SIP対応交換装置、及びこれを用いたSIP対応交換システム
【課題】SIPを用いて通信を行う場合でも、高度な電話サービスを提供することが可能なSIP対応交換装置とSIP対応交換システムを提供する。
【解決手段】SIP対応交換システム100を、少なくとも一台の電話機2と当該電話機2の接続制御を行う2以上のSIP対応交換装置1とを備えて構成する。SIP対応交換装置1を、電話機2の識別情報とサービスに割り当てられたサービスコードとを区切り符号により連結したメッセージを生成して送信するメッセージ生成部31と、受信したメッセージからサービスコードを抽出する区切り判定部24と、当該サービスコードに対応するサービスを起動するか否かを判定するサービス起動判定部27と、サービスを起動するサービス起動指示部28と、を有するよう構成する。
【解決手段】SIP対応交換システム100を、少なくとも一台の電話機2と当該電話機2の接続制御を行う2以上のSIP対応交換装置1とを備えて構成する。SIP対応交換装置1を、電話機2の識別情報とサービスに割り当てられたサービスコードとを区切り符号により連結したメッセージを生成して送信するメッセージ生成部31と、受信したメッセージからサービスコードを抽出する区切り判定部24と、当該サービスコードに対応するサービスを起動するか否かを判定するサービス起動判定部27と、サービスを起動するサービス起動指示部28と、を有するよう構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SIP対応交換装置、及びこれを用いたSIP対応交換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ITU−T Q.700シリーズ勧告の「No.7共通線信号方式」を用いた時分割電子交換機(電話交換機)の局間接続が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このようなシステムにより、内線キャンプオンなどの高度な電話サービスが提供可能となっている。一方、SIP(Session Initiation Protocol)を用いたIP(Internet Protocol)電話交換機の局間接続は、IETF(Internet Engineering Task Force)で規定の「RFC3261」をベースに行われているが、プロトコルの定義が曖昧で、接続の具体的な仕様はメーカ独自の仕様となっているため、異なるメーカのIP電話交換機間の接続が困難であった。また、電話接続のような基本的なサービスしかできず、キャンプオンのような高度なサービスの提供はなされていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−284106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このIP電話交換機の接続性を担保するため、時分割電子交換機で使用しているTTC(Telecommunication Technology Committee)により規定されたインタフェース「DCH共通線方式」へ一旦変換する方式をとることがある。但し、この場合も、基本接続、発信番号通知、転送、保留といった基本的な電話サービスのみ可能で、キャンプオンなどの高度な電話サービスは提供されていなかった。このように、従来のSIPを用いたIP電話交換機では、時分割電子交換機で提供しているような高度なサービスが提供できないという課題があった。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、SIPを用いて通信を行う場合に、異なるメーカ間であっても高度な電話サービスを提供することが可能なSIP対応交換装置及びこれを用いたSIP対応交換システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明に係るSIP対応交換装置は、SIP(Session Initiation Protocol)を用いて通信を行い、少なくとも一台の電話機の接続制御を行うSIPサーバを有して構成される。このSIPサーバは、接続要求をした電話機の接続制御を行うSIPサーバと、接続要求がされた電話機の接続制御を行うSIPサーバとが異なる場合であって、SIPサーバの一方から他方のサービスを起動するときに、他方のSIPサーバにより接続制御が行われる電話機の識別情報とサービスに割り当てられたサービスコードとを区切り符号により連結したメッセージを生成して送信するメッセージ生成部と、メッセージを受信したときに、当該メッセージに区切り符号が含まれるか否かを判定し、区切り符号が含まれる場合にサービスコードを抽出する区切り判定部と、区切り判定部によりメッセージに区切り符号が含まれると判定され、メッセージに含まれるサービスコードが抽出されたときに、当該サービスコードに対応するサービスを起動するか否かを判定するサービス起動判定部と、サービス起動判定部によりサービスを起動すると判定されたときに、サービスを起動するサービス起動指示部と、を有して構成される。
【0007】
このような本発明に係るSIP対応交換装置において、メッセージはSIPに規定されたコマンドであることが好ましい。
【0008】
また、本発明に係るSIP対応交換装置において、SIPサーバのメッセージ生成部は、一方のSIPサーバから他方のSIPサーバのサービスが起動されたときに、サービスからの通知を他方のSIPサーバから一方のSIPサーバに送信するように構成され、サービスからの通知は、SIPに規定されたエラーレスポンスであることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係るSIP対応交換装置は、エラーレスポンスがサービスからの通知であるか否かを判定するエラーメッセージ種別判定部を有し、サービス起動判定部は、エラーメッセージ種別判定部においてエラーレスポンスが他方のSIPサーバで起動されたサービスからの通知であると判定されたときに、エラーレスポンスに対応するサービスを起動するか否かを判定するように構成されることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係るSIP対応交換システムは、少なくとも一台の電話機及び当該電話機の接続制御を行う上述のいずれかのSIP対応交換装置の組を2以上有し、SIP(Session Initiation Protocol)を用いて通信を行うよう構成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るSIP対応交換装置、及び、これを用いたSIP対応交換システムを以上のように構成すると、SIPを用いて通信を行う場合に、異なるメーカ間であっても高度な電話サービスを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るSIP対応交換システムの構成例を説明するための説明図である。
【図2】本発明に係るSIP対応交換装置の構成を説明するための説明図である。
【図3】共通シーケンスのメッセージヘッダ構成例を示し、(a)はINVITEリクエストメッセージヘッダの構成例を示し、(b)は通常のメッセージのヘッダの構成例を示す。
【図4】キャンプオンサービス(設定)時のシーケンスを説明するための説明図である。
【図5】キャンプオンサービス(通話)時のシーケンスを説明するための説明図である。
【図6】コールウェイティング時のシーケンスを説明するための説明図である。
【図7】割込のシーケンスを説明するための説明図である。
【図8】ゲートウェイを規定点としたSIP対応交換システムを説明するための説明図である。
【図9】中継サーバを規定点としたSIP対応交換システムを説明するための説明図である。
【図10】ゲートウェイ間に介在させた中継サーバを規定点としたSIP対応交換システムを説明するための説明図である。
【図11】プロトコル変換サーバを規定点としたSIP対応交換システムを説明するための説明図である。
【図12】ゲートウェイ間に介在させたプロトコル変換サーバを規定点としたSIP対応交換システムを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。まず、図1を用いて本実施形態におけるSIP対応交換システム100の構成について説明する。このSIP対応交換システム100は、IP(Internet Protocol)電話交換網3(図1の3a,3b等)を利用し、複数のIP電話機2(図1の2a,2b,2a′、2b′等)及びこれらのIP電話機2の接続制御を行うSIPサーバ1(図1の1a,1b等)の組を2以上有し、SIPを用いて通信を行うよう構成されている。
【0014】
IP電話機2は、有線のIP電話専用の電話機2(図1の2a,2b等)でもあってもよいし、無線LAN基地局4(図1の4a,4b等)を介してSIPサーバ1に接続する無線IP電話機2(図1の2a′,2b′等)であってもよい。また、IP電話機2として機能するように構成された図示しないパーソナルコンピュータなどであってもよい。SIPサーバ1は、接続要求をしたIP電話機2の接続制御を行うSIPサーバ1(例えば、SIPサーバ1a)と、接続要求がされたIP電話機2の接続制御を行うSIPサーバ1(例えば、SIPサーバ1b)とが異なる場合に、SIPサーバ1の一方から他方のサービスを起動するときに、SIPプロトコルを活用し、サービスコード(区切り符号)付与や代理エラーレスポンスによるサービス連携を行い、基本サービスだけでなく、高度な電話サービス(例えば、キャンプオン、コールウェイティング、割込など)を実現するものである。
【0015】
なお、本実施形態における基本サービス及び高度サービスの具体例とその概要は、以下の通りであるが、本実施形態はこれらに限定されることはない。
