RFIDタグ及びRFIDタグを搭載した電子機器
【課題】有線用の端子や配線によるタグの形状や小型化の制約を軽減すると共に、有線は通常のデジタル信号、無線はRF信号を使用可能とする、有線・無線共用RFIDタグを提供する。
【解決手段】電源用アンテナ21上に有線用電源端子23,24を配置して、該端子32,24からRFIDチップ20までの電源配線をアンテナ21の配線と共用する。また、通信用アンテナ22上に有線用通信端子25,26を配置して、該端子25,26からRFIDチップ20までの有線通信配線をアンテナ22の配線と共用する。さらに、アンテナ21,22上に高周波整合部品28,29を設けて、有線時、アンテナ21,22の配線を分離する。
【解決手段】電源用アンテナ21上に有線用電源端子23,24を配置して、該端子32,24からRFIDチップ20までの電源配線をアンテナ21の配線と共用する。また、通信用アンテナ22上に有線用通信端子25,26を配置して、該端子25,26からRFIDチップ20までの有線通信配線をアンテナ22の配線と共用する。さらに、アンテナ21,22上に高周波整合部品28,29を設けて、有線時、アンテナ21,22の配線を分離する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有線・無線共用のRFIDタグ及び該RFIDタグを搭載した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製品や部品などの識別コードやその他、必要な情報を記録して、無線で管理システムと情報を送受信する機能をもつRFID(Radio Frequency Indentity)タグが注目されている。例えば、複写機やプリンタなどにおいて、トナーボトル等にRFIDタグを取り付け、識別コードに加えて、使用状態などを記録して、回収や点検時に無線通信にて確認を行うことで、メンテナンス等の向上を図ることができる。しかしながら、機器内部で動作している場合に無線通信を行うと、不要輻射の問題や、場合によっては電波法抵触の問題などが生じる。
【0003】
そこで、RFIDタグを有線・無線共用として、機器内部では有線によりRFIDタグを制御し、RFIDタグ取付け部品が機器から取り外されている場合に、無線で管理システムと情報を送受信することが知られている。しかし、従来のこの種の有線・無線共用のRFIDタグは、端子や配線等が無線用と有線用で明確に分離しているのが一般的で、有線用の端子や配線等によりタグの形状や小型化に制約があった。
【0004】
なお、特許文献1には、無線用アンテナから有線用の配線を引き出して有線用端子と接続することで、簡単な構成で有線・無線共用の送受信を可能にしたRFIDタグが開示されている。しかしながら、このRFIDタグでは、機器本体とRFIDタグとの間の有線信号は、無線で使用するアナログ信号(RF信号)と同一にする必要があり、機器側に該アナログ信号に変換する機構を必要とする。機器本体とRFIDタグとの間の有線信号を、機器側で使用する通常のデジタル信号とすると、RFIDタグ側にデジタル信号をアナログ信号に変換する機構が必要になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、有線用の端子や配線等によるタグの形状や小型化の制約を軽減することができる有線・無線共用のRFIDタグ及び該RFIDタグを搭載した電子機器を提供することを目的とする。
【0006】
さらに、本発明は、有線は機器で使用する通常のデジタル信号、無線はRF信号とすることができる有線・無線共用のRFIDタグ及び該RFIDタグを搭載した電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、有線・無線共用のRFIDタグにおいて、無線用アンテナの配線を有線用の配線に共用し、且つ、有線時に無線用アンテナの配線が分離されるようにする。そして、必要なら有線用端子を無線用アンテナ上に配置する。
【0008】
無線用アンテナが電源用アンテナと通信用アンテナからなる場合には、電源用アンテナの配線を有線電源用配線に共用し、通信用アンテナの配線を有線通信用配線に共用する。無線用アンテナが電源・通信兼用アンテナからなる場合には、電源・通信兼用アンテナの配線を有線電源用配線又は有線通信用配線に共用する。
【0009】
無線用アンテナは、ループアンテナ、ダイポールアンテナ、平面パッチアンテナのいずれを使用してもよい。ループアンテナを使用する場合には、ループアンテナ上に、有線時に該ループアンテナの経路を分離する分離手段を設けるようにする。ダイポールアンテナや平面パッチアンテナの場合には、このような分離手段は不要である。
【0010】
分離手段には、例えば、高周波数ではリアクタンスが略ゼロを示し、低周波数ではリアクタンスが大きくなる高周波整合部品を使用する。あるいは、当該RFIDタグが機器内に搭載されるとOFF、取り外されるとONとするメカニカルスイッチを使用することでもよい。
【0011】
また、本発明は、このようなRFIDタグが搭載されている電子機器を特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の有線・無線共用のRFIDタグによれば、無線用アンテナの配線を有線用の配線に共用することで、タグの形状や小型化の制約を軽減することが可能になる。また、有線時には、無線用アンテナの配線は分離されるため、共用部分を無線時と有線時で明確に分離することができ、有線は機器で使用する通常のデジタル信号、無線はアナログ信号(RF信号)とすることが可能になる。
【0013】
本発明の有線・無線共用のRFIDタグを搭載した電子機器によれば、機器側にデジタル信号をアナログ信号(RF信号)に変換するインタフェース機構等を設ける必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来の有線・無線共用RFIDタグの構成例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の有線・無線共用RFIDタグの全体構成図である。
【図3】高周波整合部品の周波数特性の一例を示す図である。
【図4】図2のRFIDチップ内の電源系統の概略構成を示す図である。
【図5】図2のRFIDチップ内の通信系統の概略構成を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の有線・無線共用RFIDタグの全体構成図である。
【図7】図6のRFIDチップ内の電源・通信系統の概略構成を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施形態の有線・無線共用RFIDタグの全体構成図である。
【図9】本発明の第4の実施形態の有線・無線共用RFIDタグの全体構成図である。
【図10】本発明の有線・無線共用RFIDタグを内蔵した電子機器の構成例を示す図である。
【図11】本発明の有線・無線共用RFIDタグを含むユニットを電子機器から取り外した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
