説明

ラベル貼付装置

【課題】 吸着部が商品に接する時間を短くすることにより、商品や包材が傷付くのを抑制する。
【解決手段】 ラベル発行部に発行されたラベルLを吸着して商品Mの上方に移動し、ラベルLを商品Mの上面に貼付するラベル貼付装置に関する。水平L向および上下方向に移動する移動部16と、移動部16の下方に配置されラベルLを吸着する吸着部20と、移動部16に対して吸着部20を上下動可能に支持する支持機構18とを備え、吸着部20が商品に接触する前には、移動部16に対する吸着部20の相対位置が第1の相対位置となるように保持し、一方、吸着部が商品に接触した後の所定のタイミングにおいては、相対位置が第1の相対位置よりも上方の第2の相対位置となるように保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル貼付装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、肉、魚などの生鮮食品、惣菜などの商品の多くはトレーに盛付けて、値付包装機にてオーバーラップされ、品名、価格などの表示されたラベルが貼付された状態で、販売されている。この値付包装機の場合、ラベルの貼り付けは包装工程最終の排出動作で行われる。多様なトレーサイズに対応するために、ラベルの貼り付けは、トレーの頭を捕らえ移動中にタイミングを計り指定された位置に貼り付けることが多い。
【0003】
この種の値付包装機におけるラベルの貼り付け方式として、一般に、アームなどでラベルを商品に押し付けるメカ方式が採用されている。
図8および図9は、かかるメカ方式のラベル貼付装置13を搭載した値付包装機1を示している。値付包装機1は、商品MをトレーT(被包装物)ごとストレッチフィルムで包装した後、搬送中の商品Mにラベル貼付装置13でラベルを貼付する。
商品Mの包装は、包装ステーションSに設けられた包装機構(図示せず)によって行われる。該包装機構は、包装ステーションSに張設されたフィルムFを商品Mの底面側に折り込む複数の折込部材を備えた公知の機構が採用されており、たとえば、特開2002−114212号公報にその詳細な構成が開示されている。
【0004】
前記包装ステーションSの上方には、商品Mの内容に応じたラベルLを発行するラベルプリンタ12とラベル貼付装置13が配設されている。ラベル貼付装置13は、商品Mが排出台209上に排出されるまでの間に、ラベルプリンタ12からラベル待機部(ラベル発行部の一例)30上に発行されたラベルLを商品Mの上面に貼付する。
【0005】
図9に示すように、ラベル貼付装置13は、昇降機構13a、駆動ロッド13L、支持部15および吸着部(吸着板)140を備えている。前記駆動ロッド13Lは鉛直方向Zに沿って設けられている。前記駆動ロッド13Lの上端部には前記昇降機構13aが設けられ、一方、前記駆動ロッド13Lの下端部には、前記支持部15が設けられている。前記吸着部140は、コイルバネ(図示せず)を介して、前記支持部15に取り付けられている。前記昇降機構13aにより前記駆動ロッド13Lが上下に駆動されることで、吸着部140が鉛直方向Zに往復動される。
【0006】
前記値付包装装置1の本体220(図8)内には、図9に示すレールRx ,Ry が設けられている。該レールRx ,Ry は、互いに直交する方向に沿って設けられていると共に、それぞれ、奥行方向Xおよび左右方向Yの水平の2方向に設定されている。
【0007】
ラベル貼付装置13の本体130は、該レールRx ,Ry に沿って水平方向に駆動可能に設けられている。したがって、貼付ヘッド14は、奥行方向X、左右方向Yおよび鉛直方向Zに移動自在に設定されている。
【0008】
ラベルの貼付動作においては、まず、前記吸着部140は、前記ラベルプリンタ12(図8)から発行されたラベルLを負圧で吸着して保持した状態で待機している。包装されたトレーTが搬送されてくると、前記吸着部140は、所定のタイミングで搬送中のトレーTに向って下降し、保持しているラベルLを商品Mの上面に貼付する。
