説明

RFIDタグの付いた物品を用いるインベントリー・システム

【課題】物品取扱いに費やされる時間および努力をさらに低減でき、管理者にコレクションがどのように使われるか、よりよい情報を提供するシステムを提供する。
【解決手段】蓄積領域に保有される物品と連係して用いられるインベントリー管理システムであって、物品の各々は、無線周波数タグを有し、各タグには、呼び掛け信号を受信し、応答信号を返信することによって、物品の検出に用いられるアンテナと、アンテナに接続され、物品識別情報を蓄積し、かつタグへの呼び掛けへの応答信号で、各呼び掛け出力信号には、呼び掛けられたタグの集積回路に蓄積されている識別情報が含まれている呼び掛け器と、チェックアウト状態データが含まれるシステムによってモニタされる物品についてのインベントリー・データが含まれ、受信された呼び掛け器出力信号は、チェックアウト状態データの更新に用いられるデータベースと、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般には、図書館のインベントリー(在庫目録)および貸し出し管理(サーキュレーションコントロール)システムに関し、詳しくは、書籍などに付けるRFID(無線周波情報装置)タグ(付札)を用いるようなシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
図書館は、書籍、定期刊行物、オーディオ・ビジュアル製品などの大量のインベントリーを保有し、および管理すると云う膨大な仕事に直面している。図書館のコレクション(collection)における物品の、チェックイン(checkin:手続きをして返却をすること)/チェックアウト(checkout:手続きをして貸し出すこと)、インベントリー、および窃盗管理(theft control)を容易にするために、大抵の図書館は、物品に、バー・コード(bar codes)および/または感度を有する磁気ストリップを付ける。バー・コードによって、スキャナーを用いて物品を迅速に識別することが可能となる。
【0003】
磁気ストリップは、窃盗管理のために図書館の出口の磁気検出デバイスと関連して用いられる。磁気ストリップは通常、感度を与えられている。図書館利用者(パトロン)が、物品をチェックアウトする(手続きをして借り出す)とき、磁気ストリップは感度を取り除かれる。利用者が物品を図書館に返却するとき、磁気ストリップは再び感度を与えられる。磁気検出デバイスは、利用者が、感度の与えられた磁気ストリップの付いた物品をもって管理された出口を通過しようとするとき、アラームを始動させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
磁気ストリップをベースとしたシステムには、数多くの不利益がある。磁気ストリップの感度を取り除いたり再度感度を与えたりするのに、特別な装置を用いなければならない。典型的には、図書館の職員が、その装置を操作して、チェックインおよびチェックアウトが正確に行われたことを確認しなければならない。そのようなシステムの例が、米国特許第4,141,078号(ブリッジズ・ジュニア他の発明)に記述されている。タグの付けられた物品に頼り、かつ利用者によって単独に操作されるよう設計されている別の図書館チェックイン/チェックアウト・システムが、米国特許第5,228,980号(パテル他の発明)に記述されている。図書館における使用に適した、さらに別の汎用物品インベントリー管理システムが、米国特許第4,881,061号(チャンバーズの発明)に開示されている。
【0005】
図書館の物品を取り扱う現行の諸手順は、時間を費やしかつ多くのエラーを引き起こすものである。物品を棚に並べ直すことは、特にエラーを起こしがちで、時間を費やす業務である。多くの物品が図書館において間違った位置に返却され、そしてその結果、完全インベントリーチェックにおいて発見されるまで紛失されていると推定される。さらには、図書館のコレクションのインベントリーを取るのは、現在のところ非常に高額で時間を費やす業務であって大抵の図書館では、すべきであるほど頻繁には完全インベントリーチェックを行っていない。
【0006】
図書館は、どの物品が利用者にとって最も興味のあるものであるか決定するために、チェックアウト・データをしばしば見直す。この情報は、新しい購入について決断するため、または現存する資産をよりよく割り振るために用いられるであろう。しかしながら図書館は、物品をチェックアウトしないが、図書館にいる間に物品を使用する利用者による、コレクションの利用に関しての大量の情報はとらえていない。実際、いわゆる「内部貸し出し」は、多くの図書館の貸し出し全体の3分の2から4分の3を占めている。このように、チェックアウト・データは、どの物品がある利用者に対して興味のあるものであるかを正確に測定しそこねている。
【0007】
図書館を運営する上で、最も大きな費用は、職員の人件費である。図書館は、絶えず、より少ない従業員で必要な機能を果たす方法を調査している。
したがって、図書館従業員が物品を取り扱うのに費やされる時間および努力をさらに低減することを可能とし、かつ図書館管理者にコレクションがどのように使われているかについての、よりよい情報を提供するシステムの必要性がなおもある。本発明は、これらの必要性を満たすものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、蓄積領域に保有される物品と連係して用いられるインベントリー管理システムを提供する。その物品の各々は、それに付着される無線周波数タグを有する。各タグには、呼び掛け信号を受信し、そして応答信号を返信することによって、その物品の存在を検出するのに用いられるアンテナが含まれている。そのタグにはまた、そのアンテナに接続され、物品識別情報を蓄積し、かつ前記タグの呼び掛けへの応答信号で、その物品識別情報を出力する集積回路が含まれている。
【0009】
そのシステムは、前記蓄積領域から持ち出されていて、かつその蓄積領域に返却されるべき物品を受け取り、その返却される物品は、その物品が返却されるときゾーンを通過する少なくとも一つの物品返却領域と;前記ゾーン内でのタグの存在によって引き起こされる応答信号の形で、前記ゾーンのじょう乱をモニターする呼び掛け器であって、そのゾーンでタグが検出されるとき、呼び掛け出力信号を出力し、各呼び掛け出力信号には、呼び掛けられたタグの集積回路に蓄積される識別情報が含まれている前記呼び掛け器と;および、前記呼び掛け器出力信号を受信するデータベースであって、チェックアウト状態データが含まれる前記システムによってモニターされる物品についてのインベントリー・データが含まれていて、その受信された呼び掛け器出力信号はそのチェックアウト状態データを更新するために用いられるところの前記データベースと、を具備している。
【0010】
別の実施例において、本発明は、蓄積領域に保有される物品と連係して用いられるインベントリー管理方法を具備する。それら物品の各々は、それに付着される無線周波数タグを有しており、各タグには、呼び掛け信号を受信し、そして応答信号を返信することによって、その物品の存在を検出するのに用いられるアンテナが含まれている。各タグにはまた、そのアンテナに接続され、物品識別情報を蓄積し、かつ前記タグの呼び掛けへの応答信号で、その物品識別情報を出力する集積回路を有している。そしてその方法は、
(a)前記蓄積領域の一部を移動可能な呼び掛け器でスキャニングし、その移動可能な呼び掛け器は、その呼び掛け器から延びる所定のゾーン内にタグの存在によって引き起こされる応答信号の形でのじょう乱を検出し、かつそのゾーンにおいてタグが検出されるとき、呼び掛け器出力信号を出力し、各呼び掛け器出力信号には、呼び掛けられたタグの集積回路に蓄積される識別情報が含まれるステップと、
(b)前記蓄積領域の隣り合った部分について、かつ前記蓄積領域の残り全ての部分についてステップ(a)を繰り返すステップと、
(c)データベースにおいて前記呼び掛け器出力信号を受信し、そのデータベースには、前記蓄積領域中に保有される物品についてのインベントリー・データが含まれ、その受信された呼び掛け器出力信号は、そのインベントリー・データを更新するのに用いられるステップと、を具備する。
【0011】
本発明はさらに、蓄積領域に保有される物品に関して用いられる図書館インベントリー管理システムを具備する。その物品の各々は、それに付着される無線周波数タグを有する。各タグには、呼び掛け信号を受信し、そして応答信号を返信することによって、その物品の存在を検出するのに用いられるアンテナ、およびそのアンテナに接続され、物品識別情報を蓄積し、かつ前記タグの呼び掛けへの前記応答信号でその物品識別情報を出力する集積回路とが含まれている。そのシステムは、インベントリー・データベースおよび移動可能な呼び掛け器を具備している。そのデータベースには、前記図書館の物品のリスト、およびそれら物品の各々の貸し出し状態が含まれている。前記移動可能な呼び掛け器は、別個の部分ごとに前記蓄積領域をスキャニングし、その呼び掛け器から延びている所定のゾーン内でのタグの存在によって引き起こされる応答信号の形でじょう乱を検出する。
【0012】
その呼び掛け器はまた、そのゾーンでタグが検出されるとき呼び掛け器出力信号を出力する。各呼び掛け器出力信号には、呼び掛けられるタグの集積回路に蓄積される識別情報が含まれている。前記インベントリー・データベースは、その識別情報を受信して、そこに蓄積されている物品の貸し出し状態を更新するためにその識別情報を用いる。
【0013】
さらに別の実施例における本発明は、利用者がチェックアウトをするのに利用できる物品を有する図書館のためのセルフ・サービスのチェックアウト・システムである。それら物品の各々は、それに付着される無線周波数タグを有していて、かつ各タグには、呼び掛け信号を受信し、そして応答信号を返信することによって、その物品の存在を検出するのに用いられるアンテナ、およびそのアンテナに接続され、物品識別情報を蓄積し、かつ呼び掛け器による前記タグの呼び掛けへの応答信号で、その物品識別情報を出力する集積回路が含まれている。
【0014】
前記システムはまた、各々に無線周波数タグが含まれる複数の利用者識別カードを有している。前記システムは、呼び掛け器、インベントリー・データベース、およびプロセッサーを具備している。その呼び掛け器は、前記図書館のチェックアウト領域に位置し、利用者が借りたいと思う少なくとも一つの物品に呼び掛け、かつ実質的に同時に前記システムに利用者を識別させる利用者識別(ID)カードに呼び掛ける。その呼び掛け器は、借りられるべき物品の各々についての蓄積された物品識別情報、および前記IDカードからの利用者識別情報を収容する応答信号を受信する。その呼び掛け器は、前記物品または利用者識別カードの向きに関わらず、前記応答信号を受信する。前記インベントリー・データベースには、前記図書館における物品のリスト、およびそれら物品の各々の貸し出し状態が含まれている。そのデータベースは、前記利用者識別情報および前記借りられるべき物品の各々についての物品識別情報を受け取る。前記プロセッサーは、前記データベースと通信を行い、そして前記借りられるべき物品の貸し出し状態を更新する。
【0015】
別の実施例における本発明は、図書館のためのセルフ・サービスのチェックアウト・システムである。その図書館は、利用者がチェックアウトをするのに利用できる物品を有する。それら物品の各々は、それに付着される無線周波数タグを有しており、各タグには、呼び掛け信号を受信し、そして応答信号を返信することによって、その物品の存在を検出するのに用いられるアンテナ、およびそのアンテナに接続され、物品識別情報を蓄積し、かつ呼び掛け器による前記タグの呼び掛けへの前記応答信号で、物品識別情報を出力する集積回路が含まれている。
【0016】
