説明

UD層を製造するための装置および方法

【課題】 良好な加工性を有するUD層を製造する。
【解決手段】 所定数のフィラメント束10からUD層7を製造するための装置1であって、フィラメント束10を供給するための分配装置8と、フィラメント束10を一時的に貯蔵するための貯蔵装置16と、拡幅装置27と、出口とを有している。貯蔵装置16は、各フィラメント束10に対して個別に貯蔵部を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定数のフィラメント束からUD層を製造するための装置であって、フィラメント束を供給するための分配装置と、フィラメント束を一時的に貯蔵するための貯蔵装置と、拡幅装置と、出口とを有するものに関する。
【0002】
本発明は、さらに、分配装置から引き出される所定数のフィラメント束からUD層を製造するための方法であって、フィラメント束が拡幅されて帯体とされ、フィラメント束が引出し工程と拡幅工程との間で貯蔵装置によって案内され、拡幅工程後に出口へと案内される方法に関する。
【背景技術】
【0003】
所定数のフィラメント束からUD層を製造するための装置や所定数のフィラメント束からUD層を製造するための方法は、例えば特許文献1により公知である。
【0004】
特許文献2は、拡幅された帯体を編機に供給するための装置を示しており、この装置では、前記帯体が一様な速度でボビンから引き出されており、所定の停止時間においても継続処理される。停止時間の間、帯体は制御された貯蔵部内に一時的に貯蔵される。
【0005】
特許文献3により、炭素繊維束を開繊するための装置及び方法が公知である。繊維束をさらに良好に開繊できるようにするために、繊維束に電流を通して繊維束を加熱する。
【0006】
特許文献4には、単方向積層布を製造する方法が開示されており、この方法では、開繊した繊維が横繋ぎ糸で互いに結合されてウエブを形成している。
【0007】
繊維強化プラスチックを製造するときには、これらのプラスチックに特定の引張強度を与えることを目的としている。この引張強度は、強化繊維によってもたらされる。引張強度は、強化繊維の延びる方向で最も大きい。従って、1つの層の強化繊維をすべて1方向に並べることが得策である。このようにして得られる層は、「単方向繊維層」又は「UD層」と称される。UD層中では、多数の繊維又はフィラメントが事実上1方向に平行に並べられている。このようなUD層は、1軸、2軸又は多軸積層布を製造するのに役立つ。多軸積層布内では、このようなUD層が異なる方向に複数に重ねられ、更にそれら複数のUD層が互いに結合される。
【0008】
繊維強化プラスチックを強化するのに必要とされる繊維又はフィラメントは、フィラメント束又はバンドルの形態で存在する。炭素フィラメントの場合、このような1つのフィラメント束にしばしば数千本の繊維又はフィラメントが含まれている。普通、1束当り、12000本、24000本、又は50000本の繊維又はフィラメントが含まれており、1束当りに含まれる繊維又はフィラメントの本数が480000本の場合さえある。1つのフィラメント束に含まれるフィラメントは、一緒に取り扱うことができなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許発明第69819699号明細書
【特許文献2】独国特許発明第102005008705号明細書
【特許文献3】独国特許発明第102005052660号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第19707125号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
フィラメント束は、例えばボビンに巻き取られる。その場合、フィラメント束は、処理前にボビンから引き出される。フィラメント束は、すべて概ね同じ張力でボビンに巻き取られているとみなすことができる。しかし、局所的な違いがあり、その違いがフィラメント束の相応する局所的変化を生じさせる。そのまま各フィラメント束を開繊して帯体に形成して並置すると、その局所的変化に起因して製造されたUD層が平坦に形成されずに反ってしまい、後工程の加工を困難にするという問題がしばしば生じる。例えば、液状のプラスチック母材を流し込む前にUD層を短縮して賦形することが困難となる。
【0011】
特許文献1又は特許文献4により公知の処理方法では、フィラメント束の開繊後、帯体に対して横方向の凝集力が作用しており、それ故、横方向において纏まりのあるUD層が得られる。このUD層は、その後ビームにより巻き取られる。多軸積層布を製造するために、更に巻き取られたUD層をビームから引き出して処理することができる。横方向の凝集力を作用させることによって帯体の違いによる影響をごく僅かにすることを目的としている。
【0012】
しかしながら、横方向の凝集力を作用させた積層布は、継続処理時にある欠点を有する。極端な場合、横方向の凝集力が作用するUD層が一方向にだけ変形する、つまりフィラメントが曲がるように変形し得る。横方向の凝集力が作用するが故に、フィラメントが他のフィラメントに対して長手方向に相対変位することは、もはや事実上不可能であり、可能であっても十分な変位量を確保することはもはや不可能である。
【0013】
