説明

害虫防除剤

【課題】優れた殺虫活性を有する害虫防除剤を提供する。
【解決手段】下式(I)で示されるピリピロペン誘導体を含有する害虫防除剤組成物。


[式中、Het1は3−ピリジル基を表し、R1-4はアシルオキシ基等を表す。]

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
技術分野
本発明は、ピリピロペン(Pyripyropene)誘導体を有効成分として含有する害虫防除剤として用いられる組成物に関する。
【0002】
背景技術
ピリピロペンAは、特許第2993767号(特開平4−360895号)公報およびJournal of Antibiotics (1993), 46(7), 1168-9に記載されるように、ACAT(アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ)阻害活性を有し、コレステロール蓄積に起因する疾患の治療等への応用が期待されている。
【0003】
さらに、有機合成化学協会誌 (1998), 56巻6号,478-488頁、WO94/09417号公報、特開平6−184158号公報、特開平8−239385号公報、特開平8−259569号公報、特開平8−269062号公報、特開平8−269063号公報、特開平8−269064号公報、特開平8−269065号公報、特開平8−269066号公報、特開平8−291164号公報およびJournal of Antibiotics (1997), 50(3), 229-36.にはピリピロペン類縁体および誘導体およびそれらのACAT阻害活性について記載されている。
【0004】
また、Applied and Environmental Microbiology (1995), 61(12), 4429-35.には、ピリピロペンAがアメリカタバコガ幼虫に対して殺虫活性を有することが記載されている。さらに、WO2004/060065号公報には、ピリピロペンAがコナガ幼虫およびチャイロコメムシダマシに対して殺虫活性を有することが記載されている。しかしながら、これら文献には上記以外の害虫に対するピリピロペンAの殺虫活性について具体的に記載されていない。
また、上記いずれの文献にもピリピロペン類縁体および誘導体に関する殺虫活性については記載されていない。
【0005】
これまで殺虫活性を有する多くの化合物が報告され、害虫防除剤として用いられているが、それらに対する抵抗性虫種や難防除虫種の存在が問題となっている。したがって、優れた殺虫活性を有する新規な害虫防除剤の開発は依然として望まれているといえる。
【発明の概要】
【0006】
本発明者らは、今般、下記の式(I)で表されるピリピロペン誘導体が顕著な殺虫活性を有することを見出した。
さらに、本発明者らは、下記の式(Ia)で表される、ピリピロペンAおよびその誘導体が半翅目害虫に対する顕著な殺虫活性を有することを見出した。
さらにまた、本発明者らは、顕著な殺虫活性を有する、下記の式(Ib)で表される新規ピリピロペン誘導体を見出した。
本発明は、これら知見に基づくものである。
したがって、本発明は、顕著な殺虫活性を有するピリピロペン誘導体を有効成分として含有し、効果が確実でかつ安全に使用することができる、害虫防除剤として有用な組成物の提供をその目的としている。さらに、本発明は、ピリピロペンAおよびその誘導体を有効成分として含有し、効果が確実でかつ安全に使用することができる、半翅目害虫の防除剤として有用な組成物の提供をその目的としている。さらにまた、本発明は、顕著な殺虫活性を有する新規ピリピロペン誘導体の提供をその目的としている。
【0007】
そして、本発明による害虫防除剤として用いられる組成物は、有効成分としての下式(I)で表される化合物またはその農園芸上許容可能な塩と、農園芸上許容可能な担体とを含有するものである。
【化1】

[式中、
Hetが、置換されていてもよい3−ピリジル基を表し、
R1が、水酸基、
置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルケニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルキニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC1-6アルキルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルケニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルキニルオキシ基、
置換されていてもよいベンジルオキシ基、または
13位の水素原子が存在せずにオキソ基を表すか、あるいは
R1および5位の水素原子が存在せず5位-13位間が二重結合を表し、
R2が、水酸基、
置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルケニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルキニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、または
置換されていてもよいC1-6アルキルスルホニルオキシ基を表し、
R3が、水素原子、
水酸基、
置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルケニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルキニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、
置換されていてもよいC1-6アルキルスルホニルオキシ基、
置換されていてもよいベンゼンスルホニルオキシ基、または
置換されていてもよい5-6員複素環チオカルボニルオキシ基を表すか、あるいは
R2およびR3が一緒になって−O−CR2’R3’−O−(R2’およびR3’が、同一または異なって、水素原子、C1-6アルキル基、C1-6アルキルオキシ基、C2-6アルケニル基、置換されていてもよいフェニル基または置換されていてもよいベンジル基を表すか、あるいは、R2’およびR3’が、一緒になってオキソ基またはC2-6アルキレン基を表す)を表し、
R4が、水素原子、
水酸基、
置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルケニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルキニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、
置換されていてもよいC1-6アルキルスルホニルオキシ基、
置換されていてもよいベンゼンスルホニルオキシ基、
置換されていてもよいベンジルオキシ基、
置換されていてもよいC1-6アルキルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルケニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルキニルオキシ基、
C1-6アルキルオキシ-C1-6アルキルオキシ基、
C1-6アルキルチオ-C1-6アルキルオキシ基、
C1-6アルキルオキシ-C1-6アルキルオキシ-C1-6アルキルオキシ基、
置換されていてもよいC1-6アルキルオキシカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC1-6アルキルアミノカルボニルオキシ基、
置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環オキシ基、
置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基、
置換されていてもよいチエノ[3,2-b]ピリジルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよい1H−インドリルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環チオカルボニルオキシ基、または
7位の水素原子が存在せずにオキソ基を表し、ただし、
Het1が3-ピリジル基を表し、
R1が水酸基を表し、かつ
R2、R3およびR4が共にアセチルオキシ基を表す化合物
を除く。]
【0008】
また、本発明による半翅目害虫の防除剤として用いられる組成物は、有効成分としての下式(Ia)で表される化合物またはその農園芸上許容可能な塩と、農園芸上教養可能な担体とを含有するものである。
【化2】

[式中、
Hetが、置換されていてもよい3−ピリジル基を表し、
R11が、水酸基、
置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルケニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルキニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC1-6アルキルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルケニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルキニルオキシ基、
置換されていてもよいベンジルオキシ基、または
13位の水素原子が存在せずにオキソ基を表すか、あるいは
R11および5位の水素原子が存在せず5位-13位間が二重結合を表し、
R12が、水酸基、
置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルケニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルキニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、または
置換されていてもよいC1-6アルキルスルホニルオキシ基を表し、
R13が、水素原子、
水酸基、
置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルケニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルキニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、
置換されていてもよいC1-6アルキルスルホニルオキシ基、
置換されていてもよいベンゼンスルホニルオキシ基、
置換されていてもよい5-6員複素環チオカルボニルオキシ基を表すか、あるいは
R12およびR13が一緒になって−O−CR12’R13’−O−(R12’およびR13’が、同一または異なって、水素原子、C1-6アルキル基、C1-6アルキルオキシ基、C2-6アルケニル基、置換されていてもよいフェニル基または置換されていてもよいベンジル基を表すか、あるいは、R12’およびR13’が、一緒になってオキソ基またはC2-6アルキレン基を表す)を表し、
R14が、水素原子、
水酸基、
置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルケニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルキニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、
置換されていてもよいC1-6アルキルスルホニルオキシ基、
置換されていてもよいベンゼンスルホニルオキシ基、
置換されていてもよいベンジルオキシ基、
置換されていてもよいC1-6アルキルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルケニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルキニルオキシ基、
C1-6アルキルオキシ-C1-6アルキルオキシ基、
C1-6アルキルチオ-C1-6アルキルオキシ基、
C1-6アルキルオキシ-C1-6アルキルオキシ-C1-6アルキルオキシ基、
置換されていてもよいC1-6アルキルオキシカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC1-6アルキルアミノカルボニルオキシ基、
置換されていてもよい飽和または不飽和の5-6員複素環オキシ基、
置換されていてもよい飽和または不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基、
置換されていてもよいチエノ[3,2-b]ピリジルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよい1H−インドリルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよい飽和または不飽和の5-6員複素環チオカルボニルオキシ基、または
7位の水素原子が存在せずにオキソ基を表す。]
【0009】
また、本発明によるピリピロペン誘導体は、下式(Ib)で表される化合物またはその農園芸上許容可能な塩を含んでなるものである。
【化3】

