説明

α−β型チタン合金およびその溶製方法

【課題】実用温度域において高強度α−β型チタン合金として広く用いられているTi−6Al−4V合金に匹敵する強度を有するとともに疲労強度にも優れ、さらに熱間加工性にも優れるチタン合金を低コストで提供する。
【解決手段】mass%で、Al:3.0〜5.0%、V:1.0〜3.0%、Fe:1.0〜1.8%、Mo:0.9〜1.7%、O:0.05〜0.25%を含有し、必要に応じてさらにN:0.02〜0.15mass%を含有し、残部がTiおよび不可避的不純物からなり、Aleq(mass%)=[Al]+10×[O]+27.7×[N]で表されるアルミ当量Aleqが4〜8mass%、Tβ(℃)=886+147.7×[O]+294.3×[N]+20.4×[Al]−19.8×[Fe]−13.1×[V]−10.3×[Mo]で表されるβ変態温度Tβが880〜980℃であるα−β型チタン合金。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実用温度域において高強度で、疲労強度に優れると共に、高温度域における変形抵抗が小さく、熱間加工性に優れるチタン合金とその溶製方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
Ti−6Al−4V合金に代表されるα−β型チタン合金は、軽量かつ高強度で優れた耐食性を有していることから、航空機や自動車、スポーツ用品等のさまざまな分野で使用されている。しかしながら、高強度のα−β型チタン合金、特に、Alを多く含有するα−β型チタン合金は、(α−β)2相温度域での熱間加工性に劣る、引張強度に比べて、疲労強度が低い等の欠点を有している。
【0003】
上記熱間加工性が劣るという欠点は、熱間での鍛造や圧延時の歩留りを低下させて、製造コストの上昇を招くため、チタン合金の用途拡大の大きな障害となっている。また、疲労強度が低いという欠点は、実用化されたチタン製部材の主な破損原因が疲労破壊であることを併せて考えれば、引張強度を単に高める材料開発だけでは、チタン合金の用途拡大に結びつかないことを示している。また、近年におけるV等レアメタルの価格の高騰によって、これらの元素を多量に含むチタン合金は、より高価なものとなってきている。
【0004】
上記問題に対しては、例えば、特許文献1には、Ti−6Al−4V合金の強度を高めると共に超塑性特性を向上させることによって熱間加工性を改善したTi−4.5Al−3V−2Fe−2Mo合金が、また、特許文献2には、α安定化元素としてAlとC、β安定化元素としてCrとFeを適正量添加することにより、常温〜500℃の実用温度域で高強度を有し、熱間加工性にも優れるTi−4.5Al−4Cr−0.5Fe−0.2C合金が提案されている。
【特許文献1】特開平3−274238号公報
【特許文献2】特開2004−91893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの合金はいずれも、FeやCrといった凝固偏析を起こし易い元素を2〜4mass%含有していることから、偏析を防止するために溶解速度を遅くする必要があり、製造コストが増大するという問題点がある。
【0006】
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、室温から400℃の実用温度域において高強度α−β型チタン合金として広く用いられているTi−6Al−4V合金に匹敵する強度を有するとともに疲労強度にも優れ、さらに800℃前後の高温における熱間加工性にも優れるチタン合金を低コストで提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者らは、上記課題を解決するべく、チタン合金に添加される各種合金元素が上記特性に及ぼす影響について鋭意検討を重ねた。その結果、Ti−6Al−4V合金に匹敵する強度と、優れた疲労強度を兼備するためには、後述するアルミ当量Aleqを適正範囲に制御する必要があること、また、優れた熱間加工性を確保するためには、後述するβ変態点温度Tβを適正範囲に制御する必要があること、さらに、疲労強度を改善するには、合金溶製時のN添加原料を適正化する必要があることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち本発明は、Al:3.0〜5.0mass%、V:1.0〜3.0mass%、Fe:1.0〜1.8mass%、Mo:0.9〜1.7mass%、O:0.05〜0.25mass%を含有し、残部がTiおよび不可避的不純物からなり、下記(1)式;