そこで本発明は、良好な加工性を有するUD層を製造することができる装置及び方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本件発明の装置は、所定数のフィラメント束からUD層を製造し、前記フィラメント束を供給するための分配装置と、前記フィラメント束を一時的に貯蔵するための貯蔵装置と、拡幅装置と、出口とを有し、前記貯蔵装置が各フィラメント束(10)に対して個別の貯蔵部を有するものである。
【0015】
フィラメント束の中央では、フィラメントが確かに全て同じ伸びであって同じ局所長さを有しているが、実際には局所的な差異を生じていることがある。本件発明によれば、これらの差異を貯蔵装置によって打ち消すことができる。つまり、長い時間をかけて長さの違いを平均化する。これにより、並べられた帯体が、横方向の凝集力をうけることなくUD層としてビームに巻き取られ、それにもかかわらず各帯体の長さを同じにすることができる。これは、帯体に作用する張力を同じに調整することによって簡単に達成することができる。この張力は、とりわけ、貯蔵装置又は貯蔵部内における張力によって規定される。
【0016】
前記発明において、隣接するフィラメント束に対する前記貯蔵部は、互いに相対的にずれて位置していることが好ましい。
【0017】
前記構成によれば、各貯蔵部のために十分な取付空間を確保することができる。貯蔵部が例えばローラを有し、このローラによってフィラメント束が案内されている場合、このローラは、十分に支承され、例えばレバーアームに固着することができる。また、ローラは、その位置を変更することによって貯蔵区間を変更することができる。ローラは、直動ガイドにて支承することもできる。両方の事例においてローラ(または別の転向機構)は、特定の引張応力をフィラメント束に与えるために所定の引張力を付加することができる。この引張力は、例えばローラの重量力、補助力、又はばねによって作用させることができる。また、隣接する貯蔵部がずれて位置しているので、貯蔵部のすべての要素に対して十分な取付空間を確保することができる。
【0018】
前記発明において、前記貯蔵装置は、少なくとも1つの欠陥センサを有することが好ましい。
【0019】
前記構成によれば、全ての貯蔵部に対して共通する1つの欠陥センサを設けておくことができる。また、各貯蔵部に個別の欠陥センサを設けることもでき、または1群の貯蔵部に対して1つの欠陥センサを夫々設けてもよい。帯体は、理論上すべて同じ構造を有しており、局所的違いが生じると予想されるだけであるので、UD層の製造している間、各フィラメント束の貯蔵部は、確かにさまざまに充填されており、個々の貯蔵部の充填度は、一般に相互に異なるものとすることができる。しかし、貯蔵部が溢れ又は空になることは考えられない。そうした状況になると、その状況が欠陥センサによって検出され、装置を停止して欠陥信号を生成することができる。すると操作員は、この状況を点検して場合によっては対策を講じることができる。
【0020】
前記発明において、前記分配装置と前記貯蔵装置との間には、供給装置が配置されていることが好ましい。
【0021】
前記構成によれば、供給装置がフィラメント束を分配装置から引き出して貯蔵装置に供給する。こうして貯蔵装置は、分配装置からフィラメント束を引き出すのに不可欠な種々の力を受けることがない。
【0022】
前記発明において、前記拡幅装置の送り方向下流側には、フィラメント束駆動装置が配置されていることが好ましい。
【0023】
前記構成によれば、フィラメント束駆動装置は、例えば第2供給装置によって形成しておくことができる。このフィラメント束駆動装置により、装置の出口においてフィラメント束を帯体へと拡幅するのに不可欠な種々の力をその後工程の種々の力から切り離すことができる。これにより、例えばUD層を巻き取る際の引張応力よりもかなり強い引張応力でフィラメント束を拡幅することができるようになる。
【0024】
前記発明において、前記フィラメント束駆動機構は、ニップを有し、開繊された前記フィラメント束が前記ニップ内で圧力を付加されることが好ましい。
【0025】
前記構成によれば、フィラメント束駆動機構がニップを有し、開繊されたフィラメント束がこのニップ内で圧力を与えられる。ロール間隙と称することもできるニップは例えば加圧ローラと相手要素とによって形成されている。フィラメント束駆動装置内では、加圧ローラによって帯体を滑ることなく移動させることができる。それ故、帯体は規定された引張応力条件で出口、例えば巻取り部に供給することができる。
【0026】
前記発明において、前記拡幅装置は、異なる位置に配置される複数の拡幅機構を有し、隣接するフィラメント束は、それぞれ異なる拡幅機構により送られることが好ましい。
【0027】
前記構成によれば、各フィラメント束を分割幅よりも大きな幅に拡幅することができるようになる。分割幅は、使用するフィラメント束の数でUD層の幅を除することで得られる。フィラメント束を帯体へと拡幅することによって多くの場合、帯体の断面において一定ではない厚み分布が生じることがわかる。具体的には、この厚み分布は、傘状曲線の形状になっている。分割幅よりも大きな幅にフィラメント束を拡幅すると、UD層の厚みは、例えば複数の帯体を横方向に並べて互いに部分的に(例えば、縁領域同士を)重ねることによって従来よりも高い程度で均一化することができる。その場合、2つの帯体の薄い部分である縁部を重ね合い、こうして重ねた縁部の厚みの合計が概ね帯体中央の厚みになる。一定の厚みは、確かに達成されないが、全体の厚みが実質的に均一化される。
【0028】
