説明

USBキータイプのカスタマイズされた電子デバイス及びかかるデバイスの製造方法

本発明は、支持体(60)により担持された電子回路、図形的カスタマイゼーション及び/又はプリント(p)を見せる把持用本体、図形的カスタマイゼーション及び/又はプリントを目に見えるように透過させる形で本体の部位に配置された保護用カバー(70)を含んで成る、USBキータイプの電子デバイス(73)に関する。本発明は、図形的カスタマイゼーション及び/又はプリントが電子回路を担持する支持体(60)の上に実施されていること、及びカバーが前記支持体(60)を直接被覆していることを特徴とする。本発明は同様に、USB規格に適合した接点を伴ってプリントされたチップカードの本体の形をした電子回路の支持体の製作段階、支持体の表面上の図形的カスタマイゼーション段階、透明な保護シェルによるこの図形的カスタマイゼーションの保護段階を含む方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、USBキータイプのカスタマイズされた電子デバイス及びかかるデバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
USBキーは、パソコンといったような電気通信機器のUSB(英語でUniversal Serial Bus(ユニバーサル・シリアル・バス)という規格名)周辺ポートに接続するためのものである。利用分野は、チップカード及び/又はカードリーダの利用分野(セキュリティシステムを伴う又は伴わないデータ輸送、インターネットアクセス、ID、e−コマース、オンライン支払い、暗号化、など)と同じ位広いものである。
【0003】
一般的に、本発明に従ったキーは、機器のポート内に入る部分と、操作のためポートの外部にとどまる部分とを有している。
【0004】
現在市販されているUSBキーは比較的高価であり、その図形的カスタマイゼーションには制限がある。実際これらのキーには全て、標準USBコネクタ、機械式及び電子式インタフェース、ならびにシステムの保護及び機械的維持を確保できるようにする外部ケースが具備されている。
【0005】
国際出願PCT/FR02/03247は、チップカードからUSBフォーマットと相容性のある接触パッドを有するモジュールをカットし、次にUSB規格に適合する厚みを呈するような形で少なくとも接触パッド部位でその厚みを調整する、USB電子キー製造方法について記述している。
【0006】
図1は、上述の方法に従って得られた、電子キー5がカットされる、チップカードを例示している。該キーは、通信機器のUSBポート内に導入するための前方部分51を有する。この部分には、線形接触パッドをもつモジュール28及びその下に配置されこれらのパッドに接続された電子チップが備わっている。キーは同様に、把持を目的とする後方部分52をも有している。キーはこの段階で、カード本体27に該キーを連結するストラップを除いて部分的予備カット部分53でほぼ取り巻かれている。
【0007】
キーは同様に、接点を取り巻きモジュールを保護する金属アダプタを伴って提案されている。環状アダプタは、環内の接点のかさ上げ機能を提供するため、特に金属溝の形での修正段階を必要とする。
【0008】
金属アダプタの無い変形形態においては、接触パッドの下でミニカードに固定されたくさびによりUSBポートの厚みに対するキーの厚みの局所的適合化を実施する必要がある。
【0009】
この最後の変形形態においては、キーは、コネクタの外にある把持用本体を操作及び利用に付随する大きな応力度(衝撃、曲げ、条痕)にさらすという欠点を有する。例えば、本体のオリフィスに引掛けられたキーセットの重量は、特にコネクタと本体の接合部で本体を損傷するかさらには壊す可能性のある曲げ/ねじり応力を誘発することがある。
【0010】
この文書では、キーの電気的及び図形的カスタマイゼーションに関しては触れられていないままである。それでも、USBフォーマットでの接点の形状を考慮すると、該方法は、USB電気カスタマイゼーションプロトコルを利用する電気的カスタマイゼーション用機械を必要とするという欠点を有する。
【0011】
既存のその他のキーの中には、特に、表面実装型電子コンポーネント(SMC)を担持しその上に接触用又は接続用ロッドが溶接されているプリント回路を有するキーがある。アセンブリは、接触ブレードの端部を除いて集積回路を被覆する上部シェルと下部プラスチックシェルの中に配置されている。一部のキーモデルにおいては、シェルは、着色を伴う半透明のものであり、プリント回路の支持体上に固定されたコンポーネントを見分けることができる。図形的カスタマイゼーション及び/又はプリントは、シェルの表面で実施される。