Aleq(mass%)=[Al]+10×[O]+27.7×[N] ・・・(1)
で表されるアルミ当量Aleqが4〜8mass%、下記(2)式;
β(℃)=886+147.7×[O]+294.3×[N]+20.4×[Al]−19.8×[Fe]−13.1×[V]−10.3×[Mo] ・・・(2)
で表されるβ変態温度Tβが880〜980℃であるα−β型チタン合金である。
【0009】
本発明のα−β型チタン合金は、上記成分組成に加えてさらに、N:0.02〜0.15mass%を含有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記のTi合金を溶製するに当たり、溶解原料にFe−V−N母合金を使用してNを添加することを特徴とするα−β型チタン合金の溶製方法を提案する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、室温から400℃の実用温度域における高い強度と、優れた疲労強度を有するとともに、800℃以上の熱間加工性にも優れるα−β型チタン合金を低コストで提供することができる。したがって、本発明によれば、製造コストの低減やチタン合金への信頼性の向上を通じて、航空機部品や自動車部品、スポーツ用品の分野のみならず、それ以外の分野にも用途拡大が可能となるので、産業上その効果は大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のチタン合金における成分組成の限定理由について説明する。
Al:3.0〜5.0mass%
チタン合金の熱間加工は、熱間鍛造か熱間圧延あるいはその両者を組み合わせて行われるのが普通である。しかし、熱間加工中に温度が800℃以下に低下すると、変形抵抗が増大するとともに、割れ等の欠陥が発生し易くなり、製造性が著しく低下する。この製造性は、Alの含有量と密接な関係がある。即ち、Alは、(α−β)2相組織を得るためのα相安定化元素として添加される元素であり、強度の上昇にも寄与する。しかし、Al含有量が3.0mass%未満では、十分な強度が得られない。一方、Al含有量が5.0mass%を超えると、熱間変形抵抗が増大すると共に、割れ感受性が著しく増大して製造性が悪化し、製造コストの増大に繋がる。よって、Alの含有量は3.0〜5.0mass%の範囲とする。
【0013】
V:1.0〜3.0mass%
Vは、(α−β)2相組織を得るためのβ相安定化元素として添加される元素であり、Tiとの間で脆化相である金属間化合物を形成することなく主にβ相に固溶して、強度の上昇に寄与する。しかし、Vは、高融点金属であると共に、近年、特に価格が高騰しているレアメタルの一つであることから、その含有量を抑えることが好ましい。一方、現在、最も広く使用されているTi-6Al-4V合金は、そのスクラップの流通量も多く、スクラップのリサイクルが可能となることから、Vをある程度含有させても溶解コストの大幅な上昇とはならない。よって、本発明では、Vは1.0〜3.0mass%の範囲で含有させる。
【0014】
Fe:1.0〜1.8mass%
Feは、β安定化元素であり、主にβ相に固溶し、合金強度の上昇に寄与する。また、α相に比べて熱間加工性のよいβ相の体積分率を増大させる作用があることと、β相中の拡散速度が大きいことが相俟って、チタン合金の熱間変形抵抗を減少させるのに寄与する。しかし、含有量が1.0mass%未満では、その効果が十分ではなく、一方、含有量が過大になると、Tiとの間で脆化相である金属間化合物(TiFe)を形成し、さらに、溶解・凝固時にβフレックと呼ばれる偏析相を生成して、合金の機械的性質、特に延性、靭性の低下をもたらす。よって、本発明では、Feは1.0〜1.8mass%の範囲とする。
【0015】
Mo:0.9〜1.7mass%
Moは、Vと同様、β安定化元素であり、主にβ相に固溶して強度の上昇に寄与する。また、α相に比べ熱間加工性のよいβ相の体積分率を増大させることにより、鍛造、圧延等の塑性加工性を向上する効果がある。しかし、Moの含有量が0.9mass%未満では、その効果が十分でなく、一方、1.7mass%を超えると、Moが重い元素であることから合金の比重を大きくし、高比強度であるというチタン合金の特長を損なう。さらに、Moは、チタン中での拡散速度が小さいために、熱間加工時の変形抵抗を増大させる。よって、Moは0.9〜1.7mass%の範囲で添加する。
【0016】
O:0.05〜0.25mass%
