説明

歩行型管理機

【課題】
操作ハンドル17を取外すことなくコンパクトに収納することができる歩行型管理機1を提供する。
【解決手段】
ミッションケースから後部上方に向かって延設されたハンドルフレーム16と、前記ハンドルフレーム16に取付けられた操作ハンドル17と、変速レバーHとを備え、前記ハンドルフレーム16を、前記ミッションケース2の後方側を覆うカバー体から突出して形成すると共に、このカバー体から突出した前記ハンドルフレーム16の突出部に前記操作ハンドル17の取付部を設け、前記ハンドルフレームに対する操作ハンドル17の回動範囲を、作業位置調整孔h1が位置する作業位置調整領域と収納位置固定孔h2が位置する収納領域とに規制具39によって分けると共に、該規制具39を、遠隔操作により変速レバーの操作位置が中立位置の状態の時のみに規制解除可能に構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミッションケース後方にロータリ耕耘装置が設けられた歩行型管理機に係り、詳しくは、そのハンドルまわりの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、圃場での耕耘作業、畝立て作業などに歩行型管理機が用いられることが知られており、この歩行型管理機には、ロータリ耕耘装置の位置によって、ミッションケースの後方にロータリ耕耘装置が連結されたリアロータリ式歩行型管理機や、ロータリ耕耘装置が車軸と一体に形成された車軸型の歩行型管理機などがある。
【0003】
上記歩行型管理機では、作業者が機体を操作する操作ハンドルが後部上方に向かって突出して形成されているため、このハンドルを出荷時や、持ち運びの際にコンパクトに収納することが求められている。
【0004】
そこで、従来、上述の車軸型の歩行型管理機にあっては、操作ハンドルを機体の後方に回動させて折り畳むことで、ハンドルをコンパクトに収納するものが案出されている(特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−322572号公報
【特許文献2】実開昭57−120180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、リアロータリ式歩行型管理機の場合、ロータリ耕耘装置がミッションケース後方にあるために、操作ハンドルを回動させて収納しようとしても、ロータリ耕耘装置と操作ハンドルとが干渉してしまうため、上述の車軸型の歩行型管理機のように操作ハンドルを後方に回動させて収納することができず、操作ハンドルを取外して収納するように構成されていた。
【0007】
そのため、操作ハンドルを取外した際に取付部材であるネジやナットなどを紛失する虞があると共に、操作ハンドルを再び管理機に取付ける際に操作ハンドルに取付けられた様々な操作具の調整が必要となり、組立の手間もかかってしまっていた。
【0008】
さらに、操作ハンドルを回動させて収納させるにあたっては、安全に作業を行うためにも機体が完全に停止した状態で行うのが望ましいが、不慣れな作業者にあっては、エンジンが始動している時でも操作ハンドルの収納操作を行ってしまい、何らかの原因で機体が動いてしまい事故の原因にもなることが十分に予想される。
【0009】
そこで、本発明はミッションケースを覆うカバーから突出したハンドルフレームの突出部に操作ハンドルを取付けると共に、この操作ハンドルを作業位置から下方に回動し、ロータリ耕耘装置に近接した収納位置に固定可能にすると共に、操作ハンドルの回動範囲は、作業位置調整孔が位置する作業位置調整領域と収納位置固定孔が位置する収納領域とを規制具によって分けると共に、変速レバーの操作位置が中立位置の状態の時のみに、該規制具を、遠隔操作により規制解除可能に構成したことによって、上記課題を解決した歩行型管理機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
