説明

RFIDリーダ機能付き画像読取装置用のICタグ情報読取用アンテナ

【課題】
RFIDリーダ機能付き画像読取装置用に好適な、ICタグ情報読取用アンテナを提供する。
【解決手段】
電磁誘導型のRFIDリーダ機能付き画像読取装置用のICタグ情報読取用アンテナであって、原稿台ガラスの周縁部分にアンテナパターンが形成されてなることを特徴とする、ICタグ情報読取用アンテナ、およびこのICタグ情報読取用アンテナを原稿台ガラスとして用いる電磁誘導型のRFIDリーダ機能付き画像読取装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDリーダ機能付き画像読取装置に用いられる電磁誘導型のICタグ情報読取用アンテナおよびそれを備えたRFIDリーダ機能付き画像読取装置に関する。特に、電磁誘導型のRFIDリーダ機能付きフラッドベッド型画像読取装置に好適に用いられる電磁誘導型のICタグ情報読取用アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、セキュリティ向上の観点から、カード媒体にICタグを備えたものを用い、RFIDリーダ機能を有する画像読取り装置によって、画像情報を読取るとともICタグに記録されている情報(以下、ICタグ情報)を読取って、カードの偽造防止や画像情報の改変防止を図ることが提案されている。
【0003】
このようなRFIDリーダ機能を設けた画像読取装置として、例えば、画像読取ヘッドにICタグ情報読取用アンテナを備える例(特許文献1)があり、フラットベッド型画像読取装置および読取用アンテナが開示されている。
【0004】
また、同様に読取ヘッドにICタグ情報読取用アンテナを備える例として、特許文献2や特許文献3に開示されているようなものがある。
【0005】
【特許文献1】特開2007−110463号公報
【特許文献2】特開2001−024845号公報
【特許文献3】特開2005−208575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、画像読取装置の読取ヘッドに、読取ヘッド主走査方向に延びた形状を有する電磁誘導型のICタグ情報読取用アンテナを設けると、ICタグ情報を良好に読取りできない場合がある。これは、画像読取装置の読取ヘッドが主走査方向に長い(画像読取部の幅方向)一方で、副走査方向(前記読取ヘッドの走査方向)については短い形状を有するために、前記読取ヘッドに設けられるICタグ情報読取用アンテナの形状も前記主走査方向に長く前記副走査方向に短いループ形状になることに起因する。
【0007】
電磁誘導型のRFIDシステムにおいては、ICタグ情報読取用アンテナから発生する磁束がICタグのアンテナエレメント部のループ内をその法線方向に貫通する配置にあることが良好な検出のため必要である。ここで前記ICタグ情報読取用アンテナの形状が前記主走査方向に長く前記副走査方向に短いループ形状であるときには、前記ICタグのアンテナエレメント部のループが前記ICタグ情報読取用アンテナの副走査方向の幅より大きいことがある。その場合においては、図3に示すようにICタグ情報読取用アンテナのアンテナパターン33から発生する磁界101が前記法線方向の正負方向に存在することとなり、ICタグのアンテナエレメント41内部において正負方向の磁界が打消しあうため良好な検出がなされない。また、前記ICタグのアンテナエレメント部のループが前記ICタグ情報読取用アンテナの副走査方向の幅より小さい場合には、前記ICタグのアンテナエレメントが小さいことから発生する磁界が弱くなるため、前記ICタグ情報読取用アンテナが良好に検出できないことがある。
【0008】
また、画像読取装置の読取ヘッドは画像読取部分を走査してその画像情報を読取るが、ICタグ情報の読取には一定の時間を要するため、走査速度を一定以下に抑制することが必要になることもあり得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、電磁誘導型のRFIDリーダ機能付き画像読取装置用のICタグ情報読取用アンテナであって、原稿台ガラスの画像読取り範囲の外側の周縁部分にアンテナパターンが形成されてなることを特徴とする、ICタグ情報読取用アンテナである。かかる構成を有することにより、本発明にかかるICタグ情報読取用アンテナは、画像読取部分に配置されたICタグを良好に検出することができ、また、読取ヘッドの走査速度によらずICタグ情報を読取ることができる。さらにまた本発明にかかるICタグ情報読取用アンテナを原稿台ガラスとして用いれば、電磁誘導型のRFIDリーダ機能付き画像読取装置を実現することができる。
【0010】
さらにまた本発明は、前記ICタグ情報読取用アンテナを備えたことを特徴とする、前記RFIDリーダ機能付き画像読取装置である。かかる構成を有することにより、本発明にかかる電磁誘導型のRFIDリーダ機能付き画像読取装置は、画像情報の読取とICタグ情報の読取を同時に良好に行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像読取部分に配置されたICタグを良好に検出することができ、また、読取ヘッドの走査速度によらずICタグ情報を読取ることができる。また本発明によれば、かかる機能を有する電磁誘導型のRFIDリーダ機能付き画像読取装置を容易に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下においては、実施例に基づいて本発明を説明する。図1は、本発明にかかるICタグ情報読取用アンテナが使用される状況の概観図である。図1に示すとおり、画像読取装置1には読み取りヘッド2が備えられており、原稿台ガラス3は画像読取部分31および画像読取装置1の筐体に隠れる周縁部分32に区分けされ、アンテナパターン33(図示せず)は周縁部分32に形成されている。読取対象となるICタグを備えたカード4はアンテナエレメント41およびICタグ42を備えている。
【0013】
原稿台ガラス3には透明な板ガラスが好適に用いられ、その寸法、厚みは画像読取装置の寸法に合わせて適宜決められる。画像読取部分31およびその外側の周縁部分32の寸法形状も、同様に画像読取装置の寸法、対象となる画像の大きさに応じて適宜決められる。
【0014】
アンテナパターン21は、ICタグ情報読取用アンテナとして動作するよう、RFIDリーダの性能および対象とするICタグの性能に応じて、金属等の導体をループ状の形状に成形したものが用いられる。例として、最も簡単な単ループ形状のアンテナパターンを図2に示す。
【0015】
アンテナパターン21は、導電性ペーストをスクリーン印刷等の方法により板ガラスの表面に所定の寸法形状および厚みに塗布した後焼成することにより好適に成形することができる。この方法によれば、任意形状のアンテナパターンを精度良く成形することが可能である。他の方法として、金属線をループ上に加工してアンテナパターンを形成した後に板ガラス表面に固定する方法や、金属箔を所定寸法に切り出して板ガラス表面に固定する方法、金属膜等の導電膜を板ガラス表面に成膜して不用部分をエッチング等の方法で除去するか、あるいはマスク成膜の方法によりアンテナパターンを形成する方法がある。
【0016】
アンテナパターン21の電気特性は、導電体の寸法形状、厚みによって定まるが、送信動作時に大きな電流が流れることから低抵抗であることが望ましく、たとえば端子間抵抗値が1Ω以下、より好ましくは0.1Ω以下とする。
【0017】
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例の記載に制限されるものではない。
【実施例1】
【0018】
日本板硝子株式会社製フロート板ガラス(寸法300mm×200mm,厚み3mm)に、図2の形状のアンテナパターンを外形寸法で縦200mm×横130mm、とし、図2の上部および左右部は幅10mm、下部は幅20mm(中央の間隙幅5mm)、全体の塗布厚みを1mmとして市販の銅導電性ペーストを塗布し、その後焼成して抵抗値0.1Ωの単ループ形状のアンテナパターンを形成した。これにRFIDリーダ(株式会社PFU製、型番fi−60F)に接続し、ガラス表面にICカードA〜D(A:ISO15693に規定のICタグ、B:ISO14443に規定のtypeA、C:ISO14443に規定のtypeB、D:Felica(登録商標))を置き、出力1WにてICタグ情報の読取を試みた。表1に記載の通り、すべて良好な結果となった。
【0019】
【表1】

