説明

SiC含有キャスタブル耐火物およびSiC含有キャスタブル耐火物を用いたプレキャストブロックの製造方法およびSiC含有キャスタブル耐火物の施工方法

【課題】高温酸化雰囲気で使用される炉材として最適な耐スポール性と耐酸化性を兼ね備えた、SiC含有キャスタブル耐火物を提供する。
【解決手段】直径が4〜25mmの粗粒を20〜80質量%含有するキャスタブル耐火物であって、該粗粒は、900℃以上の高温焼成により、予め耐酸化被膜を形成したSiCを含有する耐火物を粉砕して得たものとする。予め耐酸化被膜を形成したSiCを含有する耐火物とは、具体的には、酸化物結合SiC耐火物または金属Si含浸SiC耐火物または窒化珪素結合SiC耐火物C含有キャスタブル耐火物の少なくとも何れかとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はSiC含有キャスタブル耐火物およびSiC含有キャスタブル耐火物を用いたプレキャストブロックの製造方法およびSiC含有キャスタブル耐火物の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、各種産業用の炉材として、急激な温度差に対する耐スポール性を備えたキャスタブル耐火材への需要があった。
【0003】
耐火物施工体のスポーリング性を改善する技術として、炭化珪素(以下、SiC)を含有するSiC含有キャスタブル耐火物を高温焼成して耐火物施工体を得る手法が、広く採用されてきた。
【0004】
本願出願人は、キャスタブル耐火材の耐スポール性を更に改善する技術として、キャスタブル耐火材を構成する耐火材料の中に、事前に窒素雰囲気下で焼成された窒化珪素結合SiC耐火物を粉砕して得た粗粒(直径が3mm〜25mm)を含有させる技術を開示している(特許文献1)。
【0005】
ただし、SiCは900℃以上の高温酸化雰囲気下において酸化されやすい性質を持ち、当該酸化が進行すると、該耐火物施工体に割れや耐蝕性低下などの悪影響が生じ、耐火物寿命が短くなることが知られている。このため、高温酸化雰囲気で使用される炉材としては、特許文献1記載の技術(900℃未満で使用されるアルミニウム溶湯炉材用途を前提とした技術)を採用することが困難であるという問題があった。
【0006】
従来より、耐火物施工体に含有されるSiCの酸化を抑制するために、耐火物施工体を緻密化して酸素の侵入を防止することで酸化を抑制する方法や、キャスタブル耐火材に酸化防止剤を添加する方法が試みられている。
【0007】
このうち、耐火物施工体の緻密化に関し、一般にキャスタブル耐火物の施工時には、水との混練が必要となるため、施工体組織を、十分な酸化抑制効果を発揮できるレベルにまで緻密化させることは困難であるという事情がある。
【0008】
一方、酸化防止剤の添加は、酸化防止剤として低融点物質(SiC粒子の酸化する温度以下で溶解する物質)を用い、SiC粒子の周囲を被覆させて酸化防止効果を発揮するものである。したがって、当該酸化防止剤の酸化防止効果が有効に発揮されるためには、耐火物施工体の温度が、当該キャスタブル耐火物に添加された酸化防止剤の融点以上にまで昇温されることが必要となる。しかし、一般にキャスタブル耐火物は、エンドユーザーの炉内に施工されて焼成されるため、該エンドユーザーの炉内温度を適切に管理して、耐火物施工体を該酸化防止剤の融点以上にまで昇温させることは困難であり、酸化防止剤の添加しても、十分な酸化抑制効果を発揮できない場合があるという問題があった。また、同一炉内であっても、キャスタブル耐火物の施工箇所ごとに耐火物施工体温度が異なり、該温度が1000℃以下に留まる箇所では、十分な酸化抑制効果を発揮できない場合があるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−143757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、前記の問題を解決し、高温酸化雰囲気で使用される炉材として最適な耐スポール性と耐酸化性を兼ね備えた、SiC含有キャスタブル耐火物であって、該SiC含有キャスタブル耐火物の施工体温度が1000℃以下(500℃〜1000℃)でも十分な酸化抑制効果を発揮可能なSiC含有キャスタブル耐火物、および、当該SiC含有キャスタブル耐火物を用いたプレキャストブロックの製造方法あるいはSiC含有キャスタブル耐火物の施工方法を供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するためになされた本発明のSiC含有キャスタブル耐火物は、直径が4〜25mmの粗粒を20〜80質量%含有するキャスタブル耐火物であって、該粗粒が、焼成により耐酸化被膜を形成したSiCを含有する耐火物を粉砕して得たものであることを特徴とするものである。