【0012】
例えばシェルの交換を必要とする割れ目又は擦り傷といった損傷がキーに加わった場合、シェルを交換するための解決法はまったく提案されていない。
【0013】
一つの解決法は、キーを図形的カスタマイゼーションセンターに返送し、そこで新しいシェルを図形的にカスタマイズすることにある。これは、一方ではキーの中に記憶された数値データと他方では同じキーの図形的カスタマイゼーション及び/又はプリントとの間に一つの関係が存在していることからなおさら不可欠である。
【0014】
例えば、一つのキーロットに共通のロゴ又は装飾的グラフィックアートの実施を必要とする利用分野の場合がそれである。そのために、図形的カスタマイゼーションには、特殊な図形的カスタマイゼーション及び/又は装飾を発注するため回路内に数値的に記入された顧客コードを読取る段階が含まれる。このためには、数値データを読取りこれらの電気データに応じて図形的データを選択又は構成することのできる図形的カスタマイゼーション設備を入手する必要がある。
【特許文献1】国際出願PCT/FR02/03247公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上述の欠点を解決することを目的としている。本発明は、キーの把持用本体の部位に図形的カスタマイゼーション及び/又はプリントを有し、かつその把持用本体が損傷を受けた場合に特にエンドユーザーにより容易に補修又は交換可能であるようなキー構造を構想することをその主たる目的としている。
【0016】
本発明は同様に、このようなキーの経済的な製造方法をも提案している。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、その構造において、図形的カスタマイゼーション及び/又はプリントを担持する支持体の上に直接配置された透明な保護用カバーをキーに備えつけることから成り、ここでこのカバーは、グラフィックアートとは独立しており、損傷を受けた場合には容易に交換可能である。
【0018】
好ましくは、支持体、電子回路ならびに電気的及び図形的カスタマイゼーションは、ミニチップカードの製造方法に従って実施される。
【0019】
かくして、その図形的カスタマイゼーション及び/又はプリントを伴うキーは製造が経済的であり、エンドユーザーは、供給業者又は図形的及び電気的カスタマイゼーションセンターにキーを送り届ける必要なく自ら交換を実施することができる。
【0020】
このため本発明は、支持体により担持された電子回路、図形的カスタマイゼーション及び/又はプリントを見せる把持用本体、図形的カスタマイゼーション及び/又はプリントを目に見えるように透過させる形で本体の部位に配置された保護用カバーを含んで成る、USBキータイプの電子デバイスを対象としている。
【0021】
本発明は、図形的カスタマイゼーション及び/又はプリントが電子回路を担持する支持体の上に実施されていること、及びカバーが前記支持体を直接被覆していることを特徴とする。
【0022】
本体は、図形的カスタマイゼーション及び/又はプリントを担持する支持体、及び支持体の二つの面のうちの少なくとも一つの面の上の図形的カスタマイゼーション及び/又はプリントを目に見えるように透過させる形で支持体を被覆している保護用カバーを含んで成る。
【0023】
好ましくは、カバーは、透明な材料で作られたシェルである。
【0024】
本発明のその他の特徴に従うと:
− カバーは、図形的カスタマイゼーション及び/又はプリントを中心にした窓を有する;
− 支持体は、USBフォーマットの接点を有する電子モジュールを収納するチップカード本体を含む;
− 下部シェルは、USBポートの標準厚みに支持体の厚みを適合させるような形で接点の真下に平坦面を有する;
− 該デバイスは、ISOタイプの接点、ならびにISO及びUSB通信プロトコルをサポートする電子回路をさらに含む。
【0025】
本発明は同様に、把持用本体、ならびに本体の部位にある図形的カスタマイゼーション及び/又はプリント含むUSBキータイプの電子デバイスの製造方法をも対象としている。
【0026】
