X線CT画像再構成方法及びX線CT画像再構成プログラム
【課題】アーチファクト低減処理の結果、高X線吸収係数の物体領域の構造が複雑な場合には、再構成画像の高X線吸収係数の物体領域が変形していた。
【解決手段】ステップ601において、第1の波長分布を有するX線を照射して1回目再構成用投影データI1Aを取得する。次に、ステップ602において、第1の波長分布と異なる第2の波長分布のX線を照射して1回目再構成用投影データI1Bを取得する。次に、ステップ603において、所定関数を用いて1回目再構成用投影データI1A、I1Bを合成することにより修正再構成用投影データI1’を演算する。ここで、所定関数は、1)撮影対象物の低X線吸収係数の物体領域から得られる投影データI1A、I1Bに対しては修正投影データI1’はほとんど変化がない、2)撮影対象物の高X線吸収係数の物体領域から得られる投影データI1A、I1Bに対しては修正投影データI1’は投影データI1A、I1Bに依存する、を満足する。
【解決手段】ステップ601において、第1の波長分布を有するX線を照射して1回目再構成用投影データI1Aを取得する。次に、ステップ602において、第1の波長分布と異なる第2の波長分布のX線を照射して1回目再構成用投影データI1Bを取得する。次に、ステップ603において、所定関数を用いて1回目再構成用投影データI1A、I1Bを合成することにより修正再構成用投影データI1’を演算する。ここで、所定関数は、1)撮影対象物の低X線吸収係数の物体領域から得られる投影データI1A、I1Bに対しては修正投影データI1’はほとんど変化がない、2)撮影対象物の高X線吸収係数の物体領域から得られる投影データI1A、I1Bに対しては修正投影データI1’は投影データI1A、I1Bに依存する、を満足する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はX線CT(Computed Tomography)画像再構成方法及びX線CT画像再構成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、X線CT画像再構成方法においては、撮影対象物の周囲を多数の方向からX線を投影し、X線の透過エネルギーとしての投影データ(シノグラムとも言う)を取得し、この投影データをフィルタ補正逆投影法、逐次近似法等の画像再構成法を用いて逆投影して画像を再構成する。
【0003】
上述のX線CT画像再構成方法において、撮影対象物にX線吸収係数が極端に大きい物体領域たとえば金属が存在すると、アーチファクトと呼ばれる放射状ノイズパターンが再構成画像に発生する。このアーチファクトは医療現場、非破壊検査現場等で再構成画像の判別の妨げとなる。
【0004】
たとえば、図15の(A)に示す低X線吸収係数の物体であるアクリル材料層及び高X線吸収係数の物体であるステレンス材料層よりなる撮影対象物102をX線発生器101aよりX線検出器群101bへ向けて発生するX線101cにより投影すると、図15の(B)に示す不連続部分(遷移部分)を有する投影データが得られる。この撮影条件では撮影対象物102が撮影範囲内に入っているので、どの方向からX線101cを照射しても撮影対象物によるトータルX線吸収量は理想的には等しいはずであるが、図15の(C)に示すごとく、トータルX線吸収量はX線発生器101aの回転角に依存する。このような投影データをフィルタ補正逆投影法により逆投影すると、図16に示す再構成画像が得られる。図16においては、撮影対象物102はアクリル材料層102a及びステレンス材料層102bよりなり、撮影対象物102がAである場合、再構成画像Aが得られ、また、撮影対象物102がBである場合、再構成画像Bが得られる。つまり、ステレンス材料層102bを中心として放射状のアーチファクトが激しく発生すると共に、ステレンス材料層102b間のアクリル材料層102aの再構成画像は完全に欠落している。尚、図15の(B)の3−3−3、1−2−3−2−1はステレンス材料層102bの重複度を示す。
【0005】
従来のアーチファクトを低減するX線CT画像再構成方法においては、撮影対象物の周囲を多数の方向からX線により投影して投影データを取得し、この投影データに対してアーチファクト低減する処理を行って投影データの修正投影データを演算し、修正投影データを逆投影して画像を再構成する。この場合、修正投影データ演算は、投影データより高X線吸収係数の物体領域を抽出し、投影データより高X線吸収係数の物体領域を除去した第1の投影データを演算し、この第1の投影データに対して連続的に増大変化するX線吸収係数の物体領域の第2の投影データを演算し、第1の投影データと第2の投影データとの合成により修正投影データを演算する(参照:特許文献1の図2〜図8)。この結果、図17に示す再構成画像A,Bが得られる。尚、図17の撮影対象物は図16の場合と同一である。従って、アーチファクトが大幅に低減し、鮮明な画像が得られる。
【0006】
【特許文献1】特開2006−167161
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の従来のX線CT画像再構成方法においては、高X線吸収係数の物体領域(ステレンス材料層102b)の構造が単純である図17の再構成画像Aのステレンス材料層102bの形状は鮮明であるが、高X線吸収係数の物体領域(ステレンス材料層102b)の構造が複雑である図17の再構成画像Bのステレンス材料層102bの形状は変形してしまうという課題がある。
【0008】
従って、本発明の目的は、アーチファクトを十分に低減できると共に高X線吸収係数の物体領域の再構成画像が正確であるX線CT画像再構成方法及びX線CT画像再構成プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するために本発明は、X線CT画像再構成方法において、撮影対象物の周囲を多数の方向から第1の波長分布のX線により投影して第1の投影データを取得し、また、撮影対象物の周囲を多数の方向から第1の波長分布と異なる第2の波長分布のX線により投影して第2の投影データを取得する。さらに、第1、第2の投影データに対してアーチファクトを低減するために、第1、第2の投影データの所定関数により第1、第2の投影データの修正投影データを演算し、この修正投影データを逆投影演算して画像を再構成する。この場合、所定関数は、撮影対象物の低X線吸収係数の物体領域から得られる第1、第2の投影データに対しては修正投影データはほとんど変化がない、及び撮影対象物の高X線吸収係数の物体領域から得られる第1、第2の投影データに対しては修正投影データは第1、第2の投影データに依存する、を満足する。
【0010】
尚、上述の特許文献1の図9、図10においても、投影エネルギーの異なるX線を用いて第1、第2の投影データを取得し、第1、第2の投影データを合成することにより修正投影データを演算することを開示しているが、この合成は第1、第2の投影データを低X線吸収係数の物体領域及び高X線吸収係数の物体領域に応じて選択することによって行われている点で異なる。
【0011】
また、上述の本発明に係る修正投影データ演算は、再構成画像としきい値との比較により高X線吸収係数の物体領域を抽出し、修正投影データより高X線吸収係数の物体領域を除去した第1の投影データを演算し、第1の投影データに対して連続的に増大変化する前記高X線吸収係数の物体領域の第2の投影データを演算し、第1の投影データと第2の投影データとの合成により修正投影データを再修正する。