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のSiC含有キャスタブル耐火物において、焼成により耐酸化被膜を形成したSiCを含有する耐火物が、900℃以上で高温焼成された、SiC含有率70〜99質量%のSiC含有耐火物であることを特徴とするものである。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のSiC含有キャスタブル耐火物において、焼成により耐酸化被膜を形成したSiCを含有する耐火物が、酸化物結合SiC耐火物であることを特徴とするものである。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項2記載のSiC含有キャスタブル耐火物において、焼成により耐酸化被膜を形成したSiCを含有する耐火物が、金属Si含浸SiC耐火物であることを特徴とするものである。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項2記載のSiC含有キャスタブル耐火物において、焼成により耐酸化被膜を形成したSiCを含有する耐火物が、窒化珪素結合SiC耐火物であることを特徴とするものである。
【0016】
請求項6記載の発明は、請求項2記載のSiC含有キャスタブル耐火物において、耐酸化被膜形成助剤として、V、Ca、Fe、Ba、Cu、B、P、Si、Al、Tiの酸化物、炭化物、硼化物の少なくとも何れかを、酸化物、炭化物、硼化物換算で0.01〜6質量%含有することを特徴とするものである。
【0017】
請求項7記載のプレキャストブロックの製造方法は、請求項1〜6に記載の何れかのSiC含有キャスタブル耐火物と水を混練し、該混練物を型枠内に流し込み、該型枠内で固化させることを特徴とするものである。
【0018】
請求項8記載の発明は、請求項7記載のプレキャストブロックの製造方法において、該型枠内にアンカーを有することを特徴とするものである。
【0019】
請求項9記載のSiC含有キャスタブル耐火物の施工方法は、請求項1〜6に記載の何れかのSiC含有キャスタブル耐火物と水を混練し、該混練物を直接工事現場の施工箇所に流し込み施工することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るSiC含有キャスタブル耐火物は、耐酸化機能を備えたSiC含有耐火物の粉砕粒を20〜80質量%含有し、該粉砕粒中には、直径が4〜25mmの粗粒を含むものである。一般に、純粋なSiCインゴットは、高気孔率(30〜40%)の海綿状結晶であるため、SiCインゴットを粉砕しても、4〜5mm程度の粗粒しか得られない。本発明では、該SiCインゴットを粉砕して得た4〜5mm程度の粗粒を含有する耐火物を焼成することにより、該耐火物中に含有されるSiCの表面に耐酸化被膜を形成し、その後、該耐酸化被膜を形成したSiCを含有する耐火物を粉砕することにより、直径が4〜25mmの粗粒を得ることを可能とし、高温酸化雰囲気で使用される炉材として最適な耐スポール性と耐酸化性を兼ね備えた、SiC含有キャスタブル耐火物の提供を実現可能とした。また、予め耐酸化被膜を形成したSiCを含有する耐火物の粉砕粒を耐火材料として含有することにより、該SiC含有キャスタブル耐火物の施工体温度が1000℃以下(500℃〜1000℃)でも十分な酸化抑制効果を発揮可能なSiC含有キャスタブル耐火物の提供を実現可能とした。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のSiC含有キャスタブル耐火物を用いたリフターを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
【0023】
本発明のSiC含有キャスタブル耐火物は、耐酸化機能を備えたSiC含有耐火物の粉砕粒を20〜80質量%含有し、該粉砕粒中には、直径が4〜25mmの粗粒を含むものである。