車輪(3)に支持されたミッションケース(2)と、該ミッションケース(2)の後方に配置されたロータリ耕耘装置(19)と、を備えた歩行型管理機(1)において、前記ミッションケース(2)から後部上方に向かって延設されたハンドルフレーム(16)と、前記ハンドルフレーム(16)に取付けられた操作ハンドル(17)と、変速レバー(H)とを備え、前記ハンドルフレーム(16)を、前記ミッションケース(2)の後方側を覆うカバー体(11b)から突出して形成すると共に、このカバー体(11b)から突出した前記ハンドルフレーム(16)の突出部(16a)に前記操作ハンドル(17)の取付部(16b)を設け、前記ハンドルフレーム(16)に対する前記操作ハンドル(17)の回動範囲を、作業位置調整孔(h1)が位置する作業位置調整領域と収納位置固定孔(h2)が位置する収納領域とに規制具(39)によって分けると共に、該規制具(39)を、遠隔操作により規制解除可能に構成した、ことに特徴がある。
【0011】
また、変速レバー(14)の操作位置が中立位置の状態の時のみに、規制具(39)の遠隔操作を可能に構成した、ことに特徴がある。
【0012】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の構成に何ら影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によると、ミッションケースの後方にロータリ耕耘機が配置された歩行型管理機において、操作ハンドルの操縦高さ位置を作業位置と、非作業位置である収納位置に操作ハンドルを回動させるにあたって、ハンドルフレームに対する操作ハンドルの回動範囲を、作業位置調整孔が位置する作業位置調整領域と収納位置固定孔が位置する収納領域とに規制具によって分け、該規制具を、遠隔操作により規制解除可能としたことで、作業者の無理な姿勢を強いられることなく、規制具の操作を行うことができる。
【0014】
請求項2に係る発明によると、変速レバーの操作位置が中立位置の状態の時のみに、規制具の遠隔操作を可能としたことにより、操作ハンドルの位置を変更しようとした際に、機体が不意に動き出して、事故につながることが回避され、安心して安全に作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る歩行型管理機の作業時の斜視図。
【図2】本発明の実施形態に係る歩行型管理機の作業時の側面図。
【図3】本発明の実施形態に係る歩行型管理機の作業時の平面図。
【図4】本発明の実施形態に係る歩行型管理機の操作ハンドルの拡大斜視図。
【図5】本発明の実施形態に係る歩行型管理機のハンドルフレーム部の拡大斜視図。
【図6】本発明の実施形態に係る歩行型管理機のハンドルフレーム部の拡大斜視図。
【図7】本発明の実施形態に係る歩行型管理機の収納時の斜視図。
【図8】本発明の実施形態に係る歩行型管理機の収納時の側面図。
【図9】本発明の実施形態に係る歩行型管理機の収納時の平面図。
【図10】本発明の実施形態に係る歩行型管理機の収納時の耕耘装置の拡大斜視図。
【図11】本発明の実施形態に係る歩行型管理機の収納時の耕耘装置の拡大斜視図。
【図12】本発明の実施形態に係る歩行型管理機の収納時の側面図。
【図13】本発明の実施形態に係る歩行型管理機の変速ガイドパネルの正面図。
【図14】本発明の実施形態に係る歩行型管理機の変速ガイドパネルの背面図。
【図15】本発明の実施形態に係る歩行型管理機の規制具の作動装置の回路図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1乃至図15に基づいて本発明に係る歩行型管理機の実施の形態を説明する。なお、以下の説明における方向は、歩行型管理機で作業を行っている際の作業者を基準とする。
【0017】
[リアロータリ式歩行型管理機の構成]
リアロータリ式歩行型管理機1の構成について説明する。図1乃至図3に示すように、リアロータリ式歩行型管理機1は、主に、圃場の走行などを行うためのリアロータリ式歩行型管理機の本体部4と、圃場を耕耘するための耕耘部としてのロータリ耕耘装置9と、リアロータリ式歩行型管理機1を操作するための操作部18とから構成されている。以下、各構成部について説明する。
【0018】
まず、リアロータリ式歩行型管理機の本体部4は、車軸5を介して駆動輪である左右一対の車輪3に支持されると共に、トランスミッションを収納したミッションケース2と、ミッションケース2に取付けられたフレーム6に搭載され、ミッションケース2の前方に配置された動力源であるエンジン7と、エンジン7の上に配置された燃料タンク(不図示)とを有して構成されている。