【0012】
尚、上述の特許文献1の図2においても、高X線吸収係数の物体領域をしきい値処理によって行っているが、このしきい値処理は投影データとしきい値との比較によって行われている点で異なる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、アーチファクトを十分に低減でき、かつ高X線吸収係数の物体領域の再構成画像を十分に確認できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明においては、メタルアーチファクトが発生する原因として、以下の2つの事象に注目した。
1)物質のX線吸収係数に波長依存性が存在すること、
2)X線発生器(X線管)に加える電圧によって発生するX線の波長スペクトル分布が変化すること。
【0015】
上述の2つの事象をうまく利用することによって、高X線吸収係数の物体領域(たとえば金属)を抽出することが可能となる。そして、低X線吸収係数の物体領域(たとえば樹脂)についても適切なCT画像を出力することが可能となる。以下、本発明の基本原理を図1〜図4を参照して説明する。
【0016】
上述のトータルX線吸収量がX線発生量の回転角に依存する原因は、X線CT装置が用いているX線発生器では、物体の厚みとX線吸収量が図1に示すごとく非線形性を有するためである。つまり、一般に、X線CT装置に用いるX線発生器(X線管)では、タングステンやモリブデンなどの金属ターゲットに電子ビームを衝突させることによってX線を得ている。この場合、X線は種々の波長を含んだ連続X線となっており、かつ、金属ターゲットの種類、X線発生器に加える電圧等を操作することによって異なる波長スペクトルのX線を発生することが可能である。
【0017】
ここでは、X線発生器に加える電圧を変化させることによって異なる波長分布を有するX線を発生する場合について考える。すなわち、低電圧たとえば20kVを加えたX線発生器から発生する低X線の強度及び高電圧たとえば25kVを加えたX線発生器から発生する高X線の強度は、図2の(A)に示すごとく、波長に応じて変化する。尚、図2の(A)においては、両者X線発生器電流は等しく、特性X線は考慮していない。
【0018】
CT装置に内蔵されたシンチレータ型X線検出器は、X線透過量を光子のもつエネルギーを数値として出力するので、得られる情報はX線強度の積分値であり、すなわち図2の(A)における面積である。そこで、上記2種類の面積(エネルギー量)が等しくなるよう調整すると、図2の(B)に示すごとくなる。この調整はX線発生器電流を変更することによって行われる。
【0019】
さて、撮影対象物として樹脂(炭素Cを多く含む)と金属(鉄Feを多く含む)の2種類を仮定する。樹脂はあまりX線を吸収せず、金属はX線を多く吸収するが、いずれの材質についてもX線吸収係数には図3に示すように波長依存性(周波数依存性)が存在する。
【0020】
高X線および低X線が上述の各材質を透過したX線強度は図4の(A)のように示される。
【0021】
ここで、金属および樹脂のそれぞれについて、高X線の透過X線強度と低X線の透過X線強度の差分、すなわち、金属についてはFe吸収の差分、樹脂についてはC吸収の差分を求めると、図4の(B)が得られる。
【0022】
金属および樹脂について、得られる透過X線強度の分布が図4に示すとすると、面積(エネルギー量)を出力するシンチレータ型X線検出器の出力では、差分をとることにより樹脂ではゼロに近い値、金属領域では有意に大きい値が得られることを意味している。
【0023】
図5は本発明に係るX線CT画像再構成装置の最良の形態を示すブロック回路図である。図5において、1はX線発生器1a及び複数のシンチレータ型X線検出器1bよりなるガントリ、2はガントリ1を制御するコンピュータ、3はコンピュータ2により制御されるディスプレイ装置である。
【0024】
図5のコンピュータ2の第1の動作を図6、図7を用いて説明する。
【0025】
図6のステップ601〜603は2つのX線発生による1回目再構成用投影データI1A、I1Bを取得し、これら2つの投影データI1A、I1Bを合成して修正データI1’を演算することによりアーチファクト低減する処理を行うものである。また、図7のステップ701〜709は1回目再構成用投影データI1A、I1Bの修正データI1’を逆投影して1回目再構成画像P1を演算すると共に表示し、さらに、k回目再構成画像Pk(k≧1)をコンピュータ2上で投影して(k+1)回目再構成用投影データIk+1を演算し、この投影データIk+1を逆投影して(k+1)回目再構成画像Pk+1を演算すると共に表示するものである。
【0026】
始めに、ステップ601において、たとえば40kVのX線発生器(X線管)電圧を用いてX線発生器1aを駆動させて第1の波長分布のX線を発生させ、X線検出器1bにより図8に示すような1回目再構成用投影データI1Aを取得する。
【0027】
次に、ステップ602において、たとえば100kVのX線発生器(X線管)電圧を用いてX線発生器1aを駆動させて第2の波長分布のX線を発生させ、X線検出器1bにより図8に示すような1回目再構成用投影データI1Bを取得する。
【0028】
次に、ステップ603において、所定関数を用いて1回目再構成用投影データI1A、I1Bを合成することにより図8に示す修正再構成用投影データI1’を演算する。ここで、所定関数は、1)撮影対象物の低X線吸収係数の物体領域から得られる投影データI1A、I1Bに対しては修正投影データI1’はほとんど変化がない、2)撮影対象物の高X線吸収係数の物体領域から得られる投影データI1A、I1Bに対しては修正投影データI1’は投影データI1A、I1Bに依存する、を満足する。
【0029】
たとえば、
I1’=(m+1)I1B−mI1A (1)
I1’=mI1B−(m−1)I1A (2)
I1’=SQRT{(m+1)I1B2−mI1A2} (3)
I1’=SQRT{mI1B2−(m−1)I1A2} (4)
但し、mは定数たとえば1.5である。
【0030】
そして、図7のステップ701に進む。
【0031】
次に、ステップ701において、ステップ702〜708の演算のために、k及び前回投影データI0を初期化する。つまり、
k ← 1
I0 ← 0
【0032】
次に、ステップ702において、修正再構成用投影データI1’と前回投影データIk−1との差投影データΔIを、
ΔI ← I1’−Ik−1
を演算する。尚、1回目は演算では、Ik−1=I0=0であるので、ΔI=I1’である。
【0033】
次に、ステップ703において、差投影データΔIの絶対値|ΔI|が所定値δ以下か否かを判別する。この結果、|ΔI|>δであればステップ704に進む。他方、|ΔI|≦δであればステップ310に進み、このルーチンは終了する。尚、1回目演算では、|ΔI|=I1’>δであり、ステップ704に進む。尚、ステップ703において、|ΔI|の代わりに、2乗平均誤差を用いてもよい。
【0034】
次に、ステップ704において、差投影データΔIをフィルタ補正逆投影法により逆投影して差画像ΔPを演算する。尚、1回目演算では、ΔI=I1’であるので、修正再構成用投影データI1’を逆投影した画像が得られる。
