説明

香料組成物

【課題】 乳関連製品のナチュラル感、フレッシュ感、ふくよかな乳感を必要かつ十分なレベルで付与増強できる香料組成物、並びに当該香料組成物を配合してなる乳関連製品を提供することである。
【解決手段】 メチル 2−メチル−3−フリルジスルフィド、ビス(2−メチル−3−フリル)ジスルフィド、メチルフルフリルジスルフィド及びジフルフリルジスルフィドからなる群より選ばれた1種又は2種以上のジスルフィド化合物を含有することを特徴とする乳、乳製品、乳若しくは乳製品を含有する飲食物、又は乳製品代用品用の香料組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳、乳製品、乳若しくは乳製品を含有する飲食物、又は乳製品代用品(これらをまとめて「乳関連製品」という)に乳のナチュラル感、フレッシュ感、ふくよかな乳感を付与増強する香料組成物に関し、更に詳しくは、メチル 2−メチル−3−フリルジスルフィド、ビス(2−メチル−3−フリル)ジスルフィド、メチルフルフリルジスルフィド及びジフルフリルジスルフィドからなる群より選ばれた1種又は2種以上のジスルフィド化合物を極微量で添加することにより、従来にない、乳関連製品特有の自然でふくよかな乳感及び香味を付与増強する、乳風味付け用の香料組成物、当該香料組成物が添加された乳関連製品、並びに乳関連製品の香味増強方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者の嗜好性の多様化に伴い、多様な商品の開発が望まれている。特に、飲食品業界では、消費者の嗜好性に合う種々様々の飲食品の開発が強く要求されている。これらの要求に対して、飲食品、香粧品の原料素材の一つである香料についても、従来から提案、検討されている香料化合物だけでは十分に対応しきれてはいないのが現状である。
【0003】
そのため、従来にはないユニークな香気香味特性を有し、それぞれの商品に対するニーズに対応できるようなバラエティーに富んだ香料物質を提供し、消費者の天然志向にマッチした、自然で天然感のある香気香味を賦与することができる香料組成物及びそれらを配合した飲食品の開発が緊急の課題となっている。特に、ミルク、バター、チーズなどの乳関連製品においては、より天然感のある香気香味を有する香料化合物が要求されている。 すなわち、搾りたての牛乳をイメージさせるナチュラル感、劣化していない殺菌牛乳を想起させるフレッシュ感、乳脂や乳から想起される温かみのあるふくよかな乳感等の芳しい香味である。
【0004】
従来技術として、乳製品特有の自然でふくよかな乳感及び香味を付与する化合物である4−メチル−5−チアゾールエタノール(スルフロール)が知られている(非特許文献1参照)。しかし、この化合物は乳関連製品より見出されていない。また、この化合物は閾値が10800ppbであり(非特許文献2参照)、香気の強い化合物ではないことから、その香味を発現させるには相当量の化合物を香料中に包含させる必要があった。
また、野菜や茶等に含まれる3−メチルノナン−2,4−ジオンを乳関連製品に含有せしめることにより、乳特有の「こく」やボリューム感を乳関連製品に付与・増強することが提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、この化合物は乳関連製品に「こく」やボリューム感を付与することはできるものの、搾りたての牛乳をイメージさせるナチュラル感、フレッシュ感を付与する効果は十分ではなかった。
【特許文献1】特開2003−52330公報
【非特許文献1】香料,153, 37-, 1987
【非特許文献2】Perfumer & Flavorist, 16, Jan./Feb., 1-19, 1991
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、乳関連製品のナチュラル感、フレッシュ感、ふくよかな乳感を必要かつ十分なレベルで付与増強できる香料組成物、当該香料組成物を添加してなる乳関連製品、並びに乳関連製品の香味増強方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは牛乳の香気成分の精査により、強いインパクトを与える微量成分が含まれていること、それが複数の化合物からなることを見出し、それぞれの構造をメチル 2−メチル−3−フリルジスルフィド、ビス(2−メチル−3−フリル)ジスルフィド、メチルフルフリルジスルフィド及びジフルフリルジスルフィドと同定した。
【0007】
さらに、本発明者らはメチル 2−メチル−3−フリルジスルフィド、ビス(2−メチル−3−フリル)ジスルフィド、メチルフルフリルジスルフィド及びジフルフリルジスルフィドそれぞれの香味特性を調べた結果、極微量を添加することで乳関連製品のナチュラル感、フレッシュ感、ふくよかな乳感を想起させる等の特性を有しており、従来から乳及び乳製品で知られている香料物質より少量で香味への寄与度が高いことを見出し、当該化合物を調合香料中に含有させることにより、自然で天然感のある香気香味を付与することができる香料組成物を提供できるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、下記の式(1)で表されるメチル 2−メチル−3−フリルジスルフィド、式(2)で表されるビス(2−メチル−3−フリル)ジスルフィド、式(3)で表されるメチルフルフリルジスルフィド及び式(4)で表されるジフルフリルジスルフィドからなる群より選ばれた1種又は2種以上のジスルフィド化合物を含有することを特徴とする乳、乳製品、乳若しくは乳製品を含有する飲食物、又は乳製品代用品用の香料組成物である。
【化1】

