説明

硫化亜鉛蛍光体およびその前駆体ならびにそれらの製造方法

【課題】高輝度の硫化亜鉛蛍光体の製造のために、硫化亜鉛蛍光体前駆体における炭素の残留及び硫黄の過剰な取り込みを抑制しつつ、該蛍光体前駆体中に付活金属を均質且つ効率的に導入する方法を提供する。
【解決手段】銅、銀、マンガン、金および希土類元素の少なくとも1種類の元素を含む化合物、亜鉛化合物、ならびに硫化アンモニウム、硫化水素アンモニウム、ポリ硫化アンモニウムの少なくとも1種類を含む水溶液を有機溶媒中に添加して反応混合液とし、該反応混合液を加熱して、水と有機溶媒を共沸させ、その際に、共沸により生じた蒸気を凝縮して得られる水のみ回収することによって、該反応混合液から水を除去しながら、該反応混合液中に目的の硫化物を生成させることを特徴とする硫化亜鉛蛍光体前駆体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硫化亜鉛蛍光体およびその前駆体並びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
硫化亜鉛は、古くから顔料として用いられており、特に異種金属と組み合わせることにより多様な色彩を呈するために着色顔料の構成成分として広く用いられている。また、その半導体特性、光導電体特性を利用して太陽電池、受光素子、映像記録用素子等に用いられることもあり、さらに、蛍光特性を利用して硫化亜鉛蛍光体を用いた発光素子を備えるEL素子、CRT、照明器具なども知られている。一般に硫化亜鉛のような金属硫化物を母体とする蛍光体は、硫化剤と金属塩とを反応させることによって調製できる金属硫化物蛍光体前駆体を焼成し、該前駆体内部で固相反応を進行させることによって製造することができる。金属硫化物蛍光体前駆体には、銅をはじめとする金属元素をドープすることができる(特許文献1参照)。また、金属硫化物蛍光体を構成する成分元素を含有する原料化合物から2液以上の蛍光体原料水溶液を調製し、該2液以上の蛍光体原料水溶液を同時且つ連続的に反応容器に供給して反応させ、銅やマンガンを発光中心金属とする金属硫化物蛍光体前駆体を生成させる液相合成法が知られている(特許文献2参照)。
【0003】
しかしながら、従来公知の液相合成法では、チオアセトアミドなどの硫化剤による硫化反応の速度が一定ではなく、反応時間の経過に伴い、生成する金属硫化物の組成に変動が生じるため、金属硫化物に均質に付活金属をドープすることは困難であった。また、金属硫化物が水溶性である場合には、製造工程に使用されている水性溶媒中に高価な金属硫化物が溶出してしまうため、金属硫化物中に付活金属が効率的に取り込まれ難いという問題がある。さらに、金属硫化物の一部が加水分解され、水酸化物、更に酸化物へと変化し、金属硫化物蛍光体中に不純物として取り込まれるため、発光効率が低下するおそれもある。
【0004】
加えて、本発明者らの検討では、チオアセトアミド、チオ尿素などの有機硫黄化合物を硫化剤として使用して硫化亜鉛蛍光体前駆体を製造した場合、生成する硫化亜鉛蛍光体前駆体の中に、有機硫黄化合物由来の残留炭素が0.15重量%以上取り込まれ、この残留炭素が焼成時に完全には分解されずに炭化され、蛍光体表面に蛍光強度低下の原因となる黒点を形成することが明らかになった。また、本発明者らの検討では、前記有機硫黄化合物を使用した場合、生成する硫化亜鉛蛍光体前駆体中に過剰の硫黄が取り込まれるため、焼成時に発火するおそれがあり危険であること、さらに、使用する反応機器が腐食されるため好ましくないことも明らかとなった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−132947号公報
【特許文献2】特開2004−018709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、高輝度の硫化亜鉛蛍光体の製造のために、硫化亜鉛蛍光体前駆体における炭素の残留及び硫黄の過剰な取り込みを抑制しつつ、該蛍光体前駆体中に付活金属を均質且つ効率的に導入する方法を開発することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、亜鉛化合物および付活金属を含む原料化合物と、硫化剤としての、硫化アンモニウム、硫化水素アンモニウムおよびポリ硫化アンモニウムから選択される少なくとも1種類とを、共沸混合溶媒中で反応させることによって、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、具体的な態様として以下のものを提供する。