【0035】
次に、ステップ705において、k回目再構成画像Pkを、
Pk ← Pk−1+ΔP
により演算する。尚、1回目演算では、P1=ΔPである。
【0036】
次に、ステップ706において、k回目再構成画像Pkをディスプレイ装置3に表示する。なお、ステップ706は省略することもできる。
【0037】
次に、ステップ707において、kを+1増大せしめる。
【0038】
次に、ステップ708において、前回値としての画像Pk−1をコンピュータ2上で投影し、前回値としての投影データIk−1を得る。
【0039】
次に、ステップ709において、投影データIk−1のスケール調整を行う。たとえば、投影データIk−1の最大X線吸収係数MAX1、最小X線吸収係数MIN1が修正再構成用投影データI1’の最大X線吸収係数MAX0、最小X線吸収係数MIN0に一致するように投影データIk−1の1次変換を行う。すなわち、Ik−1の各X線吸収係数を、
X線吸収係数←(MAX0−MIN0)
/(MAX1−MIN1)・(X線吸収係数−MIN1)+MIN0
とする。
【0040】
そして、スケール調整された投影データIk−1(k=1,2,…)が修正再構成用投影データI1’に近づくまでステップ702〜709のフローが繰返される。この結果、図9に示すように、再構成画像P2,P3,…が得られ、再構成画像P1に残存したアーチファクトは抑制される。このとき、図10に示すように、誤差としての|ΔI|も減少する。
【0041】
上述の第1の動作によれば、再構成画像P1を演算する前に2つの1回目再構成用投影データI1A、I1Bに対して投影データの不連続部(遷移部)を消滅せしめてアーチファクトを抑制する。また、画像再構成アルゴリズムを繰返してコンピュータ2上の投影データを修正1回目再構成投影データI1’に近づくようにして再構成画像P1に残存したアーチファクトを抑制する。この結果、図11に示す再構成画像A,Bが得られる。尚、図11の撮影対象物は図16の場合と同一である。従って、アーチファクトが大幅に低減し、X線検出器1bによる測定ノイズが増幅されているものの、鮮明な画像が得られる。
【0042】
図5のコンピュータ2の第2の動作を図12を参照して説明する。尚、図12のルーチンは図6のルーチンと図7のルーチンとの間に挿入される。
【0043】
図6のステップ603から、ステップ1201に進み、図13の(A)に示す修正投影データI’をフィルタ補正逆投影法により逆投影して図13の(B)に示す再構成画像P0を演算する。
【0044】
次に、ステップ1202において、再構成画像P0としきい値THとの比較により高X線吸収係数の物体領域つまり図15のステレンス材料層102bを演算する。
【0045】
次に、ステップ1203において、抽出された高X線吸収係数の物体領域画像のX線吸収係数μを任意の大きな値たとえばμ=0.01とし、その他の領域の画像のX線吸収係数μを空気(μ=0.0)とし、コンピュータ2上で投影する。この結果、図13の(C)に示すような投影データI2が得られる。
【0046】
次に、ステップ1204において、投影データI1AもしくはI1Bを用いて高X線吸収係数の物体領域を点線に示すごとく線形補間する。この結果、図13の(D)に示すごとく、投影データI3を演算する。
【0047】
次に、ステップ1205において、修正再構成用投影データI1’を高X線吸収係数の物体領域の投影データI2と高X線吸収係数の物体領域の除去後の投影データI3との合成(I1’=I2+I3)により演算する。これにより、図13の(E)に示すごとく、修正再構成用投影データI1’の再修正データI1’(便宜上、修正データと同一符号を用いる)が得られる。尚、図13の(F)は再構成投影データI1’の全体を示す。
【0048】
そして、図7のステップ701へ進む。
【0049】
上述の第2の動作によれば、測定ノイズが含まれている修正投影データI1’(図13の(A))は再修正された再修正投影データI1’(図13の(E))に変換され、これにより、測定ノイズが減少する。この結果、図14に示す再構成画像A,Bが得られる。尚、撮影対象物は図16の場合と同一である。従って、アーチファクトが大幅に低減し、X線検出器1bによる測定ノイズがない鮮明な画像が得られる。
【0050】
上述の図6、図7、図12のフローチャートは図5のコンピュータ2のプログラムとして記憶媒体に記憶される。たとえば、記憶媒体がROM等の不揮発性メモリであれば予め組込まれ、記憶媒体がRAM等の揮発性メモリであれば必要に応じて書き込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の基本原理を説明するグラフである。
【図2】本発明の基本原理を説明するグラフである。
【図3】本発明の基本原理を説明するグラフである。
【図4】本発明の基本原理を説明するグラフである。
【図5】本発明に係るX線CT画像再構成装置の最良の形態を示すブロック回路図である。
【図6】図1のコンピュータの第1の動作を示すフローチャートである。
【図7】図1のコンピュータの第1の動作を示すフローチャートである。
【図8】図6のフローチャートを補足説明する図である。
【図9】図7のフローチャートを補足説明する図である。
【図10】図7のフローチャートを補足説明するグラフである。
【図11】図6、図7の第1の動作により得られる再構成画像を示す図である。
【図12】図5のコンピュータの第2の動作を示すフローチャートである。
【図13】図12のフローチャートを補足説明する図である。
【図14】図12の第2の動作により得られる再構成画像を示す図である。
【図15】アーチファクトを説明する図である。
【図16】従来の再構成画像を示す図である。
【図17】従来の再構成画像を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1:ガントリ
1a:X線発生器
1b:X線検出器
2:コンピュータ
3:ディスプレイ装置
Ik:k回目再構成用投影データ
Pk:k回目再構成画像
I1’:修正1回目再構成用投影データ、再修正投影データ
【技術分野】
【0001】
本発明はX線CT(Computed Tomography)画像再構成方法及びX線CT画像再構成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、X線CT画像再構成方法においては、撮影対象物の周囲を多数の方向からX線を投影し、X線の透過エネルギーとしての投影データ(シノグラムとも言う)を取得し、この投影データをフィルタ補正逆投影法、逐次近似法等の画像再構成法を用いて逆投影して画像を再構成する。
【0003】
上述のX線CT画像再構成方法において、撮影対象物にX線吸収係数が極端に大きい物体領域たとえば金属が存在すると、アーチファクトと呼ばれる放射状ノイズパターンが再構成画像に発生する。このアーチファクトは医療現場、非破壊検査現場等で再構成画像の判別の妨げとなる。
【0004】