なお、図1に示す14は変速レバーである。
【0019】
変速レバー14は主変速ガイドパネル13のガイド溝13aに挿通案内されている。なお、主変速ガイドパネル13のガイド溝は、図13で示すように左端から右方向に直線方向に亙って後進位置R、作業中立位置N´、前進1速位置F1、中立位置N、前進2速位置F2、を有する走行変速段からなり、また作業中立位置N´から縦(上下)方向の上方と下方にそれぞれ逆転位置C、正転位置Sを有する作業機であるロータリ耕耘装置9の回転方向切換段が形成されている。
【0020】
主変速ガイドパネル13の裏面には、主変速ガイドパネル13のガイド溝13aの中立位置Nの裏面上方に位置して後述する操作ハンドル17を作業位置と収納位置に切換える際に、安全に操作ハンドル17を切換えるべく、規制具39をハンドルフレーム16内に設けており、該規制具39をハンドル17の手元からの遠隔操作によって規制具39を作動状態と解除状態にする構成にしている。そして、遠隔操作によって、規制具39を作業位置と解除位置とに切換えるのに、変速レバー14が中立位置N状態を認識した上で規制具39が切り換わるべく構成している。主変速ガイドパネル13の裏面には、主変速ガイドパネル13のガイド溝13aの中立位置Nの裏面上方に位置して安全スイッチAがサポート板50を介して取付ボルト51により該主変速ガイドパネル13の側板に取り付けられている。また、前記安全スイッチAのスイッチ部52は図示されていない内蔵のバネにより外方へ突出付勢される形式のものを使用しており、該スイッチ部52を押圧作動させるための作動板53が主変速ガイドパネル13と該主変速ガイドパネル13の裏面に固設されたガイド板54の間隙に上下方向に摺動可能に設けられている。
【0021】
該ガイド板54には後述する作動板53の長孔内53bに入り込んで、該長孔53bの端部に接して作動板53の下方移動を規制するための爪部(不図示)が曲げ形成されている。該爪部はガイド板54に図示のような馬蹄形状の孔55を穿設して、この内側に形成された爪部を上方に折曲げることにより、形成される。前記作動板53の下端部左右側辺の角部は傾斜面或いは湾曲面等の誘導部53c,53cが形成され、上記ガイド溝13c側の作動板53の下側寄りには前記スイッチ部52を押圧作動するための舌片状の突子53aが曲げ形成してある。更に、前記作動板53の上方部には長孔53bが設けられ、該長孔53bの端部に前記ガイド板54の爪部の先端部53が引掛かり、作動板53の一端部53dが前記主変速ガイドパネル13のガイド溝13a内へ所定以上下降位置しないように規制されるようになっている。なお、図13、図14において突子53aが実線状態では安全スイッチAは「OFF」状態になっており、該突子53aが鎖線状態に上動した時安全スイッチAは「ON」状態になっている。
【0022】
本実施例は以上のような構成よりなるので、操作ハンドル17の作業位置から収納位置或いは収納位置から作業位置への切り換えに際して、ハンドルフレーム16内の規制具39を操作ハンドル17手元からの遠隔操作レバー55によって解除位置に操作するには、主変速レバー14をガイド溝13aに沿って中立位置Nになるように切替移動すると、作動板53の誘導部53cを主変速レバー14の上面で擦り上げるように押し上げて作動板53が図13及び図14に示す如く実線状態位置から鎖線状態位置に移動され作動板53の突子53aが安全スイッチAのスイッチ部52を「OFF」から「ON」状態として、その状態において、操作ハンドル17の手元に装備された遠隔操作レバーを操作することで、規制具39を後述する手段によって作動状態から解除状態へとすることができる。
【0023】
また、リアロータリ式歩行型管理機1の本体部4の左側面には、エンジンから上記トランスミッションへの動力伝達を断接するためのテンションプーリ式クラッチ9が、カバーに覆われて設けられていると共に、テンションプーリ式クラッチ9の上方には、エンジン7からの排気ガスを排出するためのマフラ10が、カバーに覆われて設けられている。
【0024】
