説明

RFID用リーダライタおよびその定義情報の管理方法

【課題】各種動作に関する設定や設定の変更を簡単に実行でき、また設定内容を他の装置に容易に移植できるようにする。
【解決手段】リーダライタ1の筐体内に、制御部10の動作に関する定義情報が保存された設定用タグ2を配備し、電源が立ち上げられたときに、設定用タグ2と交信を行うことによって定義情報を読み出し、これをメモリ15に登録する。また、設定を変更する必要が生じた場合には、外部のタグ3に変更後の定義情報を保存し、このタグ3との交信によって変更後の定義情報を取得し、取得した定義情報によりメモリ15および設定用タグ2の情報を更新する。またリーダライタ1が故障した場合には、新規のリーダライタ1と設定用タグ2との間で交信を行うことにより、設定用タグ2内の定義情報を新規のリーダライタ1に移植する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体メモリを内蔵するRFID(Radio Frequency Identification)タグと非接触の交信を行って、当該RFIDタグに情報の読み出しや情報の書き込みを行う装置に関する。
【背景技術】
【0002】
RFID用の読み書き処理装置は、アンテナコイルを含む送受信回路とコンピュータによる制御部とを具備するもので、一般に「リーダライタ」と呼ばれる。従来のリーダライタには、送受信回路と制御部とが同じ筐体内に収容された一体型タイプのものや、制御部を含むコントローラとアンテナ部とに分離したタイプのものがある。
【0003】
いずれのタイプの装置も、一般に、制御部をパーソナルコンピュータやプログラマブル・ロジック・コントローラなどの上位機器に接続した状態で使用される。制御部は、上位機器からの指令に基づき、送受信回路の動作を制御しつつ、RFIDタグに所定のコマンドを送信する処理と、コマンドに対するRFIDタグからの応答信号を受信して応答内容を復号する処理と、復号されたデータを上位機器に送信する処理とを実行する。
【0004】
また、一般に、各RFIDタグ(以下、単に「タグ」という場合もある。)には固有の識別コードが付与されており、制御部は、交信領域に入ったタグに対する最初の交信で、識別コードや基本的なデータを読み取った後に、読み取った識別コードにより交信対象を特定して、本格的な交信を開始する。
【0005】
さらに、交信対象外のタグがコマンドに応答するのを禁止することにより、目的とするタグのみを動作させて、読み書き処理の精度を確保することも提案されている。
たとえば、特許文献1には、通信可能領域にRFIDタグ(データキャリア)が次々に進入する場合に、識別コードにより交信対象を特定したコマンドを送信するとともに、送信の終了したRFIDタグの識別コードを含む除外コマンドデータを送信することにより、後続のタグに対するコマンドに反応しないように制御することが記載されている。
【0006】
また、特許文献2には、各種構成部位にRFIDタグが取り付けられたリーダライタにおいて、応答要求電波(コマンド)の送信に対する応答電波により交信領域に含まれるRFIDタグの識別コードを取得し、これらのID番号を元にした応答禁止命令を送信することによって、装置外のタグに対する読み書き処理の精度を確保することが、記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開平7−326982号公報
【特許文献2】特開2005−293471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のRFID用のリーダライタを使用する場合には、導入される現場の環境や使用目的などに応じて、種々の設定を行う必要がある。たとえば、通信速度、パリティビットの有無、データ長、交信に失敗したときのリトライ回数など、交信処理の具体的内容に関する設定が実行される。さらに、ノイズの測定、テストモードの実行など、オプションの機能を選択するか否かを決めるための設定を行う場合もある。
【0009】
従来の装置には、この種の設定をディップスイッチにより行うタイプのものと、上位機器から設定内容を示す定義情報を送信して、装置内のメモリに登録しておくタイプのものがある。前者のタイプでは、ディップスイッチの数が増えると構成が複雑になり、また水や振動等によってディップスイッチが破損するおそれがある。また、ユーザのスイッチ操作により設定を行うため、操作が煩雑になり、設定ミスが生じる可能性もある。
【0010】
上位機器からの送信データに基づき設定を行うタイプの装置は、設定項目が多数ある場合に適しているが、設定を変更する場合には、常に上位機器を介して設定操作を行う必要がある。また本体の回路や制御部が故障して動かなくなったために新しい装置に交換する場合には、故障した装置に登録されている情報を読み出すことが困難になり、新しい装置に前と同じ内容の設定を行うのが難しくなるおそれがある。
【0011】
この発明では、これらの問題点に着目し、各種動作に関する設定や設定の変更を簡単に実行できるようにすること、および故障で装置本体が動作しなくなった場合でも、その設定内容を容易に他の装置に移植できるようにすることを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明が適用されるRFID用のリーダライタは、アンテナコイルを含む送受信回路と、メモリを含む制御部とを具備し、制御部において、送受信回路を介してRFIDタグとの非接触交信を実行することにより当該RFIDタグに対する情報の読み書き処理を行うものである。この装置は、前記した一体型タイプの装置として構成される場合もあれば、アンテナ部と制御部とに分離したタイプの装置として構成される場合もある。また、後者のタイプの装置には、アンテナコイルのみがアンテナ部に含まれるものと、アンテナコイル以外の送受信回路もアンテナ部に含まれるものとがある。