(1)基本サービス
基本接続:内線加入者相互および外線との接続が可能なこと。
発信者番号表示:呼出時、着呼側電話機に発呼側電話番号を表示すること。
転送:内線への着信呼を、通話後、転送できること。
保留:電話機操作によって呼を保留でき、保留相手側には保留音が流れること。
(2)高度サービス
キャンプオン:内線加入者相互接続または外線接続において、被呼加入者(被呼者)が話中の場合、被呼者が空き(切断)になった状態で自動的に発呼加入者(発呼者)を呼戻せること。
コールウェイティング:内線加入者相互接続または外線接続において被呼者話中の場合、ダイヤル操作により話中内線に対して、待機中呼があることを通知することができ、話中内線の電話機操作により通話中呼を保留にして待機中呼に応答できること。
割込:内線相互接続または外線接続において、相手内線が内線相互及び中継線接続で通話中の時、割込通話ができること。
【0016】
本実施形態のSIP対応交換システム100においては、従来のSIPサーバ局間では提供できなかった高度な電話サービスを実現するため、SIPプロトコルを活用し、以下で説明するように、(1)SIPコマンドへのサービスコード付与や代理エラーレスポンスによりSIPサーバ局間でのサービス連携を行うサービス通知方式、(2)異メーカのSIPサーバ局間の接続が可能な共通シーケンス、の2つを提供するように構成されている。
【0017】
(1)サービス通知方式
(a)サービスコードの付与
桁数を自由に設定可能な電話番号(着番号)と、サービスコードを同時に通知可能とした。具体的には、
(i)SIPコマンドにおけるセッションの確立要求メッセージであるINVITEリクエストのTOヘッダ
(ii)SIPメッセージのヘッダ
(iii)INVITEリクエスト及びSIPメッセージのヘッダの両方
のいずれかの着番号情報(識別情報)に、区切り符号とサービスコードとを設定して通知する。図3(a)に、INVITEリクエストのメッセージの構成例を示す。また、図3(b)に、SIPメッセージの構成例を示す。いずれも、TOヘッダの着信番号情報「sip:91300」に続いて、区切り符号「#」及びサービスコード「01」が付与されている。
【0018】
本実施形態における区切り符号及びサービスコードの定義の具体例を、以下の表1に示す。なお、本実施形態では、区切り符号として「#」を用いているが、これに限定されることはなく、「0〜9」のいずれかの数値、または「*」などの符号を用いてもよい。また、サービスコードについても、以下の数値に限定されることはない。
【0019】
【表1】
【0020】
(b)代理エラーレスポンス
RFC3261準拠のSIPエラーメッセージを、サービス通知に利用(代理通知)した。具体的には、例えば、高度サービスの際のSIPサーバ1間でサービス連携を行うため、エラーコード「406:Not Acceptable」などのエラーレスポンスを高度サービスに対する通知として代用する。なお、エラーコードは、「406」に限られず、SIPエラーメッセージ(RFC3261準拠)であれば、いずれのものを用いてもよい。
【0021】
(2)共通シーケンスの規定
上記のサービス通知を用いて、異メーカのSIPサーバ1間の接続が可能な共通シーケンス(共通プロトコル)を規定し、高度サービスを実現する。共通シーケンスの具体例及びこれを利用したサービス連携については、後述の実施例で詳細に説明する。
【0022】
以下、SIPサーバ1の構成について図2を用いて説明する。図2に示すように、SIPサーバ1は、IP電話交換機網3を介して他のSIPサーバ1と接続し、SIPサーバ1間でのパケットの送受信などの接続を制御する回線制御部10と、各種処理及び制御を行う中央制御部20と、各種情報を記憶する記憶部40と、コンソールやプリンタなどからなる入出力装置50とを有して構成される。中央制御部20は、メッセージ情報抽出部21、接続先判定部22、呼接続判定部23、区切り判定部24、サービスコード判定部25、エラーメッセージ種別判定部26、サービス起動判定部27、サービス起動指示部28、エラー処理判定部29、エラー処理指示部30、メッセージ生成部31、及び、パケット送信部32などを有して構成される。
【0023】
記憶部40は、SIPサーバの定義を記憶し接続状態などを管理する交換機状態記憶管理部41、加入者情報を記憶し管理する加入者状態記憶管理部42、プロトコル定義を記憶し管理するプロトコル管理部43、現在の呼接続状態を記憶し管理する呼接続状態記憶部44、各種タイマの値を記憶し管理する時間状態記憶部45、呼接続シーケンスの定義やタイマ条件を記憶し管理する呼接続管理部46、区切り符号定義を記憶し管理する区切り符号管理部47、キャンプオンなどの高度サービスで使用するサービスコード定義を記憶し管理するサービスコード管理部48、エラーコード定義を記憶し管理するエラーコード管理部49、電話サービスの動作条件及びそのサービス状態を記憶し管理するサービス状態記憶管理部51、エラー処理の定義を記憶し管理するエラー処理管理部52、及び、接続先の番号計画の定義を記憶し管理する番号計画管理部53、などから構成される。
【0024】
以下、記憶部40の各領域の構成について説明する。交換機状態記憶管理部41は、自己SIPサーバ1(交換機状態記憶管理部41が実装されているSIPサーバ1)と現在接続している「SIPサーバの定義(例えば、IPアドレス、ポート番号など)」を記憶する領域と、自己SIPサーバ1と接続する可能性のある「SIPサーバの定義」全てを記憶し管理する領域とを有する。加入者状態記憶管理部42は、現在の加入者全ての接続状態を記憶する領域と、「加入者の定義」全てを記憶し管理する領域とを有する。プロトコル管理部43は、SIP/RFC3261ベースの「SIPプロトコルの定義」を記憶し管理する。呼接続状態記憶部44は、呼接続管理部46の「呼接続シーケンスの定義」及び「タイマ条件」から、現在の「呼接続状態」を記憶する。時間状態記憶部45は、呼接続シーケンスでの「タイマ条件」で必要となる各種タイマの値を、常時更新しながら記憶し管理する。
【0025】
呼接続管理部46は、基本サービス(基本接続、発信者番号表示、転送、保留)の「呼接続シーケンスの定義」を記憶し管理する領域と、高度サービス(キャンプオン、コールウェイティング、割込)の「呼接続シーケンスの定義」を記憶し管理する領域とを有する。この「呼接続シーケンスの定義」とは、全サービスにおける呼接続シーケンスとその時のSIPサーバ1、自己IP電話機2(このSIPサーバ1に接続されているIP電話機2)の状態の定義を言う。呼接続管理部46は更に、基本サービスにおける呼接続シーケンスでの「タイマ条件」を記憶し管理する領域と、高度サービスにおける呼接続シーケンスでの「タイマ条件」を記憶し管理する領域とを有する。この「タイマ条件」とは、タイマ起動・終了トリガ、タイマ値などの定義を言う。
【0026】
区切り符号管理部47は、高度サービスで使用する「区切り符号定義」を記憶し管理するが、この区切り符号は、上述のように、リクエストメッセージのToヘッダにおいて、電話番号とサービスコードを区切るためのコードであり、本実施形態では「#」を用いている。サービスコード管理部48は、高度サービスで使用する「サービスコード定義」を管理する。サービスコードの具体例は、上述の表1に示す通りである。
【0027】
以下、中央制御部20における各部の処理概要を説明する。メッセージ情報抽出部21は、回線制御部10からパケットを受信し、このパケットから「メッセージ情報」を抽出する。接続先判定部22は、メッセージ情報抽出部21にて抽出された「メッセージ情報」中の「接続元SIPサーバ」及び「接続先SIPサーバ」と、記憶部40の交換機状態記憶管理部41に記憶された「SIPサーバの定義」とを比較する。また、「メッセージ情報」中の「加入者」と、加入者状態記憶管理部42の「加入者の定義」とを比較する。比較の結果、交換機状態、加入者状態すべて問題ない場合(予め決められた組合せでない場合)は、次の呼接続判定部23へ処理が遷移する。一方、比較の結果、交換機状態、加入者状態の1つでも問題がある場合は、エラー処理判定部29へ処理が遷移する。
【0028】
呼接続判定部23は、「メッセージ情報」を、プロトコル管理部43に記憶された「プロトコルの定義」と比較する。比較の結果、「プロトコルの定義」に問題がある場合(予め決められたプロトコル定義でない場合)は、メッセージ情報を廃棄して処理を終了する。また、比較の結果、「プロトコルの定義」に問題がない場合は、呼接続状態記憶部44の「呼接続状態」と、呼接続管理部46の「呼接続シーケンスの定義」及び「タイマ条件」とを比較し、処理を判定する。判定の結果、異常シーケンスの場合は、エラー処理判定部29に「メッセージ情報」を送信し、エラー処理判定部29に処理が遷移する。エラーレスポンスが通知された場合は、エラーメッセージ種別判定部26に「メッセージ情報」を送信し、エラーメッセージ種別判定部26に処理が遷移する。一方、エラーレスポンス以外が通知された場合は、区切り判定部24へ「メッセージ情報」を送信し、区切り判定部24に処理が遷移する。また、SIPサーバ1の一方から他方のサービスを起動する際に、当該SIPサーバ1が制御するIP電話機2から各種サービスの要求を受信した場合は、メッセージ生成部31に処理が遷移する。
【0029】
区切り判定部24は、「メッセージ情報」と、区切り符号管理部47の「区切り符号定義」とを比較し、「メッセージ情報」内に「区切り符号」が含まれるか否かを判定する。「区切り符号」が含まれる場合には、この区切り符号に続く「サービスコード」を抽出し、抽出した「サービスコード」をサービスコード判定部25へ送信して、サービスコード判定部25に処理が遷移する。一方、「区切り符号」がない場合は、サービス起動判定部27へ処理が遷移する。