【0009】
また、本発明は、上記香料組成物において、1種又は2種以上のジスルフィド化合物を100ppm〜0.1ppb含有することを特徴とし、また、上記組成物において、乳製品代用品がクリーム代用品、ショートニング、マーガリン又はファットスプレッドであることを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明は、メチル 2−メチル−3−フリルジスルフィド、ビス(2−メチル−3−フリル)ジスルフィド、メチルフルフリルジスルフィド及びジフルフリルジスルフィドからなる群より選ばれた1種又は2種以上のジスルフィド化合物を有効量添加したことを特徴とする乳、乳製品、乳若しくは乳製品を含有する飲食物、又は乳製品代用品である。
また、本発明は、上記1種又は2種以上のジスルフィド化合物を10〜0.001ppb添加することを特徴とする乳、乳製品、乳若しくは乳製品を含有する飲食物、又は乳製品代用品の香味増強方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の香料組成物は、ミルク様、チーズ様、バター様などの乳関連製品に微量配合することによって、従来にない乳製品特有のナチュラル感、フレッシュ感、ふくよかな乳感及び香味を付与増強できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<1>香料組成物の必須成分
本発明で使用されるメチル 2−メチル−3−フリルジスルフィド、ビス(2−メチル−3−フリル)ジスルフィド、メチルフルフリルジスルフィド及びジフルフリルジスルフィドは、公知の化合物であり、当該化合物を食品香料製品へ使用することが提案されている(FLAVOR-BASE2004,Copyright 1989-2004 by John C. Leffingwell, LEFFINGWELL & ASSOCIATES参照)。すなわち、メチル 2−メチル−3−フリルジスルフィドが硫黄様、肉様、培地様、ロースト香を有し、ビス(2−メチル−3−フリル)ジスルフィドが調理した肉様、豊かな肉様の香気を有し、肉用、オニオン用、調味用フレーバーとして使用できることが示されている。さらに、メチルフルフリルジスルフィドがコーヒー様、調理した豚肉様、小麦パン様香を有し、ジフルフリルジスルフィドがコーヒー様、肉様の香気を有している。
【0013】
かかる香気特性に基づき、上記4種のジスルフィド化合物は、コーヒー用、肉用、オニオン用フレーバーとして使用できることが示されている。
しかしながら、当該ジスルフィド化合物を乳関連製品用の香料組成物に極微量を添加することにより乳関連製品のナチュラル感、フレッシュ感、ふくよかな乳感を再現できることは、上記の文献はもとよりこれまで全く知られていなかった。
【0014】
メチル 2−メチル−3−フリルジスルフィドは、例えば塩基性水溶液中で亜硫酸ナトリウムの存在下、炭酸ジメチルと2−メチル−3−フランチオールより合成する方法が報告されている(Faming Zhuanli Shenqing Gongkai Shuomingshu (2001), 7pp. CODEN: CNXXEV CN 1308076 A 20010815 Patent written in Chinese.参照)。
【0015】
同様にビス(2−メチル−3−フリル)ジスルフィドは、例えば2−メチル−3−フランチオールとDMSOをモル比1:0.5〜1:10の範囲で混合し、室温で10時間攪拌することにより得る方法が知られている(Faming Zhuanli Shenqing Gongkai Shuomingshu (1995), 5pp. CODEN: CNXXEV CN 1097747 A 19950125 Patent written in Chinese.参照)。
【0016】
次にメチルフルフリルジスルフィドは、例えばアルキルチオジアルキルスルフォニウム塩を経由した非対称なジスルフィド化による合成例が報告されている(Helvetica Chimica Acta (1976), 59(4), 1307-11.参照)。
【0017】
さらに、ジフルフリルジスルフィドは、例えばフルフリルチオールとDMSOをモル比1:0.5〜1:10の範囲で混合し、室温で10時間攪拌することにより得る方法が知られている(Faming Zhuanli Shenqing Gongkai Shuomingshu (1995), 5pp. CODEN: CNXXEV CN 1097748 A 19950125 Patent written in Chinese.参照)。
【0018】
メチル 2−メチル−3−フリルジスルフィドについては、例えば、和光純薬工業株式会社製や米国Sigma Aldrich社製又はベルギーACROS organics社製の市販品を入手でき、ビス(2−メチル−3−フリル)ジスルフィドについては、ベルギーACROS organics社製の市販品を、メチルフルフリルジスルフィド及びジフルフリルジスルフィドについては、米国Sigma Aldrich社製又は英国Oxford Chemical社製の市販品を入手可能である。
【0019】
本発明の有効成分であるメチル 2−メチル−3−フリルジスルフィド、ビス(2−メチル−3−フリル)ジスルフィド、メチルフルフリルジスルフィド及びジフルフリルジスルフィドはそれぞれ単独で又は組み合わせて用いることもできる他、後述する他の香料と任意の割合の混合物として用いることもできる。
【0020】
メチル 2−メチル−3−フリルジスルフィド、ビス(2−メチル−3−フリル)ジスルフィド、メチルフルフリルジスルフィド及びジフルフリルジスルフィドを香料組成物に用いる場合、その添加量は、その目的あるいは香料組成物の種類によって異なるものの、一般的には、それぞれ香料組成物全体量の100ppm〜0.1ppb、好ましくは10ppm〜1ppbの範囲内を例示する事ができる。使用量が0.1ppbより少ない場合は、その添加効果が十分に得られないおそれがあり、また、100ppmよりも多い場合は、この物質の持つ個性が強く出すぎて、香料組成物全体の香りのバランスを崩してしまうおそれがある。
【0021】
<2>付加的成分
