Zアラインメント装置と眼科装置
【課題】Z方向の粗アライメントを迅速に行えるZアラインメント装置と眼科装置を提供する。
【解決手段】被検眼に対して前後及び上下に移動可能な且つ被検眼の検査または測定を行う検眼部と、この検眼部に設けられ前記被検眼の前眼部を照明する照明光源とを備えた眼科装置において、前記検眼部に設けられ前記前眼部を撮像する撮像装置と、この撮像装置で撮像した前眼部像に映り込んだ前記照明光源像の輝度を求める輝度検出手段とを備え、この輝度検出手段が検出した輝度に基づいてZ方向の粗アライメントを行うZアライメント検出装置であって、
前記検眼部がZ方向のアライメント完了位置から被検眼の角膜までの区間内に位置している場合、前記撮像装置が撮像した光源像の輝度が所定の一定値となるように設定した。
【解決手段】被検眼に対して前後及び上下に移動可能な且つ被検眼の検査または測定を行う検眼部と、この検眼部に設けられ前記被検眼の前眼部を照明する照明光源とを備えた眼科装置において、前記検眼部に設けられ前記前眼部を撮像する撮像装置と、この撮像装置で撮像した前眼部像に映り込んだ前記照明光源像の輝度を求める輝度検出手段とを備え、この輝度検出手段が検出した輝度に基づいてZ方向の粗アライメントを行うZアライメント検出装置であって、
前記検眼部がZ方向のアライメント完了位置から被検眼の角膜までの区間内に位置している場合、前記撮像装置が撮像した光源像の輝度が所定の一定値となるように設定した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被検眼の例えば眼屈折力などを測定する検眼部のZ方向の粗アライメントを行うZアライメント装置と、このZアライメント装置を搭載した眼科装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動的にアライメントを行い、この後に被検眼の眼屈折力を測定する眼科装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
かかる眼科装置は、ベースに対して上下、前後、左右に移動可能に設けた検眼部に、眼屈折力を測定する測定部と、被検眼に対する測定部のアライメントを検出するアライメント検出手段などとを設けている。
【0004】
また、この眼科装置は、手動でXY方向やZ方向の粗アライメントを行い、指標像がTVモニタ上に表れると、XY方向の自動アライメントが行われる。
【0005】
近年、オートアライメント領域から外れた領域で、Z方向の粗アライメントを自動で行うことが提案されており、この場合、停止位置にある検眼部から撮像した前眼部像に映り込んだ照明光源像と、この停止位置から例えば5mmほど前方または後方へ移動させて前眼部を撮像し、この撮像した前眼部像に映り込んだ照明光源像との輝度を比較して、アライメント方向が前方なのか後方なのかを判断し、この判断した方向へ検眼部を移動させることによりZ方向の粗アライメントを行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3676055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、検眼部の移動方向を判断するのに、停止位置から撮像した後、検眼部を5mmほど前方または後方へ移動させ、この後前眼部像を撮像して前眼部像を取り込まなければならず、このため、Z方向の粗アライメントを迅速に行えないという問題がある。
【0008】
この発明の目的は、Z方向の粗アライメントを迅速に行えるZアラインメント装置と眼科装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、被検眼に対して前後及び上下に移動可能な且つ被検眼の検査または測定を行う検眼部に設けられた、前記被検眼の前眼部を照明する照明光源と、前記前眼部を撮像する撮像装置と、この撮像装置で撮像した前眼部像に映り込んだ前記照明光源像の輝度を求める輝度検出手段とを備え、この輝度検出手段が検出した輝度に基づいて前記検眼部の前後方向の粗アライメントを行うZアライメント検出装置であって、
前記検眼部が前後方向のアライメント完了位置から被検眼の角膜までの区間内に位置している場合、前記撮像装置が撮像した光源像の輝度が所定の一定値となるように設定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、Z方向の粗アライメントを迅速に行える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明に係る眼科装置の外観図を示すものであり、(a)はモニタ部の表示画面が検者の側に向けられている場合を示す側面図であり、(b)は(a)の背面図である。
【図2】(a)はモニタ部の表示画面が被検者の側に向けられている場合を示す側面図であり、(b)は(a)の正面図である。
【図3】(a)はモニタ部の表示画面を右側面に向けた側面図であり、(b)は(a)の背面図である。
【図4】(a)はモニタ部の表示画面を左側面に向けて傾斜させた側面図であり、(b)は(a)の背面図である。
【図5】眼科装置の光学系の配置を示した光学配置図である。
【図6】眼科装置の制御系の構成を示したブロック図である。
【図7】モニタ部の画面に前眼部像が表示された例を示した説明図である。
【図8】照明光源像61a′,61a′の輝度と検眼部の位置との関係を示したグラフである。
【図9】第2実施例の眼科装置の光学系の配置を示した平面図である。
【図10】図9に示す光学系の配置を示した側面図である。
【図11】第2実施例の眼科装置の制御系の構成を示したブロック図である。
【図12】表示部に表示される前眼部像と輝点像と照明光源像とを示した説明図である。
【図13】XY方向のアライメントが完了した場合の前眼部像と輝点像と照明光源像とを示した説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明に係るZアライメント検出装置を搭載した眼科装置の実施の形態である一実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0013】
[第1実施例]
図1ないし図4において、1は眼科装置である。この眼科装置1は、ベース部2と検眼部3と、顎受け部4とから概略構成されている。その顎受け部4にはこれと一体に額当て5が設けられている。
【0014】
被検者は、顎受け部4に顎を置き、額当て5に額を当てた状態で検査を受ける。
【0015】
検眼部3の内部には、図1(a)、図2(a)等に破線で示すように測定部6が設けられており、この測定部6は公知の観察・撮影用の観察光学系や屈折力などを測定する測定光学系(光学系)が設けられている。この測定部6により、被検者の前眼部、被検眼の角膜、眼底等が観察・撮影可能であり、眼底の検査なども行なえるようになっている。
【0016】
検眼部3の被検者に対面する側には、図1(b)等に示すように、前眼部照明用の光源61が輪環状に配置されている。この光源61は、角膜形状を測定する測定光源としても用いられる。
【0017】
ベース部2には、図1(a)、図2(a)等に破線で示すように検眼部3を駆動する公知の駆動機構・駆動回路8が設けられている。
【0018】
駆動機構・駆動回路8の駆動部には、例えば、図示を略すパルスモータが用いられる。
【0019】
検眼部3は、後述するモニタ部を操作することにより、被検眼に対して上下左右前後方向に駆動される。その検眼部3の頂部9には、図1ないし図4に示すように、液晶のモニタ部(表示手段、液晶ディスプレイ)10が設けられる。
【0020】
このモニタ部10は、図1ないし図4に示すように、所望の位置へ自由に移動させることができるようになっている。また、モニタ部10の画面HにはタッチパネルTC(図6参照)が装着されており、タッチパネルTCをタッチすることにより各種の操作が行えるようになっている。
[測定部]
測定部6の光学系の一例を図6に示す。この光学系は図示を略すケース内にコンパクトにまとめて配置されている。
【0021】