【0030】
サービスコード判定部25は、区切り判定部24から受信した「サービスコード」と、サービスコード管理部48の「サービスコード定義」を比較し、当該「サービスコード」の登録がある場合は、サービス起動判定部27へ処理が遷移する。一方、当該「サービスコード」の登録がない場合は、エラー処理判定部29へ処理が遷移する。
【0031】
エラーメッセージ種別判定部26は、メッセージ情報中の「エラーレスポンス」と、エラーコード管理部49の「エラーコードの定義」とを比較し、高度サービスのための代理エラーレスポンスで使用するエラーコードの場合は、サービス起動判定部27へ処理が遷移する。一方、代理エラーレスポンスで使用するエラーコード以外の場合は、エラー処理判定部29へ処理が遷移する。
【0032】
サービス起動判定部27は、区切り判定部24によりメッセージに「区切り符号」が含まれると判定され、メッセージに含まれる「サービスコード」が抽出されたときに、当該「サービスコード」に対応する高度サービスを起動するか否かを判定する。または、エラーメッセージ種別判定部26により「代理レスポンスエラーコード」が通知されたときに、当該「代理エラーレスポンス」に対応する高度サービスを起動するか否かを判定する。具体的には、サービス状態記憶管理部51の「電話サービスの動作条件」と、「サービス状態」とを比較し、サービス起動を行うか否かを判定する。判定の結果、サービス起動を行う場合は、サービス起動指示部28へ処理が遷移する。一方、判定の結果、サービス起動しない場合は、メッセージ生成部31へ処理が遷移する。または、判定の結果、サービス起動に不具合を検知した場合は、エラー処理判定部29へ処理が遷移する。
【0033】
サービス起動指示部28は、サービス起動判定部27により高度サービスを起動すると判定されたときに、サービスコードに応じて、各種高度サービスの起動指示を行うとともに、メッセージ生成部31に処理が遷移する。
【0034】
エラー処理判定部29は、メッセージ情報中の「エラーレスポンス」または呼接続判定部23などから通知されたエラー情報と、エラー処理管理部52の「エラー処理の定義」とを比較し、エラー処理を行うか否かを判定する。判定の結果、エラーコードを送信する場合は(例えば、交換機・加入者エラー、異常シーケンス、サービスコードエラー、サービス起動エラー、その他のエラー処理を行うと判定)、エラー処理指示部30へ処理が遷移する。一方、判定の結果、エラーコードを送信しない場合は、メッセージ情報を廃棄して処理を終了する。エラー処理指示部30では、送信するエラーコードなどを指定して、メッセージ生成部31に対してエラー処理の指示を行う。
【0035】
メッセージ生成部31では、呼接続判定部23でIP電話機2から各種サービスの要求を受信した場合に、このIP電話機2を制御するSIPサーバ1が、他のSIPサーバ1に対して、各種サービス起動のメッセージを生成する。ここでは、高度サービス起動について説明する。高度サービスを起動する場合は、呼接続管理部46の「呼接続シーケンスの定義」や「タイマ条件」に従って、相手先のSIPサーバ1のIP電話機2の識別情報と高度サービスに割り当てられたサービスコードとを区切り符号により連結してメッセージを生成する。ここでは、図3(a)に示すように、「INVITEリクエスト」の「Toヘッダ」の識別情報に、番号計画管理部53の「番号計画の定義」から取得した接続先の識別情報を設定し、識別情報に続いて、区切り符号管理部47の「区切り符号定義」から取得した区切り符号、及び、サービスコード管理部48の「サービスコード定義」から取得したサービスコードを設定する。その後、パケット送信部32に処理が遷移する。
【0036】
また、メッセージ生成部31では、サービス起動判定部27から処理が遷移した場合は、メッセージを破棄して処理を終了する。また、サービス起動指示部28から処理が遷移した場合は、相手先のSIPサーバ1に対して当該サービスからの通知を行うため、エラーレスポンスメッセージを生成する。この場合、メッセージ情報に含まれる識別情報と番号計画管理部53の「番号計画の定義」とを比較し、呼接続管理部46の「呼接続シーケンスの定義」や「タイマ条件」に従ってメッセージを生成する。その後、パケット送信部32に処理が遷移する。
【0037】
また、エラー処理指示部30からの指示の場合は、メッセージ生成部31では、エラー処理指示部30からの「エラーコード」を基に、呼接続管理部46の「呼接続シーケンスの定義」に従い、エラーレスポンスメッセージを生成し、パケット送信部32に処理が遷移する。また、メッセージ生成部31では、各処理は呼接続管理部46の「呼接続シーケンスの定義」に従い、呼接続状態記憶部44の現在の「呼接続状態」を更新する。
【0038】
パケット送信部32では、メッセージ生成部31で生成したメッセージを基にパケットを生成し、回線制御部10を介してパケットを送信する。
【実施例】
【0039】
以上のような構成のSIPサーバ1を備え、図1に示す構成としたSIP対応交換システム100において、共通シーケンスの具体例及びこれを利用した高度サービス連携について、図4〜図7を参照して以下に説明する。これらの図には、A社製SIPサーバ1aのIP電話交換機網3aと、B社製SIPサーバ1bのIP電話交換機網3bとの間の高度サービス提供時の共通シーケンスが示されている。各図の中央に記載された太矢印で示したものがSIPサーバ1a,1b間における共通シーケンスであり、その中でも太字斜体で記したメッセージが、高度サービス用のサービスコードを含むメッセージまたは代理エラーレスポンスメッセージに係る共通シーケンスのメッセージである。なお、以下の実施例は一例に過ぎず、これらのシーケンス構成に限られるものでなく、本発明の効果範囲内において適切に変更が可能である。また、各SIPサーバ1a,1bと、これに接続されたIP電話2a,2bとの間のシーケンス(各図の左側及び右側の細矢印で示したもの)も、一例であり、メーカの仕様に応じて異なり、各図及び以下の構成に限られるものでない。また、以下では、共通シーケンスを、異なるメーカのSIPサーバ1a,1b間で用いているが、同じメーカのSIPサーバ1間で用いることもできる。
【0040】
(キャンプオンサービス〔設定〕)
まず、図4を参照して、相手先が通話中である場合のキャンプオンサービス設定時のシーケンスについて説明する。図4に示すように、A社製のSIPサーバ1aのIP電話機2aから、B社製のSIPサーバ1bのIP電話機2bに対して、電話番号を発信するなどの発呼操作が行われると、IP電話機2aからSIPサーバ1aに対して「発呼」が通知される。これを受信したSIPサーバ1aは、IP電話機2aに対して「発呼受付」を送信するとともに、接続先IP電話機2bのSIPサーバ1bに対して、呼接続状態記憶部44に記憶された「呼接続シーケンスの定義」に従い、「INVITEリクエスト」を生成して送信する。また、呼接続状態記憶部44の現在の「呼接続状態」が更新される。メッセージの生成などの中央制御部20での処理の詳細については前述の通りである。以降のシーケンスにおいても同様である。このリクエストメッセージを受信したSIPサーバ1bでは、SIPサーバ1aに対して「100 Trying」メッセージを応答する。このメッセージを受信したSIPサーバ1a側では、タイマ監視によりSIPサーバ1bからの返信の待ち状態に入る。
【0041】
一方、SIPサーバ1bは、IP電話機2bに対して「発呼」メッセージを通知する。IP電話機2bはSIPサーバ1bに対して「発呼受付」を発信するが、このとき「話中」である場合、IP電話機2bはSIPサーバ1bに対して「話中」メッセージを通知する。「話中」が通知されたSIPサーバ1bでは、SIPサーバ1aに代理エラーレスポンスメッセージ「486 BusyHere」を通知する。その後、SIPサーバ1aとIP電話機2aでは「話中」と「確認」のメッセージの送受信がされる。このとき、IP電話機2aでは話中音(Busy Tone)が聴取され、ユーザは相手先が話中であることを認識できる。その後、SIPサーバ1aから、SIPサーバ1bに対して「ACK応答」メッセージが通知され、SIPサーバ1bからIP電話機2bに対して「確認」メッセージが通知される。
【0042】
IP電話機2a側で、話中音を聴取したユーザは、キャンプオンサービスを希望する際には、その設定操作(サービス設定操作)を行う。この操作により、IP電話機2aから「CP(キャンプオン)設定」メッセージが発信される。これを受信したSIPサーバ1aは「CP設定受付」メッセージをIP電話機2aに送信するとともに、SIPサーバ1aは、SIPサーバ1bに対して、キャンプオン設定を要求するためのメッセージを送信するが、本実施例では、「INVITEリクエスト」メッセージを用いる。SIPサーバ1aの中央制御部20は、図3(a)に示すように、TOヘッダの着信番号情報の欄に、「#01(#:「区切り符号」、01:「キャンプオン設定」)を付与してメッセージを作成し送信する。
【0043】
「INVITEリクエスト」メッセージを受信したSIPサーバ1bの中央制御部20は、当該リクエストメッセージのTOヘッダに設定された「サービスコード」を読み取り、キャンプオンサービスが設定されたことを認識する。中央制御部20は、呼接続状態記憶部44の「呼接続シーケンスの定義」に従って、SIPサーバ1aに対して「100 Trying」メッセージを送信する。また、自身に対して「CP設定」メッセージを送信し、呼接続管理部46及び時間状態記憶部45などに基づいて、呼接続状態記憶部44の現在の「呼接続状態」を、「キャンプオン設定状態」に更新する。また、キャンプオン設定が確定したら、SIPサーバ1bはSIPサーバ1aに対して、キャンプオン設定完了メッセージとして「486 BusyHere」を送信する。このメッセージを受信したSIPサーバ1aは、キャンプオンが設定されたことを認識し、IP電話機2aに対して「CP設定確認」メッセージを送信する。
