説明

QoI耐性真菌病原体を防除するための方法

病原体誘導の病気を、Qo阻害剤に対して耐性である病原体により病気になる危険性がある植物において防除するために好適である方法及び組成物が発見された。そのような方法及び組成物は、前記植物を、有効量のQi阻害剤を含む組成物と接触させることを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2008年5月30日出願の米国仮特許出願第61/130,431号の利益を主張し、これは特に参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、Qo阻害剤に対して耐性である真菌植物病原体を防除するために好適な方法及び組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
Qo阻害剤系の殺真菌剤が、作物における数多くの真菌病原体を防除するために従来から使用されている。Qo阻害剤は典型的には、ミトコンドリアにおけるシトクロムbc1複合体のユビヒドロキノン酸化中心に結合することにより呼吸を阻害することによって働く。前記酸化中心は内側のミトコンドリア膜の外側に位置する。Qo阻害剤使用の主要な例には、例えば、ストロビルリン(strobilurin)系化合物を、コムギ葉枯病の原因であるセプトリア・トリチシ(Septoria tritici)(Bayerコード:SEPTTR、これはまた、ミコスファエレラ・グラミニコラ(Mycosphaerella graminicola)として知られている)を防除するためにコムギに対して使用することが含まれる。残念ながら、そのようなQo阻害剤の広範囲に及ぶ使用は、それらのシトクロムbc1複合体における一アミノ酸残基の置換を含有する変異病原体で、Qo阻害剤に対して耐性である変異病原体の選抜をもたらしている。例えば、Lucas, J., 「Resistance to QoI fungicides: implications for cereal disease management in Europe」, Pesticide Outlook (2003), 14(6), 268-70(これは特に参照により本明細書に組み込まれる)、及び、Fraaije, B. A. Et al., 「Role of ascospores in further spread of QoI-resistant cytochrome b alleles (G143A) in field populations of Mycospharella graminicola」, Phytopathology(2005), 95(8), 933-41(これは特に参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。従って、病原体誘導の病気を、Qo阻害剤に対して耐性である病原体にさらされる植物を含む作物において防除するための新しい方法及び組成物が望ましい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Lucas, J., 「Resistance to QoI fungicides: implications for cereal disease management in Europe」, Pesticide Outlook (2003), 14(6), 268-70
【非特許文献2】Fraaije, B.A.Et al., 「Role of ascospores in further spread of QoI-resistant cytochrome b alleles (G143A) in field populations of Mycospharella graminicola」, Phytopathology (2005), 95(8), 933-41
【発明の概要】
【0005】
幸いなことに、本発明は、病原体がQo阻害剤に対して耐性である植物における病原体誘導の病気を防除する新しい方法及び組成物を提供する。本発明の方法は典型的には、Qo阻害剤に対して耐性である病原体により病気になる危険性がある植物を、有効量のQi阻害剤を含む組成物と接触させることを含む。Qi阻害剤は典型的には、ミトコンドリアにおけるシトクロムbc1複合体のユビヒドロキノン酸化中心で、内側のミトコンドリア膜の内側に位置するユビヒドロキノン酸化中心に結合することにより呼吸を阻害することによって働く。好適なQi阻害剤には、アンチマイシンAを始めとするアンチマイシン系化合物及びそれらの合成模倣体(例えば、国際公開第9927783号に記載されるN−ホルミルアミノサリチルアミド系化合物(FSA)など)、Journal of Antibiotics、第49(7)号、639−643頁(1996)(その開示は特に参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるような天然に存在するピコリンアミドUK2A、合成及び半合成のピコリンアミド系化合物(例えば、国際公開第0114339号及び同第0105769号に記載されるようなピコリンアミド系化合物など)、並びに、それらのプロドラッグ、ラセミ混合物、酸化物、付加塩、金属錯体又はメタロイド錯体及び誘導体からなる群より選択されるQi阻害剤が含まれる。別の実施形態において、病原体誘導の病気を作物において防除する好適な方法は、最初に、Qo阻害剤に対して耐性である病原体により病気になる危険性がある作物内の1つ又はそれ以上の植物を特定し、その後、その作物を、有効量のQi阻害剤を含む組成物と接触させることを含む。病原体誘導の病気を、Qo阻害剤に対して耐性である病原体と、Qo阻害剤に対して感受性である病原体との混合集団により病気になる危険性がある1つ又はそれ以上の植物を含む作物において防除するための好適な組成物には、有効量のQo阻害剤と、有効量のQi阻害剤とを含む組成物が含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0006】