該方法は、USB規格に適合した接点をもつチップカードの形で電子回路支持体を製作する段階;支持体の表面上に図形的カスタマイゼーション及び/又はプリントを実施する段階;及び支持体を被覆しシェルを透過させて支持体上の図形的カスタマイゼーション及び/又はプリントを目に見えるようにすることのできる保護用カバーにより図形的カスタマイゼーション及び/又はプリントを保護する段階、を含んで成ることを特徴とする。
【0027】
本発明のその他の特徴に従うと、
− シェルは透明である;
− 該方法は、下部シェルを接点の下まで延長させる平坦面を用いて接点部位における支持体の厚みをUSBポートの厚みに適合させる段階を含む;
− 該方法は、モジュール上のISOタイプの接点、及びISOプロトコルもサポートできる電子回路をさらに提供する段階を有し、かつISO通信プロトコルに従った初期化及び/又は電気的試験及び/又はカスタマイゼーションが実施される;
− 支持体は、カード本体から抜き取られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付の図面を参照した非制限的な実施例の記述から明らかとなることだろう。
− 図1は前述の通り、USBキーが抜き取られる従来技術のISO規格フォーマットのチップカードを概略的に表している。
− 図2は本発明の方法により利用され、マイクロ回路又はモジュールを担持するリボンの上面図を表す。
− 図3はUSB及びISOフォーマットの接触パッドを有する本発明の好ましい一変形態様に従ったモジュールを表わす。
− 図4は図形的カスタマイゼーションの後で抜取りの前の本発明に従ったチップカードの上面図を概略的に表す。
− 図5は組立て中の本発明に従ったキーの構成要素の分解組立て斜視図を表す。
− 図6は本発明の方法の一実施形態に従って得られたキーを表す。
【0029】
図2では、USB電子キーの製造方法は、彫刻されるか又は型押しされた金属格子をベースとする、チップカードの分野で利用されるものといったような連続的リボン54から出発する段階を含んでいる。この例中のリボンは、各々導電性パターンを有する一連のマイクロ回路又はモジュール56を担持する誘電性支持体フィルム55で構成されている。パターンは、接触パッド57を表す。電子チップが固定され、その固定接点電極は、誘電性支持体内に設けられたウエルを通って接続用電線により電気的に連結されている。チップカードの分野の既知のその他の全ての接続手段が適切であり得る。
【0030】
絶縁性樹脂液滴の被着の形をした保護がチップと接続用電線から成るアセンブリを被覆している。
【0031】
誘電体は例えば、ガラス・エポキシ製フィルムである。これは、リール内に巻き取り可能で好ましくはその駆動用側孔58を伴う連続したリボンの形を呈する。
【0032】
代替的には、該リボンは全体的に、パターンが部分的に予備カットされた細い金属格子の形をしていてもよい。
【0033】
従ってチップカード技術の場合と同様に、該方法は、同じリボン、ならびに接触パッド、場合によっては導電性トラックの画定段階、チップ固定段階、接続段階、チップの被覆段階、電気的試験段階及びカットによるモジュールの抜取り段階を利用する。
【0034】
図3に表されているように、モジュールの接触パッドは、USBタイプのポートの電気接続用足状部に対応するような形(すなわち給電用にはVCC、接地用にはもう一つのGND、データ通信用には他の二つの「D+、D−」)で画定される。
【0035】
好ましい一実施形態においては、モジュールは同様に、ISOタイプの接点を提示し、特にチップの試験及び/又は初期化の間及び/又は電気的カスタマイゼーションの際にISOプロトコルに従った通信を可能にするような形で、コンプリメンタリ接触パッドRST、CLK、I/Oをも提示する。コンプリメンタリ接点は、USB接点とシェルの間でUSB接点の後ろに設置されるか又は、USBポートとの標準USB接続を邪魔しないように又は後で一つのシェルか何かで隠されるような形で、コネクタの前部との関係において引込んだ状態で設置される。
【0036】
かくして、本発明は、同じISO通信プロトコルを伴う二つのチップカードのロットの間でさえ、チップカード生産工具を変えることなくモジュールを容易にカスタマイズする(及び/又は電気的に試験し及び/又は初期化する)ことを可能にする。本発明のこの態様は、図形的態様及び保護用カバーとは無関係であり得るが、それでもこれは一本のキーの経済的な製作に寄与し得る。本発明は同様にUSBタイプのカスタマイゼーションそして唯一USBフォーマットの電気接点のみで間に合わせることもできる。
