説明

RI化合物合成装置

【課題】反応器から貯留容器までのRI化合物の移送時間を短縮できるRI化合物合成装置を提供する。
【解決手段】反応器7内での合成反応により18F−FDGを得るFDG合成装置1において、18F−FDGを分注前に貯留するバイアル13と、反応器7とバイアル13とを気密に接続する移送チューブ15と、反応器7からバイアル13に18F−FDGを圧送する圧送手段25と、バイアル13に接続された吸引チューブ29を介してバイアル13の気体を吸引して減圧する減圧手段37とを備える。このFDG合成装置1では、減圧手段37によってバイアル13内を減圧するので、バイアル13内を大気開放して大気圧に維持する場合に比べて、圧送手段25による18F−FDGの圧送効率は向上し、所定量の18F−FDGを反応器7からバイアル13へ移送する際の時間は短縮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性同位元素から放射性薬液同位元素標識化合物を得るRI化合物合成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、PET(ポジトロン断層撮影検査)等に使用される放射性薬液同位元素標識化合物(RI化合物)は、RI化合物合成装置で合成される。特許文献1には、放射性核種(放射性同位元素)で標識された放射性薬剤(RI化合物)の合成及び投与を行う装置が開示されている。この装置は、RI化合物の合成を行う薬剤合成部(反応器)と薬剤投与部(分注装置)とを備えており、薬剤合成部は薬剤投与部のバイアル(貯留容器)にチューブで接続されている。薬剤合成部で合成されたRI化合物は、チューブを介してバイアルに移送される。バイアル内のRI化合物は、薬剤投与部で必要量だけ分注されると共に、生理食塩水などで希釈されて患者に投与される。
【特許文献1】特開2005−230366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
RI化合物は時間の経過に伴って減衰するため、RI化合物の品質向上のためには、RI化合物の合成から分注までにかかる時間をできるだけ短縮することが望ましい。しかしながら、RI化合物は放射線を放出するという極めて特殊な薬剤であり、放射線を遮蔽するホットセルなどが必要になることもあり、反応器や貯留容器をどこに配置するかなどのレイアウト上の制約は大きい。従って、反応器から貯留容器までの距離を縮め難く、反応器から貯留容器までの移送に要する時間を短縮するのは困難だった。
【0004】
本発明は、以上の課題を解決することを目的としており、反応器から貯留容器までのRI化合物の移送時間を短縮できるRI化合物合成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、放射性薬液同位元素を反応器に導入して放射性薬液同位元素標識化合物を得るRI化合物合成装置において、放射性薬液同位元素標識化合物を分注前に貯留する貯留容器と、反応器と貯留容器とを気密に接続する移送管と、移送管を介して、反応器から貯留容器に放射性薬液同位元素標識化合物を圧送する圧送手段と、貯留容器に接続された吸引管と、吸引管を介して貯留容器内の気体を吸引して減圧する減圧手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明に係るRI化合物合成装置によれば、減圧手段によって貯留容器内を減圧するので、貯留容器内を大気開放して大気圧に維持する場合に比べて、圧送手段による放射性薬液同位元素標識化合物の圧送効率は向上し、所定量の放射性薬液同位元素標識化合物を反応器から貯留容器へ移送する時間は短縮する。さらに、移送時間が短縮される分だけ、移送に伴う放射能の減衰分は少なくなり、貯留容器へ蓄えられる放射性薬液同位元素標識化合物を実質的に増加させることができる。さらに、圧送手段による圧送に加えて貯留容器内を減圧して移送効率を向上させるので、移送管の長短に起因した移送時間のバラツキは少なくなり、移送時間の短縮を図りながらレイアウトに沿った最適長さの移送管を選択し易くなる。
【0007】
さらに、圧送手段による圧送と減圧手段による減圧とを制御する制御手段を更に備え、制御手段は、減圧手段による減圧を開始した後で、圧送手段による圧送を開始すると好適である。圧送の開始前に貯留容器内を減圧するので、圧送をスムーズに開始させることができ、特に、貯留容器内は予め減圧されているので、貯留容器内の気体が反応器内に逆流して、不都合を来す虞もない。
【0008】