はじめに、図1により従来の有線・無線共用型のRFIDタグについて説明する。図1において、10はRFIDチップであり、当該RFIDタグ1が取り付けられた部品等の識別コード、その他、必要な情報を記録している。11,12は無線通信用アンテナで、例えば、11は電源用アンテナ、12は通信用アンテナである。ここでは、無線通信用アンテナは、電源用と通信用に分けられたタイプを示したが、一つのアンテナとするタイプもある。13,14は有線用電源端子、15,16,17は有線用通信端子である。ここでは、有線は3線式としたが、3線式や1線式でもよく、端子数が異なるだけである。
【0016】
有線通信時、RFIDタグ1の端子13,14,15,16,17がケーブルなどで機器側と有線接続される。この時、RFIDチップ10は、機器側から端子13,14を通して電力(直流)の供給を受けて動作し、端子15,16,17を通して、機器側との間で情報の送受信が有線で行われる。また、無線通信時は、管理システムなどの外部装置からの無線波の電力をアンテナ11で受信し、これをRFIDチップ10内で整流して、該RFIDチップ10の動作に必要な直流電源を得る。そして、RFIDチップ10と管理しステップなどの外部装置との間でアンテナ12を通して、情報の送受信が無線で行われる。
【0017】
このように、図1の構成では、無線用と有線用とが明確に分離しているため、有線通信時に機器側で使用する通常のデジタル信号をそのまま利用することが可能で、特許文献1に記載のRFIDタグのような問題はないが、有線用の端子や配線により、タグの形状や小型化に制約があった。
【0018】
本発明は、RFIDを有線・無線共用とするに際して、無線用アンテナの配線を有線用の配線と共用し、且つ、有線時には通常のデジタル・インタフェースとして機能し、無線時には本来のアンテナとして機能させることが特徴となっている。以下に、本発明の実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0019】
図2に、本発明に係る有線・無線共用のRFIDタグの第1の実施形態の構成図を示す。図2において、RFIDタグ2は、RFIDチップ20、電源用アンテナ21、通信用アンテナ22、有線用電源端子23,24、有線用通信端子25,26,27、高周波整合部品28,29からなる。ここで、有線用電源端子23,24は電源用アンテナ21上に配置して、該電源端子23,24からRFIDチップ20までの電源配線をアンテナ21の配線と共用する。また、有線用通信端子25,26,27のうち、端子25,26は通信用アンテナ22上に配置して、該端子25,26からRFIDチップ20までの有線通信配線をアンテナ22の配線と共用する。このままでは、有線通信時、端子23と24の間、端子25と26の間が短絡状態となるので、それを防ぐためにアンテナ21,22上に高周波整合部28,29を設けて、線路が分離されるようにする。すなわち、高周波整合部28,19は、有線時にアンテナ(ループアンテナ)21,22の線路を分離する分離手段として機能する。
【0020】
高周波整合部品28,29には、例えばチップコンデンサを利用する。図3には、高周波整合部品28,29の特性の一例を示す。これは、RFIDタグ2の無線通信時の使用周波数を900MHzとした例である。すなわち、900MHzの周波数では、高周波整合部品28,29のリアクタンスが略0Ωを示すため、該高周波整合部品28,29はNO状態となり、アンテナ21,22は通常のアンテナとして機能する。一方、900MHzより低周波数では、高周波整合部品28,29のリアクタンス成分が大きくなるため、該高周波数整合部品28はOFF状態となり、アンテナ21,22の配線は分離される。すなわち、アンテナ21では、端子23とRFIDチップ20の間、及び端子24とRFIDチップ20の間がそれぞれ別線路として機能する。同様に、アンテナ22では、端子25とIDチップ20の間、端子26とIDチップ20の間が、それぞれ別線路として機能する。
【0021】
図2に戻り、有線通信時、RFIDタグ2の端子23,24,25,26,27がケーブルなどで機器側と有線接続される。この時、端子23,24に機器側から電力が供給されるが、該電力は直流であるため、高周波整合部品28はOFF状態をとる。したがって、端子23,24の短絡が防止され、該端子23,24の直流電力がそのままRFIDチップ20に送られる。また、この有線通信時、端子25,26,27を通して、RFIDチップ20と機器側との間で情報の送受信が行われるが、一般に有線時の信号は低周波数であるため(機器で使用する通常のデジタル信号がそのまま利用される)、高周波整合部29はOFF状態をとる。したがって、端子25,26の短絡が防止され、端子25,26及び端子27を使用して、機器側とRFIDチップ20との間で有線で情報(デジタル信号)の送受信を支障なく行うことができる。
【0022】
一方、無線通信時は、例えば900MHzなどの高周波数帯が使用されるため、高周波整合部品28,29はON状態となり、アンテナ21,22は通常のアンテナとして機能する。したがって、外部装置からの無線波の電力をアンテナ21で受信して、RFIDチップ20に供給することができる。また、アンテナ22を通して、外部装置とRFIDチップ20との間で情報の送受信を無線で行うことができる。
【0023】
図4に、本実施例における電源用アンテナ21とRFIDチップ20内の電源系統の概略構成を示す。通常、RFIDチップ20は、無線波より直流成分を取り出す整流回路201を持っている。電源用アンテナ21の両端が、該RFIDチップ20内の整流回路201にそのまま接続される。有線通信時、電源用アンテナ21上の端子23,24がケーブルなどで機器側と接続され、機器側から端子23,24に電力が供給される。この機器側からの電力は直流であり、周波数は限りなく0Hzに近いため、アンテナ21は高周波整合部品28で分離される。したがって、端子23,24の直流電力は、アンテナ21の配線を通って整流回路201をそのままスルーし、IDチップ20内にそのまま供給される。一方、無線通信時は、外部装置などから無線波で電力がRFIDタグへ供給される。ここで、無線波の周波数は例えば900MHzであるため、高周波整合部品28はON状態となり、アンテナ21はそのまま電源用アンテナとして機能する。したがって、外部装置からの無線波の電力はアンテナ21で受信され、これが整流回路201で整流されて、RGIDチップ20内に直流電力が供給される。
【0024】
図5に、本実施例における通信用アンテナ22とRFIDチップ20内の通信系統の概略構成を示す。RFIDチップ20は、スイッチ回路202,203、増幅回路204などを有している。他に、変復調回路や、CPU,ROM,RAM等のデジタル回路があるが、図5では省略している。通信用アンテナ22の両端は、RFIDチップ20内のスイッチ回路202,203の一端にそれぞれ接続される。スイッチ回路202,203の他端は、通常は増幅回路204に接続されているが、端子27のSEL信号により増幅回路204と分離される。図5はこの状態を示している。
【0025】
有線通信時、通信用アンテナ22上の端子25,26及び端子27がケーブルなどで機器側と接続される。ここでは、端子26をデータ信号端子、25,27を制御信号端子とする。有線通信の際、端子27の制御信号(SEL信号)により、スイッチ回路202,203がOFFされ、増幅回路204が分離される。また、有線時の信号は低周波であるため、アンテナ22は高周波整合部品29で分離される。したがって、機器側からの制御信号(クロック等)は、端子25からスイッチ回路202を通ってそのままデジタル回路に送られる。また、機器側からのデータは、端子26からスイッチ回路203を通ってそのままデジタル回路に送られる。デジタル回路からのデータは、この逆の経路で機器側に送られる。