【0044】
このメッセージを受信したIP電話機2a側では、設定音が聴取され、ユーザはキャンプオンが設定されたことを認識できる。また、IP電話機2aは、SIPサーバ1aに「確認」メッセージを送信する。その後、SIPサーバ1aからSIPサーバ1bに「ACK」メッセージが送信され、SIPサーバ1bからIP電話機2bに「確認」メッセージが送信されるとともに、IP電話機2a側でオフフック操作(終話)することにより、キャンプオンサービス設定のシーケンスが終了する。
【0045】
(キャンプオンサービス〔通話〕)
次に、図5を用いて、キャンプオン設定後に、通話が可能となった場合のシーケンスについて説明する。前述で説明したようにキャンプオンが設定されると、SIPサーバ1bでは、タイマに従って「CP通知」メッセージを自身に発行して、IP電話機2b側での通話の終了(終話)を監視する。IP電話機2bから終話の通知があると、通話が可能となった旨を通知するため、図5に示すように、SIPサーバ1bの中央制御部20では、TOヘッダに「#02(キャンプオン通知)」を設定した「INVITEリクエスト」メッセージをSIPサーバ1aに対して送信する。これを受信したSIPサーバ1aの中央制御部20は、応答メッセージとして「100 Trying」をSIPサーバ1bに送信するとともに、IP電話機2aに「CP通知」メッセージを送信して呼び出す。呼び出されたIP電話機2aでは、SIPサーバ1aに「CP通知確認」メッセージを送信する。これを受信したSIPサーバ1aは、SIPサーバ1bに対して、代理エラーレスポンスメッセージ「486 BusyHere」を送信する。このメッセージを受信したSIPサーバ1bは、自身に「CP通知確認」メッセージを発信する。このメッセージを自身で受信(確認)したSIPサーバ1bは、呼接続状態記憶部44の現在の「呼接続状態」を、「キャンプオン通知状態」に更新するとともに、SIPサーバ1aに対して「ACK」メッセージを送信する。これを受信したSIPサーバ1aは、IP電話機2aに「確認」メッセージを送信する。
【0046】
また、先に呼び出されたIP電話機2aがオンフック状態になると、IP電話機2aとSIPサーバ1aとの間で「CP呼出し」及び「CP呼出受付」のメッセージが送受信される。SIPサーバ1aは、IP電話機2bを呼び出すため、TOヘッダに「#04(キャンプオン呼出)」を設定した「INVITEリクエスト」メッセージをSIPサーバ1bに対して送信する。これを受信したSIPサーバ1bは、応答メッセージとして「100 Trying」をSIPサーバ1aに送信するとともに、IP電話機2bに「CP呼出」メッセージを送信し、IP電話機2bの呼び出しを行う。呼び出されたIP電話機2bは、SIPサーバ1aに「CP呼出受付」メッセージと、相手先のIP電話機2aを呼び出すための「呼出」メッセージを送信する。
【0047】
次に、SIPサーバ1bから、SIPサーバ1aに対して、呼出メッセージ「180 Ringing」が送信され、これを受信したSIPサーバ1aが「呼出」メッセージを送信することで、IP電話機2aでは呼出音(Ring Back Tone)が聴取される。その後、IP電話機2a及びSIPサーバ1a間、SIPサーバ1a及びSIPサーバ1b間、並びに、SIPサーバ1b及びIP電話機2b間で、応答メッセージの送受信が行われた後、IP電話機2aとIP電話機2bとの間で通話が可能となる。
【0048】
(コールウェイティングサービス)
図6は、コールウェイティングサービスのシーケンスを示す。この図6に示すように、IP電話機2aがIP電話機2bを呼び出した際に、IP電話機2bが通話中であることが話中音(Busy Tone)によって通知されるまでのシーケンスは、前出のキャンプオンサービスの場合と同様である。その後、IP電話機2a側で、コールウェイティング(CW)のサービス設定操作を行うと、SIPサーバ1aは、SIPサーバ1bに対して、TOヘッダに「#06(コールウェイティング設定)」を設定した「INVITEリクエスト」メッセージを送信する。これを受信したSIPサーバ1bでは、応答メッセージとして「100 Trying」をSIPサーバ1aに送信するとともに、IP電話機2bに「CW設定」メッセージを送信して呼び出す。この時、IP電話機2a側では、呼出音(RBT)が聴取され、呼出が行われていることを認識できる。呼び出されたIP電話機2bが、電話機操作により通話中呼を保留にして、IP電話機2aからの待機中呼に応答(CW応答)することにより、IP電話機2aとIP電話機2bとの通話が可能となる。
【0049】
(割込サービス)
図7は、割込サービスのシーケンスを示す。この図7に示すように、IP電話機2aがIP電話機2bを呼び出した際に、IP電話機2bが通話中であることが話中音(Busy Tone)によって通知されるまでのシーケンスは、前出のキャンプオンサービスの場合と同様である。その後、IP電話機2a側で、割込のサービス設定操作を行うと、SIPサーバ1aは、SIPサーバ1bに対して、TOヘッダに「#07(割込設定)」を設定した「INVITEリクエスト」メッセージを送信する。これを受信したSIPサーバ1bでは、応答メッセージとして「100 Trying」をSIPサーバ1aに送信するとともに、IP電話機2bに「割込設定」メッセージを送信して呼び出し、割込が受け付けられると、確認メッセージなどが送受信された後、IP電話機2aとIP電話機2bとの通話が可能となる。
【0050】
以上の実施例では、SIPサーバ1a,1b間のサービス提供において、本発明のSIP対応交換装置を実装したSIPサーバ1a,1b間を共通インタフェースの規定点とし、SIP対応交換システムを構築しているが、本発明はこれに限られるものではない。他の異なる実施例として、例えば、図8に示すように、SIPサーバ1a,1b間を、本発明のSIP対応交換システムを実装したゲートウェイ5a,5bを介して接続し、このゲートウェイ5a、5b間を共通インタフェースの規定点としてもよい。
【0051】
また、図9に示すように、SIPサーバ1a、1b間に中継サーバ6を介在させ、SIPサーバ1a,1b及び中継サーバ6に各々SIP対応交換装置を実装して、SIPサーバ1a−中継サーバ6間、中継サーバ6−SIPサーバ1b間を共通インタフェースの規定点としてもよい。また、図10に示すように、SIPサーバ1a、1bのゲートウェイ5a,5b間に中継サーバ6を介在させ、ゲートウェイ5a、5b及び中継サーバ6に各々本発明のSIP対応交換装置を実装して、ゲートウェイ5a−中継サーバ6間、中継サーバ6−ゲートウェイ5b間を共通インタフェースの規定点としてもよい。更に異なる実施例として、SIPサーバ1a,1b間を、本発明のSIP対応交換装置を実装したプロトコル変換サーバ7を介して接続し、このプロトコル変換サーバ7を共通インタフェースの規定点としてもよい。また、図12に示すように、SIPサーバ1a,1bのゲートウェイ5a,5b間を、本発明のSIP対応交換装置を実装したプロトコル変換サーバ7を介して接続し、このプロトコル変換サーバ7を共通インタフェースの規定点としてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1,1a,1b SIPサーバ(SIP対応交換装置) 2,2a,2b IP電話機
31 メッセージ生成部 25 区切り判定部 26 エラーメッセージ種別判定部
27 サービス起動判定部 28 サービス起動指示部
【技術分野】
【0001】
本発明は、SIP対応交換装置、及びこれを用いたSIP対応交換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ITU−T Q.700シリーズ勧告の「No.7共通線信号方式」を用いた時分割電子交換機(電話交換機)の局間接続が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このようなシステムにより、内線キャンプオンなどの高度な電話サービスが提供可能となっている。一方、SIP(Session Initiation Protocol)を用いたIP(Internet Protocol)電話交換機の局間接続は、IETF(Internet Engineering Task Force)で規定の「RFC3261」をベースに行われているが、プロトコルの定義が曖昧で、接続の具体的な仕様はメーカ独自の仕様となっているため、異なるメーカのIP電話交換機間の接続が困難であった。また、電話接続のような基本的なサービスしかできず、キャンプオンのような高度なサービスの提供はなされていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−284106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このIP電話交換機の接続性を担保するため、時分割電子交換機で使用しているTTC(Telecommunication Technology Committee)により規定されたインタフェース「DCH共通線方式」へ一旦変換する方式をとることがある。但し、この場合も、基本接続、発信番号通知、転送、保留といった基本的な電話サービスのみ可能で、キャンプオンなどの高度な電話サービスは提供されていなかった。このように、従来のSIPを用いたIP電話交換機では、時分割電子交換機で提供しているような高度なサービスが提供できないという課題があった。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、SIPを用いて通信を行う場合に、異なるメーカ間であっても高度な電話サービスを提供することが可能なSIP対応交換装置及びこれを用いたSIP対応交換システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明に係るSIP対応交換装置は、SIP(Session Initiation Protocol)を用いて通信を行い、少なくとも一台の電話機の接続制御を行うSIPサーバを有して構成される。このSIPサーバは、接続要求をした電話機の接続制御を行うSIPサーバと、接続要求がされた電話機の接続制御を行うSIPサーバとが異なる場合であって、SIPサーバの一方から他方のサービスを起動するときに、他方のSIPサーバにより接続制御が行われる電話機の識別情報とサービスに割り当てられたサービスコードとを区切り符号により連結したメッセージを生成して送信するメッセージ生成部と、メッセージを受信したときに、当該メッセージに区切り符号が含まれるか否かを判定し、区切り符号が含まれる場合にサービスコードを抽出する区切り判定部と、区切り判定部によりメッセージに区切り符号が含まれると判定され、メッセージに含まれるサービスコードが抽出されたときに、当該サービスコードに対応するサービスを起動するか否かを判定するサービス起動判定部と、サービス起動判定部によりサービスを起動すると判定されたときに、サービスを起動するサービス起動指示部と、を有して構成される。
