説明

eラーニング用の教材データ、編集装置および編集システム

【課題】 eラーニングの学習効果を高めること。また、eラーニング用の教材データの編集作業を簡単に行えるようにすること。
【解決手段】 教材データ20を構成する動画データ21には、学習する内容の要点を示す文言の画像データ(キーワードパーツ212)と、要点を学ぶ場面が訪れたことを報知するマークの画像データ(要点マークパーツ213)が含まれている。一方、音声データ22には、要点を学ぶ場面が訪れたことを報知する報知音のデータ(効果音パーツ222)が含まれている。また、編集装置60では、教材データ20を構成する各動画パーツデータと各音声パーツデータの再生条件を記録した編集データ608aを作成してHD608に保存し、この編集データ608aに従って対応する動画パーツデータと音声パーツデータを順次再生しつつ、これを録画および録音して教材データ20を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、eラーニング用の教材データとその編集装置や編集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット等の通信網を利用したeラーニングに関する技術が種々提案されている。例えば、特許文献1には、通信教育用の教材データ13を複数に分割し、教材データ13のうちの一部のデータのみを携帯端末3にダウンロードして再生できるようにしたことが記載されている。
【特許文献1】特開2003−255810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、携帯電話機等の携帯端末は、据置型のパーソナルコンピュータ等と比較して制御部の演算能力が低く、またメモリの容量も少ない。このため携帯端末において再生されるeラーニング用の教材データは、例えば、学習する内容を示す文書のテキストデータと、その文書を読み上げたナレーションの音声データのみによって構成され、テキストデータに基づく文字列が画面に表示されるとともに、その文字列を読み上げるナレーションの音声が出力されるだけである等、教科書や参考書を読んでいるのと同程度の学習効果しか期待できず、また学習する内容の要点も把握しづらいという問題があった。
【0004】
また、このようなeラーニング用の教材データを作成する際には、例えば、テキストデータの表示速度や音声データの再生速度を調整して両者の同期を取る等、テキストデータや音声データに対して各種の編集処理を施す必要がある。この際、教材データについては学習効率を高めるため、データの一部を差し替えたり、表示速度や再生速度を調整し直す等といった編集作業が繰り返し何度も行われることが多く、編集作業が煩雑であった。
【0005】
本発明は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、eラーニングの学習効果を高めることである。また、eラーニング用の教材データの編集作業を簡単に行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るeラーニング用の教材データは、動画データと音声データにより構成されるeラーニング用の教材データであって、前記動画データには、学習する内容の要点を示す文言の画像データと、前記要点を学ぶ場面が訪れた際に表示され、前記場面が訪れたことをユーザに報知するマークの画像データが含まれていることを特徴とする。本発明によれば、学習する内容の要点を示す文言が動画で表示されるとともに、要点を学ぶ場面が訪れたことがマークの表示によってユーザに報知される。
【0007】
また、前記音声データには、前記要点を学ぶ場面が訪れた際に出力され、前記場面が訪れたことをユーザに報知する報知音のデータが含まれていてもよい。このような構成とすれば、学習する内容の要点を示す文言が動画で表示されるとともに、要点を学ぶ場面が訪れたことがマークの表示と報知音の出力によってユーザに報知される。
【0008】
また、本発明に係る編集装置は、動画データと音声データにより構成されるeラーニング用の教材データを編集する編集装置であって、動画パーツデータと音声パーツデータを各々複数記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された動画パーツデータと音声パーツデータを各々複数使用して前記教材データを編集し、前記教材データを構成する各動画パーツデータの再生条件と、前記教材データを構成する各音声パーツデータの再生条件を定める編集手段と、前記編集手段により定められた、前記各動画パーツデータの再生条件と前記各音声パーツデータの再生条件を記録した編集データを作成する作成手段と、前記作成手段により作成された編集データに従って対応する動画パーツデータと音声パーツデータを順次再生しつつ、再生された内容を記録して教材データを生成する生成手段と、前記生成手段により生成された教材データを出力する出力手段とを具備することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、記憶手段に記憶された動画パーツデータと音声パーツデータを各々複数使用してeラーニング用の教材データが編集されると、編集装置では、この教材データを構成する各動画パーツデータと各音声パーツデータの再生条件を記録した編集データを作成し、この編集データに従って対応する動画パーツデータと音声パーツデータを順次再生しつつ、再生された内容を記録して教材データを生成する。