そのシステムは、複数の物品を保持するトレイと;利用者が借りたいと思う、前記トレイ上に置かれる前記複数の物品に実質的に同時に呼び掛ける呼び掛け器であって、その呼び掛け器は、前記借りられるべき複数の物品の各々について蓄積される物品識別情報を収容する応答信号を受信し、前記物品の向きに関わらず、前記応答信号を受信する前記呼び掛け器と;前記図書館における前記物品およびその物品の各々の貸し出し状態が含まれるインベントリー・データベースであって、前記借りられるべき物品について物品識別情報を受信する前記データベースと;および、前記借りられるべき物品の貸し出し状態を更新するために前記データベースと通信を行うプロセッサーとを具備する。
【0017】
別の実施例における本発明は、蓄積領域に保有される物品と連係して用いられる図書館インベントリー管理システムである。それら物品の各々は、それに付着される無線周波数タグを有しており、呼び掛け信号を受信し、そして応答信号を返信することによって、その物品の存在を検出するのに用いられるアンテナ、およびそのアンテナに接続され、物品識別情報を蓄積し、かつ呼び掛け器による前記タグの呼び掛けへの前記応答信号で、前記物品識別情報を出力する集積回路とが含まれている。
【0018】
そのシステムは、前記図書館における前記物品のリストおよびそれら物品の各々の貸し出し状態が含まれるインベントリー・データベースと;前記システムに利用者を識別させる利用者識別デバイスと;物品チェックアウト領域に位置する物品チェックアウト・システムであって、前記利用者が前記蓄積領域から取り去りたいと思う物品に呼び掛ける第1の呼び掛け器であって、移動されるべき前記物品についての蓄積された物品識別情報を収容する応答信号を受信する前記第1の呼び掛け器が含まれる前記チェックアウト・システムと;
前記第1の呼び掛け器および前記データベースと通信を行うプロセッサーであって、前記第1の呼び掛け器から、前記利用者識別情報および前記移動されるべき物品についての前記物品識別情報を受信し、かつその移動されるべき物品の貸し出し状態を備える前記インベントリー・データベースを更新する前記プロセッサーと;前記蓄積領域から移動されていてかつその蓄積領域に返却されるべき物品を受け取り、各返却される物品は、その物品が返却されるときにチェックイン・ゾーンを通過する、少なくとも一つの物品返却領域が含まれる物品チェックイン・システムと;
前記プロセッサーと通信を行う第2の呼び掛け器であって、前記ゾーン内でタグの存在によって引き起こされる応答信号の形で、前記チェックイン・ゾーンのじょう乱をモニターし、かつタグがそのゾーンで検出されるとき呼び掛け出力信号を出力し、各呼び掛け出力信号には、前記返却されつつある物品について呼び掛けられたタグの集積回路中に蓄積される識別情報が含まれており、前記インベントリー・データベースは、前記呼び掛け出力信号を受信し、そして返却されつつある物品の前記チェックアウト状態データをそれで更新する前記第2の呼び掛け器とを具備する。
【0019】
本発明のさらなる実施例は、図書館に保有される物品と関連して用いられる図書館インベントリー管理システムである。それら物品の各々は、それに付着される無線周波数タグを有し、各タグには、呼び掛け信号を受信し、そして応答信号を返信することによって、その物品の存在を検出するのに用いられるアンテナ、およびそのアンテナに接続され、物品識別情報を蓄積し、かつ呼び掛け器による前記タグの呼び掛けへの前記応答信号で、前記物品識別情報を出力する集積回路とが含まれている。
そのシステムは、
前記図書館における物品のリスト、およびその各物品の貸し出し状態が含まれるインベントリー・データベースと、前記システムに利用者を識別させる利用者識別デバイスと、 前記図書館の物品チェックアウト領域に位置する物品チェックアウト・システムであって、前記利用者が前記図書館から取り去りたいと思う物品に呼び掛ける第1の呼び掛け器であって、その移動されるべき物品についての蓄積された物品識別情報を収容する応答信号を受信する前記第1の呼び掛け器が含まれる前記チェックアウト・システムと、
前記第1の呼び掛け器および前記データベースと通信を行うプロセッサーであって、前記利用者識別情報、および前記第1の呼び掛け器からの前記移動されるべき物品についての物品識別情報とを受け取り、かつその移動されるべき物品の貸し出し状態を備えた前記インベントリー・データベースを更新する前記プロセッサーと、
前記チェックアウト領域の画像をとらえ、そしてそのとらえた画像のビデオ信号を出力するビデオ・カメラと、前記ビデオ信号をビデオ蓄積媒体上に蓄積するビデオ記録器と、
前記図書館から移動されていた物品を受け取り、各返却される物品が、その物品が返却されるときチェックイン・ゾーンを通過する、少なくとも一つの物品返却領域が含まれる物品チェックイン・システムと、
前記インベントリー・データベースと通信を行う第2の呼び掛け器であって、前記ゾーン内でのタグの存在によって引き起こされる応答信号の形で、前記チェックイン・ゾーンのじょう乱をモニターし、かつそのゾーンでタグが検出されるとき呼び掛け器出力信号を出力し、各呼び掛け器出力信号には、返却されつつある物品について呼び掛けられたタグの集積回路中に蓄積される識別情報が含まれており、前記インベントリー・データベースは、前記呼び掛け器出力信号を受信し、そしてその呼び掛け器出力信号を用いて、その返却されつつある物品のチェックアウト状態を更新する前記第2の呼び掛け器と、
前記図書館の別個の部分部分をスキャニングする移動可能な呼び掛け器であって、その移動可能な呼び掛け器から延びる所定のゾーン内でのタグの存在によって引き起こされる応答信号の形でじょう乱を検出し、かつそのゾーンでタグが検出されるとき、呼び掛け器出力信号を出力し、各呼び掛け器出力信号には、呼び掛けられるタグの集積回路中に蓄積される識別情報が含まれており、前記データベースは、その識別情報を受信し、そしてその情報でその中に蓄積される物品の貸し出し状態を更新する前記移動可能な呼び掛け器と、
前記図書館からの出口をモニターする出口呼び掛け器であって、その出口呼び掛け器は、その出口を通過しそしてそれによって前記図書館から移動される物品に呼び掛け、その物品と関連するタグからの応答信号を受信し、その応答信号が前記出口を通過する物品についての蓄積される物品識別情報を収容している前記出口呼び掛け器と、
前記出口呼び掛け器に結合される出口プロセッサーであって、その出口プロセッサーは、前記応答信号の識別情報が含まれる前記出口呼び掛け器からの出力信号を受信し、その受信された識別情報を前記データベースに蓄積された情報と比較して、その物品がチェックアウトされるときにその中に記録されているかどうか確認し、もしその出口を通過する物品が、チェックアウトされるときに前記データベースに記録されていないならば、前記出口呼び掛け器がアラームを作動させる前記出口プロセッサーと、
前記図書館の所定領域の出口に位置するゾーン呼び掛け器であって、そのゾーン呼び掛け器は、その所定領域からのタグの付いた物品の取り去りを検出し、その所定領域からの物品の取り去りの検出に応答して、アラームを作動させる前記ゾーン呼び掛け器と
を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一般的な特徴を例示する図書館の概略レイアウト図である。
【図2】図1の図書館によって貸し出される物品に付けて適切に用いられるRFIDタグを概略するブロック図である。
【図3】図2のタグを読み取るのに用いられる呼び掛け器を概略する詳細な機能ブロック図である。
【図4】図1の図書館によって使用されるタグの付けられた物品のためのデータベース記録のサンプルである。
【図5】図1の図書館において用いられる利用者のセルフ・チェックアウト・システムを概略するブロック図である。
【図6】図1の図書館において使用されるスマートな(smart:コンピューター内蔵の)図書返却箱を概略するブロック図である。
【図7】図6のスマートな図書返却箱によって収集されるデータから発生される棚への並べ直しのレポートのサンプルである。
【図8】図7の内部のスマートな図書返却箱によって収集されるデータから生成される履歴使用レポート(historical usage report)のサンプルである。
【図9】棚のスキャニング・インベントリー・システムを概略するブロック図である。
【図10】棚の列の上面図であり、図9のシステムを用いる物品のインベントリーを実施する呼び掛けゾーンを示す。
【図11】多重列の棚の正面立面図であり、図9のシステムを用いる物品のインベントリーを実施する方法を例示する。
【図12】図5における利用者のセルフ・チェックアウト・システムの代わりの入力プロセスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
前記概要ならびに本発明の好ましい実施例の以下の詳細な記述は、添付した図面と連係して読むときより良く理解されるであろう。本発明を例示する目的のために、現在のところ好ましい実施例が図面に示されている。しかしながら、本発明は、示されている通りの正確な構造(arrangements)および方法(instrumentalities)に限定されるものではないということが理解されるべきである。
ここでは、単に便宜上ある専門用語が用いられるが、本発明において限定として取られるものではない。図面において、同じ参照番号は、いくつかの図面を通して一貫して同じ素子を指定するのに使用される。
【0022】
図1は、本発明の新規な特徴を説明するのに用いた図書館10の形での蓄積領域の概略図である。本発明は、図書館の環境において説明される一方で、本発明の範囲には、物品が蓄積領域に保有され、また定期的に(永久的に)移動され、またはビデオ・ストア、レンタル・ストアなどのような利用者によって限定された期間借りられる他の環境が含まれる。蓄積領域はまた、商業/工業環境と関連していても良く、また例えば、工具置き場(tool crib)、メンテナンス倉庫(maintenance depot)その他であっても良い。
ここで定義される呼び掛け器は、RFIDタグにエネルギーを結合させ、そのタグに電源を入れてそのタグからデータを受け取るのに用いられるデバイスである。本発明は、異なる形の呼び掛け器を用いており、スキャナー(scanners)、「スマートな(コンピューター内蔵の)」および「ダムな(単独ではデータ処理能力のない)」ペデスタルズ(pedestals)が含まれる。
【0023】
図1を参照すると、図書館10は、利用者によって使用される公共スペース領域16と、従業員スペース領域18とに分けられる。公共スペース領域16には、書籍、定期刊行物、オーディオテープ、CD、ビデオテープ、ウォール・アート(wall art)、シート・ミュージック(sheet music)など22のような物品を保持する複数の棚または書庫20の形での蓄積領域、付加的な棚または書庫(stacks)24を有する定期刊行物ルーム(periodical room)23、および図書館所蔵の複数のオンラインでコンピューター化されたカタログ(on−line computerized catalogs)26が含まれる。
【0024】
貸し出しデスク28は、従業員スペース領域18の部分から公共スペース領域16の部分を分離する。従業員スペース領域18には、事務部門(back office)の業務領域30が含まれる。さらに他のオンラインでコンピューター化されたカタログ26が、貸し出しデスク28および事務部門の業務領域30に配置されている。その他の雑多のコンピューター設備、例えばバー・コード読み取り器46またはコンピューター48などがこれらの位置に置かれていても良い。コンピューター48と関連するデータベースは、図書館のコレクションにおける全ての物品22についてのインベントリー・データならびに利用者によってチェックアウトされた物品22に関するデータを蓄積している。
【0025】