【0007】
このような本発明に係るSIP対応交換装置において、メッセージはSIPに規定されたコマンドであることが好ましい。
【0008】
また、本発明に係るSIP対応交換装置において、SIPサーバのメッセージ生成部は、一方のSIPサーバから他方のSIPサーバのサービスが起動されたときに、サービスからの通知を他方のSIPサーバから一方のSIPサーバに送信するように構成され、サービスからの通知は、SIPに規定されたエラーレスポンスであることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係るSIP対応交換装置は、エラーレスポンスがサービスからの通知であるか否かを判定するエラーメッセージ種別判定部を有し、サービス起動判定部は、エラーメッセージ種別判定部においてエラーレスポンスが他方のSIPサーバで起動されたサービスからの通知であると判定されたときに、エラーレスポンスに対応するサービスを起動するか否かを判定するように構成されることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係るSIP対応交換システムは、少なくとも一台の電話機及び当該電話機の接続制御を行う上述のいずれかのSIP対応交換装置の組を2以上有し、SIP(Session Initiation Protocol)を用いて通信を行うよう構成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るSIP対応交換装置、及び、これを用いたSIP対応交換システムを以上のように構成すると、SIPを用いて通信を行う場合に、異なるメーカ間であっても高度な電話サービスを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るSIP対応交換システムの構成例を説明するための説明図である。
【図2】本発明に係るSIP対応交換装置の構成を説明するための説明図である。
【図3】共通シーケンスのメッセージヘッダ構成例を示し、(a)はINVITEリクエストメッセージヘッダの構成例を示し、(b)は通常のメッセージのヘッダの構成例を示す。
【図4】キャンプオンサービス(設定)時のシーケンスを説明するための説明図である。
【図5】キャンプオンサービス(通話)時のシーケンスを説明するための説明図である。
【図6】コールウェイティング時のシーケンスを説明するための説明図である。
【図7】割込のシーケンスを説明するための説明図である。
【図8】ゲートウェイを規定点としたSIP対応交換システムを説明するための説明図である。
【図9】中継サーバを規定点としたSIP対応交換システムを説明するための説明図である。
【図10】ゲートウェイ間に介在させた中継サーバを規定点としたSIP対応交換システムを説明するための説明図である。
【図11】プロトコル変換サーバを規定点としたSIP対応交換システムを説明するための説明図である。
【図12】ゲートウェイ間に介在させたプロトコル変換サーバを規定点としたSIP対応交換システムを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。まず、図1を用いて本実施形態におけるSIP対応交換システム100の構成について説明する。このSIP対応交換システム100は、IP(Internet Protocol)電話交換網3(図1の3a,3b等)を利用し、複数のIP電話機2(図1の2a,2b,2a′、2b′等)及びこれらのIP電話機2の接続制御を行うSIPサーバ1(図1の1a,1b等)の組を2以上有し、SIPを用いて通信を行うよう構成されている。
【0014】
IP電話機2は、有線のIP電話専用の電話機2(図1の2a,2b等)でもあってもよいし、無線LAN基地局4(図1の4a,4b等)を介してSIPサーバ1に接続する無線IP電話機2(図1の2a′,2b′等)であってもよい。また、IP電話機2として機能するように構成された図示しないパーソナルコンピュータなどであってもよい。SIPサーバ1は、接続要求をしたIP電話機2の接続制御を行うSIPサーバ1(例えば、SIPサーバ1a)と、接続要求がされたIP電話機2の接続制御を行うSIPサーバ1(例えば、SIPサーバ1b)とが異なる場合に、SIPサーバ1の一方から他方のサービスを起動するときに、SIPプロトコルを活用し、サービスコード(区切り符号)付与や代理エラーレスポンスによるサービス連携を行い、基本サービスだけでなく、高度な電話サービス(例えば、キャンプオン、コールウェイティング、割込など)を実現するものである。
【0015】
なお、本実施形態における基本サービス及び高度サービスの具体例とその概要は、以下の通りであるが、本実施形態はこれらに限定されることはない。
(1)基本サービス
基本接続:内線加入者相互および外線との接続が可能なこと。
発信者番号表示:呼出時、着呼側電話機に発呼側電話番号を表示すること。
転送:内線への着信呼を、通話後、転送できること。
保留:電話機操作によって呼を保留でき、保留相手側には保留音が流れること。
(2)高度サービス
キャンプオン:内線加入者相互接続または外線接続において、被呼加入者(被呼者)が話中の場合、被呼者が空き(切断)になった状態で自動的に発呼加入者(発呼者)を呼戻せること。
コールウェイティング:内線加入者相互接続または外線接続において被呼者話中の場合、ダイヤル操作により話中内線に対して、待機中呼があることを通知することができ、話中内線の電話機操作により通話中呼を保留にして待機中呼に応答できること。
割込:内線相互接続または外線接続において、相手内線が内線相互及び中継線接続で通話中の時、割込通話ができること。
【0016】
本実施形態のSIP対応交換システム100においては、従来のSIPサーバ局間では提供できなかった高度な電話サービスを実現するため、SIPプロトコルを活用し、以下で説明するように、(1)SIPコマンドへのサービスコード付与や代理エラーレスポンスによりSIPサーバ局間でのサービス連携を行うサービス通知方式、(2)異メーカのSIPサーバ局間の接続が可能な共通シーケンス、の2つを提供するように構成されている。
【0017】
(1)サービス通知方式
(a)サービスコードの付与
桁数を自由に設定可能な電話番号(着番号)と、サービスコードを同時に通知可能とした。具体的には、
(i)SIPコマンドにおけるセッションの確立要求メッセージであるINVITEリクエストのTOヘッダ
(ii)SIPメッセージのヘッダ
(iii)INVITEリクエスト及びSIPメッセージのヘッダの両方
のいずれかの着番号情報(識別情報)に、区切り符号とサービスコードとを設定して通知する。図3(a)に、INVITEリクエストのメッセージの構成例を示す。また、図3(b)に、SIPメッセージの構成例を示す。いずれも、TOヘッダの着信番号情報「sip:91300」に続いて、区切り符号「#」及びサービスコード「01」が付与されている。
【0018】
本実施形態における区切り符号及びサービスコードの定義の具体例を、以下の表1に示す。なお、本実施形態では、区切り符号として「#」を用いているが、これに限定されることはなく、「0〜9」のいずれかの数値、または「*」などの符号を用いてもよい。また、サービスコードについても、以下の数値に限定されることはない。
【0019】
【表1】
【0020】
(b)代理エラーレスポンス
RFC3261準拠のSIPエラーメッセージを、サービス通知に利用(代理通知)した。具体的には、例えば、高度サービスの際のSIPサーバ1間でサービス連携を行うため、エラーコード「406:Not Acceptable」などのエラーレスポンスを高度サービスに対する通知として代用する。なお、エラーコードは、「406」に限られず、SIPエラーメッセージ(RFC3261準拠)であれば、いずれのものを用いてもよい。
【0021】
(2)共通シーケンスの規定
上記のサービス通知を用いて、異メーカのSIPサーバ1間の接続が可能な共通シーケンス(共通プロトコル)を規定し、高度サービスを実現する。共通シーケンスの具体例及びこれを利用したサービス連携については、後述の実施例で詳細に説明する。
【0022】