さらに、吸引管の管径は、移送管の管径に比べて大きいと好適である。移送管の管径が小さくなるほど、移送管内に残留する放射性薬液同位元素標識化合物の量は低減するが、移送管の管径が小さくなるほど移送時間の遅延を招来する。上記構成では、吸引管の管径を移送管の管径よりも大きくすることで、両管径が同じ場合に比べて、短時間で貯留容器内を減圧できるために、圧送手段による圧送効率は向上する。その結果として、移送時間の遅延を生じさせることなく、移送管内に残留する放射性薬液同位元素標識化合物の量を効果的に低減できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、反応器から貯留容器までの放射性薬液同位元素標識化合物の移送時間を短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係るRI化合物合成装置の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係るFDG合成装置が収容されたホットセルの概略を示す断面図であり、図2はバイアルの断面図である。なお、図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
図1に示されるように、FDG合成装置(RI化合物合成装置)1は、例えば、病院等のPET検査等に使用される放射性薬液同位元素標識化合物(「放射性薬剤」、「RI化合物」ともいう)としての18F−FDG(フルオロデオキシグルコース)を合成反応により生成する装置である。FDG合成装置1は、分注装置2と一緒にホットセル3内に収容されている。ホットセル3は、鉛、鉄、タングステン、アルミニウム等の放射線遮蔽物を用いて放射線を遮蔽可能な適切な厚さとされている。分注装置2では、FDG合成装置1で合成された18F−FDGをシリンジの作用によって分注し、生理食塩水などで希釈した後に患者に投与する。
【0012】
FDG合成装置1は、装置本体部5を備えている。装置本体部5は、反応器7に放射性同位元素(RI)としての18を導入する主管9、反応器7に無機物系及び有機物系の各種の試薬を導入するための試薬管11及び反応器7の周囲に配置すべき加温器などの各種部品によって構成される。さらに、FDG合成装置1は、分注装置2による分注のために反応器7で合成された18F−FDGを回収し、一時的に貯留するバイアル(貯留容器)13と、反応器7とバイアル13とを気密に接続する移送チューブ(移送管)15とを備えている。
【0013】
ホットセル3には、上下に並ぶ上室3aと下室3bとが形成されており、上室3a及び下室3bには、それぞれ独立して開閉される扉が設けられている。上室3a内には、FDG合成装置1の装置本体部5が配置されている。下室3bには、鉛等からなる内壁3dで区画された主空間R1と副空間R2とが形成されており、主空間R1には分注装置2が配置され、副空間R2内にはバイアル13が配置されている。バイアル13は重量計測のために設置されたロードセル17上に載せられ、バイアル13の周囲には、放射線センサ19が配置されている。
【0014】
装置本体部5の反応器7は気密に保持されており、ホットセル3の外に配置されたガスボンベ21にガス供給ライン23を介して接続されている。ガスボンベ21には、ArガスやHeガスなどの不活性ガスが蓄えられている。ガスボンベ21内は加圧されており、不活性ガスは所定の正圧に保持されている。ガス供給ライン23には常時閉の二方電磁弁24が設けられている。二方電磁弁24が開いてガス供給ライン23が連通すると、ガスボンベ21内の不活性ガスはガス供給ライン23を通って反応器7に導入される。ガスボンベ21及びガス供給ライン23は、圧送手段25を構成する。
【0015】
移送チューブ15の管径d1(図2参照)は1mm程度であり、移送チューブ15の上流端は、反応器7に気密に接続されている。移送チューブ15には、カラム27が取り付けられており、カラム27内には、18F−FDGの不純物を除去するためのイオン交換樹脂が充填されている。移送チューブ15の下流端にはフィルタ15a(図2参照)及び移送用注射針15bが取り付けられている。移送用注射針15bは、バイアル13のゴム栓13aに差し込まれている。
【0016】
バイアル13は、ゴム栓13aによって気密に保持されている。ゴム栓13aに差し込まれた移送用注射針15aを介して、移送チューブ15はバイアル13に気密に接続されている。また、ゴム栓13aには分注チューブ27の上流端に取り付けられた分注用注射針27aが差し込まれている。分注チューブ27は、分注装置2のシリンジ(図示せず)に接続されており、シリンジの作用により、定量の18F−FDGがバイアル13内から吸い出される。
【0017】
