RFIDタグ
【課題】RFIDタグにおいて、低消費電力化を図ること。
【解決手段】RFIDタグ2は受信部3、記憶部4、テーブル5、判定部6、制御部7および信号発生部9を備え、RFIDリーダライタ1と情報を送受信する。受信部3は、RFIDリーダライタ1から送信される場所情報を受信する。記憶部4は場所情報を記憶する。テーブル5は場所情報の変化と移動方向との対応関係を記憶する。判定部6は、受信部3で受信した場所情報と、記憶部4で記憶している前回受信した場所情報とから、テーブル5を参照して移動方向を判定する。制御部7は、RFIDタグ2が内蔵する電池8から供給される電力によって駆動される。信号発生部9は、判定部6で、移動方向が判定できた場合に、制御部7へ割り込み信号を通知し、判定部6で、移動方向が判定できない場合に、割り込み信号の生成を中止する。
【解決手段】RFIDタグ2は受信部3、記憶部4、テーブル5、判定部6、制御部7および信号発生部9を備え、RFIDリーダライタ1と情報を送受信する。受信部3は、RFIDリーダライタ1から送信される場所情報を受信する。記憶部4は場所情報を記憶する。テーブル5は場所情報の変化と移動方向との対応関係を記憶する。判定部6は、受信部3で受信した場所情報と、記憶部4で記憶している前回受信した場所情報とから、テーブル5を参照して移動方向を判定する。制御部7は、RFIDタグ2が内蔵する電池8から供給される電力によって駆動される。信号発生部9は、判定部6で、移動方向が判定できた場合に、制御部7へ割り込み信号を通知し、判定部6で、移動方向が判定できない場合に、割り込み信号の生成を中止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、RFID(Radio Frequency Identification)タグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザにRFIDタグを携帯させ、ゲートなどの特定の場所に設置したRFIDリーダライタとRFIDタグとの間で通信を行うことによって、RFIDタグに情報を表示させるシステムがある。このシステムでは、ユーザが特定の場所に近づいたときの方向を検出することができない。そのため、ユーザが特定の場所に近づくときの方向に応じてユーザに伝える情報を変えることはできない。また、移動体に2個のRFIDタグを取り付け、RFIDリーダライタが移動体の2個のRFIDタグを検出した順序によって移動体の移動方向を求めるシステムがある。このシステムでは、RFIDリーダライタが移動体の移動方向を知ることができるが、RFIDタグ自体は自分の移動方向を知ることができない。そのため、例えばRFIDタグが自分の移動方向に応じて自立的に所定の動作を開始するというサービスを行うことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−344578号公報
【特許文献2】特開2007−205754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、例えば次のような構成にすれば、RFIDタグが自分の移動方向を判断し、移動方向に応じた動作を自立的に行うようにすることができると考えられる。例えば、RFIDリーダライタが複数のアンテナを有し、各アンテナに固有のID(Identifier、識別子)情報が付与されている。そして、各アンテナにRFIDタグが近づいたときに各アンテナからRFIDタグ内のメモリに固有のID情報が書き込まれる。RFIDタグは、ID情報が書き込まれた順序に基づいて自分の移動方向を知ることができるので、移動方向に応じた動作を行うことが可能となる。
【0005】
しかしながら、RFIDタグ内において、例えばアプリケーションや内蔵するセンサの動作などを制御するコントローラは、ID情報が書き込まれたメモリに複数回アクセスして複数のID情報を読み出すため、メモリアクセスによる消費電力が増えてしまう。RFIDタグ内のコントローラがメモリにアクセスする際には、メモリは、RFIDタグに内蔵された電池から供給される電力によって駆動される。従って、上述したようにコントローラによるメモリアクセスの回数が増える構成では、電池の持ちが悪くなるという問題点がある。特に、例えば強誘電体メモリ(FRAM:Ferroelectric Random Access Memory)のように消費電力が多いタイプのメモリを用いた場合には、より一層電池の持ちが悪くなってしまう。
【0006】
低消費電力化を図ることができるRFIDタグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
RFIDタグは受信部、記憶部、テーブル、判定部、制御部および信号発生部を備え、RFIDリーダライタと情報を送受信する。受信部は、RFIDリーダライタから送信される場所情報を受信する。記憶部は場所情報を記憶する。テーブルは場所情報の変化と移動方向との対応関係を記憶する。判定部は、受信部で受信した場所情報と、記憶部で記憶している前回受信した場所情報とから、テーブルを参照して移動方向を判定する。制御部は、RFIDタグが内蔵する電池から供給される電力によって駆動される。信号発生部は、判定部で、移動方向が判定できた場合に、制御部へ割り込み信号を通知し、判定部で、移動方向が判定できない場合に、割り込み信号の生成を中止する。
【発明の効果】
【0008】
RFIDタグにおいて、低消費電力化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1にかかるRFIDタグを示すブロック図である。
【図2】実施例2にかかるRFIDタグを用いたシステムを示すブロック図である。
【図3】実施例2にかかるRFIDタグを用いたシステムにおける設定テーブルの一例を示す図表である。
【図4】実施例2にかかるRFIDタグを示すブロック図である。
【図5】実施例2にかかるRFIDタグにおける比較判定テーブルの一例を示す図表である。
【図6】実施例2にかかるRFIDタグの通過検知処理手順を示すフローチャートである。
【図7】実施例2にかかるRFIDタグのコントローラ側の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】実施例2にかかるRFIDタグを用いたシステムの動作を示すタイミング図である。
【図9】実施例3にかかるRFIDタグを示すブロック図である。
【図10】実施例3にかかるRFIDタグの通過検知処理手順を示すフローチャートである。
【図11】実施例3にかかるRFIDタグのコントローラ側の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、このRFIDタグの好適な実施の形態を詳細に説明する。RFIDタグは、RFIDリーダライタから送信される場所情報を記憶し、記憶しておいた場所情報と、新たに受信した場所情報とを比較して、移動方向を判定できた場合にのみ割り込み信号を通知するものである。以下の各実施例の説明においては、同様の構成要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0011】
(実施例1)
・RFIDタグの説明
図1は、実施例1にかかるRFIDタグを示すブロック図である。図1に示すように、RFIDタグ2はRFIDリーダライタ1と情報を送受信する。RFIDタグ2は受信部3、記憶部4、テーブル5、判定部6、制御部7および信号発生部9を備えている。受信部3は、RFIDリーダライタ1から送信される場所情報を受信する。記憶部4は場所情報を記憶する。テーブル5は場所情報の変化と移動方向との対応関係を記憶する。判定部6は、受信部3で受信した場所情報と、記憶部4で記憶している前回受信した場所情報とから、テーブル5を参照して移動方向を判定する。制御部7は、RFIDタグ2が内蔵する電池8から供給される電力によって駆動される。信号発生部9は、判定部6で、移動方向が判定できた場合に、制御部7へ割り込み信号を通知し、判定部6で、移動方向が判定できない場合に、割り込み信号の生成を中止する。
【0012】
実施例1によれば、RFIDタグ2の移動方向が判定できた場合に、制御部7が電池8で駆動され、信号発生部9が制御部7に割り込み信号を通知する。RFIDタグ2の移動方向が判定できない場合には、信号発生部9は割り込み信号の生成を中止するので、RFIDタグ2の移動方向が判定できた場合に電池の電力が消費される。電池の電力を利用して複数回のメモリアクセスを行ってメモリから複数の場所情報を読み出してRFIDタグ2の移動方向を判定する場合に比べて、電池の電力の消費を減らすことができる。従って、RFIDタグ2の低消費電力化を図ることができる。
【0013】
(実施例2)