以下、SIPサーバ1の構成について図2を用いて説明する。図2に示すように、SIPサーバ1は、IP電話交換機網3を介して他のSIPサーバ1と接続し、SIPサーバ1間でのパケットの送受信などの接続を制御する回線制御部10と、各種処理及び制御を行う中央制御部20と、各種情報を記憶する記憶部40と、コンソールやプリンタなどからなる入出力装置50とを有して構成される。中央制御部20は、メッセージ情報抽出部21、接続先判定部22、呼接続判定部23、区切り判定部24、サービスコード判定部25、エラーメッセージ種別判定部26、サービス起動判定部27、サービス起動指示部28、エラー処理判定部29、エラー処理指示部30、メッセージ生成部31、及び、パケット送信部32などを有して構成される。
【0023】
記憶部40は、SIPサーバの定義を記憶し接続状態などを管理する交換機状態記憶管理部41、加入者情報を記憶し管理する加入者状態記憶管理部42、プロトコル定義を記憶し管理するプロトコル管理部43、現在の呼接続状態を記憶し管理する呼接続状態記憶部44、各種タイマの値を記憶し管理する時間状態記憶部45、呼接続シーケンスの定義やタイマ条件を記憶し管理する呼接続管理部46、区切り符号定義を記憶し管理する区切り符号管理部47、キャンプオンなどの高度サービスで使用するサービスコード定義を記憶し管理するサービスコード管理部48、エラーコード定義を記憶し管理するエラーコード管理部49、電話サービスの動作条件及びそのサービス状態を記憶し管理するサービス状態記憶管理部51、エラー処理の定義を記憶し管理するエラー処理管理部52、及び、接続先の番号計画の定義を記憶し管理する番号計画管理部53、などから構成される。
【0024】
以下、記憶部40の各領域の構成について説明する。交換機状態記憶管理部41は、自己SIPサーバ1(交換機状態記憶管理部41が実装されているSIPサーバ1)と現在接続している「SIPサーバの定義(例えば、IPアドレス、ポート番号など)」を記憶する領域と、自己SIPサーバ1と接続する可能性のある「SIPサーバの定義」全てを記憶し管理する領域とを有する。加入者状態記憶管理部42は、現在の加入者全ての接続状態を記憶する領域と、「加入者の定義」全てを記憶し管理する領域とを有する。プロトコル管理部43は、SIP/RFC3261ベースの「SIPプロトコルの定義」を記憶し管理する。呼接続状態記憶部44は、呼接続管理部46の「呼接続シーケンスの定義」及び「タイマ条件」から、現在の「呼接続状態」を記憶する。時間状態記憶部45は、呼接続シーケンスでの「タイマ条件」で必要となる各種タイマの値を、常時更新しながら記憶し管理する。
【0025】
呼接続管理部46は、基本サービス(基本接続、発信者番号表示、転送、保留)の「呼接続シーケンスの定義」を記憶し管理する領域と、高度サービス(キャンプオン、コールウェイティング、割込)の「呼接続シーケンスの定義」を記憶し管理する領域とを有する。この「呼接続シーケンスの定義」とは、全サービスにおける呼接続シーケンスとその時のSIPサーバ1、自己IP電話機2(このSIPサーバ1に接続されているIP電話機2)の状態の定義を言う。呼接続管理部46は更に、基本サービスにおける呼接続シーケンスでの「タイマ条件」を記憶し管理する領域と、高度サービスにおける呼接続シーケンスでの「タイマ条件」を記憶し管理する領域とを有する。この「タイマ条件」とは、タイマ起動・終了トリガ、タイマ値などの定義を言う。
【0026】
区切り符号管理部47は、高度サービスで使用する「区切り符号定義」を記憶し管理するが、この区切り符号は、上述のように、リクエストメッセージのToヘッダにおいて、電話番号とサービスコードを区切るためのコードであり、本実施形態では「#」を用いている。サービスコード管理部48は、高度サービスで使用する「サービスコード定義」を管理する。サービスコードの具体例は、上述の表1に示す通りである。
【0027】
以下、中央制御部20における各部の処理概要を説明する。メッセージ情報抽出部21は、回線制御部10からパケットを受信し、このパケットから「メッセージ情報」を抽出する。接続先判定部22は、メッセージ情報抽出部21にて抽出された「メッセージ情報」中の「接続元SIPサーバ」及び「接続先SIPサーバ」と、記憶部40の交換機状態記憶管理部41に記憶された「SIPサーバの定義」とを比較する。また、「メッセージ情報」中の「加入者」と、加入者状態記憶管理部42の「加入者の定義」とを比較する。比較の結果、交換機状態、加入者状態すべて問題ない場合(予め決められた組合せでない場合)は、次の呼接続判定部23へ処理が遷移する。一方、比較の結果、交換機状態、加入者状態の1つでも問題がある場合は、エラー処理判定部29へ処理が遷移する。
【0028】
呼接続判定部23は、「メッセージ情報」を、プロトコル管理部43に記憶された「プロトコルの定義」と比較する。比較の結果、「プロトコルの定義」に問題がある場合(予め決められたプロトコル定義でない場合)は、メッセージ情報を廃棄して処理を終了する。また、比較の結果、「プロトコルの定義」に問題がない場合は、呼接続状態記憶部44の「呼接続状態」と、呼接続管理部46の「呼接続シーケンスの定義」及び「タイマ条件」とを比較し、処理を判定する。判定の結果、異常シーケンスの場合は、エラー処理判定部29に「メッセージ情報」を送信し、エラー処理判定部29に処理が遷移する。エラーレスポンスが通知された場合は、エラーメッセージ種別判定部26に「メッセージ情報」を送信し、エラーメッセージ種別判定部26に処理が遷移する。一方、エラーレスポンス以外が通知された場合は、区切り判定部24へ「メッセージ情報」を送信し、区切り判定部24に処理が遷移する。また、SIPサーバ1の一方から他方のサービスを起動する際に、当該SIPサーバ1が制御するIP電話機2から各種サービスの要求を受信した場合は、メッセージ生成部31に処理が遷移する。
【0029】
区切り判定部24は、「メッセージ情報」と、区切り符号管理部47の「区切り符号定義」とを比較し、「メッセージ情報」内に「区切り符号」が含まれるか否かを判定する。「区切り符号」が含まれる場合には、この区切り符号に続く「サービスコード」を抽出し、抽出した「サービスコード」をサービスコード判定部25へ送信して、サービスコード判定部25に処理が遷移する。一方、「区切り符号」がない場合は、サービス起動判定部27へ処理が遷移する。
【0030】
サービスコード判定部25は、区切り判定部24から受信した「サービスコード」と、サービスコード管理部48の「サービスコード定義」を比較し、当該「サービスコード」の登録がある場合は、サービス起動判定部27へ処理が遷移する。一方、当該「サービスコード」の登録がない場合は、エラー処理判定部29へ処理が遷移する。
【0031】
エラーメッセージ種別判定部26は、メッセージ情報中の「エラーレスポンス」と、エラーコード管理部49の「エラーコードの定義」とを比較し、高度サービスのための代理エラーレスポンスで使用するエラーコードの場合は、サービス起動判定部27へ処理が遷移する。一方、代理エラーレスポンスで使用するエラーコード以外の場合は、エラー処理判定部29へ処理が遷移する。
【0032】
サービス起動判定部27は、区切り判定部24によりメッセージに「区切り符号」が含まれると判定され、メッセージに含まれる「サービスコード」が抽出されたときに、当該「サービスコード」に対応する高度サービスを起動するか否かを判定する。または、エラーメッセージ種別判定部26により「代理レスポンスエラーコード」が通知されたときに、当該「代理エラーレスポンス」に対応する高度サービスを起動するか否かを判定する。具体的には、サービス状態記憶管理部51の「電話サービスの動作条件」と、「サービス状態」とを比較し、サービス起動を行うか否かを判定する。判定の結果、サービス起動を行う場合は、サービス起動指示部28へ処理が遷移する。一方、判定の結果、サービス起動しない場合は、メッセージ生成部31へ処理が遷移する。または、判定の結果、サービス起動に不具合を検知した場合は、エラー処理判定部29へ処理が遷移する。
【0033】
サービス起動指示部28は、サービス起動判定部27により高度サービスを起動すると判定されたときに、サービスコードに応じて、各種高度サービスの起動指示を行うとともに、メッセージ生成部31に処理が遷移する。
【0034】
エラー処理判定部29は、メッセージ情報中の「エラーレスポンス」または呼接続判定部23などから通知されたエラー情報と、エラー処理管理部52の「エラー処理の定義」とを比較し、エラー処理を行うか否かを判定する。判定の結果、エラーコードを送信する場合は(例えば、交換機・加入者エラー、異常シーケンス、サービスコードエラー、サービス起動エラー、その他のエラー処理を行うと判定)、エラー処理指示部30へ処理が遷移する。一方、判定の結果、エラーコードを送信しない場合は、メッセージ情報を廃棄して処理を終了する。エラー処理指示部30では、送信するエラーコードなどを指定して、メッセージ生成部31に対してエラー処理の指示を行う。
【0035】
メッセージ生成部31では、呼接続判定部23でIP電話機2から各種サービスの要求を受信した場合に、このIP電話機2を制御するSIPサーバ1が、他のSIPサーバ1に対して、各種サービス起動のメッセージを生成する。ここでは、高度サービス起動について説明する。高度サービスを起動する場合は、呼接続管理部46の「呼接続シーケンスの定義」や「タイマ条件」に従って、相手先のSIPサーバ1のIP電話機2の識別情報と高度サービスに割り当てられたサービスコードとを区切り符号により連結してメッセージを生成する。ここでは、図3(a)に示すように、「INVITEリクエスト」の「Toヘッダ」の識別情報に、番号計画管理部53の「番号計画の定義」から取得した接続先の識別情報を設定し、識別情報に続いて、区切り符号管理部47の「区切り符号定義」から取得した区切り符号、及び、サービスコード管理部48の「サービスコード定義」から取得したサービスコードを設定する。その後、パケット送信部32に処理が遷移する。
