説明

USBメモリ

【課題】 USB端子の保護用キャップの紛失を防止するとともに、USB端子の誤挿入を抑制し、故障の発生の低減を図ることが可能なUSBメモリを提供する。
【解決手段】 USBメモリ1は、半導体メモリを搭載し保護するための筐体部2と、筐体部2に連結されたUSB端子部3と、筐体部2と係合した状態でUSB端子部3を覆うキャップ部4と、を備え、キャップ部4は、筐体部2の左右両側壁に対向するように延設されるとともに摺動子6が突設された一対の腕部5a、5bを有し、筐体部2の左右両側壁には、摺動子6が摺動可能に嵌め込まれ、USB端子部3を外部のUSB端子に嵌め込む方向に摺動子6を案内するための案内溝7が形成され、摺動子6を係合するための係合溝8が、案内溝7から筐体部2の下面側に延びて形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルコンピュータ等のUSB端子に接続して使用する、半導体メモリを備えたUSBメモリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ等でデータを移動させるのにUSB端子に直接接続できるUSBメモリが知られている。すなわち、パソコンに設けられたメス型のUSB端子に、このUSBメモリのオス型のUSB端子を接続して、データの出入力を直接行うものである。
【0003】
この従来のUSBメモリには、半導体メモリを搭載し保護するための筐体部と、この筐体部に連結され、外部のUSB端子と接続するためのUSB端子部と、筐体部と係合した状態でUSB端子部を覆うキャップ部と、を備えるものがある。このUSBメモリのキャップ部は、紛失を防ぐため筐体部から分離不能になっており、USBメモリの使用時には、キャップ部が回動して、筐体部のUSB端子部と反対側に装着されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このような、従来技術においては、既述のようにUSBメモリの使用時には、キャップまたは保護材を回動させて筐体部のUSB端子部の反対側に装着し、USBコネクタをパソコン等のOA機器に接続して使用する。しかし、このような従来のUSBメモリの外観構成では、USB本体の上下左右の判別が分りにくく、ユーザが向きを間違って、外部のUSB端子に挿入してしまうことがあり、この場合、無理な挿入が行われると、USBコネクタがダメージを受け、さらには、USBメモリが故障するという問題が生じていた。
【特許文献1】特開平2004−221048号公報(第3頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するものであり、USB端子の保護用キャップの紛失を防止するとともに、USB端子の誤挿入を抑制し、故障の発生の低減を図ることが可能なUSBメモリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る実施例に従ったUSBメモリは、内部に半導体メモリを搭載し収納した筐体部と、前記筐体部の前面に連結され、矩形の開口部を有するケーシングと、このケーシング内の底部に設けられた基板と、この基板の上面に設けられ、前記半導体メモリと接続された金属端子と、を有し、外部のUSB端子と接続するためのUSB端子部と、前記筐体部と係合した状態で前記USB端子部を覆うキャップ部と、を備え、前記キャップ部は、前記筐体部の左右両側壁に対向するように延設されるとともに摺動子が突設された一対の腕部を有し、前記筐体部の左右両側壁には、前記摺動子が摺動可能に嵌め込まれ、前記外部のUSB端子に嵌め込む方向に前記摺動子を案内するための案内溝が形成され、さらに、前記摺動子を係合するための係合溝が形成されており、前記キャップ部が前記筐体部から外れるように、前記キャップ部を前記案内溝に沿ってスライドさせることにより、前記キャップ部が前記摺動子を中心として上面側に回動可能となり、さらに前記キャップ部を回動させるとともに前記摺動子を係合溝に係合させることにより、前記筐体部の上面で前記キャップ部が係止可能になることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、USB端子の保護用キャップの紛失を防止するとともに、USB端子の誤挿入を抑制し、故障の発生の低減を図ることが可能なUSBメモリを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は、本発明の実施例1に係るUSBメモリの構成を示す側面図である。また、図2は、本発明の実施例1に係るUSBメモリの構成を示す平面図である。
【0010】
以下では、筐体部のUSB端子部が連結されている面側を前方向とし、このUSB端子部の基板の金属端子が設けられている面側を上方向として説明する。
【0011】
図1および2に示すように、USBメモリ1は、半導体メモリを搭載し収納した筐体部2と、この筐体部2の前面に連結され、図示しない外部のUSB端子と接続するためのUSB端子部3と、筐体部2と係合した状態でUSB端子部3を覆うキャップ部4と、を備えている。ここで、筐体部2およびキャップ部4は、例えば、プラスチック、木、金属、樹脂等の少なくとも何れか1つの部材から構成されている。
【0012】