[式中、
Het1が3-ピリジル基を表し、
R1が水酸基を表し、
R2およびR3がプロピオニルオキシ基または置換されていてもよい環状のC3-6アルキルカルボニルオキシ基を表し、
R4が、水酸基、
置換されていてもよい環状のC3-6アルキルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、または
置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基を表す。]
【0010】
本発明による式(I)または式(Ib)で表されるピリピロペン誘導体は、農園芸上の害虫、衛生害虫、動物の寄生虫、貯穀害虫、衣類害虫、家屋害虫に対して優れた防除効果を示すものであり、上記ピリピロペン誘導体を有効成分として含有する組成物は、新規な害虫防除剤として有利に利用することができる。
また、上記式(Ia)で表される化合物のうち、ピリピロペンAが半翅目害虫に対して優れた防除効果を示すことは意外な事実である。したがって、ピリピロペンAをはじめとする、式(Ia)で表される化合物を含有する本発明による組成物は、特に半翅目害虫の防除剤として有利に利用することができる。
【発明の具体説明】
【0011】
本明細書において「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を意味し、好ましくはフッ素、塩素、臭素である。
また、本明細書において、基または基の一部としての「アルキル」、「アルケニル」、または「アルキニル」という語はそれぞれ、特に定義されていない限り、基が直鎖状、分岐鎖状、環状あるいはそれらの組み合わせのアルキル、アルケニルまたはアルキニルを意味する。また例えば、基または基の一部としての「C1−6アルキル」という場合の「C1−6」とは、該アルキル基の炭素数1〜6個であることを意味する。さらに環状のアルキルの場合はその炭素数は少なくとも3個であることを意味する。
また、本明細書において「複素環」とは、同一または異なって、窒素、酸素、および硫黄からなる群から選択されるヘテロ原子を1または複数個、好ましくは1〜4個有する複素環を意味する。また、本明細書において、アルキル基が「置換されていてもよい」とは、アルキル基上の1またはそれ以上の水素原子が1またはそれ以上の置換基(同一または異なっていてもよい)により置換されていてもよいことを意味する。置換基の最大数はアルキル上の置換可能な水素原子の数に依存して決定できることは当業者に明らかであろう。これらはアルキル基以外の官能基についても同様である。
【0012】
HetおよびHetが表す3-ピリジル基は、置換されていてもよく、置換基としてはハロゲン原子、C1-4アルキル基、C1-4アルキルオキシ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチルチオ基、トリフルオロメチルスルフィニル基、トリフルオロメチルスルホニル基、アセチル基またはアセチルオキシ基が挙げられ、好ましくはハロゲン原子またはトリフルオロメチル基であり、より好ましくは塩素原子またはトリフルオロメチル基である。
【0013】
R1およびR11が表す「C1-6アルキルカルボニルオキシ基」は置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、トリフルオロメトキシ基またはトリフルオロメチルチオ基が挙げられる。
【0014】
R2、R3およびR4ならびにR12、R13およびR14が表す「C1-18アルキルカルボニルオキシ基」は、好ましくはC1-6アルキルカルボニルオキシ基であり、より好ましくは、プロピオニルオキシ基または環状のC3-6アルキルカルボニルオキシ基である。このC1-18アルキルカルボニルオキシ基は、置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、環状のC3-6アルキル、フェニル基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチルチオ基、ピリジル基またはピリジルチオ基が挙げられ、好ましくは、ハロゲン原子、環状のC3-6アルキルまたはピリジル基である。
【0015】
R1、R2、R3およびR4ならびにR11、R12、R13およびR14が表す「C2-6アルケニルカルボニルオキシ基」は置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、フェニル基またはトリフルオロメトキシ基またはトリフルオロメチルチオ基が挙げられる。
【0016】
R1、R2、R3およびR4ならびにR11、R12、R13およびR14が表す「C2-6アルキニルカルボニルオキシ基」は置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、フェニル基またはトリフルオロメトキシ基またはトリフルオロメチルチオ基が挙げられる。
【0017】
R1およびR4ならびにR11およびR14が表す「C1-6アルキルオキシ基」は置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチルチオ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニル基またはハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基が挙げられる。
【0018】
R1およびR4ならびにR11およびR14が表す「C2-6アルケニルオキシ基」は置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチルチオ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニル基またはハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基が挙げられる。
【0019】
R1およびR4ならびにR11およびR14が表す「C2-6アルキニルオキシ基」は置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチルチオ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニル基またはハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基が挙げられる。
【0020】
R1およびR4ならびにR11およびR14が表す「ベンジルオキシ基」のフェニル基は、置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルオキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルアミノ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルアミノカルボニルオキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルアミノカルボニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルスルホニルオキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルチオ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルスルフィニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルスルホニル基、シアノ基、ホルミル基、アジド基、グアニジル基、基-C(=NH)-NH2または基-CH=N-O-CH3が挙げられる。
【0021】
R2、R3およびR4ならびにR12、R13およびR14が表す「ベンゾイルオキシ基」のフェニル基は、置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルオキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルアミノ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルアミノカルボニルオキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルアミノカルボニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルスルホニルオキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルチオ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルスルフィニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルスルホニル基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、アジド基、グアニジル基、基-C(=NH)-NH2または基-CH=N-O-CH3が挙げられ、好ましくは、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されたC1-6アルキル基、シアノ基またはニトロ基が挙げられる。
【0022】
R3およびR4ならびにR13およびR14が表す「ベンゼンスルホニルオキシ基」のフェニル基は置換されていてもよく、置換基としてはハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルオキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルアミノ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルアミノカルボニルオキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルアミノカルボニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルスルホニルオキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルチオ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルスルフィニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルスルホニル基、シアノ基、ホルミル基、アジド基、グアニジル基または基-C(=NH)-NH2または基-CH=N-O-CH3が挙げられる。
【0023】
R2、R3およびR4ならびにR12、R13およびR14が表す「C1-6アルキルスルホニルオキシ基」は置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、トリフルオロメトキシ基またはトリフルオロメチルチオ基が挙げられる。
【0024】
R4およびR14が表す「C1-6アルキルオキシカルボニルオキシ基」は置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、トリフルオロメトキシ基またはトリフルオロメチルチオ基が挙げられる。
【0025】
R4およびR14が表す「C1-6アルキルアミノカルボニルオキシ基」は置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、トリフルオロメトキシ基またはトリフルオロメチルチオ基が挙げられる。
【0026】
R2’およびR3’ならびにR12’およびR13’が表す、「フェニル基」、および「ベンジル基」におけるフェニル基は置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、C1-4アルキル基、C1-4アルキルオキシ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、トリフルオロメトキシ基、アセチル基またはアセチルオキシ基が挙げられる。
【0027】
R3およびR13が表す「飽和または不飽和の5-6員複素環チオカルボニルオキシ基」、R4およびR14が表す「飽和または不飽和の5-6員複素環オキシ基」、「飽和または不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基」または「飽和または不飽和の5-6員複素環チオカルボニルオキシ基」において、「飽和または不飽和の5-6員複素環」としては、好ましくは、窒素、酸素、および硫黄からなる群から選択される1〜3個のヘテロ原子を含む飽和または不飽和の5-6員複素環であり、より好ましくは、窒素、酸素、および硫黄からなる群から選択される1〜2個のヘテロ原子を含む飽和または不飽和の5-6員複素環であり、さらに好ましくは、1〜2個の窒素を含む飽和または不飽和の5-6員複素環、1〜2個の酸素を含む飽和または不飽和の5-6員複素環、1〜2個の硫黄を含む飽和または不飽和の5-6員複素環、1個の窒素と1個の酸素とを含む飽和または不飽和の5-6員複素環あるいは1個の窒素と1個の硫黄とを含む飽和または不飽和の5-6員複素環である。
より具体的には、上記「飽和または不飽和の5-6員複素環」としては、チエニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、イソチアゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、テトラヒドロピラニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基またはマンノシル基が挙げられ、好ましくはピリジル基、フラニル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、テトラヒドロピラニル基またはマンノシル基であり、より具体的には(2-または3-)チエニル基、(2-または3-)フリル基、(1-、2-または3-)ピロリル基、(1-、2-、4-または5-)イミダゾリル基、(1-、3-、4-または5-)ピラゾリル基、(3-、4-または5-)イソチアゾリル基、(3-、4-または5-)イソキサゾリル基、(2-、4-または5-)チアゾリル基、(2-、4-または5-)オキサゾリル基、(2-、3-または4-)ピリジル基または、(2-、4-、5-または6-)ピリミジニル基、(2-または3-)ピラジニル基、(3-または4-)ピリダジニル基、(2-、3-または4-)テトラヒドロピラニル基、(1-、2-、3-または4-)ピペリジニル基、(1-、2-または3-)ピペラジニル基、(2-、3-または4-)モルホリニル基が挙げられ、好ましくは、3-ピリジル基、2-フラニル基、5-チアゾリル基、1-イミダゾリル基、5-イミダゾリル基または2-テトラヒドロピラニル基が挙げられ、好ましくは2-テトラヒドロピラニル基、2-ピラジニル基または3-ピリジル基が挙げられ、より好ましくは3-ピリジル基である。
【0028】
上記「飽和または不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基」および「飽和または不飽和の5-6員複素環チオカルボニルオキシ基」における、複素環ならびにR4およびR14が表す「チエノ[3,2-b]ピリジルカルボニルオキシ基」および「1H−インドリルカルボニルオキシ基」は置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、C1-4アルキル基、C1-4アルキルオキシ基、C1-4アルキルチオ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルチオ基、トリフルオロメチルスルフィニル基、トリフルオロメチルスルホニル基、アセチル基、アセチルオキシ基、ベンゾイル基、C1-4アルキルオキシカルボニル基が挙げられ、好ましくはハロゲン原子、C1-4アルキル基、C1-4アルキルオキシ基またはトリフルオロメチル基である。
【0029】
上記「飽和または不飽和の5-6員複素環オキシ基」における複素環は、置換されていてもよく、置換基としては、水酸基、ベンジルオキシ基、ハロゲン原子、C1-4アルキル基、C1-4アルキルオキシ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルチオ基、トリフルオロメチルスルフィニル基、トリフルオロメチルスルホニル基、アセチル基またはアセチルオキシ基が挙げられ、好ましくは水酸基またはベンジルオキシ基である。
【0030】
式(I)で表される化合物を含有する、害虫防除剤として用いられる組成物
本発明の好ましい態様によれば、式(I)で表される化合物において、Het1は、好ましくは3-ピリジル基を表す。
また、本発明の好ましい態様によれば、式(I)で表される化合物において、R1が、水酸基、C1-6アルキルカルボニルオキシ基、C1-3アルキルオキシ基、ベンジルオキシ基、または13位の水素原子が存在せずにオキソ基を表すか、あるいはR1および5位の水素原子が存在せずに5位-13位間が二重結合を表し、より好ましくは水酸基またはC1-6アルキルカルボニルオキシ基を表すか、あるいは、R1と5位水素原子が存在せずに5位-13位間が二重結合を表し、さらに好ましくは水酸基を表す。
【0031】
また、本発明の好ましい態様によれば、式(I)で表される化合物において、R2が、水酸基、置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基、置換されていてもよいベンゾイルオキシ基またはC1-3アルキルスルホニルオキシ基を表し、より好ましくは置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基を表し、さらに好ましくは置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基を表し、さらに好ましくは、直鎖もしくは分岐鎖のC1-6アルキルカルボニルオキシ基(特にプロピオニルオキシ基)または置換されていてもよい環状のC3-6アルキルカルボニルオキシ基を表す。
【0032】
また、本発明の好ましい態様によれば、式(I)で表される化合物において、R3が、水素原子、水酸基、置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基、置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、C1-6アルキルスルホニルオキシ基、置換されていてもよいベンゼンスルホニルオキシ基または飽和もしくは不飽和の5-6員複素環チオカルボニルオキシ基を表し、より好ましくは置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基またはC1-6アルキルスルホニルオキシ基を表し、さらに好ましくは置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基を表し、さらに好ましくは直鎖もしくは分岐鎖のC2-4アルキルカルボニルオキシ基(特にプロピオニルオキシ基)または置換されていてもよい環状のC3-6アルキルカルボニルオキシ基を表す。
【0033】
また、本発明の好ましい態様によれば、式(I)で表される化合物において、R2およびR3が一緒になって−O−CR2’R3’−O−(R2’およびR3’は、同一または異なって、水素原子、C1-6アルキル基、C1-3アルキルオキシ基、C2-3アルケニル基、ベンジル基、または置換されていてもよいフェニル基を表すか、あるいは、R2’およびR3’は、一緒になってオキソ基またはC2-6アルキレン基を表す)を表し、より好ましくは一緒になって−O−CR2’R3’−O−(R2’、R3’が、同一または異なって、水素原子、C1-6アルキル基、置換されていてもよいフェニル基を表すか、あるいは、R2’およびR3’が、一緒になってオキソ基またはC2-6アルキレン基を表す)を表す。
【0034】
また、本発明の好ましい態様によれば、式(I)で表される化合物において、R4が、水素原子、水酸基、置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基、C2-6アルケニルカルボニルオキシ基、C2-6アルキニルカルボニルオキシ基、C1-6アルキルスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、ベンジルオキシ基、C1-3アルキルオキシ基、C1-3アルキルオキシ-C1-3アルキルオキシ基、C1-3アルキルチオ-C1-3アルキルオキシ基、C1-3アルキルオキシ-C1-3アルキルオキシ-C1-3アルキルオキシ基、置換されていてもよいC1-3アルキルオキシカルボニルオキシ基、置換されていてもよいC1-6アルキルアミノカルボニルオキシ基、置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、飽和もしくは不飽和の5-6員複素環オキシ基、置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基、置換されていてもよいチエノ[3,2-b]ピリジルカルボニルオキシ基、置換されていてもよい1H−インドリルカルボニルオキシ基、または飽和もしくは不飽和の5-6員複素環チオカルボニルオキシ基を表すか、あるいは7位の水素原子が存在せずにオキソ基を表し、より好ましくは水酸基、置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基、飽和または不飽和の5-6員複素環オキシ基、置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、C1-3アルキルオキシ-C1-3アルキルオキシ基、置換されていてもよいC1-6アルキルアミノカルボニルオキシ基、置換されていてもよい飽和または不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基、置換されていてもよいチエノ[3,2-b]ピリジルカルボニルオキシ基、置換されていてもよい1H−インドリルカルボニルオキシ基、飽和または不飽和の5-6員複素環チオカルボニルオキシ基、または7位の水素原子が存在せずにオキソ基を表し、さらに好ましくは、水酸基、置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基、飽和または不飽和の5-6員複素環オキシ基、置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、置換されていてもよい飽和または不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基、飽和もしくは不飽和の5-6員複素環チオカルボニルオキシ基を表し、さらに好ましくは、水酸基、直鎖もしくは分岐鎖のC2-4アルキルカルボニルオキシ基(特にプロピオニルオキシ基)、置換されていてもよい環状のC3-6アルキルカルボニルオキシ基または置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基を表す。
【0035】
また、本発明の別の好ましい態様によれば、式(I)で表される化合物において、Het1が3-ピリジル基を表し、R1が、水酸基またはC1-6アルキルカルボニルオキシ基を表すか、あるいは、R1および5位の水素原子が存在せずに5位-13位間が二重結合を表し、R2が置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基を表し、かつR3が置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基またはC1-6アルキルスルホニルオキシ基を表すか、あるいは、R2およびR3が一緒になって−O−CR2’R3’−O−(R2’およびR3’は、同一または異なって、水素原子、C1-6アルキル基または置換されていてもよいフェニル基を表すか、あるいは、R2’およびR3’は、一緒になってオキソ基またはC2-6アルキレン基を表す)を表し、R4が、水酸基、置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基、飽和もしくは不飽和の5-6員複素環オキシ基、置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、C1-3アルキルオキシ-C1-3アルキルオキシ基、置換されていてもよいC1-6アルキルアミノカルボニルオキシ基、置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基、置換されていてもよいチエノ[3,2-b]ピリジルカルボニルオキシ基、置換されていてもよい1H−インドリルカルボニルオキシ基、飽和もしくは不飽和の5-6員複素環チオカルボニルオキシ基、または7位の水素原子が存在せずにオキソ基を表す。
【0036】
