説明

ボール洗浄具

【課題】嵩が低くて持ち運びに便利であると共に、洗浄効果や洗浄効率に優れたボール洗浄具を提供する。
【解決手段】ボールBの表面を被うことができるようにした中空体1の内周部に、ボールBの表面に均等に接触可能とした洗浄体2を設けたものとしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、野球用ボール、テニス用ボール、ゴルフ用ボールなど各種のボールを洗浄するのに適したボール洗浄具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、野球の場合、ボールには、少年野球等で使用される軟式ボール、中学野球等で使用される準硬式ボール、プロ野球、社会人野球、高校野球等で使用される硬式ボール、女子野球等で使用されるソフトボールなどが存在する。
【0003】
このような野球用のボールの洗浄器としては、例えば図11に示したように、洗浄槽11内に、洗浄用ブラシ12aを植設した回転ブラシ12を設けると共に、洗浄槽11に施蓋される蓋体13の内面に、洗浄用ブラシ14aを植設した固定ブラシ14を設け、固定ブラシ14と回転ブラシ12との間に5〜6個程度のボールBを挟持して、これらのボールBを一度に洗浄できるようにしたものが存在する(特許文献1)。
【0004】
また、前記野球用のボールが土やドロなどで汚れた場合には、その汚れを落とすために、靴用ブラシ、爪ブラシ、雑巾等を用いて洗浄していた。
【特許文献1】実開昭55−180460号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のボールの洗浄器では、5〜6個程度のボールを一度に洗浄できるが、器体の嵩が大きく持ち運びに不便であり、また洗浄には動力が必要であるので、使用するのに不便であるという問題点を有していた。
【0006】
さらに、野球用のボールを洗浄するのに、従来のように靴用ブラシ等を用いる場合には、この靴用ブラシ等は嵩が低く持ち運びに便利であり、また動力が不要で使用するのに便利であるが、洗浄体が略平面状であるため、ボールの球面と接触し難く、またボールの球面に沿って洗浄するのが困難であり、洗浄効果や洗浄効率が悪いという問題点を有していた。
また、従来のような靴用ブラシ等では、洗浄体が略平面状であるために、洗浄液を使用した場合、泡状になった洗浄液が洗浄体からすぐに流れ落ちてしまい、洗浄効率が悪くなってしまうという問題点を有していた。
【0007】
そこで、この発明は、上記従来の問題点を解消するものであり、嵩が低くて持ち運びに便利であると共に、洗浄効果や洗浄効率に優れたボール洗浄具を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のボール洗浄具は、ボールBの表面を被うことができるようにした中空体1の内周部に、ボールBの表面に均等に接触可能とした洗浄体2を設けたものとしている。
【0009】
そして、この発明のボール洗浄具は、前記中空体1の内周部を、略半球状に形成したものとしている。
【0010】
また、この発明のボール洗浄具は、前記洗浄体2をブラシとし、このブラシの先端が前記ボールBの表面に接触するときに、前記洗浄体2と前記ボールBの表面とが略90度になるようにしている。
【0011】
さらに、この発明のボール洗浄具は、前記洗浄体2をスポンジまたは起毛状の布地からなるものとしても良い。
【発明の効果】
【0012】
この発明のボール洗浄具は、以上に述べたように構成されており、嵩が低くて持ち運びに便利であると共に、洗浄効果や洗浄効率に優れたものとなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明のボール洗浄具の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
この発明のボール洗浄具は、ボールBの表面を被うことができるようにした中空体1を備えたものとしており、この中空体1の内周部には、ボールBの表面に均等に接触可能とした洗浄体2を設けたものとしている。
【0015】
前記中空体1は、内周部を略半球状に形成し、ボールBの表面の略半分を被うことができるようにすれば、以下に述べるようにしてボールBを洗浄することができるものとなり、洗い残しやムラが無くなり短時間で効率よく洗浄することができるものとなる。また、洗浄液を使用した場合には、洗浄液が泡状になり、前記中空体1の略半球状内部に留まり、泡が洗浄時にすぐに流れ落ちてしまうことを防ぎ、洗浄効率を高めるものとなる。
【0016】
さらに、前記中空体1は、ボールBの表面の略半分以下、例えばボールBの表面の1/3〜1/5程度を被うことができるようにしたものとしても良いが、これより小さくすると、洗い残しやムラが生ずることが有り、また短時間で効率よく洗浄することができないので、あまり好ましくはないが、全体的にボリューム感が減少するため携帯性が向上するという利点もある。
