説明

RFID読み込み/書き込み機能を備えたプリンタ

【課題】 RFIDタグへのデータの書き込みが失敗した場合には、RFIDタグを確実に使用不可能とし不測の事態の発生を防止すること。
【解決手段】 RFIDタグを内蔵したラベル又はタグを搬送する搬送手段41と、RFIDタグに対して読み取り/書き込みを行うRFID読み取り/書き込み装置28と、カッター機構29と、RFIDタグへの書き込みが成功したかを判定する判定手段S5と、この判定手段により前記RFIDタグへの書き込みが成功しなかったと判定された場合には、RFIDタグのアンテナをカット機構29で切断する切断手段S6とを具備したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触でデータを読み出し/書き込みすることができるRFID読み込み/書き込み装置を内蔵したRFID読み込み/書き込み機能を備えたプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、RFID(Radio Frequency Identification)ラベルあるいはタグは、電波を利用することにより非接触でデータを読み書きすることができるので、バーコードに変わる技術として注目されている。
【0003】
しかし、店舗に設置されているバーコードを読み取るシステムをRFID対応に切り換えてしまうと、現行のバーコードを読み取ることができなくなってしまう。
【0004】
そこで、1つのラベルあるいはタグにバーコードの印刷とRFIDの書き込みを行う必要が発生する。このような必要性を満たすように、1つのタグにバーコードの印刷とRFIDの書き込みを行う機能を備えたプリンタが知られている(特許文献1参照)。このプリンタに示すように、ラベルをラベル搬送方向に搬送してRFIDにデータを書き込んだ後、ラベルを逆方向に搬送させてラベルの表面にバーコードを印刷するようにしていた。
【0005】
RFIDラベルは図2に示すような構成を有する。図2において、11は台紙、12はラベルである。そして、台紙11とラベル12との間には、RFIDタグ13が配設されている。このRFIDタグ13は、環状のRFIDアンテナ14とRFIDチップ15で構成される。
【0006】
また、図2に示すようなRFIDラベルのラベル12にバーコードを印刷したり、RFIDチップ15にデータを書き込む図6に示すようなRFID読み込み/書き込み機能を備えたプリンタが知られている。
【0007】
図6において、41は台紙11が搬送される搬送路である。この搬送路41を介する台紙11の搬送は搬送手段27により行われる。
【0008】
42はプラテンである。このプラテン42より上流側にRFID読み込み/書き込み装置28が設けられている。
【0009】
また、このプラテン42と搬送路41を挟んで対向するように印字ヘッド31が配設されている。この印字ヘッド31は例えば、サーマルヘッドで構成されている。
【0010】
この印字ヘッド31より上流側には、インクリボン43を供給する供給側ローラ44が設けられ、印字ヘッド31の下流側には、インクリボン43を巻き取る巻き取り側ローラ45が設けられている。
【特許文献1】特開2001−96814
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
RFIDタグ13へのデータの書き込みは、無線技術を使用して書き込みを行うため、その書き込みに失敗する場合がある。
【0012】
そして、RFIDタグ13へのデータの書き込みが失敗するとラベルにエラーパターンと呼ばれる特殊な印字パターンを印字することにより、ユーザに対してその旨を知らせるようにしている。
【0013】
RFIDタグ13へのデータの書き込みが失敗する原因としてRFIDタグ13やRFIDチップ15の固体差によるアンテナ利得の違いの組み合わせにより失敗する場合がある。
【0014】
しかし、利得が規定値に達しなかったためにRFIDタグ13へのデータの書き込みが
失敗しても、他のRF/ID読み込み/書き込み装置を使用すれば、RFIDタグ13へのデータの書き込みや読み込みが可能なものが多い。
【0015】
このようなRFIDタグ13が出回ると、不測の事態が発生する問題がある。