【0037】
図4では、単独の電子モジュールは、図1と同様、ISOフォーマットのカード本体59のキャビティ内に「チップカードタイプの」差込み作業によって挿入されている。
【0038】
カードは、差込み作業に先立ち、その一つ又は二つの主要面上に装飾的な図形的プリントを有することができる。この作業は、シェル上にプリントを有するキーとは異なりチップカード技術に従って最適な品質でかつ非常に容易に実施可能である。
【0039】
本発明のカードは同様に、図1にあるように、後日特に指で押すことで容易に抜取りができるような形で、支持体60の部分的予備カット部分53を有することができる。
【0040】
カードは次に「12345678」という番号で例示された図形的カスタマイゼーションを受ける。プリントは、例えば装飾的な地、絵画、デザインといったような一般に装飾的タイプのものである。図形的カスタマイゼーションは一般に情報提供タイプのものであり、特にパターン、ロゴ、英数字データ、数字、電子チップの中に数値的に含まれた情報と関連した又はしないバーコードを含み得る。これらは二つ共、カードの片面又は両面に製作され得る。
【0041】
標準チップカードのカスタマイゼーション向けの設備上でそうであるように、カスタマイゼーション用機械は、カードの電気的及び図形的カスタマイゼーションデータを連関できるようにする。
【0042】
プリントの前に、電気的及び図形的カスタマイゼーションの間の整合ミスを回避するため、チップの読取によりプリントの自動的確認又は選択を実施することができる。かくして、例えば、秘密キーを本体の表面にプリントされたデータに連関させることができる。プリントすべきカードの連続的フローの中で、各々の顧客又は個人の要請に応じた異なるカスタマイゼーションを、支持体毎に実施することが可能である。
【0043】
次に、プラスチック材料製のシェル又はケースの中に導入するために、図形的及び/又は電気的カスタマイゼーションを有する支持体60を、ISOカード59から抜き取る。支持体が予備カットされている場合、抜取り作業は手作業でできる。
【0044】
キーの組立ては、図5に例示されている。ここでは、矢印(A、B、C、D)の順に取付け段階が見られる。特に、二つの基本的部分すなわち、図形的プリントを担持する支持体の一部分52の収容スペース63を提供する凹状部分62及び凹状部分を延長する平坦面65又はテーブルを有するシェル61がみられる。組立ての後、支持体は完全に下部シェル上に載っており、平坦面は完全に、接触パッド57を有する支持体の前方部分51の下に延びている。
【0045】
平坦面の役目は、接触パッドの部位で支持体の厚みを補完し、この部位でUSB規格に適合した合計厚みを有するようにすることにある。支持体が抜き取られるチップカードは約0.76mmの厚みを有し、一方達成すべきUSBの厚みは約1.95mmである。
【0046】
支持体はその下部面に、モジュールに隣接する横断方向の溝66を有することができる。この溝の役目は、シェルの二つのサブ部分65/62の接合部にあるケースの対応するリブ67に嵌まって、支持体を所定の位置に固定することにある。
【0047】
シェル内で支持体を所定の位置に維持するための当業者にとって既知の、特に接着、クリップ、スライダによる分解可能又は不可能なその他の固定手段が、シェル及び/又は支持体を補完することができる。
【0048】
従って、シェルは単一部品としてその平坦面を介して、保護の役目のみならずUSB規格の厚みに対する支持体のアダプタという役目も果たしている。
【0049】
キーはこのように利用することもできるし、又は場合によっては平坦面及び支持体の端部を合せて包囲することになる(孔69を伴う)USBタイプの金属環68と共に利用することもできる。
【0050】
それでも、支持体は、プリントを保護するためフィルム又はワニス又は透明ラミネートシートの形をした従来の保護を受けることができる。
【0051】
好ましくは、下部半シェル61は、支持体の裏側に作られたもう一つの図形的カスタマイゼーションを見せるような形で透明である。場合によっては、透明なシェルで実施されていることから、表面保護は不要である。
【0052】