図5において、41は被検眼Eを固視・雲霧させるために視標を眼底Erに投影する固視標投影光学系、42は被検眼Eの前眼部Efを観察する観察光学系、43は照準スケールをCCD(撮像装置)44に投影するスケール投影光学系、45は被検眼Eの屈折力を測定するためのパターン光束を眼底Erに投影するパターン光束投影光学系(測定光学系)、46は眼底Erから反射された光束をCCD44に受光させる受光光学系(測定光学系)、47は光軸と垂直な方向のアライメント状態を検出するための指標光を被検眼に向けて投影するアライメント光投影系、48は被検眼Eと装置本体(検眼部3)との間の作動距離を検出するための作動距離検出光学系、49は信号処理部である。なお、パターン光束投影光学系45と受光光学系46は測定部6の光学系を構成している。
【0022】
固視標投影光学系41は、光源51、コリメータレンズ52、指標板53、リレーレンズ54、ミラー55、リレーレンズ56、ダイクロイックミラー57、ダイクロイックミラー58、対物レンズ59を備えている。
【0023】
光源51から出射された可視光は、コリメータレンズ52によって平行光束とされた後、指標板53を透過する。指標板53には、被検眼Eを固視・雲霧させるためのターゲットが設けられている。そのターゲット光束は、リレーレンズ54を透過してミラー55により反射され、リレーレンズ56を経てダイクロイックミラー57に導かれかつこのミラー55により反射されて光学系の主光軸O1に導かれ、ダイクロイックミラー58を透過した後、対物レンズ59を経て被検眼Eに導かれる。
【0024】
光源51、コリメータレンズ52、指標板53は、指標ユニットU10を構成し、指標ユニットU10は、被検眼Eを固視・雲霧させるために、駆動モータPM1(図6参照)によって、固視標投影光学系41の光軸O2に沿って一体に移動可能とされている。
【0025】
観察光学系42は、照明光源61、対物レンズ59、ダイクロイックミラー58、絞り61’を有するリレーレンズ62、ミラー63、リレーレンズ64、ダイクロイックミラー65、結像レンズ66、CCD44を有する。
【0026】
照明光源61から出射された照明光束は、被検眼Eの前眼部Efを照明する。前眼部Efで反射された照明光束は、対物レンズ59を経てダイクロイックミラー58に反射され、リレーレンズ62の絞り61’を通過し、ミラー63により反射された後、リレーレンズ64、ダイクロイックミラー65を透過して、結像レンズ66によりCCD44に導かれ、CCD44の撮像面に後述する前眼部像が形成される。
【0027】
スケール投影光学系43は、光源71、照準スケールを有するコリメータレンズ72、リレーレンズ73、ダイクロイックミラー58、絞り61’を有するリレーレンズ62、ミラー63、リレーレンズ64、ダイクロイックミラー65、結像レンズ66、CCD44を有する。
【0028】
光源71から出射された光束は、コリメータレンズ72を透過する際に平行光束とされ、リレーレンズ73、ダイクロイックミラー58、絞り61’を有するリレーレンズ62を経てミラー63により反射され、リレーレンズ64、ダイクロイックミラー65を経て結像レンズ66によってCCD44に結像される。CCD44からの映像信号は、信号処理部49を介してモニタ部10に入力され、モニタ部10に前眼部像Ef’が表示されると共にアライメントマークALM1、ALM2が表示される。なお、アライメント完了後の屈折力測定時には、光源61、71は消灯される。
【0029】
アライメントマークALM1はアライメント完了領域(測定可能エリア)の範囲を示すものであり、アライメントマークALM2は粗アライメントの領域範囲を示すものである。
【0030】
パターン光束投影光学系45は、光源81、コリメータレンズ82、円錐プリズム83、リング指標板84、リレーレンズ85、ミラー86、リレーレンズ87、穴空きプリズム88、ダイクロイックミラー57、ダイクロイックミラー58、対物レンズ59を備えている。
【0031】
光源81とリング指標板84とは光学的に共役であり、リング指標板84と被検眼Eの瞳孔EPとは光学的に共役な位置に配置されている。また、光源81、コリメータレンズ82、円錐プリズム83、リング指標板84は、指標ユニットU40を構成し、この指標ユニットU40は、駆動モータPM2(図6参照)により光軸O3に沿って進退駆動される。
【0032】
光源81から出射された光束は、コリメータレンズ82によって平行光束とされ、円錐プリズム83を透過してリング指標板84に導かれる。このリング指標板84に形成されたリング状のパターン部分を透過してパターン光束となる。このパターン光束は、リレーレンズ85を透過した後、ミラー86により反射され、リレーレンズ87を透過して穴空きプリズム88の反射面によって反射され、主光軸Olに沿つてダイクロイックミラー57に導かれ、このダイクロイックミラー57、58を透過した後、対物レンズ59により眼底Erに結像される。
【0033】
受光光学系46は、対物レンズ59、ダイクロイックミラー58、57、穴空きプリズム88の穴部88a、リレーレンズ91、ミラー92、リレーレンズ93、ミラー94、合焦レンズ95、ミラー96、ダイクロイックミラー65、結像レンズ66、CCD44を有する。合焦レンズ95は、指標ユニットU40と連動して、光軸O4に沿って移動可能とされている。
【0034】
パターン光束投影光学系45によつて眼底Erに導かれかつこの眼底Erで反射された反射光束は、対物レンズ59により集光され、ダイクロイックミラー58、57を透過し、穴空きプリズム88の穴部88aへと導かれ、この穴部88aを通過する。この穴部88aを通過したパターン反射光束は、リレーレンズ91を透過してミラー92によって反射され、リレーレンズ93を透過してミラー94により反射され、合焦レンズ95を透過してミラー96、ダイクロイックミラー65により反射され、結像レンズ66によってCCD44に導かれる。これにより、CCD44にパターン像が結像される。
【0035】
アライメント光投影系47は、LED101、ピンホール102、コリメートレンズ103、ハーフミラー104を備え、被検眼Eの角膜Cに向けてアライメント指標光束を投影するアライメント手段としての機能を有する。被検眼Eに向けて平行光として投影されたアライメント指標光束は、被検眼Eの角膜Cにおいて反射され、観察光学系42によりCCD44上にアライメント指標像(輝点像)Tが投影される。アライメント指標像TがアライメントマークALM1内に位置すると(図5参照)、アライメント完了と判断される。
【0036】
作動距離検出光学系48は、被検眼Eと装置本体(検眼部3)との間の作動距離を検出するアライメント手段としての機能を有する。この作動距離検出光学系48は、有限距離から指標を投影する有限距離指標投影系102R、102Lをそれぞれ主光軸O1に関して左右対称に有する。有限距離から指標を投影する有限距離指標投影系102R、102Lは光源102aからの光束を指標光束として被検眼Eに左右の斜めから投影する。
【0037】
これらの2つの有限距離指標投影系102R、102Lからの指標光束は、検眼部3がオートアライメント領域内に入っている場合、被検眼Eの角膜Cで反射されて、観察光学系42によりCCD44上に結像される。信号処理部49は、このCCD44からの出力に基づいて、有限距離指標投影系102R、102Lからの指標光束による指標像102R’、102L’がモニタ部10に表示される(図5参照)。なお、CCD44上には指標像102R’、102L’と同じ指標像が結像されている。これらの指標像がCCD44上で一定の位置関係になった場合、作動距離が測定に適した距離Woになったとして検出される。
[信号処理部]
信号処理部49は、図6に示すように、演算制御回路(輝度検出手段、制御手段)110、A/D変換器112、フレームメモリ113、D/A変換器114、D/A変換器115とを有している。
【0038】
この演算制御回路110は、CPU、ROM、RAM、入出力回路、コントロール回路等(図示せず)を有すると共に、各パルスモータを駆動制御する駆動制御手段と眼特性を演算する演算手段とを兼用し、演算結果等はRAMに記憶される。
【0039】