上記エンジン7の上側は、ボンネット11aで覆われており、また、上記燃料タンクとミッションケース2の前方側から後方側までは、カバー体であるボディーカバー11bによって覆われている。また、図2に示すようにボンネット11a及びボディーカバー11bは、リアロータリ式歩行型管理機1に隣接して取付けられると共に、取付時に一体化して側面視で略円弧形状になるように形成されている。
【0025】
また、ボンネット11aと隣接する、ボディーカバー11bの一端部側には、前記燃料タンクに燃料を給油するための給油口を突出させるための孔が設けてあり、該孔から突出した給油口には脱着可能で給油口キャップ12が取付けられている。そして、前記給油口の後方には、リアロータリ式歩行型管理機1の変速などを行うための主変速ガイドパネル13が、主変速レバー14の揺動領域を切り欠いてボディーカバー11bに形成されていると共に、主変速ガイドパネル13の後方には、矩形の開口部15が形成されている。開口部15からは操作ハンドル17を取付けるためのハンドルフレーム16が突設して形成されている。なお、ハンドルフレーム16についての詳細は後述する。
【0026】
次に、リアロータリ式歩行型管理機の耕耘部としてのロータリ耕耘装置19は、ロータリ軸20に軸支されたロータ爪21と、ロータ爪21の上方を覆うロータリカバー22とを有していると共に、ミッションケース2の後方に連結されて配置されている。そして、ロータリ耕耘装置19は、ロータ爪21がエンジン7の動力によって回転することで圃場を耕耘する構成になっている。
【0027】
また、ロータリカバー22には、圃場を滑走することでロータリ耕耘装置19の耕耘深さを規制する尾ソリ23が、上下位置変更自在に設けられており、また、ロータリカバー22には、下端部を圃場の土中に入れて走行することで、走行抵抗を発生させて機体のダッシング現象を抑えるための抵抗板25も設けられている。さらに、ロータリカバー22の後端部にはリヤカバー26が取付けられ、リヤカバー26の上には支持アーム24に支持されて移動用の尾輪27が設けられている。
【0028】
そして、リアロータリ式歩行型管理機1の操作部18は、側面視で略へ字形状に屈曲されて形成された操作ハンドル17を有して構成されており、この操作ハンドル17は、上記ハンドルフレーム16に設けられた取付部16bに回動自在に取付けられている。
【0029】
操作ハンドル17の左側17Lには、操作ハンドル17の位置を変更するための操作ハンドル位置変更レバー29が取付けられている。また、図4に示すように、操作ハンドル17の右側17Rには、リアロータリ式歩行型管理機1の旋回性を向上させるために、ディファレンシャルギアをロックさせるディファレンシャルギアロックレバー32が取付けられている。ディファレンシャルギアロックレバー32の前方には、作業中の緊急時に歩行型管理機1を確実に停止するためデッドマンクラッチ31が、操作ハンドルの左右(17R,17L)にそれぞれ支持されて回動自在に取り付けられている。
また、操作ハンドル17の前方には、本発明の要部である規制具39を作動状態と解除状態とに切換える遠隔操作レバー55が設けられている。即ち、後述する操作ハンドル17位置を固定するにあたり、操作ハンドル17の作業位置と収納位置とを仕切っている規制具39を、主変速レバー14が中立位置Nにある時のみ作動する回路を構成している。
【0030】
図15は規制具39の作動装置の回路図であり、安全スイッチAのスイッチ部52を変速レバー14の中立位置Nへの操作で「ON」にし、かつ後述する遠隔操作レバー55を「OFF」から「ST-ON」へ操作することにより、ST端子回路が閉成され、マグネットスイッチが「ON」となりバッテリBから電流がソレノイドバルブSに流れ、電動モータDが作動するようになっている。
【0031】
次に、規制具39の構造について説明する。
規制具39は、図6に示すように、ハンドルフレーム16の開放面の上側の角部の一端に、ハンドル位置固定プレート37上面部とベロ状の延設部37aとの間に位置するように、規制部材である規制ピン39が、ハンドルフレーム16方向に、電動モータDによって、ハンドルフレーム16の一端から他端に亘って規制ピン39が貫通した状態、即ち、操作ハンドル17の回動を規制する状態と、ハンドルフレーム16の一端に規制ピン39が留まっている状態、即ち、操作ハンドル17の回動が規制されない状態とに伸縮自在に取付けられている。