前記発明において、前記拡幅装置の送り方向下流側には、調整装置が設けられており、前記調整装置は、各フィラメント束の幅を狭める幅狭窄機構を構成することが好ましい。
【0029】
前記構成によれば、調整装置は、帯体、つまり開繊されたフィラメント束を送り方向を横切る方向に多少寄せ集める。その際、調整装置は、主として、フィラメント束の両端及びその付近にある縁領域に配置されるフィラメントに作用する。帯体の中央は、調整装置による影響を実質的に受けない。それ故、縁領域のフィラメントが多少寄せ集められると、縁領域の厚みが増大して帯体の厚みを均一化されていく。調整装置を使用する場合、帯体を部分的に重ね合わせなくても十分な場合がある。その場合、帯体に相互に横方向の凝集力が作用せず、複数の方向に対してUD層の良好な変形性が確保されている。
【0030】
前記発明において、前記調整装置は、帯幅変更機構を有することが好ましい。
【0031】
前記構成によれば、帯体がその送り方向を横切る方向に寄せ集められるとき、幅の大きい帯体部分と幅の狭い帯体部分を製造することができる。そして、これらの帯体を並置すると、これによって形成されたシート材の中に空隙又は凹部が形成され、その後工程においてこれらの空隙又は凹部に液状のプラスチックを通すことができるようになる。それにより、積層布への液状のプラスチックの浸透を実現することが容易となる。帯幅変更機構は、さまざまな方法で形成することができる。調整装置は、溝付き回転軸を有し、これらの溝によって帯体の幅が最終決定される場合、周方向において可変幅機能を有する溝を使用することによって、帯体の幅を簡単に変更することができる。その場合、これにより製造された帯体の幅を周期的に変化させることができる。他の可能性は、帯体が挿通されるフランジ板を軸上に設けて調整装置を形成することである。フランジ板の軸線方向の位置を変更することによって、帯体の幅を変化させることができる。帯体を並置するとき、帯体がそれらの幅広い領域で突き合わされたり、また幅の狭い領域により大きな空隙が形成されるようにしたりするために、隣接する2つの帯体の幅を互いに調整することができる。
【0032】
前記発明において、前記拡幅装置の上流側には、分割機構が配置されており、前記分割機構は、各フィラメント束に対して少なくとも1つの溝付き案内体を有することが好ましい。
【0033】
前記構成によれば、この溝によって帯体の位置が決まる。こうして各帯体は、比較的高い精度で、後工程においてUD層内で必要とされる箇所に帯体を位置決めすることができる。これは、交差巻のボビンから帯体を引き出すときにも適用できる。
【0034】
本件発明の方法は、分配装置から引き出される所定数のフィラメント束からUD層を製造するための方法であって、前記フィラメント束が拡幅されて帯体とされ、前記フィラメント束が引出し工程と拡幅工程との間で貯蔵装置によって案内され、前記拡幅工程後に出口へと案内される方法において、各フィラメント束が前記貯蔵装置内で別々に貯蔵される方法である。
【0035】
本発明によれば、装置に関連して前述したように帯体内に発生する局所的な長さの差異を各貯蔵部によって打ち消すことができるようになり、局所的にも同じ長さを有する帯体からUD層を製造することができる。その際、ボビンに巻き取られたフィラメント束は、基本的に同じ性質を有しているという前提に基づいている。しかし、各ボビンからの繰り出し長さに応じてフィラメント束の長さに違いが生じることがあり、これらの違いは、各フィラメント束を一時的に貯蔵することによって夫々打ち消すことができる。
【0036】
前記発明において、前記フィラメント束は、供給装置によって前記分配装置から引き出して前記貯蔵機構に供給されることが好ましい。
【0037】
前記構成によれば、分配装置からフィラメント束を引き出すのに不可欠な種々の力を貯蔵装置内の種々の力から切り離すことができる。
【0038】
前記発明において、前記フィラメント束を拡幅する際の張力は、前記出口の張力から切り離されていることが好ましい。
【0039】
前記構成によれば、極薄い帯体を製造できるように比較的強い張力でフィラメント束を拡幅することができる。
【0040】
前記発明において、前記フィラメント束は、分割幅を超えて拡幅されて前記帯体とされ、前記分割幅が前記UD層の幅を前記フィラメント束の数で除した値に一致することが好ましい。
【0041】
前記構成によれば、フィラメント束の通常の拡幅は、比較的小さな直径の棒材によってフィラメント束を引き進めることによって行われる。多くの場合、2つ以上の棒材が使用される。その場合、フィラメント束には、一定の引張応力が与えられる。その場合、棒材から遠く離れたフィラメント束のフィラメントは、棒材に接近しようと努め、それ自身と棒材との間のフィラメントを押しのけようとする。この押しのける力は、フィラメント束の中央では、縁領域のようには良好に作用し得ない。それ故、フィラメント束の中央では、縁領域に比べて多少大きな厚みが残る。他方、縁領域は比較的薄く、フィラメント束の全体の厚み分布は、概ね傘状曲線の形状になる。分割幅をよりも大きくフィラメント束を拡幅すると、UD層の厚みを概ね均一化することができる方法がある。例えば、1つの方法として、隣接する帯体を互いに部分的に重ねる方法である。その方法の場合、薄い縁領域の厚みの合計が概ね帯体中央の厚みになるように重ねられる。これによって、帯体の厚みの均一化は厳密には達成されない。しかし、帯体の厚みは従来よりも実質的に均一化する。
【0042】
前記発明において、前記帯体は、拡幅後に横方向で寄せ集められることが好ましい。