一般的定義
「組成物」は、本明細書において使用される場合、組成物を構成する材料の混合物、並びに、組成物の成分又は材料から形成される反応生成物及び分解生成物を包含する。
【0007】
「Qo阻害剤」は、本明細書において使用される場合、ミトコンドリアにおけるシトクロムbc1複合体のユビヒドロキノン酸化中心に結合することによって呼吸の低下及び/又は阻害を生じさせることができる任意の物質を包含する。この酸化中心は典型的には、内側のミトコンドリア膜の外側に位置する。
【0008】
「病原体誘導の病気」は、本明細書において使用される場合、植物に損傷を与え、その生産性又は人類に対する有用性を低下させる何らかの異常な状態であって、病原体によって引き起こされるそのような何らかの異常な状態を包含する。典型的な症状には、目に見える様々な異常、例えば、しおれ、腐れ、及び、他のタイプの組織の死、発育阻害、過度な成長又は異常な色などが含まれ得る。
【0009】
「Qi阻害剤」は、本明細書において使用される場合、ミトコンドリアにおけるシトクロムbc1複合体のユビヒドロキノン酸化中心に結合することによって呼吸の低下及び/又は阻害を生じさせることができる任意の物質を包含する。この酸化中心は典型的には、内側のミトコンドリア膜の内側に位置する。
【0010】
方法
本発明は、病原体誘導の病気を1つ又はそれ以上の植物において防除する方法に関する。本発明の方法は多くの場合、前記病気を、Qo阻害剤に対して少なくとも部分的に耐性である真菌病原体に対して感受性である植物において防除することにおいて効果的である。前記植物病原体がQo阻害剤に対するその少なくとも部分的な耐性をどのように発達させたかは特に重要ではなく、しかし、多くの場合、耐性は、Pest Management Science、第58(7)号、649−662頁(2002)に記載されるような変異のためである(その開示は特に参照により本明細書に組み込まれる)。例えば、コムギ葉枯病を引き起こすセプトリア・トリチシ(SEPTTR)の場合、シトクロムbのアミノ酸配列の143位におけるグリシンがアラニンにより置換されるG143A変異がSEPTTRを従来のQo阻害剤に対して少なくとも部分的に耐性にし得る。特定の植物病原体における他のそのような変異には、例えば、129位におけるフェニルアラニンがロイシンにより置換されるF129L変異が含まれる。
【0011】
本発明の方法は、Qo阻害剤に対して耐性である病原体により病気になる危険性がある植物を、有効量のQi阻害剤を含む組成物と接触させることを含む。Qo阻害剤に対して耐性である病原体により病気になる危険性がある植物を、Qo阻害剤が用いられるとき、その病原体を防除する低下した能力を認めることによって特定することができる。あるいは、Qo阻害剤耐性の病原体を、ミトコンドリアにおけるシトクロムbc1複合体のユビヒドロキノン酸化中心で、内側のミトコンドリア膜の外側に位置するユビヒドロキノン酸化中心への結合に影響を及ぼす遺伝子変異について試験することによって特定することができる。そのような試験は、DNAを単離された病原体から抽出すること、及び、リアルタイムPCR技術&遺伝子配列決定技術を使用して、特定の部位変異について、例えば、G143A又はF129Lなどについて分析することからなり得る。
【0012】
何らかの理論によってとらわれることを望まないが、Qi阻害剤は、Qo耐性真菌病原体を、ミトコンドリアにおけるシトクロムbc1複合体のユビヒドロキノン酸化中心に結合することにより呼吸の低下及び/又は阻害を生じさせることによって防除し得るか、或いは、Qo耐性真菌病原体を、ミトコンドリアにおけるシトクロムbc1複合体のユビヒドロキノン酸化中心に結合することにより呼吸の低下及び/又は阻害を生じさせることによって防除することを助け得ると考えられる。しかしながら、Qo阻害剤とは異なり、Qi阻害剤が結合するシトクロムbc1複合体の酸化中心は典型的には、内側のミトコンドリア膜の内側に位置する。このようにして、真菌病原体が防除又は排除される。
【0013】
有用なQi阻害剤は、植物のタイプ、真菌病原体及び環境条件に依存して変わり得る。典型的なQi阻害剤が、アンチマイシンAを始めとするアンチマイシン系化合物(antimycins A)及びそれらの合成模倣体(例えば、N−ホルミルアミノサリチルアミド系化合物(FSA)など)、天然に存在するピコリンアミドUK2A、合成及び半合成のピコリンアミド系化合物、並びに、それらのプロドラッグ、ラセミ混合物、酸化物、付加塩、金属錯体又はメタロイド錯体、及びその誘導体からなる群より選択される。上記のQi阻害剤は、様々な病原体を防除することにおいて、例えば、担子菌(basidomycete)、子嚢菌及び卵菌からなる群より選択される病原体などを防除することにおいて有用であることが見出されている。