・RFIDタグを用いたシステムの説明
図2は、実施例2にかかるRFIDタグを用いたシステムを示すブロック図である。図2に示すように、ホスト11は、後述する設定テーブルに従ってRFIDリーダライタ12のアンテナごとに場所情報として例えばアンテナを一意に識別する場所ID情報を設定する。ホスト11はRFIDタグ17に送信するコマンドやパラメータなどを設定する。
【0014】
RFIDリーダライタ12は送信データ生成回路13および送信RF(Radio Frequency)回路14、複数のアンテナ、例えばアンテナ1_15およびアンテナ2_16を備えている。送信データ生成回路13は、ホスト11によりアンテナごとに設定された場所ID情報、コマンドおよびパラメータなどに基づいてRFIDタグ17へ送信するデータを生成する。送信RF回路14は、送信データ生成回路13により生成されたデータに対して符号化および変調処理を行い、送信信号としてアンテナ1_15およびアンテナ2_16から送信する。アンテナ1_15およびアンテナ2_16は、RFIDタグ17のアンテナ18により識別可能な程度に離れて配置されている。
【0015】
・設定テーブルの説明
図3は、実施例2にかかるRFIDタグを用いたシステムにおける設定テーブルの一例を示す図表である。図3に示すように、設定テーブル19には、RFIDリーダライタ12のアンテナごとに、アンテナに付与する場所ID情報と、その場所ID情報を該当するアンテナから送信する時間が設定されている。図3に示す例では、例えばアンテナ1_15から場所ID情報として01が100ms間送信され、例えばアンテナ2_16から場所ID情報として02が100ms間送信される設定となっている。
【0016】
図2に示すように、RFIDタグ17は、例えば場所ID情報01の受信の次に場所ID情報02を受信すると、RFIDリーダライタ12の近くをアンテナ1_15からアンテナ2_16へ向かう方向(A方向)に通過したことを検知する。RFIDタグ17は、例えば場所ID情報02の受信の次に場所ID情報01を受信すると、RFIDリーダライタ12の近くをアンテナ2_16からアンテナ1_15へ向かう方向(B方向)に通過したことを検知する。
【0017】
・RFIDタグの説明
図4は、実施例2にかかるRFIDタグを示すブロック図である。図4に示すように、RFIDタグ17はパッシブタグ部21を備えている。パッシブタグ部21は受信部として例えば、RF部22、論理回路部23および記憶部として例えば、パッシブタグ部21に内蔵された不揮発性メモリ30を有する。RF部22は、RFIDリーダライタ12から送信される信号をアンテナ18を介して受信する。RF部22は受信信号に対して復調および復号処理を行って場所ID情報、コマンドおよびパラメータなどのデータを出力する。
【0018】
論理回路部23は信号発生部として例えば割り込み発生部24、判定部として例えば比較判定部25、場所ID書込コマンド検出部26、通知部の一部として通過検知結果書込部27、場所ID情報読取部28および場所ID情報書込部29を有する。場所ID書込コマンド検出部26はRF部22の出力データから場所ID書込コマンドを検出し、今回の場所ID情報として比較判定部25に渡す。比較判定部25は場所ID情報読取部28を介して、不揮発性メモリ30の場所ID格納部32に格納されている前回の場所ID情報を読み取る。比較判定部25は今回の場所ID情報と前回の場所ID情報とを比較し、テーブルとして例えば後述する比較判定テーブルを参照してRFIDタグ17の移動方向を判定する。比較判定テーブルは場所ID情報の変化とRFIDタグ17の移動方向との対応関係を記憶している。比較判定部25は移動方向の判定結果を通過検知結果書込部27へ渡す。
【0019】
通過検知結果書込部27は移動方向の判定結果を不揮発性メモリ30の通過検知結果格納部31へ渡す。通過検知結果書込部27は、移動方向の判定結果に基づいて割り込み発生部24に割り込み要求信号を出力する。割り込み発生部24は、割り込み要求信号を受け付けると割り込み信号を後述するコントローラ34の割り込み検出部35へ出力する。場所ID情報読取部28は場所ID格納部32から前回の場所ID情報を読み出して比較判定部25へ渡す。比較判定部25は今回の場所ID情報を場所ID情報書込部29へ渡す。場所ID情報書込部29は今回の場所ID情報を前回の場所ID情報として場所ID格納部32に書き込む。
【0020】
また、論理回路部23は、図示省略した電源再生回路を有する。電源再生回路は、アンテナ18を介して受信した電波を電力に変換する。パッシブタグ部21の各構成部は、電源再生回路から供給される電力によって動作する。
【0021】
不揮発性メモリ30は格納部として例えば通過検知結果格納部31および記憶部における格納部として例えば場所ID格納部32を有する。通過検知結果格納部31は、通過検知結果書込部27により書き込まれた移動方向の判定結果を格納する。場所ID格納部32は、場所ID情報書込部29により書き込まれた今回の場所ID情報を前回の場所ID情報として格納する。不揮発性メモリ30は、例えば論理回路部23および後述するコントローラ34の両方からアクセス可能なデュアルポートメモリを備えている。不揮発性メモリ30は例えば強誘電体メモリであってもよい。
【0022】
また、RFIDタグ17は、制御部33、コントローラ34、電源スイッチ37、電源回路38、電池39、アプリ制御部40、加速度センサ41などのセンサ、Wi−Fiなどの無線モジュール42、入力部43およびメモリ44を備えている。コントローラ34はRFIDタグ17の移動方向の判定結果に基づいて電源、センサやモジュールなどのデバイスおよびアプリケーションなどを制御する。コントローラ34は、電源回路38を介して電池39から供給される電力によって駆動される。コントローラ34は通知部の一部として例えば割り込み検出部35および通知部の一部として例えば結果読取部36を有する。
【0023】
割り込み検出部35は割り込み発生部24からの割り込み信号を検出すると、割り込みを検出したことを結果読取部36へ通知する。結果読取部36は、割り込み検出部35からの通知を受け取ると、通過検知結果格納部31からRFIDタグ17の移動方向の判定結果を読み取り、RFIDタグ17が通過したか否かおよび通過したときの移動方向の情報を制御部33へ渡す。
【0024】
また、割り込み検出部35は割り込み発生部24からの割り込み信号を検出すると、電源スイッチ37へ切り替え信号を出力する。電源スイッチ37は、切り替え信号の入力によって電源回路38を介して電池39の電力を不揮発性メモリ30へ供給する。つまり、不揮発性メモリ30には、論理回路部23がアクセスする際には上述したように電源再生回路から電力が供給され、コントローラ34がアクセスする際には電池39から電力が供給される。
【0025】
制御部33は、RFIDタグ17が通過したか否かおよび通過したときの移動方向の情報に基づいて例えばアプリ制御部40、加速度センサ41または無線モジュール42を制御する。例えば制御部33はアプリ制御部40に対してアプリケーションの起動および終了などの動作を指示する。例えば制御部33は加速度センサ41や無線モジュール42の電源のオンおよびオフを制御する。制御部33による制御内容については、例えば制御テーブルにより規定されている。
【0026】
例えば制御テーブルには、RFIDタグ17の移動方向がA方向(図2参照)、すなわち前回の場所ID情報が01であり、今回の場所ID情報が02である場合、加速度センサ41の電源をオンにし、アプリ制御部40によりアプリケーションを起動し、無線モジュール42の電源をオフにすることが規定されていてもよい。また、例えば制御テーブルには、RFIDタグ17の移動方向がB方向(図2参照)、すなわち前回の場所ID情報が02であり、今回の場所ID情報が01である場合、加速度センサ41の電源をオフにし、無線モジュール42の電源をオンにし、アプリ制御部40によりアプリケーションを終了することが規定されていてもよい。
【0027】
入力部43は、キーやボタンやスイッチ、あるいはタッチパネルなどである。メモリ44はオペレーティングシステム(OS:Operating System)やアプリケーションプログラムを格納していたり、OSやアプリケーションプログラムの作業領域として使用される。RFIDタグ17の一例として、例えばRFIDタグを備えた携帯電話機が挙げられる。
【0028】
・比較判定テーブルの説明
図5は、実施例2にかかるRFIDタグにおける比較判定テーブルの一例を示す図表である。図5に示すように、比較判定テーブル45には、前回の場所ID情報と今回の場所ID情報との組み合わせに対するRFIDタグ17の移動方向の判定結果および判定後のRFIDタグ17内の動作が規定されている。前回の場所ID情報は場所ID格納部32から読み込まれる。今回の場所ID情報は場所ID書込コマンド検出部26から得られる。