【0043】
前記構成は、UD層の厚みを概ね均一化する他の方法であり、この構成によれば、寄せ集めることによって縁領域のフィラメントが中央領域に寄せられる。他方、帯体の中央領域は通常、寄せ集めることによる影響を受けない。つまり、寄せ集めることによって、縁領域における帯体の厚みが増す。しかし、中央領域では、その厚みに変化がない。
【0044】
前記発明において、寄せ集めることで前記帯体の幅を変えることが好ましい。
【0045】
前記構成によれば、装置に関連して前述したように、帯体を寄せ集めてシート材とするときに隣接する帯体の間に隙間が生じ、繊維強化プラスチック部品を形成するために後にこれらの隙間に液状のプラスチックを通すことができる。幅の変更は、例えば周期的に行うことができる。その場合、隣接する帯体は、それらの幅広い領域で突き合わされように並置することができ、また幅の狭い領域を並置することでシート材の中に空隙を残すことができる。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、良好な加工性を有するUD層を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】UD層を製造する装置全体の概略を示す側面図である。
【図2】図1に示す第1供給装置と貯蔵装置とを拡大して示す部分拡大図である。
【図3】図1に示す拡幅機構と第2供給装置とを拡大して示す部分拡大図である。
【図4】張力測定機構を拡大して示す部分拡大図である。
【図5】図1に示す巻取り機構を拡大して示す部分拡大図である。
【図6】図3に示す拡幅機構を更に拡大して示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下では、本発明の一つの実施形態を図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0049】
図1は、UD層7を製造するための装置1が示された側面図であり、UD層7はビーム2に巻き取られている。ビーム2は、側板3を有し、巻取り機構4内に配置されている。巻取り機構4内には、供給リール5があり、供給リール5から分離材6を引き出すことができるようになっている。分離材6は、例えば紙、プラスチックフィルム、布又は他の平面材である。この分離材6は、UD層7(図5参照)を巻取っているときにUD層7と一緒に巻き取られ、ビーム2に巻き取られたUD層7の巻層間に入れられ、隣接する巻層を相互に分離している。
【0050】
分配装置を構成するクリール8内には、複数のボビン9が配置されており、これらのボビン9からその接線方向に1つのフィラメント束10がそれぞれ引き出される。フィラメント束10は、交差巻でボビン9に巻き取られている。回転するボビン9から接線方向に引き出すことによって、フィラメント束10が捩れてしまうことを防ぐことができる。フィラメント束10に所定の張力がかかるようにするために、ボビン9は制動されている。フィラメント束10にかかる帯張力は、極力一様で、ボビン9からの引出し動作過程の全体にわたって一定であることを目指している。ここでは、フィラメント及びフィラメント束10について言及する場合、それらに繊維及び繊維束が含まれていることを意味している。
【0051】
クリール8は、その出口に案内要素11を有しており、この案内要素11は、交差巻によって引き起こされ得るような横運動をフィラメント束10が引き起こすことを防止している。これらの案内要素11は、例えば転向部のフランジ板から成る。送り時に極めて厳しい品質(精度)が要求され、且つ横方向のずれをより一層小さくしなければならない場合、図示しない帯揺動器も考慮しなければならない。この帯揺動器は、ボビン9から水平に繰り出されるフィラメント束10を横行しながら垂直方向に誘導する。これにより横方向のずれは、フィラメント束10の長手軸線まわりの回転に変換される。
【0052】
フィラメント束10を捩れることなく引き出すことができるようになっている限り、クリール8の代わりに別の分配装置を使用することができる。
【0053】
クリール8の後には、移行領域12が続いており、この移行領域12によってクリール8と第1供給装置13とが橋絡されている。多数のフィラメント束10は、送り方向を横切るように分布し、且つ略平行に走行し、その分布は、仕上がったUD層7の幅に実質一致している。つまり、フィラメント束10は、UD層7の幅に渡って既に均一に分布している。
【0054】
フィラメント束10が支持されていない移行領域12における自由長(無負荷状態)によって、ボビン9から引出すことで発生し得る不要な捩れが解消され得るまで逆方向にさらに回転させることで捩れを抑制することができる。
【0055】
第1供給装置13(図2参照)内では、各フィラメント束10が複数の駆動ロール14を介して滑りを生じることなく案内される。フィラメント束10が滑らないようにすることは、各駆動ロール14の周りでの巻掛け角度を十分に大きくすることによって実現できる。各駆動ロール14は、同じ周速度を有している。これは、駆動ロール14の直径をすべて同じにし、且つ駆動ロール14を同一回転数で回転させることによって簡単に実現することができる。それ故、駆動ロール14は、装置の簡素化のために1つの共通するサーボモータ15によって駆動されている。これにより、フィラメント束10は、すべて同じ速度で搬送される。その際、フィラメント束10の全てが一平面上に平行に位置している。
【0056】