【0017】
前記中空体1は、図示したように、外周部を略半球状に形成し、内周部の略半球状に沿った形状とし、嵩張らないものとしているが、外周部を立方体等に形成したものとし、この立方体等の角部を手で掴むことにより、手に持ち易いものとすることができるほか、手の平に合わせて丸みをつけた形状にしたり、握ったときに指を滑りにくくする角部を形成することにより、手に馴染みやすく使用し易いものとすることができる。
【0018】
また、前記中空体1の外周部には、挟持部3aと押え部3bを側面視、略T字状に配置した持ち手3を突設したものとし、この持ち手3の挟持部3aを手指の間に挟み、中空体1の外周部に手の平が沿うようにし、持ち手3の押え部3bによって手の甲が押さえられるようにして前記中空体1を持つことにより、この中空体1の外周部が略半球状に形成したものであっても、持ち易いものとなる。
【0019】
さらに、前記中空体1の外周部には、図5〜8に示したように、中空体1の内周部への送液管4を介して、洗浄液の収容部5を突設したものとし、この送液管4を手指の間に挟み、中空体1の外周部に手の平が沿うようにし、収容部5の下部により手の甲が押さえられるようにして前記中空体1を持つことにより、この中空体1が持ち易いものとなる。また、前記収容部5を弾性変形可能なものにしておけば、前記中空体1を持ちながら、収容部5を押圧すれば、収容部5内に収容した洗浄液を中空体1の内周部へ簡単に送ることができる。
【0020】
また、前記中空体1には、内周部から外周部へ通じる複数の孔(図示せず)を設けておくことができる。これらの孔は、前記洗浄液を中空体1の内周部へ送ったときに、洗浄液の泡立ちを確認することができる。すなわち、泡立ちが良い場合には、泡がこれらの孔から溢れ出てくることになるので、洗浄状態が確認し易くなる利点も付加されることになる。
【0021】
さらに、前記中空体1には、洗浄液の収容部5に代えて、またはこの収容部5と共に中空体1の内周部に水を送るホース(図示せず)を取り付けたものとすることができる。このホースを前記中空体1に取り付けた場合は、洗浄した後のボールBをホースからの水で直接濯ぐことができ、後に述べるようにバケツ等に入れた綺麗な水にボ−ルBを浸して濯がなくてもよいので、この濯ぎの作業を効率よく行うことができるものとなる。
【0022】
前記洗浄体2は、ブラシ、スポンジまたは起毛状の布地からなるものとしている。前記洗浄体2をブラシとした場合、化学合成素材からなる合成繊維や、毛先の形状をテーパー状にした繊維状の物にすることができる。さらに、前記洗浄体2をブラシとした場合、合成樹脂からなる、素材により形成されたブラシとしてもよく、また天然素材である植物性繊維や豚毛、馬毛などの獣毛を使用することもできる。そして、このブラシの先端が前記ボールBの表面に接触するときに、前記洗浄体2と前記ボールBの表面とが略90度になるようにし、しかもそのブラシを靴用ブラシなどよりも細く多量の毛を植設したものにすることにより、ボールBの表面に存在する溝や細かい凹凸の中の汚れを綺麗に掻き落とすことができ、洗浄効率が優れたものとなる。洗浄体2をスポンジまたはビロード等の起毛状の布地とした場合も、ボールBの表面に接触し易くなると共に、洗浄液を使用した場合に泡立ちがよいものとなり、洗浄効率が優れたものとなる。
【0023】
前記洗浄体2をブラシとした場合には、中空体1の内周部に沿うように変形可能とした帯状体6の表面にブラシを植設し、この帯状体6の裏面を中空体1の内周部に接着したものとすれば、ブラシを中空体1の内周部に簡単に設けることができる。また、図示したように、前記ブラシを植設した帯状体6の一端を、中空体1の頂部に設けた係止体7に係止させ、同帯状体4の他端を、中空体1の周縁部に設けたリング状止体8に止着することにより、ブラシを中空体1の内周部に簡単に設けることもできる。このようにすると、長年の使用によってブラシが劣化した場合には、前記帯状体6のままブラシを新しいものに取り替えることができるので、洗浄効果が低下することもない。
【0024】
前記帯状体6は、合成樹脂等の細長の板体からなるものとし、この板体に一定の間隔をおいて幅方向に形成した複数の溝部9から折り曲げることにより、中空体1の内周部に沿うように変形可能としているが、帯状体6を弾性変形可能な材質にすることにより、中空体1の内周部に沿うように変形可能とすることもできる。また、図示した実施の態様では、前記帯状体6の複数を、中空体1の頂部から周縁部に向かって放射状に配設したものとしているが、このような形態に限定されるものではない。
【0025】
この発明のボール洗浄具は、以上に述べたように構成されているので、これを使用する例として、次のようにして行う。
【0026】
先ず、この発明のボール洗浄具の一つを使用して、汚れたボールBを洗浄するには、図9に示したように、水でボールB濡らした後、前記したようにボール洗浄具を片手で持ち、もう一方の手でボールBを持つ。そして、このボール洗浄具の中空体1にボールBを入れ込み、ボールBの表面に洗浄体2が接触するようにし、ボールBを中空体1内部で10回程度軽く擦り付ける様にしてボールBの表面全体の汚れをまんべんなく落とす。