たとえば、図15の(A)に示す低X線吸収係数の物体であるアクリル材料層及び高X線吸収係数の物体であるステレンス材料層よりなる撮影対象物102をX線発生器101aよりX線検出器群101bへ向けて発生するX線101cにより投影すると、図15の(B)に示す不連続部分(遷移部分)を有する投影データが得られる。この撮影条件では撮影対象物102が撮影範囲内に入っているので、どの方向からX線101cを照射しても撮影対象物によるトータルX線吸収量は理想的には等しいはずであるが、図15の(C)に示すごとく、トータルX線吸収量はX線発生器101aの回転角に依存する。このような投影データをフィルタ補正逆投影法により逆投影すると、図16に示す再構成画像が得られる。図16においては、撮影対象物102はアクリル材料層102a及びステレンス材料層102bよりなり、撮影対象物102がAである場合、再構成画像Aが得られ、また、撮影対象物102がBである場合、再構成画像Bが得られる。つまり、ステレンス材料層102bを中心として放射状のアーチファクトが激しく発生すると共に、ステレンス材料層102b間のアクリル材料層102aの再構成画像は完全に欠落している。尚、図15の(B)の3−3−3、1−2−3−2−1はステレンス材料層102bの重複度を示す。
【0005】
従来のアーチファクトを低減するX線CT画像再構成方法においては、撮影対象物の周囲を多数の方向からX線により投影して投影データを取得し、この投影データに対してアーチファクト低減する処理を行って投影データの修正投影データを演算し、修正投影データを逆投影して画像を再構成する。この場合、修正投影データ演算は、投影データより高X線吸収係数の物体領域を抽出し、投影データより高X線吸収係数の物体領域を除去した第1の投影データを演算し、この第1の投影データに対して連続的に増大変化するX線吸収係数の物体領域の第2の投影データを演算し、第1の投影データと第2の投影データとの合成により修正投影データを演算する(参照:特許文献1の図2〜図8)。この結果、図17に示す再構成画像A,Bが得られる。尚、図17の撮影対象物は図16の場合と同一である。従って、アーチファクトが大幅に低減し、鮮明な画像が得られる。
【0006】
【特許文献1】特開2006−167161
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の従来のX線CT画像再構成方法においては、高X線吸収係数の物体領域(ステレンス材料層102b)の構造が単純である図17の再構成画像Aのステレンス材料層102bの形状は鮮明であるが、高X線吸収係数の物体領域(ステレンス材料層102b)の構造が複雑である図17の再構成画像Bのステレンス材料層102bの形状は変形してしまうという課題がある。
【0008】
従って、本発明の目的は、アーチファクトを十分に低減できると共に高X線吸収係数の物体領域の再構成画像が正確であるX線CT画像再構成方法及びX線CT画像再構成プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するために本発明は、X線CT画像再構成方法において、撮影対象物の周囲を多数の方向から第1の波長分布のX線により投影して第1の投影データを取得し、また、撮影対象物の周囲を多数の方向から第1の波長分布と異なる第2の波長分布のX線により投影して第2の投影データを取得する。さらに、第1、第2の投影データに対してアーチファクトを低減するために、第1、第2の投影データの所定関数により第1、第2の投影データの修正投影データを演算し、この修正投影データを逆投影演算して画像を再構成する。この場合、所定関数は、撮影対象物の低X線吸収係数の物体領域から得られる第1、第2の投影データに対しては修正投影データはほとんど変化がない、及び撮影対象物の高X線吸収係数の物体領域から得られる第1、第2の投影データに対しては修正投影データは第1、第2の投影データに依存する、を満足する。
【0010】
尚、上述の特許文献1の図9、図10においても、投影エネルギーの異なるX線を用いて第1、第2の投影データを取得し、第1、第2の投影データを合成することにより修正投影データを演算することを開示しているが、この合成は第1、第2の投影データを低X線吸収係数の物体領域及び高X線吸収係数の物体領域に応じて選択することによって行われている点で異なる。
【0011】
また、上述の本発明に係る修正投影データ演算は、再構成画像としきい値との比較により高X線吸収係数の物体領域を抽出し、修正投影データより高X線吸収係数の物体領域を除去した第1の投影データを演算し、第1の投影データに対して連続的に増大変化する前記高X線吸収係数の物体領域の第2の投影データを演算し、第1の投影データと第2の投影データとの合成により修正投影データを再修正する。
【0012】
尚、上述の特許文献1の図2においても、高X線吸収係数の物体領域をしきい値処理によって行っているが、このしきい値処理は投影データとしきい値との比較によって行われている点で異なる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、アーチファクトを十分に低減でき、かつ高X線吸収係数の物体領域の再構成画像を十分に確認できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明においては、メタルアーチファクトが発生する原因として、以下の2つの事象に注目した。
1)物質のX線吸収係数に波長依存性が存在すること、
2)X線発生器(X線管)に加える電圧によって発生するX線の波長スペクトル分布が変化すること。
【0015】
上述の2つの事象をうまく利用することによって、高X線吸収係数の物体領域(たとえば金属)を抽出することが可能となる。そして、低X線吸収係数の物体領域(たとえば樹脂)についても適切なCT画像を出力することが可能となる。以下、本発明の基本原理を図1〜図4を参照して説明する。
【0016】
上述のトータルX線吸収量がX線発生量の回転角に依存する原因は、X線CT装置が用いているX線発生器では、物体の厚みとX線吸収量が図1に示すごとく非線形性を有するためである。つまり、一般に、X線CT装置に用いるX線発生器(X線管)では、タングステンやモリブデンなどの金属ターゲットに電子ビームを衝突させることによってX線を得ている。この場合、X線は種々の波長を含んだ連続X線となっており、かつ、金属ターゲットの種類、X線発生器に加える電圧等を操作することによって異なる波長スペクトルのX線を発生することが可能である。
【0017】
ここでは、X線発生器に加える電圧を変化させることによって異なる波長分布を有するX線を発生する場合について考える。すなわち、低電圧たとえば20kVを加えたX線発生器から発生する低X線の強度及び高電圧たとえば25kVを加えたX線発生器から発生する高X線の強度は、図2の(A)に示すごとく、波長に応じて変化する。尚、図2の(A)においては、両者X線発生器電流は等しく、特性X線は考慮していない。
【0018】
CT装置に内蔵されたシンチレータ型X線検出器は、X線透過量を光子のもつエネルギーを数値として出力するので、得られる情報はX線強度の積分値であり、すなわち図2の(A)における面積である。そこで、上記2種類の面積(エネルギー量)が等しくなるよう調整すると、図2の(B)に示すごとくなる。この調整はX線発生器電流を変更することによって行われる。
【0019】
さて、撮影対象物として樹脂(炭素Cを多く含む)と金属(鉄Feを多く含む)の2種類を仮定する。樹脂はあまりX線を吸収せず、金属はX線を多く吸収するが、いずれの材質についてもX線吸収係数には図3に示すように波長依存性(周波数依存性)が存在する。