第1供給装置13の後には、貯蔵装置16が続いており、この貯蔵装置16は、各フィラメント束10ために個別に貯蔵区間を有する。それ故、貯蔵装置16は、3つのシリンダ17〜19を有する。なお、貯蔵装置16には、それより多くのシリンダ17〜19を設けておくこともできる。到達したフィラメント束10は、横方向(送り方向に対して直交する方向)において交互に、送り方向にある第1のシリンダ17又は送り方向にある第2のシリンダ18によって下方に誘導される。シリンダ17によって下方に誘導されるフィラメント束10は、ローラ20によって再び上方に転向される。ローラ20は、揺動可能なレバー21に配置されている。更に、上方へと転向されたフィラメント束10は、第2シリンダ18によって再び走行方向に転向される。このフィラメント束10に隣接するフィラメント束10は、第2シリンダ18によって下方に転向され、次に、揺動可能なレバー23に固着されたローラ22によって上方に案内され、更に走行方向にある第3のシリンダ19によって再び走行方向に転向される。そのため、各フィラメント束10に対して個別に設けられたローラ20、22が貯蔵装置16内に付設されている。これらローラ20,22がズラされて位置しているので、各ローラ20,22のために十分な取付空間を確保することができる。また、ローラ20、22は、それらの位置を変更して距離を変えることができる貯蔵区間を形成し、自己の質量、ばね、又は作業シリンダ等の別の好適な手段によって当該フィラメント束10に引張力を付加するようになっている。これにより、フィラメント束10に張力を与えることができ、各フィラメント束10に対して張力を夫々与えることができる。シート状のフィラメント束10は、2つの群又は2つの平面に分割される。装置1内を通る全てのフィラメント束10が円滑に通過し(つまり、所望の経路長で走行し)又はその経路長が僅かな公差限界内である場合、全てのローラ20、22がほぼ同じ位置にある。1つ以上のローラ20、22が著しく離れて位置している場合、所望しないような異なる張力がシート状フィラメント束10にかかっている。詳しくは図示しない欠陥センサ(1つの共通する欠陥センサを設けておくこともできる)によってこれらのローラ20,22の位置を検出することにより、例えば装置を停止して欠陥信号を生成することができ、張力差異の原因を推定して対策を講じることができる。
【0057】
貯蔵装置16の後には、分割機構24が続いている。分割機構24は、2つの転向ロッド25を有し、転向ロッド25は、2つの機能を有している。転向ロッド25は、複数のリブを有し、このリブにより形成された溝によりフィラメント束10が1つずつ夫々案内される。ここで、用語「溝」は、一般に2つの側部境界壁を有する幾何学形状のものと理解すべきである。溝を配置することによって、幅方向において、各フィラメント束10が所定の位置にて位置決めされる。さらにリブ、つまり溝の側壁は、溝内で各フィラメント束10がどの程度まで開繊できるのかを決定している。これにより、後にフィラメント束10から形成される帯体26の単位面積当たりの重量が定まる。当該フィラメント束10を開繊できる幅が広ければ広いほど、帯体26の単位面積当たりの重量が小さくなる。帯体26の単位面積当たりの重量は、UD層7の単位面積当たりの重量に一致する。フィラメント束10は、2つ以上の転向ロッド25によってS字状に案内されることが望ましい。この案内は、既に一定の張力かかった状態で行われるので、その際に僅かではあるが開繊効果が生じる。
【0058】
分割機構24の後には、拡幅装置27が続いている。拡幅装置27内には、複数の転向ロッド28a、28bが配置されており、転向ロッド28a,28bによってシート状のフィラメント束10が引き進められる。転向ロッド28a、28bによって所定の例えば180°の角度にわたって転向する(つまり、送り方向を上下反転させる)ことによって、各フィラメント束10にかかる張力が強まり、また転向によってフィラメント束10が拡幅される。このようにしてフィラメント束10が開繊される。転向ロッド28の周りでの巻掛け角度は、調整可能になっている。拡幅装置27を通して形成された帯体26の幅が拡幅装置27を通した後に所定の幅になるように、フィラメント束10にかかる張力値、処理速度及び巻掛け角度が正しく選択される。
【0059】
図6は、拡幅装置27をより詳しく示した略図である。この図から分かるように、2つの転向ロッド28a、28bが異なるところに位置するように設けられている。この転向ロッド28a、28bによって隣接するフィラメント束10が交互に異なる方向へと案内される。フィラメント束10に横方向で通し番号を付けると、例えば奇数番号のフィラメント束10が転向ロッド28aによって一方向(図6の下方向)に案内され、偶数番号のフィラメント束10が転向ロッド28bによって他方向(図6の上方向)に案内される。転向ロッド28a,28bの両側にある補助ローラ44〜47は、フィラメント束10の進行を確保している。
【0060】
拡幅装置27内において、空間的に相互に離れて配置された異なる拡幅機構28a、28bにより隣接するフィラメント束10を交互に案内することによって、隣接するフィラメント束10が拡幅時に相互に干渉することがない。それゆえにフィラメント束10は、分割幅を超えて、即ちUD層7の幅をフィラメント束10の数で除した幅よりも大きく拡幅することができる。
【0061】