【0024】
以下、本発明に用いる各材料について説明する。
【0025】
焼成により耐酸化被膜を形成したSiCを含有する耐火物は、例えば、以下の方法で製造することができる。
【0026】
原料の珪石・珪砂と炭素材とをアチソン型電気炉で通電加熱し、珪石・珪砂(SiO)を炭素(C)で還元してSiCを合成するいわゆるアチソン法によって、SiCインゴットを製造後粉砕し、4〜5mm以下の粒子を分級してSiC原料とする。次に、該SiC原料にV、Ca、Fe、Ba、Cu、B、P、Si、Al、Tiの何れかをSiO膜形成促進剤として添加し、これらを混合・成形して、気孔率5〜15%、嵩比重2.5〜2.9の成形体とする。その後、該成形体を、酸化雰囲気下、900℃〜1500℃にて3時間以上焼成することにより、上記の酸化物結合SiC耐火物を製造する。
【0027】
上記焼成では、成形体中のSiと雰囲気中の酸素とが反応してSiOが生成され、該ガラス質のSiOがSiC粒子の周り(粒界)を被覆することにより、SiC粒子を結合させている。このように、900℃〜1500℃にて3時間以上焼成することにより、SiC粒子の周り(粒界)に、均一かつ密な該SiOの被覆膜を形成することができる。当該SiOの被覆膜により、SiCの酸化を防止することができる。なお、より好ましくは、更に、該焼成物を酸化雰囲気下・600℃〜1000℃で3時間以上保持し、該焼成物の内部気孔表面にもSiOの被覆膜を形成させる。
【0028】
この方法で製造されたSiC耐火物には、V、Ca、Fe、Ba、Cu、B、P、Si、Al、Tiの酸化物、炭化物、硼化物の少なくとも何れか1種が、酸化物、炭化物、硼化物換算で0.01〜6質量%含有されている。このような無機酸化物は、成形体中のSiと雰囲気中の酸素とが反応してSiOが生成する反応を促進するSiO生成促進剤として働くものである。このような無機酸化物が0.010.1質量%未満しか含有されない場合には、耐酸化性が特に悪くなり、耐スポーリング性や耐食性も悪化する。一方、6質量%を超えて含有する場合には、耐スポーリング性や耐食性が悪化する。
【0029】
また、焼成により耐酸化被膜を形成したSiCを含有する耐火物は、例えば、以下の方法で製造することもできる。
【0030】
原料の珪石・珪砂と炭素材とをアチソン型電気炉で通電加熱し、珪石・珪砂(SiO)を炭素(C)で還元してSiCを合成するいわゆるアチソン法によって、SiCインゴットを製造後粉砕し、4〜5mm以下の粒子を分級してSiC原料とする。次に、該SiC粒子(粗粒と中間粒と微粒からなる)と所定量のSi粉末とを混合・成形して得られた成形体を、窒素雰囲気下で、1350〜1500℃にて1〜30時間(Hr)焼成することにより、窒化珪素結合SiC耐火物を製造し、その後、続いて、酸化雰囲気下での焼成を行う。この方法で製造されたSiC耐火物には、V、Ca、Fe、Ba、Cu、B、P、Si、Al、Tiの酸化物、炭化物、硼化物の少なくとも何れか1種が、酸化物、炭化物、硼化物換算で0.01〜6質量%含有されている。
【0031】
上記窒素雰囲気下での焼成により、成形体中のSiと雰囲気中の窒素とが反応し、窒化珪素がSiC粒子の周り(粒界)に生成され、SiC粒子を結合させることができる。更に、その後の酸素雰囲気下での焼成により、窒化珪素結合SiC耐火物の表面に、ガラス質のSiOの被覆を形成することができる。
【0032】
更に、焼成により耐酸化被膜を形成したSiCを含有する耐火物は、例えば、以下の方法でも製造することもできる。
【0033】
原料の珪石・珪砂と炭素材とをアチソン型電気炉で通電加熱し、珪石・珪砂(SiO)を炭素(C)で還元してSiCを合成するいわゆるアチソン法によって、SiCインゴットを製造後粉砕し、4〜5mm以下の粒子を分級してSiC原料とする。次に該SiC粒子(粗粒と中間粒と微粒からなる)と有機バインダーを用いて所定形状に成形した後、所定量の金属Siを成形体の上におき1450℃〜1650℃にて3〜30時間焼成することにより、耐酸化被膜を有する金属Si結合SiC耐火物を製造する。
【0034】