【0016】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、その目的は、RFIDタグへのデータの書き込みが失敗した場合には、RFIDタグを確実に使用不可能とし不測の事態の発生を防止することができるRFID読み込み/書き込み機能を備えたプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1記載の発明は、RFIDタグを内蔵したラベル又はタグを搬送する搬送手段と、
前記RFIDタグに対して読み取り/書き込みを行うRFID読み取り/書き込み装置と、カッター機構と、前記RFIDタグへの書き込みが成功したかを判定する判定手段と、この判定手段により前記RFIDタグへの書き込みが成功しなかったと判定された場合には、前記RFIDタグのアンテナを前記カット機構で切断する切断手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の発明によれば、RFIDタグへのデータを書き込みが失敗した場合には、RFIDタグのアンテナを切断するようにしてそのRFIDタグを使用できなくしたので、不測の事態の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。まず、図1のブロック図を参照して、RFID読み込み/書き込み機能を備えたラベルプリンタのシステム構成について説明する。
【0020】
図1において、21は本装置を統括して制御するCPU(中央処理装置)である。このCPU21からのシステムバス21aには、フラッシュROM(リード・オンリ・メモリ)22、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)23、入力部24、印字ヘッド制御部25、表示部26、搬送手段27、RFID読み込み/書き込み装置28、カッター機構29が接続される。
【0021】
前記印字制御部25には、印字ヘッド31が接続される。
【0022】
フラッシュROM22には、プリンタ動作に必要な各種制御プログラムが記憶されている。
【0023】
RAM23には、上記各種制御プログラムで使用する作業エリアが確保される。
【0024】
印字ヘッド制御部25は、例えばサーマルヘッドで構成される印字ヘッド31に対して駆動信号を出力する。
【0025】
表示部26は、例えば液晶表示装置より構成される。
【0026】
搬送手段27は、ラベル12が貼付された台紙11を搬送する例えばステッピングモータ、搬送ローラ等により構成される。
【0027】
カッター機構29は、台紙11を切断したり、RFIDアンテナ14を切断する機能を有する。
【0028】
次に、図3を参照してRFID読み込み/書き込み機能を備えたプリンタのハード構成の要部について説明する。
【0029】
図3において、41は台紙11が搬送される搬送路である。この搬送路41を介する台紙11の搬送は搬送手段27により行われる。
【0030】
42はプラテンである。このプラテン42より上流側にRFID読み込み/書き込み装置28が設けられている。このプラテン42よりラベル搬送方向下流側にカッター機構29が設けられている。
【0031】
また、このプラテン42と搬送路41を挟んで対向するように印字ヘッド31が配設されている。この印字ヘッド31は例えば、サーマルヘッドで構成されている。
【0032】
この印字ヘッド31より上流側には、インクリボン43を供給する供給側ローラ44が設けられ、印字ヘッド31の下流側には、インクリボン43を巻き取る巻き取り側ローラ45が設けられている。
【0033】
図3は印字ヘッド31がホームポジションに来たときの図2のRFIDタグ13の位置関係を示している。図2のRFIDタグ13は、ラベル12内において、RFIDアンテナ14とRFIDチップ15が印字ヘッド31側に偏って埋設されている。従って、RFIDアンテナ14とRFIDチップ15は、ほぼRFID読み込み/書き込み装置28の上方に位置している。
【0034】
次に、上記のように構成された本発明の一実施の形態の動作について図4のフローチャートを参照しながら説明する。まず、RFID読み込み/書き込み装置28はRFIDタグデータをRFIDタグ13に書き込む処理を行う(ステップS1)。RFIDタグデータとして商品データ(商品名、商品価格等)が挙げられる。
【0035】
次に、RFID読み込み/書き込み装置28は、RFIDタグ13へのデータの書き込みが成功したかを判定する(ステップS2)。
【0036】
このステップS2の判定で「YES」と判定された場合には、ラベルの発行が行われる(ステップS3)。つまり、印字ヘッド31でラベル12上に商品データとして例えば、商品名、バーコードが印刷される。
【0037】