このように拡幅することで得られる帯体26の厚みは、横方向(断面)において概ね傘状曲線の形状を有するように推移している。換言すると、帯体26は、その断面中央領域が縁領域よりも多少厚くなっている。このような帯体26によりUD層7を構成すると、UD層7は相応する起伏を有する。
【0062】
この問題を解決するために、分割幅よりも大きく開繊した複数の帯体26の隣接するもの同士を部分的に(即ち、縁領域同士を)重ねて配置することができる。その場合、部分的に重ねることによって得られる縁領域の厚みの合計を適宜に調整することで、重ねた部分の厚みが概ね帯体26の中央の厚みに一致する。これにより、全体の厚みが実質的に均一化される。
【0063】
しかし、他の好適な実施形態は、1つずつ設けられた調整装置48、49に帯体26を通すことにある。調整装置48、49は、例えば各帯体26用の溝を有し、この溝は、そこを通る帯体26の幅を最終決定することができる。調整装置48、49まではその溝より幅広であった帯体26も、溝を通すことで横方向中央に向かって多少寄せ集めることができる。即ち、調整装置48、49が幅狭窄機構を構成している。その際、調整装置48、49は、主として、フィラメント束10の両端及びその付近にある縁領域に配置されるフィラメントに作用するが、帯体26の中央領域は、調整装置48、49による影響を実質的に受けない。そのため、縁領域のフィラメントが多少寄せ集められると、縁領域の厚みが増大して帯体26の厚みを均一化されていく。それ故、調整装置48、49を使用する場合、帯体26の部分的に重ね合わせをしなくても厚みの均一化を図ることができるので、帯体26に相互に横方向の凝集力が作用しておらず、複数の方向に対してUD層7の良好な変形性が確保される。
【0064】
また、調整装置48、49を使用することで、帯体26の幅を正確に分割幅に調整することができ、2つのロール51、52によって形成されるニップ50内で横に並んだ帯体26を組み合わせた後にシート材が得られる。このシート材には、もはや空隙が存在しない。他方、帯体26の幅を分割幅よりも多少狭く調整することもできるようになっており、この場合、隣接する帯体26の間には、例えば0.1〜0.5mm幅の空隙が生じる。
【0065】
調整装置48、49の溝は、横方向に互いにずれて位置している。更に具体的に説明すると、調整装置48、49の溝は、1つの溝の幅分だけズラして配置されている。それ故、帯体26は、後工程において横方向でさらにズラすことなくそのまま並べることでUD層7へと統合することができる。
【0066】
調整装置48、49の溝が周方向において幅を変えられるようになっている場合、送り方向において連続的、且つ周期的に変化する幅を有する帯体26が得られる。後工程において複数の帯体26を結合してシート材を形成するとき、帯体26の幅の狭い領域において、隣接する帯体26の間に空隙又は凹部が形成され、後工程において繊維強化プラスチック要素を製造するときにこの空隙または凹部に液状のプラスチックを通すことができるようになる。これにより、UD層7を備える積層布に液状のプラスチックの浸透を実現することが容易となる。このような幅の狭い領域を形成する際、軸線方向の位置を変更できるフランジ板の間に帯体26が挿通されるように調整装置48、49を使用することができる。フランジ板を接近させると、幅の狭い領域を有する帯体26が得られる。フランジ板を離間させると、幅の広い領域を有する帯体26が得られる。いずれの場合にも、幅の変化は比較的僅かである。帯幅は、数パーセント、例えば3.5%以上10%以下の範囲だけ変化させれば十分である。
【0067】
フィラメント束10又は帯体26に含まれる繊維にかかる横方向の凝集力を超える横方向の凝集力が隣接する帯体26の間に生成されることはない。フィラメントは普通、サイジング剤で被覆されており、例えば転向時の摩擦によって発生する熱によりサイジング剤が溶融してフィラメント同士を付着させることがある。しかし、この付着は弱く、帯体26同士を横方向に凝集するべく加熱したサイジング剤を利用することはできない。つまり、各帯体26は、依然として問題なく相互に分離することが可能である。
【0068】
図3では、拡幅装置27の出口において、複数の帯体26が隙間なく隣接していることが示されており、シート材のように形成されている。
【0069】
送り方向において拡幅装置27の下流側には、張力測定機構29が配置されており、この張力測定機構29は、各帯体26の張力を個別に検出するようになっている。張力測定機構29は、図4に拡大して図示されている。図4から分かるように、各帯体26は測定シリンダ30、31によって夫々誘導されている。この領域内では、帯体26が既に最終幅に達している、つまり閉鎖面を形成しているので、帯体26を2つの平面に分離して、その各帯を夫々測定できるようにすることが不可欠である。2つの隣接する帯体26の間には横方向の凝集力が存在しないので、分離は簡単に行うことができる。
【0070】
測定シリンダ30は、レバー32に固定されており、このレバー32は、ローラ33でもって測定センサ34上で支持されている。測定センサ34は、例えば圧電センサとすることができるが、しかし別の動作原理によって作動するものであってもよい。別の群の測定シリンダ31は、測定シリンダ30と同様にローラを介して測定センサ34上で支持されたレバーに支承されている。
【0071】