Oは、α相に固溶して強度を上昇させる作用を有する。しかしながら、Oの含有量が0.05mass%未満では、強度上昇への寄与が十分でなく、所望の強度が得られない。一方、Oが0.25mass%を超えると、室温での延性や靭性が低下し、また加工性も低下するので好ましくない。よって、Oは0.05〜0.25mass%の範囲とする。
【0017】
N:0.02〜0.15mass%
Nは、Oと同様、α相に固溶して強度を上昇させる作用を有する元素である。通常、Nは、不可避的に0.001〜001mass%程度混入するが、上記効果を得るためには、Nを積極的に添加するのが好ましい。この目的で添加する場合、Nの添加量が0.02mass%未満では、強度上昇への寄与が十分でなく、所望の強度が得られない。一方、N含有量が0.15mass%を超えると、室温での延性や靭性が低下する。さらに、チタン合金を溶製する際、Nの含有量が多くなりすぎると、N添加原料の融け残りが問題になることがある。よって、Nを添加する場合は0.02〜0.15mass%の範囲とするのが好ましい。
【0018】
本発明のチタン合金は、上記成分組成の規制に加えてさらに、以下に説明するアルミ当量Aleqおよびβ変態点温度Tβが、本発明の条件を満たすことが必要である。
アルミ当量Aleq:4.0〜8.0mass%
アルミ当量Aleqは、チタン合金に含まれるα相安定化元素の量を表すパラメータの一つであり、α相を強化する程度を示している。このAleqは、下記(1)式;
Aleq(mass%)=[Al]+10×[O]+27.7×[N] ・・・(1)
ここで、[Al]、[O]および[N]は、それぞれの元素の含有量(mass%)
で定義される。Aleqの値が、4mass%未満では、α相の強化が十分でなく、所望の強度が得られない。一方、Aleqが8mass%を超えると、熱間加工性を低下させるだけでなく、機械的性質、特に疲労特性を著しく低下させる。よって、Aleqは、4.0〜8.0mass%の範囲に制御する必要がある。
【0019】
β変態点温度Tβ:880〜980℃
β変態点温度Tβは、高温度側のβ単相からα相が平衡的に生成を開始する温度であり、合金を構成する各元素と下記(2)式;
β(℃)=886+147.7×[O]+294.3×[N]+20.4×[Al]−19.8×[Fe]−13.1×[V]−10.3×[Mo] ・・・(2)
ここで、[O]、[N]、[Al]、[Fe]、[V]および[Mo]は、それぞれの元素の含有量(mass%)
の関係がある。このTβは、チタン合金におけるβ相の安定度を示すパラメータとしても用いられ、チタン合金を熱間加工する際には、Tβ−100℃前後の温度に加熱するのが通常である。Tβが980℃超であると、熱間加工のための加熱温度が高くなり過ぎて、加熱時に材料表面が過度に酸化したり、結晶粒が粗大化したりして、熱間加工時に割れが発生し易くなる。一方、この温度が880℃未満であると、熱間加工の際の加熱温度が低くなり過ぎて、やはり割れが発生し易くなると共に、β相が安定化し過ぎて、溶体化時効処理で時効硬化させるのに要する時間が長くなり過ぎる。よって、β変態点温度Tβは、880〜980℃の範囲となるよう合金成分を調整する必要がある。
【0020】
本発明のチタン合金は、上記成分以外の残部は、Tiおよび不可避的不純物である。なお、本発明のチタン合金は、本発明の作用効果を害さない範囲であれば、上記成分以外の成分の含有を拒むものではなく、例えば、C:0.08mass%以下、H:0.05mass%以下、より好ましくは0.015mass%以下を含有することができる。
【0021】
上記成分組成を満たす本発明のチタン合金は、従来のTi−6Al−4V合金と同等の強度を有し、かつこれよりも高い延性と優れた疲労強度を有する。さらに、従来のTi−6Al−4V合金に比べて、優れた熱間加工性を有していることから、従来合金と同じ工程、同じ設備で製造することが可能である。
【0022】
次に、Nを添加したチタン合金を溶製する場合の本発明の溶製方法について説明する。
本発明の溶製方法において、チタン合金にNを添加する場合は、溶解原料としてFe−V−N合金を用いて行うことを特徴とする。
一般に、溶解したチタンあるいはチタン合金に酸素を添加する場合には、二酸化チタン(TiO)の粉末が用いられている。それは、TiOの融点が約1640℃と、チタンの融点である約1668℃に近く、溶解が比較的容易であるからである。しかし、従来から窒素の添加に用いられているチタンと窒素の化合物である窒化チタン(TiN)は、融点が約3290℃と非常に高い。そのため、TiNを用いてN添加を行った場合、たとえ超微細紛のTiNを用いたとしても、通常の溶解方法では融け残りが発生するおそれがある。そこで、本発明は、低融点のFe−V−N合金、具体的には、43mass%Fe-50mass%V-7mass%N(融点:約1520℃)をN源として用いて、Nの添加を行う。これにより、従来と同じ真空アーク溶解法(VAR)を用いた溶解方法でも、N偏析のないチタン合金を得ることができる。