より具体的には、防除の対象となる病原体は、アルテルナリア・アルテルナタ(Alternaria alternata)、ブレメリア・グラミニス(Blumeria graminis)、ピリクラリア・オリザエ(Pyricularia oryzae)(これはまた、マグナポルテ・グリセア(Magnaporthe grisea)として知られている)、セプトリア・トリチシ(Septoria tritici)(これはまた、ミコスファエレラ・グラミニコラ(Mycosphaerella graminicola)として知られている)、ミコスファエレラ・フィジエンシス(Mycosphaerella fijiensis)、ベンツリア・イナエクアリス(Venturia inaequalis)、ピレノホラ・テレス(Pyrenophora teres)、ピレノホラ・トリチシ・レペンチス(Pyrenophora tritici repentis)及びプラスモパラ・ビチコラ(Plasmopara viticola)からなるが、これらに限定されない群の病原体のいずれかであり得る。本発明の方法は、コムギにおいてセプトリア・トリチシによって引き起こされる病原体誘導の病気を防除することにおいて特に効果的であることが見出されている。
【0014】
用いられるべきQi阻害剤の正確な量は多くの場合、例えば、具体的な有効成分が適用されること、所望される特定の作用、植物のタイプ、数及び成長段階、防除の対象となる真菌病原体、適用条件、並びに、送達が、葉、種子、又は、植物が成長している土壌を標的とするかどうかに依存する。従って、すべてのQi阻害剤系殺真菌剤、及び、Qi阻害剤系殺真菌剤を含有する配合物が、類似する濃度において、又は、同じ病原体に対して同等に効果的でないことがある。
【0015】
典型的には、真菌からの保護、真菌の防除又は真菌の排除を必要としている植物が、約0.1ppm〜約2500ppm(好ましくは約1ppm〜約750ppm)の量のQi阻害剤と接触させられる。接触させることはいずれかの効果的な様式においてであり得る。例えば、植物のいずれかの露出部分に、例えば、葉又は茎にQi阻害剤を噴霧することができる。同様に、根、種子、或いは、植物の1つ又それ以上の他の非露出部分がQi阻害剤を取り込み、その結果、Qi阻害剤により、真菌病原体が防除又は排除されるような様式で、Qi阻害剤を適用することができる。葉の殺真菌剤処理として、正確な適用希釈及び適用割合は、用いられる器具のタイプ、所望される適用頻度、及び、防除の対象となる病気に依存しており、しかし、Qi阻害剤系殺真菌剤の有効量は通常、1ヘクタールあたり約0.05kg〜約2.5kgであり、好ましくは、1ヘクタールあたり約0.075kg〜約0.5kgである。
【0016】
有効量のQi阻害剤を含む組成物は、1つ又はそれ以上の他の有効成分又は不活性な成分と混合することができる。好ましい他の有効成分には、Qo阻害剤、例えば、アゾキシストロビン、ピラクロストロビン、フルオキサストロビン(fluoxastrobin)、トリフロキシストロビン又はピコキシストロビン(picoxystrobin)、ジモキシストロビン(dimoxystrobin)、メトミノストロビン、オリサストロビン(orysastrobin)、クレソキム−メチル、エネストロビン(enestrobin)、ファモキサドン、フェンアミドン、ピリベンカルブ(pyribencarb)など、或いは、アゾール系化合物、例えば、エポキシコナゾール、プロチオコナゾール、ミクロブタニル、テブコナゾール、プロピコナゾール、シプロコナゾール又はフェンブコナゾールなど、或いは、METII部位阻害剤、例えば、ボスカリド、ペンチオピラド、ビキサフェン(bixafen)、イソピラザム(isopyrazam)、セダキサン(sedaxane)、フルオピラム(fluopyram)又はチフルザミドなど、或いは、それらの組合せが含まれ得る。Qi阻害剤をQo阻害剤と混合することによって、組成物は、Qo耐性であるように変異する真菌病原体を含む混合集団を、変異しておらず、Qo阻害剤によって防除されることに対して感受性がある真菌病原体と同様に防除することができる。Qo阻害剤、又は、異なる様式の作用クラスに由来する殺真菌剤を伴って、或いは、Qo阻害剤、又は、作用クラスの異なる様式に由来する殺真菌剤を伴うことなく、有効量のQi阻害剤とともに含められ得る他の有効成分には、殺虫剤及び雑草防除剤などの化合物が含まれる。
【0017】
組成物
上記において記載されるように、本発明はまた、病原体誘導の病気を、Qo阻害剤に対して耐性である病原体により病気になる危険性がある1つ又はそれ以上の植物を含む作物において防除するために好適な組成物に関する。前記組成物は典型的には、有効量のQo阻害剤と、有効量のQi阻害剤とを含む。
【実施例】
【0018】
実施例1−ピコリンアミド系化合物及び他のQi阻害剤に対する野生型SEPTTR単離体及びストロビルリン耐性SEPTTR単離体の感受性
天然に存在するピコリンアミドUK2A、そのプロファンギシド(profungicide)誘導体である化合物1、及び、3つの他のQi阻害剤(アンチマイシンA、化合物2(N−アセチルアミノサリチルアミド(FSA)シリーズの1つ)及び化合物3(UK2Aの一連の合成ピコリンアミド模倣体の1つ))を、マイクロタイタープレートアッセイで、SEPTTR野外単離体のLARS15及びR2004−6に対するインビトロ真菌毒性(fungitoxicity)について試験した(表1)。Qo阻害剤のアゾキシストロビン、クレソキム−メチル及びファモキサドンを標準物として含めた。LARS15はストロビルリン系化合物に対して感受性であり、これに対して、R2004−6は、ストロビルリン系化合物に対する耐性を与えるシトクロムbにおけるG143Aの変異を含有する。
【化1】