【0029】
例えば前回の場所ID情報と今回の場所ID情報との組み合わせを[前回の場所ID情報,今回の場所ID情報]と表すこととする。また、アンテナ1_15およびアンテナ2_16以外の第3のアンテナの場所ID情報を03とする。この第3のアンテナはRFIDタグ17の移動方向の検知には用いられていない。例えば[00,01]、[00,02]、[01,01]、[02,02]、[00,03]、[01,03]および[02,03]の場合、RFIDタグ17の移動方向の判定結果は、通過検知無しを表す0である。例えば[00,01]、[00,02]、[01,01]および[02,02]の場合、判定後のRFIDタグ17内の動作は何もしないとなっている。例えば[00,03]、[01,03]および[02,03]の場合、判定後のRFIDタグ17内の動作は場所ID格納部32に前回の場所ID情報として00を書き込むとなっている。
【0030】
例えば[01,02]の場合、RFIDタグ17の移動方向の判定結果は、A方向に通過したことを表すAである。判定後のRFIDタグ17内の動作は、通過検知結果格納部31にAを書き込み、通過検知結果書込部27から割り込み発生部24へ割り込み要求信号を出力するとなっている。例えば[02,01]の場合、RFIDタグ17の移動方向の判定結果は、B方向に通過したことを表すBである。判定後のRFIDタグ17内の動作は、通過検知結果格納部31にBを書き込み、通過検知結果書込部27から割り込み発生部24へ割り込み要求信号を出力するとなっている。
【0031】
・通過検知処理の説明
図6は、実施例2にかかるRFIDタグの通過検知処理手順を示すフローチャートである。図6に示すように、RFIDタグ17で通過検知処理が開始されると、まず、場所ID書込コマンド検出部26が場所ID書込コマンドを検出するまで(ステップS2:No)、場所ID情報読取部28は場所ID格納部32からデータ(前回の場所ID情報)を読み出して比較判定部25へ渡す(ステップS1)。
【0032】
場所ID書込コマンド検出部26が場所ID書込コマンドを検出すると(ステップS2:Yes)、比較判定部25は場所ID書込コマンド検出部26から、場所ID書込コマンドに含まれている新規の場所ID情報(今回の場所ID情報)を受け取って場所ID情報書込部29へ渡す。場所ID情報書込部29は、比較判定部25から受け取った新規の場所ID情報を場所ID格納部32に上書きする(ステップS3)。
【0033】
次いで、比較判定部25は前回の場所ID情報と今回の場所ID情報とを比較し、比較判定テーブル45を参照してRFIDタグ17の移動方向を判定する(ステップS4)。判定の結果、RFIDタグ17がA方向またはB方向に通過したことを検知した場合(ステップS4:通過検知あり)、比較判定部25は判定結果を通過検知結果書込部27へ渡す。通過検知結果書込部27はその判定結果を通過検知結果格納部31へ書き込む(ステップS5)。
【0034】
また、通過検知結果書込部27は割り込み発生部24に割り込み要求信号を出力する(ステップS6)。それによって、割り込み発生部24は割り込み信号を割り込み検出部35へ出力する。次いで、コントローラ34側の処理が行われる(ステップS7)。そして、ステップS1に戻り、ステップS1からステップS7間での処理を繰り返す。一方、RFIDタグ17の移動方向を判定した結果、RFIDタグ17が通過したことを検知しない場合(ステップS4:通過検知なし)、ステップS1に戻る。
【0035】
・コントローラ側の処理
図7は、実施例2にかかるRFIDタグのコントローラ側の処理手順の一例を示すフローチャートである。図7に示すように、RFIDタグ17のコントローラ34側では、割り込み検出部35が割り込み信号を検出するまでコントローラ34はスリープ状態で待機する(ステップS11:No)。割り込み検出部35は割り込み信号を検出すると(ステップS11:Yes)、電源スイッチ37へ切り替え信号を出力する。それによって、電源スイッチ37が切り替わり、電源回路38が電池39から不揮発性メモリ30に電力を供給する(ステップS12)。
【0036】
次いで、結果読取部36は通過検知結果格納部31からRFIDタグ17の移動方向の判定結果を読み込む(ステップS13)。通過検知結果格納部31からの判定結果の読み込みが終了すると、電池39から不揮発性メモリ30への電力供給が停止する。すなわち、不揮発性メモリ30の電源がディセーブルされる(ステップS14)。次いで、制御部33は、結果読取部36からRFIDタグ17の通過の有無および移動方向の情報を受け取り、制御テーブルの内容に従って処理を行う(ステップS15)。
【0037】
例えばRFIDタグ17の移動方向がA方向である場合(ステップS15:A方向)、制御部33は、アプリ制御部40によりアプリケーションを起動し(ステップS16)、加速度センサ41の電源をオンにし(ステップS17)、無線モジュール(Wi−Fi)42の電源をオフにする(ステップS18)。一方、例えばRFIDタグ17の移動方向がB方向である場合(ステップS15:B方向)、制御部33は、アプリ制御部40によりアプリケーションを終了し(ステップS19)、加速度センサ41の電源をオフにし(ステップS20)、無線モジュール(Wi−Fi)42の電源をオンにする(ステップS21)。そして、コントローラ34側の処理を終了する。
【0038】
・RFIDタグを用いたシステムの動作の説明
図8は、実施例2にかかるRFIDタグを用いたシステムの動作を示すタイミング図である。符号51で示すように、RFIDリーダライタ12、すなわち場所ID情報の送信側は、例えば設定テーブル19に従ってアンテナ1_15、アンテナ2_16および図示しない第3のアンテナを時分割で切り替えながらそれぞれのアンテナから場所ID情報を常時送信する。
【0039】
符号52で示すように、RFIDタグ17、すなわち場所ID情報の受信側は、例えばアンテナ1_15に接近するまでは割り込み待ち状態、すなわちスリープ状態にある。スリープ状態のときに電池で消費する電力は極小である。RFIDタグ17が例えばアンテナ1_15に接近すると、符号53で示すように、RFIDタグ17は、アンテナ1_15から送信された場所ID書込コマンドを受信する。続いて、符号54で示すように、RFIDタグ17は、場所ID格納部32に格納されている前回の場所ID情報(ここでは、00)と場所ID書込コマンドによる今回の場所ID情報(ここでは、01)と比較判定テーブル45とに基づいて、RFIDタグ17の通過検知無しと判定する。従って、RFIDタグ17において何も動作しない。また、RFIDタグ17は、場所ID格納部32に01を書き込む。そして、符号55で示すように、RFIDタグ17はスリープ状態に復帰する。
【0040】
スリープ状態にあるときにRFIDタグ17が例えばアンテナ2_16に接近すると、符号56で示すように、RFIDタグ17は、アンテナ2_16から送信された場所ID書込コマンドを受信する。続いて、符号57で示すように、RFIDタグ17は、場所ID格納部32に格納されている前回の場所ID情報(ここでは、01)と場所ID書込コマンドによる今回の場所ID情報(ここでは、02)と比較判定テーブル45とに基づいて、RFIDタグ17がA方向へ通過したと判定する。そして、符号58で示すように、不揮発性メモリ30に電池39から電力が供給される。この状態で、結果読取部36が通過検知結果格納部31からRFIDタグ17の移動方向の判定結果を読み取って制御部33へ通知する。続いて、符号59で示すように、不揮発性メモリ30の電源がディセーブルされ、制御部33は制御テーブルに従って処理を行う。また、RFIDタグ17は、場所ID格納部32に02を書き込む。そして、符号60で示すように、RFIDタグ17はスリープ状態に復帰する。
【0041】
スリープ状態にあるときにRFIDタグ17が例えば第3のアンテナに接近すると、符号61で示すように、RFIDタグ17は、第3のアンテナから送信された場所ID書込コマンドを受信する。続いて、符号62で示すように、RFIDタグ17は、場所ID格納部32に格納されている前回の場所ID情報(ここでは、02)と場所ID書込コマンドによる今回の場所ID情報(ここでは、03)と比較判定テーブル45とに基づいて、RFIDタグ17の通過検知無しと判定する。また、RFIDタグ17は場所ID格納部32に00を書き込む。そして、符号63で示すように、RFIDタグ17はスリープ状態に復帰する。
【0042】