【0027】
この場合、前記中空体1の内周部に、粉状または液状などの洗浄剤を入れて、ボールBの表面全体を洗浄体2で擦りつければ、ボールBの表面の汚れを効率よく落とすことができる。また、この場合、前記中空体1の外周部に洗浄液の収容部5を設けたものでは、この収容部5から中空体1の内周部へ簡単に洗浄液を送ることができるので、ボールBの表面の汚れはより簡単に効率よく落とすことができる。
【0028】
次に、この発明のボール洗浄具の二つを使用して、汚れたボールBを洗浄するには、一方の手でボール洗浄具を持ち、ボールBをボール洗浄具の中空体1に入れ、反対の手もボール洗浄具を持ちボールを包みこむようにし、図10に示したように、ボールBの表面に洗浄体2が接触するようにし、ボールBを中空体1内部で5回程度軽く擦り付ける様にしてボールBの表面全体の汚れをまんべんなく落とす。
【0029】
この場合も、前記した様に、一方または双方の中空体1の内周部に、粉状または液状などの洗浄剤を入れて使用すれば効率よく落とすことができる。また前記収容部5を設けたものでは、この収容部5から中空体1に内周部へ簡単に洗浄液を送ることができるので、ボールBの表面の汚れはより簡単に効率よく落とすことができる。
【0030】
そして、前記ボール洗浄具の一つを使用した場合も、二つを使用した場合も、表面の汚れを落としたボールBは、蛇口からの水流で濯ぐか、バケツ等に入れた綺麗な水に浸して濯がれる。この濯がれたボールBは、その後タオル等で拭くなどしてから、乾燥される。
【0031】
したがって、この発明のボール洗浄具は、ボールBを傷めることなく、効率の良い洗浄方法により、ボールのメンテナンスが容易になり、ボールの保管状態も改善され、品質保持寿命が伸びボールの利用寿命も伸びるので、買い替えコストも低減できるものとなる。
【0032】
また、この発明のボール洗浄具は、野球用ボールの他、テニス用ボール、ラクロス用ボール、ゴルフ用ボールなどの各種ボールを洗浄する場合に使用できるものとなった。
【0033】
なお、この発明のボール洗浄具は、前記したように手動による使用方法以外に、その他の動力を使用した洗浄装置等に取り付けて使用すれば、さらに労力が少なく、より効率の良い洗浄を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明のボール洗浄具の一実施形態を示す側面図である。
【図2】図1に示すこの発明のボール洗浄具の断面図である。
【図3】図1に示すこの発明のボール洗浄具の平面図である。
【図4】図1に示すこの発明のボール洗浄具の底面である。
【図5】この発明のボール洗浄具の他の実施形態を示す側面図である。
【図6】図5に示すこの発明のボール洗浄具の断面図である。
【図7】図5に示すこの発明のボール洗浄具の平面図である。
【図8】図5に示すこの発明のボール洗浄具の底面である。
【図9】図1に示すこの発明のボール洗浄具を一つ使用して、汚れたボールを洗浄する場合の説明図である。
【図10】図1に示すこの発明のボール洗浄具を二つ使用して、汚れたボールを洗浄する場合の説明図である。
【図11】従来のボール洗浄器の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 中空体
2 洗浄体
B ボール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボール(B)の表面を被うことができるようにした中空体(1)の内周部に、ボール(B)の表面に均等に接触可能とした洗浄体(2)を設けたことを特徴とするボール洗浄具。
【請求項2】
前記中空体(1)の内周部を、略半球状に形成したことを特徴とする請求項1記載のボール洗浄具。
【請求項3】
前記洗浄体(2)をブラシとし、このブラシの先端が前記ボール(B)の表面に接触するときに、前記洗浄体(2)と前記ボール(B)の表面とが略90度になるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載のボール洗浄具。
【請求項4】
前記洗浄体(2)をスポンジまたは起毛状の布地からなるものとしたことを特徴とする請求項1または2記載のボール洗浄具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−104548(P2010−104548A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−279342(P2008−279342)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(390024316)池本刷子工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】