【0026】
無線通信時は、例えば900MHzなどの高周波帯で使用されるため、高周波整合部品29はON状態をとり、アンテナ22はそのまま通信用アンテナとして機能する。また、スイッチ回路202,203は増幅回路204の側に切り替わる。したがって、外部装置からの無線信号はアンテナ22で受信され、スイッチ202,203、増幅回路204の経路で出力される。増幅回路204の出力信号(RF信号)は、復調回路で復調された後、制御信号やデータ信号が分離されデジタル回路に送られる。図5では省略したが、RFIDチップ20から外部装置への送信の場合は、変調回路でデータや制御信号等を含むRF信号が組み立てられ、スイッチ回路202,203を通ってアンテナ22から外部装置へ送信されることになる。
【0027】
この実施形態によれば、有線は通常のデジタル信号による通信が可能で、機器側と通常のI2C(Inter Integrated Circuit)等の有線規格による接続が可能となるので、RFID側や機器側で特別の機構が必要なくなる。さらに、無線用アンテナの配線を有線用の配線と共用するので、図1に示したような従来の有線・無線型のRFIDタグに比べて、タグの形状や小型化の制約を軽減することができる。
【0028】
アンテナは通常、銅箔等の導電体で作られており、十分な太さが確保できる場合には、アンテナ部に保護膜等を施さず、銅箔部を露出させることより、そのまま有線用端子部として利用可能である。また、太さや大きさが必要な場合には、アンテナ特性に影響がない範囲で自由に端子形成部の大きさ等を変えることで、容易に端子部とすることが可能である。
【0029】
なお、図2では、有線時の無線用アンテナの線路を分離する手段として、チップコンデンサなどの高周波整合部品を使用することしたが、メカニカル機構により、RFIDタグが機器内に取り付けられている時にはOFF、取り外されることによりONするようなスイッチ部品で代用することでもよい。
【実施例2】
【0030】
図6に、本発明に係る有線・無線共用のRFIDタグの第2の実施形態の構成図を示す。本実施形態は、無線アンテナに電源・通信兼用の一つのアンテナを使用する場合の例である。
【0031】
図6において、RFIDタグ3は、RFIDチップ30、電源・通信兼用アンテナ(ループアンテナ)31、有線用電源端子32,33、有線用通信端子34,35,36、高周波整合部品37からなる。ここで、有線用通信端子34,35,36のうち、端子34,35はアンテナ31上に配置して、該端子34,35からIDチップ30までの有線通信用配線をアンテナ31の配線と共用する。高周波整合部品37の機能は実施例1の場合と同様である。
【0032】
有線通信時、RFIDタグ3の端子32,33,34,35,36がケーブルなどで機器側と有線接続される。この時、端子32,33に機器側から直流電力が供給され、そのままRFIDチップ30に送られる。また、この有線通信時、高周波整合部37はOFF状態をとる。したがって、先の実施例1と同様に、端子34,35及び有線36を使用して、機器側とRFIDチップ30との間で有線で情報(デジタル信号)の送受信を支障なく行うことができる。
【0033】
一方、無線通信時は高周波整合部品37がON状態をとり、電源・通信兼用アンテナ31は通常のアンテナとして機能する。この場合、外部装置からの無線波が電源・通信兼用アンテナ31で受信され、RFIDチップ30内で整流されて、RFIDチップ30が動作可能となる。また、電源・通信兼用アンテナ31を通して、外部装置とRFIDチップ30との間で情報の送受信が無線で行われる。
【0034】
図7に、本実施例における電源・通信兼用アンテナとRFIDチップ30内の概略構成を示す。ここでも、RFIDチップ30は、無線波より直流成分を取り出す整流回路301を持っている。該整流回路301の出力側に、有線用電源端子32,33が接続される。通信系の構成は、実施例1の図5と同じである。すなわち、電源・通信兼用アンテナ31の両端が、RFIDチップ30内のスイッチ回路302,303の一端にそれぞれ接続され、スイッチ回路302,303の他端は、通常は増幅回路304に接続されるが、端子36のSEL信号により増幅回路304と分離される。RFIDチップ30内には、変復調回路やデジタル回路などがあるが、図7でも省略している。
【0035】
有線通信時、端子32〜36がケーブルなどで機器と接続されている。この時、機器側から端子32,33に直流電力が供給され、これがそのままRFIDチップ30内に送られる。この有線通信時、高周波整合部品37はOFF状態をとる。また、端子36の制御信号(SEL信号)により、スイッチ回路302,303がOFFされ、増幅回路304が分離される。したがって、機器側からの制御信号(クロック等)は、端子34からスイッチ回路302を通ってそのままRFIDチップ30内に送出される。また、機器側からのデータは、端子35からスイッチ回路303を通って、同様にそのままRFIDチップ30内に送出され、RFIDチップ30内からのデータは、その逆の経路で機器側に送出される。
【0036】
一方、無線通信時は、高周波整合部品37はON状態をとり、電源・通信兼用アンテナとして機能する。また、スイッチ回路302,303は増幅回路304の側に切り替わる。したがって、外部装置からの無線波が電源・通信兼用アンテナ31で受信され、これが整流回路301で整流されて、RFIDチップ30内に直流電力が供給される。また、該電源・通信兼用アンテナ31のRF受信信号は、スイッチ302,303、増幅回路304の経路でRFIDチップ30内に送出される(RF出力)。また、RFIDチップ30内からのRF送信信号は、同様にスイッチ302,303を通って電源・通信兼用アンテナ37から外部装置へ送出される。
【0037】
なお、ここでは、32,33を有線用電源端子としたが、34,35を有線用電源端子として、32,33及び36を有線用通信端子とすることでもよい。また、高周波整合部品37は、先に述べたように、メカニカル機構により、RFIDタグが機器内に取り付けられているときにはOFF、取り外されることによりONするようなスイッチ部品で代用することでもよい。
【0038】
以上の通り、電源・通信兼用の一つのアンテナを使用するRFIDタグにおいても、有線用の電源端子あるいは通信端子にアンテナの配線を利用することで、実施例1と同様の作用効果が得られる。
【実施例3】
【0039】
図8に、本発明に係る有線・無線共用のRFIDタグの第3の実施形態の構成図を示す。先の実施例1,2は、アンテナをループアンテナにした場合であったが、本実施形態はダイポール形式にした場合の例である。
【0040】
図8において、RFIDタグ4は、RFIDチップ40、電源用ダイポールアンテナ41、通信用ダイポールアンテナ42、有線用電源端子43,44、有線用通信端子45,46,47からなる。ここで、有線用電源端子43,44を電源用ダイポールアンテナ41上にそれぞれ配置して、該電源端子43,44からRFIDチップ40までの電源配線をダイポールアンテナ41の配線とそれぞれ共用する。また、有線用通信端子45,46,47のうち、端子45,46を通信用ダイポールアンテナ42上にそれぞれ配置して、端子45,46からRFIDチップ40までの有線通信配線をダイポールアンテナ42の配線とそれぞれ共用する。本実施形態では、高周波整合部品は不要である。
【0041】
