説明

RFIDタグホルダ及びRFIDタグ読取距離制限方法

【課題】金属製反射板を備えたRFIDタグにおいて、そのデータの読取距離を拡大、もしくは読取距離の選択ができるRFIDタグホルダ及びRFID読取位置制限方法を提供する。
【解決手段】貼付対象物5の情報を格納するパッシブタイプRFIDタグ1を搭載し、マイクロ波を使いRFIDタグ1が格納する情報を読み取るRFIDリーダ4に対するRFIDタグ1の背面位置にV字型金属製反射板3を設置したRFIDタグホルダ。V字型金属製反射板3のV字角度の変更が可能で、RFIDリーダ4の読取距離に応じて、V字型金属製反射板3のV字角度が90度〜170度の間で選択される。V字型金属製反射板3とRFIDタグ3との距離の変更が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDタグホルダ及びRFIDタグ読取距離制限方法に関し、特にRFIDとこのデータをリーダで読取る構成において、RFIDタグの読取距離を拡大、もしくは読取距離の選択が可能な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、RFIDタグを使用しての物品管理は、管理の対象となる物品にRFIDタグを取り付け、RFIDタグの情報をRFIDリーダで読取ることにより、物品の属性情報を管理しており、多様な提案がなされている。
非特許文献1の記事では、RFIDリーダ(=アンテナ)と2.45GHzのマイクロ波を使ったパッシブタイプRFIDタグ(=無線ICタグ)の読取距離は、RFIDタグの背面に平型金属製反射板(=金属)を設置して拡大を実現している。しかし、平型金属製反射板だけでの読取距離拡大は約200%である。
また、特許文献1では、金属製電波反射部材を非金属製コンテナ壁面の内側に設置しており、RFIDタグはホルダに格納され、金属製電波反射部材とは非金属製コンテナの壁面を介して一定の距離になっている。このため、読取距離の拡大は可能であるが、読取距離の選択をする事はできない。さらに、特許文献1ではRFIDタグと金属製電波反射部材との間隔を調整する手段を示しているが、その場合の読取距離拡大も金属製電波反射部材を設置しない場合と比較し、非特許文献1の記事と同様に約200%となっている。
【特許文献1】特開2003−198422号公報
【非特許文献1】日経BP社「日経RFIDテクノロジ」2004年8月発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
RFIDタグの読取距離は長い方が良いと考えられているが、RFIDタグの背面に平型金属製反射板を設置するだけでは、通常の約200%程度しか拡大できず、さらに長い読取距離を求められていた。また、貼付対象物やRFIDタグの利用目的によっては、読取距離を最大距離とせずに一定距離に制限する場合がある。
【0004】
本発明は、RFIDタグの読取距離を拡大、もしくは読取距離を制限可能なRFIDタグホルダ及びRFID読取距離制限方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、貼付対象物の情報を格納するパッシブタイプRFIDタグを搭載するとともに、マイクロ波を使い前記RFIDタグが格納する貼付対象物の情報を読み取るRFIDリーダに対するRFIDタグの背面位置にV字型金属製反射板を設置したRFIDタグホルダである。
【0006】
また、本発明は、前記V字型金属製反射板のV字角度の変更が可能であり、前記RFIDリーダの読取距離に応じて、前記V字型金属製反射板のV字角度が90度〜170度の間で選択されるRFIDタグホルダである。
【0007】
そして、本発明は、前記V字型金属製反射板と前記RFIDタグとの距離の変更が可能であり、前記マイクロ波の波長が2.45GHzで、前記RFIDリーダの読取距離に応じて、前記V字型金属製反射板とRFIDタグとの距離が12mm〜45mmの間で選択されるRFIDタグホルダである。
【0008】
更に、本発明は、パッシブタイプRFIDタグが格納する情報を、マイクロ波を使って読み取るRFIDリーダに対する前記RFIDタグの背面位置に設置されたV字型金属製反射板の角度を、前記RFIDリーダの読取距離に応じて変更し、前記読取距離を制限するRFIDタグ読取距離制限方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、RFIDリーダと2.45GHzのマイクロ波を使ったパッシブタイプRFIDタグの背面に設置した平型金属製反射板を90度〜170度折り曲げたV字型にし、そのV字型金属製反射板とRFIDタグとの距離を12mm〜45mmの間で選択する事ができるRFIDタグであり、その読取距離を拡大、および読取距離を選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を実施するための最良の形態を説明する。
以下に、本発明のRFIDタグホルダ及びRFIDタグ読取距離制限方法の実施例を、図1〜図3により説明する。
【0011】
実施例を説明する。図1において、1は2.45GHzのパッシブ型のRFIDタグ、2はRFIDタグホルダで、RFIDタグ1を設置する切り欠き部を有し、切り欠き部から一定の距離bにV字型金属製反射板3を配置し、全体を例えばセラミックで包含する構成で形成している。4はRFIDリーダ、5は貼付対象物である。
【0012】