さらに、ゴム栓13aには、吸引チューブ(吸引管)29の上流端に取り付けられた吸引用注射針29aが差し込まれている。吸引チューブ29の管径d2(図2(b)参照)は、移送チューブ15の管径d1(図2(c)参照)よりも大きくなっている。吸引チューブ29には、吸引用注射針29aに並んでフィルタ29bが設けられている。吸引チューブ29の下流側には、大気開放された一方の分岐ライン29cと、ホットセル3の外に設置された廃液タンク31に気密に接続されている他方の分岐ライン29dとが設けられている。吸引チューブ29には、三方電磁弁33が取り付けられており、三方電磁弁33の切り替えによって、各分岐ライン29c,29dのいずれか一方が連通する。廃液タンク31には、廃液タンク31内を所定の負圧に維持するための吸引ポンプ35が接続されている。廃液タンク31及び吸引ポンプ35によって減圧手段37が構成される。
【0018】
また、FDG合成装置1は、二方電磁弁24及び三方電磁弁33に有線または無線によって接続された制御装置(制御手段)39を備えている。制御装置39は、二方電磁弁24の開閉を制御して不活性ガスの供給開始及び供給停止を制御し、反応器7からバイアル13への18F−FDGの圧送開始及び圧送停止のタイミングを制御する。また、FDG合成装置1は、三方電磁弁33の切り替えを制御してバイアル13内の減圧開始及び減圧停止のタイミングを制御する。制御装置39は、CPU、RAM、ROM、入力デバイス、出力デバイス及び通信モジュールなどを備えている。制御装置39の各機能は、CPU、RAM等のハードウェア上に所定のソフトウェアを読み込ませることにより、CPUの制御のもとで、通信モジュール、入力デバイス及び出力デバイスを動作させるとともにRAMにおけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0019】
次に、反応器7からバイアル13への18F−FDGの移送方法について説明する。反応器7内での合成反応により、所定量の18F−FDGが生成されると、FDG合成装置1の制御装置39は、最初に、バイアル13と廃液タンク31とを連通させるように三方電磁弁33を切り替える。廃液タンク31は吸引ポンプ35によって負圧に調整されているため、三方電磁弁33の切り替えにより、バイアル13内の気体は廃液タンク31側に吸引され、バイアル13内は減圧される。
【0020】
次に、制御装置39は、二方電磁弁24を開き、不活性ガスを反応器7内に送り込む。反応器7内が加圧されると、反応器7内の18F−FDGは、移送チューブ15を通過するように押し出されてバイアル13へと圧送される。
【0021】
制御装置39は、バイアル13内に所定量、例えば18ml程度の18F−FDGが溜まると、二方電磁弁24を閉じる。さらに、制御装置39は、三方電磁弁33を切り替えて、バイアル13内を大気開放させる。その後、分注装置2が作動し、定量の18F−FDGをバイアル13から吸い出して分注を行う。
【0022】
FDG合成装置1では、減圧手段37によってバイアル13内を減圧するので、バイアル13内を大気開放して大気圧に維持する場合に比べて、圧送手段25による18F−FDGの圧送効率は向上し、所定量の18F−FDGを反応器7からバイアル13へ移送する際の時間は短縮する。具体的には、大気開放した状態で18ml程度の18F−FDGを反応器7からバイアル13に圧送すると5分程度を要するが、バイアル13内を減圧しながら圧送すると移送時間は半分程度に短縮される。
【0023】
また、移送時間が短縮される分だけ、移送に伴う18F−FDGの放射能の減衰分は少なくなり、バイアル13へ蓄えられる18F−FDGを実質的に増加させることができる。特に、18F−FDGの半減期は110分程度であり、数秒〜数分程度の時間短縮でもその効果は非常に大きい。
【0024】
さらに、FDG合成装置1では、圧送手段25による圧送に加えてバイアル13内を減圧にして移送効率を向上させるので、移送チューブ15の長短に起因した移送時間のバラツキは少なくなり、移送時間の短縮を図りながら反応器7とバイアル13とのレイアウトに沿った最適長さの移送チューブ15を選択し易くなる。
【0025】
さらに、FDG合成装置1の制御装置39は、18F−FDGの圧送の開始前にバイアル13内を減圧するので、圧送をスムーズに開始させることができ、特に、バイアル13内は予め減圧されているので、バイアル13内の気体が反応器7内に逆流して、不都合を来す虞もない。
【0026】