【0009】
ここで、ラベル貼付装置は、プリンタ12にて印字されたラベルLを吸引力のある吸着部140で保持し、該吸着部140をラベルLの貼り付け方向に合わせるために回転させたり、所定の貼り付け位置に移動した後に上方からラベルLを押し付ける。吸着部140が商品Mに押し付けられたのをセンサで検知すると吸着部140が反転し上昇する。
しかし、吸着部140が反転し上昇している間も商品Mは吸着板140が上面に接した状態で排出方向に移動しており、押し付ける吸着部140と商品Mとの間に摩擦が発生して、商品のフィルムFを傷つけたり、吸着部140が磨耗したりする弊害が生じる。
【0010】
かかる摩擦を解消するための構造として下記の特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開平2001−31036号(第4頁右欄、図8)
【0011】
しかし、この種のアームを持つメカ方式では、商品の高さのバラツキに応じてラベルを貼付可能とするために、圧縮可能なスプリングを設けており、そのため、吸着部が商品に接触している時間が長くなる。商品と吸着部との接触時間が長くなると、商品に吸着部が押し付けられた状態で移動する距離が長くなるから、商品やフィルムが吸着部により傷付くおそれがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の主目的は吸着部が商品に接する時間を短くすることにより、商品や包材が傷付くのを抑制することである。
【0013】
ところで、ラベルを貼付する商品の表面に霜や水滴がついている場合には、商品の表面に対するラベルの糊の粘着力が弱く、そのため、前記粘着力よりも吸着部がラベルを吸着する力の方が強くなり、ラベル貼付動作の直後に、吸着部がラベルを持ち帰ってしまう不具合が起こる。
また、吸着部がラベル発行部の上空に到達してからラベル発行をしていては、ラベル吸着の際に、吸着部に待ち時間が発生してしまい、時間をロスしてしまう。時間ロスを無くすため、吸着部がラベル発行部上空に到達する前にラベルの発行を完了させたいが、天地が長いラベルの先端部分は他からの拘束力が無いため、吸着部がラベル上空を移動している間に吸着部に吸い寄せられラベルの吸着位置がずれてしまい、その結果、貼付位置がずれる。
【0014】
したがって、本発明の他の目的は、不用意に吸着部がラベルを吸着するのを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するために、本発明のラベル貼付装置は、ラベル発行部に発行されたラベルを吸着して商品の上方に移動し、ラベルを商品の上面に貼付するラベル貼付装置であって、水平方向および上下方向に移動する移動部と、前記移動部の下方に配置されラベルを吸着する吸着部と、前記移動部に対して前記吸着部を上下動可能に支持する支持機構とを備え、前記吸着部が商品に接触する前には、前記移動部に対する前記吸着部の相対位置が第1の相対位置となるように保持し、一方、前記吸着部が商品に接触した後の所定のタイミングにおいては、前記相対位置が前記第1の相対位置よりも上方の第2の相対位置となるように保持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
移動部が下降して吸着部が商品に接触すると、ラベルが商品に貼付されると共に、吸着部が第1の相対位置から上方に向って退避する。一方、移動部が上昇すると、吸着部が上方の第2の相対位置で保持され、この第2の相対位置で保持された吸着部が商品の上面から逸早く離れる。したがって、吸着部が商品に接している時間が短くなるので、商品や包材を傷付けるのを抑制し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の好適な実施例においては、前記吸着部が商品から離れた後、次のラベルを商品に貼付するために前記吸着部が商品に接するまでの間に、前記吸着部が前記第2の相対位置から前記第1の相対位置に復帰する。