また、本発明の別の好ましい態様によれば、式(I)で表される化合物において、Het1が3-ピリジル基を表し、R1が水酸基を表し、R2が置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基を表し、R3が置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基またはC1-6アルキルスルホニルオキシ基を表し、R4が、水酸基、置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基、飽和もしくは不飽和の5-6員複素環オキシ基、置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、C1-3アルキルオキシ-C1-3アルキルオキシ基、置換されていてもよいC1-6アルキルアミノカルボニルオキシ基、置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基、置換されていてもよいチエノ[3,2-b]ピリジルカルボニルオキシ基、置換されていてもよい1H−インドリルカルボニルオキシ基、飽和もしくは不飽和の5-6員複素環チオカルボニルオキシ基、または7位の水素原子が存在せずにオキソ基を表す。
【0037】
また、本発明の別の好ましい態様によれば、式(I)で表される化合物において、Het1が3-ピリジル基を表し、R1が水酸基を表し、R2が置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基を表し、R3が置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基またはC1-6アルキルスルホニルオキシ基を表し、R4が、水酸基、置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基、置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、飽和もしくは不飽和の5-6員複素環オキシ基、置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基または飽和もしくは不飽和の5-6員複素環チオカルボニルオキシ基を表す。
【0038】
また、本発明の別の好ましい態様によれば、式(I)で表される化合物において、Het1が3-ピリジル基を表し、R1が水酸基を表し、R2、およびR3が、置換されていてもよい環状のC3-6アルキルカルボニルオキシ基を表す。
【0039】
また、本発明の別の好ましい態様によれば、式(I)で表される化合物において、
Hetが3−ピリジル基を表し、
R1が、水酸基または置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基を表すか、あるいはR1および5位の水素原子が存在せず5位-13位間が二重結合を表し、
R2が、置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基または
置換されていてもよいベンゾイルオキシ基を表し、
R3が、置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基または
置換されていてもよいC1-6アルキルスルホニルオキシ基を表し、
R4が、水酸基、
置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルケニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、
置換されていてもよいC1-6アルキルアミノカルボニルオキシ基、
置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環オキシ基、
置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基、
置換されていてもよいチエノ[3,2-b]ピリジルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよい1H−インドリルカルボニルオキシ基、または
7位の水素原子が存在せずにオキソ基を表す。
【0040】
また、本発明の別の好ましい態様によれば、式(I)で表される化合物において、
Hetが3−ピリジル基を表し、
R1が、水酸基または置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基を表すか、あるいはR1および5位の水素原子が存在せず5位-13位間が二重結合を表し、
R2が、置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基を表し、
R3が、置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基または
置換されていてもよいC1-6アルキルスルホニルオキシ基を表し、
R4が、水酸基、
置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルケニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、
置換されていてもよいC1-6アルキルアミノカルボニルオキシ基、
置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環オキシ基、
置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基、または
7位の水素原子が存在せずにオキソ基を表す。
【0041】
また、本発明の別の好ましい態様によれば、式(I)で表される化合物において、
Hetが3−ピリジル基を表し、
R1が、水酸基または置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基を表すか、あるいはR1および5位の水素原子が存在せず5位-13位間が二重結合を表し、
R2が、置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基を表し、
R3が、置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基を表し、
R4が、水酸基
置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、
置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環オキシ基、または
置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基を表す。
【0042】
また、本発明の別の好ましい態様によれば、式(I)で表される化合物において、Het1が3-ピリジル基を表し、R1が水酸基を表し、R2がC1-6アルキルカルボニルオキシ基を表し、R3および/またはR4が、C2-4アルキルカルボニルオキシ基を表す。
【0043】
また、式(I)で表される化合物の農園芸上許容可能な塩としては、後述する式(Ib)で表される化合物と同様ものが挙げられる。
【0044】
式(Ia)で表される化合物を含有する、半翅目害虫の防除剤として用いられる組成物
本発明の好ましい態様によれば、式(Ia)で表される化合物において、Het2は、好ましくは3-ピリジル基を表す。
また、本発明の好ましい態様によれば、式(Ia)で表される化合物において、R11が、水酸基、C1-6アルキルカルボニルオキシ基、C1-3アルキルオキシ基、ベンジルオキシ基、または13位の水素原子が存在せずにオキソ基を表すか、あるいはR11および5位の水素原子が存在せずに5位-13位間が二重結合を表し、より好ましくは水酸基またはC1-6アルキルカルボニルオキシ基を表すか、あるいは、R11および5位水素原子が存在せずに5位-13位間が二重結合を表し、さらに好ましくは水酸基を表す。
【0045】
また、本発明の好ましい態様によれば、式(Ia)で表される化合物において、R12が、水酸基、置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基、置換されていてもよいベンゾイルオキシ基またはC1-3アルキルスルホニルオキシ基を表し、より好ましくは置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基を表し、さらに好ましくは置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基を表し、さらに好ましくは、直鎖もしくは分岐鎖のC1-6アルキルカルボニルオキシ基(特にプロピオニルオキシ基)または置換されていてもよい環状のC3-6アルキルカルボニルオキシ基を表す。
【0046】
また、本発明の好ましい態様によれば、式(Ia)で表される化合物において、R13が、水素原子、水酸基、置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基、置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、C1-6アルキルスルホニルオキシ基、置換されていてもよいベンゼンスルホニルオキシ基または飽和もしくは不飽和の5-6員複素環チオカルボニルオキシ基を表し、より好ましくは置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基またはC1-6アルキルスルホニルオキシ基を表し、さらに好ましくは置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基を表し、特に好ましくは直鎖もしくは分岐鎖のC2-4アルキルカルボニルオキシ基(特にプロピオニルオキシ基)または置換されていてもよい環状のC3-6アルキルカルボニルオキシ基を表す。
【0047】
また、本発明の好ましい態様によれば、式(Ia)で表される化合物において、R12およびR13が一緒になって−O−CR12’R13’−O−(R12’およびR13’が、同一または異なって、水素原子、C1-6アルキル基、C1-3アルキルオキシ基、C2-3アルケニル基、ベンジル基、または置換されていてもよいフェニル基を表すか、あるいは、R12’およびR13’は、一緒になってオキソ基またはC2-6アルキレン基を表す)を表し、より好ましくは一緒になって−O−CR12’R13’−O−(R12’、R13’は、同一または異なって、水素原子、C1-6アルキル基、置換されていてもよいフェニル基を表すか、あるいは、R12’およびR13’が、一緒になってオキソまたはC2-6アルキレン基を表す)を表す。
【0048】
また、本発明の好ましい態様によれば、式(Ia)で表される化合物において、R14が、水素原子、水酸基、置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基、C2-6アルケニルカルボニルオキシ基、C2-6アルキニルカルボニルオキシ基、C1-6アルキルスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、ベンジルオキシ基、C1-3アルキルオキシ基、C1-3アルキルオキシ-C1-3アルキルオキシ基、C1-3アルキルチオ-C1-3アルキルオキシ基、C1-3アルキルオキシ-C1-3アルキルオキシ-C1-3アルキルオキシ基、置換されていてもよいC1-3アルキルオキシカルボニルオキシ基、置換されていてもよいC1-6アルキルアミノカルボニルオキシ基、置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、飽和もしくは不飽和の5-6員複素環オキシ基、置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基、置換されていてもよいチエノ[3,2-b]ピリジルカルボニルオキシ基、置換されていてもよい1H−インドリルカルボニルオキシ基または飽和もしくは不飽和の5-6員複素環チオカルボニルオキシ基を表すか、あるいは7位の水素原子が存在せずにオキソ基を表し、より好ましくは水酸基、置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基、置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、飽和または不飽和の5-6員複素環オキシ基、C1-3アルキルオキシ-C1-3アルキルオキシ基、置換されていてもよいC1-6アルキルアミノカルボニルオキシ基、置換されていてもよい飽和または不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基、置換されていてもよいチエノ[3,2-b]ピリジルカルボニルオキシ基、置換されていてもよい1H−インドリルカルボニルオキシ基、飽和または不飽和の5-6員複素環チオカルボニルオキシ基、または7位の水素原子が存在せずにオキソ基を表し、さらに好ましくは、水酸基、置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基、飽和または不飽和の5-6員複素環オキシ基、置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、置換されていてもよい飽和または不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基、飽和または不飽和の5-6員複素環チオカルボニルオキシ基を表し、さらに好ましくは、直鎖もしくは分岐鎖のC2-4アルキルカルボニルオキシ基(特にプロピオニルオキシ基)、置換されていてもよい環状のC3-6アルキルカルボニルオキシ基または置換されていてもよい飽和または不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基を表す。
【0049】
また、本発明の別の好ましい態様によれば、式(Ia)で表される化合物において、Het2が3-ピリジル基を表し、R11が、水酸基またはC1-6アルキルカルボニルオキシ基を表すか、あるいは、R11および5位の水素原子が存在せずに5位-13位間が二重結合を表し、R12が置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基を表し、かつR13が置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基またはC1-6アルキルスルホニルオキシ基を表すか、あるいは、R12およびR13が一緒になって−O−CR12’R13’−O−(R12’およびR13’は、同一または異なって、水素原子、C1-6アルキル基または置換されていてもよいフェニル基を表すか、あるいは、R12’およびR13’は、一緒になってオキソ基またはC2-6アルキレン基を表す)を表し、R14が、水酸基、置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基、飽和もしくは不飽和の5-6員複素環オキシ基、置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、C1-3アルキルオキシ-C1-3アルキルオキシ基、置換されていてもよいC1-6アルキルアミノカルボニルオキシ基、置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基、置換されていてもよいチエノ[3,2-b]ピリジルカルボニルオキシ基、置換されていてもよい1H−インドリルカルボニルオキシ基、飽和もしくは不飽和の5-6員複素環チオカルボニルオキシ基、または7位の水素原子が存在せずにオキソ基を表す。
【0050】
また、本発明の別の好ましい態様によれば、式(Ia)で表される化合物において、Het2が3-ピリジル基を表し、R11が水酸基を表し、R12が置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基を表し、R13が置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基またはC1-6アルキルスルホニルオキシ基を表し、R14が、水酸基、置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基、飽和もしくは不飽和の5-6員複素環オキシ基、置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、C1-3アルキルオキシ-C1-3アルキルオキシ基、置換されていてもよいC1-6アルキルアミノカルボニルオキシ基、置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基、置換されていてもよいチエノ[3,2-b]ピリジルカルボニルオキシ基、置換されていてもよい1H−インドリルカルボニルオキシ基、飽和もしくは不飽和の5-6員複素環チオカルボニルオキシ基、または7位の水素原子が存在せずにオキソ基を表す。
【0051】
また、本発明の別の好ましい態様によれば、式(Ia)で表される化合物において、Het2が3-ピリジル基を表し、R11が水酸基を表し、R12が置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基を表し、R13が置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基またはC1-6アルキルスルホニルオキシ基を表し、R14が水酸基、置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基、置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、飽和もしくは不飽和の5-6員複素環オキシ基、置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基または飽和もしくは不飽和の5-6員複素環チオカルボニルオキシ基を表す。
【0052】
また、本発明の別の好ましい態様によれば、式(Ia)で表される化合物において、Het2が3-ピリジル基を表し、R11が水酸基を表し、R12、およびR13が、置換されていてもよい環状のC3-6アルキルカルボニルオキシ基を表す。
【0053】
また、本発明の別の好ましい態様によれば、式(Ia)で表される化合物において、
Het2が3−ピリジル基を表し、
R11が、水酸基または置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基を表すか、あるいはR11および5位の水素原子が存在せず5位-13位間が二重結合を表し、
R12が、置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基または
置換されていてもよいベンゾイルオキシ基を表し、
R13が、置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基または
置換されていてもよいC1-6アルキルスルホニルオキシ基を表し、
R14が、水酸基、
置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルケニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、
置換されていてもよいC1-6アルキルアミノカルボニルオキシ基、
置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環オキシ基、
置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基、
置換されていてもよいチエノ[3,2-b]ピリジルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよい1H−インドリルカルボニルオキシ基または
7位の水素原子が存在せずにオキソ基を表す。
【0054】
また、本発明の別の好ましい態様によれば、式(Ia)で表される化合物において、
Het2が3−ピリジル基を表し、
R11が、水酸基または置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基を表すか、あるいはR11および5位の水素原子が存在せず5位-13位間が二重結合を表し、
R12が、置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基を表し、
R13が、置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基または
置換されていてもよいC1-6アルキルスルホニルオキシ基を表し、
R14が、水酸基、
置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルケニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、
置換されていてもよいC1-6アルキルアミノカルボニルオキシ基、
置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環オキシ基、
置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基または 7位の水素原子が存在せずにオキソ基を表す。
【0055】
また、本発明の別の好ましい態様によれば、式(Ia)で表される化合物において、
Het2が3−ピリジル基を表し、
R11が、水酸基または置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基を表すか、あるいはR1および5位の水素原子が存在せず5位-13位間が二重結合を表し、
R12が、置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基を表し、
R13が、置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基を表し、
R14が、水酸基、
置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、
置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環オキシ基、または
置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基を表す。
【0056】
また、本発明の別の好ましい態様によれば、式(Ia)で表される化合物において、Het2が3-ピリジル基を表し、R11が水酸基を表し、R12がC1-6アルキルカルボニルオキシ基を表し、R13および/またはR14がC2-4アルキルカルボニルオキシ基を表す。
【0057】
また、式(Ia)で表される化合物の農園芸上許容可能な塩は、後述する式(Ib)で表される化合物と同様のものが挙げられる。
【0058】
式(Ib)の化合物またはその農園芸上許容可能な塩
式(Ib)の化合物は、式(I)で表される化合物に、その一部として包含される新規ピリピロペン誘導体であり、とりわけ、顕著な殺虫活性を有するものである。
【0059】
そして、本発明の一つの態様によれば、式(Ib)で表される化合物は、Het1が3-ピリジル基を表し、R1が水酸基を表し、R2およびR3がプロピオニルオキシ基を表し、かつR4が、水酸基を表す化合物を除いたものである。
【0060】
また、本発明の別の好ましい態様によれば、式(Ib)で表される化合物において、R2およびR3が置換されていてもよい環状のC3-6アルキルカルボニルオキシ基を表し、R4が、水酸基、置換されていてもよい環状のC3-6アルキルカルボニルオキシ基もしくは置換されていてもよいベンゾイルオキシ基を表すか、あるいは、R2、およびR3がプロピオニルオキシ基を表し、R4が、置換されていてもよい環状のC3-6アルキルカルボニルオキシ基または置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基を表す。
【0061】
また、本発明の別の好ましい態様によれば、式(Ib)で表される化合物において、R2およびR3が置換されていてもよい環状のC3-6アルキルカルボニルオキシ基を表し、R4が、水酸基、置換されていてもよい環状のC3-6アルキルカルボニルオキシ基、または置換されていてもよいベンゾイルオキシ基を表す。
【0062】
また、本発明の別の好ましい態様によれば、式(Ib)で表される化合物において、R2およびR3がプロピオニルオキシ基を表し、R4が、置換されていてもよい環状のC3-6アルキルカルボニルオキシ基または置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基を表す。
【0063】
また、本発明の別の好ましい態様によれば、有効成分としての式(Ib)で表される化合物またはその農園芸上許容可能な塩と、農園芸上許容可能な担体とを含有する、害虫防除剤として用いられる組成物が提供される。
【0064】
式(Ib)の化合物における農園芸上許容可能な塩としては、例えば、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩または酢酸塩などの酸付加塩が挙げられる。
【0065】
上記式(I)、式(Ia)または式(Ib)で表される化合物の具体例としては、例えば、以下の表1〜14に示される化合物が挙げられる。なお、以下の表において、H(=)とは、R1および5位の水素原子が存在せず5位-13位間が二重結合であることを意味する。
【0066】
【表1】