【0013】
上記した課題を解決するためのリーダライタには、装置内部の送受信回路との交信が可能な位置に、制御部の動作設定に関わる定義情報を記憶するためのRFIDタグが1つ配備される。また制御部には、送受信回路の交信領域内に位置するRFIDタグを対象に定義情報の送信を要求するコマンドを送信し、このコマンドに対する応答信号に含まれる定義情報を自己の内部メモリに登録する定義情報登録手段と、内部メモリに登録された定義情報に基づき、装置外部の不特定数のRFIDタグに対する情報の読み書き処理を実行する主要動作実行手段とが設けられる。
【0014】
定義情報登録手段は、定義情報を記憶した状態で送受信回路の交信領域内に位置するRFIDタグが装置内のRFIDタグのみであったときは、前記定義情報の送信を要求するコマンドに対する装置内のRFIDタグからの応答信号により定義情報を取得して、取得した定義情報を内部メモリに登録する。一方、装置内のRFIDタグ以外に、定義情報を記憶するRFIDタグが交信領域内に位置するときには、定義情報の送信を要求するコマンドに対する装置内のRFIDタグ以外のRFIDタグからの応答信号により定義情報を取得し、取得した定義情報を内部メモリに登録するとともに、当該定義情報を含む書き込みコマンドを自装置RFIDタグに送信することによって、装置内のRFIDタグに内部メモリに登録したのと同一の定義情報を保存する。
【0015】
上記構成において、装置内に配備されるRFIDタグは、一般的なRFIDタグと同様の回路構成を具備するもので、リーダライタの制御部と非接触の交信を行うことができる。ただし、一般的なRFIDタグでは、回路が樹脂ケースにより保護されているのに対し、装置内のRFIDタグにおいては、回路を保護するケース体は必ずしも必要ではない。また、本体側の送受信回路と電気的に独立しているのであれば、本体側の回路と同じ基板上にRFID用の回路を搭載してもよい。
【0016】
上記構成のリーダライタによれば、たとえば、装置が起動した後に、装置内のRFIDタグと交信することにより、このタグに保存されている定義情報を読み出して制御部のメモリに登録し、定義情報に基づく読み書き処理を開始することができる。また装置内のRFIDタグが定義情報が保存されていない初期状態である場合や、制御部の動作設定を変更する場合には、装置の外部に、設定内容を示す定義情報が書き込まれたRFIDタグを送受信回路の交信領域内に入るように配置して、この外部のタグと交信して定義情報を読み出し、読み出された定義情報を制御部の内部メモリに登録することによって、初回の設定または設定変更を行うことができる。さらに、装置内のRFIDタグにも同様の定義情報が保存されるから、以後も、装置内のRFIDタグとの交信によって変更後の設定を行うことができる。
【0017】
このように、装置内のRFIDタグまたは定義情報を記憶する外部のRFIDタグと交信を行うことによって、種々の動作設定に関わる定義情報の保存や更新を容易に行うことができ、利便性を高めることができる。
【0018】
さらに、故障した装置の設定を別の装置に引き継ぐ場合にも、故障した装置を、その内部のRFIDタグが新規の装置の交信領域内に含まれるように配置し、新規の装置から定義情報の送信を要求するコマンドを送信することによって、故障した装置に登録されている定義情報を容易に読み出し、新規の装置に移植することができる。
【0019】
なお、制御部側の定義情報が登録されるメモリが不揮発性メモリである場合には、装置の起動後、装置内のRFIDタグとの交信を行わずに、制御部内のメモリの定義情報を有効にして読み書き処理を開始するようにしてもよい。この場合にも、装置内のRFIDタグはバックアップ用メモリとして機能し、メモリ内の情報が破損した場合などに、適宜、定義情報登録手段によって、バックアップデータから設定を復元することが可能になる。また装置が故障した際には、装置内のRFIDタグから定義情報を容易に読み出して、確認することが可能になる。
【0020】
上記のリーダライタの好ましい一態様では、主要動作実行手段は、交信対象のRFIDタグへのコマンド送信に先立ち、装置内のRFIDタグに以後のコマンドに対する応答を禁止するコマンドを送信することにより、装置内のRFIDタグをコマンドに反応しない状態に設定する。このような構成により、定義情報の読み出しや書き込みを行う場合のみ装置内のRFIDタグを作動させ、通常の読み書き処理中に装置内のRFIDタグが動作するのを防止することができる。
【0021】
他の好ましい態様では、装置内のRFIDタグ内の回路には、通常は当該回路を閉路状態に設定し、制御部からの制御信号によって当該回路を開放するスイッチ回路が設けられる。また、主要動作実行手段は、交信対象のRFIDタグへのコマンド送信に先立ち、スイッチ回路への制御信号をオン状態にすることにより、装置内のRFIDタグをコマンドに反応しない状態に設定する。
【0022】
上記の構成によっても、通常の読み書き処理中に装置内のRFIDタグが作動するのを防止することができる。また制御部からの制御信号がオフ状態であれば、装置内のRFIDタグ内の回路は閉路した状態となるから、万一、制御部が故障しても、外部からの電磁波によって装置内のRFIDタグを起動し、定義情報を読み出すことが可能である。
【0023】