こうすれば、次のラベルの貼付動作前に第1の相対位置に復帰するので、次回以後の商品についても包材等の傷付きを抑制し得る。
【0018】
本発明において、前記吸着部を介してラベルに負圧を作用させる吸引手段と、前記移動部に設けられ吸引手段の負圧が作用するチャンバと、前記吸着部が第1の相対位置に下がった状態では閉弁し、一方、前記吸着部が第2の相対位置に上がった状態では、開弁して前記吸着部以外から前記チャンバに外気を導入させる負圧調整弁とを更に備えているのが好ましい。
このようにすれば、負圧調整弁により負圧の大きさを制御することで、必要に応じた吸着力が得られる。すなわち、吸着部が第1の相対位置に下がった状態では負圧調整弁が閉弁して、チャンバを介して吸着部に大きな負圧力が作用するので、ラベルの確実な吸着および吸着保持が可能となる。一方、吸着部が第2の相対位置に上がった状態では、負圧調整弁が開弁して、チャンバ内の負圧が小さくなるから、吸着部に作用する負圧が小さくなるので、不用意に吸着部がラベルを吸い寄せるのを防止し得る。
【0019】
本発明において、前記商品にラベルを貼付した後、次のラベルを吸着するために前記次のラベルの上方に前記吸着部が移動するまでの間の吸着部の負圧による吸着力が、前記次のラベルを吸着するために前記次のラベルに向って下方に移動する間の吸着部の負圧による吸着力よりも小さくなるように制御するのが好ましい。
こうすれば、ラベルを吸着しない移動時には、吸着部の負圧吸引力が小さいので、ラベル発行部に発行された大きなラベルを不用意に吸い寄せるのを防止できるから、ラベルの貼付位置や貼付状態の精度が向上する。
【実施例1】
【0020】
以下、本発明の実施例1にかかるラベル貼付装置を図面に従って説明する。
以下の説明においては、本発明の要部について主に説明し、その他の部分は、図8のラベル貼付装置と同様の構造であり、したがって、その詳しい説明を省略する。
【0021】
図1(a)に示すように、貼付ヘッド14は、支持部15を介して駆動ロッド13Lの下端部に取り付けられている。前記貼付ヘッド14は、平行運動機構4を介して、支持部15に取り付けられている。該支持部15は、図8、図9の値付包装機において説明したように、前記駆動ロッド13Lの下端部に固定されており、図1(a)の貼付ヘッド14を支持している。
【0022】
平行運動機構4:
図1(b)に示すように、前記平行運動機構4は、貼付ヘッド14の下端面(吸着部20の保持面20a)を概ね水平に維持したままの状態で、貼付ヘッド14が商品Mの搬送方向Xに対応する第1方向R1に回転しながら移動するように制御するものである。この平行運動機構4は、たとえば、周知の平行クランク機構からなり、第1および第2平行リンク41,42を有している。
【0023】
前記第1および第2平行リンク41,42の上端は、前記支持部15に回転自在に取り付けられている。一方、前記第1および第2平行リンク41,42の遊端(下端)には、前記貼付ヘッド14が取り付けられている。
前記各平行リンク41,42は、互いに密着するように設けられている。これにより、前記ヘッド14がラベルLを貼付する姿勢において、前記一対の平行リンク41,42が商品Mの搬送方向Xに対応する第1方向R1にのみ回転できるように構成されている。ラベルLの貼付後、平行リンク41,42が逆方向R2に回転し、貼付ヘッド14が支持部15の下方の位置に復帰する。
【0024】
貼付ヘッド14:
前記貼付ヘッド14は、上方から下方に向って順に、吸引手段17、移動部16、進退部18および吸着部20を備えている。
吸引手段17は、たとえば、電動ファンからなり、吸着部20に負圧を生じさせることで、吸着部20の下面に設けられた保持面20aにラベルLを吸着させる。
【0025】
支持機構:
図2(a)〜(c)は、貼付ヘッド14の概略正面図である。