[1] 銅、銀、マンガン、金および希土類元素の少なくとも1種類の元素を含む化合物、亜鉛化合物ならびに硫化剤を含む水溶液を有機溶媒中に添加して反応混合液とし、該反応混合液を加熱して、水と有機溶媒を共沸させ、その際に、共沸により生じた蒸気を凝縮して得られる水のみ回収することによって、該反応混合液から水を除去しながら、該反応混合液中に目的の硫化物を生成させること、を含む硫化亜鉛蛍光体前駆体の製造方法であって、前記硫化剤が、硫化アンモニウム、硫化水素アンモニウムおよびポリ硫化アンモニウムから選択される少なくとも1種類の化合物であることを特徴とする製造方法。
[2] 硫化亜鉛蛍光体前駆体中の炭素含有量が0.15重量%未満である、[1]の方法により製造される硫化亜鉛蛍光体前駆体。
[3] 前記硫化剤中の硫黄元素の含有量が、前記亜鉛化合物中の亜鉛元素の含有量の0.5〜5当量倍に相当する、[1]の方法により製造される硫化亜鉛蛍光体前駆体。
[4] 硫化亜鉛蛍光体前駆体が、亜鉛、硫黄、ならびに銅、銀、マンガン、金および希土類元素の少なくとも1種類の元素から構成されており、また、亜鉛の含有量ならびに前記銅、銀、マンガン、金および希土類元素の少なくとも1種類の元素の含有量はそれぞれICP発光分光法により決定され、硫黄元素の含有量は残余の量に相当するものとして算出される場合に、前記硫化亜鉛蛍光体前駆体中の硫黄と亜鉛のモル数に基づく比率が、
0.92<硫黄/亜鉛<0.98
の範囲内である、[1]の方法により製造される硫化亜鉛蛍光体前駆体。
[5] 前記[1]の方法により製造される硫化亜鉛蛍光体前駆体を更に焼成することにより得られる硫化亜鉛蛍光体。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、付活金属が均質にドープされた硫化亜鉛蛍光体前駆体を製造することができ、付活金属の利用効率が向上する。また、硫化亜鉛蛍光体前駆体を原料として使用することにより、高輝度で高品質な硫化亜鉛蛍光体を低コストで提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の詳細な説明を行う。
本明細書中に用いられている「蛍光体前駆体」の用語は、液相中での原料化合物同士の反応により生成し、硫化亜鉛結晶中に付活金属や共付活元素がドープされた構造を有するが、加熱処理等が施されておらず所望の蛍光発光特性をほとんど示さない状態にある物質を意味するものとする。
【0011】
本発明で使用する亜鉛化合物としては、特に限定されるものではなく、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの鉱酸塩、ギ酸、酢酸、酪酸、シュウ酸などの有機酸塩、アセチルアセトネートなどの錯塩を使用することができる。本発明の方法には、反応混合液から水を除去する工程が含まれていることから、水を除去した後の安定性、残留性を考慮して、特に塩化物を使用することが好ましい。上記亜鉛化合物は、1種類で使用しても、複数種類を混合して使用しても構わない。
【0012】
銀、銅、金、マンガンおよび希土類元素の少なくとも1種類の元素を含む化合物としては、特に限定されるものではなく、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの鉱酸塩、ギ酸、酢酸、酪酸、シュウ酸などの有機酸塩、アセチルアセトネートなどの錯塩を使用することができる。反応混合液から水を除去した後の安定性、残留性を考慮して、塩酸塩、硫酸塩を使用することが好ましい。上記金属元素を含む化合物は、1種類で使用しても、複数種類を混合して使用してもよい。
【0013】
また、必要に応じて、アクセプターとしての銀、銅、マンガンまたは希土類元素に対してドナーとして作用する、塩素、臭素、ヨウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウムなどの元素を少なくとも1種類含む化合物を反応混合液中に添加し、上記ドナー元素が硫化物中に取り込まれるようにしてもよい。
【0014】
本発明において、亜鉛を反応系に供給するために、亜鉛化合物の水溶液を調製するが、ここで、該水溶液中での亜鉛化合物の濃度は、該亜鉛化合物が完全に溶解している限り、生成する硫化亜鉛蛍光体前駆体の組成の均質性に大きく影響することはない。ただし、水溶液中の亜鉛化合物の濃度が濃すぎる場合には、硫化亜鉛蛍光体前駆体の析出に伴い、反応が阻害され速度が低下するため、好ましくなく、他方、濃度が希薄すぎる場合には、容積効率が著しく低下するため好ましくない。従って、0.01〜2モル/L、より好ましくは0.1〜1.5モル/Lの範囲に調製する。