【0020】
高X線および低X線が上述の各材質を透過したX線強度は図4の(A)のように示される。
【0021】
ここで、金属および樹脂のそれぞれについて、高X線の透過X線強度と低X線の透過X線強度の差分、すなわち、金属についてはFe吸収の差分、樹脂についてはC吸収の差分を求めると、図4の(B)が得られる。
【0022】
金属および樹脂について、得られる透過X線強度の分布が図4に示すとすると、面積(エネルギー量)を出力するシンチレータ型X線検出器の出力では、差分をとることにより樹脂ではゼロに近い値、金属領域では有意に大きい値が得られることを意味している。
【0023】
図5は本発明に係るX線CT画像再構成装置の最良の形態を示すブロック回路図である。図5において、1はX線発生器1a及び複数のシンチレータ型X線検出器1bよりなるガントリ、2はガントリ1を制御するコンピュータ、3はコンピュータ2により制御されるディスプレイ装置である。
【0024】
図5のコンピュータ2の第1の動作を図6、図7を用いて説明する。
【0025】
図6のステップ601〜603は2つのX線発生による1回目再構成用投影データI1A、I1Bを取得し、これら2つの投影データI1A、I1Bを合成して修正データI1’を演算することによりアーチファクト低減する処理を行うものである。また、図7のステップ701〜709は1回目再構成用投影データI1A、I1Bの修正データI1’を逆投影して1回目再構成画像P1を演算すると共に表示し、さらに、k回目再構成画像Pk(k≧1)をコンピュータ2上で投影して(k+1)回目再構成用投影データIk+1を演算し、この投影データIk+1を逆投影して(k+1)回目再構成画像Pk+1を演算すると共に表示するものである。
【0026】
始めに、ステップ601において、たとえば40kVのX線発生器(X線管)電圧を用いてX線発生器1aを駆動させて第1の波長分布のX線を発生させ、X線検出器1bにより図8に示すような1回目再構成用投影データI1Aを取得する。
【0027】
次に、ステップ602において、たとえば100kVのX線発生器(X線管)電圧を用いてX線発生器1aを駆動させて第2の波長分布のX線を発生させ、X線検出器1bにより図8に示すような1回目再構成用投影データI1Bを取得する。
【0028】
次に、ステップ603において、所定関数を用いて1回目再構成用投影データI1A、I1Bを合成することにより図8に示す修正再構成用投影データI1’を演算する。ここで、所定関数は、1)撮影対象物の低X線吸収係数の物体領域から得られる投影データI1A、I1Bに対しては修正投影データI1’はほとんど変化がない、2)撮影対象物の高X線吸収係数の物体領域から得られる投影データI1A、I1Bに対しては修正投影データI1’は投影データI1A、I1Bに依存する、を満足する。
【0029】
たとえば、
I1’=(m+1)I1B−mI1A (1)
I1’=mI1B−(m−1)I1A (2)
I1’=SQRT{(m+1)I1B2−mI1A2} (3)
I1’=SQRT{mI1B2−(m−1)I1A2} (4)
但し、mは定数たとえば1.5である。
【0030】
そして、図7のステップ701に進む。
【0031】
次に、ステップ701において、ステップ702〜708の演算のために、k及び前回投影データI0を初期化する。つまり、
k ← 1
I0 ← 0
【0032】
次に、ステップ702において、修正再構成用投影データI1’と前回投影データIk−1との差投影データΔIを、
ΔI ← I1’−Ik−1
を演算する。尚、1回目は演算では、Ik−1=I0=0であるので、ΔI=I1’である。
【0033】
次に、ステップ703において、差投影データΔIの絶対値|ΔI|が所定値δ以下か否かを判別する。この結果、|ΔI|>δであればステップ704に進む。他方、|ΔI|≦δであればステップ310に進み、このルーチンは終了する。尚、1回目演算では、|ΔI|=I1’>δであり、ステップ704に進む。尚、ステップ703において、|ΔI|の代わりに、2乗平均誤差を用いてもよい。
【0034】
次に、ステップ704において、差投影データΔIをフィルタ補正逆投影法により逆投影して差画像ΔPを演算する。尚、1回目演算では、ΔI=I1’であるので、修正再構成用投影データI1’を逆投影した画像が得られる。
【0035】
次に、ステップ705において、k回目再構成画像Pkを、
Pk ← Pk−1+ΔP
により演算する。尚、1回目演算では、P1=ΔPである。
【0036】
次に、ステップ706において、k回目再構成画像Pkをディスプレイ装置3に表示する。なお、ステップ706は省略することもできる。
【0037】
次に、ステップ707において、kを+1増大せしめる。
【0038】
次に、ステップ708において、前回値としての画像Pk−1をコンピュータ2上で投影し、前回値としての投影データIk−1を得る。
【0039】
次に、ステップ709において、投影データIk−1のスケール調整を行う。たとえば、投影データIk−1の最大X線吸収係数MAX1、最小X線吸収係数MIN1が修正再構成用投影データI1’の最大X線吸収係数MAX0、最小X線吸収係数MIN0に一致するように投影データIk−1の1次変換を行う。すなわち、Ik−1の各X線吸収係数を、
X線吸収係数←(MAX0−MIN0)
/(MAX1−MIN1)・(X線吸収係数−MIN1)+MIN0
とする。
【0040】
そして、スケール調整された投影データIk−1(k=1,2,…)が修正再構成用投影データI1’に近づくまでステップ702〜709のフローが繰返される。この結果、図9に示すように、再構成画像P2,P3,…が得られ、再構成画像P1に残存したアーチファクトは抑制される。このとき、図10に示すように、誤差としての|ΔI|も減少する。
【0041】
上述の第1の動作によれば、再構成画像P1を演算する前に2つの1回目再構成用投影データI1A、I1Bに対して投影データの不連続部(遷移部)を消滅せしめてアーチファクトを抑制する。また、画像再構成アルゴリズムを繰返してコンピュータ2上の投影データを修正1回目再構成投影データI1’に近づくようにして再構成画像P1に残存したアーチファクトを抑制する。この結果、図11に示す再構成画像A,Bが得られる。尚、図11の撮影対象物は図16の場合と同一である。従って、アーチファクトが大幅に低減し、X線検出器1bによる測定ノイズが増幅されているものの、鮮明な画像が得られる。
【0042】
図5のコンピュータ2の第2の動作を図12を参照して説明する。尚、図12のルーチンは図6のルーチンと図7のルーチンとの間に挿入される。
【0043】
図6のステップ603から、ステップ1201に進み、図13の(A)に示す修正投影データI’をフィルタ補正逆投影法により逆投影して図13の(B)に示す再構成画像P0を演算する。
【0044】
次に、ステップ1202において、再構成画像P0としきい値THとの比較により高X線吸収係数の物体領域つまり図15のステレンス材料層102bを演算する。
【0045】
次に、ステップ1203において、抽出された高X線吸収係数の物体領域画像のX線吸収係数μを任意の大きな値たとえばμ=0.01とし、その他の領域の画像のX線吸収係数μを空気(μ=0.0)とし、コンピュータ2上で投影する。この結果、図13の(C)に示すような投影データI2が得られる。
