下の(3)式の様に解くことができる。
【0121】
【数3】

【0122】
すなわち、室温は、壁面の外気側に与えられる外乱(励振)に対する応答(貫流応答)と室内発熱(励振)に対する応答(吸熱応答)の合成と考えられ、励振としてステップ関数を想定して、(1)の偏微分方程式をラプラス変換により解析解を求め、この解析解である(2)に従い貫流応答と吸熱応答との解を求める。
ここで、θ=初期室温(t=0における室温)、R=R+R、λ=1/(C・R)である。さらに、以下のような単純な条件のしたでは(3)式はより単純な形となる。
また、単位貫流応答の解を基に、積分などによって励振が2等辺三角波の場合の貫流応答を求める。同様に、単位吸熱応答の解を基に、励振が矩形波の場合の吸熱応答を求める。
a.外乱がステップ関数の場合
(3)式において、θ=1、θ=0、H=0とおけば良いから、
以下に示す(4)式が、熱回路モデルにおける「単位貫流応答」である。
【0123】
【数4】

【0124】
b.発熱量がステップ関数の場合
(3)式において、θ=0、θ=b−b、H=1、R=bと置けば良いから
以下に示す(5)が熱回路モデルにおける「単位吸熱応答」である。
【0125】
【数5】

【0126】
次に、応答係数法による室温の予測式について説明する。
(4)式及び(5)式による与えられる単位応答を利用することにより、以下に示す(6)式のように、外乱θが2等辺三角波の場合の応答係数φ及び発熱が矩形波の場合の応答係数ψが求められる。ただし、2等辺三角波に対する応答を求めるとき、単位応答の積分などが必要となるが、その説明については一般的なため省略する。外乱θを多数の2等辺三角波の合成と考えれば、室温θの外乱成分は、貫流応答の合成積(convolution)で表される。同様に、室内発熱を多数の矩形波の合成と考えれば、室温の発熱成分は吸熱応答の合成積で表される。
【0127】
【数6】

【0128】
上記(6)式において、サフィックスjは、時間を離散化したときの順番であり、j=−∞、…、−1、0、1、…、∞で定義される。
また、Δtは、そのときの時間間隔(例えば温度の測定周期)であり、r=e−λΔt(測定時間の間隔内における測定の有無を示すポアソン分布の確率のべき乗からなる未定計数の一つ)である。このように、任意の外乱と任意の発熱に対する室温は、θとφとの合成積に、Hとψとの合成積を加算すれば良いため、今、任意の時点n(時間で言えば、t=nΔt)における室温をθR,nとすれば、以下の(7)式が得られる。ここで用いる発熱量Hは、各測定ユニット単位において測定した発熱量を温度の測定周期毎に加算した合計値である。
【0129】
【数7】

【0130】
上記(6)式に対し、この得られた(7)式を代入して、測定開始以来(すなわち、j<0)の外乱が含まれないような形に式を変形する。さらに、j<0においてH=0であることを勘案し、最後に外乱を以下の(8)式のように、外気温と外界放射成分との合成により表す。
【0131】
【数8】

【0132】
上記(8)式のように、外気温と外界放射成分とを表すことにより、本実測法にて用いる室温の以下の(9)式に示す予測式を得ることができる。
この(8)式において、θは外気温(外気温度計221で測定)、ΔθはSAT(相当外気)温度計220の測定温度から外気温θを減算した値であり、aは外界放射(日射及び夜間放射)の影響度を示す未定係数である。
【0133】
【数9】

【0134】
本実施形態においては、外界放射に対しては上記(8)式のように最も単純な構成にて取り扱い、αは単に統計的に求められる係数として定義している。
すなわち、上記(9)式によって与えられる予想室温θR,nと実測室温θR,nとの差の二乗平均の平行根(平均残差δとする)が最小となるように未定係数を同定する(最小二乗法)。ここで平均残差δは以下に示すように(10)式にて表される。
【0135】
【数10】