RFIDチップ40内の構成は図4と及び図5と同じであるので、図示は省略する。
【0042】
なお、図8では、ダイポールアンテナを電源用と通信用に分けるタイプを示したが、先の実施例2と同様に、電源・通信兼用の一つのダイポールアンテナとすることも可能である。その場合の構成は図6、図7と同様であるので省略する。
【0043】
本実施形態では、先の実施例1や2における高周波整合部品などの分離手段が不要であるため、RFIDタグの構成が更に簡単化できる。
【実施例4】
【0044】
図9に、本発明に係る有線・無線共用のRFIDタグの第4の実施形態の構成図を示す。本実施形態はアンテナを平面パッチアンテナにした場合の例である。
【0045】
図9において、RFIDタグ5は、RFIDチップ50、電源用パッチアンテナ51、通信用パッチアンテナ55を有している。電源用パッチアンテナ51は表面パッチ部52、裏面パッチ部53、及び、該裏面パッチ部53とスルーホール54を介して接続されたグランド端子55からなる。同様に、通信用パッチアンテナ56は表面パッチ部57、裏面パッチ部58、及び、該裏面パッチ部58とスルーホール59を介して接続されたグランド端子60からなる。ここで、パッチ部は四角形としたが、丸形やその他の形状でもよい。
【0046】
パッチアンテナは通常、一辺がλ/4〜λ/2の長さが得られるため、有線用端子としての大きさが十分確保でき、パッチ部そのものを有線用端子に使用することができる。
【0047】
図9においては、2個のパッチアンテナ51,56のパッチ52,57をそのまま有線用端子として、これらと端子61により有線時の通信が可能である。なお、図9では、有線時の電源線用の端子を設けていないが、機器側からのデジタル信号にDCオフセットとしてDC成分を載せ、信号成分を容量素子により分離することにより、電源と信号を1本の有線で送ることが可能になる。
【実施例5】
【0048】
図10、図11に、本発明の有線・無線共用のRFIDタグを搭載した電子機器の一例
示す。ここでは、実施例1のRFIDタグ2を使用する場合を示しているが、実施例2乃至4のRFIDタグを使用する場合も基本的に同様である。
【0049】
図10は、本発明の有線・無線共用のRFIDタグ2が電子機器内に搭載されて使用される場合を示したものである。図10において、1000は電子機器本体であり、メインコントローラとしてのマイクロコンピュータ・ユニット(MCU)1001、電源1002、種々の制御部1003、通信網などとのインタフェース部(I/F)1004、及び、着脱可能なユニット1005などを具備している。
【0050】
電子機器1000は、例えばデジタル複写機や複合機であり、着脱可能なユニット1005はトナーカートリッジや感光体などの交換ユニットである。勿論、電子機器1000は、デジタル複写機や複合機に限られるものではなく、プリンタ、ファクシミリ、その他の機器であってもよい。
【0051】
ここで、着脱可能なユニット1005に、本発明の有線・無線共用のRFIDタグ2が取り付けられている。そして、該ユニット1005が電子機器1000内部にセットされて使用される場合、RFIDタグ2上の有線用端子23〜27が、ケーブル(ハーネス等)1010によりMCU1001と接続される。この場合、MCU1001からケーブル1010により直流電力が供給され、それがアンテナ21の配線を利用してRFIDチップ20内に送られる。また、MCU1001とRFIチップ20との間で情報の送受信はケーブル1010、端子25,26,27の経路で行われる。この場合、端子25,26とRFIDチップ20と間は、アンテナ22の配線が利用される。この有線通信時、高周波整合部品28,29はOFF状態にある。
【0052】
図11は、着脱可能なユニット1005が電子機器1000から取り場された場合を示したものである。この場合、RFIDタグ2は、高周波整合部品28,29がON状態をとり、アンテナ21,22が本来のアンテナとして機能する。
【0053】
図11において、2000は外部装置としての無線通信機で、管理システムなどの構成の一部として機能する。該無線通信機2000から送信された無線波の電力がRFIDタグ2のアンテナ21で受信されて、RFIDチップ20内に送られ、RFIDチップ20内で直流電源を生成することで、RFIDチップ20が動作可能となる。無線通信機2000とRFIDチップ20との間の情報の送受信は、アンテナ22を使用して無線で行われる。
【0054】
以上、本発明の種々の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0055】
2 RFIDタグ
20 RFIDチップ
21 電源用アンテナ
22 通信用アンテナ
23〜27 有線用端子
28,29 高周波整合部品
3 RFIDタグ
30 RFIDチップ
31 電源・通信兼用アンテナ
32〜36 有線用端子
37 高周波整合部品
4 RFIDタグ
40 RFIDチップ
41,42 ダイポールアンテナ
43〜47 有線用端子
5 RFIDタグ
50 RFIDチップ
51,56 平面パーチアンテナ
52,57 有線端子兼用パッチ部
1000 電子機器
1001 MCU
1005 着脱可能ユニット
1010 ケーブル
2000 通信機
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】
【特許文献1】特開2005−148632号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、有線・無線共用のRFIDタグ及び該RFIDタグを搭載した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製品や部品などの識別コードやその他、必要な情報を記録して、無線で管理システムと情報を送受信する機能をもつRFID(Radio Frequency Indentity)タグが注目されている。例えば、複写機やプリンタなどにおいて、トナーボトル等にRFIDタグを取り付け、識別コードに加えて、使用状態などを記録して、回収や点検時に無線通信にて確認を行うことで、メンテナンス等の向上を図ることができる。しかしながら、機器内部で動作している場合に無線通信を行うと、不要輻射の問題や、場合によっては電波法抵触の問題などが生じる。
【0003】
そこで、RFIDタグを有線・無線共用として、機器内部では有線によりRFIDタグを制御し、RFIDタグ取付け部品が機器から取り外されている場合に、無線で管理システムと情報を送受信することが知られている。しかし、従来のこの種の有線・無線共用のRFIDタグは、端子や配線等が無線用と有線用で明確に分離しているのが一般的で、有線用の端子や配線等によりタグの形状や小型化に制約があった。
【0004】
なお、特許文献1には、無線用アンテナから有線用の配線を引き出して有線用端子と接続することで、簡単な構成で有線・無線共用の送受信を可能にしたRFIDタグが開示されている。しかしながら、このRFIDタグでは、機器本体とRFIDタグとの間の有線信号は、無線で使用するアナログ信号(RF信号)と同一にする必要があり、機器側に該アナログ信号に変換する機構を必要とする。機器本体とRFIDタグとの間の有線信号を、機器側で使用する通常のデジタル信号とすると、RFIDタグ側にデジタル信号をアナログ信号に変換する機構が必要になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、有線用の端子や配線等によるタグの形状や小型化の制約を軽減することができる有線・無線共用のRFIDタグ及び該RFIDタグを搭載した電子機器を提供することを目的とする。