図2(a)〜(c)に示すように、進退部18は、移動部16のチャンバC内に出入自在に設けられている。進退部18は、図2(a)に示す伸張状態から、図2(c)に示す移動部16内に大きく入り込んだ収縮状態まで、上下動が可能である。移動部16内と進退部18との間には、ラベル貼付時に吸着部20をトレーTに押しつけると共に、収縮して衝撃を小さくするための緩衝バネ16aが設けられている。前記チャンバC内には、前記進退部18の上下動(摺動)を案内する複数本の案内ロッド(図示せず)が設けられている。この案内ロッド、前記緩衝バネ16aおよび進退部18は、移動部16に対して吸着部20を上下動自在に支持する支持機構を構成している。
【0026】
前記緩衝バネ16aおよび進退部18は、図5(a)に示すラベルLの貼付時において、吸着部20がラベルLを介してトレーTの上面Tuに接触してから(図5(a)-(ii))、貼付ヘッド14が下降端に達する(図5(a)-(iv))までの間に、伸張状態から収縮状態となり、吸着部20とトレーTとの接触時の衝撃を小さくする。
【0027】
ソレノイド19:
図2に示す移動部16の側部には、ソレノイド(保持手段)19が固定されている。ソレノイド19のプランジャ19aには伝達部材25の上部が固定されており、伝達部材25には、上下方向に長孔25aが形成されている。進退部18の下部側面には固定部材27が突設されており、該固定部材27は、前記長孔25a内を上下動自在に係合している。長孔25a内には、固定部材27を長孔25aの下端に押しつける復帰バネ26が設けられている。移動部16には進退部18の上端やダミーの被検出体を検出する光センサ21が設けられている。
【0028】
進退部18が図2(a)に示す伸張状態から、吸着部20に対して移動部16が下降すると、光センサ21が進退部18の上端を検出し、ソレノイド19に電力が供給される。進退部18の収縮に伴い、伝達部材25が相対的に上昇して、図2(b)に示すように、ソレノイド19のプランジャ19aが縮んだ保持状態となる。吸着部20に対して移動部16が更に下降すると、図2(c)に示すように、復帰バネ26が縮んだ収縮状態となる。
【0029】
負圧調整弁:
図3(a),(b)に示すように、進退部18は、鍔状の上端部18u、下端部18dおよび両端部18u,18dの間に形成された筒部18sからなる。進退部18内には、連通部18eが形成されており、該連通部18eが移動部16内のチャンバCに連通している。吸着部20には複数の吸引孔20eが形成されており、該吸着部20の各吸引孔20eは、前記連通部18eを介して移動部16のチャンバCに連通している。
【0030】
図3(a)に示すように、移動部16の下端には、略水平方向に折り曲げられた折曲部16bが形成されている。図3(a)に示す進退部18の伸張状態においては、進退部18の上端部18uが折曲部16bに接触して進退部18が係止されると共に、上端部18uの下面が、図示しないゴムパッキンを介して折曲部16bの上面に密着する。吸引手段17の負圧は、移動部16のチャンバCに作用し、進退部18の連通部18eおよび吸着部20の吸引孔20eを介して、ラベルLを吸着する吸着力として作用する。
【0031】
一方、図3(b)に示すように、移動部16の前記折曲部16bは、進退部18の筒部18sとの間に隙間16sが生じる程度の大きさに形成されている。吸着部20に対して移動部16が下降すると、上端部18uの下面と折曲部16bの上面とが離れ、前記隙間16sから外気AがチャンバC内に導入される。そのため、吸着部20の吸引孔20eの負圧が小さくなる。したがって、前記上端部18uと折曲部16bとは負圧調整弁Vを構成している。
【0032】
すなわち、図3(a)のように、移動部16に対して吸着部20が第1の相対位置に下がった状態では、負圧調整弁Vが閉弁状態となる。一方、図3(b)のように、進退部18が移動部16に対して第2の相対位置に上昇した状態では、負圧調整弁Vが開弁状態となる。
【0033】
つぎに、貼付ヘッド14の詳細な動作説明に先立って、ラベル受取・貼付時における貼付ヘッド14の一連の動作について簡単に説明する。
【0034】