【0067】
【表2】

【0068】
【表3】

【0069】
【表4】

【0070】
【表5】

【0071】
【表6】

【0072】
【表7】

【0073】
【表8】

【0074】
【表9】

【0075】
【表10】

【0076】
【表11】

【0077】
【表12】

【0078】
【表13】

【0079】
【表14】

【0080】
製造方法
本発明による組成物は、有効成分としての式(I)、式(Ia)または式(Ib)で表される化合物と、農園芸上許容可能な塩とを適宜混合することによって製造しうる。そして、式(I)、式(Ia)または式(Ib)で表される化合物は、以下に示される手法に従って製造することができる。
【0081】
本発明による化合物のうち、下式(II)で表される化合物は、特開平8-259569号公報、特開平8-269062号公報または特開平8-269065号公報またはJournal of Antibiotics(1997)50(3)、229-36頁に記載の方法により合成することができる。なお、ピリピロペンAを製造原料とする場合は、有機合成化学協会誌 (1998), 56巻6号,478-488頁または、WO94/09417号公報に記載される方法によって製造されるピリピロペンAを用いることができる。
【0082】
【化4】

[式中、
R1が、水酸基、置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基、置換されていてもよいC2-6アルケニルカルボニルオキシ基、置換されていてもよいC2-6アルキニルカルボニルオキシ基、置換されていてもよいC1-6アルキルオキシ基、置換されていてもよいC2-6アルケニルオキシ基、置換されていてもよいC2-6アルキニルオキシ基、置換されていてもよいベンジルオキシ基、または13位の水素原子が存在せずにオキソ基を表し、
R2、R3およびR4が、式(I)に記載の通りである。]
【0083】
また、本発明による化合物のうち、下式(III)で表される化合物は、特開平8-269063号公報または特開平8-269066号公報に記載の方法により合成することができる。
【0084】
【化5】