演算制御回路110は、駆動モータPM1、PM2を駆動制御すると共に、駆動モータ(移動手段)30、23、27を駆動制御する。これにより、装置本体(検眼部3)がX、Y、Z方向に駆動される。また、演算制御回路110は、各種光源51、61、71、81、102a、LED101の点灯制御を行うため、図示を略すドライバに接続されている。なお、駆動モータ23が検眼部3を上下に移動させ、駆動モータ27が検眼ヘッドを前後に移動させ、駆動モータ30が検眼部3を左右に移動させる。
【0040】
演算制御回路110は、CCD44に受光されたアライメント指標像T(輝点像)、指標像102R’、102L’の受光位置を演算し、この演算結果に基づき、アライメント目標位置までの距離や方向を求めるものである。
【0041】
また、 演算制御回路110は、検眼部3がアライメント領域外にあるとき、図7に示す照明光源像61a′,61a′の輝度を求める輝度検出手段の機能を有するとともに、この輝度が予め設定された閾値Kより大きいか小さいかを求めて、検眼部3を前方または後方へ移動させる。そして、照明光源61とCCD44と信号処理部49とでZ方向の粗アライメントを検出するアライメント検出装置が構成される。
【0042】
ところで、照明光源像61a′,61a′の輝度は、図8に示すように、アライメント完了位置(Zアライメント完了位置)と、被検眼の角膜位置までの区間内に検眼部3が位置しているとき、最大あるいは所定の値で一定となるように、このアライメント完了位置から検眼部3を後方へ移動させたときその輝度が最大または所定の値から減少するように、照明光源61の明るさやCCD44のゲインを設定する。この設定は、顎受け部4に標準となる模型眼を設置して行う。
[動 作]
次に、上記のように構成される眼科装置1の動作について説明する。
【0043】
先ず、図示しない電源をオンにし、顎受け部4に被検者(患者)の顎を載せ、図示しない操作部を操作して観察光学系42の照明光源61を点灯させるとともに、固視標投影光学系41の光源51を点灯させる。照明光源61の点灯により被検眼Eの前眼部Efが照明される。
【0044】
前眼部Efの照明により、観察光学系42のCCD44の撮像面上に前眼部像が結像され、フレームメモリ113に前眼部像が記憶され、モニタ部10の画面に前眼部像Ef′が表示される。
【0045】
アライメント光投影系47のLED101が点灯されて、ピンホール102、コリメートレンズ103、ハーフミラー104を介して被検眼Eの角膜Cに向けて平行光束のアライメント指標光束が投影される。被検眼Eに投影されたアライメント指標光束は、被検眼Eの角膜Cにおいて反射され、観察光学系42によりCCD44上にアライメント指標像(輝点像)Tが投影される。この輝点像T(この輝点像Tは通常アライメントマークALM2の外側にある)が前眼部像Ef′とともに図5に示すように表示される。
【0046】
検者は、輝点像TがアライメントマークALM2内に入るようにモニタ部10のタッチパネルTCを操作して、検眼部3を上下左右に移動させる。輝点像TがアライメントマークALM2内に入ると、オートアライメントが実行されてアライメント指標像Tが図5に示すようにアライメントマークALM1内に位置され、XY方向の精密なアライメントが完了される。
【0047】
また、モニタ部10の画面Hには、図7に示すように、眼部像Ef′と照明光源61による照明光源像61a′,61a′が表示されている。
【0048】
XYアライメントが完了されると、信号処理部49の演算制御回路110は、フレームメモリ113の前眼部像Ef′から照明光源像61a′,61a′を抽出し、この抽出した光源像61a′,61a′の輝度を求め、この輝度が図8に示す予め設定した閾値K以上かどうかを判断する。
【0049】
閾値Kは、アライメント完了位置から5.00mm以上、検眼部3が後方へ離れた場合、角膜の曲率が異なっていても閾値以下となるように、且つ、検眼部3が−10mm〜−5mmの範囲に位置している場合、角膜の曲率が異なっていても閾値以上となるように設定する。なお、−5mm〜5mmの範囲では、CCD44上に結像される指標像102R’、102L’によってZ方向のアライメントが可能となっている。
【0050】
したがって、検眼部3がどの位置に位置しても移動方向を即座に求めることができることになる。
【0051】
演算制御回路110は、照明光源像61a′,61a′の輝度が閾値Kより小さいとき、検眼部3はアライメント完了位置より後方に位置しているので、駆動モータ27を制御して検眼部3を前方へ移動させてZ方向の粗アライメントを行う。逆に照明光源像61a′,61a′の輝度が閾値K以上のとき、検眼部3はアライメント完了位置より前方に位置しているので、駆動モータ27を制御して検眼部3を後方へ移動させてZ方向の粗アライメントを行う。
【0052】
この検眼部3のZ方向の粗アライメントにより、オートアライメント領域に入ると、図5に示すように、光源102aの点灯により、モニタ部10の画面に指標像102R’、102L′が表示される。
【0053】
演算制御回路110は、指標像102R’、102L’がCCD44上で一定の位置関係になるように、駆動モータ27を制御し、検眼部3を前後へ微小移動させて、Z方向の精密アライメントを行う。精密アライメントが完了すると、被検眼Eの屈折力などの測定が実行される。
【0054】
このように、照明光源61による照明光源像61a′,61a′の輝度に基づいて検眼部3の移動方向を求めて検眼部3を前方または後方へ移動させるものであるから、Z方向の粗アライメントを迅速に行える。
【0055】
ところで、角膜の曲率によって照明光源像61a′,61a′の焦点が合う位置が異なり、角膜の曲率がR5とR10とで焦点距離差は2.6mmとなり、図8に示すように、角膜の曲率がR5とR10とで輝度が最大となる位置が異なるが、閾値Kを上記のように設定することで不具合は生じない。
[第2実施例]
図9及び図10は第2実施例の眼科装置150を示す。この眼科装置150は眼圧計であり、この眼圧計150の測定光学系200は、図9及び図10に示すように、前眼部観察光学系210と、XYアライメント視標投影光学系220と、固視標投影光学系230と、XYアライメント検出光学系240と、角膜変形検出光学系250と、スリット投影光学系260と、Zアライメント受光光学系270と、Zアライメント投影光学系280とを有している。
【0056】
前眼部観察光学系210は、図9に示すように、検眼部3(図1参照)の前面に設けた前眼部照明光源211と、前眼部窓ガラス213と、気流吹付ノズル212と、チャンバガラス214と、ハーフミラー215と、対物レンズ216と、ハーフミラー217,218と、CCDなどのイメージセンサ(受光手段)219とを有している。気流吹付ノズル212はエア噴出装置310(図11参照)によって圧縮された空気を被検眼Eに向けて吹き付ける。
【0057】
XYアライメント視標投影光学系220は、図10に示すように、赤外光を射出するアライメント光源221と、集光レンズ222と、開口絞り223と、ピンホール板224と、ダイクロイックミラー225と、投影レンズ226と、ハーフミラー215と、チャンバガラス214と、気流吹付ノズル212とを有している。ダイクロイックミラー225は赤外光を反射させ、可視光を透過させる。
【0058】
固視標投影光学系230は、固視標光源(報知手段)231と、ピンホール板232と、ダイクロイックミラー225と、投影レンズ226と、ハーフミラー215と、チャンバガラス214と、気流吹付ノズル212とを有している。
【0059】
XYアライメント検出光学系240は、気流吹付ノズル212と、チャンバガラス214と、ハーフミラー215と、対物レンズ216と、ハーフミラー217,218と、受光センサ241とを有している。受光センサ(エリアセンサ)241は結像点の位置検出が可能なポジションセンサなどで構成される。
【0060】
角膜変形検出光学系250は、気流吹付ノズル212と、チャンバガラス214と、ハーフミラー215と、対物レンズ216と、ハーフミラー217と、ピンホール板251と、受光センサ252とを有している。
【0061】
スリット投影光学系260は、図9に示すように赤外光を射出するスリット光源261と、集光レンズ262と、スリット263と、矩形開口絞り264と、ハーフミラー285と、投影レンズ265とを有している。