【0010】
また、前記作成手段により作成された編集データを修正し、前記教材データを構成する動画パーツデータまたは音声パーツデータと、その再生条件を変更する修正手段をさらに具備し、前記生成手段は、前記修正手段により修正された編集データに従って対応する動画パーツデータと音声パーツデータを順次再生しつつ、再生された内容を記録して教材データを生成してもよい。このような構成とすれば、教材データを構成する各動画パーツデータと各音声パーツデータの再生条件を記録した編集データを修正することで、教材データの内容を簡単に修正できる。
【0011】
また、本発明に係る編集システムは、動画データと音声データにより構成されるeラーニング用の教材データを編集する編集システムであって、動画パーツデータと音声パーツデータを各々複数記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された動画パーツデータと音声パーツデータを各々複数使用して前記教材データを編集し、前記教材データを構成する各動画パーツデータの再生条件と、前記教材データを構成する各音声パーツデータの再生条件を定める編集手段と、前記編集手段により定められた、前記各動画パーツデータの再生条件と前記各音声パーツデータの再生条件を記録した編集データを作成する作成手段と、前記作成手段により作成された編集データに従って対応する動画パーツデータと音声パーツデータを順次再生しつつ、再生された内容を記録して教材データを生成する生成手段と、前記生成手段により生成された教材データを出力する出力手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、eラーニングの学習効果を高めることができる。また、eラーニング用の教材データの編集作業を簡単に行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、通信システム1の構成を例示するブロック図である。同図において、ストリーミングサーバ10は、動画データや音声データによって構成されるマルチメディアデータを、インターネット30および移動パケット通信網40を介して携帯電話機50へストリーミング配信する機能を有している。このストリーミングサーバ10には、携帯電話機50に提供するマルチメディアデータとして、eラーニング用の電子教材データ(以下、「教材データ20」と記載する)が格納されている。この教材データ20のデータ構成については後に詳述するが、ストリーミングサーバ10には、教材データ20として、例えば、管理職向けや営業職向けの研修用教材データが格納されている。なお、教材データ20は、語学学習用の教材データや、国語や算数、理科等といった科目別の学習用教材データであってもよい。
【0014】
移動パケット通信網40は、ゲートウェイサーバ41と基地局42を有している。ゲートウェイサーバ41は、移動パケット通信網40用の通信プロトコルと、インターネット30において用いられるTCP/IP等との相互変換を行う。また、基地局42は、移動パケット通信網40の通信サービスエリア内に多数設置されており、自局42のカバーする無線セルに在圏している携帯電話機50と無線通信を行う。
【0015】
携帯電話機50は、例えば、NTTドコモ(登録商標)社製のFOMA(登録商標)であって、ストリーミングサーバ10から配信された教材データ20を受信しつつ、これを再生する機能を有している。この機能によって携帯電話機50において教材データ20が再生され、ユーザは、再生された教材データ20に基づく映像と音声を視聴してeラーニングを行う。
【0016】
なお、ストリーミングサーバ10は、移動パケット通信網40内に設けられていてもよい。また、ストリーミングサーバ10の代りにWebサーバを用いて教材データ20を配信してもよい。また、ストリーミング配信に限定されず、教材データ20の全てを受信し終えるまでは教材データ20を再生することのできない、一般的なコンテンツ配信方式を利用して教材データ20を携帯電話機50へ送信してもよい。
【0017】
図2は、教材データ20の構成を説明するための図である。同図に示すように教材データ20は、第1章、第2章…等の大分類によって区分されており、さらに各章毎に、「1−1」項目、「1−2」項目…等の小分類によって区分されている。例えば、ユーザがストリーミングサーバ10から教材データ20を取得する際には、「章」あるいは「項目」単位で教材データ20のうちの一部のデータのみを携帯電話機50へダウンロードし、これを再生することができる。また、教材データ20は、大別すると、動画データ21と音声データ22によって構成されている。
【0018】