【0046】
次に、ステップ1204において、投影データI1AもしくはI1Bを用いて高X線吸収係数の物体領域を点線に示すごとく線形補間する。この結果、図13の(D)に示すごとく、投影データI3を演算する。
【0047】
次に、ステップ1205において、修正再構成用投影データI1’を高X線吸収係数の物体領域の投影データI2と高X線吸収係数の物体領域の除去後の投影データI3との合成(I1’=I2+I3)により演算する。これにより、図13の(E)に示すごとく、修正再構成用投影データI1’の再修正データI1’(便宜上、修正データと同一符号を用いる)が得られる。尚、図13の(F)は再構成投影データI1’の全体を示す。
【0048】
そして、図7のステップ701へ進む。
【0049】
上述の第2の動作によれば、測定ノイズが含まれている修正投影データI1’(図13の(A))は再修正された再修正投影データI1’(図13の(E))に変換され、これにより、測定ノイズが減少する。この結果、図14に示す再構成画像A,Bが得られる。尚、撮影対象物は図16の場合と同一である。従って、アーチファクトが大幅に低減し、X線検出器1bによる測定ノイズがない鮮明な画像が得られる。
【0050】
上述の図6、図7、図12のフローチャートは図5のコンピュータ2のプログラムとして記憶媒体に記憶される。たとえば、記憶媒体がROM等の不揮発性メモリであれば予め組込まれ、記憶媒体がRAM等の揮発性メモリであれば必要に応じて書き込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の基本原理を説明するグラフである。
【図2】本発明の基本原理を説明するグラフである。
【図3】本発明の基本原理を説明するグラフである。
【図4】本発明の基本原理を説明するグラフである。
【図5】本発明に係るX線CT画像再構成装置の最良の形態を示すブロック回路図である。
【図6】図1のコンピュータの第1の動作を示すフローチャートである。
【図7】図1のコンピュータの第1の動作を示すフローチャートである。
【図8】図6のフローチャートを補足説明する図である。
【図9】図7のフローチャートを補足説明する図である。
【図10】図7のフローチャートを補足説明するグラフである。
【図11】図6、図7の第1の動作により得られる再構成画像を示す図である。
【図12】図5のコンピュータの第2の動作を示すフローチャートである。
【図13】図12のフローチャートを補足説明する図である。
【図14】図12の第2の動作により得られる再構成画像を示す図である。
【図15】アーチファクトを説明する図である。
【図16】従来の再構成画像を示す図である。
【図17】従来の再構成画像を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1:ガントリ
1a:X線発生器
1b:X線検出器
2:コンピュータ
3:ディスプレイ装置
Ik:k回目再構成用投影データ
Pk:k回目再構成画像
I1’:修正1回目再構成用投影データ、再修正投影データ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影対象物の周囲を多数の方向から第1の波長分布のX線により投影して第1の投影データ(I1A)を取得する第1の投影データ取得工程と、
前記撮影対象物の周囲を多数の方向から前記第1の波長分布と異なる第2の波長分布のX線により投影して第2の投影データ(I1B)を取得する第2の投影データ取得工程と、
前記第1、第2の投影データに対してアーチファクトを低減するために、前記第1、第2の投影データの所定関数により前記第1、第2の投影データの修正投影データ(I1’)を演算する修正投影データ演算工程と、
該修正投影データを逆投影演算して画像を再構成して再構成画像を得る画像再構成工程と
を具備し、
前記所定関数は、
前記撮影対象物の低X線吸収係数の物体領域から得られる第1、第2の投影データに対しては前記修正投影データはほとんど変化がない、
前記撮影対象物の高X線吸収係数の物体領域から得られる第1、第2の投影データに対しては前記修正投影データは該第1、第2の投影データに依存する、
を満足するX線CT画像再構成方法。
【請求項2】
前記所定関数は、
I1’=(m+1)I1B−mI1A
ただし、I1’は修正投影データ
I1Aは第1の投影データ
I1Bは第2の投影データ
mは定数
である請求項1に記載のX線CT画像再構成方法。
【請求項3】
前記所定関数は、
I1’=mI1B−(m−1)I1A
ただし、I1’は修正投影データ
I1Aは第1の投影データ
I1Bは第2の投影データ
mは定数
である請求項1に記載のX線CT画像再構成方法。
【請求項4】
前記所定関数は、
I1’=SQRT{(m+1)I1B2−mI1A2}
ただし、I1’は修正投影データ
I1Aは第1の投影データ
I1Bは第2の投影データ
mは定数
である請求項1に記載のX線CT画像再構成方法。
【請求項5】
前記所定関数は、
I1’=SQRT{mI1B2−(m−1)I1A2}
ただし、I1’は修正投影データ
I1Aは第1の投影データ
I1Bは第2の投影データ
mは定数
である請求項1に記載のX線CT画像再構成方法。
【請求項6】
さらに、
前記再構成画像(Pk)を前回値画像(Pk−1)として演算により投影して前回値投影データ(Ik−1)を取得する前回値投影データ取得工程と、
前記修正投影データ(I1’)と前記前回値投影データとの差投影データ(ΔI)を演算する差投影データ演算工程と、
該差投影データを逆投影して差画像(ΔP)を演算する差画像演算工程と、
該差画像を前記前回値画像に加算することにより新たな再構成画像(Pk)を取得する再構成画像取得工程と、
前記前回値投影データ取得工程、前記差投影データ演算工程、前記差画像演算工程及び前記再構成画像取得工程を前記差投影データが収束するまで繰返す繰返工程と
を具備する請求項1に記載のX線CT画像再構成方法。
【請求項7】
さらに、前記差投影データ演算前に、前回値投影データのスケールを前記修正投影データのスケールに調整する工程を具備する請求項6に記載のX線CT画像再構成方法。
【請求項8】
前記前回値投影データのスケールの前記修正投影データのスケールへの調整は、前回値投影データの最大値及び最小値が前記修正投影データの最大値及び最小値にそれぞれ一致するように前記前回値投影データを1次変換することにより行う請求項7に記載のX線CT画像再構成方法。
【請求項9】
さらに、
前記再構成画像(P0)としきい値(TH)との比較により高X線吸収係数の物体領域を抽出する高X線吸収係数物体領域抽出工程と、
前記修正投影データより前記高X線吸収係数の物体領域の第3の投影データ(I2)を演算する第3の投影データ演算工程と、
前記第1、第2の投影データの1つより前記高X線吸収係数の物体領域を除去し、補間した第4の投影データ(I3)を演算する第4の投影データ演算工程と、
前記第3の投影データと前記第4の投影データとの合成により前記修正投影データ(I1’)を再修正する工程と
を具備する請求項1に記載のX線CT画像再構成方法。
【請求項10】
前記第3の投影データ演算工程は、
前記高X線吸収係数の物体領域を演算により投影して前記第3の投影データを取得する工程と