機器技術上のコストを抑えるために、例えば夫々1秒間隔で各帯体26の張力を逐次測定する1つの測定センサを各群の測定シリンダ30、31のために使用することができる。このため、測定センサ34が支持体35上に配置されており、この支持体35がレール36上を帯体26の送り方向を横切るように変位可能に構成されている。つまり、支持体35は、レバー32の下を横行しながら往復運動することができるようになっている。
【0072】
各帯体26にかかる張力を測定することによって例えば汚れによって発生し得る大きな摩擦値を検出し、その検出結果に基づいて貯蔵装置16にて与える張力を変更することにより、開繊前に張力を調整することができる。張力測定機構29の出口では、各帯体26が再び一緒にされて閉鎖面とされる。
【0073】
張力測定機構29の後には、フィラメント束駆動装置としての第2供給装置37が続いている。第2供給装置37は、複数のロール38を有し、これらのロール38によって帯体26は、滑ることなく案内されている。複数のロール38は、同じ周速度で駆動されており、同じ直径を有し、且つサーボモータ39によって同じ回転数で駆動されていることが望ましい。詳しくは図示しない方法で、ロール間隙と称することもできるニップが形成されるように最後のロール38に、加圧ローラを配置しておくことができる。帯体26へと開繊されたフィラメント束10は、このニップに通される。これにより、帯体26が第2供給装置37によって滑りなしに案内されることを実現することができる。
【0074】
第2供給装置37は、帯貯蔵機構40と共に、フィラメント束10を帯体26へと拡幅又は開繊するために不可欠な張力を発生する。この張力は、比較的強くしておくことができる。このようにかなり強い引張応力でフィラメント束10を引張ることで、極薄い帯体26を製造することができる。フィラメント束10を帯体26へと拡幅又は開繊するのに不可欠な張力は、使用される繊維に依存して、100N以上400N以下のオーダーとすることができる。
【0075】
巻取り機構4内でUD層7は、本質的に僅かな張力でパッケージとして貯蔵されねばならない。それに応じて、フィラメント束10を拡幅するのに利用されるときの張力とパッケージとして巻き取られるときの張力との間で切り離しを達成するために、第2供給装置37を利用することができる。これにより、例えばUD層7を巻き取る際の引張応力よりもかなり強い引張応力でフィラメント束10を拡幅することができるようになる。
【0076】
全ての帯体26において規定された同じ引張力に調整するために、第2供給装置37と巻取り機構4との間には、帯貯蔵機構40が配設されている。この帯貯蔵機構40は、貯蔵装置16と全く同じ構成を有するようにしておくことができる。しかし、レバー21、23による引張力の調整を貯蔵装置16の値と全く異なる値にすることができる。帯貯蔵機構40における張力の値は、最終製品、つまりUD層7と、フィラメント束10の材料特性とに対して要求さえる張力の値に依存している。
【0077】
帯貯蔵機構40内では、平行に開繊された帯体26の閉鎖面を2つ以上の群に分割することがやはり必要である。しかしながら、帯貯蔵機構40を通過後に両群の帯体26を一緒にすることによってUD層7の閉鎖面がやはり実現される。
【0078】
帯貯蔵機構40から進出後、空隙がなくまた各帯体26の間に横方向の凝集力のない閉鎖面を有するUD層7がいわば自動的に形成される。横方向の凝集力は、せいぜい、1つのフィラメント束10に含まれるフィラメント間の横方向の凝集力と同じ強さである。
【0079】
UD層7は、次にビーム2の側板3の間に巻き取られる。ビーム2の駆動は、サーボモータ41によって行われ、このサーボモータ41は、2つの供給装置13、37のモータ15、39と連動して作動する。ビーム2の直径が大きくなるのに伴ってサーボモータ41のトルクは強まる。他方、回転数は、低下させるようになっている。
【0080】
UD層7の重なり合った巻層のフィラメントは、すべて平行である。これらの平行なフィラメント又は繊維が互いに絡み合うのを防止するために、巻取り時に分離材6が各巻層の間に一緒に巻き込まれる。
【0081】
分離材6は、供給リール5から繰り出され、この供給リール5は、サーボ駆動装置43によって駆動又は制動できるようになっている。これにより、巻取りプロセス全体にわたって分離材6が一定した引張力で供給されることが確保される。
【0082】
本実施形態の装置1によれば、フィラメント束の局所的な長さの差異を貯蔵装置16によって打ち消すことができる。つまり、長い時間をかけて長さの違いを平均化する。これにより、並べられた帯体26が、横方向の凝集力をうけることなくUD層7としてビームに巻き取られ、それにもかかわらず各帯体26の長さを同じにすることができる。これは、帯体26に作用する張力を同じに調整することによって簡単に達成することができる。この張力は、とりわけ、貯蔵装置16又はローラ20,22による張力によって規定される。
【符号の説明】
【0083】
1 装置
7 UD層
10 フィラメント束
13 第1供給装置
16 貯蔵機構
20 ローラ
22 ローラ
24 分割機構
26 帯体
27 拡幅装置
29 張力測定機構
37 第2供給装置
48 調整装置
50 ニップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定数のフィラメント束(10)からUD層(7)を製造するための装置であって、前記フィラメント束(10)を供給するための分配装置(8)と、前記フィラメント束(10)を一時的に貯蔵するための貯蔵装置(16)と、拡幅装置(27)と、出口とを有する装置において、