【0006】
さらに、本発明は、有線は機器で使用する通常のデジタル信号、無線はRF信号とすることができる有線・無線共用のRFIDタグ及び該RFIDタグを搭載した電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、有線・無線共用のRFIDタグにおいて、無線用アンテナの配線を有線用の配線に共用し、且つ、有線時に無線用アンテナの配線が分離されるようにする。そして、必要なら有線用端子を無線用アンテナ上に配置する。
【0008】
無線用アンテナが電源用アンテナと通信用アンテナからなる場合には、電源用アンテナの配線を有線電源用配線に共用し、通信用アンテナの配線を有線通信用配線に共用する。無線用アンテナが電源・通信兼用アンテナからなる場合には、電源・通信兼用アンテナの配線を有線電源用配線又は有線通信用配線に共用する。
【0009】
無線用アンテナは、ループアンテナ、ダイポールアンテナ、平面パッチアンテナのいずれを使用してもよい。ループアンテナを使用する場合には、ループアンテナ上に、有線時に該ループアンテナの経路を分離する分離手段を設けるようにする。ダイポールアンテナや平面パッチアンテナの場合には、このような分離手段は不要である。
【0010】
分離手段には、例えば、高周波数ではリアクタンスが略ゼロを示し、低周波数ではリアクタンスが大きくなる高周波整合部品を使用する。あるいは、当該RFIDタグが機器内に搭載されるとOFF、取り外されるとONとするメカニカルスイッチを使用することでもよい。
【0011】
また、本発明は、このようなRFIDタグが搭載されている電子機器を特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の有線・無線共用のRFIDタグによれば、無線用アンテナの配線を有線用の配線に共用することで、タグの形状や小型化の制約を軽減することが可能になる。また、有線時には、無線用アンテナの配線は分離されるため、共用部分を無線時と有線時で明確に分離することができ、有線は機器で使用する通常のデジタル信号、無線はアナログ信号(RF信号)とすることが可能になる。
【0013】
本発明の有線・無線共用のRFIDタグを搭載した電子機器によれば、機器側にデジタル信号をアナログ信号(RF信号)に変換するインタフェース機構等を設ける必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来の有線・無線共用RFIDタグの構成例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の有線・無線共用RFIDタグの全体構成図である。
【図3】高周波整合部品の周波数特性の一例を示す図である。
【図4】図2のRFIDチップ内の電源系統の概略構成を示す図である。
【図5】図2のRFIDチップ内の通信系統の概略構成を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の有線・無線共用RFIDタグの全体構成図である。
【図7】図6のRFIDチップ内の電源・通信系統の概略構成を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施形態の有線・無線共用RFIDタグの全体構成図である。
【図9】本発明の第4の実施形態の有線・無線共用RFIDタグの全体構成図である。
【図10】本発明の有線・無線共用RFIDタグを内蔵した電子機器の構成例を示す図である。
【図11】本発明の有線・無線共用RFIDタグを含むユニットを電子機器から取り外した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
はじめに、図1により従来の有線・無線共用型のRFIDタグについて説明する。図1において、10はRFIDチップであり、当該RFIDタグ1が取り付けられた部品等の識別コード、その他、必要な情報を記録している。11,12は無線通信用アンテナで、例えば、11は電源用アンテナ、12は通信用アンテナである。ここでは、無線通信用アンテナは、電源用と通信用に分けられたタイプを示したが、一つのアンテナとするタイプもある。13,14は有線用電源端子、15,16,17は有線用通信端子である。ここでは、有線は3線式としたが、3線式や1線式でもよく、端子数が異なるだけである。
【0016】
有線通信時、RFIDタグ1の端子13,14,15,16,17がケーブルなどで機器側と有線接続される。この時、RFIDチップ10は、機器側から端子13,14を通して電力(直流)の供給を受けて動作し、端子15,16,17を通して、機器側との間で情報の送受信が有線で行われる。また、無線通信時は、管理システムなどの外部装置からの無線波の電力をアンテナ11で受信し、これをRFIDチップ10内で整流して、該RFIDチップ10の動作に必要な直流電源を得る。そして、RFIDチップ10と管理しステップなどの外部装置との間でアンテナ12を通して、情報の送受信が無線で行われる。
【0017】
このように、図1の構成では、無線用と有線用とが明確に分離しているため、有線通信時に機器側で使用する通常のデジタル信号をそのまま利用することが可能で、特許文献1に記載のRFIDタグのような問題はないが、有線用の端子や配線により、タグの形状や小型化に制約があった。
【0018】
本発明は、RFIDを有線・無線共用とするに際して、無線用アンテナの配線を有線用の配線と共用し、且つ、有線時には通常のデジタル・インタフェースとして機能し、無線時には本来のアンテナとして機能させることが特徴となっている。以下に、本発明の実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0019】
図2に、本発明に係る有線・無線共用のRFIDタグの第1の実施形態の構成図を示す。図2において、RFIDタグ2は、RFIDチップ20、電源用アンテナ21、通信用アンテナ22、有線用電源端子23,24、有線用通信端子25,26,27、高周波整合部品28,29からなる。ここで、有線用電源端子23,24は電源用アンテナ21上に配置して、該電源端子23,24からRFIDチップ20までの電源配線をアンテナ21の配線と共用する。また、有線用通信端子25,26,27のうち、端子25,26は通信用アンテナ22上に配置して、該端子25,26からRFIDチップ20までの有線通信配線をアンテナ22の配線と共用する。このままでは、有線通信時、端子23と24の間、端子25と26の間が短絡状態となるので、それを防ぐためにアンテナ21,22上に高周波整合部28,29を設けて、線路が分離されるようにする。すなわち、高周波整合部28,19は、有線時にアンテナ(ループアンテナ)21,22の線路を分離する分離手段として機能する。
【0020】
高周波整合部品28,29には、例えばチップコンデンサを利用する。図3には、高周波整合部品28,29の特性の一例を示す。これは、RFIDタグ2の無線通信時の使用周波数を900MHzとした例である。すなわち、900MHzの周波数では、高周波整合部品28,29のリアクタンスが略0Ωを示すため、該高周波整合部品28,29はNO状態となり、アンテナ21,22は通常のアンテナとして機能する。一方、900MHzより低周波数では、高周波整合部品28,29のリアクタンス成分が大きくなるため、該高周波数整合部品28はOFF状態となり、アンテナ21,22の配線は分離される。すなわち、アンテナ21では、端子23とRFIDチップ20の間、及び端子24とRFIDチップ20の間がそれぞれ別線路として機能する。同様に、アンテナ22では、端子25とIDチップ20の間、端子26とIDチップ20の間が、それぞれ別線路として機能する。