【0062】
Zアライメント受光光学系270は、結像レンズ271と、ラインセンサ272とを有している。
【0063】
Zアライメント投影光学系280は、赤外光を射出するアライメント光源281と、集光レンズ282と、開口絞り283と、ピンホール板284と、ハーフミラー285と、投影レンズ265とを有している。
[制御系]
図11は眼科装置1の制御系の構成を示したブロック図であり、219は前眼部像が結像されるイメージセンサ(撮像装置)であり、このイメージセンサ上に結像された前眼部像はモニタ部10に表示される。400は検眼部3のX方向(被検眼Eに対して左右方向)へ移動させるパルスモータであるXモータ(移動手段)、401は検眼部3をY方向(被検眼Eに対して上下方向)へ移動させるパルスモータであるYモータ(移動手段)、402は検眼部3をZ方向(被検眼Eに対して前後方向)へ移動させるパルスモータであるZモータ(移動手段)である。
【0064】
304はタッチパネル302の操作に基づいて各種の測定モードの設定や各光源211,221,231,261,281の点灯を制御したり、エア噴出装置310の駆動を制御したりする演算制御装置(制御手段)である。演算制御装置304は、エア噴出装置310によって噴出されるエアパルスの圧力と受光センサ252の受光量等に基づいて眼圧を求めたりする。
【0065】
また、演算制御装置304は、検眼部3がアライメント領域外にあるとき、図12に示す照明光源像211a,211aの輝度を求める輝度検出手段304Aの機能を有するとともに、この輝度が予め設定された閾値Kより大きいか小さいかを求めて、検眼部3を前方または後方へ移動させる。そして、前眼部照明光源211,211とイメージセンサ219と演算制御装置304とでZ方向の粗アライメントを検出するアライメント検出装置が構成される。
[動 作]
次に、上記のように構成される眼科装置150の動作を説明する。
【0066】
先ず、図示しない電源スイッチを投入する。この電源スイッチの投入により前眼部照明光源211が点灯し、被検眼Eの前眼部が照明される。
【0067】
前眼部照明光源211によって照明された被検眼Eの前眼部像は、気流吹付ノズル212の内外を通り、前眼部窓ガラス213、チャンバガラス214、ハーフミラー215を透過し、対物レンズ216により集束されつつハーフミラー217,218を透過してイメージセンサ219上に形成される。そして、モニタ部10に図12に示すように前眼部像Efaと、前眼部照明光源211による照明光源像211a,211aとが表示される。
【0068】
一方、XYアライメント視標投影光学系220のアライメント光源221や固視標投影光学系230の固視標光源231が点灯され、この固視標光源231の光がピンホール板232、ダイクロイックミラー225、投影レンズ226、ハーフミラー215、チャンバガラス214、ノズル212内を通って被検眼Eの眼底Erに投影され、被検眼Eが固視される。
【0069】
アライメント光源221の点灯により、アライメント光源221から射出された赤外光は、集光レンズ222により集束されつつ開口絞り223を通過し、ピンホール板224に導かれる。そして、ピンホール板224を通過した光束は、ダイクロイックミラー225で反射され、投影レンズ226によって平行光束となってハーフミラー215で反射された後に、チャンバガラス214を透過して気流吹付ノズル212の内部を通過し、XYアライメント指標光を形成して角膜Ecに投影する。
【0070】
このXYアライメント指標光は角膜Ecの表面で反射され、この反射光束は、ノズル212の内部を通りチャンバガラス214、ハーフミラー215を透過し、対物レンズ216により集束されつつハーフミラー217でその一部が透過し、ハーフミラー218でその一部が反射される。ハーフミラー218で反射された光束は、受光センサ241上に輝点像T1を形成する。
【0071】
また、ハーフミラー218を透過した反射光束はイメージセンサ219の受光面に輝点像T2を形成する。この輝点像T2により、図12に示すようにモニタ部10に前眼部像Ef上に輝点像Tが表示される。
【0072】
検者は、モニタ部10に表示される瞳孔像Eaの中心部へ輝点像Tが移動するように、モニタ部10のタッチパネルのタッチ部(図示せず)をタッチ操作する。この操作により、演算制御装置304がX,Yモータ400,401を駆動し、検眼部3が左右上下に移動する。
【0073】
これら移動により、粗アライメント領域(図示せず)に輝点像Tが入ると、オートアライメントが実行されて精密なXYアライメントが行われる。
【0074】
この精密なXYアライメントは、受光センサ241上の輝点像T1の位置に基づいて演算制御装置304がX,Yモータ400,401を駆動して行われる。
【0075】
XYアライメントが完了すると、図13に示す照明光源像211a,211aが演算制御装置304によって抽出され、この抽出された照明光源像211a,211aの輝度が演算制御装置304によって求められる。
【0076】
演算制御装置304は、この求めた輝度が図8に示す予め設定した閾値K以上かどうかを判断し、輝度が閾値Kより小さいとき、Zモータ402を制御して検眼部3を前方へ移動させ、その輝度が閾値Kより大きいときZモータ402を制御して検眼部3を後方へ移動させる。
【0077】
この検眼部3の前方あるいは後方への移動により、Z方向のオートアライメント領域に入ると、Zアライメント投影光学系280のアライメント光源281が点灯される。
【0078】
この点灯により、アライメント光源281から赤外光が射出され、この赤外光が集光レンズ282に集光されて開口絞り283に到達する。開口絞り283を通過した赤外光の一部はピンホール板284を通過し、ハーフミラー285により反射され、投影レンズ265により角膜Ecに投影される。
【0079】
この赤外光は角膜Ecで反射され、この反射された反射光は結像レンズ271により集光されてラインセンサ272の受光面に輝点像Qを形成する。演算制御装置304は、ラインセンサ272上の輝点像Qの位置に基づいてZモータ402を制御してZ方向の精密アライメントを行う。Z方向の精密アライメントが完了すると、被検眼Eの眼圧の測定が実行される。
【0080】
この第2実施例も第1実施例と同様に、Z方向の粗アライメントが迅速に行える。
【0081】
なお、第2実施例では、図8に示す−5mm〜5mmの範囲では、ラインセンサ272上に結像される輝点像Qの位置によってZ方向のアライメントが可能となっており、このため、検眼部3がどの位置に位置しても移動方向を即座に求めることができる。
【0082】
上記実施例では、被検眼Eの屈折力などの測定と眼底などの検査や眼圧を測定する検眼部について説明したが、これら測定や検査に限らず、他の測定や検査が行えるものであってもよく、またそれらの測定と検査のどちらかが行えるように測定光学系と検査光学系のどちらか一方だけを設けてもよい。また、検眼部とは、検査以外にもアライメントが必要な例えば眼底や角膜内皮細胞の撮影装置なども含まれる。
【0083】
この発明は、上記実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【符号の説明】
【0084】
3 検眼部
23 駆動モータ(移動手段)
27 駆動モータ(移動手段)
30 駆動モータ(移動手段)
44 CCD(撮像装置)
47 アライメント光投影系
110 演算制御回路(輝度検出手段)
【技術分野】
【0001】
この発明は、被検眼の例えば眼屈折力などを測定する検眼部のZ方向の粗アライメントを行うZアライメント装置と、このZアライメント装置を搭載した眼科装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動的にアライメントを行い、この後に被検眼の眼屈折力を測定する眼科装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
かかる眼科装置は、ベースに対して上下、前後、左右に移動可能に設けた検眼部に、眼屈折力を測定する測定部と、被検眼に対する測定部のアライメントを検出するアライメント検出手段などとを設けている。