図2はV字型金属製反射板3の配置方法に関する特性の説明図であり、V字型金属製反射板3とRFIDタグ1との距離bと、RFIDタグ1とRFIDリーダ4との読取距離Lの関係を、V字型金属製反射板3の角度aをパラメータにして示したものである。本図から、読取距離Lは、V字型金属製反射板3とRFIDタグ1との距離bが12mm〜45mmの範囲で変化するとき、V字型金属製反射板3の角度aを変化させることにより読取距離Lを拡大させ、あるいは読取距離Lを制限できることを確認できる。また、読取距離Lは、V字型金属製反射板3とRFIDタグ1との距離bが44mmでV字型金属製反射板3の角度aが110度の場合に、1150mmのピーク値が発生することが確認できる。本値は、RFIDタグ1のみでV字型金属製反射板を使用しない場合の読取距離300mmに対して、約400%となる。
【0013】
図3は、V字型金属製反射板3の角度aと、RFIDタグ1とRFIDリーダ4との読取距離Lの関係を、図2においてV字型金属製反射板3とRFIDタグ1との距離bが20mm及び44mmの場合について示したものである。本図から、RFIDタグ1とRFIDリーダ4との読取距離Lは、V字型金属製反射板3とRFIDタグ1との距離bの相違により、ピーク値が発生するV字型金属製反射板3の角度aが異なることが確認できる。V字型金属製反射板3とRFIDタグ1との距離bが20mmの場合は、読取距離Lのピーク値は、V字型金属製反射板3の角度aが150度から170度付近で発生し、その前後では緩やかな曲線で変化している。V字型金属製反射板3とRFIDタグ1との距離bが44mmの場合は、読取距離Lのピーク値は、V字型金属製反射板3の角度aが100度から120度付近で発生し、その前後では緩やかな曲線で変化している。この結果より、読取距離Lを調整したい場合には、このような曲線関係を利用することができる。このようにV字型金属製反射板3は、図2及び図3に示すように、角度a及びRFIDタグ1との距離bを変化させ、所望する読取距離Lに拡大及び制限して配置する。
【0014】
図4は、RFIDタグ1の背面に平型金属製反射板6を設置した従来の読取距離拡大方法を示す。図5は、平型金属製反射板6の配置方法に関する説明図であり、平型金属製反射板6とRFIDタグ1との距離bと、RFIDタグ1とRFIDリーダ4との読取距離Lの関係を示したものである。この時の読取距離の最大値838mmに対しても、V字型金属製反射板での最大値は約140%となる。
【0015】
すなわち、RFIDタグ1とRFIDリーダ4との読取距離Lは、V字型金属製反射板3の角度aを110度、V字型金属製反射板3とRFIDタグ1との距離bを44mmとすることにより従来の方法と比較して最大値を大幅に拡大することが出来る。また、RFIDタグ1とRFIDリーダ4との読取距離Lを最大値まで拡大する必要がない場合は、V字型金属製反射板3とRFIDタグ1との距離bを44mmより小さく、例えば20mmに設定し、ホルダの高さを低くする事ができ、コンパクトな専用ホルダを設計できる。
【0016】
ここで、専用ホルダの材質としては、セラミックス、硬質ゴム、プラスチック、ポリウレタン、木、紙等非金属が適用される。また、金属製反射板の材質としては、ステンレス、アルミニウム、鉄の金属箔または金属板が適用される。
【0017】
専用ホルダは外皮と内部充填物を変えた組合せ構造も適用される。更には内部を空洞とする構造も適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施例のリーダとRFIDタグ、V字型金属製反射板、ホルダ、貼付対象物の鳥瞰図。
【図2】図1で示す本実施例で測定した読取距離特性の説明図。
【図3】図1で示す本実施例で、距離bを一定(20mmと44mm)にし角度aを変化させ測定した読取距離特性の説明図。
【図4】従来技術のリーダとRFIDタグ、平型金属製反射板の鳥瞰図。
【図5】図5で示す実施例で測定した読取距離特性の説明図。
【符号の説明】
【0019】
1.RFIDタグ
2.ホルダ
3.V字型金属製反射板
4.RFIDリーダ
5.貼付対象物
6.平型金属製反射板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貼付対象物の情報を格納するパッシブタイプRFIDタグを搭載するとともに、マイクロ波を使い前記RFIDタグが格納する貼付対象物の情報を読み取るRFIDリーダに対するRFIDタグの背面位置にV字型金属製反射板を設置したRFIDタグホルダ。
【請求項2】
前記V字型金属製反射板のV字角度の変更が可能であり、前記RFIDリーダの読取距離に応じて、前記V字型金属製反射板のV字角度が90度〜170度の間で選択される請求項1記載のRFIDタグホルダ。
【請求項3】
前記V字型金属製反射板と前記RFIDタグとの距離の変更が可能であり、前記マイクロ波の波長が2.45GHzで、前記RFIDリーダの読取距離に応じて、前記V字型金属製反射板とRFIDタグとの距離が12mm〜45mmの間で選択される請求項1記載のRFIDタグホルダ。
【請求項4】
パッシブタイプRFIDタグが格納する情報を、マイクロ波を使って読み取るRFIDリーダに対する前記RFIDタグの背面位置に設置されたV字型金属製反射板の角度を、前記RFIDリーダの読取距離に応じて変更し、前記読取距離を制限するRFIDタグ読取距離制限方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−146472(P2008−146472A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−334712(P2006−334712)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(504005781)株式会社日立プラントメカニクス (16)
【Fターム(参考)】