筐体部2の左右両側壁には、USB端子部3を外部のUSB端子に嵌め込む方向に案内溝7が形成されている。さらに、案内溝7の終端からUSB端子部3側に向かって、係合溝8が筐体部2の下面側に斜めに延びて形成されている。また、筐体部2の前面側には、凹部15が形成されている。また、筐体部2の前面側には、凹部15が形成されている。
【0013】
キャップ部4は、筐体部2の左右両側壁に対向するように延設されるとともに摺動子6が突設された一対の腕部5a、5bを有している。この摺動子6は、案内溝7に摺動可能に嵌め込まれ、案内されるようになっている。また、摺動子6は、係合溝8で係合されるようになっている。
【0014】
キャップ部4は、USB端子部3を外部のUSB端子に嵌め込む向きに(キャップ部4が筐体部2から外れるように)案内溝7に沿って、このキャップ部4をスライドさせた場合に、キャップ部4が筐体部2の下面側に回動しないようにするための係止部9を有する。この係止部9は、キャップ部4の上面側に設けられており、キャップ部4がUSB端子部3を覆っている場合には、凹部15と噛み合うようになっている。さらに、キャップ部4を案内溝7に沿ってスライドさせた場合には、この係止部9がUSB端子部3と接触し、キャップ部4が筐体部2の下面側に回動しないようになっている。また、摺動子6を係合溝8に係合させ、キャップ部4を、摺動子6を中心に回動させた場合には、係止部9が筐体部2の上面に接触してキャップ部4が筐体部2の上面で係止されるようになっている。なお、係合溝8の案内溝7に対する角度は、キャップ部4が係止されたときに、係合溝8の内面で摺動子6が係合されるような角度であればよい。
【0015】
図3は、本発明の実施例1に係るUSBメモリの構成を示す正面図である。なお、キャップ部4は、ここでは簡単のため省略されている。図3に示すように、USB端子部3は、例えば、金属等で構成され矩形の開口部を有するケーシング10と、このケーシング10内の底部に設けられた、例えば、絶縁部材から構成される基板11と、この基板11の上面に設けられた金属端子12と、を有している。
【0016】
以上のような構成により、USBメモリ1は、USB端子部3を露出させるためにキャップ部4をスライドさせた場合、キャップ部4が摺動子6を中心として上面側にのみ回動可能であり、摺動子6を係合溝8に係合させるとともにキャップ部4を回動させることにより、筐体部2の上面側でこのキャップ部4を係止可能にするものである。
【0017】
ここで、USBメモリ1を使用(外部のUSBに接続)する場合のキャップ部4の回動動作について、図4から図6に基づいて説明する。
【0018】
図4は、本発明の実施例1に係るUSBメモリのキャップ部の回動動作を説明するための側面図である。まず、図4に示すように、ユーザにより、キャップ部4が引っ張られて、摺動子6が案内溝7に沿うように、キャップ部4がスライドし筐体部2から外れる。案内溝7のUSB端子3側の終端まで摺動子6が移動したとき、キャップ部4の上面側は、係止部9がUSB端子部3の先端部を上面側から被覆するようになっており、一方、キャップ部4の下面側は、完全にUSB端子部3が露出するようになっている。これにより、既述のように、キャップ部4の下面がUSB端子部3に接触しないので上面側には回動可能であり、一方、係止部9がUSB端子部3の先端に接触するためキャップ部4が下面側には回動しない。
【0019】
次に、摺動子6を中心軸とするキャップ部4の回動動作に移る。図5は、本発明の実施例1に係るUSBメモリのキャップ部の回動動作を説明するための側面図である。図5に示すように、ユーザは、キャップ部4を、摺動子6を中心軸として回動させるとともに、この摺動子6を係合溝8に移動させる。なお、キャップ部4の下面がUSB端子部3の先端部に接触しない状態であれば、案内溝7に摺動子6が位置するときにキャップ部4を回動動作させ、その後、摺動子6を移動させて係合溝8に係合させてもよい。
【0020】
以上のようにして、キャップ部4が回動し、係止部9が筐体部2の上面に接触する。図6は、本発明の実施例1に係るUSBメモリの使用時の構成を示す側面図である。図6に示すように、係合溝8の下端で摺動子が係合するとともに、係止部9が筐体部2の上面に接触し支持される。これにより、外部のUSB端子に接続できるように、USB端子部が露出するとともに、キャップ部4が筐体部2の上面側に係止されることとなる。すなわち、ユーザは、このキャップ部4が載置されている面をUSBメモリ1の上面と認識することができるため、USB端子を接続すべき方向が判別できるようになるものである。
【0021】
以上のように、本実施例に係るUSBメモリによれば、USBメモリの使用時には、USB端子部を保護するキャップ部をUSBメモリ本体から分離することなく、筐体部の上面側にのみ係止するようにしたので、キャップ部の紛失を防止するとともに、ユーザによるUSB端子の誤挿入を抑制し、故障の発生を低減することができる。
【実施例2】
【0022】
実施例1では、摺動子を係合するための係合溝が1つ設けられている構成について述べたが、本実施例では、この係合溝が、摺動子を係合する位置を調整するため複数設けられている構成について述べる。
【0023】
図7は、本発明の実施例2に係るUSBメモリの使用時の構成を示す側面図である。図7に示すように、USBメモリ1aの筐体部2aの左右両側壁には、摺動子6が摺動可能に嵌め込まれ、USB端子部3を外部のUSB端子に嵌め込む方向に摺動子6を案内するための案内溝13が形成されている。筐体部2の左右両側壁には、摺動子6を係合するための係合溝14が、案内溝13から筐体部2の下面側に延びて複数形成されている。