図4(a)に示すように、ラベルプリンタ12からラベル発行部30に新たなラベルLが発行されると共に、貼付ヘッド14が該ラベルL上方の原点位置Poに移動する。該移動後、図4(b)に示すように、貼付ヘッド14が前記原点位置PoからラベルLに向って若干下降し、ラベルLを吸着して受け取る。前記吸着後、図4(c)に示すように、貼付ヘッド14は搬送方向Xに移動し、所定の待機位置Pwで待機する。
【0035】
商品Mが搬送されてくると、図4(d)に示すように、貼付ヘッド14は、所定のタイミングで前記待機位置Pwから下降し、商品Mの上面TuにラベルLを貼付する。該貼付後、図4(e)に示すように、貼付ヘッド14は上昇し、更に、図4(a)の原点位置Poに向って移動し、次のラベルLの発行に備える。
【0036】
貼付動作:
つぎに、前記貼付動作の詳細について図5(a)に基づいて説明する。
図5(a)は、貼付ヘッド14の貼付動作を示す正面からの概略断面図である。
包装されたトレーTが搬送されると、ラベルLを保持面20aに吸着した状態の前記貼付ヘッド14は、図5(a)-(i) に示すように、所定のタイミングで搬送中のトレーTに向って下降される。この際、進退部18は、図3(a)に示すように、前記伸張状態に設定されており、吸着部20は前記第1の相対位置に保持されている。前記伸張状態においては、進退部18の上端部18uと前記折曲部16bとが密着して負圧調整弁Vが閉弁しており、吸引孔20eにラベルLが吸着されている。
【0037】
前記貼付ヘッド14は、更に下降し、図5(a)-(ii)に示すように、吸着部20の保持面20aがラベルLを介してトレーTの上面Tuに接触する。
貼付ヘッド14が更に下降すると、図5(a)-(iii) に示すように、移動部16が進退部18に対して下降し、図2(b)に示す緩衝バネ16aが縮められる。かかる移動部16の下降を光センサ21が検出し、ソレノイド19が導通し、プランジャ19aが縮む。一方、図3(b)に示すように、負圧調整弁Vが開弁して隙間16sから外気が流入するので、吸引孔20eの吸引力が弱まる。
【0038】
貼付ヘッド14は、更に下降を続け、図5(a)-(iV) に示す下降端に達すると、進退部18は、図2(b)の保持状態よりも更に収縮した図2(c)の収縮状態となる。
【0039】
その後、貼付ヘッド14が上昇を開始すると、復帰バネ26のバネ力により、図2(b)の固定部材27が長孔25aの下端部まで押し下げられる。一方、ソレノイド19が導通しているため、進退部18は、第2の相対位置に上った保持状態となる。
更に、貼付ヘッド14が上昇すると、前記吸引力の弱い保持状態が保たれているので、吸着部20がラベルLから離れ、図5(a)-(v) 〜図5(a)-(vii) に示すように、前記保持状態が保たれたままで貼付ヘッド14が上昇する。
なお、吸着部20がトレーTに接触してから離れるまでの間に、図1(b)に示すように、貼付ヘッド14が搬送方向Xに回転移動される。
【0040】
ここで、比較例として、ソレノイド19を有していない場合の貼付動作を図5(b)に示す。図5(b)において、前記ソレノイド19を設けていないので、進退部18は前記保持状態とならないため、貼付ヘッド14が上昇を開始した図5(b)-(v) から、貼付ヘッド14が若干上昇する図5(b)-(vi)に至るまでの間、吸着部20はラベルLを介してトレーTに接している。
これに対し、本実施例では、ソレノイド19が作動して吸着部20を第2の相対位置に保持するので、つまり、吸着部20が移動部16と共に逸早く上昇するので、図5(b)-(v) に対応する図5(a)-(v) のタイミングでは、すでに吸着部20が商品Mから離れている。
【0041】
このように、貼付ヘッド14が下降して吸着部20がラベルLを介して商品Mに接触すると、ラベルLが商品Mに貼付されると共に、吸着部20が第1の相対位置から上方に向って退避する。一方、貼付ヘッド14が上昇すると、吸着部20が上方の第2の相対位置で保持されるため、吸着部20が商品Mの上面Tuから逸早く離れる。したがって、吸着部20が商品Mに接している時間が短くなるので、商品MやフィルムFなどを傷付けるのを抑制し得る。