化合物1


化合物2


化合物3

【0019】
これらのQo阻害剤はLARS15株に対して非常に活性であったが、QoI耐性株R2004−6に対する活性をほとんど示さなかったか、又は、全く示さなかった。対照的に、UK−2A、化合物1及び他のQi阻害剤は両方の菌株に対して非常に活性であり、ほとんどの場合において、ストロビルリン耐性R2004−6株に対するわずかにより大きい活性を示した。
【表1】

【0020】
UK−2Aのプロドラッグである化合物1を、QiI系殺真菌剤が、コムギの野外サンプルから得られる幅広い様々なQoI耐性SEPTTR単離体を効果的に防除し得ることを明らかにするために使用した。
【0021】
31株のSEPTTR単離体のパネルをインビトロ真菌毒性実験において使用した。使用された単離体のほとんどが2001年〜2005年に英国においてコムギから単離された。表2には、化合物1についての平均EC50値+/−SDが、アゾキシストロビン及びエポキシコナゾールとの比較で、17株のQoI感受性単離体(「WT」)及び14株のQoI耐性単離体(「G143A」)について列挙される。表2に列挙される結果は、平均で、Qo阻害剤のアゾキシストロビンがQoI感受性単離体をQoI耐性単離体よりも160倍良好に防除することを示す。また、アゾール系化合物のエポキシコナゾールは、活性がQoI耐性単離体に対して1.7倍小さかった。他方で、Qi阻害剤の化合物1は、活性がQoI耐性単離体に対して1.7倍大きかった。
【表2】

【0022】
実施例2−野生型SEPTTR及びストロビルリン耐性SEPTTRに対する植物体での化合物1の効力
植物体での試験を、16日齢のコムギ栽培種Riband(これはSEPTTRに対して非常に感受性である)の2番目の付属葉(attached leaf)に対して行った。コムギの葉に対して、化合物1(SC配合物として)又はアゾキシストロビン含有殺真菌剤Amistarの希釈系列を噴霧した。翌日、処理された葉に、QoI感受性単離体(S27又はLars15−03)又はQoI耐性単離体(G3−03又はTwistB−02)のどちらかを接種した。接種後21日での目視検査により、S27及びLars15−03のAmistarによる防除が0.9ppm及び2.8ppmにおいてそれぞれ明らかにされた。防除が、G3−03及びTwistB−02については25ppmにおいて明白ではなかった。
【0023】
化合物1によるQoI感受性単離体のS27及びLars15−03の防除についての破壊割合(breaking rate)がそれぞれ0.3ppm及び2.8ppmであった。QoI耐性単離体のG3−03及びTwistB−02は0.9ppm及び0.3ppmで防除された。
【0024】
表3には、5株のQoI感受性株及び6株のQoI耐性株についての結果がまとめられる。Amistar(アゾキシストロビン)による防除はQoI感受性単離体について明白であり、破壊割合が0.1ppmから8.3ppmにまで及んでいた。Amistarは、試験されたQoI耐性単離体のどれも防除しなかった。使用された最大割合(25ppm)でさえ、すべての葉がSEPTTRにより感染した。他方で、化合物1のSC配合物は、大きい効率によりQoI感受性単離体及びQoI耐性単離体の両方を防除し、破壊割合が0.3ppmから0.9ppmにまで及んでいた。
【表3】