【0024】
図7に示すように、使用時には、ユーザは、係合溝14を適宜選択し、摺動子6を係合することにより、キャップ部4が係止する配置を調整することができるようになっている。これにより、例えば、外部のUSB端子が複数隣接して設けられ各々USBメモリが接続されている場合であっても、キャップ部4の配置を変更することにより、キャップ部4が他のUSBメモリに接触するのを回避することができるようになっている。
【0025】
以上のように、本実施例に係るUSBメモリによれば、摺動子を係合する位置を調整するために係合溝を複数設けたので、ユーザによるUSB端子の誤挿入を抑制しつつ、USBメモリの使用時のキャップ部の筐体部の上面に係止する配置を調整することができ、外部のUSB端子が複数隣接するような使用状況にも対応することができる。
【0026】
なお、以上の各実施例においては、係合溝が案内溝から下面側に延びて形成された構成について説明したが、係合溝はキャップ部が係止されたときに、係合溝の内面で摺動子が係合されるように案内溝から上面側に延びるように形成しても、同様の作用効果を奏するのは勿論である。
【0027】
また、以上の各実施例においては、USBメモリの上面を上にして外部のメス型のUSB端子に接続する場合を想定して説明したが、例えば、外部のメス型のUSB端子が横になっている場合であっても、ユーザは、少なくともUSBメモリのオス型のUSB端子の接続すべき方向を認識し、外部のメス型のUSB端子の向きに合わせて接続することができるため、USB端子の誤挿入を抑制し、故障の発生を低減することができるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施例1に係るUSBメモリの構成を示す側面図である。
【図2】本発明の実施例1に係るUSBメモリの構成を示す平面図である。
【図3】本発明の実施例1に係るUSBメモリの構成を示す正面図である。
【図4】本発明の実施例1に係るUSBメモリのキャップ部の回動動作を説明するための側面図である。
【図5】本発明の実施例1に係るUSBメモリのキャップ部の回動動作を説明するための側面図である。
【図6】本発明の実施例1に係るUSBメモリの使用時の構成を示す側面図である。
【図7】本発明の実施例2に係るUSBメモリの使用時の構成を示す側面図である。
【符号の説明】
【0029】
1、1a USBメモリ
2、2a 筐体部
3 USB端子部
4 キャップ部
5a、5b 腕部
6 摺動子
7 案内溝
8 係合溝
9 係止部
10 ケーシング
11 基板
12 金属端子
13 案内溝
14 係合溝
15 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に半導体メモリを搭載し収納した筐体部と、
前記筐体部の前面に連結され、矩形の開口部を有するケーシングと、このケーシング内の底部に設けられた基板と、この基板の上面に設けられ、前記半導体メモリと接続された金属端子と、を有し、外部のUSB端子と接続するためのUSB端子部と、
前記筐体部と係合した状態で前記USB端子部を覆うキャップ部と、を備え、
前記キャップ部は、前記筐体部の左右両側壁に対向するように延設されるとともに摺動子が突設された一対の腕部を有し、
前記筐体部の左右両側壁には、前記摺動子が摺動可能に嵌め込まれ、前記外部のUSB端子に嵌め込む方向に前記摺動子を案内するための案内溝が形成され、さらに、前記摺動子を係合するための係合溝が形成されており、
前記キャップ部が前記筐体部から外れるように、前記キャップ部を前記案内溝に沿ってスライドさせることにより、前記キャップ部が前記摺動子を中心として上面側に回動可能となり、さらに前記キャップ部を回動させるとともに前記摺動子を係合溝に係合させることにより、前記筐体部の上面で前記キャップ部が係止可能になることを特徴とするUSBメモリ。
【請求項2】
前記係合溝は、前記案内溝から前記筐体部の下面側に延びて形成されていることを特徴とする請求項1に記載のUSBメモリ。
【請求項3】
前記キャップ部は、前記キャップ部が前記筐体部から外れるように、前記案内溝に沿ってスライドさせた場合に、前記キャップ部が前記筐体部の下面側に回動しないようにするための係止部を有することを特徴とする請求項1または2に記載のUSBメモリ。
【請求項4】
前記係止部は、前記キャップ部の上面に設けられており、前記キャップ部を前記案内溝に沿ってスライドさせた場合に、前記USB端子部と接触して前記キャップ部が前記筐体部の下面側に回動しないようになっていることを特徴とする請求項3に記載のUSBメモリ。
【請求項5】
前記筐体部の両側壁には、前記係合溝が複数設けられていることを特徴とする請求項4に記載のUSBメモリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−301789(P2006−301789A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−119954(P2005−119954)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】