【0015】
本発明に使用する、銀、銅、金、マンガンおよび希土類元素の少なくとも1種類の元素を含む化合物、ならびに、アクセプターとしての銀、銅、金、マンガンおよび希土類元素に対してドナーとして作用する元素を含む化合物の使用量は、得られる硫化亜鉛蛍光体前駆体の重量を基準として、重量比で0.1〜150,000ppmの範囲内、より好ましくは、1ppm〜50,000ppmの範囲内であり、さらに、含有の効果、経済性を考慮した場合、2ppm〜10,000ppmの範囲内であることが好ましい。
【0016】
本発明に使用する硫化剤は、硫化アンモニウム、硫化水素アンモニウムおよびポリ硫化アンモニウムから選択される少なくとも1種類の化合物である。これらの硫化剤は、アンモニア水に硫化水素ガスを通じることにより生成させることができる。上記硫化剤は、通常水溶液の形で使用され、水溶液中、(NH)HS(硫化水素アンモニウム)、(NHS(硫化アンモニウム)、および(NH(ポリ硫化アンモニウム;xは2,3,4,5,9などの値をとる。)の形で存在し得る。よって、本発明に使用する硫化剤は、これらの硫化アンモニウム、硫化水素アンモニウム、ポリ硫化アンモニウムの1種類以上が含まれている水溶液であればよい。特に入手の容易さ、取り扱いの容易さを考慮すると、本発明では、硫化水素アンモニウム[(NH)HS]、および/または、硫化アンモニウム[(NHS]が含まれている水溶液を使用することが好ましい。
【0017】
硫化剤として、上記の硫化アンモニウム、硫化水素アンモニウム、ポリ硫化アンモニウムの少なくとも1種類を含む水溶液を使用する場合、その使用量は水溶液中に含まれる硫黄元素の量が、亜鉛元素の量に対して、0.5〜5当量倍に相当する量であればよい。該水溶液の使用量が少なすぎるために亜鉛化合物が未反応のまま残留すると、反応全体に好ましくない影響が生じるほか、得られた硫化亜鉛蛍光体にも色純度の低下、品質低下による用途の限定などの影響が生じることから、1.0〜4当量倍程度の量で使用されることが好ましく、特に1.1〜2当量倍の範囲内で使用されることが好ましい。
【0018】
硫化アンモニウム、硫化水素アンモニウム、ポリ硫化アンモニウムの少なくとも1種類からなる硫化剤を水溶液の形で供給する際、水溶液中の該硫化剤の濃度は、これらが水に溶解している限り、硫化亜鉛蛍光体前駆体中の付活金属の分布の均質性にほとんど影響はないが、濃度が濃すぎる場合には未反応の硫化剤が析出し、反応生成物中に残留するため好ましくなく、濃度が薄すぎる場合には、未反応の亜鉛化合物が析出し、反応生成物中に残留するため好ましくない。従って、0.01〜2モル/L、より好ましくは0.1〜1.5モル/Lの範囲内に濃度を調整する。
ところで、本発明の製造方法で用いる銅、銀、マンガン、金および希土類元素の少なくとも1種類の元素を含む化合物は、その種類によって硫化剤との反応速度が大きく異なる場合があり、特に硫化剤との反応性が高い場合には、硫化剤と混合した後、短時間に沈殿が生成し、硫化亜鉛母体中への均質なドープが阻害される。そこで、このような事態を回避するために、好ましくは、硫化剤と金属溶液は、有機溶媒に添加される直前に混合するか、あるいは、別々に有機溶媒に加えて有機溶媒中で混合する。
【0019】
本発明において、亜鉛化合物、硫化剤等の化合物を溶解させる水に関しては、水に含まれる不純物により硫化亜鉛蛍光体前駆体の品質が低下しないように、灰分の含有量が100ppm以下であるイオン交換水、より好ましくは灰分10ppm以下のイオン交換水を使用する。
【0020】
本発明に使用することができる有機溶媒に関しては、水と共沸し且つ該共沸によって水を除去できるものであればよい。即ち、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロオクタン、ノナン、デカン、ドデカン、シクロドデカン、ウンデカンなどの飽和炭化水素、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、アミルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジシクロヘキシルエーテル、ジオクチルエーテル、ジシクロオクチルエーテル、アニソール、フェニルエチルエーテル、フェニルプロピルエーテル、フェニルブチルエーテルなどのエーテル類、ブチルアルコール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、シクロオクチルアルコールなどのアルコール類、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酪酸ブチル、酪酸アミル、酪酸イソアミル、安息香酸メチル、安息香酸エチルなどのエステル類などを使用することができる。溶媒の安定性、安全性、水の除去効率、生成する硫化物および原料塩の溶解による損失を考慮して、飽和炭化水素または芳香族炭化水素を使用することが好ましい。とりわけ、デカン、ドデカン、キシレンが好ましい。