リーダライタの他の好ましい態様では、定義情報登録手段は、自己の識別情報および保有する情報の内容を報知することを要求するコマンドを相手先を特定せずに送信し、このコマンドに対して返送された応答信号に基づき、装置内のRFIDタグ以外に定義情報を記憶するRFIDタグが送受信回路の交信領域内に存在するか否かを判別する。そして、該当するRFIDタグが存在すると判別したときは、当該RFIDタグから報知された識別情報により送信先を特定して定義情報の送信を要求するコマンドを送信する。一方、定義情報を記憶するRFIDタグが装置内のRFIDタグのみであると判別したときは、当該装置内のRFIDタグの識別情報により送信先を特定して定義情報の送信を要求するコマンドを送信する。
【0024】
上記の態様によれば、装置内のRFIDタグ以外に定義情報を記憶するRFIDタグが存在する場合には、このRFIDタグの存在を容易に判別し、当該RFIDタグとの交信を実行するので、定義情報を更新する必要がある場合に、その更新処理を確実に行うことが可能になる。
【0025】
つぎに、RFID用のリーダライタにおける定義情報の管理方法において上記した課題を解決するには、あらかじめ、装置内部の送受信回路との交信が可能な位置にRFIDタグを1つ配備して、このRFIDタグに制御部の動作設定に関わる定義情報を保存し、装置の起動後に、制御部において、装置内のRFIDタグに定義情報の送信を要求するコマンドを送信するステップと、このコマンドに応じて装置内のRFIDタグから返送された定義情報を制御部の内部メモリに登録するステップとを実行した後に、登録された定義情報に基づき装置内のRFIDタグ以外の不特定数のRFIDタグに対する情報の読み書き処理を実行する。
【0026】
また、制御部の動作設定を変更するときには、装置の外部に、変更後の設定に関わる定義情報を記憶するRFIDタグを送受信回路の交信領域内に含まれるように配置して、制御部から当該RFIDタグに定義情報の送信を要求するコマンドを送信することによって変更後の定義情報を取得し、取得した定義情報により制御部のメモリ内の定義情報を書き換えるとともに、取得した定義情報を含む書き込みコマンドを装置内のRFIDタグに送信することによって、装置内のRFIDタグが記憶する定義情報を更新する。
【0027】
上記の方法によれば、通常は、装置内のRFIDタグに保存されている定義情報を読み出して制御部に登録し、読み書き処理を開始する。また、動作内容の設定を変更する必要が生じた場合にも、装置の外部に変更後の定義情報を記憶するRFIDタグを配置して、このRFIDタグと交信を行うことによって必要な定義情報を取得し、制御部および自装置RFIDタグの定義情報を書き換えることができる。
【0028】
上記方法の好ましい態様では、制御部の動作設定を確認する場合に、装置内のRFIDタグが他のリーダライタの交信領域内に含まれるように当該他のリーダライタを配置し、他のリーダライタから装置内のRFIDタグに定義情報の送信を要求するコマンドを送信することによって、装置内のRFIDタグが記憶する定義情報の読み出しを実行する。このような方法によれば、主回路が故障して制御部を動かすことができなくなった場合でも、装置内のRFIDタグから容易に定義情報を読み出し、確認することができる。また他のリーダライタにも、同内容の定義情報を登録することが可能になる。
【0029】
他の定義情報の管理方法では、あらかじめ、装置内部の送受信回路との交信が可能な位置にRFIDタグを1つ配備し、制御部において、自己の内部メモリに登録された定義情報に基づき、装置内のRFIDタグ以外の不特定数のRFIDタグに対する情報の読み書き処理を実行する。ここで、制御部に動作設定に関わる定義情報を登録する場合には、装置の外部に、登録すべき定義情報を記憶するRFIDタグを送受信回路の交信領域内に含まれるように配置して、制御部において、当該定義情報が保存されたRFIDタグに定義情報の送信を要求するコマンドを送信するステップと、このコマンドに応じて返送された定義情報を自己の内部メモリに登録するステップと、返送された定義情報を含む書き込みコマンドを装置内のRFIDタグに送信することによって、装置内のRFIDタグに当該定義情報を保存させるステップとを実行する。さらに、制御部の動作設定を確認する場合には、装置内のRFIDタグが他のリーダライタの交信領域に含まれるように当該他のリーダライタを配置し、他のリーダライタから装置内のRFIDタグに定義情報の送信を要求するコマンドを送信することによって、装置内のRFIDタグが記憶する定義情報の読み出しを実行する。
【0030】
上記の方法によれば、外部のRFIDタグとの交信により制御部のメモリに定義情報を登録するとともに、同じ定義情報を装置内のRFIDタグにも保存し、この装置内のRFIDタグに保存された定義情報を他のリーダライタを用いて読み出すことができるので、装置が故障した場合にも、設定内容を容易に確認することが可能になる。
【発明の効果】
【0031】
上記のリーダライタおよびこの装置における定義情報の管理方法によれば、装置内に定義情報を保存するための自装置内のRFIDタグや外部のRFIDタグとの交信によって、定義情報の設定や変更を簡単に実行することが可能になる。また、万一装置が故障して交換する必要が生じた場合でも、新たな装置に故障した装置と同じ設定をすることが容易になり、装置の利便性を大幅に向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図1は、この発明が適用されたRFID用のリーダライタの構成例を示す。
この実施例のリーダライタ1は、筐体17の内部に、アンテナコイル11を含む送受信回路と制御部とが配備された一体型タイプの装置であり、ケーブル18を介して上位機器に接続された状態で使用される。
【0033】
さらにこの実施例の筐体17内には、RFIDタグ2が1つ固定配備されている。このRFIDタグ2は、通常の交信対象のRFIDタグと同一仕様のもので、リーダライタ1の動作設定に関する各種定義情報を保存するためのメモリ装置として機能する。以下、この実施例では、この種の定義情報が保存されたタグを「設定用タグ」といい、通常の交信対象のタグを「一般タグ」という。