[式中、R2、R3およびR4が、式(I)に記載の通りである。]
【0085】
用途
本発明の式(I)または式(Ib)のピリピロペン誘導体が防除効果を示す虫種としては、鱗翅目害虫(例えば、ハスモンヨトウ、ヨトウガ、アワヨトウ、アオムシ、コナガ、シロイチモジヨトウ、ニカメイガ、コブノメイガ、ハマキガ、シンクイガ、ハモグリガ、ドクガ、アグロティス属害虫(Agrotis spp)、ヘリコベルパ属害虫(Helicoverpa spp)、ヘリオティス属害虫(Heliothis spp)など)、半翅目害虫(例えば、モモアカアブラムシ、ワタアブラムシ、Aphis fabae、トウモロコシアブラムシ、エンドウヒゲナガアブラムシ、ジャガイモヒゲナガアブラムシ、マメアブラムシ、チューリップヒゲナガアブラムシ、Macrosiphum avenaeMetopolophium dirhodum、ムギクビレアブラムシ、ムギミドリアブラムシ、ダイコンアブラムシ、ニセダイコンアブラムシ、ユキヤナギアブラムシ、Rosy apple aphid、リンゴワタムシ、コミカンアブラムシ、ミカンクロアブラムシなどのアブラムシ類(Aphididae, Adelgidae, Phylloxeridae)、ツマグロヨコバイなどのヨコバイ類、ヒメトビウンカ、トビイロウンカ、セジロウンカなどのウンカ類、シラホシカメムシ、ミナミアオカメムシ、アカヒゲホソミドリカスミカメなどのカメムシ類、シルバーリーフコナジラミ、タバココナジラミ、オンシツコナジラミなどのコナジラミ類(Aleyrodidae)、クワコナカイガラムシ、ミカンコナカイガラムシなどのカイガラムシ類(Diaspididae, Margarodidae, Ortheziidae, Aclerdiae, Dactylopiidae, Kerridae, Pseudococcidae, Coccidae, Eriococcidae, Asterolecaniidae, Beesonidae, Lecanodiaspididae, Cerococcidae)など)、鞘翅目害虫(例えば、イネミズゾウムシ、アズキゾウムシ、チャイロコメノゴミムシダマシ、ウェスタンコーンルートワーム、サザンコーンルートワーム、ドウガネブイブイ、ヒメコガネ、キスジノミハムシ、ウリハムシ、コロラドポテトハムシ、イネドロオイムシ、シンクイムシ類、カミキリムシ類など)、ダニ目(例えば
、ナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニなど)、膜翅目害虫(例えばハバチ類)、直翅目害虫(例えば、バッタ類)、双翅目害虫(例えば、イエバエ、ハモグリバエ類)、アザミウマ目害虫(例えば、ミナミキイロアザミウマ、ミカンキイロアザミウマなど)、植物寄生性線虫(例えば、ネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウ、イネシンガレセンチュウ、マツノザイセンチュウなど)、動物の寄生虫として、ノミ類、シラミ類、ダニ類(例えば、オウシマダニ、フタトゲチマダニ、クリイロコイタマダニ、ヒゼンダニなど)などが挙げられ、好ましくは半翅目害虫である。
【0086】
また、本発明の式(Ia)で表される化合物は、半翅目害虫に対して顕著な防除効果を示すものである。そして、半翅目害虫としては、好ましくはアブラムシ類(Aphididae, Adelgidae, Phylloxeridaeが挙げられ、特にAphididaeが好ましい)、カイガラムシ類(Diaspididae, Margarodidae, Ortheziidae, Aclerdiae, Dactylopiidae, Kerridae, Pseudococcidae, Coccidae, Eriococcidae, Asterolecaniidae, Beesonidae, Lecanodiaspididae, Cerococcidae)またはコナジラミ類(Aleyrodidae)から選択されるものであり、より好ましくは、モモアカアブラムシ、ワタアブラムシ、Aphis fabae、トウモロコシアブラムシ、エンドウヒゲナガアブラムシ、ジャガイモヒゲナガアブラムシ、マメアブラムシ、チューリップヒゲナガアブラムシ、Macrosiphum avenaeMetopolophium dirhodum、ムギクビレアブラムシ、ムギミドリアブラムシ、ダイコンアブラムシ、ニセダイコンアブラムシ、ユキヤナギアブラムシ、Rosy apple aphid、リンゴワタムシ、コミカンアブラムシ、ミカンクロアブラムシまたはクワコナカイガラムシが挙げられる。
【0087】
本発明による組成物は、適当な農園芸上許容される担体を用いることにより、乳剤、液剤、懸濁剤、水和剤、フロアブル剤、粉剤、粒剤、錠剤、油剤、エアゾール、薫煙剤等の任意の剤型に処方することができる。したがって、上記担体としては、固体担体、液体担体、ガス状担体、界面活性剤、分散剤その他の製剤用補助剤等が挙げられる。
【0088】
固体担体としては、例えば、タルク、ベンナイト、クレー、カオリン、ケイソウ土、バーミキュライト、ホワイトカーボン、炭酸カルシウム等があげられる。
【0089】
液体担体としては、例えば、メタノール、n−ヘキサノール、エチレングリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、n−ヘキサン、ケロシン、灯油等の脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン、メチルナフタレンなどの芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、酢酸エチルなどのエステル類、アセトニトリル、イソブチロニトリルなどのニトリル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの酸アミド類、ダイズ油、綿実油等の植物油類、ジメチルスルホキシド、水などがあげられる。
【0090】
また、ガス状担体としてはLPG、空気、窒素、炭酸ガス、ジメチルエーテルなどがあげられる。
【0091】
乳化、分散、展着などのための界面活性剤、分散剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル類、アルキル(アリール)スルホン酸塩類、ポリオキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル類、多価アルコールエステル類、リグニンスルホン酸塩などが用いられる。
【0092】
また、製剤の性状を改善するための補助剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、アラビアガム、ポリエチレングリコール、ステアリン酸カルシウム等が用いられる。
上記の担体、界面活性剤、分散剤、及び補助剤は、必要に応じて各々単独で、あるいは組み合わせて用いられる。
【0093】
上記製剤中の有効成分の含有量は、特に限定されないが、通常、乳剤では1−75重量%、粉剤では0.3−25重量%、水和剤では1−90重量%、粒剤では0.5−10重量%とされる。
【0094】
式(I)、式(Ia)または式(Ib)で表される化合物またはその農園芸上許容可能な塩およびこれらを含む上記製剤は、そのままであるいは希釈して、植物または土壌に対して適用することができる。したがって、本発明の別の態様によれば、式(I)で表される化合物またはその農園芸上許容可能な塩の有効量を、植物または土壌に適用することを含んでなる、害虫の防除方法が提供される。さらに、本発明の別の態様によれば、式(Ia)で表される化合物またはその農園芸上許容可能な塩の有効量を、植物または土壌に適用することを含んでなる、半翅目害虫の防除方法が提供される。さらに、本発明の別の態様によれば、式(Ib)で表される化合物またはその農園芸上許容可能な塩の有効量を、植物または土壌に適用することを含んでなる、害虫の防除方法が提供される。上記化合物および製剤を植物または土壌に適用する手法としては、好ましくは散布処理、土壌処理、表面処理または薫蒸処理などが挙げられる。
【0095】
散布処理としては、例えば、散布、噴霧、ミスティング、アトマイジング、散粒、水面施用が挙げられる。また、土壌処理としては、例えば、土壌潅注、土壌混和が挙げられる。また、表面処理としては、例えば、塗布、粉衣、被覆することが挙げられる。また、薫蒸処理としては、例えば、土壌注入後、ポリフィルムで土壌を覆うことが挙げられる。したがって、本発明による防除方法には、式(I)、式(Ia)もしくは式(Ib)で表される化合物またはそれらを含む製剤を、密閉された空間において薫蒸処理によって適用する方法も含まれる。
【0096】
また、本発明による組成物は、他の殺虫剤、殺菌剤、殺ダニ剤、除草剤、植物成長調節剤、肥料等と混合または併用することができる。混合または併用することができる薬剤としては、例えば、ペスティサイド マニュアル(第13版 The British Crop Protection Council 発行)およびシブヤインデックス(SHIBUYA INDEX 第10版、2005年、SHIBUYA INDEX RESEARCH GROUP 発行)に記載のものが挙げられる。より具体的には、殺虫剤としては、アセフェート(acephate)、ジクロルボス(dichlorvos)、EPN、フェニトロチオン(fenitrothion)、フェナミホス(fenamifos)、プロチオホス(prothiofos)、プロフェノホス(profenofos)、ピラクロホス(pyraclofos)、クロルピリホスメチル(chlorpyrifos-methyl)、ダイアジノン(diazinon)のような有機リン酸エステル系化合物、メソミル(methomyl)、チオジカルブ(thiodicarb)、アルジカルブ(aldicarb)、オキサミル(oxamyl)、プロポキスル(propoxur)、カルバリル(carbaryl)、フェノブカルブ(fenobucarb)、エチオフェンカルブ(ethiofencarb)、フェノチオカルブ(fenothiocarb)、ピリミカーブ(pirimicarb)、カルボフラン(carbofuran)、ベンフラカルブ(benfuracarb)のようなカーバメート系化合物、カルタップ(cartap)、チオシクラム(thiocyclam)のようなネライストキシン誘導体、ジコホル(dicofol)、テトラジホン(tetradifon)のような有機塩素系化合物、ペルメトリン(permethrin)、テフルトリン(tefluthrin)、シペルメトリン(cypermethrin)、デルタメトリン(deltamethrin)、シハロトリン(cyhalothrin)、フェンバレレート(fenvalerate)、フルバリネート(fluvalinate)、エトフェンプロックス(ethofenprox)、シラフルオフェン(silafluofen)のようなピレスロイド系化合物、ジフルベンズロン(diflubenzuron)、テフルベンズロン(teflubenzuron)、フルフェノクスロン(flufenoxuron)、クロルフルアズロン(chlorfluazuron)、のようなベンゾイルウレア系化合物、メトプレン(methoprene)のような幼若ホルモン様化合物、クロマフェノジドのような脱皮ホルモン様化合物、その他の化合物として、ブプロフェジン(buprofezin)、ヘキシチアゾクス(hexythiazox)、アミトラズ(amitraz)、クロルジメホルム(chlordimeform)、ピリダベン(pyridaben)、フェンピロキシメート(fenpyroxymate)、ピリミジフェン(pyrimidifen)、テブフェンピラド(tebufenpyrad)、フルアクリピリム(fluacrypyrim)、アセキノシル(acequinocyl)、シフルメトフェン(cyflumetofen)、フルベンジアミド(flubendiamide)、エチプロール(ethiprole)、フィプロニル(fipronil)、エトキサゾール(ethoxazole)、イミダクロプリド(imidacloprid)、クロチアニジン(clothianidin)、ピメトロジン(pymetrozine)、ビフェナゼート(bifenazate)、スピロジクロフェン(spirodiclofen)、スピロメシフェン(spiromesifen)、フロニカミド(flonicamid)、クロルフェナピル(chlorfenapyr)、ピリプロキシフェン(pyriproxyfene)、インドキサカルブ(indoxacarb)、ピリダリル(pyridalyl)、またはスピノサド(spinosad)、アベルメクチン(avermectin)、ミルベマイシン(milbemycin)、有機金属系化合物、ジニトロ系化合物、有機硫黄化合物、尿素系化合物、トリアジン系化合物、ヒドラジン系化合物のような化合物が挙げられる。
【0097】
さらにまた、本発明による組成物は、BT剤、昆虫病原ウイルス剤などのような微生物農薬と、混用または併用することもできる。
【0098】