オンライン・カタログ26は、コンピューター48およびそのデータベースに接続されている。前述した全ての特徴および素子は、通常のものである。図書館にはまた、典型的には、ビデオ、CD−ROM、カセットその他のようなその他の資産情報に充てられた領域が含まれる。簡潔のため、これらの代わりの資産は、図1には示されていない。本明細書全体を通して、物品および書籍という語は、相互に交換可能に用いられている。しかしながら、「物品」という語の範囲には、ビデオ、CD−ROM、カセット、新聞その他のような図書館で典型的に見出せるその他の種類の品目が含まれるということが理解されるべきである。
【0026】
図書館10にはさらに、インベントリー管理および物品利用の追跡のための新規な方法およびシステムと関連する素子が含まれている。
第1に、図書館には複数の「スマートな」物品返却領域または図書返却箱が含まれている。従来技術の図書返却箱は、単にチェックインおよび棚への並べ直しのために、利用者によって返却される書籍の一時的な蓄積場所を提供するように機能していたに過ぎない。本発明の「スマートな」図書返却箱は、物品22にそれらが図書返却箱へと通過するときに呼び掛け、そしてそれらの識別についての情報を読み取り、記録し、かつ処理する。図1には、1つのスマートな外部の物品返却領域または図書返却箱32、および3つのスマートな内部の物品返却領域または図書返却箱34が示されている。外部の図書返却箱32によって、利用者は図書館10が閉まっているとき、または利用者が物理的に図書館10の中に入りたくないとき、物品を返却することが可能となる。また図書館の方針が、全てのチェックアウトされた物品22が、外部の図書返却箱32に返却されるよう要求するかもしれない。
【0027】
図書返却箱32または34は、このように返却される物品22のチェックイン・ターミナルとして機能するであろう。内部の図書返却箱34は、公共領域16および/または従業員スペース領域18に置かれるであろう。利用者が物品22を貸し出しデスク28へと返却するとき、従業員は、物品22を、従業員スペース領域18に配置される内部の図書返却箱34に入れる。利用者はまた、借りていた物品22を公共の場所に置かれた内部の図書返却箱34のいずれかに入れるかもしれない。双方の場合において、借りられていた物品は、チェックアウトされた後で返却される物品であるか、または利用者が図書館内にいる間に利用されたが、チェックアウトされなかった物品であるかもしれない。
【0028】
物品22の各々は、無線周波数識別(radio frequency identification、RFID)タグを有しており、ときにはそれに付着される「インテリジェント(intelligent:コンピューターを内蔵した)タグ」と呼ばれる。このようにRFIDタグは、本発明の開示された実施例においてはインテリジェントなセキュリティ・タグになっている。RFIDタグを、図2について以下で記述する。そのRFIDタグが適切に呼び掛けられるとき、それらは、物品22の識別および図書館におけるその適切な位置を確認するのに用いることのできる独自の情報を返信する。
【0029】
第2に、図書館10には、一組以上の「スマートな」ペデスタルズ36が含まれている。記述されたような一組の「スマートなペデスタルズ」は、RFIDタグと通信することのできる呼び掛け器を含むペデスタルズの構成をしたデバイスである。一組のスマートなペデスタルズ36は、タグの付いた物品22がペデスタルズ36の間の予め指定されたゾーン内にあるとき、RFIDタグを読み取る。図1において、一組のスマートなペデスタルズ36は、利用者が図書館10に入るまたはそこから出るために通過しなければならないゾーンをモニターする。もう一つの組のスマートなペデスタルズ36は、従業員が、図書館10に入り、そこから出るゾーンをモニターする。それらのゾーンの各々は、監視カメラ(surveillance camera)38または生物測定デバイス(biometric measurement device)によって、選択的にモニターされる。
【0030】
スマートなペデスタルズ36の各組の出力は、ペデスタルズ36の間のゾーン内で検出された物品22が適切にチェックアウトされているかどうか照合するために、コンピューター48のデータベースに接続される。図書館10にはまた、磁気セキュリティ・タグまたはインテリジェントではない共振セキュリティ・タグのような従来技術のセキュリティ・タグを運搬する物品の存在を検出するための、ここでは「ダムなペデスタルズ(dumb pedestals)40」として参照される、一組のセンサーもまた含まれるであろう。ダムなペデスタルズ40は、定期刊行物が図書館10の指定された部分(例えば、定期刊行物ルーム23)内にあるということを確認するために用いられるであろう。代わりに、ダムなペデスタルズ40は、スマートなペデスタルズ36と同様のものだがコンピューター48のデータベースに接続されていないものであってもよい。物品24が、定期刊行物ルーム23から移動されることは許されていないので、ダムなペデスタルズ40の間でいかなる物品24が検出されてもアラームが始動される。
【0031】
第3に、図書館10には、持ち運び可能な無線周波数(RFID)タグ・スキャナーまたはいわゆる「RFIDスキャナー」が含まれている。これらのスキャナーは、以下でより完全に記述されるようにRFIDタグと関連する識別情報を読み取ることができる。一つのRFIDスキャナー42が、貸し出しデスク28で示されており、そして持ち運び可能なスキャナー42が一組の本棚20の近隣に示されている。2つの追加のスキャナー42は、次に記述される新規のチェックアウト・ステーションと関連する。持ち運び可能性が要求されないとき、固定呼び掛け器43が、持ち運び可能なスキャナー42の代わりに、またはそれと連係して、貸し出しデスク28および新規なチェックアウト・ステーションで使用されるであろう。
【0032】
第4に、図書館には、利用者が構内から取り去るにつき物品22をチェックアウトすることを可能とする利用者セルフ・チェックアウト・ステーション50が含まれる。チェックアウト・ステーション50には、固定呼び掛け器43、および選択的に、一つ以上の選択の持ち運び可能なRFIDスキャナー42が含まれ、それら双方ともチェックアウト・ステーション50に存在する物品22を識別するのに用いられる。チェックアウト・ステーション50にはまた、固定呼び掛け器43およびスキャナー42からデータを受け取るために少なくとも一つのコンピューター端末52が含まれる。コンピューター端末52はまた、利用者識別デバイス68に接続される。貸し出しデスク28にはまた、利用者かまたは従業員かが、物品のチェックアウトのために用いて良い固定呼び掛け器43、選択的なスキャナー42、コンピューター端末52、および利用者識別デバイス68が含まれる。利用者のセルフ・チェックアウト・ステーション50は、図5に関して以下により詳細に記述される。
【0033】
本発明の新規なシステムは全て、各物品22に付着されるRFIDタグを用いる。そのようなタグは、従来技術において周知のものである一方、本発明に特に適合して使用される一つの特定の種類のRFIDタグは、アンテナを有する受動無線周波数タグであり、そして好ましい実施例においては、集積回路に接続されるアンテナまたは誘導子コイルを具備するRFIDタグである。
図2には、本発明で使用するのに適するサンプルのRFIDタグ54の一般の詳細が示される。タグ54には、周知技術であるとおり、読み取り器または呼び掛け器によってモニターされるゾーン内にタグ54があるとき検出するのに用いられる受動共振無線周波数(RF)回路56が含まれる。一つの周知の種類の回路56は、コイル・アンテナ58およびキャパシタ60を有し、それらは一緒に所定の共振周波数、すなわち選択された無線周波数をもつ共振回路を形成する。
【0034】
タグ54のための電力は、通常のやり方でアンテナ58から得られる。さらには、タグ54には、タグ54に「インテリジェンス」を備えさせるための集積回路(以下IC)62が含まれる。IC62は、回路56に接続される。IC62には、識別データのビットを蓄積する例えば64ビット・メモリーのようなプログラム可能なメモリー64が含まれる。もちろん、その他のタグのデザインもまた本発明で使用されうるもので、また本発明は、示されている特定のタグ54に限定されるものではない。例えば、キャパシタ60は、誘導子(インダクタ)コイルのみをIC62の外にあるものとしてIC62上に配置されうるものである。
【0035】
IC62は、十分な電力がそれに印可されるとき蓄積されたデータの64ビットからなるデータ・ストリーム(data stream)を出力する。本発明の一つの実施例において、データ・ストリームは、一連のデータ・パルス(data pulses)をそのデータ・パルスの持続期間コイル・アンテナ58の両端の間に余分のキャパシタ(図示されていない)をスイッチすることによって作り出す。このことは、RF回路56の共振周波数を、動作周波数からそれを離調して変化させる。こうして、RF回路56が簡単な応答信号を返信する代わりに、それが予めプログラムされた情報のパケットを収容する信号を返信する。情報のパケット(packet)(複数のデータ・パルス)は、呼び掛け器受信回路によって受信されてかつ処理され、また(必要であるならば)復号されて物品22についての識別情報を提供する。
【0036】
タグ54から識別データを出力するためにICメモリー64の中のデータを用いるという、その他の方法も本発明の範囲内のものである。IC62はまた、好ましくは、受動デバイスであって、RF回路56と同じやり方で(すなわち、呼び掛け器送信器信号からアンテナ58で受信されるエネルギーを用いることによって)電力を供給される。このように、タグ54は、いわゆる「周波数識別(RFID)タグ」である。その他の種類のRFIDタグも本発明で用いて良い。タグ54として適切に使用されるその他のRFIDタグの例は、米国特許第5,446,447号(カーニー(Carney)他の)、第5,430,441号(ビックリー(Bickley)他の)、および第5,347,263号(キャロル(Carroll)他の)に示されている。典型的には、RFIDタグは、物理的には非活性化されないものである。すなわちそれらは、再使用を防止するよう永久的にショートされてしまうことがなく、またそれらはその中の磁石を磁化するまたは消磁することによって無力化されるものではない。
【0037】
図3は、図2に記述されるタグ54での使用に適した読み取り器または呼び出し器100を概略するブロック図である。呼び出し器100およびタグ54は、周知技術の通り、誘導結合(inductive coupling)によって通信する。呼び出し器100には、送信器102、受信器104、アンテナ組立体106、およびデータ処理および制御回路108が含まれ、各々が入力および出力を有する。送信器102の出力は、受信器104の第1の入力およびアンテナ組立体(アセムブリー)106の入力に接続される。アンテナ組立体106の出力は、受信器104の第2の入力に接続される。データ処理および制御回路108の第1および第2の出力は、送信器102の入力および受信器104の第3の入力にそれぞれ接続される。さらには、受信器104の出力は、データ処理および制御回路108の入力に接続される。
【0038】
この全般的構成を有する呼び掛け器は、米国特許第3,752,960号、第3,816,708号、第4,223,830号、および第4,580,041号に記述される回路を用いて作り上げられて良い、これらは全てウォルトン(Walton)に対して与えられていて、それらの全ては、それらを参照することによってそれらの全体を本件に組み込むものとする。呼び出し器100は、図1において例示されるように、一組のスマートなペデスタルズ36または持ち運び可能なRFIDスキャナー42として物理的に実現される。