また、移送チューブ15の管径d1が小さくなるほど、移送チューブ15内に残留する18F−FDGの量は低減するが、移送チューブ15の管径d1が小さくなるほど移送時間の遅延を招来する。しかしながら、上記のFDG合成装置1では、吸引チューブ29の管径d2が移送チューブ15の管径d1に比べて大きいので、両管径d1,d2が同じ場合に比べて、短時間でバイアル13内を減圧できるために、圧送手段25による圧送効率は向上する。その結果として、移送時間の遅延を生じさせることなく、移送チューブ15内に残留する18F−FDGの量を効果的に低減できる。
【0027】
(第2実施形態)
次に、図3を参照して、第2実施形態に係るFDG合成装置40を説明する。なお、FDG合成装置40において、第1実施形態に係るFDG合成装置1と同様の構造や要素については、同一の符号を付して説明を省略する。また、FDG合成装置40で合成された18F−FDGを分注する分注装置は、上述の第1実施形態で説明した分注装置2と実質的に同様であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0028】
本実施形態に係るFDG合成装置40は、第1〜第4の複数の合成装置本体41,42,43,44を備えている。複数の合成装置本体41〜44は、それぞれ第1〜第4のホットセル47A,47B,47C,47D内に収容されている。また、分注装置2は、施設レイアウトの関係上、合成装置本体41〜44とは離れて配置されており、合成装置本体41〜44を収容する第1〜第4のホットセル47A,47B,47C,47Dとは別のホットセル49内に収容されている。
【0029】
複数の合成装置本体41〜44はそれぞれ反応器51,52,53,54を有し、各反応器51,52,53,54には、ガス供給ライン55が接続されている。ガス供給ライン55は、複数の反応器51〜54に対応して分岐した第1〜第4の分岐ライン55a,55b,55c,55dを有し、各分岐ライン55a〜55dには、それぞれ第1〜第4の二方電磁弁57,58,59,60が設けられている。ガス供給ライン55の上流端は、不活性ガスを貯留するガスボンベ21に接続されている。ガスボンベ21内は、加圧された状態で所定の正圧に保持されている。ガスボンベ21及びガス供給ライン55によって圧送手段61が構成される。
【0030】
FDG合成装置40のバイアル63は、分注装置2側のホットセル49内に収容されている。バイアル63は、第1〜第4の合成装置本体41〜44の各反応器51〜54に、それぞれ移送チューブ65a,65b,65c,65dを介して接続されている。移送チューブ65a〜65dには、それぞれイオン交換樹脂が充填されたカラム27a,27b,27c,27dが取り付けられている。
【0031】
さらに、バイアル63には、吸引チューブ29が気密に接続されており、吸引チューブ29は、大気開放された一方のライン29cと、廃液タンク31に接続された他方のライン29dとに分岐している。さらに、吸引チューブ29には、三方電磁弁33が設けられており、三方電磁弁33の切り替えにより、いずれか一方のラインが連通状態になる。廃液タンク31には、廃液タンク31内を所定の負圧に維持するための吸引ポンプ35が接続されている。廃液タンク31及び吸引ポンプ35によって減圧手段37が構成される。
【0032】
また、FDG合成装置40は、三方電磁弁33及び複数の二方電磁弁57〜60に有線または無線で接続された制御装置66を備えている。制御装置66は、三方電磁弁33の切り替え及び複数の二方電磁弁57〜60の開閉制御を行い、バイアル63内の減圧のタイミングの制御及び反応器51〜54からバイアル63への18F−FDGの圧送のタイミングの制御を行う。
【0033】
FDG合成装置40では、最初に、例えば、第1の合成装置本体41の反応器51で合成を行う。反応器51で所定量の18F−FDGが生成されると、制御装置66は三方電磁弁33を切り替えて、減圧手段37によるバイアル63内の減圧を開始した後に、第1の二方電磁弁57を開き、バイアル63内を不活性ガスで加圧して18F−FDGをバイアル63に押し出すように圧送する。バイアル63内に所定量の18F−FDGが溜ると、分注装置2が作動して18F−FDGの分注を開始する。
【0034】
バイアル63内の18F−FDGが無くなると、バイアル63の洗浄を行うと共に、第2の合成装置本体42の反応器52で18F−FDGを行う。反応器52で所定量の18F−FDGが生成されると、制御装置66は第1の二方電磁弁57を閉じて、第2の二方電磁弁58を開き、バイアル63内を不活性ガスで加圧して18F−FDGをバイアル63に押し出すように圧送する。バイアル63内に所定量の18F−FDGが溜ると、分注装置2が作動して18F−FDGの分注を開始する。このように、バイアル63内の18F−FDGが無くなると、その都度、バイアル63の洗浄を行い、第1〜第4の合成装置本体41〜44の各反応器51〜54を順次切り替えながら合成を行い、反応器51〜54それぞれで生成された18F−FDGを順次バイアル63に移送する。