【0136】
そして、上記(10)式で示すδの数値が最小となるように、数値解析により(9)式における4つの未定係数(r、b、b、a)をフィッティングして定める。
ただし、(9)式を見て分かるように、ここではrがべき乗で現れるので、一般的な最小二乗法とは若干異なる手法を用いる。
本実施形態における未定係数同定方法については、図23に示すフローチャートを用いて概要を説明する。
ステップS1において、室温及び外気温、SAT温度を実測して必要なデータを取得する。
【0137】
そして、ステップS2において、rの値(ただし、0<t<1、最初のステップではrは0(例えば0.0001)に近い正の値か、1に近い1未満の値(0.9999)とする)を仮定して設定する。
【0138】
次に、ステップS3において、(9)式により未定係数(b、b、a)を変化させて予想室温θを算出しつつ、ステップS4において、(10)式により平均残差δを計算して一般的な最小二乗法を用いて3つの未定係数(b、b、a)を数値計算によりフィッティングしで、最小の平均残差δを得る未定係数(b、b、a)を同定する。
そして、このときの平均残差δnを出力する。
【0139】
そして、ステップS5において、ステップS4にて求めたこの平均残差δと、直前に求めた残差δn−1との比較し、δnがδn−1より大きければ、ステップS7へすすみ、一方、δnがδn−1と一致するかまたは小さければ、1ステップ前のδn−1が最小であるとみなし、そのときの同定未定係数を同定値として、ステップS6へ進む
【0140】
ステップS7において、rの数値を設定された数値分(例えば、0.0001)変化させ、ステップS3へ処理を戻す。例えば、rが0近い正の数値を初期値とする場合、上記数値分だけ増加させ、一方、rが1に近い正の数値を初期値とする場合、上記数値分だけ減少させる。
【0141】
ステップS6において、同定されたbを用いて、以下に示す(11)式により、現場の実測により同定されたQ値を計算する。
【0142】
【数11】

【0143】
上記(11)式においてAは建物の床面積の合計である。また、(1)式から(11)式により用いられている記号について以下に示す。
【0144】
【数12】