【0042】
また、吸着部20が第1の相対位置に下がった状態では、図3の負圧調整弁Vが閉弁し、移動部16のチャンバCを介して吸着部20に大きな負圧が作用するので、ラベルLの確実な吸着および吸着保持が可能となる。したがって、ラベルLが大型であっても、あるいは、ラベルLの姿勢を変えるためにラベルLを旋回させても、ラベルLが不用意に位置ズレするのを防止できる。
【0043】
一方、進退部18が上昇すると負圧調整弁Vが開弁し、チャンバC内の負圧が小さくなるから、吸着部20に作用する負圧が小さくなる。そのため、吸着部20とトレーTとがラベルLを介して接触している時間を短くしても、不用意に吸着部20がラベルLを吸い寄せるのを防止でき、確実にトレーTにラベルLを貼付することができる。特に、ラベルLを貼付するフィルムFや商品Mの表面に霜や水滴が付着している場合であっても、確実にラベルLを貼付することができる。
【0044】
受取動作:
つぎに、前記受取動作の詳細について説明する。
図6に示すように、前記ラベルLの貼付後、貼付ヘッド14が所定の位置まで上昇し、更に、貼付ヘッド14がラベルLの発行位置の上方に向って移動する。この際、次のラベルLがラベルプリンタ12からラベル発行部30に発行されている。一方、図2(b)のソレノイド19への給電が停止され、進退部18および吸着部20が前記移動部16に対して相対的な下降を開始する。
【0045】
図6の実線で示すように、前記吸着部20は、ラベル発行部30の上方から、ラベルプリンタ12によって発行された次のラベルLに向って下降し、当該次のラベルLを吸着部20に吸着する。ラベル発行部30に貼付ヘッド14が下降するまでの間に、進退部18が図3(a)の伸張状態となり、前記負圧調整弁Vが閉弁される。
【0046】
ここで、図6の貼付ヘッド14がラベル発行部30の真上の原点位置Poに戻るまでに、吸着部20の負圧による吸引力が多くなるように、ソレノイド19の作動タイミングを調整する。すなわち、次のラベルLの上方に吸着部20が移動するまでの間の該吸着部20の負圧による吸引力は、ラベルLを吸着するために、吸着部20が下方に移動する間よりも、小さくなるように制御されている。
【0047】
したがって、ラベルプリンタ12のラベル発行部30に発行されたラベルLを不用意に吸着するおそれがないから、次のラベルLの先端付近の上方を避けて吸着部20が移動する必要がないので、最短距離で吸着部20を移動させることができる。
【0048】
前記ラベルLの吸着後、吸着部20は待機位置Pwに移動し、次の商品Mへのラベル貼付に備える。
したがって、吸着部20は、次のラベルLの貼付動作前に、第2の相対位置から第1の相対位置に復帰するので、次回以降のラベル貼付についても第1相対位置から相対的に上昇し、包材などの損傷を抑制することが可能となる。
【0049】
なお、前述の実施例1では、第2の相対位置に上昇した吸着部20をソレノイド19の保持力で保持させることとしたが、図7に示すように、吸着部20が商品Mに接触した後、直ちに吸着部20をソレノイドの持上力により、第2の相対位置に上昇させるようにすれば、吸着部20が商品Mに接触する時間を更に短縮することができる。
但し、ソレノイドの持上力により吸着部20を持ち上げると、ソレノイドが大型になって、貼付ヘッド14が大型化するデメリットが生じる。
【0050】
また、前述の実施例1では、ソレノイドを用いたが、本発明では、所定のタイミングで吸着部20を第1の相対位置と第2の相対位置とに移動させることができるものであればよい。たとえば、機械的なロック機構を用いてもよい。また、エアやオイル、水などの流体や、クランクと歯車を用いた早戻り機構を用いて、ラベルLの貼付から次のラベルLの受け取りまでの間に、吸着部20が前記第2の相対位置から第1の相対位置にゆっくりと戻るように制御してもよい。
【0051】