(比較例1)
【0020】
読取ヘッドにアンテナパターンを形成した場合を模して、実施例1と同様にして、50mm×200mmの板ガラスに外形寸法20mm×130mm,幅5mmの比較用アンテナパターンを形成した。フロート板ガラス(寸法300mm×200mm,厚み3mm)表面にICタグを置き、前記比較用アンテナパターンを用いて実施例1と同様に読取を試みた。このとき、読取ヘッドの走査動作を模して、比較用アンテナパターンを前記フロート板ガラスの裏面に配し、一定速度で移動させながら測定した。ICタグA,Bは移動速度が100mm/秒程度以下であれば読取が可能であったが、ICタグC,Dは移動速度を10mm/秒以下にしても読取ができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明にかかる電磁誘導型のICタグ情報読取アンテナは、電磁誘導型のRFIDリーダ機能付き画像読取装置に用いることができる。特に、従来からある画像読取装置の原稿台ガラスとして用いれば、さらにRFIDリーダを接続ないし内蔵することにより、容易に電磁誘導型のRFIDリーダ機能付き画像読取装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のIC情報読取用アンテナを画像読取装置に取り付けて用いる場合の概観図。
【図2】本発明にかかるアンテナパターンの形状の例。
【図3】読取ヘッドにICタグ情報読取用アンテナを形成した場合の使用時の磁界分布の説明図。
【符号の説明】
【0023】
1 画像読取装置(筐体)
2 画像読取ヘッド
3 原稿台ガラス
4 ICカード
31 画像読取範囲
32 周縁範囲
33 ICタグ情報読取用アンテナパターン
41 ICタグのアンテナエレメント部
42 ICタグのIC部分
101 ICタグ情報読取用アンテナから発生する磁界(点線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁誘導型のRFIDリーダ機能付き画像読取装置用のICタグ情報読取用アンテナであって、原稿台ガラスの画像読取り範囲の外側の周縁部分にアンテナパターンが形成されてなることを特徴とする、ICタグ情報読取用アンテナ。
【請求項2】
前記ICタグ情報読取用アンテナを備えたことを特徴とする、電磁誘導型のRFIDリーダ機能付き画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−68252(P2010−68252A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−232672(P2008−232672)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【Fターム(参考)】