【0034】
図2は、上記のリーダライタ1の電気構成を、外部のタグ3や上位機器4との関係とともに示す。
図中の10は、リーダライタ1の制御部であって、CPU14や不揮発性のメモリ15(たとえばEEPROM)などが含まれる。この制御部10には、アンテナコイル11、送信回路部12、受信回路部13による送受信回路が接続される。
【0035】
メモリ15には、一連の動作に必要なプログラムや設定データのほか、通常の読み書き処理における動作内容を示す定義情報などが格納される。
【0036】
図2には示していないが、CPU14と送信回路部12との間には、キャリア信号の伝送ラインと、コマンド信号の伝送ラインとが設けられている。送信回路部12には、変調回路やインピーダンス整合のための回路などが含まれており、これらの回路によりキャリア信号をコマンド信号により振幅変調した信号を生成し、これをアンテナコイル11に出力する。これにより、アンテナコイル11からは、コマンド信号を含む電磁波が送出される。
【0037】
受信回路部13には、検波回路、フィルタ回路、コンパレータなどが含まれており、これらの回路により、アンテナコイル11から伝達された信号の中からタグ2,3からの応答信号を抽出し、CPU14に出力する。
【0038】
外部のタグ3には、アンテナコイル31やIC32を含む回路が設けられる。設定用タグ2にも同様に、アンテナコイル21やIC22を含む回路が設けられる。各IC22,32には、それぞれCPUやメモリが含まれている。
【0039】
各IC22,32内のCPUは、リーダライタ1からの電磁波によりアンテナコイル21,31に生じた電力により起動し、リーダライタ1からのコマンドを受け付けて、そのコマンドに応じた処理を実行し、リーダライタ1に応答できる状態になる。
【0040】
リーダライタ1のCPU14は、図示しないインターフェース回路およびケーブル18を介して上位機器4に接続されており、上位機器4からコマンド送信の指示を受けたことに応じて、キャリア信号の送出を開始し、上位機器4から指示されたコマンドを送信回路部12およびアンテナコイル11を介してタグ2または3に出力する。受信回路部13からコマンドに対するタグ2,3からの応答信号が入力されると、CPU14は、この応答信号から応答内容を表すデータを復号し、復号したデータを上位機器4に出力する。
【0041】
この実施例では、あらかじめ、設定用タグ2のIC22内のメモリに、CPU14の具体的な動作に関する定義情報を保存しておき、電源の投入により起動する都度、CPU14が設定用タグ2と交信することにより、設定用タグ2から定義情報を読み出してメモリ15に登録するようにしている。ここで登録される定義情報は、主として、一般タグに対する交信時の動作を定めるもの(通信速度、パリティビットの有無、データ長、リトライ回数など)であるが、エラー出力の態様、ノイズ測定機能の設定など、オプション的設定に関する情報も含まれる。
【0042】
この実施例のリーダライタ1は、設定用タグ2から読みだした定義情報をメモリ15に登録する処理を終了することによって、ユーザの設定に応じた動作を実行できる状態になる。
また、この実施例では、装置の動作設定を変更する必要が生じた場合には、外部のタグ3に変更後の設定内容を示す定義情報を保存し(以下、この定義情報が保存されたタグを「更新設定用タグ」という。)、更新設定用タグおよび自装置の設定用タグ2と順に交信を行うことによって、メモリ15および設定用タグ2内の定義情報を書き換えるようにしている。
【0043】
なお、この実施例の各タグ2,3のメモリ内の固定情報記憶エリアには、それぞれタグに固有の識別コードと、タグの種別コード(設定用タグ、一般タグのいずれに該当するかを示すもの)とが保存される。また、CPU14が外部のタグ3と交信を行う場合には、まず装置内の設定用タグ2に、以後のコマンドに反応することを禁止するコマンド(以下、「禁止コマンド」という。)を送信してから、外部のタグ3にコマンドを送信するようにしている。
【0044】
装置内の設定用タグ2は、アンテナコイル11の電磁波が届く場所に固定されているので、外部のタグ3との交信が開始されると、アンテナコイル11からの電磁波によって必ず起動する。しかし、起動後に禁止コマンドを受けた場合には、以後のコマンドには応答しない状態になるので、CPU14が交信相手を特定しないコマンドを出力した場合に、CPU14に不要な応答信号が届いて処理が煩雑になったり、一般タグ用の書き込みコマンドにより設定用タグ2の定義情報が書き替えられたりするのを防止することができる。
【0045】
図3は、電源立ち上げ直後に実行される初期設定処理の手順を示す。なお、以下の「ST1」等は、図中の各ステップの識別符号に対応する。
【0046】
この初期設定処理用のプログラムは、基本的な通信規則に基づき、定義情報が定まっていない状態下でも実行できるように構成されている。この処理では、まず、キャリア信号の送出を開始した後に、マルチリードコマンドを送信する(ST1,2)。マルチリードコマンドとは、タグの保持する情報のうち、識別コードや種別コードなどの固定情報の送信を要求するもので、交信対象を特定せずに送出される。このコマンドにより、交信領域内にある全てのタグ(装置内の設定用タグ2を含む。)について、識別コードおよび種別コードを取得することができる。
【0047】
マルチリードコマンドにより識別コードや種別コードを取得すると、これらを用いて設定用タグの存在を確認する。メモリ15内には、この処理のために、あらかじめ設定用タグ2の識別コードが登録されており、マルチリードコマンドの送信に対し、登録されている識別コードを含む応答信号を受信したか否かによって、自装置の設定用タグ2の存在を確認することができる。さらに、登録されている識別コード以外の識別コードを含む応答信号を受信した場合には、その応答信号中の種別コードによって、当該応答信号を送信した外部タグ3が更新設定用タグであるか否かを判別することができる。