用いられる殺菌剤は、例えば、アゾキシストルビン(azoxystrobin)、クレソキシムメチル(kresoxym-methyl)、トリフロキシストロビン(trifloxystrobin)などのストロビルリン系化合物、メパニピリム(mepanipyrim)、ピリメサニル(pyrimethanil)、シプロジニル(cyprodinil)のようなアニリノピリミジン系化合物、トリアジメホン(triadimefon)、ビテルタノール(bitertanol)、トリフルミゾール(triflumizole)、エタコナゾール(etaconazole)、プロピコナゾール(propiconazole)、ペンコナゾール(penconazole)、フルシラゾール(flusilazole)、ミクロブタニル(myclobutanil)、シプロコナゾール(cyproconazole)、テブコナゾール(tebuconazole)、ヘキサコナゾール(hexaconazole)、プロクロラズ(prochloraz)、シメコナゾール(simeconazole)のようなアゾール系化合物、キノメチオネート(quinomethionate)のようなキノキサリン系化合物、マンネブ(maneb)、ジネブ(zineb)、マンコゼブ(mancozeb)、ポリカーバメート(polycarbamate)、プロピネブ(propineb)のようなジチオカーバメート系化合物、ジエトフェンカルブ(diethofencarb)のようなフェニルカーバメート系化合物、クロロタロニル(chlorothalonil)、キントゼン(quintozene)のような有機塩素系化合物、ベノミル(benomyl)、チオファネートメチル(thiophanate-methyl)、カーベンダジム(carbendazole)のようなベンズイミダゾール系化合物、メタラキシル(metalaxyl)、オキサジキシル(oxadixyl)、オフラセ(ofurace)、ベナラキシル(benalaxyl)、フララキシル(furalaxyl)、シプロフラム(cyprofuram)のようなフェニルアミド系化合物、ジクロフルアニド(dichlofluanid)のようなスルフェン酸系化合物、水酸化第二銅(copper hydroxide)、オキシキノリン銅(oxine-copper)のような銅系化合物、ヒドロキシイソキサゾール(hydroxyisoxazole)のようなイソキサゾール系化合物、ホセチルアルミニウム(fosetyl-aluminium)、トルクロホス−メチル(tolclofos-methyl)のような有機リン系化合物、キャプタン(captan)、カプタホール(captafol)、フォルペット(folpet)のようなN−ハロゲノチオアルキル系化合物、プロシミドン(procymidone)、イプロジオン(iprodione)、ビンクロゾリン(vinchlozolin)のようなジカルボキシイミド系化合物、フルトラニル(flutolanil)、メプロニル(mepronil)のようなベンズアニリド系化合物、フェンプロピモルフ(fenpropimorph)、ジメトモルフ(dimethomorph)のようなモルフォリン系化合物、水酸化トリフェニルスズ(fenthin hydroxide)、酢酸トリフェニルスズ(fenthin acetate)のような有機スズ系化合物、フルジオキソニル(fludioxonil)、フェンピクロニル(fenpiclonil)のようなシアノピロール系化合物、その他フサライド(fthalide)、フルアジナム(fluazinam)、シモキサニル(cymoxanil)、トリホリン(triforine) ピリフェノックス(pyrifenox)、フェナリモル(fenarimol)、フェンプロピディン(fenpropidin)、ペンシクロン(pencycuron)、シアゾファミド(cyazofamid)、イプロバリカルブ(iprovalicarb)またはベンチアバリカルブイソプロピル(benthiavalicarb-isopropyl)等が挙げられる。
【0099】
また、本発明の別の態様によれば、害虫防除剤としての、式(I)で表される化合物の使用またはその農園芸上許容可能な塩が提供される。さらに、本発明の別の態様によれば、半翅目害虫の防除剤としての、式(Ia)で表される化合物またはその農園芸上許容可能な塩の使用が提供される。さらに、本発明の別の態様によれば、害虫防除剤としての、式(Ib)で表される化合物またはその農園芸上許容可能な塩の使用が提供される。
【実施例】
【0100】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の化合物の番号は、表1〜14の化合物番号に対応するものである。
【0101】
実施例1:化合物73の合成
特開平8−259569に記載されている方法により合成した化合物76(890 mg)を80 %メタノール水溶液に溶解した。次に、この溶液に1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデカ−7−エン(216 mg)を加え、室温で1時間半撹拌した。反応溶液に酢酸を加え反応を止めた後、減圧下で溶媒を留去した。析出した結晶に水を加え、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去して、化合物73の粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(Mega Bond Elut (Varian)、アセトン:ヘキサン=1:1)にて精製して、化合物73(451 mg)を得た。
質量分析データ(FAB);570(M+H)+
【0102】
実施例2:化合物218の合成
特開平8−259569に記載されている方法により合成した化合物102(30 mg)とシクロプロパンカルボン酸(112 mg)を無水N, N−ジメチルホルムアミド(2 ml)に溶解した。次に、この溶液に1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド 塩酸塩(76 mg)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(32 mg)を加えた。 反応溶液を室温で68時間撹拌後、反応溶液を水に加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去して、化合物218の粗生成物を得た。粗生成物を分取薄層クロマトグラフィー(Merck シリカゲル60F254 0.5mm、アセトン:ヘキサン=1:1)にて精製して、化合物218(33 mg)を得た。
質量分析データ(FAB);662(M+H)+
【0103】
実施例3:化合物261の合成
実施例2で得た化合物218(1.07 g)を80 %メタノール水溶液に溶解し、その溶液に1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデカ−7−エン(271 mg)を加え、室温で24時間半撹拌した。反応溶液に酢酸を加え反応を止めた後、減圧下で溶媒を留去した。析出した結晶に水を加え、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去して、化合物261の粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(Mega Bond Elut (Varian)、アセトン:ヘキサン=1:1)にて精製して、化合物261(233 mg)を得た。
質量分析データ(ESI);594(M+H)+
【0104】
実施例4:化合物222の合成
実施例1で得た化合物73(30 mg)と4−(トリフルオロメチル)ニコチン酸(30 mg)を無水N, N−ジメチルホルムアミド(3 ml)に溶解し、その溶液に1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド 塩酸塩(15 mg)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(4 mg)を加えた。反応溶液を室温で15時間撹拌後、反応溶液を水に加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去して、化合物222の粗生成物を得た。粗生成物を分取薄層クロマトグラフィー(Merck シリカゲル60F254 0.5mm、アセトン:ヘキサン=1:1)にて精製して、化合物222(19 mg)を得た。
質量分析データ(FAB);743(M+H)+
【0105】
実施例5:化合物269の合成
実施例3で得た化合物261(20 mg)と2−シアノ安息香酸(30 mg)を無水N, N−ジメチルホルムアミド(1 ml)に溶解し、その溶液に1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド 塩酸塩(26 mg)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(4 mg)を加えた。反応溶液を室温で12時間撹拌後、反応溶液を水に加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去して、化合物269の粗生成物を得た。粗生成物を分取薄層クロマトグラフィー(Merck シリカゲル60F254 0.5mm、アセトン:ヘキサン=1:1)にて精製して、化合物269(18 mg)を得た。
質量分析データ(ESI);723(M+H)+
【0106】
実施例6:化合物225の合成
Journal of Antibiotics(1997), 50(3), 229−36.に記載の1,7,11−トリデアセチル−13−オキソ−6”−クロル ピリピロペンA(10 mg)を無水N, N−ジメチルホルムアミド(1 ml)に溶解し、その溶液にトリエチルアミン(24 mg)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.5 mg)を加えた。室温で30分間撹拌後、プロピオン酸無水物(8 mg)を加えた。反応溶液を同温で4時間撹拌後、反応溶液を水に加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去して、化合物225の粗生成物を得た。粗生成物を分取薄層クロマトグラフィー(Merck シリカゲル60F254 0.5mm、アセトン:ヘキサン=1:1)にて精製して、化合物225(5.6 mg)を得た。
質量分析データ(ESI);658(M+H)+
【0107】
実施例7:化合物226の合成
実施例6で得た化合物225(10 mg)をメタノール(1 ml)に溶解し、その溶液に塩化セリウム(III)7水和物(57 mg)、水素化ホウ素ナトリウム(6 mg)を加えた。0度で7時間撹拌後、反応溶液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去して、化合物226の粗生成物を得た。粗生成物を分取薄層クロマトグラフィー(Merck シリカゲル60F254 0.5mm、アセトン:ヘキサン=1:1)にて精製して、化合物226(8.5 mg)を得た。
質量分析データ(ESI);660(M+H)+
【0108】
実施例8:化合物273の合成
特開平8−269065に記載の1,7,11−トリデアセチル−1,11−O−p−メトキシベンジリデン ピリピロペンA(10 mg)を無水ジクロロメタン(0.5 ml)に溶解し、その溶液にピリジニウム ジクロメート(PDC)(39 mg)を加えた。反応溶液を室温で4時間撹拌後、反応溶液を水に加え、ジクロロメタン層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去して、化合物273の粗生成物を得た。粗生成物を分取薄層クロマトグラフィー(Merck シリカゲル60F254 0.5mm、クロロホルム:メタノール=12.5:1)にて精製して、化合物273(4.4 mg)を得た。
質量分析データ(ESI);574(M+H)+
【0109】
実施例9:化合物274の合成
特開平8−269065に記載の1,11−O−サイクリックカーボネート 1,7,11−トリデアセチル−ピリピロペンA(4 mg)を無水ジクロロメタン(1 ml)に溶解し、さらにトリエチルアミン(5 μl)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(1 mg)を加えた。反応溶液を室温で30分間撹拌後、無水吉草酸(5 μl)を加えた。次には反応溶液を室温で3時間撹拌後、反応溶液を水に加え、ジクロロメタン層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去して、化合物274の粗生成物を得た。粗生成物を分取薄層クロマトグラフィー(Merck シリカゲル60F254 0.5mm、クロロホルム:メタノール=25:1)にて精製して、化合物274(0.1 mg)を得た。
質量分析データ(ESI);652(M+H)+
【0110】
実施例10
以下の表15〜17に記載の化合物を、これら表に記載の原料、反応試薬1および2ならびに溶媒を用いて合成した。さらに、表15〜17の化合物のうち、一部の化合物のH−NMRデータは、表18〜表29に記載される通りであった。なお、H−NMRにおいて、測定溶媒としてはCDClを用いた。また、標準物質としては、テトラメチルシランを用いた。
【0111】
【表15】