本発明の香料組成物に配合される他の香料成分としては、特に制限はないが、例えば、「特許庁公報 周知・慣用技術集(香料) 第II部食品用香料」の第258〜334頁に記載のように、オクタノール、ヘプタノール、フェニルエタノールなどのアルコール類;ヘキサナール、ヘプタナール、バニリンなどのアルデヒド類;アセトイン、ジアセチル、2−ペンタノン、3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ウンデカノン、2−トリデカノンなどのケトン類;酢酸、酪酸、5−デセン酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸などの酸類;
【0022】
エチルヘキサノエート、エチルブチレート、レブリン酸エチル、ブチルブチリルラクテート、フェニルエチルアセテート、エチルミリステートなどのエステル類;γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトン、γ−ドデカラクトン、δ−オクタラクトン、δ−デカラクトン、δ−ウンデカラクトン、δ−ドデカラクトン、δ−トリデカラクトン、γ−ノナラクトンなどのラクトン類;メチルメルカプタンなどのチオール類;ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィドなどのチオエーテル類やメチオナールなどの硫黄化合物など公知の合成香料化合物及び乳製品の溶剤抽出、水蒸気蒸留品、リパーゼ、プロテアーゼ、ラクターゼ等による乳製品の酵素処理、アミノ酸・タンパク質と糖の加熱反応を利用した香料素材などにより得られる乳製品フレーバーなどを挙げることができ、これらを任意に組み合わせて混合した香料組成物を挙げることができる。
【0023】
<3>香料組成物の製造方法
本発明の香料組成物は、必須成分であるジスルフィド化合物と、必要に応じて上記の香料成分をはじめとする付加的成分を適宜配合して常法によって混合し調製することができる。例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンおよびこれらの混合溶剤、植物性油脂、動物性油脂、中鎖脂肪酸トリグリセライドおよびこれらの混合溶剤に適宜混合することで乳関連製品に添加することができる。
また、香料組成物は、添加する対象の乳関連製品の形態に応じて適宜製剤化して使用することができる。例えば、乳化剤を利用して乳化香料として、又、賦形剤を利用して粉末として乳関連製品に添加することができる。
【0024】
<4>対象製品
本発明の香料組成物を添加する対象として、乳関連製品、すなわち(a)乳、(b)乳製品、(c)乳若しくは乳製品を含有する飲食物、又は(d)乳製品代用品として制限はなく、例としては以下のとおりである。
(a)乳としては、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(昭和26年12月27日厚生省令第52号)に規定された生乳、牛乳、特別牛乳、部分脱脂乳、加工乳などを挙げることができる。
(b)乳製品としては、前記省令に規定されたクリーム、バター、バターオイル、ヨーグルトなどの発酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料、チーズ、アイスクリーム類、濃縮乳、脱脂濃縮乳、練乳、全粉乳、脱脂粉乳、加糖練乳、濃縮ホエー、ホエーパウダーなどを挙げることができる。
【0025】
(c)乳若しくは乳製品を含有する飲食物としては、例えば、上記の牛乳、クリーム類、バター、チーズ、練乳、粉乳などを添加したコーヒー飲料、茶飲料、果汁飲料、炭酸飲料、冷菓類、キャンディーやクッキー・ビスケットなどの洋菓子類、和菓子類、パン類、カレーやクリームシチュー、クリームスープなどの各種インスタント飲食品、各種スナック食品、ドレッシングなどの調味料などを挙げることができる。
(d)乳製品代用品としては、例えば、植物性油脂を乳化して製造されるマーガリン、ショートニングやファットスプレッドなどのバター代用品、コーヒーや紅茶などに添加するコーヒーホワイトナーなどのクリーム代用品を挙げることができる。
【0026】
本発明の香料組成物を乳関連製品に添加する有効量としては、その製品の種類や製造法の違い等により一概に決められないが、上記例示された乳関連製品に対してジスルフィド化合物の濃度が10〜0.001ppb、好ましくは1〜0.001ppbとなる範囲で添加することができ、これによって新鮮な乳製品が本来有しているナチュラル感、フレッシュ感、ふくよかな乳感といった芳ばしい香味を大幅に増強することができる。乳関連製品へのジスルフィド化合物の添加量が10ppbより多いと芳ばしい乳感よりも肉様、ロースト香が強くなる傾向となる。
【実施例】
【0027】
以下に実施例をあげて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
香料組成物に使用したジスルフィド化合物のうち、メチル 2−メチル−3−フリルジスルフィドとビス(2−メチル−3−フリル)ジスルフィドについては、前記ACROS organic社の製品を使用した。また、メチルフルフリルジスルフィドとジフルフリルジスルフィドについては、前記Sigma Aldrich社の製品を使用した。
【0028】
(1)実験方法
市販の超高温瞬間(UHT)殺菌乳に対し、メチル 2−メチル−3−フリルジスルフィド、ビス(2−メチル−3−フリル)ジスルフィド、メチルフルフリルジスルフィド及びジフルフリルジスルフィドのそれぞれについて、最終濃度がそれぞれ100ppb、10ppb、1ppb、0.1ppb、0.01ppb、0.001ppbとなるように添加した。
比較対照として、これらジスルフィド化合物を添加していないUHT殺菌乳を用いた。
【0029】
(2)評価方法
乳関連製品の「自然なふくよかさ」が感じられるかどうかを官能評価により判定した。官能評価は、10名の専門パネルによる下記の5段階の採点及びコメントの記述により行った。
すなわち、メチル 2−メチル−3−フリルジスルフィド、ビス(2−メチル−3−フリル)ジスルフィド、メチルフルフリルジスルフィド及びジフルフリルジスルフィドのいずれも添加しない場合に感じられる「乳関連製品の自然なふくよかさ」の程度を2点とする。これらのジスルフィド化合物を添加した場合において、添加しない場合に比べ、より強く感じる場合は3点、さらに強く感じる場合は4点、感じる程度が弱い場合は1点、まったく感じない場合は0点として点数を記録し、10人の採点の平均値を求めた。
さらに、評価時には各飲料の印象を自由にコメントし、そのうち多かった意見を抽出した。各飲料の得点及びコメントを表1に示した。
【0030】
【表1】