【0021】
図2に戻り、有線通信時、RFIDタグ2の端子23,24,25,26,27がケーブルなどで機器側と有線接続される。この時、端子23,24に機器側から電力が供給されるが、該電力は直流であるため、高周波整合部品28はOFF状態をとる。したがって、端子23,24の短絡が防止され、該端子23,24の直流電力がそのままRFIDチップ20に送られる。また、この有線通信時、端子25,26,27を通して、RFIDチップ20と機器側との間で情報の送受信が行われるが、一般に有線時の信号は低周波数であるため(機器で使用する通常のデジタル信号がそのまま利用される)、高周波整合部29はOFF状態をとる。したがって、端子25,26の短絡が防止され、端子25,26及び端子27を使用して、機器側とRFIDチップ20との間で有線で情報(デジタル信号)の送受信を支障なく行うことができる。
【0022】
一方、無線通信時は、例えば900MHzなどの高周波数帯が使用されるため、高周波整合部品28,29はON状態となり、アンテナ21,22は通常のアンテナとして機能する。したがって、外部装置からの無線波の電力をアンテナ21で受信して、RFIDチップ20に供給することができる。また、アンテナ22を通して、外部装置とRFIDチップ20との間で情報の送受信を無線で行うことができる。
【0023】
図4に、本実施例における電源用アンテナ21とRFIDチップ20内の電源系統の概略構成を示す。通常、RFIDチップ20は、無線波より直流成分を取り出す整流回路201を持っている。電源用アンテナ21の両端が、該RFIDチップ20内の整流回路201にそのまま接続される。有線通信時、電源用アンテナ21上の端子23,24がケーブルなどで機器側と接続され、機器側から端子23,24に電力が供給される。この機器側からの電力は直流であり、周波数は限りなく0Hzに近いため、アンテナ21は高周波整合部品28で分離される。したがって、端子23,24の直流電力は、アンテナ21の配線を通って整流回路201をそのままスルーし、IDチップ20内にそのまま供給される。一方、無線通信時は、外部装置などから無線波で電力がRFIDタグへ供給される。ここで、無線波の周波数は例えば900MHzであるため、高周波整合部品28はON状態となり、アンテナ21はそのまま電源用アンテナとして機能する。したがって、外部装置からの無線波の電力はアンテナ21で受信され、これが整流回路201で整流されて、RGIDチップ20内に直流電力が供給される。
【0024】
図5に、本実施例における通信用アンテナ22とRFIDチップ20内の通信系統の概略構成を示す。RFIDチップ20は、スイッチ回路202,203、増幅回路204などを有している。他に、変復調回路や、CPU,ROM,RAM等のデジタル回路があるが、図5では省略している。通信用アンテナ22の両端は、RFIDチップ20内のスイッチ回路202,203の一端にそれぞれ接続される。スイッチ回路202,203の他端は、通常は増幅回路204に接続されているが、端子27のSEL信号により増幅回路204と分離される。図5はこの状態を示している。
【0025】
有線通信時、通信用アンテナ22上の端子25,26及び端子27がケーブルなどで機器側と接続される。ここでは、端子26をデータ信号端子、25,27を制御信号端子とする。有線通信の際、端子27の制御信号(SEL信号)により、スイッチ回路202,203がOFFされ、増幅回路204が分離される。また、有線時の信号は低周波であるため、アンテナ22は高周波整合部品29で分離される。したがって、機器側からの制御信号(クロック等)は、端子25からスイッチ回路202を通ってそのままデジタル回路に送られる。また、機器側からのデータは、端子26からスイッチ回路203を通ってそのままデジタル回路に送られる。デジタル回路からのデータは、この逆の経路で機器側に送られる。
【0026】
無線通信時は、例えば900MHzなどの高周波帯で使用されるため、高周波整合部品29はON状態をとり、アンテナ22はそのまま通信用アンテナとして機能する。また、スイッチ回路202,203は増幅回路204の側に切り替わる。したがって、外部装置からの無線信号はアンテナ22で受信され、スイッチ202,203、増幅回路204の経路で出力される。増幅回路204の出力信号(RF信号)は、復調回路で復調された後、制御信号やデータ信号が分離されデジタル回路に送られる。図5では省略したが、RFIDチップ20から外部装置への送信の場合は、変調回路でデータや制御信号等を含むRF信号が組み立てられ、スイッチ回路202,203を通ってアンテナ22から外部装置へ送信されることになる。
【0027】
この実施形態によれば、有線は通常のデジタル信号による通信が可能で、機器側と通常のI2C(Inter Integrated Circuit)等の有線規格による接続が可能となるので、RFID側や機器側で特別の機構が必要なくなる。さらに、無線用アンテナの配線を有線用の配線と共用するので、図1に示したような従来の有線・無線型のRFIDタグに比べて、タグの形状や小型化の制約を軽減することができる。
【0028】
アンテナは通常、銅箔等の導電体で作られており、十分な太さが確保できる場合には、アンテナ部に保護膜等を施さず、銅箔部を露出させることより、そのまま有線用端子部として利用可能である。また、太さや大きさが必要な場合には、アンテナ特性に影響がない範囲で自由に端子形成部の大きさ等を変えることで、容易に端子部とすることが可能である。
【0029】
なお、図2では、有線時の無線用アンテナの線路を分離する手段として、チップコンデンサなどの高周波整合部品を使用することしたが、メカニカル機構により、RFIDタグが機器内に取り付けられている時にはOFF、取り外されることによりONするようなスイッチ部品で代用することでもよい。
【実施例2】
【0030】
図6に、本発明に係る有線・無線共用のRFIDタグの第2の実施形態の構成図を示す。本実施形態は、無線アンテナに電源・通信兼用の一つのアンテナを使用する場合の例である。
【0031】
図6において、RFIDタグ3は、RFIDチップ30、電源・通信兼用アンテナ(ループアンテナ)31、有線用電源端子32,33、有線用通信端子34,35,36、高周波整合部品37からなる。ここで、有線用通信端子34,35,36のうち、端子34,35はアンテナ31上に配置して、該端子34,35からIDチップ30までの有線通信用配線をアンテナ31の配線と共用する。高周波整合部品37の機能は実施例1の場合と同様である。
【0032】
有線通信時、RFIDタグ3の端子32,33,34,35,36がケーブルなどで機器側と有線接続される。この時、端子32,33に機器側から直流電力が供給され、そのままRFIDチップ30に送られる。また、この有線通信時、高周波整合部37はOFF状態をとる。したがって、先の実施例1と同様に、端子34,35及び有線36を使用して、機器側とRFIDチップ30との間で有線で情報(デジタル信号)の送受信を支障なく行うことができる。
【0033】