【0032】
デッドマンクラッチ31の前方には、リアロータリ式歩行型管理機1を緊急停止させるための緊急停止スイッチ33aが先端部に取付けられた取付け板33が、ループ状に形成された操作ハンドル17の内側に平面視略L字形状で設けられており、取付け板33の前方には、エンジン7の回転数を調節するためのスロットルコントロールレバー30が取付けけられている。
【0033】
[操作ハンドルの回動機構及び固定機構]
次に、本実施形態に係るリアロータリ式歩行型管理機1の操作ハンドルの回動機構及び固定機構について説明する。図5及び図6に示すように、ハンドルフレーム16は、ミッションケース2から後部上方に向かって延設して形成されており、ミッションケース2の後方側を覆うボディーカバー11bから突出した突出部16aを有している。
【0034】
この突出部16aは、ボディーカバー11bに形成されて開口部15からカバー外に突出していると共に、操作ハンドル17が支持部材であるシャフト(不図示)によって回動自在に軸支される取付部16bが形成されている。
また、操作ハンドル17の先端側は、操作ハンドル17の中途部Mから下方側へ屈曲させている。
なお、ハンドルフレーム16に対する操作ハンドル17の取付け位置については、主変速レバー14の邪魔にならないように、しかも、出来るだけ安定した位置、即ち、低い位置に設けている。
その詳細については図2に示すように、車輪3の圃場接地点とロータリ耕耘装置19のロータリ軸20を結んだ線L、即ち、耕耘作業で最も深く耕耘した状態と、作業者が操作ハンドル17を把持する先端部を前方に引き出した線Hが略平行で、しかも、ハンドルフレーム16に対する操作ハンドル17の取付け点が該線Hよりも下方になる位置で、図8に示すべく、操作ハンドル17を収納位置にした時に、操作ハンドル17の屈曲ポイントがロータリ耕耘装置19の略上方になる位置にしている。
従って、操作ハンドル17の中途部Mから下方側へ屈曲させるポイントについても、必然的に特定されるものである。
【0035】
上記ハンドルフレーム16は、突出部16aの一面が開放された平面視略コ字形状に形成されており、この開放面がロータリ耕耘装置19側である機体後方に向くように配設されている。また、ハンドルフレーム16の内側上面には、操作ハンドル17の回動位置(図の位置P1)を位置決めするための固定部材であって、後述する操作ハンドル固定部材であるストッパピンの先端部を嵌合させるための孔h1,h2が、複数設けられたハンドル位置固定プレート37が取付けられている。
なお、操作ハンドル17の先端側は、操作ハンドル17の中途部Mから下方に向けて屈曲さてあることで、ロータリ耕耘作業にあっては、略圃場面と、操作ハンドル17先端側が平行となることで、作業者が操作ハンドル17を把持する姿勢が楽に行うことが出来る。
【0036】
また、ハンドル位置固定プレート37は、上述した開放面に向かって一部が延設されており、ハンドルフレーム16の上面部に相当する部分(以下、単に上面部という)には、操作ハンドル17がハンドルフレーム16から後部上方に向かって延び、作業時に使用される作業位置P1に操作ハンドル17を固定するための作業位置調整孔h1・・・が複数設けられていると共に、開放面に向かって延設された延設部37aには、作業位置P1から下方に向けて回動し、ロータリ耕耘装置に近接した収納位置P2(図7乃至12の位置)に操作ハンドル17を固定するための収納位置固定孔h2が設けられている。
【0037】
また、ハンドルフレーム16の開放面の下側には、ハンドルフレーム16の強度を上げるための補強部材41である断面円形形状の金属棒が、ハンドルフレーム16内側の両壁面に取付けられている。また、スロットルコントロールレバー30や、緊急停止スイッチ33aなどの操作具に接続されるワイヤハーネス42が、ハンドルフレームの略コ字形状の開放面を通って内部から配線されており、それぞれワイヤハーネス42は、ハンドルフレーム内に取付けられた金属棒41の上側と下側とに別々に通るように配線されている。
【0038】
ハンドルフレーム16の取付部16bへ、操作ハンドル17を取付けるために形成された操作ハンドルの取付部17aには、操作ハンドル17を固定するための固定部材であるストッパピン(不図示)を収納したストッパピンケース36を支持した、ストッパピン取付部材である取付金具(ストッパピン支持部材)35が取付けられている。