【0021】
有機溶媒の使用量に関して、特に制限はなく、亜鉛化合物を溶解させた水溶液および硫化剤の水溶液の添加量より多量となるように維持されていればよい。
【0022】
本発明において、硫化亜鉛蛍光体前駆体を生成させるために、反応は通常30〜300℃の温度範囲内で実施できるが、安全性、操作性の観点から、特殊な実験設備、反応器等を使用する必要のない温度、すなわち40〜230℃で実施することが好ましい。更に、本発明に使用する硫化剤の分解速度を考慮すると、より好ましくは60〜200℃、特に好ましくは80〜180℃で実施するのがより好ましい。
【0023】
本発明において反応は、反応系内に酸素が存在する場合には、反応生成物の酸化を完全に抑制することが困難であり、反応により生成するアンモニアの発火の危険性もあることから、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で実施することが好ましい。
【0024】
本発明では、一方で有機溶媒に原料化合物の水溶液を添加して、反応混合液を調製しつつ、他方で、水と有機溶媒の共沸を利用して反応混合液から水を除去する。反応混合液中に析出した硫化亜鉛蛍光体前駆体は、液相媒体から分離し、必要に応じて、残留する溶媒を更に水洗により除去した後、加熱条件下、更に必要ならば減圧下で乾燥する。該硫化亜鉛蛍光体前駆体の乾燥処理のために、例えば真空加熱乾燥器を使用することができる。
【0025】
本発明では、硫化亜鉛蛍光体前駆体の乾燥処理温度は、特に限定されるものではなく、通常10〜200℃の範囲内で実施することができるが、高温条件下で乾燥処理を実施する場合には、該硫化亜鉛蛍光体前駆体の表面に水分が僅かでも付着していると、該硫化亜鉛蛍光体前駆体は酸化される可能性があるため、好ましくは150℃以下、より好ましくは30〜120℃で実施される。
【0026】
本発明の硫化亜鉛蛍光体前駆体中の炭素含有量が0.15重量%未満であることで、残留炭素に由来する蛍光体表面および粒子内部の黒点形成が抑制され、蛍光強度が高くなる。本発明の硫化亜鉛蛍光体前駆体の製造方法は、硫化剤として有機硫黄化合物を使用していないことにより、得られる硫化亜鉛蛍光体前駆体の炭素含有量を0.15重量%未満にできる。
【0027】
本発明の好ましい実施態様では、硫化亜鉛蛍光体前駆体は、亜鉛、硫黄、ならびに銅、銀、マンガン、金および希土類元素の少なくとも1種類の元素から構成されており、また、亜鉛の含有量ならびに前記銅、銀、マンガン、金および希土類元素の少なくとも1種類の元素の含有量はそれぞれICP発光分光法により決定され、硫黄元素の含有量は残余の量に相当するものとして算出される場合に、前記硫化亜鉛蛍光体前駆体中の硫黄と亜鉛のモル数に基づく比率が、0.92<硫黄/亜鉛<0.98の範囲内である。該硫化亜鉛蛍光体前駆体を焼成して得られる硫化亜鉛蛍光体は、過剰な硫黄の存在による亜鉛欠損に由来する光吸収または消光がないために、蛍光量子収率が高まり、輝度も高くなる。
【0028】
硫化亜鉛蛍光体前駆体は、乾燥後、不活性ガス雰囲気下、または、硫化水素を含有する還元性ガスの雰囲気下で400〜1200℃、より好ましくは500〜1100℃で焼成することにより、硫化亜鉛蛍光体に転化させることができる。硫化亜鉛蛍光体の粒子表面を平滑にするために、必要に応じて酸素含有雰囲気下で焼成してもよい。ただし、焼成雰囲気中の酸素濃度が高すぎると、硫化亜鉛蛍光体前駆体が酸化されてしまうため、酸素濃度は0.1〜22%の範囲内となるように調整することが望ましい。また、酸素含有雰囲気下900℃以上の焼成温度で焼成を行うと、硫化亜鉛蛍光体前駆体の酸化が極端に進行することから、酸素含有雰囲気は700℃以下で焼成する場合に使用される。焼成炉を使用する場合には、炉内雰囲気は、炉内に気体流を連続的、断続的、あるいは一時的に流入させることによって調整することができる。例えば、炉内に流入させる気体流を酸素含有気体から不活性ガスに切り替えることによって、焼成雰囲気を酸素含有雰囲気から不活性雰囲気に切り替えることができる。
【0029】