動画データ21は、背景パーツ211、キーワードパーツ212、要点マークパーツ213等の動画パーツデータを編集作業によって適宜組み合わせることで生成される。背景パーツ211は、例えば、図3に示すような、背景の動画像を構成する個々の静止画の画像データ211aである。キーワードパーツ212は、教材データ20を再生してeラーニングを行う際に、学習上、特に重要となる単語や一文を、例えば、徐々に拡大表示させたり点滅表示させる、あるいは画面の右端から左端へ移動表示させる等、キーワードを強調して表示するための動画データである。なお、キーワードパーツ212における文字の色や大きさは、背景との兼ね合い等を考慮して目立つ色や大きさに適宜定められる。勿論、キーワードパーツ212の表示態様(拡大表示や点滅表示、移動表示等)についても同様であり、背景との兼ね合い等を考慮して適宜定められる。要点マークパーツ213は、豆電球を表すマークや「!」マーク等の画像データであって、例えば、上述したキーワードパーツ212が表示される場面やその直前に表示され、学習上、特に重要となる単語や一文をユーザに確実に認識させるために用いられる。
【0019】
携帯電話機50の場合、据置型のパーソナルコンピュータ等と比較して画像処理能力が劣るので、実写映像を用いるよりも、図3に示した影絵のような人物の静止画像211aを複数種類用意し、これを順次切り替えながら表示していく方が、動画データ21の容量を低減でき、かつ再生に要する処理負荷も軽減できる。また、キーワードパーツ212を用いることで、学習上、特に重要となる単語や一文を強調して表示することが可能となり、さらに、要点マークパーツ213を用いることで、学習する内容の要点を学ぶ場面が訪れたことをユーザに報知することができるから、要点をしっかりとユーザに学習させることができる。これに加え、動画を用いるので学習内容が理解し易い。以上のようなことから、例えば、動画を用いずに静止画のみを用いた場合や、学習内容を示す文書(テキストデータ)を単に画面に表示するだけの教材データと比較して、eラーニングの学習効果を高められる。
【0020】
次に、音声データ22は、ナレーションパーツ221、効果音パーツ222、BGM(Back Ground Music)パーツ223等の音声パーツデータを編集作業によって適宜組み合わせることで生成される。ナレーションパーツ221は、学習する内容を解説する音声データである。なお、携帯電話機50の場合、比較的周囲が騒がしい環境下においてeラーニングが行われる可能性があるので、そのような環境下でもナレーションが聞き取りやすいよう、例えば、比較的低音で明瞭な声の持ち主をナレータとして用い、ナレーションの収録が行われる。勿論、ナレーションの収録後に音声を明瞭にするための修正処理が施されてもよい。また、効果音パーツ222に基づく効果音は、例えば、上述したキーワードパーツ212や要点マークパーツ213の表示と同時に出力され、学習上、特に重要となる単語や一文をユーザに確実に認識させるために用いられる。
【0021】
このように動画データ21と音声データ22を併用することによって、視覚と聴覚の両方を用いてユーザにeラーニングを行わせることができので、eラーニングの学習効果を高められる。なお、図2においては図示を省略しているが、教材データ20には、ナレーションによって読み上げられる内容を示したテキストデータが含まれている。このテキストデータは、ナレーションによって読み上げられた内容をユーザが確認したい場合等に適宜参照される。また、背景パーツ211、キーワードパーツ212、要点マークパーツ213等の個々の動画パーツデータや、ナレーションパーツ221、効果音パーツ222、BGMパーツ223等の個々の音声パーツデータには、それぞれ固有の識別子が割り当てられている。
【0022】
図4は、教材データ20を編集する編集装置60のハードウェア構成を例示するブロック図である。同図において、CPU601は、ROM602やHD(ハードディスク)608に記憶されているプログラムを実行することで編集装置60の各部を制御する。また、RAM603は、CPU601のワークエリアとして用いられる。通信インタフェース604は、CPU601の制御の下、ストリーミングサーバ10等との間で行われる通信を制御する。操作部605はキーボードやマウス等であり、表示部606はCRTやLCD等である。また、音声再生部607は、アンプやスピーカを備え、ナレーションや効果音、BGMを出力する。
【0023】
HD608には、背景パーツ211、キーワードパーツ212、要点マークパーツ213等の個々の動画パーツデータや、ナレーションパーツ221、効果音パーツ222、BGMパーツ223等の個々の音声パーツデータが格納される。また、HD608には、教材データ20を構成する動画データ21や音声データ22を編集するためのアプリケーションソフトウェアが格納されている。このアプリケーションソフトウェアを起動して、HD608に格納されている動画パーツデータや音声パーツデータを適宜組み合わせて動画データ21や音声データ22を編集し、教材データ20が生成される。
【0024】