【0036】
また、メッセージ生成部31では、サービス起動判定部27から処理が遷移した場合は、メッセージを破棄して処理を終了する。また、サービス起動指示部28から処理が遷移した場合は、相手先のSIPサーバ1に対して当該サービスからの通知を行うため、エラーレスポンスメッセージを生成する。この場合、メッセージ情報に含まれる識別情報と番号計画管理部53の「番号計画の定義」とを比較し、呼接続管理部46の「呼接続シーケンスの定義」や「タイマ条件」に従ってメッセージを生成する。その後、パケット送信部32に処理が遷移する。
【0037】
また、エラー処理指示部30からの指示の場合は、メッセージ生成部31では、エラー処理指示部30からの「エラーコード」を基に、呼接続管理部46の「呼接続シーケンスの定義」に従い、エラーレスポンスメッセージを生成し、パケット送信部32に処理が遷移する。また、メッセージ生成部31では、各処理は呼接続管理部46の「呼接続シーケンスの定義」に従い、呼接続状態記憶部44の現在の「呼接続状態」を更新する。
【0038】
パケット送信部32では、メッセージ生成部31で生成したメッセージを基にパケットを生成し、回線制御部10を介してパケットを送信する。
【実施例】
【0039】
以上のような構成のSIPサーバ1を備え、図1に示す構成としたSIP対応交換システム100において、共通シーケンスの具体例及びこれを利用した高度サービス連携について、図4〜図7を参照して以下に説明する。これらの図には、A社製SIPサーバ1aのIP電話交換機網3aと、B社製SIPサーバ1bのIP電話交換機網3bとの間の高度サービス提供時の共通シーケンスが示されている。各図の中央に記載された太矢印で示したものがSIPサーバ1a,1b間における共通シーケンスであり、その中でも太字斜体で記したメッセージが、高度サービス用のサービスコードを含むメッセージまたは代理エラーレスポンスメッセージに係る共通シーケンスのメッセージである。なお、以下の実施例は一例に過ぎず、これらのシーケンス構成に限られるものでなく、本発明の効果範囲内において適切に変更が可能である。また、各SIPサーバ1a,1bと、これに接続されたIP電話2a,2bとの間のシーケンス(各図の左側及び右側の細矢印で示したもの)も、一例であり、メーカの仕様に応じて異なり、各図及び以下の構成に限られるものでない。また、以下では、共通シーケンスを、異なるメーカのSIPサーバ1a,1b間で用いているが、同じメーカのSIPサーバ1間で用いることもできる。
【0040】
(キャンプオンサービス〔設定〕)
まず、図4を参照して、相手先が通話中である場合のキャンプオンサービス設定時のシーケンスについて説明する。図4に示すように、A社製のSIPサーバ1aのIP電話機2aから、B社製のSIPサーバ1bのIP電話機2bに対して、電話番号を発信するなどの発呼操作が行われると、IP電話機2aからSIPサーバ1aに対して「発呼」が通知される。これを受信したSIPサーバ1aは、IP電話機2aに対して「発呼受付」を送信するとともに、接続先IP電話機2bのSIPサーバ1bに対して、呼接続状態記憶部44に記憶された「呼接続シーケンスの定義」に従い、「INVITEリクエスト」を生成して送信する。また、呼接続状態記憶部44の現在の「呼接続状態」が更新される。メッセージの生成などの中央制御部20での処理の詳細については前述の通りである。以降のシーケンスにおいても同様である。このリクエストメッセージを受信したSIPサーバ1bでは、SIPサーバ1aに対して「100 Trying」メッセージを応答する。このメッセージを受信したSIPサーバ1a側では、タイマ監視によりSIPサーバ1bからの返信の待ち状態に入る。
【0041】
一方、SIPサーバ1bは、IP電話機2bに対して「発呼」メッセージを通知する。IP電話機2bはSIPサーバ1bに対して「発呼受付」を発信するが、このとき「話中」である場合、IP電話機2bはSIPサーバ1bに対して「話中」メッセージを通知する。「話中」が通知されたSIPサーバ1bでは、SIPサーバ1aに代理エラーレスポンスメッセージ「486 BusyHere」を通知する。その後、SIPサーバ1aとIP電話機2aでは「話中」と「確認」のメッセージの送受信がされる。このとき、IP電話機2aでは話中音(Busy Tone)が聴取され、ユーザは相手先が話中であることを認識できる。その後、SIPサーバ1aから、SIPサーバ1bに対して「ACK応答」メッセージが通知され、SIPサーバ1bからIP電話機2bに対して「確認」メッセージが通知される。
【0042】
IP電話機2a側で、話中音を聴取したユーザは、キャンプオンサービスを希望する際には、その設定操作(サービス設定操作)を行う。この操作により、IP電話機2aから「CP(キャンプオン)設定」メッセージが発信される。これを受信したSIPサーバ1aは「CP設定受付」メッセージをIP電話機2aに送信するとともに、SIPサーバ1aは、SIPサーバ1bに対して、キャンプオン設定を要求するためのメッセージを送信するが、本実施例では、「INVITEリクエスト」メッセージを用いる。SIPサーバ1aの中央制御部20は、図3(a)に示すように、TOヘッダの着信番号情報の欄に、「#01(#:「区切り符号」、01:「キャンプオン設定」)を付与してメッセージを作成し送信する。
【0043】
「INVITEリクエスト」メッセージを受信したSIPサーバ1bの中央制御部20は、当該リクエストメッセージのTOヘッダに設定された「サービスコード」を読み取り、キャンプオンサービスが設定されたことを認識する。中央制御部20は、呼接続状態記憶部44の「呼接続シーケンスの定義」に従って、SIPサーバ1aに対して「100 Trying」メッセージを送信する。また、自身に対して「CP設定」メッセージを送信し、呼接続管理部46及び時間状態記憶部45などに基づいて、呼接続状態記憶部44の現在の「呼接続状態」を、「キャンプオン設定状態」に更新する。また、キャンプオン設定が確定したら、SIPサーバ1bはSIPサーバ1aに対して、キャンプオン設定完了メッセージとして「486 BusyHere」を送信する。このメッセージを受信したSIPサーバ1aは、キャンプオンが設定されたことを認識し、IP電話機2aに対して「CP設定確認」メッセージを送信する。
【0044】
このメッセージを受信したIP電話機2a側では、設定音が聴取され、ユーザはキャンプオンが設定されたことを認識できる。また、IP電話機2aは、SIPサーバ1aに「確認」メッセージを送信する。その後、SIPサーバ1aからSIPサーバ1bに「ACK」メッセージが送信され、SIPサーバ1bからIP電話機2bに「確認」メッセージが送信されるとともに、IP電話機2a側でオフフック操作(終話)することにより、キャンプオンサービス設定のシーケンスが終了する。
【0045】
(キャンプオンサービス〔通話〕)
次に、図5を用いて、キャンプオン設定後に、通話が可能となった場合のシーケンスについて説明する。前述で説明したようにキャンプオンが設定されると、SIPサーバ1bでは、タイマに従って「CP通知」メッセージを自身に発行して、IP電話機2b側での通話の終了(終話)を監視する。IP電話機2bから終話の通知があると、通話が可能となった旨を通知するため、図5に示すように、SIPサーバ1bの中央制御部20では、TOヘッダに「#02(キャンプオン通知)」を設定した「INVITEリクエスト」メッセージをSIPサーバ1aに対して送信する。これを受信したSIPサーバ1aの中央制御部20は、応答メッセージとして「100 Trying」をSIPサーバ1bに送信するとともに、IP電話機2aに「CP通知」メッセージを送信して呼び出す。呼び出されたIP電話機2aでは、SIPサーバ1aに「CP通知確認」メッセージを送信する。これを受信したSIPサーバ1aは、SIPサーバ1bに対して、代理エラーレスポンスメッセージ「486 BusyHere」を送信する。このメッセージを受信したSIPサーバ1bは、自身に「CP通知確認」メッセージを発信する。このメッセージを自身で受信(確認)したSIPサーバ1bは、呼接続状態記憶部44の現在の「呼接続状態」を、「キャンプオン通知状態」に更新するとともに、SIPサーバ1aに対して「ACK」メッセージを送信する。これを受信したSIPサーバ1aは、IP電話機2aに「確認」メッセージを送信する。
【0046】
また、先に呼び出されたIP電話機2aがオンフック状態になると、IP電話機2aとSIPサーバ1aとの間で「CP呼出し」及び「CP呼出受付」のメッセージが送受信される。SIPサーバ1aは、IP電話機2bを呼び出すため、TOヘッダに「#04(キャンプオン呼出)」を設定した「INVITEリクエスト」メッセージをSIPサーバ1bに対して送信する。これを受信したSIPサーバ1bは、応答メッセージとして「100 Trying」をSIPサーバ1aに送信するとともに、IP電話機2bに「CP呼出」メッセージを送信し、IP電話機2bの呼び出しを行う。呼び出されたIP電話機2bは、SIPサーバ1aに「CP呼出受付」メッセージと、相手先のIP電話機2aを呼び出すための「呼出」メッセージを送信する。
【0047】
次に、SIPサーバ1bから、SIPサーバ1aに対して、呼出メッセージ「180 Ringing」が送信され、これを受信したSIPサーバ1aが「呼出」メッセージを送信することで、IP電話機2aでは呼出音(Ring Back Tone)が聴取される。その後、IP電話機2a及びSIPサーバ1a間、SIPサーバ1a及びSIPサーバ1b間、並びに、SIPサーバ1b及びIP電話機2b間で、応答メッセージの送受信が行われた後、IP電話機2aとIP電話機2bとの間で通話が可能となる。
【0048】