実施例2によれば、アンテナ18を介して受信した電波から変換された電力を利用してパッシブタグ部21内でRFIDタグ17の移動方向の判定が行われ、その判定結果がコントローラ34側に読み出されるときに電池39の電力が消費される。従って、電池の電力を利用してパッシブメモリに対して複数回、例えば2回のメモリアクセスを行って複数、例えば2個の場所ID情報を読み出してRFIDタグ17の移動方向を判定する場合に比べて、電池の電力の消費を減らすことができる。つまり、RFIDタグ17の低消費電力化を図ることができる。
【0043】
(実施例3)
・RFIDタグの説明
図9は、実施例3にかかるRFIDタグを示すブロック図である。図9に示すように、実施例3にかかるRFIDタグが図4に示す実施例2のRFIDタグと異なるのは、場所ID書込コマンドの受信後すぐに、場所ID書込コマンドの受信によって得た新規の場所ID情報をバッファなどのメモリに格納するようにしたことである。RFIDタグ17は、例えば不揮発性メモリ30にバッファとして例えば場所ID格納バッファ46を有する。
【0044】
場所ID書込コマンド検出部26は新規の場所ID情報を場所ID情報書込部29に渡す。場所ID情報書込部29は新規の場所ID情報を場所ID格納バッファ46に書き込む。場所ID情報読取部28は場所ID格納バッファ46から新規の場所ID情報を読み取って今回の場所ID情報として比較判定部25に渡す。パッシブタグ部21のその他の構成は実施例2と同様である。
【0045】
また、一例として実施例3では、制御部33によって制御されるセンサとして例えば加速度センサ41および温度センサ47が設けられている。また、例えばアプリ制御部40および無線モジュール42は設けられていない。このような構成において、例えば制御テーブルには、RFIDタグ17の移動方向がA方向(図2参照)である場合、温度センサ47の電源をオンにし、加速度センサ41の電源をオフにすることが規定されていてもよい。また、例えば制御テーブルには、RFIDタグ17の移動方向がB方向(図2参照)である場合、温度センサ47の電源をオフにし、加速度センサ41の電源をオンにすることが規定されていてもよい。
【0046】
・通過検知処理の説明
図10は、実施例3にかかるRFIDタグの通過検知処理手順を示すフローチャートである。図10に示すように、RFIDタグ17で通過検知処理が開始されると、まず、場所ID書込コマンド検出部26が場所ID書込コマンドを検出するまで(ステップS31:No)、場所ID情報書込部29は待機する。場所ID書込コマンド検出部26が場所ID書込コマンドを検出すると(ステップS31:Yes)、場所ID書込コマンド検出部26は、場所ID書込コマンドに含まれている新規の場所ID情報を場所ID情報書込部29へ渡す。場所ID情報書込部29は、場所ID書込コマンド検出部26から受け取った新規の場所ID情報を場所ID格納バッファ46に書き込む(ステップS32)。
【0047】
次いで、場所ID情報読取部28は場所ID格納バッファ46からデータを読み出して今回の場所ID情報として比較判定部25に渡す。また、場所ID情報読取部28は場所ID格納部32からデータを読み出して前回の場所ID情報として比較判定部25へ渡す(ステップS33)。次いで、比較判定部25は今回の場所ID情報を場所ID情報書込部29へ渡す。場所ID情報書込部29は、比較判定部25から受け取った今回の場所ID情報を場所ID格納部32に書き込む(ステップS34)。
【0048】
これ以降は実施例2の図6に示すフローチャートのステップS4からステップS7までの処理と同様である(ステップS35〜ステップS38)。
【0049】
・コントローラ側の処理
図11は、実施例3にかかるRFIDタグのコントローラ側の処理手順の一例を示すフローチャートである。図11に示すように、RFIDタグ17のコントローラ34側の処理が開始されると、まず、実施例2の図7に示すフローチャートのステップS11からステップS15までと同様の処理が行われる(ステップS41〜ステップS45)。そして、例えばRFIDタグ17の移動方向がA方向である場合(ステップS45:A方向)、制御部33は温度センサ47の電源をオンにし(ステップS46)、加速度センサ41の電源をオフにする(ステップS47)。一方、例えばRFIDタグ17の移動方向がB方向である場合(ステップS45:B方向)、制御部33は温度センサ47の電源をオフにし(ステップS48)、加速度センサ41の電源をオンにする(ステップS49)。そして、コントローラ34側の処理を終了する。
【0050】
・RFIDタグを用いたシステムの動作の説明
実施例3にかかるRFIDタグを用いたシステムの動作を示すタイミング図は図8と同様である。ただし、実施例2と異なる点は以下の通りである。
【0051】
図8の符号53で示すタイミングにおいて、RFIDタグ17は、アンテナ1_15から送信された場所ID書込コマンドを受信すると、アンテナ1_15の場所ID情報01を場所ID格納バッファ46に格納する。図8の符号54で示すタイミングにおいて、RFIDタグ17は、場所ID格納部32に格納されている前回の場所ID情報(ここでは、00)と場所ID格納バッファ46に格納されている今回の場所ID情報(ここでは、01)と比較判定テーブル45とに基づいて、RFIDタグ17の通過検知無しと判定する。また、RFIDタグ17は、場所ID格納バッファ46に格納されている場所ID情報(ここでは、01)を場所ID格納部32に書き込む。
【0052】
図8の符号56で示すタイミングにおいて、RFIDタグ17は、アンテナ2_16から送信された場所ID書込コマンドを受信すると、アンテナ2_16の場所ID情報02を場所ID格納バッファ46に格納する。図8の符号57で示すタイミングにおいて、RFIDタグ17は、場所ID格納部32に格納されている前回の場所ID情報(ここでは、01)と場所ID格納バッファ46に格納されている今回の場所ID情報(ここでは、02)と比較判定テーブル45とに基づいて、RFIDタグ17がA方向へ通過したと判定する。また、RFIDタグ17は、場所ID格納バッファ46に格納されている場所ID情報(ここでは、02)を場所ID格納部32に書き込む。
【0053】
図8の符号61で示すタイミングにおいて、RFIDタグ17は、第3のアンテナから送信された場所ID書込コマンドを受信すると、第3のアンテナの場所ID情報03を場所ID格納バッファ46に格納する。図8の符号62で示すタイミングにおいて、RFIDタグ17は、場所ID格納部32に格納されている前回の場所ID情報(ここでは、02)と場所ID格納バッファ46に格納されている今回の場所ID情報(ここでは、03)と比較判定テーブル45とに基づいて、RFIDタグ17の通過検知無しと判定する。また、RFIDタグ17は場所ID格納部32に00を書き込む。
【0054】
実施例3によれば、実施例2と同様の効果が得られる。また、RFIDタグ17が、場所ID書込コマンドの受信後すぐに、受信した場所ID情報を場所ID格納バッファ46に格納するので、通信状態が悪い場合でも、RFIDタグ17の移動方向を判定している途中で新規の場所ID情報が消失するのを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0055】
1 RFIDリーダライタ
2 RFIDタグ
3 受信部
4 記憶部
5 テーブル
6 判定部
7,33 制御部
8 電池
9 信号発生部
32 格納部
46 バッファ
【技術分野】
【0001】
この発明は、RFID(Radio Frequency Identification)タグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザにRFIDタグを携帯させ、ゲートなどの特定の場所に設置したRFIDリーダライタとRFIDタグとの間で通信を行うことによって、RFIDタグに情報を表示させるシステムがある。このシステムでは、ユーザが特定の場所に近づいたときの方向を検出することができない。そのため、ユーザが特定の場所に近づくときの方向に応じてユーザに伝える情報を変えることはできない。また、移動体に2個のRFIDタグを取り付け、RFIDリーダライタが移動体の2個のRFIDタグを検出した順序によって移動体の移動方向を求めるシステムがある。このシステムでは、RFIDリーダライタが移動体の移動方向を知ることができるが、RFIDタグ自体は自分の移動方向を知ることができない。そのため、例えばRFIDタグが自分の移動方向に応じて自立的に所定の動作を開始するというサービスを行うことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−344578号公報