一方、ステップS2の判定で「NO」と判定された場合には、搬送手段27によりラベル12がフィードされながらRFIDタグ13にデータを書き込む処理が行われる(ステップS4)。つまり、リトライされる。
【0038】
そして、RFIDタグ13へのデータの書き込みが成功したかが判定される(ステップS5)。
【0039】
このステップS5の判定で「YES」と判定された場合には、前述したようにラベル発行がなされる(ステップS3)。つまり、印刷された後にさらに台紙11が搬送されて、この印字されたラベル12と次のラベル12の間の台紙11がカッター機構29によって切断される。
【0040】
一方、ステップS5の判定で「NO」と判定された場合には、カッター機構29によりRFIDアンテナ14が図5に示すように切断される。
【0041】
このようにして、RFIDタグ13へのデータの書き込みが成功しなかった場合には、RFIDアンテナ14を切断するようにしたので、データの書き込みが成功しなかったRFIDタグ13を確実に使用不可能にすることができる。
【0042】
なお、上記した実施の形態では、カッター機構29で台紙11を切断したり、RFIDアンテナ14を切断したりするようにしたが、RFIDアンテナ14を切断する機構を別個に設けても良い。
【0043】
また、上記実施の形態では、RFIDアンテナ14は環状であったが、環状以外のRFIDアンテナ14でも適用可能である。その場合には、RFIDアンテナ14を切断する機構をカッター機構29に設けても良いし、特別なカッター機構を設けるようにしても良い。
【0044】
さらに、上記実施の形態では、ラベルプリンタでラベルに埋め込んだRFIDタグのアンテナを切断するようにするものを例としたが、ラベルプリンタ以外のプリンタや、プリンタでなく搬送されるRFIDタグに読み込み/書き込み可能な装置であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施の形態に係るRFID読み込み/書き込み機能を備えたプリンタのシステム構成を示すブロック図。
【図2】同実施の形態に係るRFIDラベルを示す図。
【図3】同実施の形態に係るRFID読み込み/書き込み機能を備えたプリンタの構成を示す図。
【図4】同実施の形態の動作を説明するためのフローチャート。
【図5】同実施の形態に係るRFIDタグのRFIDアンテナが切断された状態を示す図。
【図6】従来のRFID読み込み/書き込み機能を備えたプリンタの構成を示す図。
【符号の説明】
【0046】
21…CPU、22…ROM(リード・オンリ・メモリ)、23…RAM(ランダム・アクセス・メモリ)、24…入力部、25…印字ヘッド制御部、26…表示部、27…搬送手段、28…RFID読み込み/書き込み装置、29…カッター機構、31…印字ヘッド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDタグを内蔵したラベル又はタグを搬送する搬送手段と、
前記RFIDタグに対して読み取り/書き込みを行うRFID読み取り/書き込み装置と、
カッター機構と、
前記RFIDタグへの書き込みが成功したかを判定する判定手段と、
この判定手段により前記RFIDタグへの書き込みが成功しなかったと判定された場合には、前記RFIDタグのアンテナを前記カット機構で切断する切断手段とを具備したことを特徴とするRFID読み込み/書き込み装置。
【請求項2】
RFIDタグを内蔵したラベル又はタグを搬送する搬送手段と、
前記ラベル又はタグの表面に印字を行う印字部と、
前記RFIDタグに対して読み取り/書き込みを行うRFID読み取り/書き込み装置と、
前記搬送部で搬送されつつ印字部で表面に印字されたラベルを切断するカッター機構と、
前記RFIDタグへの書き込みが成功したかを判定する判定手段と、
この判定手段により前記RFIDタグへの書き込みが成功しなかったと判定された場合には、前記RFIDタグのアンテナを前記カット機構で切断する切断手段とを具備したことを特徴とするRFID読み込み/書き込み機能を備えたプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−201883(P2006−201883A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−10828(P2005−10828)
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】