【0004】
また、この眼科装置は、手動でXY方向やZ方向の粗アライメントを行い、指標像がTVモニタ上に表れると、XY方向の自動アライメントが行われる。
【0005】
近年、オートアライメント領域から外れた領域で、Z方向の粗アライメントを自動で行うことが提案されており、この場合、停止位置にある検眼部から撮像した前眼部像に映り込んだ照明光源像と、この停止位置から例えば5mmほど前方または後方へ移動させて前眼部を撮像し、この撮像した前眼部像に映り込んだ照明光源像との輝度を比較して、アライメント方向が前方なのか後方なのかを判断し、この判断した方向へ検眼部を移動させることによりZ方向の粗アライメントを行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3676055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、検眼部の移動方向を判断するのに、停止位置から撮像した後、検眼部を5mmほど前方または後方へ移動させ、この後前眼部像を撮像して前眼部像を取り込まなければならず、このため、Z方向の粗アライメントを迅速に行えないという問題がある。
【0008】
この発明の目的は、Z方向の粗アライメントを迅速に行えるZアラインメント装置と眼科装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、被検眼に対して前後及び上下に移動可能な且つ被検眼の検査または測定を行う検眼部に設けられた、前記被検眼の前眼部を照明する照明光源と、前記前眼部を撮像する撮像装置と、この撮像装置で撮像した前眼部像に映り込んだ前記照明光源像の輝度を求める輝度検出手段とを備え、この輝度検出手段が検出した輝度に基づいて前記検眼部の前後方向の粗アライメントを行うZアライメント検出装置であって、
前記検眼部が前後方向のアライメント完了位置から被検眼の角膜までの区間内に位置している場合、前記撮像装置が撮像した光源像の輝度が所定の一定値となるように設定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、Z方向の粗アライメントを迅速に行える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明に係る眼科装置の外観図を示すものであり、(a)はモニタ部の表示画面が検者の側に向けられている場合を示す側面図であり、(b)は(a)の背面図である。
【図2】(a)はモニタ部の表示画面が被検者の側に向けられている場合を示す側面図であり、(b)は(a)の正面図である。
【図3】(a)はモニタ部の表示画面を右側面に向けた側面図であり、(b)は(a)の背面図である。
【図4】(a)はモニタ部の表示画面を左側面に向けて傾斜させた側面図であり、(b)は(a)の背面図である。
【図5】眼科装置の光学系の配置を示した光学配置図である。
【図6】眼科装置の制御系の構成を示したブロック図である。
【図7】モニタ部の画面に前眼部像が表示された例を示した説明図である。
【図8】照明光源像61a′,61a′の輝度と検眼部の位置との関係を示したグラフである。
【図9】第2実施例の眼科装置の光学系の配置を示した平面図である。
【図10】図9に示す光学系の配置を示した側面図である。
【図11】第2実施例の眼科装置の制御系の構成を示したブロック図である。
【図12】表示部に表示される前眼部像と輝点像と照明光源像とを示した説明図である。
【図13】XY方向のアライメントが完了した場合の前眼部像と輝点像と照明光源像とを示した説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明に係るZアライメント検出装置を搭載した眼科装置の実施の形態である一実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0013】
[第1実施例]
図1ないし図4において、1は眼科装置である。この眼科装置1は、ベース部2と検眼部3と、顎受け部4とから概略構成されている。その顎受け部4にはこれと一体に額当て5が設けられている。
【0014】
被検者は、顎受け部4に顎を置き、額当て5に額を当てた状態で検査を受ける。
【0015】
検眼部3の内部には、図1(a)、図2(a)等に破線で示すように測定部6が設けられており、この測定部6は公知の観察・撮影用の観察光学系や屈折力などを測定する測定光学系(光学系)が設けられている。この測定部6により、被検者の前眼部、被検眼の角膜、眼底等が観察・撮影可能であり、眼底の検査なども行なえるようになっている。
【0016】
検眼部3の被検者に対面する側には、図1(b)等に示すように、前眼部照明用の光源61が輪環状に配置されている。この光源61は、角膜形状を測定する測定光源としても用いられる。
【0017】
ベース部2には、図1(a)、図2(a)等に破線で示すように検眼部3を駆動する公知の駆動機構・駆動回路8が設けられている。
【0018】
駆動機構・駆動回路8の駆動部には、例えば、図示を略すパルスモータが用いられる。
【0019】
検眼部3は、後述するモニタ部を操作することにより、被検眼に対して上下左右前後方向に駆動される。その検眼部3の頂部9には、図1ないし図4に示すように、液晶のモニタ部(表示手段、液晶ディスプレイ)10が設けられる。
【0020】
このモニタ部10は、図1ないし図4に示すように、所望の位置へ自由に移動させることができるようになっている。また、モニタ部10の画面HにはタッチパネルTC(図6参照)が装着されており、タッチパネルTCをタッチすることにより各種の操作が行えるようになっている。
[測定部]
測定部6の光学系の一例を図6に示す。この光学系は図示を略すケース内にコンパクトにまとめて配置されている。
【0021】
図5において、41は被検眼Eを固視・雲霧させるために視標を眼底Erに投影する固視標投影光学系、42は被検眼Eの前眼部Efを観察する観察光学系、43は照準スケールをCCD(撮像装置)44に投影するスケール投影光学系、45は被検眼Eの屈折力を測定するためのパターン光束を眼底Erに投影するパターン光束投影光学系(測定光学系)、46は眼底Erから反射された光束をCCD44に受光させる受光光学系(測定光学系)、47は光軸と垂直な方向のアライメント状態を検出するための指標光を被検眼に向けて投影するアライメント光投影系、48は被検眼Eと装置本体(検眼部3)との間の作動距離を検出するための作動距離検出光学系、49は信号処理部である。なお、パターン光束投影光学系45と受光光学系46は測定部6の光学系を構成している。
【0022】
固視標投影光学系41は、光源51、コリメータレンズ52、指標板53、リレーレンズ54、ミラー55、リレーレンズ56、ダイクロイックミラー57、ダイクロイックミラー58、対物レンズ59を備えている。
【0023】
光源51から出射された可視光は、コリメータレンズ52によって平行光束とされた後、指標板53を透過する。指標板53には、被検眼Eを固視・雲霧させるためのターゲットが設けられている。そのターゲット光束は、リレーレンズ54を透過してミラー55により反射され、リレーレンズ56を経てダイクロイックミラー57に導かれかつこのミラー55により反射されて光学系の主光軸O1に導かれ、ダイクロイックミラー58を透過した後、対物レンズ59を経て被検眼Eに導かれる。
【0024】
光源51、コリメータレンズ52、指標板53は、指標ユニットU10を構成し、指標ユニットU10は、被検眼Eを固視・雲霧させるために、駆動モータPM1(図6参照)によって、固視標投影光学系41の光軸O2に沿って一体に移動可能とされている。
【0025】
観察光学系42は、照明光源61、対物レンズ59、ダイクロイックミラー58、絞り61’を有するリレーレンズ62、ミラー63、リレーレンズ64、ダイクロイックミラー65、結像レンズ66、CCD44を有する。
【0026】