【0048】
ここで、自装置内の設定用タグ2は存在するが、外部の更新設定用タグは存在しないと判断した場合(ST3が「YES」、ST4が「NO」の場合)には、設定用タグ2に読み出しコマンドを送信することによって、当該タグ2が保有する定義情報を含む応答信号を送信させ、その定義情報を取得する(ST5)。さらに、取得した定義情報をメモリ15に保存する(ST6)。この後は、キャリア信号の送出を終了し(ST12)、一般タグに対する通常交信処理を開始する。
【0049】
一方、装置内の設定用タグ2のほかに、装置外に更新設定用タグが存在すると判断した場合(ST3,4が「YES」の場合)には、まず装置内の設定用タグ2に前述した禁止コマンドを送信する(ST7)。設定用タグ2では、この禁止コマンドを受信すると、コマンドに従う旨の応答信号を受信した後、以後のコマンドに応答しない休止状態となる。
【0050】
CPU14では、設定用タグ2から上記の禁止コマンドに従う旨の応答信号を得ると、つぎに、外部の更新設定用タグに読み出しコマンドを送信し、そのコマンドに対する応答信号より更新設定用タグが保持する定義情報を取得する。
【0051】
この後は、取得した定義情報によりメモリ15内の定義情報を書き換える(ST9)。さらに、キャリア信号の送出を一次遮断することによって設定用タグ2をリセットする(ST10)。具体的には、キャリア信号の遮断により設定用タグ2への電力供給を遮断した後、キャリア信号の送出を再開することによって設定用タグ2を再起動させるもので、これにより設定用タグ2の禁止コマンドは解除される。リセット処理が終了すると、更新設定用タグから取得した定義情報を含む書き込みコマンドを、設定用タグ2の識別コードにより当該タグ2に対象を特定して送信することにより、設定用タグ2の定義情報を書き換える。この後は、キャリア信号の送出を終了し(ST12)、通常交信処理に進む。
【0052】
なお、設定用タグ2以外に交信領域内にタグが存在することが確認されても、そのタグからの応答信号に含まれる種別コードが一般タグを示すものであった場合には、ST4が「NO」となり、ST5,6の処理が実行される。また、設定用タグ2が故障などによりマルチリードコマンドに応答しなかった場合(ST3が「NO」の場合)には、エラー発生とみなして、処理を中止する。
【0053】
上記によれば、ユーザは、リーダライタ1の設定を変更する必要がない場合には、単に電源を入れることにより、CPU15に、自装置内の設定用タグ2内の定義情報を読み出してメモリ15に保存し、以後、この定義情報に基づく通常交信処理を開始することができる。また、リーダライタ1の設定を変更する場合には、変更後の定義情報が保存された更新設定用タグをリーダライタ1の近傍に配置してから電源を入れることにより、更新設定用タグ側の定義情報をメモリ15に保存し、この定義情報に基づく通常交信処理を開始することができる。さらにこの場合には、装置内の設定用タグ2の定義情報もメモリ15と同じ内容になるように更新されるので、以後の装置の起動に対しても、更新された定義情報による処理を実行することができる。
ただし、メモリ15や設定用タグ2の定義情報を書き換える場合にも、更新前の定義情報を必ずしも消去する必要はなく、履歴情報として保持してもよい。
【0054】
図4は、上記の初期設定後に実行される通常交信処理の手順を示す。
この処理では、上位機器4からのコマンドを受信したことに応じて、キャリア信号の送出を開始する(ST21,22)。つぎに、装置内の設定用タグ2に禁止コマンドを送信する(ST23)。設定用タグ2では、この禁止コマンドを受信すると、初期設定処理の場合と同様に、このコマンドに従う旨の応答信号を送信した後、以後のコマンドに応答しない休止状態となる。
【0055】
CPU15では、禁止コマンドに対する内部設定用タグ2からの応答を受けると、一般タグに、上位機器4から受信したコマンドを送信し、このコマンドに対する一般タグからの応答信号を受け付ける(ST24,25)。
【0056】
この後は、キャリア信号の送出を終了し(ST26)、ST25で受信した応答信号を上位機器4に送信する(ST27)。以下、上位機器4から処理を終了する旨の連絡があるまで(ST28が「YES」)、上記の処理を繰り返し実行する。
【0057】
なお、上記のST21〜28のループは、通常、1つの一般タグに対して複数回実行されるので、少なくとも同じタグとの交信が続いている間は、ST26をスキップしてキャリア信号を送出し続けるようにしてもよい。この場合には、キャリア信号の送出直後に禁止コマンドを送信し、以後、キャリア信号が停止するまで、設定用タグ2に禁止コマンドを送信しないようにしてもよい。キャリア信号が送出されない状態になると、設定用タグ2はリセットされ、禁止コマンドの効果もなくなるが、キャリア信号の送出が続く間は、設定用タグ2もリセットされることがなく、休止状態が持続するからである。
【0058】
このように上記の実施例では、設定用タグ2に禁止コマンドを送信することによって、外部のタグ3に対するコマンドに設定用タグ2が反応することがないようにしたが、これに限らず、図5に示すような構成によっても同様の効果を得ることができる。
【0059】
図5に示すリーダライタ1では、基本的な構成は図2と同様であるが、設定用タグ2のIC22とコイル21との間に、トランジスタ等によるスイッチ回路23(図中では、簡単にスイッチ記号により示す。)が設けられている。このスイッチ回路23は、ノーマリクローズ型の回路であって、CPU14からハイレベルの信号を入力することによって、接続を開放するように構成されている。