また、HD608には、上述したアプリケーションソフトウェアを用いて編集された教材データ20について、個々の動画パーツデータや音声パーツデータの再生開始タイミング、キーワードパーツ212や要点マークパーツ213の表示位置、各音声パーツデータの音量等が記録された編集データ608aが格納される。編集装置60では、この編集データ608aに従って対応する動画パーツデータや音声パーツデータを順次再生していくとともに、これを録画および録音することで教材データ20を生成する。そして、このようにして生成された教材データ20がストリーミングサーバ10へと転送され、ストリーミングサーバ10により携帯電話機50へ配信される。また、編集装置60では、上述した編集データ608aの内容を修正することで、教材データ20の一部を修正したり、新たなデータを追加する等といった教材データ20の修正作業が行われる。
【0025】
なお、編集装置60は、記録媒体ドライブを備え、生成した教材データ20をCD−ROM等の記録媒体に記録し、この記録媒体を介してストリーミングサーバ10に教材データ20を格納する構成であってもよい。また、編集装置60は、例えば、動画データ21の編集を行う編集装置と、音声データ22の編集を行う編集装置が各々別の装置として設けられていたり、動画パーツデータや音声パーツデータ、編集データ608aを記憶する記憶装置が編集装置60とは別に設けられている等、複数の装置によって構成される編集システムであってもよい。
【0026】
次に、図5は、通信システム1の各部の動作について例示するシーケンスチャートである。まず、教材データ20を生成するために必要となる各種の動画パーツデータや音声パーツデータが生成され、編集装置60のHD608に格納される(ステップS101)。ここで、背景パーツ211、キーワードパーツ212、要点マークパーツ213等の各種の動画パーツデータは、例えば、アニメーションやコンピュータグラフィクスの製作会社に作成を依頼し、できあがったものを編集装置60のHD608に格納することができる。同様に、ナレーションパーツ221、効果音パーツ222、BGMパーツ223等の各種の音声パーツデータは、ナレーションや効果音、BGM等の製作会社に作成を依頼し、できあがったものを編集装置60のHD608に格納することができる。
【0027】
次に、編集装置60において編集用のアプリケーションソフトウェアが起動され(ステップS102)、教材データ20の編集処理が行われる(ステップS103)。この編集処理においては、教材データ20について、例えば、上述した各「項目」毎に、使用する動画パーツデータや音声パーツデータが選択される等、以下に示す各事項が定められる。
【0028】
(1)使用する背景パーツ211の選択と、選択された各背景パーツ211の再生開始タイミングや再生終了タイミング等の設定。
(2)使用するキーワードパーツ212の選択と、その再生開始タイミングや再生終了タイミング、表示位置等の設定。
(3)使用する要点マークパーツ213の選択と、その再生開始タイミングや再生終了タイミング、表示位置等の設定。
(4)使用するナレーションパーツ221の選択と、その再生音量や再生開始タイミング等の設定。
(5)使用する効果音パーツ222の選択と、その再生音量や再生開始タイミング等の設定。
(6)使用するBGMパーツ223の選択と、その再生音量や再生開始タイミング等の設定。
【0029】
なお、上述した(1)〜(6)までの各事項は、編集装置60において、選択した動画パーツデータや音声パーツデータを適宜組み合わせて再生させながら調整することが可能である。そして、このようにして教材データ20の編集作業が完了すると、まず、編集装置60は、編集された教材データ20について(1)〜(6)までの各事項を記録した編集データ608aを作成し、HD608に保存する(ステップS104)。次いで、編集装置60は、作成した編集データ608aに従って対応する動画パーツデータや音声パーツデータを順次再生していくとともに、これを録画および録音することによって教材データ20を生成する(ステップS105)。そして、編集装置60は、生成した教材データ20をストリーミングサーバ10へ転送する(ステップS106)。
【0030】
ストリーミングサーバ10では、編集装置60から受信した教材データ20を格納し(ステップS107)、例えば、携帯電話機50からの要求に応じて教材データ20を携帯電話機50へ送信する(ステップS108)。そして、携帯電話機50では、ストリーミングサーバ10からの教材データ20を受信するとこれを再生する(ステップS109)。このようにして教材データ20が携帯電話機50において再生され、ユーザは、再生された教材データ20に基づく映像と音声を視聴してeラーニングを行う。なお、前述したように、教材データ20は「章」や「項目」毎に区分されており、ユーザは、ストリーミングサーバ10から教材データ20を取得する際に、「章」あるいは「項目」単位で教材データ20のうちの一部のデータのみを携帯電話機50へダウンロードし、再生することができる。
【0031】