【0145】
上述したように同定して求められた実測Q値であるが、この実測Q値が本来複雑な伝熱現象を図21のような単純な熱回路モデルから得られる現象に当てはめた場合、統計的に推定される数値であると解釈されると考える。
そのため、本実施形態におけるQ値には数学的な正解が存在するわけではなく、同定された実測Q値がどの程度確かなものであるかということを、得られた実測Q値とともに評価して示すことが必要である。
【0146】
本実施形態において、実測Q値の確からしさをΔQ値により示すこととする。このΔQ値とは、横軸にQ値を示し、縦軸にQ値を求めた際の平均残差δを示した図22において、最小値のδminと、このδminより0.1K大きい数値の範囲内における平均残差δを有するQ値の範囲(Q値の変化幅)をΔQとして求める。図22において、横軸がQ値を示し、縦軸が平均残差δを示す。
したがって、このΔQ値は、Q値と残差δとの関数において、δmin近傍のQ値の尖り度(統計における尖度:coefficient of excess)を示す数値であり、この尖り度が小さいほど同定された実測Q値が確からしいと判定することができる。
【0147】
図22のように、実測Q値に対する平均残差δの変化を示すグラフを作成するためには、Q値(すなわちb)を同定値から少しだけ変化させてそのときのδを(9)式により算出する。ただし、Q値を変化させたとき、その変化したQ値において、平均残差δが最小となるように、b以外の未定係数(r,b,a)を求めて平均残差δを計算する。
本実施形態においては、このΔQ値を、測定期間が十分に長いか否かを判定するための指標として用いている。すなわち、Q値は有る測定期間の範囲内にて必ず想定されるが、測定期間の長さとともに変化する。したがって、どの時点(測定期間)で同定すれば、測定期間が十分であり、同定結果も確からしいということが問題となる。そこで測定期間を徐々に長くしていったときの、ΔQ値が最小になった時点で最も確からしいQ値が得られたと判断してそのQ値を実測Q値とする。
【0148】
なお、図2におけるQ値測定処理部12各部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより実測Q値の算出処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0149】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】本発明の一実施形態によるQ値測定システム1の構成例を示すブロックズである。
【図2】図1におけるQ値測定処理部10の構成例を示すブロック図である。
【図3】図1における測定ユニット制御部11の構成例を示すブロック図である。
【図4】図1のQ値測定システム1を用いたQ値測定の流れを示すフローチャートである。
【図5】図2の制御部105が表示部104に表示する建物データ(実測Q値を測定する建物の測定概要データ)の入力画面を示す概念図である。
【図6】図2の制御部105が表示部104に表示する建物データ(実測Q値を測定する建物の建物概要データ)の入力画面を示す概念図である。
【図7】図2の制御部105が表示部104に表示する建物データ(実測Q値を測定する室内温度計設定のデータ)の入力画面を示す概念図である。
【図8】図2の制御部105が表示部104に表示する建物データ(実測Q値を測定する測定機器設定のデータ)の入力画面を示す概念図である。
【図9】図2の制御部105が表示部104に表示する建物データ(実測Q値を測定する発熱量設定のデータ)の入力画面を示す概念図である。
【図10】図2の制御部105が表示部104に表示する建物データ(実測Q値を測定するスタート設定のデータ)の入力画面を示す概念図である。
【図11】図2の制御部105が表示部104に表示する建物データ(実測Q値を測定をスタートさせるスタート設定のデータ)の入力画面を示す概念図である。
【図12】図2の制御部105が表示部104に表示する建物データ(実測Q値を測定の前に行う試運転を開始する設定データ)の入力画面を示す概念図である。
【図13】図2の制御部105が表示部104に表示する実測Q値を算出するヒーターの発熱量及び室温のモニタリングデータの表示画面を示す概念図である。
【図14】図2の制御部105が表示部104に表示する実測Q値の算出結果を測定周期毎にプロットする表示画面を示す概念図である。
【図15】図2の制御部105が表示部104に表示する現在の実測Q値数値と、ΔQ値の範囲設定により同定された同定Q値としての実測Q値を表示した表示画面を示す概念図である。
【図16】図2の制御部105が表示部104に表示する同定Q値を求めるためのΔQ値の範囲を設定し、設定したΔQ値の範囲から同定Q値を求める入力画面である。
【図17】図2の制御部105が表示部104に表示する、室内の温度データにより制御部105が各ヒーターの発熱量の制御を行う際の条件を入力する入力画面を示す概念図である。
【図18】図2の制御部105が表示部104に表示する実測Q値の解析を行う際の操作・表示を行う画面を示す概念図である。
【図19】図2の制御部105が表示部104に表示する、簡易Q値算出部108が簡易Q値を算出するデータを入力する入力画面である。
【図20】図2の制御部105が表示部104に表示する、簡易Q値算出部108が簡易Q値を算出するデータを入力する入力画面である。
【図21】建物全体を一つの容器として容器内部における発熱により上昇した容器内温度と外部温度との差に対応し、容器壁の熱抵抗により熱エネルギーが容器の壁を伝達し、容器外に排出されることを示す熱回路モデルを説明する概念図である。
【図22】実測Q値とΔQ値との対応関係を示し、横軸が実測Q値であり、縦軸が各実測Q値を算出した際における平均残差δを示すグラフである。
【図23】Q値計算部106が実測Q値を算出する処理を説明するフローチャートでである。
【符号の説明】
【0151】
1…Q値測定システム
10…Q値測定処理部
11…測定ユニット制御部
12…温度データ収集部
20,21…測定ユニット
101,113…送受信部
102…入力部