【0031】
表1から明らかなように、メチル 2−メチル−3−フリルジスルフィド、ビス(2−メチル−3−フリル)ジスルフィド、メチルフルフリルジスルフィド及びジフルフリルジスルフィドは、それぞれ0.001〜1ppbの添加濃度でUHT殺菌乳に対し、よりナチュラル感、フレッシュ感、ふくよかさを付与増強することがわかった。添加量が1ppbを超えるとふくよかさはより強く感じられるようになるが、同時にコーヒー様、肉様の香味及びロースト香も感じられるようになり、10ppbを超えると4種のジスルフィド全てでコーヒー様、肉様の香味及びロースト香が強く感じられた。全体としての香味のバランスは添加量0.001〜1ppbの方が好ましかった。
【0032】
〔実施例2〕
下記処方に従い、常法によって混合し、香料組成物(比較品1)を調製した。
【表2】

【0033】
上記比較品1の1000質量部にメチル 2−メチル−3−フリルジスルフィドの0.1%アルコール溶液0.1質量部及びビス(2−メチル−3−フリル)ジスルフィドの0.01%アルコール溶液0.1質量部を混合して香料組成物(本発明品1)を調製した。
比較品1と本発明品1について、専門パネラー10名により比較評価した。その結果、専門パネラー10名全員が当該化合物を加えた本発明品1についてナチュラル感、フレッシュ感、ふくよかさが向上したと評価した。
【0034】
〔実施例3〕
下記のとおり、常法により混合して「乳飲料(1)」の本発明品2と比較品2を調製した。
専門パネラー10名により比較評価した。
その結果、専門パネラー10名全員が、本発明の特定のジスルフィド化合物を含む香料組成物を加えた本発明品2について乳特有の自然でふくよかな乳感、殺菌乳特有の香味の増強した乳飲料が得られたと評価した。
【0035】
【表3】