【0060】
図6,7は、図5の構成のリーダライタ1における初期設定処理および一般交信処理の流れを示す。なお、これらの処理の主要部分は先の図3,4と同様であるので、図3,4と同じ符号で示し、変更したステップのみに異なる符号を付けている。
【0061】
以下、変更したステップに関連する処理を中心に説明する。
図6の例の初期設定処理では、装置内の設定用タグ2から定義情報を読み出す場合には、先の図3の例と同様の手順が実行される(ST1〜6)。一方、外部の更新設定用タグにより定義情報の書き換えを行う場合には、更新設定用タグに読み出しコマンドを送信する前にスイッチ回路23を開放する(ST13)。これにより、更新設定用タグに読み出しコマンドを送信したときには、設定用タグ2は、コマンドに反応しない状態となる。
【0062】
読み出しコマンドに対する更新設定用タグからの応答信号により定義情報を取得し、取得した定義情報によりメモリ15の情報を更新すると(ST8,9)、スイッチ回路23を閉じる(ST14)。これにより設定用タグ2が起動すると、このタグに、更新用タグから読み出した定義情報を含む書き込みコマンドを送信することによって、定義情報の書き換えを行う(ST11)。
【0063】
つぎに、図7に示す通常交信処理では、キャリア信号の送出を開始した後に、スイッチ回路23を開放してから一般用タグ3へのコマンドを送信する(ST22,29,24)。さらに、このコマンドに対する一般用タグ3からの応答信号を受信すると、スイッチ回路23を閉じる(ST25,30)。
【0064】
上記のように、設定用タグ2にスイッチ回路23を設け、この回路の開閉を制御することによっても、外部のタグとの交信の際に、装置内の設定用タグ2が動作しないようにすることができる。
【0065】
さらに、図2や図5の実施例では、いずれも、本体の回路から電気的に独立している内部設定用タグ2に制御部10の定義情報を保存しているので、本体の回路が故障してCPU14が作動しなくなっても、外部から内部設定用タグ2を動かすことによって、定義情報を読み出すことができる。
【0066】
図8は、内部設定用タグ2を具備するリーダライタ1が故障して、別のリーダライタ1に交換する場合に実施される方法を示す。図中、右側のリーダライタ1Aがこれまで使用されていたものであり、左側のリーダライタ1Bが新品である。リーダライタ1Aの本体の回路は破損して動作不能になっているが、内部設定用タグ2は故障していないものとする。また、リーダライタ1Bのメモリ15や内部設定用タグ2は、定義情報が全く書き込まれていない初期状態であるものとする。
【0067】
この実施例では、双方のリーダライタ1A,1Bをオフ状態にしたまま、装置の前面を、交信可能な距離を隔てて向かい合わせた状態で配置し、その後にリーダライタ1Bの電源を立ち上げる。リーダライタ1Bでは、起動後、図3の初期設定処理が実行されるが、このときリーダライタ1A側の設定用タグ2は、リーダライタ1Bにとっては外部の更新設定用タグとなるため、ST7〜11の処理が実行されることになる。これにより、これまでリーダライタ1Aに設定されていた定義情報を読み出して、リーダライタ1Bのメモリや設定用タグ2に保存することができるから、リーダライタ1の交換に伴う設定情報の引き継ぎをきわめて容易に行うことができる。
【0068】
なお、上記図8に示した方法は、リーダライタ1が故障した場合に限らず、新規のリーダライタ1に既に稼動中のリーダライタ1と同じ設定をする場合にも適用することができる。
【0069】
上記図8の例では、図2の構成のリーダライタ1を使用しているが、図5の構成のリーダライタ1を使用する場合も同様の方法で定義情報を移植することができる。図5のリーダライタ1のスイッチ回路23は、CPU14からハイレベルの信号が与えられたときのみ開放されるので、本体の回路が故障した場合には、スイッチ回路23は閉じており、故障していても、外部からの電磁波により設定タグ2を動かして、定義情報を読み出すことができるからである。
さらに、図2の構成の装置と図5の構成の装置との間で定義情報の送受信を行うこともできる。
【0070】
なお、新規のリーダライタ1を、交換目的ではなく、新規に導入する場合には、装置の外部に定義情報が書き込まれたRFIDタグを配置して、定義情報を更新する場合と同様の手順で、外部のタグからの定義情報を読み出し、メモリ15および装置内の設定用タグ2に登録してもよい。ただし、これに限らず、初回の設定時のみ、上位機器4から定義情報を送信し、これをメモリ15に登録した後に、設定用タグ2に書き込みコマンドを送信して、同じ定義情報を書き込ませるようにしてもよい。
【0071】
このほか、図2または図5の構成のリーダライタ1に関して、考えられ得る構成の変更例を説明する。
(1)まず、装置内の設定用タグ2は、筐体17の内部に収容されるので、専用のケース体を設けずに、回路を露出させた状態で筐体17内に収容してもよい。また本体部側の送受信回路と電気的に独立していれば、この送受信回路と同じ基板上に設定用タグ2の回路を設けてもよい。
一方、設定用タグ2は必ずしも筐体17内に固定する必要はなく、取り出し自由に配備してもよい。このようにすれば、設定用タグ2を取り替えたり、他の場所で定義情報を書き換えてから装置内に戻すなどの方法により、定義情報の更新にも容易に対応することが可能になる。
【0072】
(2)各実施例のリーダライタ1は、送受信回路と制御部14とを同じ筐体17内に収容した構成のものであるが、これに限らず、アンテナコイル11を含むアンテナ部と、制御部10を含むコントローラとが分離したタイプのリーダライタにおいても、同様に設定用タグ2を設けることができる。この場合の設定用タグ2は、アンテナ部に設けるのが望ましいが、アンテナコイル11からの交信領域内に含まれるのであれば、コントローラ側に設けても支障はない。