照明光源61から出射された照明光束は、被検眼Eの前眼部Efを照明する。前眼部Efで反射された照明光束は、対物レンズ59を経てダイクロイックミラー58に反射され、リレーレンズ62の絞り61’を通過し、ミラー63により反射された後、リレーレンズ64、ダイクロイックミラー65を透過して、結像レンズ66によりCCD44に導かれ、CCD44の撮像面に後述する前眼部像が形成される。
【0027】
スケール投影光学系43は、光源71、照準スケールを有するコリメータレンズ72、リレーレンズ73、ダイクロイックミラー58、絞り61’を有するリレーレンズ62、ミラー63、リレーレンズ64、ダイクロイックミラー65、結像レンズ66、CCD44を有する。
【0028】
光源71から出射された光束は、コリメータレンズ72を透過する際に平行光束とされ、リレーレンズ73、ダイクロイックミラー58、絞り61’を有するリレーレンズ62を経てミラー63により反射され、リレーレンズ64、ダイクロイックミラー65を経て結像レンズ66によってCCD44に結像される。CCD44からの映像信号は、信号処理部49を介してモニタ部10に入力され、モニタ部10に前眼部像Ef’が表示されると共にアライメントマークALM1、ALM2が表示される。なお、アライメント完了後の屈折力測定時には、光源61、71は消灯される。
【0029】
アライメントマークALM1はアライメント完了領域(測定可能エリア)の範囲を示すものであり、アライメントマークALM2は粗アライメントの領域範囲を示すものである。
【0030】
パターン光束投影光学系45は、光源81、コリメータレンズ82、円錐プリズム83、リング指標板84、リレーレンズ85、ミラー86、リレーレンズ87、穴空きプリズム88、ダイクロイックミラー57、ダイクロイックミラー58、対物レンズ59を備えている。
【0031】
光源81とリング指標板84とは光学的に共役であり、リング指標板84と被検眼Eの瞳孔EPとは光学的に共役な位置に配置されている。また、光源81、コリメータレンズ82、円錐プリズム83、リング指標板84は、指標ユニットU40を構成し、この指標ユニットU40は、駆動モータPM2(図6参照)により光軸O3に沿って進退駆動される。
【0032】
光源81から出射された光束は、コリメータレンズ82によって平行光束とされ、円錐プリズム83を透過してリング指標板84に導かれる。このリング指標板84に形成されたリング状のパターン部分を透過してパターン光束となる。このパターン光束は、リレーレンズ85を透過した後、ミラー86により反射され、リレーレンズ87を透過して穴空きプリズム88の反射面によって反射され、主光軸Olに沿つてダイクロイックミラー57に導かれ、このダイクロイックミラー57、58を透過した後、対物レンズ59により眼底Erに結像される。
【0033】
受光光学系46は、対物レンズ59、ダイクロイックミラー58、57、穴空きプリズム88の穴部88a、リレーレンズ91、ミラー92、リレーレンズ93、ミラー94、合焦レンズ95、ミラー96、ダイクロイックミラー65、結像レンズ66、CCD44を有する。合焦レンズ95は、指標ユニットU40と連動して、光軸O4に沿って移動可能とされている。
【0034】
パターン光束投影光学系45によつて眼底Erに導かれかつこの眼底Erで反射された反射光束は、対物レンズ59により集光され、ダイクロイックミラー58、57を透過し、穴空きプリズム88の穴部88aへと導かれ、この穴部88aを通過する。この穴部88aを通過したパターン反射光束は、リレーレンズ91を透過してミラー92によって反射され、リレーレンズ93を透過してミラー94により反射され、合焦レンズ95を透過してミラー96、ダイクロイックミラー65により反射され、結像レンズ66によってCCD44に導かれる。これにより、CCD44にパターン像が結像される。
【0035】
アライメント光投影系47は、LED101、ピンホール102、コリメートレンズ103、ハーフミラー104を備え、被検眼Eの角膜Cに向けてアライメント指標光束を投影するアライメント手段としての機能を有する。被検眼Eに向けて平行光として投影されたアライメント指標光束は、被検眼Eの角膜Cにおいて反射され、観察光学系42によりCCD44上にアライメント指標像(輝点像)Tが投影される。アライメント指標像TがアライメントマークALM1内に位置すると(図5参照)、アライメント完了と判断される。
【0036】
作動距離検出光学系48は、被検眼Eと装置本体(検眼部3)との間の作動距離を検出するアライメント手段としての機能を有する。この作動距離検出光学系48は、有限距離から指標を投影する有限距離指標投影系102R、102Lをそれぞれ主光軸O1に関して左右対称に有する。有限距離から指標を投影する有限距離指標投影系102R、102Lは光源102aからの光束を指標光束として被検眼Eに左右の斜めから投影する。
【0037】
これらの2つの有限距離指標投影系102R、102Lからの指標光束は、検眼部3がオートアライメント領域内に入っている場合、被検眼Eの角膜Cで反射されて、観察光学系42によりCCD44上に結像される。信号処理部49は、このCCD44からの出力に基づいて、有限距離指標投影系102R、102Lからの指標光束による指標像102R’、102L’がモニタ部10に表示される(図5参照)。なお、CCD44上には指標像102R’、102L’と同じ指標像が結像されている。これらの指標像がCCD44上で一定の位置関係になった場合、作動距離が測定に適した距離Woになったとして検出される。
[信号処理部]
信号処理部49は、図6に示すように、演算制御回路(輝度検出手段、制御手段)110、A/D変換器112、フレームメモリ113、D/A変換器114、D/A変換器115とを有している。
【0038】
この演算制御回路110は、CPU、ROM、RAM、入出力回路、コントロール回路等(図示せず)を有すると共に、各パルスモータを駆動制御する駆動制御手段と眼特性を演算する演算手段とを兼用し、演算結果等はRAMに記憶される。
【0039】
演算制御回路110は、駆動モータPM1、PM2を駆動制御すると共に、駆動モータ(移動手段)30、23、27を駆動制御する。これにより、装置本体(検眼部3)がX、Y、Z方向に駆動される。また、演算制御回路110は、各種光源51、61、71、81、102a、LED101の点灯制御を行うため、図示を略すドライバに接続されている。なお、駆動モータ23が検眼部3を上下に移動させ、駆動モータ27が検眼ヘッドを前後に移動させ、駆動モータ30が検眼部3を左右に移動させる。
【0040】
演算制御回路110は、CCD44に受光されたアライメント指標像T(輝点像)、指標像102R’、102L’の受光位置を演算し、この演算結果に基づき、アライメント目標位置までの距離や方向を求めるものである。
【0041】
また、 演算制御回路110は、検眼部3がアライメント領域外にあるとき、図7に示す照明光源像61a′,61a′の輝度を求める輝度検出手段の機能を有するとともに、この輝度が予め設定された閾値Kより大きいか小さいかを求めて、検眼部3を前方または後方へ移動させる。そして、照明光源61とCCD44と信号処理部49とでZ方向の粗アライメントを検出するアライメント検出装置が構成される。
【0042】
ところで、照明光源像61a′,61a′の輝度は、図8に示すように、アライメント完了位置(Zアライメント完了位置)と、被検眼の角膜位置までの区間内に検眼部3が位置しているとき、最大あるいは所定の値で一定となるように、このアライメント完了位置から検眼部3を後方へ移動させたときその輝度が最大または所定の値から減少するように、照明光源61の明るさやCCD44のゲインを設定する。この設定は、顎受け部4に標準となる模型眼を設置して行う。
[動 作]
次に、上記のように構成される眼科装置1の動作について説明する。
【0043】
先ず、図示しない電源をオンにし、顎受け部4に被検者(患者)の顎を載せ、図示しない操作部を操作して観察光学系42の照明光源61を点灯させるとともに、固視標投影光学系41の光源51を点灯させる。照明光源61の点灯により被検眼Eの前眼部Efが照明される。
【0044】
前眼部Efの照明により、観察光学系42のCCD44の撮像面上に前眼部像が結像され、フレームメモリ113に前眼部像が記憶され、モニタ部10の画面に前眼部像Ef′が表示される。