持ち運び可能なスキャナー42の一つの好ましい実施例は、直径が約6インチから約8インチのプレート(平板)またはディスク(円盤)のような共振回路アンテナを有し、かつ書庫の最上および最下の棚に到達するようアーム延長部に載置される。
【0039】
本発明の新規なシステムのいずれかが実現される前に、図書館10は、物品22にタグを付け、また全てのタグの付けられた物品22のコンピューター48内のデータベースを準備設定する。理想的には、図書館における物品22の全てにタグが付けられる。しかしながら、たとえ全ての物品にタグが付けられなくとも、より効果的ではないがシステムは機能することができる。本発明の一つの実施例において、図書館10は、空白の(プログラムされていない)タグ54を受け取り、適切にプログラムを行うことによって(もしそれらが既に前もって付与されていないならば)タグ54の各々に独自の連続番号を付与し、タグ54を物品22のそれぞれに物理的に付着し、そして各タグ54特には、その独自の連続番号をそれぞれの物品22に相互的に関係させるデータベースを作り出す。物品22が前もってタグを付けられて図書館10に到着するならば、プログラムを行うステップは削減される。
【0040】
ここに例示される例において、図書館10はタグ54を100の物品に付ける。次に、インベントリー・データベースが以下のやり方で作り出される:
1.物品22が、タグ54から独自のプログラムされた連続番号を引き出す固定呼び掛け器43または持ち運び可能なRFIDスキャナー42によって読み取られる。
2.データベースの記録が、その連続番号についてのデータベース記録が加えられる。
3.次に、その物品22についてどのようにしてでも、例えば物品22に付いた現存するバー・コードまたはラベルを読み取ることによって、または手作業で識別する情報を入力するか、またはそのような情報を別のデータベースまたは蓄積デバイスから読み取るかすることによって、品目識別情報が得られる。その品目識別情報は続いて、それぞれのタグ連続番号についてデータベース記録に加えられる。大抵の大きな図書館は、既にそれらのコレクション(すなわち、物品22)の現存するデータベースから生成される自動化されたオンラインのカタログを有している。
【0041】
このように、図書館10は、タグの付いた物品22についての情報の完全に新しいデータベースを作り出すよりも、むしろ物品22に付着される特定のタグ54の連続番号を識別するために現存するデータ・フィールドへの追加情報のみが必要である。代わりに、図書館10は、その現存するオンライン・カタログを保有し、そしてタグの付いた物品22の状態を追跡するための新しいデータベースを作り出すこともできるであろう。以下の記述では、図書館10が完全に一体化されたデータベースを準備設定するか、またはオンラインのカタログ情報が、物品22についての全ての利用できる情報が簡単に検索できるように、タグの付いた物品のデータベースとリンクされていると仮定するものである。図書館のコレクションにおける物品22のデータベースにはまた、物品22がチェックアウトされているかどうか、誰がそれをチェックアウトしているのかそして何時それが戻ることになっているか(すなわち、物品返却期日データ(article due data))のような貸し出し状態情報(図示されていない)が含まれる。
【0042】
図4は、前述のようなプロセスによって作り出されるデータベース記録のシーケンスのサンプルである。各記録には、タグ識別情報のためのフィールド(field)(例えば、タグ22の連続番号)および品目識別情報のためのフィールドが含まれる。タグ識別情報は、「物品識別情報」と相互的に関係しており、そしてそれでまた「物品識別情報」として参照される。すなわち、タグ連続番号は独自であるので、それは物品を識別するのに用いられても良い。物品識別情報は、デューイ十進システム呼び出し番号(Dewey Decimal System call number)、国会図書館呼び出し番号(Library of Congress call number)、ISBN番号または任意に付与される番号であって良い。品目識別情報の最後の数字(デジット)は、図書館のインベントリーにおける品目の複本番号(コピー・ナンバー)を識別するのに用いられても良い。品目識別情報にはまた、タイトル、著者、出版社などのような図書目録(bibliographic)データのいずれかの部分が含まれていても良い。
【0043】
選択的に、データベース記録には、物品22が蓄積されている大きな図書館システムの所定の場所のような追加の情報が含まれていても良い。大学は、典型的に、主要図書館に加えて個別の学部図書館を有している。大きな政府の図書館システムは複数の支部を有する。追加の位置情報は、そのようなそれぞれの位置で物品22を適切に識別するのに用いられても良い。タグの付いた物品22のデータベースは、(分離したデータベースとして構築されていようが、または現存するオンライン・カタログ26に添付されていようが)データベース66としてコンピューター48に蓄積されるが、しかしまた離れたコンピューター(図示されていない)に蓄積されても良い。
【0044】
データベース66にはまた、選択的に各物品22のチェックアウト状態を保有するためのフィールド、および物品22の現在の位置を保有するためのフィールドが含まれていても良い。例えば、チェックアウトされた物品がチェックアウト状態フィールドにおいてチェックアウトされているとしてフラッグが付けられ(flagged)ており、また物品をチェックアウトした利用者の利用者識別番号が利用者IDフィールドに蓄積されている。利用者IDフィールドはまた、物品が現在のところ図書館の棚にあるということを(例えば、利用者IDフィールドに蓄積されるゼロ(000000)で)知らせ、また物品が返却されていてまだ棚に並べ直されていない(例えば、利用者IDフィールドに蓄積される000001で)ということを指示しても良い。チェックアウト状態および利用者IDフィールドならびにその他のフィールドは、別々のデータベースに蓄積されてもまたはリンクされたリストとして馳駆されても良く、またその他の情報もまたデータベース66に蓄積されるかまたはデータベース66にリンクされていても良いということが理解されるであろう。
【0045】
図5、図6、および図9には、物品22にタグが付けられ、またデータベース66が確立された後実現することのできる本発明によるシステムが示されている。より詳しくは、図5には、利用者のセルフ・チェックアウト・システムが示され、図6にはスマートな図書返却箱が示され、そして図9には、棚のスキャニングのインベントリー・システムが示されている。明瞭化のため、これらの図は、図1と一緒に記述される。
【0046】
図5には、図1における利用者のセルフ・チェックアウト・システム50の概略ブロック図が示されている。利用者が図書館のコレクションから物品22をチェックアウトしようと思うとき、利用者は、利用者識別(ID)デバイス68を通ってシステムに自分を識別させる。利用者IDデバイス68は、利用者の図書館カードからのデータを読み取るバー・コード読み取り器または磁気ストライプ読み取り器のようなカード読み取り器であって良い。利用者IDデバイス68はまた、物品22へ呼び掛けるのに用いられるのと同じ固定呼び掛け器43またはRFIDスキャナー42であっても良い。代わりに、利用者IDデバイス68は、指紋または虹彩スキャナーのような生物測定法の(生理学的な)読み取りデバイスであっても良い。本発明の別の代わりの実施例において、利用者は、IDおよび/またはパスワードをコンピューター端末52に入力することによって、システム50に自分を直接識別させても良い。
【0047】
利用者IDデータは、コンピューター48に蓄積される利用者のデータベースと通信を行って、利用者が物品22をチェックアウトする許可が得られているという照合をするコンピューター端末52によって受け取られる。もしその利用者が利用者データベースにないか、または利用者が規範から外れている(delinquent)ならば、チェックアウトの手順が終結されてしまうか、またはコンピューター端末が利用者登録ルーティンに入るかするであろう。利用者が識別され、許可の得られたユーザーであることが確認された後、以下のステップを行うことによってチェックアウトのプロセスが始まるであろう。
【0048】
利用者は、物品22と関連したタグ54に呼び掛けて、タグ54によって返信されるデータを読み取るように、チェックアウトされるべき物品22および/または固定呼び掛け器43かまたはスキャナー42かを操作する。物品22は好ましくは、RFIDタグ54が付けられているので、物品22は、呼び掛け器43またはスキャナー42に近接して置かれるだけの必要しかない。呼び掛け器43またはスキャナー42からのデータ出力には、タグ54の連続番号が含まれている。
【0049】
タグの連続番号は、直接またはコンピューター端末52を通って、物品22についての適切な記録をデータベース66において探し出すコンピューター48へと送られる。物品22が適切に図書館10にチェックインされているならば、利用者はそれをチェックアウトして良い。続いてデータベース66が更新されて物品22が現在ステーション50を用いている利用者へとチェックアウトされていることが示される。これらのチェックアウトのステップは、利用者がチェックアウトしたいと思う各物品22について繰り返される。
【0050】
図12には、図1および図5における利用者セルフ・チェックアウト・システム50のための代わりの入力プロセスが示されている。利用者がチェックアウトしたいと思う物品22の全ては、トレイ150上または物品22の全てに同時に呼び掛ける固定呼び掛け器43’の近接にあるハウジングのような所定の呼び掛けゾーンに置かれるであろう。RFID呼び掛け器は、視野の直線を必要とせず、したがって所定の領域に置かれている複数のタグをその領域におけるそれらの向きに関わらず同時に呼び掛けるであろう。呼び掛け器43’はまた、利用者IDカード152(それにはまたタグ54が含まれるかもしれない)ならびに品物22に付着されたタグ54の双方を読み取るよう設計されていても良い。
【0051】
このように、図5の利用者IDデバイス68は、図12の呼び掛け器43’に組み込まれても良い。チェックアウトするために、利用者は、単にIDカード152および物品22を所定の領域に置いてチェックアウト・プロセスを開始するだけでよい。呼び掛け器43’からのデータ出力は、直接かまたはコンピューター端末52を介してデータベース48に通信される(図5)。
コンピューター端末52は、利用者がチェックアウト・ステップを通るように促したり、各物品の呼び掛けの結果を照合するメッセージのようなステップに関する情報を返信するのに用いられても良い。コンピューター端末52はまた、物品22についての返却期日を利用者に知らせても良く、また、選択的に利用者のためのチェックアウトの取り扱いおよび返却期日の記録を打ち出すプリンターが含まれていても良い。
【0052】
適切にチェックアウトされた物品22のみが図書館10から取り出されることを確認するために、一組のスマートなペデスタルズ36(図3の呼び掛け器100の素子がその中に組み込まれている)が、物品22をそれらが利用者または従業員が図書館10を出るために通過しなければならないゾーンを通過するときに呼び掛ける。各呼び掛けられた物品22の状態は、データベース66にチェックインされる。物品22が適切にチェックアウトされていないならば、アラームが始動されて利用者および図書館の従業員にその問題を警告する。
【0053】
代わりにアラームはゲート(図示されていない)をロックし、それによって利用者または従業員が図書館10を出るのを防ぐものであっても良い。代わりに、チェックアウトされていない物品についての情報がデータベースに記録されてアラームが作動されないものであっても良い。上記の通り、出口ゾーンは選択的にゾーンを通過する利用者または従業員の画像または生物測定データを記録するようアラーム信号によって作動される監視カメラ38または生物測定装置によってモニターされる。利用者または従業員が、アラームを無視してチェックアウトされていない物品22をもって図書館10を出るならば、画像が有用となるであろう。