なお、編集装置60のHD608には、生成された教材データ20について、この教材データ20を構成する各動画パーツデータや各音声パーツデータの再生条件が記録された編集データ608aが格納される。したがって、例えば、既に生成し終えた教材データ20に対し、その一部に新たな学習内容を追加するような場合、追加する部分についてのみ音声パーツデータや動画パーツデータを作成して編集装置60のHD608に格納した後、編集用のアプリケーションソフトウェアを起動して、新たに追加した音声パーツデータや動画パーツデータを用いて編集データ608aの内容の一部を書き換えるのみで、この編集データ608aに基づいて新たな学習内容が組み込まれた教材データ20を生成することができる。また、既に生成し終えた教材データ20について、その内容の一部を削除するような修正を行う場合には、編集装置60において、不要となった動画パーツデータや音声パーツデータについての情報を編集データ608aから削除するだけで、この編集データ608aに基づいて一部のデータが削除された教材データ20を生成することができる。このように編集データ608aの内容を修正することにより、教材データ20の一部を修正したり、新たなデータを追加する等といった教材データ20の修正作業を簡単に済ますことができる。
【0032】
図6〜図9は、携帯電話機50における画面表示例である。
携帯電話機50において教材データ20が再生されると、まず、図6に示すような見出し画像が表示される。なお、同図に示す見出し画像中の文字列“営業店舗篇”や文字列“葛藤の処理”もキーワードパーツ212であり、これらの文字列は、例えば、時間経過に応じて徐々に拡大表示されたり、文字の色を徐々に変化させたりすることができる。このような見出し画像が表示された後、ナレーションやBGMの出力が開始され、携帯電話機50を用いたeラーニングが開始される。
【0033】
そして、特に重要な事柄を学ぶ場面(要点学習場面)に到達すると、例えば、図7に示すように、豆電球の絵柄と文字列“POINT!!!”により構成される要点マークパーツ213が画面に表示されるととともに、要点を学ぶ場面が訪れたことを報知する効果音(報知音)が出力され、この後、文字列“部下同士の葛藤は関係者を集める”とのキーワードパーツ212が画面に表示される。なお、この文字列の背後には、所定の幅を有する赤色のラインが表示され、これにより“部下同士の葛藤は関係者を集める”との文言をユーザが確実に認識できるようにしている。
【0034】
また、図8は、別の要点学習場面に到達した場合の画面表示例であり、要点を学ぶ場面が訪れたことを報知する効果音の出力とともに、要点マークパーツ213として“!”マークが表示された後、学習する上で重要なキーワードとなる“質問力”とのキーワードパーツ212表示される。この文字列の背後にも、“質問力”との文言をユーザが確実に認識できるようにするため、所定の幅を有する黄色のラインが表示される。また、図7や図8において表示されるキーワードパーツ212は、単に表示されるだけでなく、例えば、徐々に拡大表示されたり、画面の右端から左端へ移動表示される、あるいは背後に表示されたラインの色や幅が変わる等、時間経過に応じて表示態様を異ならせることができる。
【0035】
また、図9に示すように、効果音の出力とともに、まず、画面の最上段に文字列“やる気の方法”を表示した後、文字列“考えてから実行する=やる気”、文字列“考えながら実行する=やる気”、文字列“実行しながら考える=やる気”、文字列“実行してから考える=やる気”を、順次、1行ずつ表示していき、学習する上で重要なキーワードとなる“やる気”について、具体的な実践方法を交えながら繰り返し表示を行うことで、キーワードと、このキーワードに関連する情報をユーザにしっかりと学習させるようにすることもできる。
【0036】
以上説明したように教材データ20を構成する動画データ21には、学習する内容の要点を示す文言の画像データ(キーワードパーツ212)と、要点を学ぶ場面が訪れたことを報知するマークの画像データ(要点マークパーツ213)が含まれている。また、教材データ20を構成する音声データ22には、要点を学ぶ場面が訪れたことを報知する報知音のデータ(効果音パーツ222)が含まれている。
【0037】
したがって、本実施形態によれば、学習する内容の要点を示す単語や一文等が動画で表示されるとともに、要点を学ぶ場面が訪れたことがマークの表示や効果音の出力によってユーザに報知される。よって、学習上、特に重要となる単語や一文を強調して表示することができ、さらに要点を学ぶ場面が訪れたことをユーザに報知することができるので、要点をしっかりとユーザに学習させることができる。これに加え、動画データ21と音声データ22を併用し、視覚と聴覚の両方を用いてユーザにeラーニングを行わせるので、学習内容が理解し易い。以上のようなことから、動画を用いずに静止画のみを用いた場合や、学習内容を示す文書(テキストデータ)を単に画面に表示するだけの教材データと比較して、eラーニングの学習効果を高められる。
【0038】
また、編集装置60では、教材データ20を構成する動画パーツデータや音声パーツデータの再生条件を記録した編集データ608aを作成してHD608に保存し、この編集データ608aに従って対応する動画パーツデータや音声パーツデータを順次再生しつつ、これを録画および録音して教材データ20を生成する。したがって、HD608に保存された編集データ608aの内容を修正することで、教材データ20の一部を修正したり、新たなデータを追加することができるから、編集データ608aの修正作業が簡単に行える。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】通信システム1の構成を例示するブロック図である。