焼成温度までの昇温速度は、特に限定されるものではないが、通常0.1℃/分以上10℃/分以下の速度で昇温する。昇温が速すぎる場合は、炉体や硫化亜鉛蛍光体前駆体を入れる容器を破損するため好ましくなく、昇温が遅すぎる場合は、生産効率が著しく低下するため好ましくない。このような観点から、0.5℃/分以上、6℃/分以下の速度で実施することが好ましい。
【0030】
本発明において、焼成時に結晶化や粒径の増大化を促進するために融剤を使用することができる。使用できる融剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどのアルカリ金属塩、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウムなどのアルカリ土類金属塩、塩化アンモニウム、塩化亜鉛などを使用することができる。これらの融剤は1種類で使用してよく、あるいは複数種類を混合して使用してよい。融剤を使用する場合、その使用量は、特に限定されるものではなく、硫化亜鉛蛍光体前駆体に対して0.1〜60重量%であってよく、さらに、操作性、経済性、使用する反応器の腐食等を考慮して、0.5〜50重量%とすることが好ましい。
【0031】
本発明において、硫化亜鉛蛍光体前駆体の焼成時に欠落する硫黄を補うために硫黄単体を添加することができる。添加する硫黄の量は、特に限定されるものではなく、通常、硫化亜鉛蛍光体前駆体に対して0.1〜20重量%であってよい。さらに、操作性、経済性を考慮して0.5〜10重量%の量であることが好ましい。
【0032】
本発明において、焼成終了後、焼成物を洗浄する。洗浄によって、添加した余分の融剤を除去する。洗浄のために中性水や酸性水、酸化性水を使用することができる。酸成分に関しては、特に限定されるものではなく、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの鉱酸、あるいは、酢酸、酪酸などの有機酸を使用することができる。これらの酸成分は、1種類で使用することもできるし、複数種類を混合して使用することもできる。酸化性成分としては、過酸化水素、過硫酸、過酢酸およびそれらの塩、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物を使用することができる。これらの酸化性成分は、1種類で使用することもできるし、複数種類を混合して使用することもできる。酸化性成分は、酸成分とは別個に使用してよく、あるいは混合して使用してもよい。酸性水、酸化性水を使用する場合、通常、それぞれ0.05〜10重量%の水溶液を使用することが好ましい。より好ましくは、酸性水および酸化性水には、ぞれぞれ0.1〜5重量%の水溶液を使用する。更に、硫化亜鉛蛍光体の分解、表面へのイオン残留性を考慮して、酸成分としては、塩酸または酢酸を、また、酸化性成分としては、過酸化水素または過酢酸を使用することが好ましい。
【0033】
本発明では、焼成後に得られた硫化亜鉛蛍光体を酸性水、酸化性水により洗浄した後、II族金属硫化物表面に吸着された余分の金属およびイオン成分をイオン交換水により除去することが好ましい。イオン交換水に含まれる不純物による硫化亜鉛蛍光体の品質低下を防ぐために、通常は灰分含有量100ppm以下、より好ましくは灰分含有量10ppm以下のイオン交換水を使用する。
【0034】
硫化亜鉛蛍光体は、前述の硫化亜鉛蛍光体前駆体の乾燥処理の場合と同様、必要に応じて、加熱条件下、更に必要に応じて減圧下で乾燥することができる。乾燥処理温度は、特に限定されるものではなく、10〜200℃の範囲内で実施することができるが、僅かでも水分が存在すると、硫化亜鉛蛍光体が酸化されるおそれがあるため、通常150℃以下、好ましくは30〜120℃で実施される。
【0035】
本発明では、必要に応じて、硫化亜鉛蛍光体の製造過程中に衝撃などのエネルギーを付与し、結晶にひずみを与えた後、焼成を複数回実施してもよい。一般に、焼成を複数回実施する場合、最後に実施する焼成操作の焼成温度が最も低く設定される。複数回の焼成を行う場合、銀、銅、マンガンおよび希土類元素の少なくとも1種類を含む化合物ならびに亜鉛化合物を複数回添加してよい。その際に用いる化合物は、特に限定されるものではなく、上記金属元素を含む化合物および亜鉛化合物について前述したのと同様、鉱酸塩、有機酸塩、錯塩を使用することができる。焼成時に添加する上記金属元素を含む化合物の量は、特に限定されるものではないが、硫化亜鉛蛍光体前駆体の重量に対して、通常は10ppm〜50重量%の量で、より好ましくは100ppm〜30重量%の量で添加することができる。
【0036】
本発明で複数回の焼成を行う場合の最終焼成の温度は、500〜900℃、好ましくは、600〜850℃である。2回目以降の焼成雰囲気には、必要に応じて、空気、不活性ガス、または還元性ガスのいずれの気体を使用してもよい。
【0037】
硫化亜鉛蛍光体前駆体の焼成によって硫化亜鉛蛍光体が形成されたことは、蛍光量子収率を測定することによって確認することができる。蛍光量子収率とは、入射光によって励起された硫化亜鉛蛍光体から放出される光子の数と入射光の光子の数との比であり、この数値が大きいほど、蛍光効率が高い、すなわち、ドーピングによる効果が高いことを意味する。
【実施例】
【0038】
以下に、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
蛍光量子収率測定のための蛍光分光光度計および測定条件は、以下のとおりである。
【0039】
測定装置:日本分光株式会社製 FP−6500
励起波長:350nm
励起バンド幅:5nm
ソフトウェア:Spectra Manager for Windows(登録商標)95/NT Ver1.00.00 2005(日本分光株式会社製)
【0040】
残留炭素測定のための測定装置および条件は、以下のとおりである。
測定装置:(株)堀場製作所製 EMIA−810
燃焼ガス:酸素
分析時間:約40〜60秒
焼成温度:1350℃(フラックスなし)
焼成時間:104秒
測定:IR(COを検出)
【0041】
ICP発光分光分析のために使用した装置は、島津製作所製ICPE9000である。また、輝度の測定のために使用した装置はトプコンテクノハウス社製BM−7である。
【0042】
<実施例1>
塩化亜鉛無水物136.3g(1mol)、硫酸銅5水和物0.19g(銅500ppm相当)をイオン交換水に溶解させた溶液(600ml)を調製した。また、硫化アンモニウム溶液(和光純薬製特級 40重量%)240.8g(硫化アンモニウム1.41mol)をとり、イオン交換水で600mlに希釈した。5L三つ口フラスコに、ディーンスターク、還流管、温度計、攪拌器を装着し、デカン2000mlを入れ、系内を窒素で置換した。反応器内のデカンを120℃に昇温させたのち、塩化亜鉛および硫酸銅を含有する水溶液を100ml/時、硫化アンモニウム水溶液を100ml/時で各々別々に加えつつ、留出する水をディーンスタークで除去しながら反応を進行させた。約6時間で全ての水溶液をフィードし、更に60分間系内の水分を除去した。室温に冷却後、析出した硫化物を沈殿させた。デカンを除去して、さらに、真空乾燥器(東京理化器械株式会社製VOS−201SD)に入れ、真空度を1.3kPa以下として乾燥室内温度100℃で12時間乾燥し、白色固体として硫化亜鉛蛍光体前駆体89.67gを得た。回収率は、理論量の92%であった。残留炭素量の分析結果を表1に示す。生成物中の銅の含有量をICP発光法で分析した結果を表1に示す。また、ICP発光分析の結果から、亜鉛の含有量を求めた。さらに、他の元素が検出されないことから、残量を硫黄として、硫黄と亜鉛のモル比(以下「S/Znモル比」という)を算出した。S/Zn比を表1に示す。
【0043】
<実施例2>
硫酸銅5水和物を0.38g(銅1000ppm相当)使用した以外は、実施例1と同様の手順を繰り返し、白色固体として硫化亜鉛蛍光体前駆体90.11gを得た。残留炭素分析結果、生成物中の銅の含有量のICP発光分析結果、およびS/Znモル比を表1に示す。
【0044】
<実施例3>
硫酸銅5水和物を1.91g(銅5000ppm相当)使用した以外は、実施例1と同様の手順に従い、白色固体として硫化亜鉛蛍光体前駆体88.77gを得た。残留炭素分析結果、生成物中の銅の含有量のICP発光分析結果、およびS/Znモル比を表1に示す。
【0045】
<実施例4>
硫酸銅5水和物の代りに、酢酸マンガン(II)1.53g(マンガン5000ppm相当)を使用した以外は、実施例1と同様の手順を繰り返し、白色固体として硫化亜鉛蛍光体前駆体90.6gを得た。残留炭素分析結果、生成物中のマンガンの含有量のICP発光分析結果、およびS/Znモル比を表1に示す。
【0046】
<実施例5>
デカンの代わりにo−キシレンを用いた以外は、実施例1と同様の手順を繰り返し、白色固体として硫化亜鉛蛍光体前駆体91.3gを得た。残留炭素分析結果、生成物中の銅の含有量のICP発光分析結果、およびS/Znモル比を表1に示す。
【0047】
<比較例1>
硫化アンモニウム水溶液の代わりに、チオアセトアミド112.7g(1.5mol)をイオン交換水1000gに溶解した水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の手順に従い、白色固体92.1gを得た。残留炭素分析結果、生成物中の銅の含有量のICP発光分析結果、およびS/Znモル比を表1に示す。
【0048】
<比較例2>
硫化アンモニウム水溶液の代わりに、チオ尿素114.2g(1.5mol)をイオン交換水1000gに溶解した水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の手順に従い、白色固体92.1gを回収した。残留炭素分析結果、生成物中の銅の含有量のICP発光分析結果、およびS/Znモル比を表1に示す。
【0049】
<比較例3>
デカンを用いず、反応器に塩化亜鉛および硫酸銅を含有する水溶液と硫化アンモニウム水溶液をそれぞれ加えて反応溶液を調製し、該反応溶液を加熱還流させた以外は、実施例3と同様の手順を繰り返し、黄色生成物78.2gを回収した。生成物中の銅の含有量をICP発光分光法で分析したところ、5212ppmであった。さらに、ICP発光分析で亜鉛の含有量を測定し、残量を硫黄としてS/Znモル比を1.01と算出した。
【0050】
<比較例4>
硫化アンモニウム水溶液の代わりに、ボンベから取り出した硫化水素33.6Lを直接用いた以外は、実施例2と同様の手順を繰り返した。白色固体は析出したが、所定時間の反応を実施したところ、析出した固体は再溶解し、目的物は得られなかった。
【0051】
【表1】

【0052】
<実施例6>
実施例1で得られた硫化亜鉛蛍光体前駆体27gに、塩化カリウム1.00g、塩化ナトリウム1.17g、塩化マグネシウム6水和物6.87gを加え、ボールミルで混合した。焼成炉に入れ、空気中、400℃/時の速度で昇温した。炉内温度が500℃に到達したところで、流入気体を空気から窒素に切り替えて、1050℃まで昇温し、そのまま3時間保持した。3時間保持した後、300℃/時で冷却し、室温まで冷却した。
【0053】
得られた焼成物を5%塩酸200gに添加し、焼成物を分散させた。該分散液から上澄み液をデカンテーションで除き、イオン交換水500gで洗浄液が中性になるまで洗浄し、焼成物を得た。イオン交換水を除去した後、真空乾燥器に入れ、真空度を1.3kPa以下として12時間乾燥した。その間、乾燥室内温度を100℃に保った。
【0054】
第一の焼成物20gにイオン交換水200gを加え、超音波振動器(BRANSON製、Degital Sonifier)で、出力60%で5分間連続照射、5分間停止のサイクルを3回行って超音波振動を加えた。破砕によって生じた微細粒子を、10μmメッシュの篩を用いて除去した。得られた粒状物からイオン交換水を除去した後、真空乾燥器に入れ、真空度を1.3kPa以下として12時間乾燥した。その間、乾燥室内温度を100℃に保った。
【0055】
得られた乾燥粒状物10gに、硫酸銅5水和物0.25g、硫酸亜鉛7水和物2.5gを混合し、混合物を坩堝に入れ、坩堝を焼成炉に移し、窒素流下、400℃/時の速度で昇温した。昇温終了後、焼成炉内が800℃に到達したところで、流入気体を窒素から空気に切り替え、1時間空気流を導入した。その後、流入気体を再び窒素に切り替え、更に2時間保持した後、500℃/時で冷却し、300℃まで冷却した後、50℃/時の降温速度で室温まで冷却した。
【0056】
得られた焼成物を、5%塩酸水溶液100gに分散させて洗浄した。酸性水溶液を除去し、イオン交換水500gを用いで洗浄液が中性になるまで洗浄した。デカンテーションで上澄み液を除去した後、1%シアン化ナトリウム水溶液200gで洗浄し、余分な硫化物を除去した。更に、イオン交換水で洗浄液が中性を示すまで洗浄した後、真空乾燥器内に入れて乾燥室内温度100℃で12時間乾燥させ、硫化亜鉛蛍光体9.2gを得た。得られた硫化亜鉛蛍光体について光励起蛍光スペクトルを測定した。硫化亜鉛蛍光体の蛍光量子収率を表2に示す。
【0057】
得られた硫化亜鉛蛍光体1.5gにバインダーとしてフッ素系バインダー(DuPont製7155)1.0gを添加し、混合、脱泡して発光層ペーストを作製した。ITO付きPETフィルム(尾池工業製KB300N−125)に、20mm角でスクリーン版(200メッシュ、25μm)を用い、膜厚40μmで製版し、更にチタン酸バリウムペースト(DuPont製7153)をスクリーン版(150メッシュ、25μm)を用いて製版、100℃で10分間乾燥の後、再度製版し、100℃で10分間乾燥して20μmの誘電層を製膜した。その上面に、電極として、銀ペースト(アチソン製461SS)をスクリーン版(150メッシュ、25μm)を用いて製版し、100℃で10分間乾燥して電極を製膜し、印刷型EL素子を構成した。得られた素子のEL材料としての特性を評価するため、200V、1kHzの条件で輝度の測定を行った。結果を表2に示す。