【特許文献2】特開2007−205754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、例えば次のような構成にすれば、RFIDタグが自分の移動方向を判断し、移動方向に応じた動作を自立的に行うようにすることができると考えられる。例えば、RFIDリーダライタが複数のアンテナを有し、各アンテナに固有のID(Identifier、識別子)情報が付与されている。そして、各アンテナにRFIDタグが近づいたときに各アンテナからRFIDタグ内のメモリに固有のID情報が書き込まれる。RFIDタグは、ID情報が書き込まれた順序に基づいて自分の移動方向を知ることができるので、移動方向に応じた動作を行うことが可能となる。
【0005】
しかしながら、RFIDタグ内において、例えばアプリケーションや内蔵するセンサの動作などを制御するコントローラは、ID情報が書き込まれたメモリに複数回アクセスして複数のID情報を読み出すため、メモリアクセスによる消費電力が増えてしまう。RFIDタグ内のコントローラがメモリにアクセスする際には、メモリは、RFIDタグに内蔵された電池から供給される電力によって駆動される。従って、上述したようにコントローラによるメモリアクセスの回数が増える構成では、電池の持ちが悪くなるという問題点がある。特に、例えば強誘電体メモリ(FRAM:Ferroelectric Random Access Memory)のように消費電力が多いタイプのメモリを用いた場合には、より一層電池の持ちが悪くなってしまう。
【0006】
低消費電力化を図ることができるRFIDタグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
RFIDタグは受信部、記憶部、テーブル、判定部、制御部および信号発生部を備え、RFIDリーダライタと情報を送受信する。受信部は、RFIDリーダライタから送信される場所情報を受信する。記憶部は場所情報を記憶する。テーブルは場所情報の変化と移動方向との対応関係を記憶する。判定部は、受信部で受信した場所情報と、記憶部で記憶している前回受信した場所情報とから、テーブルを参照して移動方向を判定する。制御部は、RFIDタグが内蔵する電池から供給される電力によって駆動される。信号発生部は、判定部で、移動方向が判定できた場合に、制御部へ割り込み信号を通知し、判定部で、移動方向が判定できない場合に、割り込み信号の生成を中止する。
【発明の効果】
【0008】
RFIDタグにおいて、低消費電力化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1にかかるRFIDタグを示すブロック図である。
【図2】実施例2にかかるRFIDタグを用いたシステムを示すブロック図である。
【図3】実施例2にかかるRFIDタグを用いたシステムにおける設定テーブルの一例を示す図表である。
【図4】実施例2にかかるRFIDタグを示すブロック図である。
【図5】実施例2にかかるRFIDタグにおける比較判定テーブルの一例を示す図表である。
【図6】実施例2にかかるRFIDタグの通過検知処理手順を示すフローチャートである。
【図7】実施例2にかかるRFIDタグのコントローラ側の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】実施例2にかかるRFIDタグを用いたシステムの動作を示すタイミング図である。
【図9】実施例3にかかるRFIDタグを示すブロック図である。
【図10】実施例3にかかるRFIDタグの通過検知処理手順を示すフローチャートである。
【図11】実施例3にかかるRFIDタグのコントローラ側の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、このRFIDタグの好適な実施の形態を詳細に説明する。RFIDタグは、RFIDリーダライタから送信される場所情報を記憶し、記憶しておいた場所情報と、新たに受信した場所情報とを比較して、移動方向を判定できた場合にのみ割り込み信号を通知するものである。以下の各実施例の説明においては、同様の構成要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0011】
(実施例1)
・RFIDタグの説明
図1は、実施例1にかかるRFIDタグを示すブロック図である。図1に示すように、RFIDタグ2はRFIDリーダライタ1と情報を送受信する。RFIDタグ2は受信部3、記憶部4、テーブル5、判定部6、制御部7および信号発生部9を備えている。受信部3は、RFIDリーダライタ1から送信される場所情報を受信する。記憶部4は場所情報を記憶する。テーブル5は場所情報の変化と移動方向との対応関係を記憶する。判定部6は、受信部3で受信した場所情報と、記憶部4で記憶している前回受信した場所情報とから、テーブル5を参照して移動方向を判定する。制御部7は、RFIDタグ2が内蔵する電池8から供給される電力によって駆動される。信号発生部9は、判定部6で、移動方向が判定できた場合に、制御部7へ割り込み信号を通知し、判定部6で、移動方向が判定できない場合に、割り込み信号の生成を中止する。
【0012】
実施例1によれば、RFIDタグ2の移動方向が判定できた場合に、制御部7が電池8で駆動され、信号発生部9が制御部7に割り込み信号を通知する。RFIDタグ2の移動方向が判定できない場合には、信号発生部9は割り込み信号の生成を中止するので、RFIDタグ2の移動方向が判定できた場合に電池の電力が消費される。電池の電力を利用して複数回のメモリアクセスを行ってメモリから複数の場所情報を読み出してRFIDタグ2の移動方向を判定する場合に比べて、電池の電力の消費を減らすことができる。従って、RFIDタグ2の低消費電力化を図ることができる。
【0013】
(実施例2)
・RFIDタグを用いたシステムの説明
図2は、実施例2にかかるRFIDタグを用いたシステムを示すブロック図である。図2に示すように、ホスト11は、後述する設定テーブルに従ってRFIDリーダライタ12のアンテナごとに場所情報として例えばアンテナを一意に識別する場所ID情報を設定する。ホスト11はRFIDタグ17に送信するコマンドやパラメータなどを設定する。
【0014】
RFIDリーダライタ12は送信データ生成回路13および送信RF(Radio Frequency)回路14、複数のアンテナ、例えばアンテナ1_15およびアンテナ2_16を備えている。送信データ生成回路13は、ホスト11によりアンテナごとに設定された場所ID情報、コマンドおよびパラメータなどに基づいてRFIDタグ17へ送信するデータを生成する。送信RF回路14は、送信データ生成回路13により生成されたデータに対して符号化および変調処理を行い、送信信号としてアンテナ1_15およびアンテナ2_16から送信する。アンテナ1_15およびアンテナ2_16は、RFIDタグ17のアンテナ18により識別可能な程度に離れて配置されている。
【0015】
・設定テーブルの説明
図3は、実施例2にかかるRFIDタグを用いたシステムにおける設定テーブルの一例を示す図表である。図3に示すように、設定テーブル19には、RFIDリーダライタ12のアンテナごとに、アンテナに付与する場所ID情報と、その場所ID情報を該当するアンテナから送信する時間が設定されている。図3に示す例では、例えばアンテナ1_15から場所ID情報として01が100ms間送信され、例えばアンテナ2_16から場所ID情報として02が100ms間送信される設定となっている。
【0016】
図2に示すように、RFIDタグ17は、例えば場所ID情報01の受信の次に場所ID情報02を受信すると、RFIDリーダライタ12の近くをアンテナ1_15からアンテナ2_16へ向かう方向(A方向)に通過したことを検知する。RFIDタグ17は、例えば場所ID情報02の受信の次に場所ID情報01を受信すると、RFIDリーダライタ12の近くをアンテナ2_16からアンテナ1_15へ向かう方向(B方向)に通過したことを検知する。
【0017】
・RFIDタグの説明
図4は、実施例2にかかるRFIDタグを示すブロック図である。図4に示すように、RFIDタグ17はパッシブタグ部21を備えている。パッシブタグ部21は受信部として例えば、RF部22、論理回路部23および記憶部として例えば、パッシブタグ部21に内蔵された不揮発性メモリ30を有する。RF部22は、RFIDリーダライタ12から送信される信号をアンテナ18を介して受信する。RF部22は受信信号に対して復調および復号処理を行って場所ID情報、コマンドおよびパラメータなどのデータを出力する。
【0018】