【図2】教材データ20の構成を説明するための図である。
【図3】背景パーツ211の具体例である。
【図4】編集装置60のハードウェア構成を例示するブロック図である。
【図5】通信システム1の各部の動作について例示するシーケンスチャートである。
【図6】携帯電話機50における画面表示例(その1)である。
【図7】携帯電話機50における画面表示例(その2)である。
【図8】携帯電話機50における画面表示例(その3)である。
【図9】携帯電話機50における画面表示例(その4)である。
【符号の説明】
【0040】
1…通信システム、10…ストリーミングサーバ、20…教材データ、21…動画データ、211…背景パーツ、212…キーワードパーツ、213…要点マークパーツ、22…音声データ、221…ナレーションパーツ、222…効果音パーツ、223…BGMパーツ、30…インターネット、40…移動パケット通信網、41…ゲートウェイサーバ、42…基地局、50…携帯電話機、60…編集装置、601…CPU、602…ROM、603…RAM、604…通信インタフェース、605…操作部、606…表示部、607…音声再生部、608…HD、608a…編集データ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画データと音声データにより構成されるeラーニング用の教材データであって、
前記動画データには、学習する内容の要点を示す文言の画像データと、前記要点を学ぶ場面が訪れた際に表示され、前記場面が訪れたことをユーザに報知するマークの画像データが含まれている
ことを特徴とするeラーニング用の教材データ。
【請求項2】
前記音声データには、前記要点を学ぶ場面が訪れた際に出力され、前記場面が訪れたことをユーザに報知する報知音のデータが含まれている
ことを特徴とする請求項1に記載のeラーニング用の教材データ。
【請求項3】
動画データと音声データにより構成されるeラーニング用の教材データを編集する編集装置であって、
動画パーツデータと音声パーツデータを各々複数記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された動画パーツデータと音声パーツデータを各々複数使用して前記教材データを編集し、前記教材データを構成する各動画パーツデータの再生条件と、前記教材データを構成する各音声パーツデータの再生条件を定める編集手段と、
前記編集手段により定められた、前記各動画パーツデータの再生条件と前記各音声パーツデータの再生条件を記録した編集データを作成する作成手段と、
前記作成手段により作成された編集データに従って対応する動画パーツデータと音声パーツデータを順次再生しつつ、再生された内容を記録して教材データを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された教材データを出力する出力手段と
を具備することを特徴とする編集装置。
【請求項4】
前記作成手段により作成された編集データを修正し、前記教材データを構成する動画パーツデータまたは音声パーツデータと、その再生条件を変更する修正手段をさらに具備し、
前記生成手段は、前記修正手段により修正された編集データに従って対応する動画パーツデータと音声パーツデータを順次再生しつつ、再生された内容を記録して教材データを生成する
ことを特徴とする請求項3に記載の編集装置。
【請求項5】
動画データと音声データにより構成されるeラーニング用の教材データを編集する編集システムであって、
動画パーツデータと音声パーツデータを各々複数記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された動画パーツデータと音声パーツデータを各々複数使用して前記教材データを編集し、前記教材データを構成する各動画パーツデータの再生条件と、前記教材データを構成する各音声パーツデータの再生条件を定める編集手段と、
前記編集手段により定められた、前記各動画パーツデータの再生条件と前記各音声パーツデータの再生条件を記録した編集データを作成する作成手段と、
前記作成手段により作成された編集データに従って対応する動画パーツデータと音声パーツデータを順次再生しつつ、再生された内容を記録して教材データを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された教材データを出力する出力手段と
を具備することを特徴とする編集システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−119362(P2006−119362A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−307025(P2004−307025)
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(300064434)ドコモ・モバイル株式会社 (2)
【Fターム(参考)】