【0054】
選択的な構成に置いては、利用者が図書館を出るときチェックアウトが自動的に行われる。この実施例に置いては、スマートなペデスタルズ36と関連する呼び掛け器は、利用者IDカード(RFIDタグもまた含まれている)ならびに物品22に付着されるタグ54の双方を読み取ることができる。利用者が、スマートペデスタルズ36を歩いて通ると、物品22が自動的にチェックアウトされる。代わりに利用者は、出口のドアまたは通路の仕切(passage barrier)のロックを解除するカード読み取り器に、識別カードを挿入することが要請されるかもしれない。スマートペデスタルズ36は、出口のドアまたは通路の仕切に配置される。利用者が出口のドアまたは通路の仕切を通過するとき、スマートなペデスタルズ36と関連する呼び掛け器が物品22をチェックアウトする。
【0055】
これらの選択的な構成は、典型的には、私設、会社または大学の環境において見かける、係員のいない図書館には特に適切である。
物品22のタグが、書き込みまたは再書き込みの能力を有するならば、タグ・メモリーの一つ以上のビットが物品22の「チェックアウトされた」状態を指示するのに用いられても良い。チェックアウトの間、その一つ以上のビットに適切な変更がなされる。この場合には、スマートなペデスタルズ36と関連する呼び掛け器が、物品が適切にチェックアウトされていないということを検出するならば、物品22の状態を確認するためにデータベース66を調査する必要はなく、また利用者は、アラームを鳴らしたり、物品データベースの調査を引き起こすことなくゾーンを通過するものである。
【0056】
図6を参照すると、図1における外部(屋外)のスマートな図書返却箱(book drop)32の概略ブロック図が示されている。利用者が物品22を図書館10に返却しようと思うとき、利用者は、単に物品22をスマートな図書返却箱32に投入するだけである。外部のスマートな図書返却箱32には、その図書返却箱32に入れられる物品22を最初支持するためのトレイ、パネル、仕切(compartment)その他(138としてラベル付けされている)が含まれる。トレイ138の外部の境界は、図6において破線で境界の定められた呼び掛けゾーン110と一致する。図書返却箱32にはまた、その図書返却箱32によって受け付けられた物品22を受けてそれを保持する収集容器(collection bin)112が含まれる。
【0057】
動作においては、一旦利用者がトレイ138にアクセスを行って、その上に物品22を置くと、呼び掛け器100が物品22のタグ54を読み取り、そしてその読み取られた物品22の受け取られた連続番号をそのデータベース66における連続番号と比較する。もし物品22が図書館10に所属するものであるならば、図書返却箱32は、物品22が収集用器112へと通過することを可能とし(例えば、ゲート114を開放することによって)、そしてコンピューター48におけるデータベース66に物品22が返却されたという信号を送る。
【0058】
そうでなければ、表示パネルその他(図示されていない)が、利用者に物品22が図書館10に属するものではなく、トレイ138から移動されるべきものであることを知らせる。もし物品がタグ54を有しておらず、かつ図書館10がその全体のコレクションにタグをしているのであれば、図書館10はまた利用者にその物品が図書館10に所属するものではなく、トレイ138から移動されるべきものであることを知らせる。もし物品がタグ54を有しておらず、かつ図書館10がそのコレクション全体にタグをしていないならば、図書館10としては、それらが図書館のコレクションに所属するものではないかもしれないけれども物品を受け付けることを望むかもしれない。図書館10に所属するものではない物品はどれも、収集容器112が空にされた後で図書館の従業員によって処理される。
【0059】
図書返却箱32とは別の実施例では、トレイ138がない。その代わりに物品22は単に、投入口を通って図書返却箱32へと落とされ、直接収集容器112の中に落ちる。物品22は、呼び掛け器100によってそれらが収集容器112の中に落ちて行くときに、または容器112が空にされる前に一度に同時に、読み取られる。もし物品22が一度に同時に呼び掛けられるならば、呼び掛け器100の範囲は、容器112の全ての領域に到達するのに十分であることしか必要ではない。
【0060】
外部の図書返却箱の一つの問題は、バンダル(vandals:公共物を破壊する者)が、前もって図書返却箱に挿入されている物品を破損しようと試みたり、図書返却箱それ自体を破損しようと試みたりすることである。例えば、バンダルは、液体やまたはやっかいな食品を図書返却箱にそそぎ込むかもしれない。より悪辣な場合には、バンダルは、可燃性の液体や燃えている物を図書返却箱へとそそぎ込んでその中で火をおこそうと試みるかもしれない。バンダルによる外部のスマートな(コンピュータ装置内蔵の)図書返却箱32の内部の部分へのアクセスを最小限のものとするために、図書返却箱32には、図5において記述されるのと同様の利用者IDデバイス68およびトレイ138へアクセスを行うためのアクセス・ドア140が含まれても良い。アクセス・ドア140は、利用者が許可されているユーザーである場合にのみ開放する。
【0061】
図書返却箱32はまた、引っかかった物品22によって引き起こされる通路のつまり(ジャム)を検出する手段およびそのつまりをコンピューター48にレポートする手段を有していても良い。呼び掛け器100が、長期間にわたって呼び掛けゾーン110において同じ連続番号を繰り返し検出するならば、つまりであることと推定することができる。
定期的な間隔で、図書館の従業員は収集容器112を空にして、物品22を棚に並べ直す。全ての物品が適切にチェックインされなおしていることを確認するために、図書館の従業員は、物品22が棚に並べ直される前に収集容器112に呼び掛けたいと思うであろう。選択的には、チェックインの読み取り器は、従業員が物品22を分類および取り扱いプロセスの一部として、呼び掛けられるものとするであろう図書返却箱または図書返却処理作業スペースに隣接して位置付けられるであろう。チェックイン呼び掛け器と関連する端末は、特別な取り扱い要件などについて従業員に指図を行うことができる。
【0062】
外部の図書返却箱32によって発生されるデータは、容器内容のレポートおよび棚への並べ直しのレポートを作り出すように、データベース66によって用いられる。容器内の物品のレポートは、関心のある特定の物品が収集容器112にあるかどうかを容器112から物理的にソートすることなしに、迅速に確認するのに用いられるであろう。容器内容のレポートはまた、通常は予備にとって置かれるかまたは他の利用者によって要請されていたかする物品22を強調する(highlight)であろう。容器内容のレポートはまた、収集容器112における物品22についての一般のデータも提供する。容器内容のレポートの一つの種類は、物品の棚への並べ直しのために用いられるであろう棚並べ直しレポートである。図書館は、膨大な量の労働資源を、コレクションにおける物品(例えば、書籍、定期刊行物その他)の棚への並べ直しに充てている。典型的には、物品22の全ては、中央の場所に運ばれ、場所によって分類され(例えば、床、書庫または棚、列)、異なる台車に乗せられ、そしてそれぞれ棚に並べられる場所に配送される。棚への並べ直しレポートは、物品22を棚に並べ直すための時間および努力を劇的に低減するのに用いることができる。
【0063】
図7は、収集容器112における5つの物品22によって発生させられる棚への並べ直しレポート116のサンプルである。レポート116は、棚の位置にしたがって並べられる物品22のリスティング(listing)を提供する。棚の位置は、それぞれの物品を収容する棚の列であるか床/棚の位置のような物品22を返却する上で従業員の手助けとなるその他の指定を行う情報であって良い。
【0064】
そのような分類された棚並べのレポート116を提供することは、棚に並べ直すプロセスの助けとすることができる。例えば、レポート116を用いる棚への並べ直しの一つの方法において、従業員は単に、収集容器112を棚への並べ直しレポート116上で列挙される第1の場所へと動かし、収集容器112においてレポート116での第1の物品22を探し出し、そしてそれを棚に載置する。
【0065】
そしてこのプロセスが、棚への並べ直しレポート116での各物品について繰り返されて良いであろう。収集容器112を動かすことができないならば、物品22は、移動可能な台車へと移される必要があるだけで移動可能な台車を、ある位置から別の位置へと動かすことによって上述のプロセスが行われるであろう。棚への並べ直しレポート116は、好ましくは、図書館内を通るルートの予めプログラムされた最短の経路を利用して規定される。予め指定された場所から最短の経路ルートを生み出すことは周知の従来技術である。
【0066】
再度図1を参照すると、図書館12は公共の領域16および/または従業員のスペース領域18に一つ以上の内部のスマートな図書返却箱34が含まれる。内部の図書返却箱34は、内部の図書返却箱34に入れられる大抵の物品22が図書館の利用者が図書館にいる間に使用するがチェックアウトされない物品22であるということを除いて、外部の図書返却箱32に類似している。したがって、返却される物品の状態を、それらがチェックインして戻されているということを指示するために更新する必要はない。しかしながら、コンピューター48におけるデータベース66は、必要であるならば、チェックされて更新されるべきである、というのも内部の図書返却箱に入れられる物品22には、前もってチェックアウトされて利用者によって返却される物品22であるかもしれないものもあるからである。
【0067】
容器内容レポートもまた、内部の図書返却箱34から生成される。(そのレポートには前もってチェックアウトされ、利用者によって返却されている物品22は含まれておらず、というのもこの情報は他のところで追跡されるからである。)容器内容レポートは、ある期間にわたって累積され、そして図書館10内で利用者によって使用されるが、チェックアウトされていない物品22の履歴使用レポートを生成するのに用いられる。この情報は、それによって図書館10がそのコレクションにおける物品22について内部使用データを獲得することができるようにするものなので極めて価値がある。図書館は継続してそのコレクションにおける物品の使用パターンを評価し、利用者の興味における傾向を確認して、どのような種類の新しい物品22を購入し、何時図書館の床から物品22を取り去り、いかにして床スペースが最も効率的に使用されるべきであるかを決定し、かつその他の管理業務において助けとするものである。
【0068】
現在、図書館は、これらの問題を評価するために、チェックアウトのデータ、図書館員による観察および利用者によるコメントや要請に依存している。しかしながら、チェックアウトのデータが、図書館と関係する利用者の活動の全てをとらえるものではない。利用者は、典型的には、自分たちにとって興味のある全ての物品22をチェックアウトするものではない。物品22のパーセンテージの多くは、チェックアウトすることのできない参照品目である。利用者の中には、ある物品をチェックアウトし、それらが図書館内だけで読むものであることを読み取ってまごつく人もいるであろう。物品22によっては、チェックアウトする必要がないものもある、というのは、利用者は迅速に図書館内にいる間に物品22から関心のある情報を得ることができるからである。図書館員による観察および利用者によるコメントおよび要請は、正確にはある利用者の興味をとらえるものではないであろう。内部の図書返却データから生成される履歴使用レポートによって、図書館は、よりよく利用者の傾向および関心をとらえることが可能となる。