本発明のSiC含有キャスタブル耐火物としては、上記のようにして製造された焼成により耐酸化被膜を形成したSiCを含有する耐火物を粉砕した粉砕粒の他に、セメントを含有する。セメントは、施工体の強度を向上させるものであり、通常不定形耐火物に用いられるものであれば特に限定する必要はないが、中でもJISの1種、2種及び3種クラスが適している。セメントの配合量は、1〜5質量%とするのが好ましく、2〜4質量%がより好ましい。セメントの配合量を1〜5質量%としたのは、結合材として充分に作用するためには、1質量%以上が必要であり、5質量%以下としたのは、これよりも多くなると施工時の混練のために必要な水の添加水量が増え、施工時の乾燥品の気孔率を大きくするからである。また、水分が多いと乾燥して強度を発現するまでに要する時間も長くかかるからである。
【0035】
焼成により耐酸化被膜を形成したSiCを含有する耐火物の粉砕粒は、直径が4〜25mmの粗粒を分級したものであり、含有率が20〜80質量%の範囲となるように配合される。含有量が20質量%未満の場合には、耐食性とともにスポーリング性が悪化する。一方、含有量が90質量%を超えると、耐食性が悪化し、強度が低下する。直径が4〜25mmの粗粒を含有することにより、耐火物のクラック進展抑制効果による耐スポーリング性の向上を図られる。なお、一般に、純粋なSiCインゴットは、高気孔率(30〜40%)の海綿状結晶であるため、SiCインゴットを粉砕しても、4〜5mm程度の粗粒しか得られない。本発明では、該SiCインゴットを粉砕して得た4〜5mm程度の粗粒を含有する耐火物を焼成することにより、該耐火物中に含有されるSiCの表面に耐酸化被膜を形成し、その後、該耐酸化被膜を形成したSiCを含有する耐火物を粉砕することにより、直径が4〜25mmの粗粒を得ることを可能としている。
【0036】
本発明のSiC含有キャスタブル耐火物においては、さらに、SiCの超微粉と、ムライトの超微粉を、超微粉の合計量で5〜30質量%含有する。当該SiCの超微粉は、表面に耐酸化被膜が形成されていないため、酸素共存下で酸化されやすく、強力な還元剤として機能する。従って、例えば、該SiCの超微粉を含むSiC含有キャスタブル耐火物を用いてリフターを製造する場合、該SiCの超微粉が還元剤として機能するため、リフター内の金属アンカーの酸化を効果的に防止することができる。
【0037】
また、本発明のSiC含有キャスタブル耐火物には、通常、分散剤が0.001〜0.25質量%、好ましくは0.01〜0.2質量%の範囲で外配合されている。分散剤は、耐火材料中の微粒及び超微粉の集合体を分散させる作用を有しており、具体的には、ヘキサメタリン酸ソーダ、トリポリリン酸ソーダ、アルカリ金属ポリリン酸等の縮合リン酸塩、β−ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、アミノスルホン酸及びその塩、リグニンスルホン酸及びその塩、ポリアクリル酸及びその塩、アルカリ金属炭酸塩、オキシカルボン酸塩、ポリカルボン酸及びその塩、クエン酸炭酸塩、酒石酸炭酸塩等の界面活性剤を用いるのが好ましく、これらを1種又は2種以上配合して使用することができる。分散剤の添加量が0.25質量%を超えると、硬化遅延、強度低下等の悪影響があるとともに、混練時の粘性が必要以上に増加し、施工性が悪化する。なお、分散剤の添加量が0.001質量%未満では、分散の効果が充分ではなくなる場合がある。
【0038】
本発明のSiC含有キャスタブル耐火物は、所定量の分散剤及び水を添加、混練して流し込みなどで所定形状に施工されるものである。例えば、該混練物をアンカーを配置した型枠内に流し込み、該型枠内で固化させて、図1に示すリフターを製造することができる。また、炉内に該リフターを配置後、その周囲に該混練物を直接流し込み、アンカ―が配置された炉壁を施工することができる。
【0039】
本発明に係るSiC含有キャスタブル耐火物を用いて施工された施工体の物理的特性としては、強度(曲げ強度として計測)が10MPa以上、耐スポール性(ΔMOR=標準焼成曲げ強度―(所定の試験温度の炉内への急激な出し入れを行い、その後に測定した曲げ強度))が2MPa以下の特性を有する。強度が10MPa未満では、耐火物の寿命に十分な強度でなくなり、耐熱衝撃性が2MPa以上になると、温度変化による耐火物の亀裂等、破損の原因となる。
【0040】
なお、本発明に係るSiC含有キャスタブル耐火物を用いて施工された施工体の物理的特性としては、熱伝導率が6W/(m・K)以上、強度が13MPa以上であり、見掛け気孔率が13%以下であることがより望ましい。
【実施例】
【0041】
次に本発明の具体的な実施例について述べる。