場合によっては、支持体60自体が、特にABS、ポリカーボナート、PETといった透明な材料で作られる。こうすることで、下部シェルを透過して支持体の表又は裏面上で目に見える唯一の面の唯一の図形的カスタマイゼーションを実施することが可能となる。同じくこうすることで、支持体の二つの面の上にプリントされたロゴを組合せることにより一つの視覚的効果を実現することもできる。
【0053】
キー上の透明な保護は好ましくは上部半シェル70により実現される。該上部半シェルは、接触パッドを除いて、この場合は支持体の後方部分である支持体の一部分をカバーし、下部シェルと嵌合して支持体をサンドイッチ状に取込むことになるような形で、支持体の上に配置される。
【0054】
上部半シェルは、シェルの前方に向かって延び金属環の幅をもつ肩部71を有することができる。該肩部は、例えば、支持体上での組立ての後ISO又はUSBの接触パッドの限界まで延びることができる。同じ透明な材料を利用することが可能である。このとき金属環又はリング68は、平坦面、肩部、接点を合せて取巻き/包囲して、下部及び上部の二つの半シェルの補足的な維持を確保することができる。
【0055】
上部半シェルは、適合されたあらゆる固定手段を用いて下部半シェル上に嵌合され得る。シェルの組立ては、特にクリップ留め、接着、超音波溶接、ネジ込みなどにより行うことができる。
【0056】
場合によっては、特にレーザーにより支持体上に透明なシェルを透過させて相補的カスタマイゼーションを実施することができる。
【0057】
本発明によると、図形的プリント及び図形的カスタマイゼーションは、それらの機械的保護及び損傷の場合のそれらの保護の容易な交換を保証しながら、キーの製造の複数の段階で容易になる。特に、チップカードの分野で現在利用されているプリント方法により、特に600DPIを超える高い解像度の色で優れた図形的カスタマイゼーション又はプリント品質をもつキーを得ることができる。
【0058】
ケースの損傷、キーホルダリングのもぎ取り、大きな条痕などの場合に、チップの数値データとの整合ミスの危険を伴う新しい図形的カスタマイゼーションを実施する必要なくケースを交換することが容易である。
【0059】
該方法及びキーは、上部シェルの固定を免れることができる。
【0060】
例示されていない一変形形態においては、厚み調整は、先の二つの半シェルで形成されたカバーの結果として得られる形状と同等の全体的形状をもちながら平坦面と肩部の間の前方長手方向面上に前方導入用スリットを呈するすでに組立てられたモノブロックシェルにより実施される。平坦面65で部分51の厚みの調整を行うためには、シェルの前方から支持体の部分52を導入するだけでよい。支持体とシェルはそれぞれ、例えばシェルの外への支持体の抜取りに対する制動を形成する陥凹/隆起部などといった、互いに所定の位置に固定するための相補的手段を有することができる。
【0061】
このシェルは好ましくは、そのままキーの最終形状となり、特に後方にカーブのついた形状は操作を容易にするか又は美観に寄与する。
【0062】
最後に、キーを仕上げるため、シェルの前方部分に、保護用キャップ72の取外し可能な固定手段を備えることができる。
【0063】
一つの変形形態では、保護用カバーは、支持体の図形的カスタマイゼーションと対面して、シェル(例えば不透明なシェル)上に配置された透明な窓75のみを有することができる。この窓は、該図形的カスタマイゼーションが、チップカード用に利用されるものと同じタイプの透明なコーティング、又はラミネートシート、保護フィルムを有し得るかぎりにおいて、単にシェルを横断する開口であり得る。
【0064】
本発明に適合した構造に到達するためには、電子コンポーネント及び/又は回路から開放されている図形的カスタマイゼーション専用の表面を、電子部品を担持する支持体上に設けることが必要であるということがわかる。これは、特に接触パッドの下でマイクロ回路又はプリント及び/又はカスタマイゼーションのために選定されたゾーンの外に該電子部品を集中させることによって達成可能である。
【0065】
図6には、USBキー73タイプの得られた電子デバイスが見られる。このデバイスは、上部シェルの透明性を通して目に見える図形的カスタマイゼーションを含む比較的美的な形状を呈している。好ましくは、シェルは、該シェルから突出した状態でリング74又は孔を含み、そこにキーホルダーフックを収納することができる。市販されているUSBキーの大部分とは異なり、本発明の図形的カスタマイゼーションは、同じ支持体が仲介しておりモジュール又は電子回路から切り離すことができず、チップカードセキュリティを提供するという利点をもつ。シェルの交換後でさえ、整合ミスの危険性も、又チップカードの場合と同じようなセキュリティレベルを呈するデバイスの製造中に実施されるセキュリティが破られる危険性もない。