【0069】
図8は、サンプルの履歴使用レポート136である。もちろんデータはどの適当なフィールドによって提示されかつ分類されるものであっても良い。同様に内部の図書返却箱34についての履歴使用レポート136は、チェックアウトされた物品22についての履歴使用レポート(図示されていない)と合体されて、全ての利用者にとって関心のある物品22のより正確な描写(picture)を得ても良い。
物品22を最も効率よく棚に並べ直すために、内部および外部の図書返却箱34および32に入れられる物品の全ては、周期的に単一の移動可能台車に運ばれてそして内部および外部の図書返却箱34および32からの棚への並べ直しレポートが、その単一の台車(cart)についての単一の棚への並べ直しレポートに合体されるものとして良い。
【0070】
図書返却箱32および34の内容から得られる情報は、また他の利用者が要請している、特に「ホットな(hot:人気のある)」物品22を探し出すのに役立てるのに用いても良い。図書館のスタッフは現在、不釣り合いな時間量を比較的数少ない「ホットな」物品22を貸し出すのに費やしている。どの図書返却箱32,34がホットな物品22を収容しているかを正確に知ることによって、ホットな物品22を再度貸し出すのに費やされる時間と労力が低減される。
図9には、図1における図書館10のための棚のスキャニング・インベントリー・システム120が示されている。システム120は、インベントリーを行い、そして物品22が適切な棚に置かれていることを照合するのに用いられる。図書館全体のコレクションのインベントリーを取ることは、極めて労働集約的で、エラーを起こしやすい活動である。システム120を用いることによってインベントリーのプロセスは大きく簡素化され、かつより熟練度の低い従業員によって行うことができる。したがって、インベントリーのチェックは現在実施されているよりもより頻繁に行うことができる。
【0071】
システム120は、出力で持ち運び可能なコンピューター122に接続される持ち運び可能なRFIDスキャナー42を用いて実現される。持ち運び可能なコンピューター122は、RFIDスキャナー42によって収集されるデータをメモリー130に蓄積し、またデータベース66の更新のためにコンピューター48にデータをダウンロードする。本発明の一つの実施例において、持ち運び可能なコンピューター122およびコンピューター48には各々持ち運び可能なコンピューター122が連続してスキャナー・データをコンピューター48に送信することを可能とするワイヤレス通信デバイス132が含まれる。本発明の別の実施例において、持ち運び可能なコンピューター122は、メモリー130からデータをダウンロードするために周期的に配線によって接続される(hardwired)かまたはそうでなければコンピューター48に物理的に接続される。
【0072】
図9を参照すると、動作において、RFIDスキャナー42は、棚124の近接へと持ち込まれ、そして棚124の第1の部分1261がスキャナー41によって呼び掛けられる。スキャナー42は、タグの付された物品22からの返却信号(連続番号)を読み取る。連続番号は、処理されて持ち運び可能コンピューター122のメモリー130に蓄積され、そしてコンピューター48のデータベースへと通信される。次に、スキャナー42は、隣接する棚の部分1262または別の棚へと移動され、そして処理が繰り返される。どの棚の部分もやり残されていないことを確認するために、スキャナー42は隣接する以前にスキャンされた棚の部分126の小さな領域が重ねられるかもしれない。このプロセスによって、重なった領域128にある物品22は2回スキャンされることになるが、もし各物品22が独自の連続番号を有しているならば、2回目の読み取りは無視することができるので、2重のスキャニングは、インベントリーの精度に影響を及ぼさない。
【0073】
図9および図10を参照すると、第1の部分1261は、スキャナー42から延びる所定のゾーン134の中にある。好ましくは、スキャナー42から発する呼び掛け信号の力は、棚124の第1の部分1261上の全ての物品22を効果的に呼び掛けるのに十分なだけ強いが、棚の隣接する列の上の物品22に到達するほど十分に強くはない。この特徴は、棚に平行な所定のゾーン134を仕切る架空の破線によって図10において例示されている。
【0074】
図書館10において全ての物品を保持している場所がスキャンされた後、検出された連続番号がチェックアウトされていない物品のデータベース66に蓄積される図書館のインベントリーと比較される。スキャニングのプロセスの間、探し出されず、かつチェックアウトもされていない全ての物品22の失われた物品レポートが生成される。物品22が失われていると仮定される前に、棚は物理的に点検されて、物品22が単にスキャニングのプロセスが行われ損ねたかどうか、またはタグ54が失われているか不備であるかどうか判定しなければならない。
【0075】
システム120はまた、間違った場所にあるかまたは間違って棚に並べられている物品22を識別するのにも用いて良い。各ゾーン134が、呼び掛けられるとき、持ち運び可能なコンピューター122および/またはコンピューター48は、読み取られたタグ54のいずれかが、スキャンされた部分126に所属しない物品22と関連するかどうかをチェックしてみる。例えば、ゾーン134が、AD−140−xxxxからAD−190−xxxxまでの呼び出し番号を有する書籍をカバーするならば、この範囲の外にある呼び出し番号を有するいかなる物品22も間違った棚に並べられていると仮定される。持ち運び可能なコンピューター122は、間違った棚に並べられた物品22を探し出して適切に棚に並べるよう従業員に信号を送るであろう。この方法によって、多くの小さな棚への並べ直しエラーは、検出されず、例えば、隣り合った呼び出し番号をもつ物品22が棚上で入れ替えられる(例えば、もしAD−140−332DがAD−140−332Eのそれが所属するところの左側ではなく、右側にあるならば)ようなものは検出されないということを認識するべきである。
【0076】
本発明において用いられるタグ呼び掛け器およびスキャナーは、同時に呼び掛け器を通過されるまたは同時にスキャンされる複数の物品22を検出することができる。ほとんどの場合において、物品22の各々は、たとえ物品22が物理的にお互いに近いときでさえ、時間において異なる瞬間に呼び掛け信号を受信し、そしてそれに応答する。返却された信号のストリング(string)は、処理されてここのIDに仕分けられる。しかしながら、2つの物品がID信号を正確に同じ瞬間に返信するならば、呼び掛け器またはスキャナーは、どちらも返信された信号を仕分けして、2つの区別されるIDを回復することができる。代わりに、呼び掛け器またはスキャナーは、同時に受信された信号を無視して、同時に受信されない、それに続いての返却信号を用いて区別されるIDを仕分けることもできる。
【0077】
本発明のこれだけに限定をするものではないその他のバリエーションを、以下に列挙する。
(1)連続番号を蓄積して出力する代わりに、タグ54は、タイトルまたは呼び出し番号のような物品それ自体についてのデータを蓄積および出力しても良い。図書出版社などは、書籍が印刷されるときに業界で認識されている符号化の体系を用いてタグ54を付着し、またプログラムすることができる。
(2)前述のように、タグ54は、「書き込みの」能力を有し、それによってそれがまた物品22の貸し出しまたはチェックアウトの状態についてのデータを蓄積することも可能となるかもしれない。書き込みの能力はまた、物品22をチェックアウトした利用者に関するデータ並びにその返却期日を蓄積するのに用いられても良い。
【0078】
(3)図9のスキャンされる部分126の焦点が非常に小さく幅狭に作ることができるので一度に1つまたは2、3の物品22のみがスキャンされるようにすることもできる。こうして図10におけるゾーン134は、1つまたは2、3の物品22のみを包含するであろう。例えば、図11には、RFIDスキャナー42が棚124内の物品22の単一の列144に沿って動かされる体系が示されている。各列144が、別々にスキャンされる。(明瞭化のために、スキャナー42の最上部のみが図11に示されている。)ゾーン134を狭めることで、スキャナー42は各棚をカバーするために物理的により頻繁に動かされなくてはならないので、インベントリーを行うために要請される時間が増大する。しかしながら、より狭いゾーンをスキャンすることで、間違った棚に並べられた物品22がより容易に探し出すことができる。例えば、物品22が1つずつスキャンされるならば、システム・コンピューター66および/または122は、各物品が順次連続的により大きくなる(またはより小さくなる)呼び出し番号を有するかどうか照合することができる。このようにして、隣り合って入れ替えられた物品22を検出することもできる。
【0079】
(4)図5の利用者セルフ・チェックアウト・システム50には選択的に規範から外れた利用者が罰金を払うことを可能とするために、コンピューター端末52に接続された借方(debit)カード読み取り器142が含まれても良い。このようにして利用者は、迅速に規範からのはずれを修復し、そして直ちに続いての物品22をチェックアウトする許可が得られるものとなることができる。
(5)研究施設はしばしば卒業生に、建物からチェックアウトすることのない建物の中のどこかの指定されたキャロル(carol:仕切部屋)またはキオスク(kiosk:簡易建造物)で物品を保持しておくことを許可している。理想的には、学生は、物品が一時的に指定されたキャロルに位置していることを記録するために貸し出しデスクに物品をもってくることになっている。しかしながら、学生はしばしばそうすることを怠る。棚のスキャニング・インベントリー・システム120は、これらのはぐれた物品をとらえるのに用いられるかもしれない。定期的に図書館の従業員は、キャロルからキャロルへと歩いて、各キャロルで物品の全てをスキャンするかもしれない。キャロルを識別する場所符号が、それらがスキャンされる前または後に、各物品に付加されるかもしれない。
【0080】
(6)珍稀な図書や、マルチメディア製品(例えば、CD−ROM)のようなある物品にタグを付けることは、しばしば実現不可能である。したがって、利用者の識別カードは、物品の使用を追跡するため、および/または物品が用いられるべき図書館の選択された領域へのおよびそこからのアクセスを管理するために、用いられるかもしれない。この体系において、利用者IDカードは、好ましくは、RFIDタグの付いたカードであるであろう。例えば、利用者が、マルチメディア・ラボ(演習室)からの品目を借りるならば、利用者のRFIDカードおよび物品のジャケットまたはホルダー(タグが付けられている)が読み取られ、お互いに関連付けられるであろう。物品が非常に高価なもの(例えば8枚のCD−ROMバージョンのオックスフォード英語辞典(Oxford English Dictionary)は、図書館に一部895ドルの費用がかかる)、利用者が組になったCD−ROMならびにそのホルダーを返却する前にマルチメディア・ラボを出ようとするならば、そのラボへの出口は遮断されるであろう。
(7)スマートなペデスタルズ36は在来の、(インテリジェントでない)非活性化できる共振タグおよび本件タグ54の双方を検出するよう設計されていて良い。このようにして、同じ呼び掛けデバイスが、適切に非活性化されていない通常のタグの付けられた物品の移動を検出するのに用いられても良い。同様にダムなペデスタルズ40が本タグ54および通常の(インテリジェントではない)非活性化されていない共振タグの双方を検出するよう設計されても良い。このようにして、RFIDのタグを付され、定期刊行物ルーム23に入るまたはそこから出るよう通過する物品が検出される。