さらに、負圧調整弁としては、移動部16の側面に開口を設け、該開口を所定のタイミングで開閉するシャッターを進退部18に設けてもよい。
また、緩衝バネ16aや復帰バネ26を必ずしも設ける必要はなく、進退部18および吸着部20が自重で、移動部16に対して下降するようにしてもよい。
【0052】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、値付包装機はトップシール方式のものであってもよい。また、包装機に限らず、別の用途の機器に設けられるラベル貼付装置に本発明を適用してもよい。
また、ラベル貼付装置は、商品の排出方向、あるいは、これに直交する方向のうち、一方向のみに移動するものであってもよい。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、物品にラベルを貼付するためのラベル貼付装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施例1にかかるラベル貼付装置の貼付動作を示す概略側面図である。
【図2】同貼付ヘッドを示す正面図である。
【図3】同貼付ヘッドを示す概略断面図である。
【図4】ラベル貼付装置のラベルの受取・貼付動作の概略を示す概略側面図である。
【図5】(a)は貼付ヘッドの貼付動作を示す正面からの概略断面図、(b)は比較例にかかる貼付ヘッドの貼付動作を示す正面からの概略断面図である。
【図6】貼付ヘッドのラベルの受け取り動作を示す概略側面図である。
【図7】貼付ヘッドの変形例を示す正面からの概略断面図である。
【図8】従来のラベル貼付装置を搭載した値付包装機を示す斜視図である。
【図9】従来のラベル貼付装置を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0055】
16:移動部
17:吸引手段
16a,18:支持機構
20:吸着部
30:ラベル待機部(ラベル発行部)
C:チャンバ
L:ラベル
M:商品
V:負圧調整弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベル発行部に発行されたラベルを吸着して商品の上方に移動し、ラベルを商品の上面に貼付するラベル貼付装置であって、
水平方向および上下方向に移動する移動部と、
前記移動部の下方に配置されラベルを吸着する吸着部と、
前記移動部に対して前記吸着部を上下動可能に支持する支持機構とを備え、
前記吸着部が商品に接触する前には、前記移動部に対する前記吸着部の相対位置が第1の相対位置となるように保持し、一方、前記吸着部が商品に接触した後の所定のタイミングにおいては、前記相対位置が前記第1の相対位置よりも上方の第2の相対位置となるように保持するラベル貼付装置。
【請求項2】
請求項1において、前記吸着部が商品から離れた後、次のラベルを商品に貼付するために前記吸着部が商品に接するまでの間に、前記吸着部が前記第2の相対位置から前記第1の相対位置に復帰するラベル貼付装置。
【請求項3】
請求項1もしくは2において、前記吸着部を介してラベルに負圧を作用させる吸引手段と、
前記移動部に設けられ吸引手段の負圧が作用するチャンバと、
前記吸着部が第1の相対位置に下がった状態では閉弁し、一方、前記吸着部が第2の相対位置に上がった状態では、開弁して前記吸着部以外から前記チャンバに外気を導入させる負圧調整弁とを更に備えたラベル貼付装置。
【請求項4】
請求項1、2もしくは3において、前記商品にラベルを貼付した後、次のラベルを吸着するために前記次のラベルの上方に前記吸着部が移動するまでの間の吸着部の負圧による吸着力が、前記次のラベルを吸着するために前記次のラベルに向って下方に移動する間の吸着部の負圧による吸着力よりも小さくなるように制御するラベル貼付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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