【0066】
電気的カスタマイゼーションの場合と同様、図形的カスタマイゼーション及び/又はプリントは、全く標準的な機械の上で実現される。
【0067】
透明なプラスチック製の二つのシェルは、単純な手作業又は、容易に自動化可能な作業を通してミニカードのまわりにクリップ留め(超音波溶接又は接着)される。好ましくは、二つのシェルは、分解可能なタイプの組立て手段を有する。
【0068】
この段階は、全てのカスタマイゼーションがすでに実施されていることから、全くむずかしくない。
【0069】
好ましい一実施形態に従うと、該方法は、順番に、通信プロトコルに従って電気的試験を実施し、次にISO規格の寸法で成形又は圧延されたカード本体の二つの面のうちの少なくとも一方の上に特にプリントにより装飾的グラフィックアートを実現する段階、次にカード本体内に予め設けられたキャビティ内にモジュールを接着させる段階、カードを電気的及び図形的にカスタマイズする段階、及びカード本体から支持体を抜き取る段階を含んでいる。
【0070】
本発明の考慮対象の一つの利用は、例えばキーの所有者を直ちに識別するために、グラフィックアート又は図形的カスタマイゼーションとしてキーの名義人又はユーザーの写真を備えることにある。
【0071】
場合によっては、電子デバイスはトランスポンダの機能をも有する。電子チップは、例えばハイブリッドタイプのものであり、例えば無線周波数タイプの非接触通信の機能を有する。このためにチップカードタイプのモジュールの中にアンテナを配置してもよいし、或いは又、カードの本体又は図形的プリントを担持する支持体の一部分52の中又は上に延ばしてもよい。アンテナは、好ましくは、本体の縁で図形的プリントの周囲に延ばすことができる。場合によっては、環は、モジュールのアンテナに対する無線周波数スクリーンとなるのを避けるため金属でなくてもよい。
【0072】
通信到達距離を増大させるような形で、支持体の中に延びかつモジュールのアンテナひいては集積回路のアンテナと結合された受動アンテナ又は中継アンテナを具備することも可能である。こうして、アンテナの電気接続を回避することもできる。
【0073】
アンテナは、電気接点付き及び非接触のハイブリッドカードの場合と同様にマイクロ回路における従来の要領でモジュールに接続され得る。
【0074】
驚くべきことに、USBキーの幅(約1.4mm)は、ほぼ個人的入場磁気読み取りカードの(少なくとも顔の)写真の幅であることが確認されたため、キーは、非接触タイプの個人的入場磁気読み取りカード及び/又は身分証明磁気読み取りカードとして役立つことができると結論づけされた。
【0075】
キーは、インターネットアクセスのため又はセキュリティが確保されたワークステーションの作動を可能にするため、セキュリティキーとしても利用され得る。
【0076】
場合によっては、プリントの部位で金属環の幅よりも例えば二倍広い又は三倍広い支持体を得るような形で写真の部位でプリント支持体及びシェルの拡大を実施することができる。
【0077】
支持体は、通信もしくはトランザクション、又は電磁場もしくは接続の存在といった活動を知らせるような形でマイクロ回路及び/又はアンテナに対し連結されるLEDタイプの単数又は複数のダイオードを含むことができる。該ダイオードは、シェル内で支持体の表面上にあってもよいし又は、カード本体の中に埋込まれていてもよい。たとえ不透明であっても外部から見えれば、支持体本体を通して照明を実施することができる。個人の写真は、特にカード本体内のダイオードの背面照明によって目に見える可能性がある。
【0078】
プリント及び/又はカスタマイゼーションはユーザーの写真を有することができ、デバイスは写真及び/又はプリントを照明するためにLEDダイオードを有する。
【0079】
LEDダイオードは、チップカードタイプのモジュール内に設置され、例えば集積回路のチップのそばに接続され、例えば多少の差こそあれ透明であるか又は光導波管の役目を有し得るカード本体を通して光が拡散するような形で、埋め込まれる。チップ及びLEDダイオードの保護用被覆は、透明な材料で行うことができる。
【0080】