【0036】
〔実施例4〕
下記処方に従い、常法により混合して「乳飲料(2)」の本発明品3と比較品3を調製した。
専門パネラー10名により比較評価した。
その結果、専門パネラー10名全員が、本発明の特定のジスルフィド化合物を含む香料組成物を加えた本発明品3について自然でふくよかな乳感、乳特有のコク味が向上したと評価した。
【0037】
【表4】

【0038】
〔実施例5〕
下記処方に従い、常法により混合して「乳製品代用品」の本発明品4と比較品4を調製した。
専門パネラー10名により比較評価した。
その結果、専門パネラー10名全員が、本発明の特定のジスルフィド化合物を含む香料組成物を加えた本発明品4について自然でふくよかな乳感、乳特有のコク味が向上したと評価した。
【0039】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(1)で表されるメチル 2−メチル−3−フリルジスルフィド、式(2)で表されるビス(2−メチル−3−フリル)ジスルフィド、式(3)で表されるメチルフルフリルジスルフィド及び式(4)で表されるジフルフリルジスルフィドからなる群より選ばれた1種又は2種以上のジスルフィド化合物を含有することを特徴とする乳、乳製品、乳若しくは乳製品を含有する飲食物、又は乳製品代用品用の香料組成物。
【化1】

【請求項2】
1種又は2種以上のジスルフィド化合物を100ppm〜0.1ppb含有することを特徴とする請求項1記載の香料組成物。
【請求項3】
乳製品代用品がクリーム代用品、ショートニング、マーガリン又はファットスプレッドである請求項1又は2に記載の香料組成物。
【請求項4】
メチル 2−メチル−3−フリルジスルフィド、ビス(2−メチル−3−フリル)ジスルフィド、メチルフルフリルジスルフィド及びジフルフリルジスルフィドからなる群より選ばれた1種又は2種以上のジスルフィド化合物を有効量添加したことを特徴とする乳、乳製品、乳若しくは乳製品を含有する飲食物、又は乳製品代用品。
【請求項5】
メチル 2−メチル−3−フリルジスルフィド、ビス(2−メチル−3−フリル)ジスルフィド、メチルフルフリルジスルフィド及びジフルフリルジスルフィドからなる群より選ばれた1種又は2種以上のジスルフィド化合物を10〜0.001ppb添加することを特徴とする乳、乳製品、乳若しくは乳製品を含有する飲食物、又は乳製品代用品の香味増強方法。

【公開番号】特開2008−92890(P2008−92890A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−279740(P2006−279740)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【出願人】(591011410)小川香料株式会社 (173)
【出願人】(000006127)森永乳業株式会社 (269)
【Fターム(参考)】