一方、無線通信時は高周波整合部品37がON状態をとり、電源・通信兼用アンテナ31は通常のアンテナとして機能する。この場合、外部装置からの無線波が電源・通信兼用アンテナ31で受信され、RFIDチップ30内で整流されて、RFIDチップ30が動作可能となる。また、電源・通信兼用アンテナ31を通して、外部装置とRFIDチップ30との間で情報の送受信が無線で行われる。
【0034】
図7に、本実施例における電源・通信兼用アンテナとRFIDチップ30内の概略構成を示す。ここでも、RFIDチップ30は、無線波より直流成分を取り出す整流回路301を持っている。該整流回路301の出力側に、有線用電源端子32,33が接続される。通信系の構成は、実施例1の図5と同じである。すなわち、電源・通信兼用アンテナ31の両端が、RFIDチップ30内のスイッチ回路302,303の一端にそれぞれ接続され、スイッチ回路302,303の他端は、通常は増幅回路304に接続されるが、端子36のSEL信号により増幅回路304と分離される。RFIDチップ30内には、変復調回路やデジタル回路などがあるが、図7でも省略している。
【0035】
有線通信時、端子32〜36がケーブルなどで機器と接続されている。この時、機器側から端子32,33に直流電力が供給され、これがそのままRFIDチップ30内に送られる。この有線通信時、高周波整合部品37はOFF状態をとる。また、端子36の制御信号(SEL信号)により、スイッチ回路302,303がOFFされ、増幅回路304が分離される。したがって、機器側からの制御信号(クロック等)は、端子34からスイッチ回路302を通ってそのままRFIDチップ30内に送出される。また、機器側からのデータは、端子35からスイッチ回路303を通って、同様にそのままRFIDチップ30内に送出され、RFIDチップ30内からのデータは、その逆の経路で機器側に送出される。
【0036】
一方、無線通信時は、高周波整合部品37はON状態をとり、電源・通信兼用アンテナとして機能する。また、スイッチ回路302,303は増幅回路304の側に切り替わる。したがって、外部装置からの無線波が電源・通信兼用アンテナ31で受信され、これが整流回路301で整流されて、RFIDチップ30内に直流電力が供給される。また、該電源・通信兼用アンテナ31のRF受信信号は、スイッチ302,303、増幅回路304の経路でRFIDチップ30内に送出される(RF出力)。また、RFIDチップ30内からのRF送信信号は、同様にスイッチ302,303を通って電源・通信兼用アンテナ37から外部装置へ送出される。
【0037】
なお、ここでは、32,33を有線用電源端子としたが、34,35を有線用電源端子として、32,33及び36を有線用通信端子とすることでもよい。また、高周波整合部品37は、先に述べたように、メカニカル機構により、RFIDタグが機器内に取り付けられているときにはOFF、取り外されることによりONするようなスイッチ部品で代用することでもよい。
【0038】
以上の通り、電源・通信兼用の一つのアンテナを使用するRFIDタグにおいても、有線用の電源端子あるいは通信端子にアンテナの配線を利用することで、実施例1と同様の作用効果が得られる。
【実施例3】
【0039】
図8に、本発明に係る有線・無線共用のRFIDタグの第3の実施形態の構成図を示す。先の実施例1,2は、アンテナをループアンテナにした場合であったが、本実施形態はダイポール形式にした場合の例である。
【0040】
図8において、RFIDタグ4は、RFIDチップ40、電源用ダイポールアンテナ41、通信用ダイポールアンテナ42、有線用電源端子43,44、有線用通信端子45,46,47からなる。ここで、有線用電源端子43,44を電源用ダイポールアンテナ41上にそれぞれ配置して、該電源端子43,44からRFIDチップ40までの電源配線をダイポールアンテナ41の配線とそれぞれ共用する。また、有線用通信端子45,46,47のうち、端子45,46を通信用ダイポールアンテナ42上にそれぞれ配置して、端子45,46からRFIDチップ40までの有線通信配線をダイポールアンテナ42の配線とそれぞれ共用する。本実施形態では、高周波整合部品は不要である。
【0041】
RFIDチップ40内の構成は図4と及び図5と同じであるので、図示は省略する。
【0042】
なお、図8では、ダイポールアンテナを電源用と通信用に分けるタイプを示したが、先の実施例2と同様に、電源・通信兼用の一つのダイポールアンテナとすることも可能である。その場合の構成は図6、図7と同様であるので省略する。
【0043】
本実施形態では、先の実施例1や2における高周波整合部品などの分離手段が不要であるため、RFIDタグの構成が更に簡単化できる。
【実施例4】
【0044】
図9に、本発明に係る有線・無線共用のRFIDタグの第4の実施形態の構成図を示す。本実施形態はアンテナを平面パッチアンテナにした場合の例である。
【0045】
図9において、RFIDタグ5は、RFIDチップ50、電源用パッチアンテナ51、通信用パッチアンテナ55を有している。電源用パッチアンテナ51は表面パッチ部52、裏面パッチ部53、及び、該裏面パッチ部53とスルーホール54を介して接続されたグランド端子55からなる。同様に、通信用パッチアンテナ56は表面パッチ部57、裏面パッチ部58、及び、該裏面パッチ部58とスルーホール59を介して接続されたグランド端子60からなる。ここで、パッチ部は四角形としたが、丸形やその他の形状でもよい。
【0046】
パッチアンテナは通常、一辺がλ/4〜λ/2の長さが得られるため、有線用端子としての大きさが十分確保でき、パッチ部そのものを有線用端子に使用することができる。
【0047】
図9においては、2個のパッチアンテナ51,56のパッチ52,57をそのまま有線用端子として、これらと端子61により有線時の通信が可能である。なお、図9では、有線時の電源線用の端子を設けていないが、機器側からのデジタル信号にDCオフセットとしてDC成分を載せ、信号成分を容量素子により分離することにより、電源と信号を1本の有線で送ることが可能になる。
【実施例5】
【0048】
図10、図11に、本発明の有線・無線共用のRFIDタグを搭載した電子機器の一例
示す。ここでは、実施例1のRFIDタグ2を使用する場合を示しているが、実施例2乃至4のRFIDタグを使用する場合も基本的に同様である。
【0049】
図10は、本発明の有線・無線共用のRFIDタグ2が電子機器内に搭載されて使用される場合を示したものである。図10において、1000は電子機器本体であり、メインコントローラとしてのマイクロコンピュータ・ユニット(MCU)1001、電源1002、種々の制御部1003、通信網などとのインタフェース部(I/F)1004、及び、着脱可能なユニット1005などを具備している。
【0050】
電子機器1000は、例えばデジタル複写機や複合機であり、着脱可能なユニット1005はトナーカートリッジや感光体などの交換ユニットである。勿論、電子機器1000は、デジタル複写機や複合機に限られるものではなく、プリンタ、ファクシミリ、その他の機器であってもよい。
【0051】