【0035】
本実施形態に係るFDG合成装置40によれば、圧送手段61による圧送に加えてバイアル63内を減圧にして移送効率を向上させているので、複数の合成装置本体41〜44それぞれの位置による移送チューブ65a〜65dの長短に起因した移送時間のバラツキは少なくなり、移送時間の短縮を図りながら施設のレイアウトの沿った最適長さの移送チューブ65a〜65dを選択し易くなる。
【0036】
なお、FDG合成装置40では、一つのバイアル63と複数の反応器51〜54それぞれとを複数の移送チューブ65a〜65dで接続していた。しかしながら、18F−FDGを合成する反応器、例えば、第1の反応器51で合成する場合には、移送チューブ65aのみをバイアル63に接続するようにしてもよい。そして、第1の反応器51で合成された18F−FDGのバイアル63への移送及び分注が完了すると、続いて第2の反応器52の移送チューブ65b及び新たなバイアル63をセットし、第2の反応器52で合成された18F−FDGの移送及び分注を行うようにしてもよい。
【0037】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0038】
上記実施形態では、放射性薬液同位元素標識化合物として18F−FDGを合成するFDG合成装置を例にRI化合物合成装置を説明するが、その他の放射性薬液同位元素標識化合物としても良い。
【0039】
また、第1実施形態では、移送チューブ15内の18F−FDGの残量低減と移送時間の短縮とを両立するために、吸引チューブ29の管径d2を移送チューブ15の管径d1よりも大きくしたが、両管径が同じ、または、吸引チューブ29の管径が移送チューブ15の管径よりも小さくしてもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、バイアル13やバイアル63内の減圧を開始した後で、圧送を開始するようにしたが、減圧と圧送の開始を同時にしたり、または減圧の開始を圧送の開始よりも後にしたりしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1実施形態に係るFDG合成装置が取り付けられているホットセルの概略を示す側断面図である。
【図2】バイアルを拡大して示す図であり、(a)はバイアルの断面図、(b)は、(a)のb−b線に沿った断面図、(c)は、(a)のc−c線に沿った断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係るFDG合成装置の概略を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1,40…FDG合成装置(RI化合物合成装置)、7,51,52,53,54…反応器、13,63…バイアル(貯留容器)、15,65…移送チューブ(移送管)、25,61…圧送手段、29…吸引チューブ(吸引管)、37…減圧手段、39,66…制御装置(制御手段)、d1…移送チューブの管径、d2…吸引チューブの管径。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性薬液同位元素を反応器に導入して放射性薬液同位元素標識化合物を得るRI化合物合成装置において、
前記放射性薬液同位元素標識化合物を分注前に貯留する貯留容器と、
前記反応器と前記貯留容器とを気密に接続する移送管と、
前記移送管を介して、前記反応器から前記貯留容器に前記放射性薬液同位元素標識化合物を圧送する圧送手段と、
前記貯留容器に接続された吸引管と、
前記吸引管を介して前記貯留容器内の気体を吸引して減圧する減圧手段と、
を備えることを特徴とするRI化合物合成装置。
【請求項2】
前記圧送手段による圧送と前記減圧手段による減圧とを制御する制御手段を更に備え、
前記制御手段は、前記減圧手段による減圧を開始した後で、前記圧送手段による圧送を開始することを特徴とする請求項1記載のRI化合物合成装置。
【請求項3】
前記吸引管の管径は、前記移送管の管径に比べて大きいことを特徴とする請求項1または2記載のRI化合物合成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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