まず、表1に示すように、耐酸化機能を備えたSiC含有耐火物の粉砕粒、ムライト微粉、セメント、SiCとムライトの超微粉を含むSiC含有キャスタブル耐火物について、成分組成、含有量を変化させて試験を行った(実施例1〜11、比較例1〜3)。
【0042】
表1の各組成からなるSiC含有キャスタブル耐火物に、水分を添加し混練後、乾燥させた試験片について、その物理的特性を測定し、評価した。その結果を表1に示す。物理的特性の測定方法、条件は次のとおりである。
【0043】
強度(曲げ強度):
強度(曲げ強度)は、試験片(40×40×160mm)を、試験機にて長手方向の両端下面を支持した状態で上面中心部に荷重を加え、最大荷重を求めた(基本的にはJIS R2213に準ずるが、サンプル形状、測定スパンが異なる)。
【0044】
耐スポール性:
耐スポール性は、試験片(40×40×160mm)を、600℃または800℃の炉内への急激な出し入れを行い、その後に測定した曲げ強度を、下記式に代入して求めた。
ΔMOR=標準焼成曲げ強度―(所定の試験温度の炉内への急激な出し入れを行い、その後に測定した曲げ強度)
【0045】
熱伝導率:
熱伝導率の測定は、JIS R2168に準じて行った。
【0046】
【表1】

【0047】
評価:
実施例1〜11に示すように、耐酸化機能を備えたSiC含有耐火物の粉砕粒を20〜80質量%含有し、該粉砕粒中には、直径が4〜25mmの粗粒を含む場合には、施工体温度が600℃に留まる場合であっても、10MPa以上の曲げ強度を備え、十分な耐スポール性を備えていた。一方、比較例1に示すように、耐酸化機能を備えたSiC含有耐火物の粉砕粒の含有量が20質量%に満たない場合には、耐スポール性の低下が観察され、比較例2〜3に示すように、耐酸化機能を備えたSiC含有耐火物の粉砕粒の含有量が80質量%を超える場合には、曲げ強度の低下が観察された。
【符号の説明】
【0048】
1 リフター
2 SiC含有キャスタブル耐火物の施工体
3 アンカー



【特許請求の範囲】
【請求項1】
直径が4〜25mmの粗粒を20〜80質量%含有するキャスタブル耐火物であって、
該粗粒が、焼成により耐酸化被膜を形成したSiCを含有する耐火物を粉砕して得たものであることを特徴とするSiC含有キャスタブル耐火物。
【請求項2】
耐酸化被膜を形成したSiCを含有する耐火物が、900℃以上で高温焼成された、SiC含有率70〜99質量%のSiC含有耐火物であることを特徴とする請求項1記載のSiC含有キャスタブル耐火物。
【請求項3】
焼成により耐酸化被膜を形成したSiCを含有する耐火物が、酸化物結合SiC耐火物であることを特徴とする請求項2記載のSiC含有キャスタブル耐火物。
【請求項4】
焼成により耐酸化被膜を形成したSiCを含有する耐火物が、金属Si含浸SiC耐火物であることを特徴とする請求項2記載のSiC含有キャスタブル耐火物。
【請求項5】
焼成により耐酸化被膜を形成したSiCを含有する耐火物が、窒化珪素結合SiC耐火物であることを特徴とする請求項2記載のSiC含有キャスタブル耐火物。
【請求項6】
耐酸化被膜形成助剤として、V、Ca、Fe、Ba、Cu、B、P、Si、Al、Tiの酸化物、炭化物、硼化物の少なくとも何れかを、酸化物、炭化物、硼化物換算で0.01〜6質量%含有することを特徴とする請求項2記載のSiC含有キャスタブル耐火物。
【請求項7】
請求項1〜6に記載の何れかのSiC含有キャスタブル耐火物と水を混練し、該混練物を型枠内に流し込み、該型枠内で固化させることを特徴とするプレキャストブロックの製造方法。
【請求項8】
該型枠内にアンカーを有することを特徴とする請求項7記載のプレキャストブロックの製造方法。
【請求項9】
請求項1〜6に記載の何れかのSiC含有キャスタブル耐火物と水を混練し、該混練物を直接工事現場施工箇所に流し込み施工することを特徴とするSiC含有キャスタブル耐火物の施工方法。



【図1】
image rotate


【公開番号】特開2010−275120(P2010−275120A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−126199(P2009−126199)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【出願人】(000237868)エヌジーケイ・アドレック株式会社 (37)
【Fターム(参考)】