ここで、着脱可能なユニット1005に、本発明の有線・無線共用のRFIDタグ2が取り付けられている。そして、該ユニット1005が電子機器1000内部にセットされて使用される場合、RFIDタグ2上の有線用端子23〜27が、ケーブル(ハーネス等)1010によりMCU1001と接続される。この場合、MCU1001からケーブル1010により直流電力が供給され、それがアンテナ21の配線を利用してRFIDチップ20内に送られる。また、MCU1001とRFIチップ20との間で情報の送受信はケーブル1010、端子25,26,27の経路で行われる。この場合、端子25,26とRFIDチップ20と間は、アンテナ22の配線が利用される。この有線通信時、高周波整合部品28,29はOFF状態にある。
【0052】
図11は、着脱可能なユニット1005が電子機器1000から取り場された場合を示したものである。この場合、RFIDタグ2は、高周波整合部品28,29がON状態をとり、アンテナ21,22が本来のアンテナとして機能する。
【0053】
図11において、2000は外部装置としての無線通信機で、管理システムなどの構成の一部として機能する。該無線通信機2000から送信された無線波の電力がRFIDタグ2のアンテナ21で受信されて、RFIDチップ20内に送られ、RFIDチップ20内で直流電源を生成することで、RFIDチップ20が動作可能となる。無線通信機2000とRFIDチップ20との間の情報の送受信は、アンテナ22を使用して無線で行われる。
【0054】
以上、本発明の種々の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0055】
2 RFIDタグ
20 RFIDチップ
21 電源用アンテナ
22 通信用アンテナ
23〜27 有線用端子
28,29 高周波整合部品
3 RFIDタグ
30 RFIDチップ
31 電源・通信兼用アンテナ
32〜36 有線用端子
37 高周波整合部品
4 RFIDタグ
40 RFIDチップ
41,42 ダイポールアンテナ
43〜47 有線用端子
5 RFIDタグ
50 RFIDチップ
51,56 平面パーチアンテナ
52,57 有線端子兼用パッチ部
1000 電子機器
1001 MCU
1005 着脱可能ユニット
1010 ケーブル
2000 通信機
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】
【特許文献1】特開2005−148632号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有線・無線今日のRFIDタグであって、
無線用アンテナの配線を有線用の配線に共用し、且つ、有線時に前記無線用アンテナの配線が分離されることを特徴とするRFIDタグ。
【請求項2】
有線用端子が前記無線用アンテナ上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項3】
前記無線用アンテナは電源用アンテナと通信用アンテナからなり、前記電源用アンテナの配線を有線電源用配線に共用し、前記通信用アンテナの配線を有線通信用配線に共用することを特徴とする請求項1もしくは2に記載のRFIDタグ。
【請求項4】
前記無線用アンテナは電源・通信兼用アンテナからなり、前記電源・通信兼用アンテナの配線を有線電源用配線又は有線通信用配線に共用することを特徴とする請求項1もしくは2に記載のRFIDタグ。
【請求項5】
前記無線用アンテナはループアンテナからなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のRFIDタグ。
【請求項6】
前記ループアンテナ上に、有線時に該ループアンテナの経路を分離する分離手段を有することを特徴とする請求項5に記載のRFIDタグ。
【請求項7】
前記分離手段は、高周波数ではリアクタンスが略ゼロを示し、低周波数ではリアクタンスが大きくなる高周波整合部品であることを特徴とする請求項6に記載のRFIDタグ。
【請求項8】
前記分離手段は、当該RFIDタグが機器内に搭載されるとOFF、取り外されるとONとするメカニカルスイッチであることを特徴とする請求項6に記載のRFIDタグ。
【請求項9】
前記無線用アンテナはダイポールアンテナからなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のRFIDタグ。
【請求項10】
前記無線用アンテナは平面パッチアンテナからなることを特徴とする請求項1、3、4のいずれか1項に記載のRFIDタグ。
【請求項11】
前記平面パッチアンテナのパッチ部を有線用端子に共用することを特徴とする請求項10に記載のRFIDタグ。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載のRFIDタグが搭載されていることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
有線・無線今日のRFIDタグであって、
無線用アンテナの配線を有線用の配線に共用し、且つ、有線時に前記無線用アンテナの配線が分離されることを特徴とするRFIDタグ。
【請求項2】
有線用端子が前記無線用アンテナ上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項3】
前記無線用アンテナは電源用アンテナと通信用アンテナからなり、前記電源用アンテナの配線を有線電源用配線に共用し、前記通信用アンテナの配線を有線通信用配線に共用することを特徴とする請求項1もしくは2に記載のRFIDタグ。
【請求項4】
前記無線用アンテナは電源・通信兼用アンテナからなり、前記電源・通信兼用アンテナの配線を有線電源用配線又は有線通信用配線に共用することを特徴とする請求項1もしくは2に記載のRFIDタグ。
【請求項5】
前記無線用アンテナはループアンテナからなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のRFIDタグ。
【請求項6】
前記ループアンテナ上に、有線時に該ループアンテナの経路を分離する分離手段を有することを特徴とする請求項5に記載のRFIDタグ。
【請求項7】
前記分離手段は、高周波数ではリアクタンスが略ゼロを示し、低周波数ではリアクタンスが大きくなる高周波整合部品であることを特徴とする請求項6に記載のRFIDタグ。
【請求項8】
前記分離手段は、当該RFIDタグが機器内に搭載されるとOFF、取り外されるとONとするメカニカルスイッチであることを特徴とする請求項6に記載のRFIDタグ。
【請求項9】
前記無線用アンテナはダイポールアンテナからなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のRFIDタグ。
【請求項10】
前記無線用アンテナは平面パッチアンテナからなることを特徴とする請求項1、3、4のいずれか1項に記載のRFIDタグ。
【請求項11】
前記平面パッチアンテナのパッチ部を有線用端子に共用することを特徴とする請求項10に記載のRFIDタグ。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載のRFIDタグが搭載されていることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−181684(P2012−181684A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44252(P2011−44252)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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