【0045】
アライメント光投影系47のLED101が点灯されて、ピンホール102、コリメートレンズ103、ハーフミラー104を介して被検眼Eの角膜Cに向けて平行光束のアライメント指標光束が投影される。被検眼Eに投影されたアライメント指標光束は、被検眼Eの角膜Cにおいて反射され、観察光学系42によりCCD44上にアライメント指標像(輝点像)Tが投影される。この輝点像T(この輝点像Tは通常アライメントマークALM2の外側にある)が前眼部像Ef′とともに図5に示すように表示される。
【0046】
検者は、輝点像TがアライメントマークALM2内に入るようにモニタ部10のタッチパネルTCを操作して、検眼部3を上下左右に移動させる。輝点像TがアライメントマークALM2内に入ると、オートアライメントが実行されてアライメント指標像Tが図5に示すようにアライメントマークALM1内に位置され、XY方向の精密なアライメントが完了される。
【0047】
また、モニタ部10の画面Hには、図7に示すように、眼部像Ef′と照明光源61による照明光源像61a′,61a′が表示されている。
【0048】
XYアライメントが完了されると、信号処理部49の演算制御回路110は、フレームメモリ113の前眼部像Ef′から照明光源像61a′,61a′を抽出し、この抽出した光源像61a′,61a′の輝度を求め、この輝度が図8に示す予め設定した閾値K以上かどうかを判断する。
【0049】
閾値Kは、アライメント完了位置から5.00mm以上、検眼部3が後方へ離れた場合、角膜の曲率が異なっていても閾値以下となるように、且つ、検眼部3が−10mm〜−5mmの範囲に位置している場合、角膜の曲率が異なっていても閾値以上となるように設定する。なお、−5mm〜5mmの範囲では、CCD44上に結像される指標像102R’、102L’によってZ方向のアライメントが可能となっている。
【0050】
したがって、検眼部3がどの位置に位置しても移動方向を即座に求めることができることになる。
【0051】
演算制御回路110は、照明光源像61a′,61a′の輝度が閾値Kより小さいとき、検眼部3はアライメント完了位置より後方に位置しているので、駆動モータ27を制御して検眼部3を前方へ移動させてZ方向の粗アライメントを行う。逆に照明光源像61a′,61a′の輝度が閾値K以上のとき、検眼部3はアライメント完了位置より前方に位置しているので、駆動モータ27を制御して検眼部3を後方へ移動させてZ方向の粗アライメントを行う。
【0052】
この検眼部3のZ方向の粗アライメントにより、オートアライメント領域に入ると、図5に示すように、光源102aの点灯により、モニタ部10の画面に指標像102R’、102L′が表示される。
【0053】
演算制御回路110は、指標像102R’、102L’がCCD44上で一定の位置関係になるように、駆動モータ27を制御し、検眼部3を前後へ微小移動させて、Z方向の精密アライメントを行う。精密アライメントが完了すると、被検眼Eの屈折力などの測定が実行される。
【0054】
このように、照明光源61による照明光源像61a′,61a′の輝度に基づいて検眼部3の移動方向を求めて検眼部3を前方または後方へ移動させるものであるから、Z方向の粗アライメントを迅速に行える。
【0055】
ところで、角膜の曲率によって照明光源像61a′,61a′の焦点が合う位置が異なり、角膜の曲率がR5とR10とで焦点距離差は2.6mmとなり、図8に示すように、角膜の曲率がR5とR10とで輝度が最大となる位置が異なるが、閾値Kを上記のように設定することで不具合は生じない。
[第2実施例]
図9及び図10は第2実施例の眼科装置150を示す。この眼科装置150は眼圧計であり、この眼圧計150の測定光学系200は、図9及び図10に示すように、前眼部観察光学系210と、XYアライメント視標投影光学系220と、固視標投影光学系230と、XYアライメント検出光学系240と、角膜変形検出光学系250と、スリット投影光学系260と、Zアライメント受光光学系270と、Zアライメント投影光学系280とを有している。
【0056】
前眼部観察光学系210は、図9に示すように、検眼部3(図1参照)の前面に設けた前眼部照明光源211と、前眼部窓ガラス213と、気流吹付ノズル212と、チャンバガラス214と、ハーフミラー215と、対物レンズ216と、ハーフミラー217,218と、CCDなどのイメージセンサ(受光手段)219とを有している。気流吹付ノズル212はエア噴出装置310(図11参照)によって圧縮された空気を被検眼Eに向けて吹き付ける。
【0057】
XYアライメント視標投影光学系220は、図10に示すように、赤外光を射出するアライメント光源221と、集光レンズ222と、開口絞り223と、ピンホール板224と、ダイクロイックミラー225と、投影レンズ226と、ハーフミラー215と、チャンバガラス214と、気流吹付ノズル212とを有している。ダイクロイックミラー225は赤外光を反射させ、可視光を透過させる。
【0058】
固視標投影光学系230は、固視標光源(報知手段)231と、ピンホール板232と、ダイクロイックミラー225と、投影レンズ226と、ハーフミラー215と、チャンバガラス214と、気流吹付ノズル212とを有している。
【0059】
XYアライメント検出光学系240は、気流吹付ノズル212と、チャンバガラス214と、ハーフミラー215と、対物レンズ216と、ハーフミラー217,218と、受光センサ241とを有している。受光センサ(エリアセンサ)241は結像点の位置検出が可能なポジションセンサなどで構成される。
【0060】
角膜変形検出光学系250は、気流吹付ノズル212と、チャンバガラス214と、ハーフミラー215と、対物レンズ216と、ハーフミラー217と、ピンホール板251と、受光センサ252とを有している。
【0061】
スリット投影光学系260は、図9に示すように赤外光を射出するスリット光源261と、集光レンズ262と、スリット263と、矩形開口絞り264と、ハーフミラー285と、投影レンズ265とを有している。
【0062】
Zアライメント受光光学系270は、結像レンズ271と、ラインセンサ272とを有している。
【0063】
Zアライメント投影光学系280は、赤外光を射出するアライメント光源281と、集光レンズ282と、開口絞り283と、ピンホール板284と、ハーフミラー285と、投影レンズ265とを有している。
[制御系]
図11は眼科装置1の制御系の構成を示したブロック図であり、219は前眼部像が結像されるイメージセンサ(撮像装置)であり、このイメージセンサ上に結像された前眼部像はモニタ部10に表示される。400は検眼部3のX方向(被検眼Eに対して左右方向)へ移動させるパルスモータであるXモータ(移動手段)、401は検眼部3をY方向(被検眼Eに対して上下方向)へ移動させるパルスモータであるYモータ(移動手段)、402は検眼部3をZ方向(被検眼Eに対して前後方向)へ移動させるパルスモータであるZモータ(移動手段)である。
【0064】
304はタッチパネル302の操作に基づいて各種の測定モードの設定や各光源211,221,231,261,281の点灯を制御したり、エア噴出装置310の駆動を制御したりする演算制御装置(制御手段)である。演算制御装置304は、エア噴出装置310によって噴出されるエアパルスの圧力と受光センサ252の受光量等に基づいて眼圧を求めたりする。
【0065】
また、演算制御装置304は、検眼部3がアライメント領域外にあるとき、図12に示す照明光源像211a,211aの輝度を求める輝度検出手段304Aの機能を有するとともに、この輝度が予め設定された閾値Kより大きいか小さいかを求めて、検眼部3を前方または後方へ移動させる。そして、前眼部照明光源211,211とイメージセンサ219と演算制御装置304とでZ方向の粗アライメントを検出するアライメント検出装置が構成される。
[動 作]
次に、上記のように構成される眼科装置150の動作を説明する。
【0066】
先ず、図示しない電源スイッチを投入する。この電源スイッチの投入により前眼部照明光源211が点灯し、被検眼Eの前眼部が照明される。