103,112…記憶部
104…表示部
105,111…制御部
106…入力データ処理部
107…Q値計算部
108…簡易Q値計算部
114…タッチパネル部
201,211…熱制御部
202,203,212,213…ヒーター
204,205,214,215…ファン
311,312,313,314…室内温度計
220…SAT温度計
220a…SAT計
220b…温度計
221…外気温度計
500…建物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱エネルギーを放出するヒーター、前記ヒーターの放出する熱エネルギーを攪拌する攪拌部、前記ヒーターの放出する熱エネルギを制御する熱制御部、前記ヒーター、前記攪拌部の電力を測定して、内部の電力データ記憶部に電力データとして蓄積する電力データ記憶部とからなり、建物内の各部屋に配置される測定ユニットと、
前記各部屋に配置され、室温を測定する室内温度計と、
建物の外部に配置され、外気温度を測定する外気温度計及びSAT計と、
前記室内温度計及び前記外気温度計及び前記SAT計から温度データを収集する温度データ収集部と、
前記各部屋の室温が均一の室温になるよう設定される前記ヒーターの制御値を、前記測定ユニットの前記熱制御部に対して出力し、前記電力データ記憶部から電力データを読み込む測定ユニット制御部と、
前記温度データ収集部から読み込む前記室温及び前記外気温度、前記SAT温度と、前記測定ユニット制御部から読み込む前記ヒータ及び前記攪拌部の前記電力のデータと、測定対象の建物の床面積の合計及び前記各部屋の空間容積データから、建物の熱損失係数であるQ値を求めるQ値測定処理部と
を有することを特徴とするQ値測定システム。
【請求項2】
前記室内温度計、前記外気温度計、前記SAT温度計各々が、一定周期毎に測定した温度データを内部の記憶部に記憶し、
前記温度データ収集部が、無線通信よって一定周期毎に前記室内温度計、前記外気温度計、前記SAT温度計から温度データを収集し、前記室内温度計、前記外気温度計、前記SAT温度計それぞれを特定する温度計識別情報に対応して前記一定周期毎に内部の記憶部に記憶し、
前記Q値測定処理部が、一定周期毎に前記温度データ収集部から温度データを読み込み、内部の記憶部に前記温度計識別情報に対応して記憶し、前記Q値の実測周期毎に前記内部の記憶部から前記温度計識別情報に対応して温度データを読み込む
ことを特徴とする請求項1に記載のQ値測定システム。
【請求項3】
前記Q値測定処理部が、設定される前記ヒーターの発熱量の前記制御値を、測定ユニットの識別情報とともに前記測定ユニット制御部に対して送信し、
前記測定ユニット制御部が、入力される前記制御値を内部の記憶部に設定するとともに、該制御値を前記識別情報に対応させ前記測定ユニット各々に送信する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のQ値測定システム。
【請求項4】
前記測定ユニット制御部が、一定周期にて前記測定ユニットが測定した各測定ユニットの前記電力のデータを測定発熱量として収集し、前記測定ユニットそれぞれを識別する識別情報毎に対応して前記一定周期毎に内部の記憶部に記憶し、
前記Q値測定処理部が、前記Q値の実測周期にて前記測定ユニット制御部から、前記測定ユニットの識別情報に対応して前記測定ユニットの前記測定発熱量を読み込む
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のQ値測定システム。
【請求項5】
前記Q値測定処理部が、
各部屋に配置された前記測定ユニット毎の前記測定発熱量を記憶する記憶部と、
前記ヒーターの発熱により達成される均一の室温と、前記外気温、前記SAT温度、前記測定ユニットの測定発熱量と測定対象の建物の床面積の合計から前記Q値を算出するQ値算出部と
を有することを特徴とする請求項4に記載のQ値測定システム。
【請求項6】
前記Q値測定処理部が、前記各部屋間の温度差に対応して、予め設定した発熱量の調整値にて前記ヒーターの発熱量を調整し、前記各部屋間の温度差を設定値以下に制御することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のQ値測定システム。
【請求項7】
前記室内温度計、前記外気温度計、前記SAT温度計及び前記温度データ収集部間と、前記測定ユニット及び前記測定ユニット制御部間とにおいて無線通信にてデータの送受信を行うことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のQ値測定システム。
【請求項8】
建物の各部屋を開放し、各部屋に熱エネルギーを放出するヒーター及び該熱エネルギーを部屋に攪拌するファンとを配置する過程と、
前記ヒーター及び前記ファンを駆動し、予め設定した発熱量にて前記ヒーターから熱エネルギーを放出させる過程と、
前記各部屋に配置された室内温度計にて室温を測定し、該室温に応じて前記ヒーターの発熱量を制御し、前記建物内の前記各部屋の前記室温を均一とする過程と、
前記均一化された室温と、建物外部に配置した外気温度計により測定した外気温度と、前記SAT温度と、前記発熱量と、前記建物の床面積の合計から、建物の熱性能指標であるQ値を求める過程と、
を有することを特徴とするQ値測定方法。
【請求項9】
前記Q値を求める過程において、
前記ヒーターの発熱量を測定した測定発熱量の合計値と、前記外部温度と、前記室温と、前記仕様データから、熱回路モデルの計算式を用いてQ値を求めることを特徴とする請求項8に記載のQ値測定方法。
【請求項10】
前記室温を均一とする過程において、前記建物の熱損失が、屋根、外壁、開口部、基礎または床及び換気からのみとなるよう、前記開口部からの日射が入射しないように、前記建物の窓を遮蔽部材により遮蔽する過程を有することを特徴とする請求項8または請求項9に記載のQ値測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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