【0039】
ついで、上記ハンドル位置固定プレート37の孔に嵌挿されるストッパピンについて詳しく説明をする。上記操作ハンドル17の回動位置を位置決めするストッパピンは、ストッパピンケース36からストッパピンの先端部が突出して収められている。そして、操作ハンドルの左側17Lに取付けられた、操作ハンドル位置変更レバー29を握ると、ストッパピンケース36内のストッパピンと操作ハンドル位置変更レバー29とを繋いだワイヤ28により、ストッパピンケース36内にストッパピンが引っ張られ、ストッパピンの全体がストッパピンケース内に収納される。また、操作ハンドル位置変更レバー29を放すと前記ワイヤが緩められることになり、ストッパピンケース36内からストッパピンの先端部が突出する構成となっている。
【0040】
ところで、図5乃至図9に示すように、上記ストッパピンケース36は、上記ハンドルフレーム16の突出部16aの外周側に位置するように、ループ状の操作ハンドル17基部において、左右の操作ハンドル17L,17Rに挟まれるようにして支持されている。
【0041】
より詳しくは、円筒状のストッパピンケース(ストッパピン)36は、ストッパピン支持部材35によって左右の操作ハンドル17L,17R間に支持されており、このストッパピン支持部材は、左右の操作ハンドル間に架設され、その中間部に円筒状のストッパピンケース36が嵌合する一対の支持プレート35aと、これら一対の支持プレート35a間を上方側から覆うカバー部材35bと、から構成されている。
【0042】
上記一対の支持プレート35aは、ストッパピンケース36の上端部及び下端部それぞれ支持していると共に、カバー部材35bがこれら支持プレート間を上方からカバーしており、これにより作業者からハンドルの位置調整機構部が見えないようになっている。
【0043】
また、上記カバー部材35bは図2に示すように、操作ハンドル17の先端側の支持プレート35a1から操作ハンドル17の基部側(ハンドルフレーム側)の支持プレート35a2に向かってその上面部が傾斜して形成されており、この上面部は、操作ハンドル17が作業位置P1にあるとき、このカバー部材35bと接続するハンドルフレーム16の接続面16cと略面一状になるように傾斜角度が調整されている。
【0044】
即ち、カバー部材35bには、操作ハンドル17を作業位置P1にした際に、操縦者である作業者のリアロータリ式歩行型管理機1に設けられた操作盤の視認性を向上させるため傾斜面が形成され、側面視三角形形状で形成されている。また、ハンドルフレーム16の突出部16aの外周面とカバー部材35bに形成された傾斜面とを合わせるために、操作ハンドル17と接するカバー部材35bの両辺側には、平面視三角形形状の傾斜面が形成されている。
【0045】
次に、上記操作ハンドルの回動機構及び固定機構を有するハンドルフレーム16及び操作ハンドル17の作用について説明する。
【0046】
作業者は、圃場で作業をするに際し、操作ハンドル位置変更レバー29を握って、ストッパピンとハンドル位置固定プレート37の作業位置調整孔h1との嵌合を解除し、複数ある上記作業位置調整孔h1・・・の内、最も作業しやすい作業位置P1を調整する。
【0047】
この時、操作ハンドル17の回動範囲は、作業位置調整孔h1が位置する作業位置調整領域と、後述する収納位置固定孔h2が位置する収納領域と、が規制ピン39によって分けられているため、作業者は操作ハンドル17の作業位置P1を調整する際に、収納領域ではなく作業位置調整領域にて操作ハンドル17を回動させて作業位置P1を調整する。 そして、作業位置P1の調整が終わると、操作ハンドル17を持って、圃場での作業を開始する。
【0048】