【0067】
前眼部照明光源211によって照明された被検眼Eの前眼部像は、気流吹付ノズル212の内外を通り、前眼部窓ガラス213、チャンバガラス214、ハーフミラー215を透過し、対物レンズ216により集束されつつハーフミラー217,218を透過してイメージセンサ219上に形成される。そして、モニタ部10に図12に示すように前眼部像Efaと、前眼部照明光源211による照明光源像211a,211aとが表示される。
【0068】
一方、XYアライメント視標投影光学系220のアライメント光源221や固視標投影光学系230の固視標光源231が点灯され、この固視標光源231の光がピンホール板232、ダイクロイックミラー225、投影レンズ226、ハーフミラー215、チャンバガラス214、ノズル212内を通って被検眼Eの眼底Erに投影され、被検眼Eが固視される。
【0069】
アライメント光源221の点灯により、アライメント光源221から射出された赤外光は、集光レンズ222により集束されつつ開口絞り223を通過し、ピンホール板224に導かれる。そして、ピンホール板224を通過した光束は、ダイクロイックミラー225で反射され、投影レンズ226によって平行光束となってハーフミラー215で反射された後に、チャンバガラス214を透過して気流吹付ノズル212の内部を通過し、XYアライメント指標光を形成して角膜Ecに投影する。
【0070】
このXYアライメント指標光は角膜Ecの表面で反射され、この反射光束は、ノズル212の内部を通りチャンバガラス214、ハーフミラー215を透過し、対物レンズ216により集束されつつハーフミラー217でその一部が透過し、ハーフミラー218でその一部が反射される。ハーフミラー218で反射された光束は、受光センサ241上に輝点像T1を形成する。
【0071】
また、ハーフミラー218を透過した反射光束はイメージセンサ219の受光面に輝点像T2を形成する。この輝点像T2により、図12に示すようにモニタ部10に前眼部像Ef上に輝点像Tが表示される。
【0072】
検者は、モニタ部10に表示される瞳孔像Eaの中心部へ輝点像Tが移動するように、モニタ部10のタッチパネルのタッチ部(図示せず)をタッチ操作する。この操作により、演算制御装置304がX,Yモータ400,401を駆動し、検眼部3が左右上下に移動する。
【0073】
これら移動により、粗アライメント領域(図示せず)に輝点像Tが入ると、オートアライメントが実行されて精密なXYアライメントが行われる。
【0074】
この精密なXYアライメントは、受光センサ241上の輝点像T1の位置に基づいて演算制御装置304がX,Yモータ400,401を駆動して行われる。
【0075】
XYアライメントが完了すると、図13に示す照明光源像211a,211aが演算制御装置304によって抽出され、この抽出された照明光源像211a,211aの輝度が演算制御装置304によって求められる。
【0076】
演算制御装置304は、この求めた輝度が図8に示す予め設定した閾値K以上かどうかを判断し、輝度が閾値Kより小さいとき、Zモータ402を制御して検眼部3を前方へ移動させ、その輝度が閾値Kより大きいときZモータ402を制御して検眼部3を後方へ移動させる。
【0077】
この検眼部3の前方あるいは後方への移動により、Z方向のオートアライメント領域に入ると、Zアライメント投影光学系280のアライメント光源281が点灯される。
【0078】
この点灯により、アライメント光源281から赤外光が射出され、この赤外光が集光レンズ282に集光されて開口絞り283に到達する。開口絞り283を通過した赤外光の一部はピンホール板284を通過し、ハーフミラー285により反射され、投影レンズ265により角膜Ecに投影される。
【0079】
この赤外光は角膜Ecで反射され、この反射された反射光は結像レンズ271により集光されてラインセンサ272の受光面に輝点像Qを形成する。演算制御装置304は、ラインセンサ272上の輝点像Qの位置に基づいてZモータ402を制御してZ方向の精密アライメントを行う。Z方向の精密アライメントが完了すると、被検眼Eの眼圧の測定が実行される。
【0080】
この第2実施例も第1実施例と同様に、Z方向の粗アライメントが迅速に行える。
【0081】
なお、第2実施例では、図8に示す−5mm〜5mmの範囲では、ラインセンサ272上に結像される輝点像Qの位置によってZ方向のアライメントが可能となっており、このため、検眼部3がどの位置に位置しても移動方向を即座に求めることができる。
【0082】
上記実施例では、被検眼Eの屈折力などの測定と眼底などの検査や眼圧を測定する検眼部について説明したが、これら測定や検査に限らず、他の測定や検査が行えるものであってもよく、またそれらの測定と検査のどちらかが行えるように測定光学系と検査光学系のどちらか一方だけを設けてもよい。また、検眼部とは、検査以外にもアライメントが必要な例えば眼底や角膜内皮細胞の撮影装置なども含まれる。
【0083】
この発明は、上記実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【符号の説明】
【0084】
3 検眼部
23 駆動モータ(移動手段)
27 駆動モータ(移動手段)
30 駆動モータ(移動手段)
44 CCD(撮像装置)
47 アライメント光投影系
110 演算制御回路(輝度検出手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼に対して前後及び上下に移動可能な且つ被検眼の検査または測定を行う検眼部に設けられた、前記被検眼の前眼部を照明する照明光源と、前記前眼部を撮像する撮像装置と、この撮像装置で撮像した前眼部像に映り込んだ前記照明光源像の輝度を求める輝度検出手段とを備え、この輝度検出手段が検出した輝度に基づいて前記検眼部の前後方向の粗アライメントを行うZアライメント検出装置であって、
前記検眼部が前後方向のアライメント完了位置から被検眼の角膜までの区間内に位置している場合、前記撮像装置が撮像した光源像の輝度が所定の一定値となるように設定したことを特徴とするZアライメント検出装置。
【請求項2】
前記所定の一定値は、前記撮像装置が出力する画像信号の輝度値の最大値であることを特徴とする請求項1に記載のZアライメント検出装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のZアライメント検出装置を備えたことを特徴とする眼科装置。
【請求項4】
請求項3に記載の眼科装置は、被検眼の眼圧を測定することを特徴とする眼圧計。
【請求項1】
被検眼に対して前後及び上下に移動可能な且つ被検眼の検査または測定を行う検眼部に設けられた、前記被検眼の前眼部を照明する照明光源と、前記前眼部を撮像する撮像装置と、この撮像装置で撮像した前眼部像に映り込んだ前記照明光源像の輝度を求める輝度検出手段とを備え、この輝度検出手段が検出した輝度に基づいて前記検眼部の前後方向の粗アライメントを行うZアライメント検出装置であって、
前記検眼部が前後方向のアライメント完了位置から被検眼の角膜までの区間内に位置している場合、前記撮像装置が撮像した光源像の輝度が所定の一定値となるように設定したことを特徴とするZアライメント検出装置。
【請求項2】
前記所定の一定値は、前記撮像装置が出力する画像信号の輝度値の最大値であることを特徴とする請求項1に記載のZアライメント検出装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のZアライメント検出装置を備えたことを特徴とする眼科装置。
【請求項4】
請求項3に記載の眼科装置は、被検眼の眼圧を測定することを特徴とする眼圧計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−81517(P2013−81517A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221790(P2011−221790)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)
[ Back to top ]