【0025】
本発明が、限られた数の実施形態に関して記載されているが、1つの実施形態の特定の特徴が発明の他の実施形態に属すると考えてはならない。ただ1つの実施形態が本発明のすべての態様を表していない。いくつかの実施形態において、組成物又は方法は、本明細書中に述べられていない数多くの化合物又は工程を含むことができる。他の実施形態において、組成物又は方法は、本明細書中に列挙されていない化合物又は工程を何ら含まないか、或いは、本明細書中に列挙されていない化合物又は工程を何ら実質的に含まない。記載されている実施形態からの様々な変化及び改変が存在する。最後に、本明細書中に開示される数字はいずれも、「約」又は「およそ」の語句が、その数字を記載することにおいて使用されるかどうかにかかわらず、概略であることを意味することが解釈されなければならない。添付されている実施形態及び請求項は、本発明の範囲内に含まれるようなすべてのそのような改変及び変化を包含することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
病原体誘導の病気を、Qo阻害剤に対して耐性である病原体により病気になる危険性がある植物又は種子において防除する方法であって、前記植物を、有効量のQi阻害剤を含む組成物と接触させることを含む方法。
【請求項2】
前記Qi阻害剤が、アンチマイシンA、アンチマイシンAの合成模倣体、天然に存在するピコリンアミドUK2A、合成ピコリンアミド系化合物、半合成ピコリンアミド系化合物、それらのプロドラッグ、ラセミ混合物、酸化物、付加塩、金属錯体、メタロイド錯体及び誘導体からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記病気を誘導する前記病原体が真菌病原体である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記病気を誘導する前記病原体が、ミトコンドリアのシトクロムb遺伝子の変異を含有する真菌病原体である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記病気を誘導する前記病原体が、G143A及びF129Lからなる群より選択される変異を含有する真菌病原体である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記病気を誘導する前記病原体が、担子菌(basidomycete)、子嚢菌及び卵菌からなる群より選択される変異した真菌病原体である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記病気を誘導する前記病原体が、アルテルナリア・アルテルナタ(Alternaria alternata)、ブレメリア・グラミニス(Blumeria graminis)、ピリクラリア・オリザエ(Pyricularia oryzae)(これはまた、マグナポルテ・グリセア(Magnaporthe grisea)として知られている)、セプトリア・トリチシ(Septoria tritici)(これはまた、ミコスファエレラ・グラミニコラ(Mycosphaerella graminicola)として知られている)、ミコスファエレラ・フィジエンシス(Mycosphaerella fijiensis)、ベンツリア・イナエクアリス(Venturia inaequalis)、ピレノホラ・テレス(Pyrenophora teres)、ピレノホラ・トリチシ・レペンチス(Pyrenophora tritici repentis)及びプラスモパラ・ビチコラ(Plasmopara viticola)からなる群より選択される変異した真菌病原体である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記病原体誘導の病気がセプトリア・トリチシ(Septoria tritici)である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記植物又は種子がコムギである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記植物又は種子が約0.1ppm〜約2500ppmのQi阻害剤と接触させられる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記植物が葉を含み、かつ、前記植物が、前記葉に噴霧することによって前記Qi阻害剤と接触させられる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
病原体誘導の病気を、Qo阻害剤に対して耐性である病原体により病気になる危険性がある1つ又はそれ以上の植物を含む作物において防除する方法であって、前記作物を、有効量のQi阻害剤を含む組成物と接触させることを含む方法。
【請求項13】
前記組成物がさらにQo阻害剤を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物がさらに、アゾキシストロビン、ピラクロストロビン、フルオキサストロビン(fluoxastrobin)、トリフロキシストロビン、ピコキシストロビン(picoxystrobin)、エポキシコナゾール、プロチオコナゾール、ミクロブタニル、テブコナゾール、プロピコナゾール、シプロコナゾール、フェンブコナゾール、ボスカリド、ペンチオピラド、ビキサフェン(bixafen)、イソピラザム(isopyrazam)、セダキサン(sedaxane)、フルオピラム(fluopyram)、チフルザミド又はそれらの組合せからなる群より選択される殺真菌剤を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記組成物がさらに殺虫剤を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記組成物がさらに雑草防除剤を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
病原体誘導の病気を、Qo阻害剤に対して耐性である病原体により病気になる危険性がある1つ又はそれ以上の植物を含む作物において防除するために好適な組成物であって、有効量のQo阻害剤と、有効量のQi阻害剤とを含む組成物。

【公表番号】特表2011−521971(P2011−521971A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511848(P2011−511848)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/045639
【国際公開番号】WO2009/155095
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(501035309)ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー (197)
【Fターム(参考)】