【0112】
【表16】

【0113】
【表17】

【0114】
【表18】

【0115】
【表19】

【0116】
【表20】

【0117】
【表21】

【0118】
【表22】

【0119】
【表23】

【0120】
【表24】

【0121】
【表25】

【0122】
【表26】

【0123】
【表27】

【0124】
【表28】

【0125】
【表29】

【0126】
実施例11
製剤例1〔水和剤〕
本発明による化合物(化合物番号82) 30重量%
クレー 30重量%
ケイソウ土 35重量%
リグニンスルホン酸カルシウム 4重量%
ラウリル硫酸ナトリウム 1重量%
上記成分を均一に混合し、粉砕して水和剤を得た。
【0127】
製剤例2〔粉剤〕
本発明による化合物(化合物番号82) 2重量%
クレー 60重量%
タルク 37重量%
ステアリン酸カルシウム 1重量%
上記成分を均一に混合して粉剤を得た。
【0128】
製剤例3〔乳剤〕
本発明による化合物(化合物番号82) 20重量%
N,N−ジメチルホルムアミド 20重量%
ソルベッソ150(エクソンモービル有限会社) 50重量%
ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル 10重量%
上記成分を均一に混合、溶解して乳剤を得た。
【0129】
製剤例4〔粒剤〕
本発明による化合物(化合物番号28) 5重量%
ベントナイト 40重量%
タルク 10重量%
クレー 43重量%
リグニンスルホン酸カルシウム 2重量%
上記成分を均一に粉砕混合し、水を加えてよく練合した後、造粒乾燥して粒剤を得た。
【0130】
製剤例5〔フロアブル剤〕
本発明による化合物(化合物番号28) 25重量%
POEポリスチリルフェニルエーテル硫酸塩 5重量%
プロピレングリコール 6重量%
ベントナイト 1重量%
キサンタンガム1%水溶液 3重量%
PRONAL EX−300(東邦化学工業株式会社) 0.05重量%
ADDAC 827(ケイ・アイ化成株式会社) 0.02重量%
水 加えて100重量%
上記配合からキサンタンガム1%水溶液と適当量の水を除いた全量を予備混合した後、湿式粉砕機にて粉砕した。その後、キサンタンガム1%水溶液と残りの水を加え100重量%としてフロアブル剤を得た。
【0131】
試験例1:モモアカアブラムシ防除試験
上記公知手法にて製造した式(I)の化合物のうち、表1〜14に示される化合物およびピリピロペンAを用いて殺虫効果を試験した。
ポット栽培したキャベツからΦ2.8cmのリーフディスクを切り抜き、5.0cmシャーレに入れた。これにアブラムシ成虫を4頭放飼した。その1日後、成虫を取り除いた。リーフディスクに産まれた1令幼虫の数を10頭に調整し、これに50%アセトン水(0.05%Tween20加用)となるように調製した20ppmの薬液を散布した。風乾後、シャーレに蓋をして、25℃の恒温室(16時間明期-8時間暗期)に放置した。放飼3日後に虫の生死を観察し、次式に従って死虫率を算出した。
死虫率(%)={死亡虫数/(生存虫数+死亡虫数)}×100
その結果、化合物番号1,6,8,9,10,12,14,16,18,20,23,25,28,34,35,36,37,38,39,40,44,45,49,54,56,57,61,69,76,82,85,86,88,90,91,98,103,106,107,108,109,111,125,128,133,135,137,139,142,153,160,161,162,164,167,169,170,171,172,176,180,182,183,186,187,190,196,201,205,206,207,208,209,210,211,212,213,214,215,216,217,218,219,220,221,222,223,226,227,228,229,230,231,232,233,236,237,239,240,241,242,243,244,245,246,247,248,249,250,251,252,253,254,255,256,257,258,259,260,261,262,263,264,265,266,267,268,269,270,271,272,273,274の化合物およびピリピロペンAが80%以上の死虫率を示した。
【0132】
試験例2:モモアカアブラムシ防除試験
上記公知手法にて製造した式(I)の化合物のうち、表1〜14に示される化合物およびピリピロペンAを用いて殺虫効果を試験した。
ポット栽培したキャベツからΦ2.8cmのリーフディスクを切り抜き、5.0cmシャーレに入れた。これにアブラムシ成虫を4頭放飼した。その1日後、成虫を取り除いた。リーフディスクに産まれた1令幼虫の数を10頭に調整し、これに50%アセトン水(0.05%Tween20加用)となるように調製した0.156ppmの薬液を散布した。風乾後、シャーレに蓋をして、25℃の恒温室(16時間明期-8時間暗期)に放置した。放飼3日後に虫の生死を観察し、試験例1と同様にして死虫率を算出した。
その結果、化合物番号12,23,28,45,54,56,76,82,85,86,90,164,201,205,206,207,212,213,217,218,219,222,227,228,229,231,232,233,237,239,240,242,246,247,249,250,252,253,256,258,261,262,264,265,266,267,269,270,271の化合物が80%以上の死虫率を示した。
【0133】
試験例3:コナガ(Plutella xylostella)防除試験
直径5cmのキャベツリーフディスクを、プラスチックカップに入れた。50%アセトン水(Tween20 0.05%加用)により所定濃度に希釈した供試化合物を、スプレーガンを用いてキャベツリーフディスクに散布し、風乾した。カップ内に5頭のコナガ2令幼虫を放虫し、蓋をして25℃の恒温室にて飼育した。処理3日後に幼虫の生死を観察し、試験例1と同様にして死虫率を算出した。
その結果、化合物76、213、218、237および250は、500ppmの濃度にて死虫率80%以上を示した。
【0134】
試験例4:オオタバコガ(Helicoverpa armigera)防除試験
直径2.8cmのキャベツリーフディスクを、プラスチックカップに入れた。50%アセトン水(Tween20 0.05%加用)により所定濃度に希釈した供試化合物を、スプレーガンを用いてキャベツリーフディスクに散布し、風乾した。カップ内に1頭のオオタバコガ3令幼虫を放虫し、蓋をして25℃の恒温室にて飼育した。処理3日後に幼虫の生死を観察した。この試験は5回反復した。そして、試験例1と同様にして死虫率を算出した。
その結果、化合物219は、100ppm以下の濃度にて死虫率80%以上を示した。
【0135】
試験例5:アカヒゲホソミドリカスミカメ(Trigonotylus caelestialium)防除試験
50%アセトン水(Tween20 0.05%加用)にて供試化合物を所定濃度に希釈した溶液に、コムギ苗1本を30秒間浸漬した。このコムギ苗を風乾した後、ガラス筒に入れた。さらに、このガラス筒中にアカヒゲホソミドリカスミカメ2令幼虫2頭を放虫して蓋をし、25℃の恒温室にて飼育した。試験中、ガラス筒下からコムギ苗に給水した。処理3日後に幼虫の生死を観察し、試験例1と同様に死虫率を算出した。
その結果、化合物218および261は、100ppm以下の濃度にて死虫率80%以上を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分としての下式(I)で表される化合物またはその農園芸上許容可能な塩と、農園芸上許容可能な担体とを含有する、害虫防除剤として用いられる組成物。
【化1】

[式中、
Hetが、置換されていてもよい3−ピリジル基を表し、
R1が、水酸基、
置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルケニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルキニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC1-6アルキルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルケニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルキニルオキシ基、
置換されていてもよいベンジルオキシ基、または
13位の水素原子が存在せずにオキソ基を表すか、あるいは
R1および5位の水素原子が存在せず5位-13位間が二重結合を表し、
R2が、水酸基、
置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルケニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルキニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、または
置換されていてもよいC1-6アルキルスルホニルオキシ基を表し、
R3が、水素原子、
水酸基、
置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルケニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルキニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、
置換されていてもよいC1-6アルキルスルホニルオキシ基、
置換されていてもよいベンゼンスルホニルオキシ基、または
置換されていてもよい5-6員複素環チオカルボニルオキシ基を表すか、あるいは
R2およびR3が一緒になって−O−CR2’R3’−O−(R2’およびR3’が、同一または異なって、水素原子、C1-6アルキル基、C1-6アルキルオキシ基、C2-6アルケニル基、置換されていてもよいフェニル基または置換されていてもよいベンジル基を表すか、あるいは、R2’およびR3’が、一緒になってオキソ基またはC2-6アルキレン基を表す)を表し、
R4が、水素原子、
水酸基、
置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルケニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルキニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、
置換されていてもよいC1-6アルキルスルホニルオキシ基、
置換されていてもよいベンゼンスルホニルオキシ基、
置換されていてもよいベンジルオキシ基、
置換されていてもよいC1-6アルキルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルケニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルキニルオキシ基、
C1-6アルキルオキシ-C1-6アルキルオキシ基、
C1-6アルキルチオ-C1-6アルキルオキシ基、
C1-6アルキルオキシ-C1-6アルキルオキシ-C1-6アルキルオキシ基、
置換されていてもよいC1-6アルキルオキシカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC1-6アルキルアミノカルボニルオキシ基、
置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環オキシ基、
置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基、
置換されていてもよいチエノ[3,2-b]ピリジルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよい1H−インドリルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環チオカルボニルオキシ基、または
7位の水素原子が存在せずにオキソ基を表し、ただし、
Het1が3-ピリジル基を表し、
R1が水酸基を表し、かつ
R2、R3およびR4が共にアセチルオキシ基を表す化合物
を除く。]
【請求項2】
Het1が3-ピリジル基を表し、
R1が、水酸基またはC1-6アルキルカルボニルオキシ基を表すか、あるいは
R1および5位の水素原子が存在せずに5位-13位間が二重結合を表し、
R2が置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基を表し、
R3が置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基またはC1-6アルキルスルホニルオキシ基を表すか、あるいは、
R2およびR3が一緒になって−O−CR2’R3’−O−(R2’およびR3’が、同一または異なって、水素原子、C1-6アルキル基または置換されていてもよいフェニル基を表すか、あるいは、R2’およびR3’が、一緒になってオキソ基またはC2-6アルキレン基を表す)を表し、
R4が、水酸基、
置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基、
飽和もしくは不飽和の5-6員複素環オキシ基、
置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、
C1-3アルキルオキシ-C1-3アルキルオキシ基、
置換されていてもよいC1-6アルキルアミノカルボニルオキシ基、
置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基、
置換されていてもよいチエノ[3,2-b]ピリジルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよい1H−インドリルカルボニルオキシ基、
飽和もしくは不飽和の5-6員複素環チオカルボニルオキシ基、または
7位の水素原子が存在せずにオキソ基を表す、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
Het1が3-ピリジル基を表し、
R1が水酸基を表し、
R2が置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基を表し、
R3が置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基またはC1-6アルキルスルホニルオキシ基を表し、
R4が、水酸基、
置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基、
飽和もしくは不飽和の5-6員複素環オキシ基、
置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、
C1-3アルキルオキシ-C1-3アルキルオキシ基、
置換されていてもよいC1-6アルキルアミノカルボニルオキシ基、
置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基、
置換されていてもよいチエノ[3,2-b]ピリジルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよい1H−インドリルカルボニルオキシ基、
飽和もしくは不飽和の5-6員複素環チオカルボニルオキシ基、または
7位の水素原子が存在せずにオキソ基を表す、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
Het1が3-ピリジル基を表し、
R1が水酸基を表し、
R2が置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基を表し、
R3が置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基またはC1-6アルキルスルホニルオキシ基を表し、
R4が、水酸基、
置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基、
飽和もしくは不飽和の5-6員複素環オキシ基、
置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、
置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基、または
飽和もしくは不飽和の5-6員複素環チオカルボニルオキシ基を表す、
請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
Het1が3-ピリジル基を表し、
R1が水酸基を表し、
R2およびR3が、置換されていてもよい環状のC3-6アルキルカルボニルオキシ基を表す、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
有効成分としての下式(Ia)で表される化合物またはその農園芸上許容可能な塩と、農園芸上許容可能な担体とを含有する、半翅目害虫の防除剤として用いられる組成物。
【化2】