前記貯蔵装置(16)が各フィラメント束(10)に対して個別の貯蔵部を有することを特徴とする装置。
【請求項2】
隣接するフィラメント束(10)に対する前記貯蔵部(20,22)は、互いに相対的にずれて位置していることを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記貯蔵装置(16)は、少なくとも1つの欠陥センサを有することを特徴とする、請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
前記分配装置(8)と前記貯蔵装置(16)との間には、供給装置(13)が配置されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
前記拡幅装置(27)の送り方向下流側には、フィラメント束駆動装置(37)が配置されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記フィラメント束駆動機構(37)は、ニップを有し、開繊された前記フィラメント束(10)が前記ニップ内で圧力を付加されることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記拡幅装置(27)は、異なる位置に配置される複数の拡幅機構(28a、28b)を有し、
隣接するフィラメント束(10)は、それぞれ異なる拡幅機構(28a、28b)により送られることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記拡幅装置(27)は、複数のフィラメント束(10)から複数の帯体(26)を形成するように成っていることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記拡幅装置(27)の下流側には、調整装置(48、49)が設けられており、
前記調整装置(48、49)は、各フィラメント束(10)の幅を狭める幅狭窄機構を構成することを特徴とする、請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記調整装置(48、49)は、帯幅変更機構を有することを特徴とする、請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記拡幅装置(27)の上流側には、分割機構(24)が配置されており、
前記分割機構(24)は、各フィラメント束(10)に対して少なくとも1つの溝付き案内体を有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
UD層(7)を巻き取るように構成された巻取り機構(4)を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
巻き取られたUD層(7)の間に分離材(6)を送るように構成された分離材供給機構を有することを特徴とする請求項1〜12の何れか1項記載の装置。
【請求項14】
分配装置(8)から引き出される所定数のフィラメント束(10)からUD層(7)を製造するための方法であって、前記フィラメント束(10)が拡幅されて帯体(26)とされ、前記フィラメント束(10)が引出し工程と拡幅工程との間で貯蔵装置(16)によって案内され、前記拡幅工程後に出口へと案内される方法において、
各フィラメント束(10)が前記貯蔵装置(16)内で別々に貯蔵されることを特徴とする方法。
【請求項15】
前記フィラメント束(10)は、供給装置(13)によって前記分配装置(8)から引き出して前記貯蔵機構(16)に供給されることを特徴とする、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記フィラメント束(10)を拡幅している間、前記前記フィラメント束(10)に張力が与えられていることを特徴とする請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記フィラメント束(10)を拡幅する際の張力は、前記出口の張力から切り離されていることを特徴とする、請求項14〜16のいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記フィラメント束(10)は、分割幅を超えて拡幅されて前記帯体(26)とされ、
前記分割幅が前記フィラメント束(10)の数で除した前記UD層(7)の幅に一致することを特徴とする、請求項14〜17のいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
前記帯体(26)は、拡幅後に横方向で寄せ集められることを特徴とする、請求項14記載の方法。
【請求項20】
寄せ集めることで前記帯体(26)の幅を変えることを特徴とする、請求項17記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−111329(P2011−111329A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245548(P2010−245548)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(505091695)カール マイヤー マリモ テクスティルマシーネンファブリーク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフツング (7)
【Fターム(参考)】