ダイオードは、様々な要領で給電を受けることができる。ダイオードは直接的に又は通信チップを介して間接的にUSBポートにより給電され得る。
【0081】
ダイオードは、それに連結されていてかつ磁気読み取りカードの主アンテナからは独立している(直接的接続無し)アンテナにより自己給電され得る。ダイオードのアンテナは、集積回路のチップに連結されたRF主アンテナへの接続を回避するような形で、主アンテナに結合され得る。
【0082】
LEDダイオードが非常に強い光を発光できるかぎりにおいて、支持体のプリントは、ダイオードの照明を送り返すような形で例えば金属といった反射性コーティングであり得る。一つの利用分野は、例えば携帯電話といったようなエネルギー源をもつ例えば携帯式の物体のUSBポート上にデバイスをつなぐことで照明又は信号を可能にすることにある。
【0083】
本発明は、チップがUSBインターフェース、RF無線周波数インタフェース、場合によってはISOインタフェースそして場合によっては発光LEDダイオードのための接続といった複数のインタフェースを含む実施形態を含み得る。
【0084】
もう一つの実施形態においては、アンテナに連結され第一のチップからは独立しているもう一つの非接触チップによって実施される無線周波数非接触機能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】USBキーが抜き取られる従来技術のISO規格フォーマットのチップカードを概略的に表している。
【図2】本発明の方法により利用され、マイクロ回路又はモジュールを担持するリボンの上面図を表す。
【図3】USB及びISOフォーマットの接触パッドを有する本発明の好ましい一変形態様に従ったモジュールを表わす。
【図4】図形的カスタマイゼーションの後で抜取りの前の本発明に従ったチップカードの上面図を概略的に表す。
【図5】組立て中の本発明に従ったキーの構成要素の分解組立て斜視図を表す。
【図6】本発明の方法の一実施形態に従って得られたキーを表す。
【符号の説明】
【0086】
56 モジュール
57 接触パッド
59 ISOカード
62 凹状部分
73 USBキー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体により担持された電子回路、図形的カスタマイゼーション及び/又はプリントを見せる把持用本体、図形的カスタマイゼーション及び/又はプリントを目に見えるように透過させる形で本体の部位に配置された保護用カバーを含んで成る、USBキータイプの電子デバイスにおいて、図形的カスタマイゼーション及び/又はプリントが電子回路を担持する支持体(60)の上に実施されていること、及びカバーが前記支持体(60)を直接被覆していることを特徴とする電子デバイス。
【請求項2】
カバーが透明な材料で作られたシェルであることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
カバーが図形的カスタマイゼーション及び/又はプリントを中心にした窓を有することを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
支持体(60)が、USBフォーマットの接点(57)を有する電子モジュール(56)を収納するチップカード本体を含むことを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
カバー(61、70)が支持体の少なくとも一部分(52)を被包するシェルであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
カバーが、共に一体を成し支持体の少なくとも前記一部分(52)を封入する下部半シェル(61)と上部半シェル(70)を有していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
下部シェル(61)が、USBポートの標準厚みに支持体の厚みを適合させるような形で接点(57)の真下に平坦面(65)を有することを特徴とする、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
接点を取り巻き、上部半シェルの肩部(71)と下部半シェルの平坦面(65)を介して二つの下部及び上部半シェル(61、70)を合せて包囲するUSBタイプの金属リング(68)を有することを特徴とする、請求項6及び7に記載のデバイス。
【請求項9】