を具備する請求項9に記載のX線CT画像再構成方法。
【請求項11】
前記物体領域画像の演算による投影は、該物体領域画像のX線吸収係数を任意の大きさとし、前記物体領域画像以外の画像のX線吸収係数を0として行われる請求項10に記載のX線CT画像再構成方法。
【請求項12】
撮影対象物の周囲を多数の方向から第1の波長分布のX線により投影して第1の投影データ(I1A)を取得する第1の投影データ取得手順と、
前記撮影対象物の周囲を多数の方向から前記第1の波長分布と異なる第2の波長分布のX線により投影して第2の投影データ(I1B)を取得する第2の投影データ取得手順と、
前記第1、第2の投影データに対してアーチファクトを低減するために、前記第1、第2の投影データの所定関数により前記第1、第2の投影データの修正投影データ(I1’)を演算する修正投影データ演算手順と、
該修正投影データを逆投影演算して画像を再構成して再構成画像を得る画像再構成手順と
を実行させ、
前記所定関数は、
前記撮影対象物の低X線吸収係数の物体領域から得られる第1、第2の投影データに対しては前記修正投影データはほとんど変化がない、
前記撮影対象物の高X線吸収係数の物体領域から得られる第1、第2の投影データに対しては前記修正投影データは該第1、第2の投影データに依存する、
を満足するX線CT画像再構成プログラム。
【請求項13】
前記所定関数は、
I1’=(m+1)I1B−mI1A
ただし、I1’は修正投影データ
I1Aは第1の投影データ
I1Bは第2の投影データ
mは定数
である請求項12に記載のX線CT画像再構成プログラム。
【請求項14】
前記所定関数は、
I1’=mI1B−(m−1)I1A
ただし、I1’は修正投影データ
I1Aは第1の投影データ
I1Bは第2の投影データ
mは定数
である請求項12に記載のX線CT画像再構成プログラム。
【請求項15】
前記所定関数は、
I1’=SQRT{(m+1)I1B2−mI1A2}
ただし、I1’は修正投影データ
I1Aは第1の投影データ
I1Bは第2の投影データ
mは定数
である請求項12に記載のX線CT画像再構成プログラム。
【請求項16】
前記所定関数は、
I1’=SQRT{mI1B2−(m−1)I1A2}
ただし、I1’は修正投影データ
I1Aは第1の投影データ
I1Bは第2の投影データ
mは定数
である請求項12に記載のX線CT画像再構成プログラム。
【請求項17】
さらに、
前記再構成画像(Pk)を前回値画像(Pk−1)として演算により投影して前回値投影データ(Ik−1)を取得する前回値投影データ取得手順と、
前記修正投影データ(I1’)と前記前回値投影データとの差投影データ(ΔI)を演算する差投影データ演算手順と、
該差投影データを逆投影して差画像(ΔP)を演算する差画像演算手順と、
該差画像を前記前回値画像に加算することにより新たな再構成画像(Pk)を取得する再構成画像取得手順と、
前記前回値投影データ取得手順、前記差投影データ演算手順、前記差画像演算手順及び前記再構成画像取得手順を前記差投影データが収束するまで繰返す繰返手順と
を実行させるための請求項12に記載のX線CT画像再構成プログラム。
【請求項18】
さらに、前記差投影データ演算前に、前回値投影データのスケールを前記修正投影データのスケールに調整する工程を具備する請求項17に記載のX線CT画像再構成プログラム。
【請求項19】
前記前回値投影データのスケールの前記修正投影データのスケールへの調整は、前回値投影データの最大値及び最小値が前記修正投影データの最大値及び最小値にそれぞれ一致するように前記前回値投影データを1次変換することにより行う請求項18に記載のX線CT画像再構成プログラム。
【請求項20】
さらに、
前記再構成画像(P0)としきい値(TH)との比較により高X線吸収係数の物体領域を抽出する高X線吸収係数物体領域抽出手順と、
前記修正投影データより前記高X線吸収係数の物体領域の第3の投影データ(I2)を演算する第3の投影データ演算手順と、
前記第1、第2の投影データの1つより前記高X線吸収係数の物体領域を除去し、補間した第4の投影データ(I3)を演算する第4の投影データ演算手順と、
前記第3の投影データと前記第4の投影データとの合成により前記修正投影データ(I1’)を再修正する手順と
を実行させるための請求項12に記載のX線CT画像再構成プログラム。
【請求項21】
前記第3の投影データ演算手順は、
前記高X線吸収係数の物体領域を演算により投影して前記第3の投影データを取得する手順と
を具備する請求項20に記載のX線CT画像再構成プログラム。
【請求項22】
前記物体領域画像の演算による投影は、該物体領域画像のX線吸収係数を任意の大きさとし、前記物体領域画像以外の画像のX線吸収係数を0として行われる請求項21に記載のX線CT画像再構成プログラム。
【請求項1】
撮影対象物の周囲を多数の方向から第1の波長分布のX線により投影して第1の投影データ(I1A)を取得する第1の投影データ取得工程と、
前記撮影対象物の周囲を多数の方向から前記第1の波長分布と異なる第2の波長分布のX線により投影して第2の投影データ(I1B)を取得する第2の投影データ取得工程と、
前記第1、第2の投影データに対してアーチファクトを低減するために、前記第1、第2の投影データの所定関数により前記第1、第2の投影データの修正投影データ(I1’)を演算する修正投影データ演算工程と、
該修正投影データを逆投影演算して画像を再構成して再構成画像を得る画像再構成工程と
を具備し、
前記所定関数は、
前記撮影対象物の低X線吸収係数の物体領域から得られる第1、第2の投影データに対しては前記修正投影データはほとんど変化がない、
前記撮影対象物の高X線吸収係数の物体領域から得られる第1、第2の投影データに対しては前記修正投影データは該第1、第2の投影データに依存する、
を満足するX線CT画像再構成方法。
【請求項2】
前記所定関数は、
I1’=(m+1)I1B−mI1A
ただし、I1’は修正投影データ
I1Aは第1の投影データ
I1Bは第2の投影データ
mは定数
である請求項1に記載のX線CT画像再構成方法。
【請求項3】
前記所定関数は、
I1’=mI1B−(m−1)I1A
ただし、I1’は修正投影データ
I1Aは第1の投影データ
I1Bは第2の投影データ
mは定数
である請求項1に記載のX線CT画像再構成方法。
【請求項4】
前記所定関数は、
I1’=SQRT{(m+1)I1B2−mI1A2}
ただし、I1’は修正投影データ
I1Aは第1の投影データ
I1Bは第2の投影データ
mは定数
である請求項1に記載のX線CT画像再構成方法。
【請求項5】
前記所定関数は、
I1’=SQRT{mI1B2−(m−1)I1A2}
ただし、I1’は修正投影データ
I1Aは第1の投影データ
I1Bは第2の投影データ
mは定数
である請求項1に記載のX線CT画像再構成方法。
【請求項6】
さらに、
前記再構成画像(Pk)を前回値画像(Pk−1)として演算により投影して前回値投影データ(Ik−1)を取得する前回値投影データ取得工程と、
前記修正投影データ(I1’)と前記前回値投影データとの差投影データ(ΔI)を演算する差投影データ演算工程と、
該差投影データを逆投影して差画像(ΔP)を演算する差画像演算工程と、
該差画像を前記前回値画像に加算することにより新たな再構成画像(Pk)を取得する再構成画像取得工程と、