【0073】
(3)つぎに、図3,6に示した初期設定処理では、動作設定を変更する場合には、更新設定用タグを交信領域に配置した後に電源を立ち上げるようにしているが、これに限らず、装置の起動後も、適宜、更新設定用タグを交信領域内に入れることによって、設定を変更できるようにしてもよい。たとえば、CPU14にマルチリードコマンドにより交信領域に新たに入ったタグを認識させるようにしておき、種別コードを設定用タグとする応答信号を受信したとき、この応答を出したタグに定義情報の読み出しを要求するコマンドを送信すればよい。
【0074】
(4)また図3,6の初期設定処理では、マルチリードコマンドを用いて交信領域内に存在するRFタグを確認した後に、定義情報の送信を要求するコマンドを送信先を特定して送信したが、これに代えて、初めから定義情報の送信要求コマンドを相手先を特定せずに送信してもよい。この場合、このコマンドに応答するタグから、自己の識別コード付きの応答信号を送信するようにしておけば、CPU14では、自装置の設定用タグからの応答信号と、それ以外のタグからの応答信号とを見分けることができる。よって、自装置の設定用タグ2のみから応答信号を受けた場合には、その応答信号に含まれる定義情報をメモリ15に登録し、設定用タグ2とその他のタグから応答信号を受けた場合には、後者の応答信号に含まれる定義情報を採用して、メモリ15および設定用タグ2の情報を更新することもできる。
【0075】
(5)つぎに、各実施例のリーダライタ1のメモリ15は不揮発性であるので、設定を変更しない場合には、起動の都度、設定用タグ2との交信を行うのではなく、メモリ15内に保持されている定義情報を有効にすることによって、通常交信処理を開始してもよい。ただし、誤動作が生じた場合などに、適宜、設定用タグ2側の定義情報を登録し直すことができるように、メモリ15をリセットする機能を設けるのが望ましい。たとえば、リセット操作に応じて設定用タグ2に読み出しコマンドを送信し、このコマンドに対する設定用タグ2から取得した定義情報を、メモリ15に再登録する方法が考えられる。
【0076】
上記のように、メモリ15内の定義情報を有効にして通常交信処理を開始する場合には、設定用タグ2は定義情報のバックアップ用メモリとして機能するだけとなり、上記のリセット処理や定義情報を更新するとき以外に、設定用タグ2に対する交信が行われることはない。
【0077】
しかし、装置内の設定用タグ2に定義情報をバックアップしておけば、バックアップデータを装置と一体にして管理できるから、バックアップデータをなくしたり、他の装置のバックアップデータとの取り違えが起こるおそれがない。また、定義情報が更新される都度、バックアップデータも自動的に更新されるので、データの確度を保つことができる。また本体が動作しなくなった場合には、図8に示した方法によりバックアップデータを他の装置に簡単に移植できるから、リーダライタ1の交換作業をきわめて簡単に行うことができる。よって、この種のバックアップデータをパーソナルコンピュータ等で管理する場合よりも、はるかに簡単かつ正確に、定義情報を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】リーダライタの外観を示す斜視図である。
【図2】リーダライタ1の電気構成例を示すブロック図である。
【図3】初期設定処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】通常交信処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】リーダライタの他の構成例を示すブロック図である。
【図6】図5のリーダライタにおける初期設定処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】図5のリーダライタにおける通常交信処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】故障したリーダライタの定義情報を読み出す方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0079】
1 リーダライタ
2 設定用タグ
3 外部のタグ
10 制御部
11 アンテナコイル
12 送信回路部
13 受信回路部
14 CPU
15 メモリ
21,31 アンテナコイル
22,22 IC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナコイルを含む送受信回路と、メモリを含む制御部とを具備し、前記制御部において、送受信回路を介してRFIDタグとの非接触交信を実行することにより当該RFIDタグに対する情報の読み書き処理を行う装置であって、
装置内部の前記送受信回路との交信が可能な位置に、前記制御部の動作設定に関わる定義情報を記憶するためのRFIDタグが1つ配備されており、
前記制御部は、
前記送受信回路の交信領域内に位置するRFIDタグを対象に前記定義情報の送信を要求するコマンドを送信し、このコマンドに対する応答信号に含まれる定義情報を自己の内部メモリに登録する定義情報登録手段と、
前記内部メモリに登録された定義情報に基づき、装置外部の不特定数のRFIDタグに対する情報の読み書き処理を実行する主要動作実行手段とを具備し、
前記定義情報登録手段は、
前記定義情報を記憶した状態で送受信回路の交信領域内に位置するRFIDタグが前記装置内のRFIDタグのみであったときは、前記定義情報の送信を要求するコマンドに対する装置内のRFIDタグからの応答信号により前記定義情報を取得して、取得した定義情報を前記内部メモリに登録し、