論理回路部23は信号発生部として例えば割り込み発生部24、判定部として例えば比較判定部25、場所ID書込コマンド検出部26、通知部の一部として通過検知結果書込部27、場所ID情報読取部28および場所ID情報書込部29を有する。場所ID書込コマンド検出部26はRF部22の出力データから場所ID書込コマンドを検出し、今回の場所ID情報として比較判定部25に渡す。比較判定部25は場所ID情報読取部28を介して、不揮発性メモリ30の場所ID格納部32に格納されている前回の場所ID情報を読み取る。比較判定部25は今回の場所ID情報と前回の場所ID情報とを比較し、テーブルとして例えば後述する比較判定テーブルを参照してRFIDタグ17の移動方向を判定する。比較判定テーブルは場所ID情報の変化とRFIDタグ17の移動方向との対応関係を記憶している。比較判定部25は移動方向の判定結果を通過検知結果書込部27へ渡す。
【0019】
通過検知結果書込部27は移動方向の判定結果を不揮発性メモリ30の通過検知結果格納部31へ渡す。通過検知結果書込部27は、移動方向の判定結果に基づいて割り込み発生部24に割り込み要求信号を出力する。割り込み発生部24は、割り込み要求信号を受け付けると割り込み信号を後述するコントローラ34の割り込み検出部35へ出力する。場所ID情報読取部28は場所ID格納部32から前回の場所ID情報を読み出して比較判定部25へ渡す。比較判定部25は今回の場所ID情報を場所ID情報書込部29へ渡す。場所ID情報書込部29は今回の場所ID情報を前回の場所ID情報として場所ID格納部32に書き込む。
【0020】
また、論理回路部23は、図示省略した電源再生回路を有する。電源再生回路は、アンテナ18を介して受信した電波を電力に変換する。パッシブタグ部21の各構成部は、電源再生回路から供給される電力によって動作する。
【0021】
不揮発性メモリ30は格納部として例えば通過検知結果格納部31および記憶部における格納部として例えば場所ID格納部32を有する。通過検知結果格納部31は、通過検知結果書込部27により書き込まれた移動方向の判定結果を格納する。場所ID格納部32は、場所ID情報書込部29により書き込まれた今回の場所ID情報を前回の場所ID情報として格納する。不揮発性メモリ30は、例えば論理回路部23および後述するコントローラ34の両方からアクセス可能なデュアルポートメモリを備えている。不揮発性メモリ30は例えば強誘電体メモリであってもよい。
【0022】
また、RFIDタグ17は、制御部33、コントローラ34、電源スイッチ37、電源回路38、電池39、アプリ制御部40、加速度センサ41などのセンサ、Wi−Fiなどの無線モジュール42、入力部43およびメモリ44を備えている。コントローラ34はRFIDタグ17の移動方向の判定結果に基づいて電源、センサやモジュールなどのデバイスおよびアプリケーションなどを制御する。コントローラ34は、電源回路38を介して電池39から供給される電力によって駆動される。コントローラ34は通知部の一部として例えば割り込み検出部35および通知部の一部として例えば結果読取部36を有する。
【0023】
割り込み検出部35は割り込み発生部24からの割り込み信号を検出すると、割り込みを検出したことを結果読取部36へ通知する。結果読取部36は、割り込み検出部35からの通知を受け取ると、通過検知結果格納部31からRFIDタグ17の移動方向の判定結果を読み取り、RFIDタグ17が通過したか否かおよび通過したときの移動方向の情報を制御部33へ渡す。
【0024】
また、割り込み検出部35は割り込み発生部24からの割り込み信号を検出すると、電源スイッチ37へ切り替え信号を出力する。電源スイッチ37は、切り替え信号の入力によって電源回路38を介して電池39の電力を不揮発性メモリ30へ供給する。つまり、不揮発性メモリ30には、論理回路部23がアクセスする際には上述したように電源再生回路から電力が供給され、コントローラ34がアクセスする際には電池39から電力が供給される。
【0025】
制御部33は、RFIDタグ17が通過したか否かおよび通過したときの移動方向の情報に基づいて例えばアプリ制御部40、加速度センサ41または無線モジュール42を制御する。例えば制御部33はアプリ制御部40に対してアプリケーションの起動および終了などの動作を指示する。例えば制御部33は加速度センサ41や無線モジュール42の電源のオンおよびオフを制御する。制御部33による制御内容については、例えば制御テーブルにより規定されている。
【0026】
例えば制御テーブルには、RFIDタグ17の移動方向がA方向(図2参照)、すなわち前回の場所ID情報が01であり、今回の場所ID情報が02である場合、加速度センサ41の電源をオンにし、アプリ制御部40によりアプリケーションを起動し、無線モジュール42の電源をオフにすることが規定されていてもよい。また、例えば制御テーブルには、RFIDタグ17の移動方向がB方向(図2参照)、すなわち前回の場所ID情報が02であり、今回の場所ID情報が01である場合、加速度センサ41の電源をオフにし、無線モジュール42の電源をオンにし、アプリ制御部40によりアプリケーションを終了することが規定されていてもよい。
【0027】
入力部43は、キーやボタンやスイッチ、あるいはタッチパネルなどである。メモリ44はオペレーティングシステム(OS:Operating System)やアプリケーションプログラムを格納していたり、OSやアプリケーションプログラムの作業領域として使用される。RFIDタグ17の一例として、例えばRFIDタグを備えた携帯電話機が挙げられる。
【0028】
・比較判定テーブルの説明
図5は、実施例2にかかるRFIDタグにおける比較判定テーブルの一例を示す図表である。図5に示すように、比較判定テーブル45には、前回の場所ID情報と今回の場所ID情報との組み合わせに対するRFIDタグ17の移動方向の判定結果および判定後のRFIDタグ17内の動作が規定されている。前回の場所ID情報は場所ID格納部32から読み込まれる。今回の場所ID情報は場所ID書込コマンド検出部26から得られる。
【0029】
例えば前回の場所ID情報と今回の場所ID情報との組み合わせを[前回の場所ID情報,今回の場所ID情報]と表すこととする。また、アンテナ1_15およびアンテナ2_16以外の第3のアンテナの場所ID情報を03とする。この第3のアンテナはRFIDタグ17の移動方向の検知には用いられていない。例えば[00,01]、[00,02]、[01,01]、[02,02]、[00,03]、[01,03]および[02,03]の場合、RFIDタグ17の移動方向の判定結果は、通過検知無しを表す0である。例えば[00,01]、[00,02]、[01,01]および[02,02]の場合、判定後のRFIDタグ17内の動作は何もしないとなっている。例えば[00,03]、[01,03]および[02,03]の場合、判定後のRFIDタグ17内の動作は場所ID格納部32に前回の場所ID情報として00を書き込むとなっている。
【0030】
例えば[01,02]の場合、RFIDタグ17の移動方向の判定結果は、A方向に通過したことを表すAである。判定後のRFIDタグ17内の動作は、通過検知結果格納部31にAを書き込み、通過検知結果書込部27から割り込み発生部24へ割り込み要求信号を出力するとなっている。例えば[02,01]の場合、RFIDタグ17の移動方向の判定結果は、B方向に通過したことを表すBである。判定後のRFIDタグ17内の動作は、通過検知結果格納部31にBを書き込み、通過検知結果書込部27から割り込み発生部24へ割り込み要求信号を出力するとなっている。
【0031】
・通過検知処理の説明
図6は、実施例2にかかるRFIDタグの通過検知処理手順を示すフローチャートである。図6に示すように、RFIDタグ17で通過検知処理が開始されると、まず、場所ID書込コマンド検出部26が場所ID書込コマンドを検出するまで(ステップS2:No)、場所ID情報読取部28は場所ID格納部32からデータ(前回の場所ID情報)を読み出して比較判定部25へ渡す(ステップS1)。
【0032】
場所ID書込コマンド検出部26が場所ID書込コマンドを検出すると(ステップS2:Yes)、比較判定部25は場所ID書込コマンド検出部26から、場所ID書込コマンドに含まれている新規の場所ID情報(今回の場所ID情報)を受け取って場所ID情報書込部29へ渡す。場所ID情報書込部29は、比較判定部25から受け取った新規の場所ID情報を場所ID格納部32に上書きする(ステップS3)。
【0033】
次いで、比較判定部25は前回の場所ID情報と今回の場所ID情報とを比較し、比較判定テーブル45を参照してRFIDタグ17の移動方向を判定する(ステップS4)。判定の結果、RFIDタグ17がA方向またはB方向に通過したことを検知した場合(ステップS4:通過検知あり)、比較判定部25は判定結果を通過検知結果書込部27へ渡す。通過検知結果書込部27はその判定結果を通過検知結果格納部31へ書き込む(ステップS5)。
【0034】
また、通過検知結果書込部27は割り込み発生部24に割り込み要求信号を出力する(ステップS6)。それによって、割り込み発生部24は割り込み信号を割り込み検出部35へ出力する。次いで、コントローラ34側の処理が行われる(ステップS7)。そして、ステップS1に戻り、ステップS1からステップS7間での処理を繰り返す。一方、RFIDタグ17の移動方向を判定した結果、RFIDタグ17が通過したことを検知しない場合(ステップS4:通過検知なし)、ステップS1に戻る。
【0035】
・コントローラ側の処理
図7は、実施例2にかかるRFIDタグのコントローラ側の処理手順の一例を示すフローチャートである。図7に示すように、RFIDタグ17のコントローラ34側では、割り込み検出部35が割り込み信号を検出するまでコントローラ34はスリープ状態で待機する(ステップS11:No)。割り込み検出部35は割り込み信号を検出すると(ステップS11:Yes)、電源スイッチ37へ切り替え信号を出力する。それによって、電源スイッチ37が切り替わり、電源回路38が電池39から不揮発性メモリ30に電力を供給する(ステップS12)。
【0036】
次いで、結果読取部36は通過検知結果格納部31からRFIDタグ17の移動方向の判定結果を読み込む(ステップS13)。通過検知結果格納部31からの判定結果の読み込みが終了すると、電池39から不揮発性メモリ30への電力供給が停止する。すなわち、不揮発性メモリ30の電源がディセーブルされる(ステップS14)。次いで、制御部33は、結果読取部36からRFIDタグ17の通過の有無および移動方向の情報を受け取り、制御テーブルの内容に従って処理を行う(ステップS15)。
【0037】
例えばRFIDタグ17の移動方向がA方向である場合(ステップS15:A方向)、制御部33は、アプリ制御部40によりアプリケーションを起動し(ステップS16)、加速度センサ41の電源をオンにし(ステップS17)、無線モジュール(Wi−Fi)42の電源をオフにする(ステップS18)。一方、例えばRFIDタグ17の移動方向がB方向である場合(ステップS15:B方向)、制御部33は、アプリ制御部40によりアプリケーションを終了し(ステップS19)、加速度センサ41の電源をオフにし(ステップS20)、無線モジュール(Wi−Fi)42の電源をオンにする(ステップS21)。そして、コントローラ34側の処理を終了する。
【0038】
・RFIDタグを用いたシステムの動作の説明
図8は、実施例2にかかるRFIDタグを用いたシステムの動作を示すタイミング図である。符号51で示すように、RFIDリーダライタ12、すなわち場所ID情報の送信側は、例えば設定テーブル19に従ってアンテナ1_15、アンテナ2_16および図示しない第3のアンテナを時分割で切り替えながらそれぞれのアンテナから場所ID情報を常時送信する。
【0039】
符号52で示すように、RFIDタグ17、すなわち場所ID情報の受信側は、例えばアンテナ1_15に接近するまでは割り込み待ち状態、すなわちスリープ状態にある。スリープ状態のときに電池で消費する電力は極小である。RFIDタグ17が例えばアンテナ1_15に接近すると、符号53で示すように、RFIDタグ17は、アンテナ1_15から送信された場所ID書込コマンドを受信する。続いて、符号54で示すように、RFIDタグ17は、場所ID格納部32に格納されている前回の場所ID情報(ここでは、00)と場所ID書込コマンドによる今回の場所ID情報(ここでは、01)と比較判定テーブル45とに基づいて、RFIDタグ17の通過検知無しと判定する。従って、RFIDタグ17において何も動作しない。また、RFIDタグ17は、場所ID格納部32に01を書き込む。そして、符号55で示すように、RFIDタグ17はスリープ状態に復帰する。
【0040】
スリープ状態にあるときにRFIDタグ17が例えばアンテナ2_16に接近すると、符号56で示すように、RFIDタグ17は、アンテナ2_16から送信された場所ID書込コマンドを受信する。続いて、符号57で示すように、RFIDタグ17は、場所ID格納部32に格納されている前回の場所ID情報(ここでは、01)と場所ID書込コマンドによる今回の場所ID情報(ここでは、02)と比較判定テーブル45とに基づいて、RFIDタグ17がA方向へ通過したと判定する。そして、符号58で示すように、不揮発性メモリ30に電池39から電力が供給される。この状態で、結果読取部36が通過検知結果格納部31からRFIDタグ17の移動方向の判定結果を読み取って制御部33へ通知する。続いて、符号59で示すように、不揮発性メモリ30の電源がディセーブルされ、制御部33は制御テーブルに従って処理を行う。また、RFIDタグ17は、場所ID格納部32に02を書き込む。そして、符号60で示すように、RFIDタグ17はスリープ状態に復帰する。
【0041】
スリープ状態にあるときにRFIDタグ17が例えば第3のアンテナに接近すると、符号61で示すように、RFIDタグ17は、第3のアンテナから送信された場所ID書込コマンドを受信する。続いて、符号62で示すように、RFIDタグ17は、場所ID格納部32に格納されている前回の場所ID情報(ここでは、02)と場所ID書込コマンドによる今回の場所ID情報(ここでは、03)と比較判定テーブル45とに基づいて、RFIDタグ17の通過検知無しと判定する。また、RFIDタグ17は場所ID格納部32に00を書き込む。そして、符号63で示すように、RFIDタグ17はスリープ状態に復帰する。
【0042】
実施例2によれば、アンテナ18を介して受信した電波から変換された電力を利用してパッシブタグ部21内でRFIDタグ17の移動方向の判定が行われ、その判定結果がコントローラ34側に読み出されるときに電池39の電力が消費される。従って、電池の電力を利用してパッシブメモリに対して複数回、例えば2回のメモリアクセスを行って複数、例えば2個の場所ID情報を読み出してRFIDタグ17の移動方向を判定する場合に比べて、電池の電力の消費を減らすことができる。つまり、RFIDタグ17の低消費電力化を図ることができる。
【0043】
(実施例3)
・RFIDタグの説明
図9は、実施例3にかかるRFIDタグを示すブロック図である。図9に示すように、実施例3にかかるRFIDタグが図4に示す実施例2のRFIDタグと異なるのは、場所ID書込コマンドの受信後すぐに、場所ID書込コマンドの受信によって得た新規の場所ID情報をバッファなどのメモリに格納するようにしたことである。RFIDタグ17は、例えば不揮発性メモリ30にバッファとして例えば場所ID格納バッファ46を有する。
【0044】
場所ID書込コマンド検出部26は新規の場所ID情報を場所ID情報書込部29に渡す。場所ID情報書込部29は新規の場所ID情報を場所ID格納バッファ46に書き込む。場所ID情報読取部28は場所ID格納バッファ46から新規の場所ID情報を読み取って今回の場所ID情報として比較判定部25に渡す。パッシブタグ部21のその他の構成は実施例2と同様である。
【0045】
また、一例として実施例3では、制御部33によって制御されるセンサとして例えば加速度センサ41および温度センサ47が設けられている。また、例えばアプリ制御部40および無線モジュール42は設けられていない。このような構成において、例えば制御テーブルには、RFIDタグ17の移動方向がA方向(図2参照)である場合、温度センサ47の電源をオンにし、加速度センサ41の電源をオフにすることが規定されていてもよい。また、例えば制御テーブルには、RFIDタグ17の移動方向がB方向(図2参照)である場合、温度センサ47の電源をオフにし、加速度センサ41の電源をオンにすることが規定されていてもよい。
【0046】
・通過検知処理の説明
図10は、実施例3にかかるRFIDタグの通過検知処理手順を示すフローチャートである。図10に示すように、RFIDタグ17で通過検知処理が開始されると、まず、場所ID書込コマンド検出部26が場所ID書込コマンドを検出するまで(ステップS31:No)、場所ID情報書込部29は待機する。場所ID書込コマンド検出部26が場所ID書込コマンドを検出すると(ステップS31:Yes)、場所ID書込コマンド検出部26は、場所ID書込コマンドに含まれている新規の場所ID情報を場所ID情報書込部29へ渡す。場所ID情報書込部29は、場所ID書込コマンド検出部26から受け取った新規の場所ID情報を場所ID格納バッファ46に書き込む(ステップS32)。
【0047】
次いで、場所ID情報読取部28は場所ID格納バッファ46からデータを読み出して今回の場所ID情報として比較判定部25に渡す。また、場所ID情報読取部28は場所ID格納部32からデータを読み出して前回の場所ID情報として比較判定部25へ渡す(ステップS33)。次いで、比較判定部25は今回の場所ID情報を場所ID情報書込部29へ渡す。場所ID情報書込部29は、比較判定部25から受け取った今回の場所ID情報を場所ID格納部32に書き込む(ステップS34)。