USB接点から引込んで配置されたISOタイプのコンプリメンタリ接点(I/O、CLK、RST)、ならびにISO及びUSBの二つの通信プロトコルをサポートする電子回路をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
支持体(60)がそれ自体透明な材料で作られ、カバーの裏及び/又は表に目に見える図形的カスタマイゼーション及び/又はプリント(P)を有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
プリント及び/又はカスタマイゼーションがユーザーの写真であること、及び無線周波数通信機能を実施するためのアンテナを有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
プリント及び/又はカスタマイゼーションがユーザーの写真を含むこと、及び、写真及び/又はプリントを照明するためのLEDダイオードを有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
把持用本体、及び本体の部位にある図形的カスタマイゼーション及び/又はプリントを含むUSBキータイプの電子デバイスの製造方法において、
− USB規格に適合した接点(57)をもつチップカード本体の形で電子回路支持体(60)を製作する段階、
− 支持体の表面上に図形的カスタマイゼーション及び/又はプリント(P)を実施する段階、
− 支持体上のこの図形的カスタマイゼーションを目に見えるように透過させることのできる保護シェル(61、70)により支持体を直接保護する段階、
を含んで成ることを特徴とする方法。
【請求項14】
シェルが透明であることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
下部シェル(61)を接点の下まで延長させる平坦面(65)を用いて接点部位における支持体の厚みをUSBポートの厚みに適合させる段階を含むことを特徴とする、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
適合化には、接点及び平坦面のまわりに金属リング(68)を固定する段階が含まれることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
金属リングが、下部シェルの平坦面(65)と上部シェルの肩部(71)を共に包囲していることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
− モジュール上のISOタイプの接点、及びISOプロトコルもサポートできる
電子回路をさらに提供する段階を含むこと、
− 及び、ISO通信プロトコルに従った電気的試験及び/又はカスタマイゼーションを実施することを特徴とする、請求項13〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
支持体(60)が、図形的及び/又は電気的カスタマイゼーション段階の後にISO規格の寸法のカード本体(59)から抜き取られることを特徴とする、請求項13〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
支持体の片面上に、唯一の図形的カスタマイゼーション及び/又はプリントを実施し、該支持体が透明な材料でできていることを特徴とする、請求項13〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
非接触タイプの身分証明磁気読み取りカード及び個人的入場磁気読み取りカードとしての請求項12に記載のデバイスの利用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−519323(P2008−519323A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538397(P2007−538397)
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【国際出願番号】PCT/EP2005/055490
【国際公開番号】WO2007/025571
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(500342363)
【氏名又は名称原語表記】GEMPLUS
【Fターム(参考)】