装置内のRFIDタグ以外に、前記定義情報を記憶するRFIDタグが交信領域内に位置するときには、前記定義情報の送信を要求するコマンドに対する装置内のRFIDタグ以外のRFIDタグからの応答信号により前記定義情報を取得し、取得した定義情報を内部メモリに登録するとともに、当該定義情報を含む書き込みコマンドを装置内のRFIDタグに送信することによって、装置内のRFIDタグに前記内部メモリに登録されたのと同一の定義情報を保存する、
ことを特徴とするRFID用リーダライタ。
【請求項2】
前記主要動作実行手段は、交信対象のRFIDタグへのコマンド送信に先立ち、前記装置内のRFIDタグに以後のコマンドに対する応答を禁止するコマンドを送信することにより、前記装置内のRFIDタグをコマンドに反応しない状態に設定する、請求項1に記載されたRFID用リーダライタ。
【請求項3】
前記装置内のRFIDタグ内の回路には、通常は当該回路を閉路状態に設定し、制御部からの制御信号によって当該回路を開放するスイッチ回路が設けられており、
前記主要動作実行手段は、交信対象のRFIDタグへのコマンド送信に先立ち、前記スイッチ回路への制御信号をオン状態にすることにより、前記装置内のRFIDタグをコマンドに反応しない状態に設定する、請求項1に記載されたRFID用リーダライタ。
【請求項4】
前記定義情報登録手段は、自己の識別情報および保有する情報の内容を報知することを要求するコマンドを相手先を特定せずに送信し、このコマンドに対して返送された応答信号に基づき、装置内のRFIDタグ以外に定義情報を記憶するRFIDタグが送受信回路の交信領域内に存在するか否かを判別し、該当するRFIDタグが存在すると判別したときは、当該RFIDタグから報知された識別情報により送信先を特定して前記定義情報の送信を要求するコマンドを送信し、定義情報を記憶するRFIDタグが装置内のRFIDタグのみであると判別したときは、当該装置内のRFIDタグの識別情報により送信先を特定して前記定義情報の送信を要求するコマンドを送信する、請求項1に記載されたRFID用リーダライタ。
【請求項5】
アンテナコイルを含む送受信回路と、メモリを含む制御部とを具備し、前記制御部において、送受信回路を介してRFIDタグとの非接触交信を実行することにより当該RFIDタグに対する情報の読み書き処理を行う装置において、前記制御部の動作設定に関わる定義情報を管理する方法であって、
あらかじめ、装置内部の前記送受信回路との交信が可能な位置にRFIDタグを1つ配備して、このRFIDタグに前記制御部の動作設定に関わる定義情報を保存し、
装置の起動後に、前記制御部において、前記装置内のRFIDタグに定義情報の送信を要求するコマンドを送信するステップと、このコマンドに応じて装置内のRFIDタグから返送された定義情報を制御部の内部メモリに登録するステップとを実行した後に、登録された定義情報に基づき装置内のRFIDタグ以外の不特定数のRFIDタグに対する情報の読み書き処理を実行し、
前記制御部の動作設定を変更するときには、装置の外部に、変更後の設定に関わる定義情報を記憶するRFIDタグを送受信回路の交信領域内に含まれるように配置して、制御部から当該RFIDタグに定義情報の送信を要求するコマンドを送信することによって変更後の定義情報を取得し、取得した定義情報により制御部のメモリ内の定義情報を書き換えるとともに、取得した定義情報を含む書き込みコマンドを装置内のRFIDタグに送信することによって、装置内のRFIDタグが記憶する定義情報を更新する、
ことを特徴とするRFID用リーダライタにおける定義情報の管理方法。
【請求項6】
請求項5に記載された方法において、
前記制御部の動作設定を確認する場合には、前記装置内のRFIDタグが他のリーダライタの交信領域内に含まれるように当該他のリーダライタを配置し、前記他のリーダライタから装置内のRFIDタグに定義情報の送信を要求するコマンドを送信することによって、装置内のRFIDタグが記憶する定義情報の読み出しを実行する、RFID用リーダライタにおける定義情報の管理方法。
【請求項7】
アンテナコイルを含む送受信回路と、メモリを含む制御部とを具備し、前記制御部において、送受信回路を介してRFIDタグとの非接触交信を実行することにより当該RFIDタグに対する情報の読み書き処理を行う装置において、前記制御部の動作設定に関わる定義情報を管理する方法であって、
あらかじめ、装置内部の前記送受信回路との交信が可能な位置にRFIDタグを1つ配備し、
前記制御部では、自己の内部メモリに登録された定義情報に基づき、装置内のRFIDタグ以外の不特定数のRFIDタグに対する情報の読み書き処理を実行し、
前記制御部に動作設定に関わる定義情報を登録する場合には、装置の外部に、登録すべき定義情報を記憶するRFIDタグを前記送受信回路の交信領域内に含まれるように配置して、前記制御部において、当該定義情報が保存されたRFIDタグに定義情報の送信を要求するコマンドを送信するステップと、このコマンドに応じて返送された定義情報を自己の内部メモリに登録するステップと、返送された定義情報を含む書き込み指示コマンドを装置内のRFIDタグに送信することによって、装置内のRFIDタグに当該定義情報を保存させるステップとを実行し、
前記制御部の動作設定を確認する場合には、前記装置内のRFIDタグが他のリーダライタの交信領域内に含まれるように当該他のリーダライタを配置し、前記他のリーダライタから装置内のRFIDタグに定義情報の送信を要求するコマンドを送信することによって、装置内のRFIDタグが記憶する定義情報の読み出しを実行する、
ことを特徴とするRFID用リーダライタにおける定義情報の管理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate