説明

飲料調製機のための人間工学的サービスユニット

飲料調製機は、a)シート(5)と、b)シート内に設けられ廃棄材料を格納するサービスユニット(20、30)であって、廃液および/または随意的に事前小分け原材料カプセル内に収容される廃棄飲料原材料などの廃棄材料を収集するために収集位置へ向けてシート内へ手動で挿入できるとともに、サービスユニット内の廃棄材料の回収に際して廃棄材料を除去して空にするためにシートから特に手動で取り外しできる、サービスユニット(20、30)と、c)シート内へのサービスユニットの適切な挿入を制御するための制御手段とを備える。制御手段は、シート内へのサービスユニットの不適切な挿入をユーザに知らせるようになっている触覚フィードバック機構(40、50)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、飲料調製機、特に飲料調製機に対して供給されるカプセル内の事前に小分けされた飲料原材料から飲料を調製するための飲料調製機用のサービスユニットに関する。サービスユニットは、飲料調製機の動作中に発生する廃棄材料を収集するための構造を含んでもよい。
【0002】
本明細書本文の目的において、「飲料」は、茶、コーヒー、ホットチョコレートまたは冷たいチョコレート、ミルク、スープ、ベビーフードなどの任意の液体食品を含むことを意図されている。「カプセル」は、原材料を収容する柔軟ポッドまたは硬質カートリッジを含む、任意の形状および構造を成す任意の材料の囲繞パッケージ、特に気密パッケージ、例えばプラスチックパッケージ、アルミニウムパッケージ、リサイクル可能なおよび/または生分解可能なパッケージ内の任意の事前に小分けされた飲料原材料を含むことを意図されている。
【背景技術】
【0003】
飲料調製機は、家庭内またはオフィス内を問わず、非常にポピュラーになってきている。例えば、コーヒー、茶、スープ、または、他の同様の飲料などの飲料の調製のための飲料調製機であって、所望の飲料、例えば挽いたコーヒーなどの少なくとも1つの原材料がカプセル内で飲料調製機のカプセル抽出チャンバ内へ供給される飲料調製機が存在する。
【0004】
原材料は、一般に、液体源からカプセル抽出チャンバを通じて飲料調製機内で循環される水などの液体によって抽出される。抽出された原材料を含む液体は、抽出チャンバから、飲料調製機の飲料出口を介してユーザに分配され、例えば飲料抽出プロセス中に出口の下側に適切に配置されたユーザのカップ内またはマグカップ内へ分配される。
【0005】
飲料の調製のためのプラスチックカプセルおよび/またはアルミニウムカプセルなどのカプセルの使用は多くの利点を有する。カプセル、特にアルミニウム系のカプセルは、密封または気密であり、したがって、原材料の使用前に、空気、湿気、または光などの環境から長期間にわたって飲料原材料を効果的に保護できる。そのため、そのようなカプセルは、原材料の早期の劣化を防止する。また、飲料原材料のカプセルは、取り扱いが容易で、衛生的であり、また、それらのカプセルの使用は飲料調製機の洗浄を殆ど伴わず、特に、飲料調製機の抽出チャンバのかなりの部分が、抽出プロセス中にカプセル内に収容される飲料原材料と接触しない。また、使用中、任意の残存する廃棄原材料の大部分がカプセル内に閉じ込められ、それにより、一般に、使用後に、緩い廃棄原材料を飲料調製機から取り除く必要がない。
【0006】
カプセルは、通常、カプセルスタックから飲料調製機の抽出チャンバ内に手作業であるいは自動的に個別に挿入される。その後、カプセル内に収容される原材料を浸出しあるいはさもなければ抽出して所望の飲料を形成するために、熱水または冷水がカプセルに通される。調製された飲料は、飲料調製機の出口を介して、ユーザのカップ、マグカップ、または、他の容器内へ供給される。
【0007】
そのようなカプセルに適した浸出ユニットは、例えば、欧州特許第1095605号明細書、欧州特許第1646305号明細書、欧州特許第1757212号明細書、欧州特許第1859713号明細書、欧州特許第1859714号明細書、欧州特許第2103236号明細書、欧州特許第2119385号明細書、国際公開第2009/043630号、および、国際公開第2009/130099号に開示されている。
【0008】
抽出に際して、使用済みカプセルは、それぞれの調製サイクル後、飲料調製機から個別に除去されてもよい。あるいは、使用済みカプセルは、飲料調製機の使用済みカプセル容器に排出されてもよい。
【0009】
飲料調製機には、飲料調製プロセス中に発生した廃棄材料を処理するためのサービスユニットが設けられるのが有益である。廃棄材料は、抽出後の挽いたコーヒーなどの廃棄原材料、および/または、液体源と飲料出口との間の液体回路から排出される液体、または、例えば、飲料調製プロセスの終わりで液滴の形態で飲料出口から分配される過剰な飲料を含む。例えば、サービスユニットは、配管網などの液体排出構造を備えるユーザ容器支持体、および、廃棄原材料保持構造のうちの少なくとも1つを有する廃液収集構造を含む。一般に、ユーザ容器支持体および/または廃棄原材料保持構造は廃液収集構造よりも上側に配置されており、そのため、廃液を重力によって、ユーザ容器支持体および/または廃棄原材料保持構造から廃液収集構造へ排出することができる。
【0010】
使用済みカプセル容器は、抽出の際、カプセルが重力によって容器内に落ちるようにカプセルチャンバの下側に配置されるのが有益である。後者の場合には、満杯時にユーザによって容器を空にしなければならない。容器は、一般に抽出チャンバの下側で飲料調製機内に配置される取り外し可能な容器であってもよい。
【0011】
飲料調製機のサービスユニットは、例えば、欧州特許第1095605号明細書、欧州特許第1731065号明細書、欧州特許第1867260号明細書、国際公開第2009/013778号、国際公開第2009/074559号、および、国際公開第2009/135869号に開示されている。
【0012】
通常、飲料調製機は、そのようなサービスユニットを受けるためのシート(seat)を有する。シートは、飲料調製機のハウジングの内側に配置されるとともに、サービスユニットをスライドさせて飲料調製機に対して出し入れできるように構成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
サービスユニットが飲料調製機内に不適切に挿入されると、または、更には飲料調製機内へ全く挿入されないと問題が生じる場合がある。そのような状況では、飲料調製プロセス中に、廃棄原材料または廃液が不適切に収集されて、飲料調製機内を汚すおそれがある。
【0014】
この問題に対する既知の解決策は、飲料調製機内へのサービスユニットの適切な挿入を検出するとともに、サービスユニットが飲料調製機内へ適切に挿入されないときに、飲料調製プロセスを電子的に妨げるためのセンサの実装を含む。そのような電子センサシステムおよび制御システムは比較的高価である。そのため、これらのシステムは、通常、小規模または中規模な商業レベルの飲料調製機には設けられない。
【0015】
飲料調製機のサービスユニットの適切な、人間工学的な、および/または、間違いのない取り扱い性を向上させるための安価で簡単な解決策を提供する必要性が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
したがって、本発明は、
a)シートと、
b)シート内に設けられ廃棄材料を格納するサービスユニットであって、
廃液および/または随意的に事前小分け原材料カプセル内に収容される廃棄飲料原材料などの廃棄材料を収集するために、収集位置へ向けてシート内へ手動で挿入できるとともに、
サービスユニット内の廃棄材料の回収に際して廃棄材料を取り除いて空にするために、シートから特に手動で取り外しできる、
サービスユニットと、
c)シート内へのサービスユニットの適切な挿入を制御する制御手段と、
を備える飲料調製機に関する。
【0017】
例えば、飲料調製機は、コーヒー、茶、チョコレート、または、スープ調製機、例えば、家庭またはオフィスのコンセント電源に電気的に接続され得る自給式卓上機である。特に、飲料調製機は、挽いたコーヒーまたは茶またはチョコレートまたはカカオまたは粉ミルクなどの調製されるべき飲料の原材料を収容するカプセルに、熱水または冷水あるいは他の液体を通すことにより、原材料処理装置内で飲料を調製するようになっている。
【0018】
例えば、調製機は、1つ以上の液体リザーバ、液体循環回路、ヒータ、ポンプ、および、抽出のために原材料カプセルを受けて抽出に際してカプセルを排出するようになっている、飲料調製ユニットを含む原材料処理装置と、カプセルが調製ユニットから排出されるシート内に通じる開口を有するハウジングと、シートに排出されるカプセルを所定の充填レベルまで内部に収集するための格納空間を形成するキャビティを有する容器とを備える。容器は、カプセルを収集するためにシート内に挿入可能であるとともに、収集されたカプセルを取り除いて空にするためにシートから取り外し可能である。そのような原材料処理装置の例は、国際公開第2009/074550号、国際公開第2009/130099号、および、国際出願EP09/053139号明細書に開示されている。
【0019】
飲料調製モジュールは、以下の構成要素、すなわち、
a)この飲料の原材料、特に、カプセル内に供給された事前に小分けされた原材料を受けるとともに、入ってくる液体、例えば水の流れを原材料に通して飲料出口に案内するための浸出ユニット;
b)浸出ユニットへ供給されるべきこの液体の流れを加熱するためのサーモブロックなどのインラインヒータ;
c)インラインヒータを通じてこの液体を圧送するためのポンプ;
d)この液体を液体タンクなどの液体源から飲料出口に案内するための1つ以上の流体接続部材;
e)ユーザからインタフェースを介して命令を受けて、インラインヒータおよびポンプを制御するための、特にプリント回路基板(PCB)を備える電気制御ユニット;および、
f)浸出ユニット、インラインヒータ、ポンプ、液体リザーバ、原材料収集器、この液体の流れ、この液体の圧力、および、この液体の温度の特性から選択される少なくとも1つの動作特性を検出するとともに、そのような特性を制御ユニットへ通信するための1つ以上の電気センサ、
のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0020】
ヒータは、サーモブロック、または、オンデマンドヒータ(ODH)、例えば欧州特許第1253844号明細書、欧州特許第1380243号明細書、および、欧州特許第1809151号明細書に開示されるODHタイプであってもよい。
【0021】
本発明によれば、前述した制御手段は、シート内へのサービスユニットの不適切な挿入をユーザに知らせるようになっている触覚フィードバック機構を備える。
【0022】
触覚フィードバック機構は、飲料調製機からの情報をユーザへ伝えるための、ユーザフィードバックインタフェース機構である。ユーザの視覚的または聴覚的な注意および集中を必要とする通常のインタフェース、例えばLED、スクリーン、ラウドスピーカなどの視覚および/または音声インタフェースとは対照的に、本発明の触覚フィードバック機構は接触機構を含み、それにより、ユーザには、ユーザの接触およびそれと関連付けられる力の感覚に依存することによって、ユーザが飲料調製機に対して及ぼす、あるいは及ぼそうと試みる手動動作に関する情報が、飲料調製機からフィードバックによって直接伝えられる。
【0023】
そのため、サービスユニットが不適切にシート内に挿入されるとき、例えばサービスユニットが予期される程度まで十分にシート内に挿入されないときに、ユーザが知覚できる触覚フィードバック機構によってユーザに知らせる。これは、何らかの望ましくない障害物、例えば廃棄材料などの物体、または他の物体がシート内に存在して、サービスユニットの挿入を妨げ、それにより、サービスユニットが挿入中にシートの端部に達するのが妨げられる場合、および/または、ユーザが単にサービスユニットを十分に収集位置に適切に押し込まない場合であり得る。
【0024】
このように、飲料調製機のシート内に該シートの後壁に当て突くように押し込まれ、あるいはスライドされ得る従来技術の基本的なサービスユニットとは異なり、本発明の飲料調製機は、サービスユニットが適切な完全挿入位置すなわち収集位置に達する前の挿入過程で望ましくない障害物にぶつかるときであっても、サービスユニットが飲料調製機内へ不適切に挿入されたことをユーザに知らせるための触覚機構を有する。したがって、そのような望ましくない障害物がシートの後壁であるとユーザが間違えることはない。
【0025】
そのような機構は、飲料調製機のシート内でのサービスユニットの不適切な位置決めが飲料調製機の故障につながる場合があるため、非常に望ましい。特に、廃棄材料は、サービスユニットによって完全に収集されずに、サービスユニットとシートとの間に入り込み、場合により飲料処理ユニット内へ入り込み、それにより、飲料調製機が汚染し、詰まり、および/または、支障を来す場合がある。
【0026】
1つの実施形態において、触覚フィードバック機構は、サービスユニットが手動挿入中にまさに収集位置へ達しようとしているときにサービスユニットをシート内へ挿入するために必要とされる手動力を変えるようになっている力フィードバック手段を備える。
【0027】
したがって、飲料調製機のシート内へのサービスユニットの挿入動作中に、ユーザには、シート内へのサービスユニットの完全挿入位置に達する前にシート内へのサービスユニットの挿入終了が感度良く知らされる。これにより、サービスユニットの挿入行為に際してユーザによる飲料調製機の取り扱いが快適になり、したがって、その人間工学性が向上される。また、これは、シート内へのサービスユニットの不適切な挿入を妨げるのに寄与する。
【0028】
力フィードバック手段は、サービスユニットがまさに収集位置に達しようとしているときに挿入力支援をもたらすための構造、特に、サービスユニットを収集位置に自動的に位置決めするための構造を備えてもよい。例えば、力フィードバック手段は、マグネットに基づく機構および/またはばねに基づく機構を備える。例えば、力フィードバック手段は、シートに及び/またはサービスユニットに固定される1つ以上のマグネットを含み、該マグネットは、サービスユニットを挿入するために必要とされる手動力の変化を引き起こす力を発生させ、この発生された力は、特に、サービスユニットが収集位置に達するのを助ける。
【0029】
したがって、挿入動作の終わりへ向けた力支援を感じないユーザは、サービスユニットがその収集位置に完全に達していなかったことを自分の触覚によって理解する。
【0030】
力フィードバック手段は、サービスユニットが収集位置に達するときに突然の解放を伴う機械的なハードポイントをもたらすための構造を備えることができる。機械的なハードポイントをもたらすための構造がばねに基づく機構を含んでもよい。例えば、該構造は、可逆的なクリップに基づくあるいはスナップに基づく構造である。機械的なハードポイントをもたらすための構造は、摩擦に基づく機構、例えば、サービスユニットの挿入動作の終わりに向かう動きに対して次第に増大する摩擦抵抗を生み出す機構であって、この挿入動作のまさに終端部がほぼ摩擦がなく短く、それにより、「ハードポイント」を形成する機構を備えることができる。
【0031】
したがって、同様に、挿入動作の終わりへ向けて「ハードポイント」を感じないユーザは、サービスユニットがその収集位置に完全に達していなかったことを自分の触覚によって理解する。
【0032】
一般に、サービスユニットは、スライドしてシート内へ入ることができるとともに、スライドしてシートから出ることができるようになっている。サービスユニットの下面は、ガイドおよび/またはレールの支援を伴ってあるいは伴わずにシートの下部上でスライドしてもよい。また、例えばホイールまたはギヤを使用して、サービスユニットとシートとの間にほぼ摩擦がない相対的な動きを与えることもできる。
【0033】
通常、サービスユニットは、
水などの廃棄飲料前駆液体、
随意的に事前小分けカプセル内に収容される使用済み飲料用香料、特に挽いたコーヒーなどの廃棄飲料前駆固体、および、
飲料分配出口からの液滴または処理後の再開放に際して原材料処理ユニットの原材料チャンバから流れ落ちる液滴などの廃棄飲料、
のうちの少なくとも1つを収集するための構造を備える。
【0034】
そのような収集機能を与えるサービスユニットの例は、欧州特許第1095605号明細書、欧州特許第1731065号明細書、欧州特許第1867260号明細書、国際公開第2009/135869号、および、国際公開第2009/074559号に開示されており、これらの内容は参照することにより本願に組み込まれる。
【0035】
例えば、サービスユニットは、液体収集容器、および、固体原材料収集容器、特に、使用済み原材料カプセルのための容器を有する。サービスユニットがユーザのカップおよび/またはマグカップのための支持体を備えてもよく、支持体は、特に、飲料液滴を液体収集容器に排出するようになっている。
【0036】
一般に、飲料調製機は原材料処理ユニットを備え、該原材料処理ユニットは、チャンバを有するとともに、チャンバ内への原材料の挿入およびチャンバからの原材料の除去のための開放状態と、チャンバ内で原材料を処理することにより飲料を調製するための閉塞状態とをとり、原材料処理ユニットまたはその一部が、特に手動で、開放状態から閉塞状態へ、およびその逆に遷移できる。
【0037】
飲料調製機は、サービスユニットが収集位置にないときに任意の飲料の調製を機械的に防止するための機械的ロック構造を含んでもよい。
【0038】
機械的ロック構造は、サービスユニットが収集位置にないときに原材料処理ユニットの閉塞を防止するように構成される。
【0039】
特に、原材料処理ユニットまたは原材料処理ユニットの一部が閉塞状態と開放状態との間を手動で遷移できるときには、本発明の更なる実施形態が以下のように達成されてもよい。すなわち、触覚フィードバック機構は、サービスユニットが収集位置にないときに原材料処理ユニットの手動閉塞を防止する機械的ロック構造を備えてもよい。
【0040】
したがって、原材料チャンバの閉塞に対する抵抗を感じるユーザは、サービスユニットがその収集位置に完全に達することができなかったことを自分の触覚によって理解する。
【0041】
また、飲料調製機は、原材料処理ユニットがその閉塞状態をとるとき、特に原材料処理ユニットがその開放状態をとらないときにサービスユニットの取り外しを防止するように構成される機械的ロック構造を含んでもよい。
【0042】
そのため、サービスユニットがシートから引き出される前に、ユーザは、サービスユニットを空にする前に原材料チャンバが空にされることを確かめるように、特に、カプセルが原材料チャンバ内に残っておらず、また、最後に使用されたカプセルが適切にサービスユニットへ排出されたことを確かめるように促されてもよい。特に使用済み原材料カプセルによりサービスユニットが詰まるのを回避するために、サービスユニットは、例えばその内容が参照することにより本願に組み込まれる国際公開第2009/074559号および国際公開第2009/135869号に開示されるように、詰まり防止システムを搭載してもよい。
【0043】
ロック構造は、1つの引き出しの移動可能性が他の引き出しの位置に依存するように構成される、幾つかの引き出しを有するキャビネットの分野で知られるタイプのものであってもよい。この種の技術は、例えば米国特許第4,960,309号明細書、米国特許第5,056,876号明細書等に開示されるように、文書、衣服、および、他の物品を格納するためのオフィスまたは家庭の家具の分野で良く知られている。このタイプのロック構造は、飲料調製機の分野に適合させて転換することができる。本発明との関連で、従来技術の開閉可能な引き出しは、理論上、開閉可能な処理ユニットおよび挿入可能で取り外し可能なサービスユニットによって置き換えられる。無論、同じタイプの他の形態がこのロック機能を提供することができる。
【0044】
特に、ロック構造は、飲料調製構造に作用する、例えば液体源から飲料出口に延びる液体回路に作用する、特に浸出ユニット内に含まれるチャンバなどの煎出チャンバに作用するとともに、サービスユニットに作用する1つ以上のロック装置を含んでもよい。サービスユニットと飲料調製構造とが異なるロック装置と関連付けられると、それらは、飲料調製構造のロックがサービスユニットを自由にするようにおよび/またはその逆となるように調整される。
【0045】
有利な実施形態では、ロック構造が飲料調製構造およびサービスユニットと協働するロック要素を備え、それにより、サービスユニットがシート内でロックされるときには、飲料調製構造が飲料を調製するように動作されてもよく、また、飲料調製構造が飲料の調製を防止するようにロックされるときには、サービスユニットが飲料調製機の対応するシートから取り外されてもよい。
【0046】
そのようなロック要素は、飲料調製構造とサービスユニットの取り外し可能性とを選択的にブロックするために、飲料調製構造、例えば開放可能な処理ユニットとサービスユニットとの間でスライド可能なボルトを備えてもよい。ロック要素は、飲料調製構造、例えば開放可能な処理ユニットにある第1のカムと、サービスユニットにある第2のカム、例えばピンとに追従するカム従動子、例えばピンを含むことができ、そのため、サービスユニットの動きにより飲料調製構造がロックされおよびロックを解除される。
【0047】
無論、ロック構造は、触覚フィードバック機構の前述した実施形態と組み合わされてもよい。
【0048】
ここで、概略図を参照して、本発明について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る飲料調製機の全体図である。
【図2】本発明に係る同様の飲料調製機の全体図である。
【図3】本発明に係る飲料調製機のサービスユニットの一部の斜視図である。
【図4】図3の細部の拡大図を示している。
【図5a】本発明に係る飲料調製機のサービスユニットおよび原材料チャンバの一位置の側面図を概略的に示している。
【図5b】本発明に係る飲料調製機のサービスユニットおよび原材料チャンバの他の位置の側面図を概略的に示している。
【図5c】本発明に係る飲料調製機のサービスユニットおよび原材料チャンバの更に他の位置の側面図を概略的に示している。
【図6a】図5aに示される飲料調製機の対応する状態のロック要素の正面図を概略的に示している。
【図6b】図5bに示される飲料調製機の対応する状態のロック要素の正面図を概略的に示している。
【図6c】図5cに示される飲料調製機の対応する状態のロック要素の正面図を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は本発明に係る飲料調製機を示している。飲料調製機は飲料調製ユニット2をハウジング9内に有する。ユニット2は、原材料カプセルを抽出チャンバ内で受けるようになっているとともに、水などの液体をカプセルへ供給するようになっている。ユニット2は、プラットフォーム1に取り付けられて、該プラットフォームの側面1’に沿って延びる。飲料をユニット2から分配するための飲料出口95がハウジング9の前面94を貫通して延びる。
【0051】
ユニット2は、開閉ハンドル11と、物質を収容するカプセル、例えばコーヒーカプセルを保持するための保持手段(図示せず)とを備える浸出モジュールと、飲料ダクトなどの飲料供給手段95とを含む。保持手段は、一般に、抽出チャンバを画定するカプセルホルダ・浸出ケージと、カプセル内に水を注入するための流体注入システムと、レバー・ニージョイント機構などの閉塞装置とを備える。適した抽出モジュールは例えば欧州特許第1859713号明細書に記載されている。ユニット2の更なる想定し得る特徴は、同時係属出願、欧州特許第2070454号明細書で更に詳しく論じられており、その内容は、参照することにより本願に組み込まれる。
【0052】
また、ハウジング9は、廃液および/または廃棄飲料原材料などの廃棄材料を収集するためのサービスユニット20、30をシート5内に収容する。サービスユニット20、30は、廃棄材料を収集するための収集位置に達するようにシート5内へ手動で挿入できる(図1に示される)とともに、廃棄材料の回収に際して廃棄材料を空にするためにシート5から取り外すことができる(図2に示される)。サービスユニット20、30は、スライドしてシート5内へ入ることができるとともに、スライドしてシート5から抜け出ることができる。
【0053】
このサービスユニットは、前面31を有するとともに、浸出ユニットおよび出口95の下側に取り外し可能に挿入される、使用済みカプセル容器30を含む。容器30およびそのハウジング9のシートについては、図2〜図6cと関連して更に詳しく説明する。
【0054】
プラットフォーム1は、飲料ユニット2と、ハウジング9の外部でベースプラットフォームに取り付けられてハウジング9の後壁に隣接する水タンク7と、これらの間の流体接続部と、コンセント電源への電源接続部とを有する。
【0055】
飲料調製機をON/OFFするためにマスタースイッチ3がプラットフォーム1に設けられる。一般に調製されるべき飲料の量を大小で選択するための2つのユーザボタン12が、ユニット2の上側に配置される。
【0056】
プラットフォーム1の上面34は、ミルク起泡装置8を接続するためのSTRIX(商標)コネクタの形態を成す手段を有する。そのようなプラットフォーム1および起泡装置8のためのそのような取り外し可能なコネクタは、例えば、国際公開第03/075629号、国際公開第2008/046837号、および、国際公開第2008/142154号に更に詳しく開示されており、それらの内容は参照することにより本願に組み込まれる。
【0057】
上面34は隣り合う前面35に隣接しており、前面35は、特にプラットフォーム1に組み込まれる加熱システムと関連付けることができるとともに、1つ以上のカップまたはマグカップを支持して、それを使用前に予熱するようになっていてもよい。
【0058】
前述したように、飲料ユニット2は、一般に、プラットフォーム1の第1の側縁部1’に隣接するハウジング9内で上方へ延びる。起泡装置8は、一般に、第1の側縁部1’と反対側のプラットフォーム1の第2の側縁部1”に隣接して配置され、それにより、ハウジング9およびプラットフォーム1は、一般に、起泡装置8を支持する断面がL形状を形成する。
【0059】
また、飲料調製機はマグカップを支持するための支持装置6も含み、該支持装置6は、飲料出口95の下側に配置されるとともに、液体を排出するための有孔プレートの形状を成す。浅いリザーバの形態を成す収集器6aが、排出される液体を収集するために支持装置6の下側に配置される。収集器6aは、液体を収集するために大きな容量を必要としない。殆どの場合、収集器6aは、液滴やこぼれ落ちたものを収集しさえすればよい。
【0060】
支持装置6および収集器6aは、例えば収集器6aを空にするためおよび/または洗浄するために、プラットフォーム1から一括して分離できる。
【0061】
また、サービスユニット20、30はカップ支持装置20を有し、該カップ支持装置20は、支持装置6の上側に、更に小さいサイズのカップなどの受容体を出口95の下側で支持するための第2の支持プレート21を含む。主支持装置6と同様に、第2の支持プレート21は、液体を随意的に支持装置6を介して特に収集器6aへ排出するための有孔プレートを備える。第2の支持プレート21は、図示のように出口95と支持装置6との間の略水平な作用位置へ移動できるとともに、大きな容器を出口95の下側で支持装置6上に配置できるように、作用位置から離れた略直立のあるいは垂直な休止位置に移動できる。第2の支持プレート21は、特に、その作用位置からその休止位置に回転できるおよび/またはスライドできる。そのような第2の支持装置の想定し得る特徴の更なる詳細は、例えば欧州特許第1867260号明細書に開示されている。
【0062】
同じ参照数字が一般に同じ要素を示す図2は、一般に、本発明に係る他の飲料調製機を示している。
【0063】
図2に示される飲料調製機は、ミルク起泡装置を支持する側方プラットフォーム延在部が存在しない点を除き、図1の飲料調製機と同じ特徴を有する。
【0064】
この飲料調製機は、容器30を支持するカップ支持装置20を含むサービスユニット20、30を受けるためのシート5を有し、容器30は、抽出チャンバを有する浸出ユニットの下側で使用済みカプセルを収集するための格納空間を形成するキャビティ30’を有する。
【0065】
容器30は、該容器30を支持するリザーバ22に回動可能に取り付けられるカップ支持部材21を含むカップ支持装置20に組み付けられてもよい。支持部材21は、支持部材21の下方への回転を阻止して、支持部材21を水平位置で固定するために、リザーバ22の前面に対して支持部材と共に回転できる、ストッパ部材24に組み付けられ、あるいは該ストッパ部材24と一体を成す。
【0066】
容器30は排出穴を伴う底部を有してもよく、それにより、リザーバ22は、この底部から排出穴を介してリザーバ22へ排出される液体を収集することができる。カップ支持装置20および該支持装置上に載置する容器30は、シート5に対して一括して挿脱されてもよい。
【0067】
また、容器30は、参照することにより本願に組み込まれる国際公開第2009/074559号に更に詳しく記載されるように、使用済みカプセルの蓄積による詰まりを防止するために使用される開口33を後側直立壁に有する。
【0068】
また、図2に示されるように、支持装置6を支持する収集器6aは、機械的なコネクタ4を介して、プラットフォーム1に取り外し可能に組み付けられてもよい。
【0069】
図1および図2に示される飲料調製機は、サービスユニット20、30のシート5内への適切な挿入を制御するための制御手段を有する。本発明によれば、制御手段は、サービスユニット20、30が手動挿入に際してまさに収集位置へ達しようとしているときに、サービスユニット20、30をシート5内へ挿入するために必要とされる手動力を変えるようになっている、触覚力フィードバック機構40を備える。
【0070】
ここで、サービスユニット20、30およびシート5の更なる詳細および変形について、図3〜図6cと関連して説明する。
【0071】
サービスユニット20、30は、水などの廃棄飲料前駆液体をリザーバ22内に収集し、随意的に事前小分けカプセル内に収容される使用済み飲料用香料、特に挽いたコーヒーなどの廃棄飲料前駆固体を使用済み原材料容器30内に収集し、および、飲料分配出口からの液滴などの廃棄飲料をカップ支持体21の液体排出溝配列を介してリザーバ22内に収集するための構造を備える。
【0072】
この後者の態様に関して、図3は、図1および図2に示されるサービスユニットの変形を示している。確かに、図1および図2のカップ支持体21は、液滴が支持体21を通過して収集器6a内に収集され得るようにするための穿孔を有する。図3において、カップ支持体21は、液体をサービスユニット20、30のリザーバ22内に案内する。
【0073】
特に、図3は、本発明に係る飲料調製機のサービスユニット20、30の一部の斜視図である。図4は、図3の細部Aの拡大図を示している。
【0074】
ここで、力フィードバック手段について更に詳しく説明する。図示の飲料調製機は、サービスユニット20、30がまさにシート5内の収集位置に達しようとしているときに挿入力支援をもたらすための構造、特に、サービスユニット20、30を浸出ユニットの下側の収集位置に自動的に位置決めするための構造を有する。
【0075】
力フィードバック手段はマグネットに基づく機構を備える。より具体的には、サービスユニット20、30はその後面でマグネット40を支持する。マグネット40は、サービスユニット20、30から略垂直に突出して後方へ延びる。飲料調製機は、マグネット40と協働するため、シート5内にあるいはシート5に隣接して、強磁性部材(図示せず)を有する。この強磁性部材は、マグネット40を受けることができるように、シート5の後壁にスロットまたは溝としてあるいはその一部として形成されてもよい。あるいは、強磁性部材は、マグネット40を支持するサービスユニットの後面と対向するシートの後壁またはその一部を形成してもよい。
【0076】
したがって、マグネット40が強磁性要素に近づくと、これらの間に、サービスユニット20、30のその収集位置への挿入を挿入動作の終わりで支援する磁力が形成される。そのため、サービスユニット20、30を手動で挿入するユーザは、サービスユニット20、30のシートへの吸引力を感じるとともに、サービスユニット20、30のその作用収集位置への磁気駆動による自動的な位置決めを感じる。この感覚は、サービスユニット20、30がその通常の行き先に達したことをユーザに知らせる。
【0077】
変形例では、マグネットと強磁性要素とを逆にすることができ、あるいは、一対の互いに引き付け合うマグネットを設けることができる。更なる変形例では、サービスユニットをその作用位置へ至らせるように弛緩するばね要素をばねに基づく機構に設けることができる。逆に、サービスユニットのその作用位置への挿入を単に支援する代わりに、サービスユニットがシート内へ手動で挿入されるときにユーザが打ち勝たなければならない機械的な「ハードポイント」システム、例えばばねに基づく機構および/または摩擦に基づく機構を設けることができる。
【0078】
これらの機構は、サービスユニットを飲料調製機内へ手動で挿入するユーザによって物理的に感じられ、且つサービスユニットのその作用位置への適切な挿入をユーザに知らせる、力フィードバックをもたらす。
【0079】
図5a〜図6cは、図1〜図4に示される飲料調製機の特徴と組み合わされてもよい、本発明に係る飲料調製機の更なる実施形態を示している。特に、図6a〜図6cは、サービスユニット20、30と抽出チャンバ14を有する浸出ユニット13とを組み合わせた状態での、図5a〜図5cのそれぞれに示されるカム従動子53のそれぞれの位置における、カム従動子53の正面図を示している。
【0080】
飲料調製機は、原材料カプセルを受け入れるための原材料チャンバ14を画定する前部132および後部131を伴う浸出ユニット13を有する。チャンバ14は、液体注入ライン15および飲料出口95と流体接続している。原材料チャンバ14は、図5bおよび図5cに示されるような開放状態と、図5aに示されるような閉塞状態とをとる。チャンバ14は、浸出ユニット13の前部132と後部131とを離間させたり近づけたりすることによって開閉される。浸出ユニット13は、図1および図2に示されるように、ハンドル11を介して手動で開閉されてもよい。
【0081】
そのような浸出ユニット開閉機構は、原材料カプセルの挿入、抽出、および、除去と共に、例えば、欧州特許第1646305号明細書、欧州特許第1757212号明細書、欧州特許第1859713号明細書、欧州特許第1859714号明細書、欧州特許第2103236号明細書、欧州特許第2119385号明細書、国際公開第2009/043630号、および、国際公開第2009/130099号に更に詳しく記載されており、それらの内容は参照することにより本願に組み込まれる。
【0082】
また、図示の飲料調製機は、サービスユニット20、30が収集位置にないときに任意の飲料の調製を機械的に防止するための機械的ロック構造50を備える。特に、機械的ロック構造50は、図5cに示されるようにサービスユニット20、30が収集位置にないときに原材料チャンバ14の閉塞を防止するように、および/または、図5aに示されるように原材料チャンバ14がその開放状態をとらないときにサービスユニット20、30の取り外しを防止するように構成されてもよい。
【0083】
浸出ユニット13がハンドルを用いて手動で開閉されるときに、ロック構造50は、サービスユニット20、30の位置に応じて浸出ユニットおよびハンドルをブロックし、または解放し、それにより、本発明にしたがって触覚フィードバック機構がもたらされる。
【0084】
機械的ロック構造50は、浸出ユニット13の移動可能な後部131と関連付けられる第1のカム51、例えば溝と、サービスユニット20、30と関連付けられる第2のカム52、例えば溝と、カム51、52と関連付けられるカム従動子として構成されるロック要素53とを備える。ロック要素53は、シート5の軸線53’周りに回動できる一対のまたは接続されたアーム531、532を有する。各アーム531、532は、例えば一般にピンの形態を成す部材531a、532aを有し、これらの部材は、例えばそのようなピンと協働する溝の形態を成すカム51、52と係合する。回動軸線53’は、該軸線53’周りの要素53の回動と軸線53’の略水平方向の僅かな並進とを可能にするために、飲料調製機のシート5の略楕円形の保持開口(図示せず)と協働する。
【0085】
図5aおよび図6aは、抽出チャンバ14が閉塞状態をとるとき、すなわち、浸出ユニット13の前後部131、132が互いに押し付けられるときのロック構造50を示している。この状態では、カプセルが抽出チャンバ14内に存在する場合には、飲料調製機が飲料を調製できる状態にある。そのような状態では、サービスユニット20、30がシート5から取り外されるべきではない。そのような取り外しを防止するために、ロック要素53は、そのアーム532の部材532aがサービスユニット20、30と関連付けられるカム52と完全に係合される。ユーザがサービスユニット20、30を引き出す場合には、その他方のアーム531の部材531aがカム51と係合され、且つその回動軸線53’がシート5の対応する開口に係合されるロック要素53は、その回動が防止されるため、サービスユニット20、30の取り外しを防止する。
【0086】
図5bおよび図6bは、抽出チャンバ14の開放状態を示している。すなわち、浸出ユニット13の前後部131、132が離間される。この状態では、飲料調製機が飲料を調製するための準備状態にない。そのような状態では、カプセルを浸出チャンバ14内に挿入することができ、または、カプセルを浸出チャンバから除去することができる。また、この非作用状態では、サービスユニット20、30をシート5から取り外すことができる。そのため、ロック要素53は、そのアーム531の部材531aが浸出ユニット13と関連付けられるカム51の上方へ駆動される。また、アーム532の部材532aがサービスユニット20、30と関連付けられるカム52から離脱される。ユーザがサービスユニット20、30を引き出す場合、ロック要素53は、シート5からのユニット20、30の取り外しをもはや阻止しない。この場合、ロック構造50は、図5cおよび図6cに示される状態に遷移される。
【0087】
逆に、サービスユニット20、30をシート5から引き出す代わりに浸出ユニット13の後部131が前部に移動される場合、ロック要素53は、そのアーム532および部材532aがサービスユニット20、30のカム52と再び係合する状態で、軸線53’周りに図5aおよび図6aに示される状態に回動される。
【0088】
図5cおよび図6cは、抽出チャンバ14がその開放状態でブロックされた状態、すなわち、浸出ユニット13の前後部131、132が離間されて結合されることが防止された状態でのサービスユニット20、30の取り外しを示している。この状態において、飲料調製機は、飲料を調製するための準備状態にはなく、整備状態、例えば、収集された水と挽いたコーヒーなどの固体原材料とをサービスユニット20、30から取り除いて空にする状態にある。
【0089】
この状態において、ロック要素53は、浸出チャンバ14の閉塞を防止するためのブロック位置に至らされている。アーム531の部材531aがカム51の上方へ駆動されてカムのロック端51aに至らされる。ロック端51aは、カム51内を略上方へ延びて方向を変化させる。また、アーム532は、部材532aと反対側の固定部材532bを有する。固定部材532bは、シート5の支持面534上に該支持面に抗して固定される。固定部材532bを支持面534に駆動させるために、サービスユニット20、30は駆動部材535、例えば突出部を有し、駆動部材535は、サービスユニット20、30がシート5から引き出されるときの駆動部材535の通過中に、ロック要素53をアーム532を介して案内する。アーム532を支持面534に駆動させることにより、回動軸線53’が駆動部材535によって僅かに前方へ変位される。この状態において、ロック要素53は、支持面534と、ロック端51aと、軸線53’を受けるためのシート5の楕円形の開口との間でロックされる。特に、ロック要素53は、浸出ユニット13の開放した後部131を塞ぐ反時計回りの回動が防止され、したがって、シート5内においてサービスユニット20、30をその通常の作用位置から取り外している際に飲料調製が防止される。
【0090】
サービスユニット20、30がその元の作用位置に挿入されると、サービスユニット20、30の駆動部材535は、ロック要素53の部材532aと接触して、部材532bを支持面534から押し離し、図5bおよび図6bに示される状態に至らせる。そのような離脱を可能にするために、駆動部材535の上端は、部材532bが支持面534上に載置しているときの部材532aの下端よりも僅かに高い。このように、駆動部材535は、ロック要素53の下側を通過する際に、ロック要素53を両方向で固定状態および非固定状態にするために使用される。
【0091】
図5cおよび図6cに示されるその固定位置で、ロック要素53は、ロック端51aと、支持面534と、軸線53’を保持するためのシート5の楕円形の開口との間で緩く配置されてもよく、あるいは、ロック要素53がこれらの間で押され、それにより、サービスユニット20、30が取り外される際に飲料調製機が移動される場合に、部材53がこの位置で適切に固定されてもよい。ロック要素53がこの位置で押されるように構成される場合には、少なくとも一方または両方のアーム531、532が僅かに弾力性を有してもよい。
【0092】
変形例では、無論、例えば国際公開第2009/043630号に教示されるように、浸出チャンバを開閉するために前部が後部に移動され、且つ前部が後部から離間される浸出ユニットに関して、このタイプの形態を設けることができる。この場合、ロック要素は、浸出ユニットの移動可能な前部と関連付けられるカムに追従する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)シート(5)と、
b)前記シート内に設けられ廃棄材料を格納するサービスユニット(20、30)であって、
廃液および/または随意的に事前小分け原材料カプセル内に収容される廃棄飲料原材料などの前記廃棄材料を収集するために、収集位置へ向けて前記シート内へ手動で挿入できるとともに、
前記サービスユニット内の前記廃棄材料の回収に際して前記廃棄材料を取り除いて空にするために、前記シートから特に手動で取り外しできる、
サービスユニット(20、30)と、
c)前記シート内への前記サービスユニットの適切な挿入を制御するための制御手段と、
を備える飲料調製機において、
前記制御手段が、前記シート内への前記サービスユニットの不適切な挿入をユーザに知らせるようになっている触覚フィードバック機構(40、50)を備えることを特徴とする飲料調製機。
【請求項2】
前記触覚フィードバック機構が、前記サービスユニットが手動挿入中にまさに前記収集位置へ達しようとしているときに前記サービスユニット(20、30)を前記シート(5)内へ挿入するために必要とされる手動力を変えるようになっている力フィードバック手段(40)を備える、請求項1に記載の飲料調製機。
【請求項3】
前記力フィードバック手段が、前記サービスユニット(20、30)がまさに前記収集位置に達しようとしているときに挿入力支援をもたらすための構造(40)、特に、前記サービスユニットを前記収集位置に自動的に位置決めするための構造を備える、請求項2に記載の飲料調製機。
【請求項4】
前記力フィードバック手段が、マグネットに基づく機構(40)および/またはばねに基づく機構を備える、請求項3に記載の飲料調製機。
【請求項5】
前記力フィードバック手段が、前記サービスユニットが前記収集位置に達するときに突然の解放を伴う機械的なハードポイントをもたらすための構造を備える、請求項2〜4のいずれか一項に記載の飲料調製機。
【請求項6】
前記機械的なハードポイントをもたらすための構造が、ばねに基づく機構および/または摩擦に基づく機構を備える、請求項5に記載の飲料調製機。
【請求項7】
前記サービスユニット(20、30)が、スライドして前記シート(5)内へ入ることができるとともに、スライドして前記シート(5)から出ることができるようになっている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の飲料調製機。
【請求項8】
前記サービスユニット(20、30)が、
水などの廃棄飲料前駆液体、
使用済み飲料用香料、特に挽いたコーヒー、随意的にカプセル内に収容される事前小分けされた前駆固体などの廃棄飲料前駆固体、および、
飲料分配出口(95)からの液滴または処理後の再開放に際して原材料処理ユニットの原材料チャンバから流れ落ちる液滴などの廃棄飲料、
のうちの少なくとも1つを収集するための構造(21、22、32)を備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載の飲料調製機。
【請求項9】
前記サービスユニット(20、30)が、液体収集容器(22)、および、固体原材料収集容器(32)、特に、使用済み原材料カプセルのための容器を備える、請求項8に記載の飲料調製機。
【請求項10】
前記サービスユニット(20、30)が、ユーザのカップおよび/またはマグカップのための支持体(21)を備え、前記支持体が、特に、飲料液滴を液体収集容器(22)に排出するようになっている、請求項8または9に記載の飲料調製機。
【請求項11】
原材料処理ユニット(13)を備え、該原材料処理ユニットが、チャンバ(14)を有するとともに、前記チャンバ内への原材料の挿入および前記チャンバからの前記原材料の除去のための開放状態と、前記チャンバ内で前記原材料を処理することにより飲料を調製するための閉塞状態とをとり、前記原材料処理ユニットまたはその一部が、特に手動で、前記開放状態から前記閉塞状態へ、およびその逆に遷移できる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の飲料調製機。
【請求項12】
前記サービスユニット(20、30)が前記収集位置にないときに任意の飲料の調製を機械的に防止するための機械的ロック構造(50)を備える、請求項1〜11のいずれか一項に記載の飲料調製機。
【請求項13】
前記機械的ロック構造(50)が、前記サービスユニット(20、30)が前記収集位置にないときに前記原材料処理ユニット(13)の閉塞を防止するように構成される、請求項11に従属する請求項12に記載の飲料調製機。
【請求項14】
前記原材料処理ユニットまたは該原材料処理ユニットの一部が手動で移動でき、前記触覚フィードバック機構(40、50)が、前記サービスユニット(20、30)が前記収集位置にないときに前記原材料処理ユニット(13)の手動閉塞を防止する機械的ロック構造(50)を備える、請求項13に記載の飲料調製機。
【請求項15】
前記原材料処理ユニット(13)が閉塞状態をとるとき、特に前記原材料処理ユニットが開放状態をとらないときに前記サービスユニット(20、30)の取り外しを防止するように構成される機械的ロック構造(50)を備える、請求項11〜14のいずれか一項に記載の飲料調製機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【公表番号】特表2013−517025(P2013−517025A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548415(P2012−548415)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【国際出願番号】PCT/EP2011/050316
【国際公開番号】WO2011/086087
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】