【0048】
これ以降は実施例2の図6に示すフローチャートのステップS4からステップS7までの処理と同様である(ステップS35〜ステップS38)。
【0049】
・コントローラ側の処理
図11は、実施例3にかかるRFIDタグのコントローラ側の処理手順の一例を示すフローチャートである。図11に示すように、RFIDタグ17のコントローラ34側の処理が開始されると、まず、実施例2の図7に示すフローチャートのステップS11からステップS15までと同様の処理が行われる(ステップS41〜ステップS45)。そして、例えばRFIDタグ17の移動方向がA方向である場合(ステップS45:A方向)、制御部33は温度センサ47の電源をオンにし(ステップS46)、加速度センサ41の電源をオフにする(ステップS47)。一方、例えばRFIDタグ17の移動方向がB方向である場合(ステップS45:B方向)、制御部33は温度センサ47の電源をオフにし(ステップS48)、加速度センサ41の電源をオンにする(ステップS49)。そして、コントローラ34側の処理を終了する。
【0050】
・RFIDタグを用いたシステムの動作の説明
実施例3にかかるRFIDタグを用いたシステムの動作を示すタイミング図は図8と同様である。ただし、実施例2と異なる点は以下の通りである。
【0051】
図8の符号53で示すタイミングにおいて、RFIDタグ17は、アンテナ1_15から送信された場所ID書込コマンドを受信すると、アンテナ1_15の場所ID情報01を場所ID格納バッファ46に格納する。図8の符号54で示すタイミングにおいて、RFIDタグ17は、場所ID格納部32に格納されている前回の場所ID情報(ここでは、00)と場所ID格納バッファ46に格納されている今回の場所ID情報(ここでは、01)と比較判定テーブル45とに基づいて、RFIDタグ17の通過検知無しと判定する。また、RFIDタグ17は、場所ID格納バッファ46に格納されている場所ID情報(ここでは、01)を場所ID格納部32に書き込む。
【0052】
図8の符号56で示すタイミングにおいて、RFIDタグ17は、アンテナ2_16から送信された場所ID書込コマンドを受信すると、アンテナ2_16の場所ID情報02を場所ID格納バッファ46に格納する。図8の符号57で示すタイミングにおいて、RFIDタグ17は、場所ID格納部32に格納されている前回の場所ID情報(ここでは、01)と場所ID格納バッファ46に格納されている今回の場所ID情報(ここでは、02)と比較判定テーブル45とに基づいて、RFIDタグ17がA方向へ通過したと判定する。また、RFIDタグ17は、場所ID格納バッファ46に格納されている場所ID情報(ここでは、02)を場所ID格納部32に書き込む。
【0053】
図8の符号61で示すタイミングにおいて、RFIDタグ17は、第3のアンテナから送信された場所ID書込コマンドを受信すると、第3のアンテナの場所ID情報03を場所ID格納バッファ46に格納する。図8の符号62で示すタイミングにおいて、RFIDタグ17は、場所ID格納部32に格納されている前回の場所ID情報(ここでは、02)と場所ID格納バッファ46に格納されている今回の場所ID情報(ここでは、03)と比較判定テーブル45とに基づいて、RFIDタグ17の通過検知無しと判定する。また、RFIDタグ17は場所ID格納部32に00を書き込む。
【0054】
実施例3によれば、実施例2と同様の効果が得られる。また、RFIDタグ17が、場所ID書込コマンドの受信後すぐに、受信した場所ID情報を場所ID格納バッファ46に格納するので、通信状態が悪い場合でも、RFIDタグ17の移動方向を判定している途中で新規の場所ID情報が消失するのを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0055】
1 RFIDリーダライタ
2 RFIDタグ
3 受信部
4 記憶部
5 テーブル
6 判定部
7,33 制御部
8 電池
9 信号発生部
32 格納部
46 バッファ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDリーダライタと情報を送受信するRFIDタグであって、
前記RFIDリーダライタから送信される場所情報を受信する受信部と、
前記場所情報を記憶する記憶部と、
前記場所情報の変化と移動方向との対応関係を記憶するテーブルと、
前記受信部で受信した場所情報と、前記記憶部で記憶している前回受信した場所情報とから、前記テーブルを参照して移動方向を判定する判定部と、
前記判定部で、移動方向が判定できた場合に、内蔵する電池から供給される電力によって駆動される制御部へ割り込み信号を通知し、前記判定部で、移動方向が判定できない場合に、前記割り込み信号の生成を中止する信号発生部と、
を備えることを特徴とするRFIDタグ。
【請求項2】
前記判定部で、移動方向が判定できた場合に、移動方向を格納部へ記録して、移動方向を通知する通知部、を備え、
前記受信部、前記判定部および前記場所情報を記憶する際の前記記憶部は、前記RFIDリーダライタから送出される電波を変換して得られた電力によって駆動されることを特徴とする請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項3】
前記通知部が通知した移動方向に応じてアプリケーションの起動および終了を制御する制御部、を備えることを特徴とする請求項2に記載のRFIDタグ。
【請求項4】
前記通知部が通知した移動方向に応じて、内蔵するデバイスの電源のオンおよびオフを制御する制御部、を備えることを特徴とする請求項2に記載のRFIDタグ。
【請求項5】
前記記憶部は、前回受信した場所情報を記憶する格納部と、今回受信した場所情報を記憶するバッファと、を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のRFIDタグ。
【請求項1】
RFIDリーダライタと情報を送受信するRFIDタグであって、
前記RFIDリーダライタから送信される場所情報を受信する受信部と、
前記場所情報を記憶する記憶部と、
前記場所情報の変化と移動方向との対応関係を記憶するテーブルと、
前記受信部で受信した場所情報と、前記記憶部で記憶している前回受信した場所情報とから、前記テーブルを参照して移動方向を判定する判定部と、
前記判定部で、移動方向が判定できた場合に、内蔵する電池から供給される電力によって駆動される制御部へ割り込み信号を通知し、前記判定部で、移動方向が判定できない場合に、前記割り込み信号の生成を中止する信号発生部と、
を備えることを特徴とするRFIDタグ。
【請求項2】
前記判定部で、移動方向が判定できた場合に、移動方向を格納部へ記録して、移動方向を通知する通知部、を備え、
前記受信部、前記判定部および前記場所情報を記憶する際の前記記憶部は、前記RFIDリーダライタから送出される電波を変換して得られた電力によって駆動されることを特徴とする請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項3】
前記通知部が通知した移動方向に応じてアプリケーションの起動および終了を制御する制御部、を備えることを特徴とする請求項2に記載のRFIDタグ。
【請求項4】
前記通知部が通知した移動方向に応じて、内蔵するデバイスの電源のオンおよびオフを制御する制御部、を備えることを特徴とする請求項2に記載のRFIDタグ。
【請求項5】
前記記憶部は、前回受信した場所情報を記憶する格納部と、今回受信した場所情報を記憶するバッファと、を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のRFIDタグ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−43159(P2012−43159A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183404(P2010−183404)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FRAM
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FRAM
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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