【0081】
(8)図4に示されるデータベース記録には、各タグを付された物品22のためのセキュリティ・フィールドが含まれていて良い。セキュリティ・フィールドは、物品22の貸し出し移動についての制限を識別するであろう。例えば、セキュリティ・フィールドは、物品22が定期刊行物ルーム23または前述のマルチメディア・ラボ内に留まらなければならないということを指示するであろう。セキュリティ・フィールドは、物品22が、卒業生またはその他の所定のグループの利用者のような選択された利用者によってのみチェックアウトできるということを指示するかもしれない。これらの制限は、物品22がチェックアウト・カウンターまたはペデスタルズ36で検出されるときコンピューター48によってチェックされる。
(9)「チェックアウト」という用語は、典型的には図書館から書籍などを借りることと関連する。しかしながら、物品の「チェックアウト」は、チェックアウトが必ずしも、蓄積領域から物品を借りることを含むとは限らないという文脈で物品の「移動(リムーバル)」と同意義である。
【0082】
(10)本発明の好ましい実施例では、出口にペデスタルズの組が用いられている一方で、単一ペデスタルズの呼び掛け器もまた、もし適切ならば用いられて良い。
(11)選択された物品のデータベースの記録は、物品のないところで権限のある図書館職員によって変更されても良い。例えば、期限の切れた物品が検出されるならば、図書館の入口でアラームが始動されるよう設定されることが望ましいかもしれない。また、利用者が適切にチェックアウトされた物品を図書館に持ち込むならば、図書館の従業員はその存在を警告されるように返却期日前に物品を呼び起こすことも望ましいかもしれない。
前述の実施例に対して、その広い発明の概念から逸脱することなく変更がなされうるということを当業者は理解するであろう。したがって、本発明は、開示された特定の実施例に限定されるものではなく、添付した請求の範囲によって定義されるような本発明の精神および範囲内で変更したものをカバーすることが意図されているということが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄積(保管)領域に保有される物品と連係して用いられるインベントリー管理システムであって、その物品の各々は、それに付着される無線周波数タグを有し、各タグには、呼び掛け信号を受信し、そして応答信号を返信することによって、その物品の存在を検出するのに用いられるアンテナおよび、そのアンテナに接続され、物品識別情報を蓄積し、かつ前記タグの呼び掛けへの応答信号で、その物品識別情報を出力する集積回路が含まれており、
(a)前記蓄積領域から、移動されかつその蓄積領域に返却されるべき物品を受け取り、呼び掛け領域及び返却物品を保持する収集容器とを含み、その物品が返却されるときそのゾーンを通過し収集容器に入る少なくとも一つの物品返却領域とを有し、そこでは複数の物品が同時にそのゾーン内に存在でき、
(b)前記ゾーン内でのタグの存在によって引き起こされる後続の複数の応答信号の形で、前記ゾーン内のじょう乱(ディスターバンス)をモニターする呼び掛け器であって、それはそのゾーンで1つ以上のタグが検出されるとき、実質的に同時に各物品に呼び掛け、その呼び掛け器はそのゾーンで検出された各タグについての呼び掛け出力信号を出力し、各呼び掛け出力信号には、呼び掛けられたタグの集積回路に蓄積されている識別情報が含まれているところの前記呼び掛け器と、
(c)前記呼び掛け器出力信号を受信するデータベースであって、チェックアウト状態データが含まれる前記システムによってモニターされる物品についてのインベントリー・データが含まれていて、その受信された呼び掛け器出力信号は、そのチェックアウト状態データを更新するために用いられる前記データベースと、
を具備する、システム。
【請求項2】
利用者がチェックアウトを利用できる図書館と関連する物品を前記システムが追跡し、かつ前記蓄積領域が図書館の棚を具備する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記物品返却領域が、図書館の図書返却箱である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記データベースには、前記システムによってモニターされる物品についての蓄積領域位置データが含まれる請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記データベースと通信を行うコンピューターであって、前記物品返却領域中の物品についての前記蓄積領域位置のレポートを発生する手段が含まれ、そのレポートは、物品を前記蓄積領域のそれぞれ適切な位置への返却を容易にする前記コンピューターをさらに具備する請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記システムが図書館と関連する物品を追跡し、かつ前記少なくとも一つの物品返却領域がその図書館内にあって、前記インベントリー・データには、さらに物品利用データが含まれる請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
蓄積(保管)領域に保有される物品と連係して用いられるインベントリー管理方法であって、それら物品の各々は、それに付着される無線周波数タグを有しており、各タグには、呼び掛け信号を受信し、そして応答信号を返信することによって、その物品の存在を検出するのに用いられるアンテナおよび、そのアンテナに接続され、物品識別情報を蓄積し、かつ前記タグの呼び掛けへの応答信号で、その物品識別情報を出力する集積回路が含まれており、
(a)前記蓄積領域の一部を移動可能な呼び掛け器でスキャニングし、その移動可能な呼び掛け器は、その呼び掛け器から延びる所定のゾーン内にタグの存在によって引き起こされる後続の複数の応答信号の形でのじょう乱を検出し、かつそのゾーンにおいてタグが検出されるとき、呼び掛け器出力信号を出力し、各呼び掛け器出力信号には、呼び掛けられたタグの集積回路に蓄積されている識別情報が含まれ、蓄積領域のその部分に位置している複数の物品が同時的にスキャニングされるステップと、
(b)前記蓄積領域の隣り合った部分について、かつ前記蓄積領域の残り全ての部分についてステップ(a)を繰り返すステップと、
(c)データベースにおいて前記呼び掛け器出力信号を受信し、そのデータベースには、前記蓄積領域中に保有される物品についてのインベントリー・データが含まれ、タグを付けた物品から得られたその受信された呼び掛け器出力信号のみを用いて、そのインベントリー・データが更新されるのに用いられるステップと、
(d)受信した呼び掛け器出力信号とインベントリー・データとを用いて、特定のスキャニングした部分にある物品がそのスキャニングされた部分に属する物品の範囲の外にあるかどうかを判定するステップと、
(e)その物品が誤った位置に置かれていることの信号を出すステップと、
を具備する、方法。
【請求項8】
蓄積領域に保有される物品と連係して用いられる図書館インベントリー管理システムであって、その物品の各々は、それに付着される無線周波数タグを有し、各タグには、呼び掛け信号を受信し、そして応答信号を返信することによって、その物品の存在を検出するのに用いられるアンテナ、およびそのアンテナに接続され、物品識別情報を蓄積し、かつ前記タグの呼び掛けへの前記応答信号で、その物品識別情報を出力する集積回路とが含まれており、
そのシステムは
(a)前記図書館の物品のリスト、およびそれら物品の各々の貸し出し状態が含まれるインベントリー・データベースと、
(b)別個の部分部分で前記蓄積領域をスキャニングし、前記呼び掛け器から延びている所定のゾーン内でのタグの存在によって引き起こされる後続の複数の応答信号の形でじょう乱を検出し、かつそのゾーンで検出された各タグについて呼び掛け器出力信号を出力し、前記別個の部分部分に位置する複数の物品が同時的にスキャニングでき、各呼び掛け器出力信号には、呼び掛けられるタグの集積回路に蓄積される識別情報が含まれており、前記インベントリー・データベースは、識別情報を受信して、そしてそこに蓄積されている物品の貸し出し状態を、前記呼び掛けられたタグ付き物品から得られた情報のみを用いて更新するところの移動可能な呼び掛け器と、
を具備する、システム。
【請求項9】
前記タグが、物理的な非活性化に耐久性を有するタグである請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
利用者がチェックアウトをするのに利用できる物品を有する図書館の為のセルフサービスのチェックイン・システムであって、それらの各物品はそれに付着された無線周波数タグを有し、各タグには呼び掛け信号を受信しそして応答信号を返すことにより物品の存在を検出する為に用いるアンテナと、アンテナに接続され、物品識別情報を蓄積し、タグの呼び掛けに対する応答信号と共に物品識別情報を出力する為の集積回路を含み、
前記のシステムは、
複数の物品を保持するトレーと、
返却物品を保持する収集容器と、
前記トレー上に保持された物品がゲート解放時に通過し収集容器に入るようにしたゲートと、
前記トレー上に置かれた利用者が返却したい複数の物品に実質的に同時に呼び掛けする呼び掛け器であって、その呼び掛け器は返却される複数の物品のそれぞれに対応する保管物品識別情報を含む後続の複数の応答信号を受信し、その呼び掛け器は物品の配置方向に関係なく応答信号を受信し、各物品から受容可能な応答信号を受信するとゲートを開放する呼び掛け器と、
図書館内の物品及び各物品の貸し出し状況を含むインベントリー・データベースであって、返却される物品のそれぞれに対応する物品識別情報を受信するデータベースと、
返却される物品の貸し出し状況を更新する為のデータベースと通信しているプロセッサーと、
を具備するセルフサービスのチェックインシステム。
【請求項11】
無線周波数識別タグを具備する利用者識別(ID)カードを更に具備するシステムであって、その利用者IDカードは電子的に記憶された識別情報を含み、その利用者IDカードは、前記トレーに置かれ返却される物品と実質的に同時に呼び掛けされる請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
データベースが以前にチェックアウトされたどの物品でもその物品に対応する利用者IDを記憶するフィールドを含む請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
蓄積領域に保管されている物品に関連して用いる図書館インベントリー管理システムであって、各物品は無線周波数タグが取り付けられており、各タグは呼び掛け信号を受信しその結果生じた後続の複数の応答信号を返すことにより物品の存在を検出する為に用いるアンテナと、アンテナに接続され、物品識別情報を記憶し、呼び掛け器によるタグへの呼び掛けに対する応答信号と共に物品識別情報を出力する為の集積回路を含んでおり、
図書館内の前記物品のリスト及び各物品の貸し出し状況を含むインベントリー・データベースと、
システムに対し利用者を識別する利用者識別デバイスと、
物品チェックアウト領域に配置された物品チェックアウトシステムであって、そのチェックアウトシステムは前記利用者が蓄積領域からチェックアウトしたい物品に呼び掛けるための第1の呼び掛け器を含み、第1の呼び掛け器は持ち出される物品に対応する蓄積物品識別情報を含む応答信号を受信する物品チェックアウトシステムと、
第1の呼び掛け器及びデータベースと通信しているプロセッサーであって、プロセッサーは第1の呼び掛け器よりチェックアウトされる物品に対応する利用者識別情報及び物品識別情報を受信し、チェックアウトされる物品の貸し出し状況に関してインベントリー・データベースを更新するプロセッサーと、