前記前回値投影データ取得工程、前記差投影データ演算工程、前記差画像演算工程及び前記再構成画像取得工程を前記差投影データが収束するまで繰返す繰返工程と
を具備する請求項1に記載のX線CT画像再構成方法。
【請求項7】
さらに、前記差投影データ演算前に、前回値投影データのスケールを前記修正投影データのスケールに調整する工程を具備する請求項6に記載のX線CT画像再構成方法。
【請求項8】
前記前回値投影データのスケールの前記修正投影データのスケールへの調整は、前回値投影データの最大値及び最小値が前記修正投影データの最大値及び最小値にそれぞれ一致するように前記前回値投影データを1次変換することにより行う請求項7に記載のX線CT画像再構成方法。
【請求項9】
さらに、
前記再構成画像(P0)としきい値(TH)との比較により高X線吸収係数の物体領域を抽出する高X線吸収係数物体領域抽出工程と、
前記修正投影データより前記高X線吸収係数の物体領域の第3の投影データ(I2)を演算する第3の投影データ演算工程と、
前記第1、第2の投影データの1つより前記高X線吸収係数の物体領域を除去し、補間した第4の投影データ(I3)を演算する第4の投影データ演算工程と、
前記第3の投影データと前記第4の投影データとの合成により前記修正投影データ(I1’)を再修正する工程と
を具備する請求項1に記載のX線CT画像再構成方法。
【請求項10】
前記第3の投影データ演算工程は、
前記高X線吸収係数の物体領域を演算により投影して前記第3の投影データを取得する工程と
を具備する請求項9に記載のX線CT画像再構成方法。
【請求項11】
前記物体領域画像の演算による投影は、該物体領域画像のX線吸収係数を任意の大きさとし、前記物体領域画像以外の画像のX線吸収係数を0として行われる請求項10に記載のX線CT画像再構成方法。
【請求項12】
撮影対象物の周囲を多数の方向から第1の波長分布のX線により投影して第1の投影データ(I1A)を取得する第1の投影データ取得手順と、
前記撮影対象物の周囲を多数の方向から前記第1の波長分布と異なる第2の波長分布のX線により投影して第2の投影データ(I1B)を取得する第2の投影データ取得手順と、
前記第1、第2の投影データに対してアーチファクトを低減するために、前記第1、第2の投影データの所定関数により前記第1、第2の投影データの修正投影データ(I1’)を演算する修正投影データ演算手順と、
該修正投影データを逆投影演算して画像を再構成して再構成画像を得る画像再構成手順と
を実行させ、
前記所定関数は、
前記撮影対象物の低X線吸収係数の物体領域から得られる第1、第2の投影データに対しては前記修正投影データはほとんど変化がない、
前記撮影対象物の高X線吸収係数の物体領域から得られる第1、第2の投影データに対しては前記修正投影データは該第1、第2の投影データに依存する、
を満足するX線CT画像再構成プログラム。
【請求項13】
前記所定関数は、
I1’=(m+1)I1B−mI1A
ただし、I1’は修正投影データ
I1Aは第1の投影データ
I1Bは第2の投影データ
mは定数
である請求項12に記載のX線CT画像再構成プログラム。
【請求項14】
前記所定関数は、
I1’=mI1B−(m−1)I1A
ただし、I1’は修正投影データ
I1Aは第1の投影データ
I1Bは第2の投影データ
mは定数
である請求項12に記載のX線CT画像再構成プログラム。
【請求項15】
前記所定関数は、
I1’=SQRT{(m+1)I1B2−mI1A2}
ただし、I1’は修正投影データ
I1Aは第1の投影データ
I1Bは第2の投影データ
mは定数
である請求項12に記載のX線CT画像再構成プログラム。
【請求項16】
前記所定関数は、
I1’=SQRT{mI1B2−(m−1)I1A2}
ただし、I1’は修正投影データ
I1Aは第1の投影データ
I1Bは第2の投影データ
mは定数
である請求項12に記載のX線CT画像再構成プログラム。
【請求項17】
さらに、
前記再構成画像(Pk)を前回値画像(Pk−1)として演算により投影して前回値投影データ(Ik−1)を取得する前回値投影データ取得手順と、
前記修正投影データ(I1’)と前記前回値投影データとの差投影データ(ΔI)を演算する差投影データ演算手順と、
該差投影データを逆投影して差画像(ΔP)を演算する差画像演算手順と、
該差画像を前記前回値画像に加算することにより新たな再構成画像(Pk)を取得する再構成画像取得手順と、
前記前回値投影データ取得手順、前記差投影データ演算手順、前記差画像演算手順及び前記再構成画像取得手順を前記差投影データが収束するまで繰返す繰返手順と
を実行させるための請求項12に記載のX線CT画像再構成プログラム。
【請求項18】
さらに、前記差投影データ演算前に、前回値投影データのスケールを前記修正投影データのスケールに調整する工程を具備する請求項17に記載のX線CT画像再構成プログラム。
【請求項19】
前記前回値投影データのスケールの前記修正投影データのスケールへの調整は、前回値投影データの最大値及び最小値が前記修正投影データの最大値及び最小値にそれぞれ一致するように前記前回値投影データを1次変換することにより行う請求項18に記載のX線CT画像再構成プログラム。
【請求項20】
さらに、
前記再構成画像(P0)としきい値(TH)との比較により高X線吸収係数の物体領域を抽出する高X線吸収係数物体領域抽出手順と、
前記修正投影データより前記高X線吸収係数の物体領域の第3の投影データ(I2)を演算する第3の投影データ演算手順と、
前記第1、第2の投影データの1つより前記高X線吸収係数の物体領域を除去し、補間した第4の投影データ(I3)を演算する第4の投影データ演算手順と、
前記第3の投影データと前記第4の投影データとの合成により前記修正投影データ(I1’)を再修正する手順と
を実行させるための請求項12に記載のX線CT画像再構成プログラム。
【請求項21】
前記第3の投影データ演算手順は、
前記高X線吸収係数の物体領域を演算により投影して前記第3の投影データを取得する手順と
を具備する請求項20に記載のX線CT画像再構成プログラム。
【請求項22】
前記物体領域画像の演算による投影は、該物体領域画像のX線吸収係数を任意の大きさとし、前記物体領域画像以外の画像のX線吸収係数を0として行われる請求項21に記載のX線CT画像再構成プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
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【図5】
【図6】
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【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−125874(P2008−125874A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−315412(P2006−315412)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】
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