[式中、
Hetが、置換されていてもよい3−ピリジル基を表し、
R11が、水酸基、
置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルケニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルキニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC1-6アルキルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルケニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルキニルオキシ基、
置換されていてもよいベンジルオキシ基、または
13位の水素原子が存在せずにオキソ基を表すか、あるいは
R11および5位の水素原子が存在せず5位-13位間が二重結合を表し、
R12が、水酸基、
置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルケニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルキニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、または
置換されていてもよいC1-6アルキルスルホニルオキシ基を表し、
R13が、水素原子、
水酸基、
置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルケニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルキニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、
置換されていてもよいC1-6アルキルスルホニルオキシ基、
置換されていてもよいベンゼンスルホニルオキシ基、
置換されていてもよい5-6員複素環チオカルボニルオキシ基を表すか、あるいは
R12およびR13が一緒になって−O−CR12’R13’−O−(R12’およびR13’が、同一または異なって、水素原子、C1-6アルキル基、C1-6アルキルオキシ基、C2-6アルケニル基、置換されていてもよいフェニル基または置換されていてもよいベンジル基を表すか、あるいは、R12’およびR13’が、一緒になってオキソ基またはC2-6アルキレン基を表す)を表し、
R14が、水素原子、
水酸基、
置換されていてもよいC1-18アルキルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルケニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルキニルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、
置換されていてもよいC1-6アルキルスルホニルオキシ基、
置換されていてもよいベンゼンスルホニルオキシ基、
置換されていてもよいベンジルオキシ基、
置換されていてもよいC1-6アルキルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルケニルオキシ基、
置換されていてもよいC2-6アルキニルオキシ基、
C1-6アルキルオキシ-C1-6アルキルオキシ基、
C1-6アルキルチオ-C1-6アルキルオキシ基、
C1-6アルキルオキシ-C1-6アルキルオキシ-C1-6アルキルオキシ基、
置換されていてもよいC1-6アルキルオキシカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいC1-6アルキルアミノカルボニルオキシ基、
置換されていてもよい飽和または不飽和の5-6員複素環オキシ基、
置換されていてもよい飽和または不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基、
置換されていてもよいチエノ[3,2-b]ピリジルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよい1H−インドリルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよい飽和または不飽和の5-6員複素環チオカルボニルオキシ基、または
7位の水素原子が存在せずにオキソ基を表す。]
【請求項7】
Hetが3-ピリジル基を表し、
R11が、水酸基またはC1-6アルキルカルボニルオキシ基を表すか、あるいは
R11および5位の水素原子が存在せずに5位-13位間が二重結合を表し、
R12が置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基を表し、
R13が置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基またはC1-6アルキルスルホニルオキシ基を表すか、あるいは、
R12およびR13が一緒になって−O−CR12’R13’−O−(R12’およびR13’は、同一または異なって、水素原子、C1-6アルキル基または置換されていてもよいフェニル基を表すか、あるいは、R12’およびR13’は、一緒になってオキソ基またはC2-6アルキレン基を表す)を表し、
R14が、水酸基、
置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基、
飽和もしくは不飽和の5-6員複素環オキシ基、
置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、
C1-3アルキルオキシ-C1-3アルキルオキシ基、
置換されていてもよいC1-6アルキルアミノカルボニルオキシ基、
置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基、
置換されていてもよいチエノ[3,2-b]ピリジルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよい1H−インドリルカルボニルオキシ基、
飽和もしくは不飽和の5-6員複素環チオカルボニルオキシ基、または
7位の水素原子が存在せずにオキソ基を表す、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
Het2が3-ピリジル基を表し、
R11が水酸基を表し、
R12が置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基を表し、
R13が置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基またはC1-6アルキルスルホニルオキシ基を表し、
R14が、水酸基、
置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基、
飽和もしくは不飽和の5-6員複素環オキシ基、
置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、
C1-3アルキルオキシ-C1-3アルキルオキシ基、
置換されていてもよいC1-6アルキルアミノカルボニルオキシ基、
置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基、
置換されていてもよいチエノ[3,2-b]ピリジルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよい1H−インドリルカルボニルオキシ基、
飽和もしくは不飽和の5-6員複素環チオカルボニルオキシ基、または
7位の水素原子が存在せずにオキソ基を表す、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
Het2が3-ピリジル基を表し、
R11が水酸基を表し、
R12が置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基を表し、
R13が置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基またはC1-6アルキルスルホニルオキシ基を表し、
R14が、水酸基、
置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニルオキシ基、
飽和もしくは不飽和の5-6員複素環オキシ基、
置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、
置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基、または
飽和もしくは不飽和の5-6員複素環チオカルボニルオキシ基を表す、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
Het2が3-ピリジル基を表し、
R11が水酸基を表し、
R12およびR13が、置換されていてもよい環状のC3-6アルキルカルボニルオキシ基を表す、請求項6に記載の組成物。
【請求項11】
前記半翅目害虫が、アブラムシ類、カイガラムシ類またはコナジラミ類から選択されるものである、請求項6に記載の組成物。
【請求項12】
前記半翅目害虫が、モモアカアブラムシ、ワタアブラムシ、Aphis fabae、トウモロコシアブラムシ、エンドウヒゲナガアブラムシ、ジャガイモヒゲナガアブラムシ、マメアブラムシ、チューリップヒゲナガアブラムシ、Macrosiphum avenaeMetopolophium dirhodum、ムギクビレアブラムシ、ムギミドリアブラムシ、ダイコンアブラムシ、ニセダイコンアブラムシ、ユキヤナギアブラムシ、Rosy apple aphid、リンゴワタムシ、コミカンアブラムシ、ミカンクロアブラムシおよびクワコナカイガラムシからなる群から選択される少なくとも一つのものである、請求項6に記載の組成物。
【請求項13】
下式(Ib)で表される化合物またはその農園芸上許容可能な塩。
【化3】

[式中、
Het1が3-ピリジル基を表し、
R1が水酸基を表し、
R2およびR3がプロピオニルオキシ基または置換されていてもよい環状のC3-6アルキルカルボニルオキシ基を表し、
R4が、水酸基、
置換されていてもよい環状のC3-6アルキルカルボニルオキシ基、
置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、または
置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基を表し、ただし、
Het1が3-ピリジル基を表し、
R1が水酸基を表し、
R2およびR3がプロピオニルオキシ基を表し、かつ
R4が、水酸基を表す化合物
を除く。]
【請求項14】
R2およびR3が置換されていてもよい環状のC3-6アルキルカルボニルオキシ基を表し、
R4が、水酸基、置換されていてもよい環状のC3-6アルキルカルボニルオキシ基、または置換されていてもよいベンゾイルオキシ基を表す、請求項13に記載の化合物またはその農園芸上許容可能な塩。
【請求項15】
R2およびR3がプロピオニルオキシ基を表し、
R4が、置換されていてもよい環状のC3-6アルキルカルボニルオキシ基または置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の5-6員複素環カルボニルオキシ基を表す、請求項13に記載の化合物またはその農園芸上許容可能な塩。
【請求項16】
有効成分としての請求項13に記載の化合物またはその農園芸上許容可能な塩と、農園芸上許容可能な担体とを含有する、害虫防除剤として用いられる組成物。
【請求項17】
請求項1に記載の式(I)で表される化合物またはその農園芸上許容可能な塩の有効量を、植物または土壌に適用することを含んでなる、害虫の防除方法。
【請求項18】
請求項6に記載の式(Ia)で表される化合物またはその農園芸上許容可能な塩の有効量を、植物または土壌に適用することを含んでなる、半翅目害虫の防除方法。
【請求項19】
請求項13に記載の式(Ib)で表される化合物またはその農園芸上許容可能な塩の有効量を、植物または土壌に適用することを含んでなる、害虫の防除方法。
【請求項20】
害虫防除剤としての、請求項1に記載の式(I)で表される化合物またはその農園芸上許容可能な塩の使用。
【請求項21】
半翅目害虫の防除剤としての、請求項6に記載の式(Ia)で表される化合物またはその農園芸上許容可能な塩の使用。
【請求項22】
害虫防除剤としての、請求項13に記載の式(Ib)で表される化合物またはその農園芸上許容可能な塩の使用。

【公開番号】特開2012−197284(P2012−197284A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−115932(P2012−115932)
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【分割の表示】特願2007−41108(P2007−41108)の分割
【原出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000006091)Meiji Seikaファルマ株式会社 (180)
【出願人】(598041566)学校法人北里研究所 (180)
【Fターム(参考)】