蓄積領域から持ち出されまた蓄積領域に返却される物品を受け取る為の少なくとも1つの物品返却区域を含む物品チェックインシステムであって、物品返却領域は呼び掛けチェックイン領域及び返却物品を蓄積する収集容器を含み、各返却物品は物品が返却される都度チェックインゾーンを通過して収集容器に入り、そのゾーンには複数の物品を同時に置くことができる物品チェックインシステムと、
プロセッサーと通信している第2の呼び掛け器であって、それは前記ゾーン内のタグの存在によって引き起こされる応答信号の形式におけるじょう乱を検出する為にチェックインゾーンを監視し、そのゾーン内の各物品に同時に呼び掛けをし、そのゾーン内で検知された各タグ毎の呼び掛け器出力信号を出力する呼び掛け器であり、各呼び掛け器出力信号は返却される物品に対応する呼び掛けられたタグの集積回路に蓄積(記憶)された識別情報を含み、インベントリー・データベースがその呼び掛け器出力信号を受信して返却される物品のチェックアウト状況を更新する第2の呼び掛け器と、
を具備するシステム。
【請求項14】
さらに、
前記蓄積領域からの出口をモニターする出口呼び掛け器であって、その出口呼び掛け器は、その出口を通過し、そしてそれによって前記蓄積領域から取り去られる物品に呼び掛けをし、その物品と関連するタグからの応答信号を受信し、その応答信号は、前記出口を通過する物品についての蓄積された物品識別情報を収容している前記出口呼び掛け器、
を具備する請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
さらに、前記出口呼び掛け器に結合される出口プロセッサーを具備しており、そのプロセッサーは、前記応答信号の識別情報が含まれる前記出口呼び掛け器から出力信号を受信し、そのプロセッサーは、その受信された識別情報を、前記データベース中に蓄積される情報と比較して、前記物品がチェックアウトされるときに、その中に記録されているかどうか確認する請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記出口を通過する物品が、チェックアウトされるときに前記データベースに記録されていないならば、前記出口呼び掛け器がアラームを作動させる請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記図書館には定期刊行物ルームが含まれていて、前記システムはさらに、その定期刊行物ルームの出口に位置し、そこからタグの付いた物品が取り去られることを検出するゾーン呼び掛け器を具備する請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記ゾーン呼び掛け器は、前記定期刊行物ルームからの物品の取り去りの検出に応答して、アラームを作動させる請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
別個の部分部分で前記蓄積領域をスキャニングする移動可能な呼び掛け器であって、その移動可能な呼び掛け器から延びる所定のゾーン内でのタグの存在によって引き起こされる応答信号の形でじょう乱を検出し、かつ、そのゾーンでタグが検出されるとき、呼び掛け器出力信号を出力し、呼び掛け器の各出力信号には、呼び掛けられたタグの集積回路中に蓄積される識別情報が含まれ、前記データベースは、その識別情報を受信し、そしてその情報でその中に蓄積される物品の貸し出し状態を更新する前記移動可能な呼び掛け器、
をさらに具備する請求項13に記載のシステム。
【請求項20】
タグが物理的な非活性化に耐久性を有するタグである請求項13に記載のシステム。
【請求項21】
図書館に保有される物品と連係して用いられる図書館インベントリー管理システムであって、それら物品の各々は、それに付着される無線周波数タグを有し、各タグには、呼び掛け信号を受信し、そしてその結果生じた後続の複数の応答信号を返信することによって、その物品の存在を検出するのに用いられるアンテナ、およびそのアンテナに接続され、物品識別情報を蓄積(記憶)し、かつ呼び掛け器による前記タグの呼び掛けへの前記応答信号で、前記物品識別情報を出力する集積回路とが含まれていて、
前記図書館における物品のリスト、およびその各物品の貸し出し状態が含まれるインベントリー・データベースと、
前記システムに利用者を識別させる利用者識別デバイスと、
前記図書館の物品チェックアウト領域に位置する物品チェックアウト・システムであって、前記利用者が前記図書館から取り去りたいと思う物品に呼び掛ける第1の呼び掛け器であって、その取り去られるべき物品についての蓄積された物品識別情報を収容する応答信号を受信する前記第1の呼び掛け器が含まれる前記チェックアウト・システムと、
前記第1の呼び掛け器および前記データベースと通信を行うプロセッサーであって、前記利用者識別情報、および前記第1の呼び掛け器からの前記取り去られるべき物品についての物品識別情報とを受け取り、かつその取り去られるべき物品の貸し出し状態を備えた前記インベントリー・データベースを更新する前記プロセッサーと、
前記図書館から取り去られていた物品を受け取り、各返却される物品が、その物品が返却されるときチェックイン・ゾーンを通過する、少なくとも一つの物品返却領域が含まれる物品チェックイン・システムと、
前記インベントリー・データベースと通信を行う第2の呼び掛け器であって、前記ゾーン内でのタグの存在によって引き起こされる応答信号の形で、前記チェックイン・ゾーンのじょう乱をモニターし、かつそのゾーンでタグが検出されるとき呼び掛け器出力信号を出力し、各呼び掛け器出力信号には、返却されつつある物品について呼び掛けられたタグの集積回路中に蓄積される識別情報が含まれており、前記インベントリー・データベースは、前記呼び掛け器出力信号を受信し、そしてその呼び掛け器出力信号を用いて、その返却されつつある物品のチェックアウト状態を更新する前記第2の呼び掛け器と、
前記図書館の別個の部分をスキャニングする移動可能な呼び掛け器であって、その移動可能な呼び掛け器から延びる所定のゾーン内でのタグの存在によって引き起こされる応答信号の形でじょう乱を検出し、かつそのゾーンでタグが検出されるとき、呼び掛け器出力信号を出力し、各呼び掛け器出力信号には、呼び掛けられたタグの集積回路中に蓄積されている識別情報が含まれており、前記データベースは、その識別情報を受信し、そしてその情報でその中に蓄積される物品の貸し出し状態を更新する前記移動可能な呼び掛け器と、
前記図書館からの出口をモニターする出口呼び掛け器であって、その出口呼び掛け器は、その出口を通過しそしてそれによって前記図書館から取り去られる物品に呼び掛け、その物品と関連するタグからの応答信号を受信し、その応答信号が前記出口を通過する物品についての蓄積される物品識別情報を収容している前記出口呼び掛け器と、
前記出口呼び掛け器に結合される出口プロセッサーであって、その出口プロセッサーは、前記応答信号の識別情報が含まれる前記出口呼び掛け器からの出力信号を受信し、その受信された識別情報を前記データベースに蓄積された情報と比較して、その物品がチェックアウトされるときにその中に記録されているかどうか確認し、もしその出口を通過する物品が、チェックアウトされるときに前記データベースに記録されていないならば、前記出口呼び掛け器がアラームを作動させる前記出口プロセッサーと、
前記図書館の所定領域の出口に位置するゾーン呼び掛け器であって、そのゾーン呼び掛け器は、その所定領域からのタグの付いた物品の取り去りを検出し、その所定領域からの物品の取り去りの検出に応答して、アラームを作動させる前記ゾーン呼び掛け器と、
を具備する、システム。
【請求項22】
蓄積(保管)領域に保有される物品と連係して用いられるインベントリー管理方法であって、それら物品の各々は、それに付着される無線周波数タグを有しており、各タグには、呼び掛け信号を受信し、そして応答信号を返信することによって、その物品の存在を検出するのに用いられるアンテナおよび、そのアンテナに接続され、物品識別情報を蓄積し、かつ前記タグの呼び掛けへの応答信号で、その物品識別情報を出力する集積回路が含まれており、
(a)前記蓄積領域の一部を移動可能な呼び掛け器でスキャニングし、その移動可能な呼び掛け器は、その呼び掛け器から延びる所定のゾーン内にタグの存在によって引き起こされる後続の複数の応答信号の形でのじょう乱を検出し、かつそのゾーンにおいてタグが検出されるとき、呼び掛け器出力信号を出力し、各呼び掛け器出力信号には、呼び掛けられたタグの集積回路に蓄積される識別情報が含まれ、蓄積領域のその部分に位置している複数の物品が同時的にスキャニングされるステップと、
(b)前記蓄積領域の隣り合った部分について、かつ前記蓄積領域の残り全ての部分についてステップ(a)を繰り返すステップと、
(c)データベースにおいて前記呼び掛け器出力信号を受信し、そのデータベースには、前記蓄積領域中に保有される物品についてのインベントリー・データが含まれ、タグを付けた物品が得られたその受信された呼び掛け器出力信号のみを用いて、そのインベントリー・データが更新されるのに用いられるステップと、
を具備する、方法。
【請求項23】
前記蓄積領域は、図書館において棚の列を具備し、ステップ(a)が、前記棚の順次連続的に隣り合う部分をスキャニングすることによって、各棚をスキャニングすることを具備する請求項22に記載の方法。
【請求項24】
利用者がチェックアウトをするのに利用できる物品を有する図書館のためのセルフ・サービスのチェックアウト・システムであって、それら物品の各々は、それに付着される無線周波数タグを有し、各タグには、呼び掛け信号を受信し、そしてその結果生じた後続の複数の応答信号を返信することによって、その物品の存在を検出するのに用いられるアンテナ、およびそのアンテナに接続され、物品識別情報を蓄積し、かつ呼び掛け器による前記タグの呼び掛けへの応答信号で、その物品識別情報を出力する集積回路が含まれ、前記システムはまた、各々に無線周波数タグが含まれる複数の利用者識別カードを有しており、
そのシステムには
(a)前記図書館のチェックアウト領域に位置し、利用者が借りたいと思う少なくとも一つの物品に呼び掛け、かつ実質的に同時に前記システムに利用者を識別させる利用者識別(ID)カードに呼び掛ける呼び掛け器であって、前記呼び掛け器は、借りられるべき物品の各々についての蓄積された物品識別情報、および前記IDカードからの利用者識別情報を収容する応答信号を受信し、前記物品または利用者識別カードの向きに関わらず、前記応答信号を受信し、そして蓄積領域のその部分に位置している複数の物品が実質的に同時に複数のタグ付き物品からの応答信号を受けるところの前記呼び掛け器と、
(b)前記図書館における物品のリスト、およびそれら物品の各々の貸し出し状態が含まれるインベントリー・データベースであって、前記利用者識別情報および前記借りられるべき物品の各々についての物品識別情報を受け取る前記データベースと、
(c)前記借りられるべき物品の貸し出し状態を更新するために前記データベースと通信を行うプロセッサーと、
を具備する、システム。
【請求項25】
前記タグが、物理的な非活性化に耐久性を有するタグである請求項24に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−33585(P2010−33585A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210454(P2009−210454)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【分割の表示】特願2000−504563(P2000−504563)の分割
【原出願日】平成10年7月15日(1998.7.15)
【出願人】(396026846)チエツクポイント システムズ, インコーポレーテツド (47)
【Fターム(参考)】