一方、圃場での作業が終わると、作業者は、管理機1をトラックなどに積み込む。この時、作業者は、操作ハンドル17を収納するため、主変速レバー14を中立位置Nにする。中立位置Nに操作することで、操作ハンドル17の手元に設けられた遠隔操作レバー55を操作することで、ハンドルフレーム16に取付けられた規制ピン39を伸縮自在にすることが可能になり、不意に操作ハンドル17を収納位置に操作するようにしている。そうした構成において、操作ハンドル位置変更レバー29を握って、操作ハンドル17の固定が解除されると、作業時位置から下方に向けて回動させて、ロータリ耕耘装置19に近接した収納位置P2にまで移動させた後、操作ハンドル位置変更レバー29を放してストッパピンを収納位置固定孔h2に嵌合させて操作ハンドル17の位置を収納位置P2に固定する。
操作ハンドル17を収納位置P2にすると、操作ハンドル17の先端側が中途部Mから下方へ屈曲させて、リヤカバー26に略沿う形状となっており、機体の全長を短くすることが出来る。
また、操作ハンドル17を作業位置から収納位置へする回動軌跡内に尾ソリ23や尾輪27等の装置を有することで、操作ハンドル17を回動させた際に、それらの装置が邪魔にならないようにロータリ耕耘装置19に取付けられている。
【0049】
上述のように、作業者が操作ハンドル17を収納すると、図7乃至図11に示すように、操作ハンドル17はハンドルフレーム取付部16bから下方後方に向かい、ロータリ耕耘装置19を覆うようにロータリ耕耘装置に近接させて収納される。そして、その際、尾ソリ23、尾輪27などのロータリカバー22に設けられた装置は、ループ状の操作ハンドル17内に収納される。
【0050】
上述したように、本発明の実施の形態に係るリアロータリ式歩行型管理機1において、操作ハンドル17の操縦高さ位置を、ロータリ耕耘装置19側に回動させて収納することで、収納状態における管理機1の高さ位置を下げることができる。
【0051】
また、操作ハンドル17が取り付けられるハンドルフレーム16を、ボディーカバー11bから突出するまで延設し、ボディーカバー11bから突出した突出部16aに操作ハンドル17を取り付けたため、操作ハンドル17の全長を短く形成することができると共に、その回動範囲を大きく取ることができる。
【0052】
例えば、梱包の際などの制限が厳しい機体前後方向の長さも短くして操作ハンドル17を収納することができる。更に、操作ハンドル17を収納位置P2に回動させるだけで、容易にリアロータリ式歩行型管理機を収納状態にすることができる。
【0053】
また、ハンドルフレーム16を略コ字形状に形成し、その内側にハンドル位置固定プレート37を配置する構成としたことで、操作ハンドル17を収納した際でもハンドルフレーム16の内部が見えることを防止して外観の向上を図ることができる。また、ハンドルフレーム16の構造を簡素化することができるので、製造コストを抑えることもできる。
【0054】
また、ストッパピン支持部材35をハンドルフレーム16の外周に近接するように操作ハンドル取付部17aへ取付けたことで、操作ハンドル17を作業時位置にした際に、ハンドルフレーム16内に取付けられたハンドル位置固定プレート37を見えにくくすることができるため、外観の向上を図ることができる。また、操作ハンドルにハンドル位置固定プレート37を隠すための折り返しなどを設ける必要もなく、ハンドルを複雑な形状にしなくてもよいため製造コストを抑えることもできる。
【0055】
また、操作ハンドル17が作業位置P1にある際、変速ガイド13などの歩行型管理機1の操作盤についての作業者の視認性を確保するため、カバー部材35bを傾斜面を有する側面視三角形形状に形成したことから、リアロータリ式歩行型管理機1の操作性の向上を図ることができる。
【0056】
また、ストッパピン支持部材35を操作ハンドル取付部17aにハンドルフレーム16の外周にハンドルフレーム16と近接するように取付けたと共に、ストッパピン支持部材35をハンドルフレーム16と略同一幅及び略同一形状に形成したことで、ハンドルを作業位置P1にした際に、ハンドルフレームとの統一感が生じ、外観の向上を図ることができ、また、ストッパピン支持部材35に別途カバーを取付ける必要もなく製造コストも抑えることもできる。
【0057】
また、ハンドル位置固定プレートの延設部37aを両端に隙間を設けてハンドル位置固定プレート37に取付ける構成としたので、延設部37aを取り付けるために行う溶接を必要最低限度で行えばよく、溶接時間の短縮及び製造コストを抑えることができる。また、ハンドルフレーム16を略コ字形状に開放したことから、ワイヤハーネス42の配線を容易にすることができる。