(コールウェイティングサービス)
図6は、コールウェイティングサービスのシーケンスを示す。この図6に示すように、IP電話機2aがIP電話機2bを呼び出した際に、IP電話機2bが通話中であることが話中音(Busy Tone)によって通知されるまでのシーケンスは、前出のキャンプオンサービスの場合と同様である。その後、IP電話機2a側で、コールウェイティング(CW)のサービス設定操作を行うと、SIPサーバ1aは、SIPサーバ1bに対して、TOヘッダに「#06(コールウェイティング設定)」を設定した「INVITEリクエスト」メッセージを送信する。これを受信したSIPサーバ1bでは、応答メッセージとして「100 Trying」をSIPサーバ1aに送信するとともに、IP電話機2bに「CW設定」メッセージを送信して呼び出す。この時、IP電話機2a側では、呼出音(RBT)が聴取され、呼出が行われていることを認識できる。呼び出されたIP電話機2bが、電話機操作により通話中呼を保留にして、IP電話機2aからの待機中呼に応答(CW応答)することにより、IP電話機2aとIP電話機2bとの通話が可能となる。
【0049】
(割込サービス)
図7は、割込サービスのシーケンスを示す。この図7に示すように、IP電話機2aがIP電話機2bを呼び出した際に、IP電話機2bが通話中であることが話中音(Busy Tone)によって通知されるまでのシーケンスは、前出のキャンプオンサービスの場合と同様である。その後、IP電話機2a側で、割込のサービス設定操作を行うと、SIPサーバ1aは、SIPサーバ1bに対して、TOヘッダに「#07(割込設定)」を設定した「INVITEリクエスト」メッセージを送信する。これを受信したSIPサーバ1bでは、応答メッセージとして「100 Trying」をSIPサーバ1aに送信するとともに、IP電話機2bに「割込設定」メッセージを送信して呼び出し、割込が受け付けられると、確認メッセージなどが送受信された後、IP電話機2aとIP電話機2bとの通話が可能となる。
【0050】
以上の実施例では、SIPサーバ1a,1b間のサービス提供において、本発明のSIP対応交換装置を実装したSIPサーバ1a,1b間を共通インタフェースの規定点とし、SIP対応交換システムを構築しているが、本発明はこれに限られるものではない。他の異なる実施例として、例えば、図8に示すように、SIPサーバ1a,1b間を、本発明のSIP対応交換システムを実装したゲートウェイ5a,5bを介して接続し、このゲートウェイ5a、5b間を共通インタフェースの規定点としてもよい。
【0051】
また、図9に示すように、SIPサーバ1a、1b間に中継サーバ6を介在させ、SIPサーバ1a,1b及び中継サーバ6に各々SIP対応交換装置を実装して、SIPサーバ1a−中継サーバ6間、中継サーバ6−SIPサーバ1b間を共通インタフェースの規定点としてもよい。また、図10に示すように、SIPサーバ1a、1bのゲートウェイ5a,5b間に中継サーバ6を介在させ、ゲートウェイ5a、5b及び中継サーバ6に各々本発明のSIP対応交換装置を実装して、ゲートウェイ5a−中継サーバ6間、中継サーバ6−ゲートウェイ5b間を共通インタフェースの規定点としてもよい。更に異なる実施例として、SIPサーバ1a,1b間を、本発明のSIP対応交換装置を実装したプロトコル変換サーバ7を介して接続し、このプロトコル変換サーバ7を共通インタフェースの規定点としてもよい。また、図12に示すように、SIPサーバ1a,1bのゲートウェイ5a,5b間を、本発明のSIP対応交換装置を実装したプロトコル変換サーバ7を介して接続し、このプロトコル変換サーバ7を共通インタフェースの規定点としてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1,1a,1b SIPサーバ(SIP対応交換装置) 2,2a,2b IP電話機
31 メッセージ生成部 25 区切り判定部 26 エラーメッセージ種別判定部
27 サービス起動判定部 28 サービス起動指示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SIP(Session Initiation Protocol)を用いて通信を行い、少なくとも一台の電話機の接続制御を行うSIPサーバを有し、
前記SIPサーバは、
接続要求をした電話機の接続制御を行う前記SIPサーバと、接続要求がされた電話機の接続制御を行う前記SIPサーバとが異なる場合であって、前記SIPサーバの一方から他方のサービスを起動するときに、前記他方のSIPサーバにより接続制御が行われる前記電話機の識別情報と前記サービスに割り当てられたサービスコードとを区切り符号により連結したメッセージを生成して送信するメッセージ生成部と、
前記メッセージを受信したときに、当該メッセージに前記区切り符号が含まれるか否かを判定し、前記区切り符号が含まれる場合に前記サービスコードを抽出する区切り判定部と、
前記区切り判定部により前記メッセージに前記区切り符号が含まれると判定され、前記メッセージに含まれる前記サービスコードが抽出されたときに、当該サービスコードに対応する前記サービスを起動するか否かを判定するサービス起動判定部と、
前記サービス起動判定部により前記サービスを起動すると判定されたときに、前記サービスを起動するサービス起動指示部と、を有することを特徴とするSIP対応交換装置。
【請求項2】
前記メッセージはSIPに規定されたコマンドである請求項1に記載のSIP対応交換装置。
【請求項3】
前記SIPサーバの前記メッセージ生成部は、前記一方のSIPサーバから前記他方のSIPサーバのサービスが起動されたときに、前記サービスからの通知を前記他方のSIPサーバから前記一方のSIPサーバに送信するように構成され、
前記サービスからの通知は、SIPに規定されたエラーレスポンスである請求項2に記載のSIP対応交換装置。
【請求項4】
前記SIPサーバは、前記エラーレスポンスが前記サービスからの通知であるか否かを判定するエラーメッセージ種別判定部を有し、
前記サービス起動判定部は、前記エラーメッセージ種別判定部において前記エラーレスポンスが前記他方のSIPサーバで起動された前記サービスからの通知であると判定されたときに、前記エラーレスポンスに対応する前記サービスを起動するか否かを判定するように構成された請求項3に記載のSIP対応交換装置。
【請求項5】
少なくとも一台の電話機及び当該電話機の接続制御を行う前記請求項1〜4いずれか一項に記載のSIP対応交換装置の組を2以上有し、SIP(Session Initiation Protocol)を用いて通信を行うことを特徴とするSIP対応交換システム。
【請求項1】
SIP(Session Initiation Protocol)を用いて通信を行い、少なくとも一台の電話機の接続制御を行うSIPサーバを有し、
前記SIPサーバは、
接続要求をした電話機の接続制御を行う前記SIPサーバと、接続要求がされた電話機の接続制御を行う前記SIPサーバとが異なる場合であって、前記SIPサーバの一方から他方のサービスを起動するときに、前記他方のSIPサーバにより接続制御が行われる前記電話機の識別情報と前記サービスに割り当てられたサービスコードとを区切り符号により連結したメッセージを生成して送信するメッセージ生成部と、
前記メッセージを受信したときに、当該メッセージに前記区切り符号が含まれるか否かを判定し、前記区切り符号が含まれる場合に前記サービスコードを抽出する区切り判定部と、
前記区切り判定部により前記メッセージに前記区切り符号が含まれると判定され、前記メッセージに含まれる前記サービスコードが抽出されたときに、当該サービスコードに対応する前記サービスを起動するか否かを判定するサービス起動判定部と、
前記サービス起動判定部により前記サービスを起動すると判定されたときに、前記サービスを起動するサービス起動指示部と、を有することを特徴とするSIP対応交換装置。
【請求項2】
前記メッセージはSIPに規定されたコマンドである請求項1に記載のSIP対応交換装置。
【請求項3】
前記SIPサーバの前記メッセージ生成部は、前記一方のSIPサーバから前記他方のSIPサーバのサービスが起動されたときに、前記サービスからの通知を前記他方のSIPサーバから前記一方のSIPサーバに送信するように構成され、
前記サービスからの通知は、SIPに規定されたエラーレスポンスである請求項2に記載のSIP対応交換装置。
【請求項4】
前記SIPサーバは、前記エラーレスポンスが前記サービスからの通知であるか否かを判定するエラーメッセージ種別判定部を有し、
前記サービス起動判定部は、前記エラーメッセージ種別判定部において前記エラーレスポンスが前記他方のSIPサーバで起動された前記サービスからの通知であると判定されたときに、前記エラーレスポンスに対応する前記サービスを起動するか否かを判定するように構成された請求項3に記載のSIP対応交換装置。
【請求項5】
少なくとも一台の電話機及び当該電話機の接続制御を行う前記請求項1〜4いずれか一項に記載のSIP対応交換装置の組を2以上有し、SIP(Session Initiation Protocol)を用いて通信を行うことを特徴とするSIP対応交換システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−233141(P2010−233141A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80898(P2009−80898)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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