【0058】
<実施例7>
実施例2で得られた硫化亜鉛蛍光体前駆体を用いた以外は、実施例6と同様の手順を繰り返した。結果を表2に示す。
【0059】
<実施例8>
実施例4で得られた硫化亜鉛蛍光体前駆体を用いた以外は、実施例6と同様の手順を繰り返した。結果を表2に示す。
【0060】
<比較例5>
比較例1で得られた硫化亜鉛蛍光体前駆体を用いた以外は、実施例6と同様の手順を繰り返した。結果を表2に示す。
【0061】
<比較例6>
比較例2で得られた硫化亜鉛蛍光体前駆体を用いた以外は、実施例6と同様の手順を繰り返した。結果を表2に示す。
【0062】
【表2】

【0063】
表1に示された実施例1および比較例1、2の残留炭素量の分析結果から、硫化剤として有機硫黄化合物を使用した場合に比べて、硫化アンモニウムを使用した場合の方が、硫化亜鉛蛍光体前駆体中に残留する炭素の含有量は少なくなることが確認された。また、表2からは、本発明の硫化亜鉛蛍光体前駆体から製造された硫化亜鉛蛍光体が相対的に高い蛍光量子収率および輝度を示すことが分かる。
【0064】
また、実施例1〜5の硫化亜鉛蛍光体前駆体にドープされた付活金属の含有量は、付活金属を供給する原料化合物の使用量にほぼ対応していることから、本発明の方法は硫化亜鉛蛍光体前駆体中に効率的に付活金属を導入できることが示された。
【0065】
比較例3は、硫化剤として有機硫黄化合物を使用しない点で本発明と共通するが、水と共沸する有機溶媒を使用しない点で本発明と異なる。比較例3の生成物は、実施例3の硫化亜鉛蛍光体前駆体とほぼ同量の銅を含有するが、生成物が着色していることから、硫化亜鉛蛍光体前駆体中にドープされた銅が偏在していることが容易に推測される。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明によれば、硫化亜鉛に所望の量の付活金属元素が均質に分布し且つ炭素がほとんど残留しない硫化亜鉛蛍光体前駆体を製造できる。得られる硫化亜鉛蛍光体前駆体は高輝度蛍光体の原料として好適であり、本発明は高輝度の硫化亜鉛蛍光体を製造する上で有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅、銀、マンガン、金および希土類元素の少なくとも1種類の元素を含む化合物、亜鉛化合物、ならびに硫化剤を含む水溶液を有機溶媒中に添加して反応混合液とし、該反応混合液を加熱して、水と有機溶媒を共沸させ、その際に、共沸により生じた蒸気を凝縮して得られる水のみ回収することによって、該反応混合液から水を除去しながら、該反応混合液中に目的の硫化物を生成させること、を含む硫化亜鉛蛍光体前駆体の製造方法であって、前記硫化剤が、硫化アンモニウム、硫化水素アンモニウム、およびポリ硫化アンモニウムから選択される少なくとも1種類の化合物であることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
硫化亜鉛蛍光体前駆体中の炭素含有量が0.15重量%未満である、請求項1に記載の方法により製造される硫化亜鉛蛍光体前駆体。
【請求項3】
前記硫化剤中の硫黄元素の含有量が、前記亜鉛化合物中の亜鉛元素の含有量の0.5〜5当量倍に相当する、請求項1に記載の方法により製造される硫化亜鉛蛍光体前駆体。
【請求項4】
硫化亜鉛蛍光体前駆体が、亜鉛、硫黄、ならびに銅、銀、マンガン、金および希土類元素の少なくとも1種類の元素から構成されており、また、亜鉛の含有量ならびに前記銅、銀、マンガン、金および希土類元素の少なくとも1種類の元素の含有量はそれぞれICP発光分光法により決定され、硫黄元素の含有量は残余の量に相当するものとして算出される場合に、前記硫化亜鉛蛍光体前駆体中の硫黄と亜鉛のモル数に基づく比率が、
0.92<硫黄/亜鉛<0.98
の範囲内である、請求項1に記載の方法により製造される硫化亜鉛蛍光体前駆体。
【請求項5】
請求項1に記載の方法により製造される硫化亜鉛蛍光体前駆体を更に焼成することにより得られる硫化亜鉛蛍光体。

【公開番号】特開2011−241101(P2011−241101A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112242(P2010−112242)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000174541)堺化学工業株式会社 (96)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【Fターム(参考)】