【0058】
また、ハンドルフレーム16の背面の開放面の下方に、ワイヤハーネス42を規制するための金属棒41を取付けたことで、ワイヤハーネス42同士が絡まることを防ぎ、また、操作ハンドル17を収納位置P2に収納した際、操作ハンドル17とハンドルフレーム16とにワイヤハーネス42が挟まることを防ぐこともできる。これにより、ワイヤハーネス42の断線を防ぐことができる。更には、ハンドルフレーム16の強度をあげることもできるため、ワイヤハーネス42の規制材とハンドルフレーム16の補強材とを一つにすることでき、新たにワイヤハーネスを規制する部材を設ける必要がなく、製造コストを抑えることもできる。
【0059】
また、ループ形状である操作ハンドル17の内側に略L字形状で緊急停止スイッチ取付け板33を設けると共に、取付け板33でデッドマンクラッチ31の回動ストッパを兼ねる構成としたことから、デッドマンクラッチ専用のストッパを設ける必要がなく、製造コストを抑えることができ、更に、デッドマンクラッチの停止位置に影響されることないため、取付け板33の形状を大きくすることもできる。
【0060】
なお、本実施形態では操作ハンドルの回動範囲を規制するために、ハンドルフレーム16にピン39を取付ける構成としたが、これに限らず、例えば、ワイヤ、プレートなどを取り付けるという構成にしてもよい。
【0061】
また、本実施形態ではワイヤハーネス規制及び、ハンドルフレーム補強のために、ハンドルフレーム16に断面円形形状の金属棒41を取付ける構成としたが、これに限らず、例えば断面矩形形状の棒や、プレートなどを取り付ける構成としてもよく、また、金属製に限らず、強化プラスチックやセラミック製などの棒などを取付ける構成でもよい。
【0062】
また、本実施形態ではストッパピン支持部材35は金属製の構成としたがこれに限らず、例えば、樹脂製や強化プラスチック製などで構成してもよい。
【0063】
また、本実施形態では、ハンドルフレーム16に取付ける操作ハンドルをループ形状の構成としたが、これに限らず、例えば、平面視略Y字形状の操作ハンドルを取付ける構成でもよい。
【0064】
なお、図12に示すように、本発明に係るハンドルフレーム16´を、ロータ爪46の形状が異なるロータリ耕耘装置45を有するリアロータリ式歩行型管理機43に用いても好適に実施することができる。図12はハンドルフレーム16´に取付けられた操作ハンドル17´が収納位置に収納された状態を示したものである。
【符号の説明】
【0065】
1 歩行型管理機(リアロータリ式歩行型管理機)
2 ミッションケース
11b カバー体(ボディーカバー)
14 変速レバー
16 ハンドルフレーム
16a 突出部
16b 取付部
17 操作ハンドル
19 ロータリ耕耘装置
39 規制具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪に支持されたミッションケースと、該ミッションケースの後方に配置されたロータリ耕耘装置と、を備えた歩行型管理機において、
前記ミッションケースから後部上方に向かって延設されたハンドルフレームと、
前記ハンドルフレームに取付けられた操作ハンドルと、変速レバーとを備え、
前記ハンドルフレームを、前記ミッションケースの後方側を覆うカバー体から突出して形成すると共に、このカバー体から突出した前記ハンドルフレームの突出部に前記操作ハンドルの取付部を設け、
前記ハンドルフレームに対する操作ハンドルの回動範囲を、作業位置調整孔が位置する作業位置調整領域と収納位置固定孔が位置する収納領域とに規制具によって分けると共に、該規制具を、遠隔操作により規制解除可能に構成したことを特徴とする歩行型管理機。
【請求項2】
変速レバーの操作位置が中立位置の状態の時のみに、規制具の遠隔操作を可能にしたことを特徴とする歩行型管理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−112(P2013−112A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138086(P2011−138086)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】