【実施例1】
【0023】
表1に示した成分組成を有する本発明に適合する発明合金(No.A1〜A9)、従来から公知の従来合金(No.B1〜B3)、および比較合金(No.C1〜C9)を、真空アーク溶解炉(VAR)を用いて溶製し、鋳造して鋳塊とし、この鋳塊を熱間鍛造し、熱間圧延して直径が18mmφの丸棒に仕上げた。なお、上記熱間鍛造する際の加熱温度は、一次鍛造はそれぞれの合金が有するβ変態点温度以上である1100℃、二次鍛造はそれぞれの合金が有するβ変態点温度より70℃低い温度に設定した。また、丸棒に熱間圧延する際の加熱温度は、それぞれの合金が有するβ変態点温度より120℃低い温度とし、圧下量は断面減少率で約80〜95%とした。その後、上記丸棒に720℃で1hrの焼鈍を施したのち、下記に試験に供した。
【0024】
【表1】

【0025】
<引張試験>
上記のようにして得たそれぞれの丸棒から、丸棒の長手方向が試験片の長さ方向に平行になるように、ASTM E8に規定された平行部6.25mmφ、標点間距離25mmの引張試験片を採取し、ASTM E8に準拠して室温で引張試験を行い、0.2%耐力(0.2%PS)、引張強さ(UTS)、伸び(El)および絞り(RA)を測定した。
<熱間変形抵抗>
丸棒の長手方向が試験片の長さ方向に平行になるようにして直径8mmφ×長さ12mmの円柱状試験片を採取し、高温圧縮試験機(富士電波工機社製「サーメックマスターZ」)を用いて、真空中で、高周波で800℃に加熱後、歪速度10(1/秒)で単軸圧縮加工する熱間圧縮鍛造模擬試験を行い、長さ方向に50%圧縮した時の真応力を測定し、熱間変形抵抗を評価した。
<疲労試験>
上記引張試験および熱間変形抵抗を測定したうちのいくつかの丸棒から、JIS Z2274「金属材料の回転曲げ疲れ試験方法」に規定された1号試験片を採取し、同じくJIS Z2274に準拠して回転曲げ疲れ試験に供してS−N線図を求め、繰り返し数が10サイクルでも破断しない繰り返し応力で定義する疲労限度を求めた。
【0026】
上記試験の結果をまとめて表2に示した。また、表2には、熱間変形抵抗を疲労限度で除した値(表中のA/B)も併記した。これらの結果から、本発明のチタン合金(No.A1〜A9)は、従来のTi−6Al−4V合金(No.B1)とほぼ同等の引張強さを有すること、また、疲労限度は、いずれも従来合金を上回っていることがわかる。また、熱間変形抵抗は、従来合金よりも小さく、熱間変形抵抗を疲労限度で除した値(A/B)も、従来合金や比較合金では0.49以上であるのに対して、本発明合金は、0.30〜0.34と小さく、熱間加工性にも優れていることがわかる。また、図1は、上記疲労試験に供した材料の、疲労限度と熱間変形抵抗との関係を示したものである。これらの結果から、本発明のチタン合金は、疲労限度が高い割に、熱間加工がしやすい材料であることがわかる。
【0027】
【表2】

【実施例2】
【0028】
表1のNo.22,23(D1,D2)に示した、ほぼ同じ成分組成を有するチタン合金を、真空アーク溶解法を用いて溶製し、鋳造し、直径200mmφの鋳塊とした。なお、両合金の溶製条件は、N添加原料としては、No.D1の合金はFe−V−N合金を、また、No.D2の合金はTiN粉末を用いたこと以外は同一とした。次いで、上記鋳塊を1100℃に加熱し、熱間鍛造して直径120mmφの一次ビレットとし、その後、870℃に加熱し、鍛造して直径80mmφの二次ビレットとした。これをさらに820℃に加熱し、熱間圧延して直径18mmφの丸棒としたのち、720℃で1hrの焼鈍を施した。
次いで、上記丸棒のそれぞれから、平行部が8mmφ×20mmのダンベル型の疲労試験片を各10本ずつ採取し、油圧サーボ式疲労試験機を用いて最大応力610N/mm、応力比(最小応力に対する最大応力の比)−1の条件で両振り応力を加える疲労試験に供し、破断するまでのサイクル数(疲労寿命)を測定した。
【0029】
上記試験の結果を表3に示した。本発明に従いFe−V−N合金を用いてN添加したNo.D1の合金では、いずれの試験片でもほぼ一定の安定した疲労寿命が得られている。これに対して、TiNを用いてN添加した材料No.D2は、一部の試験片に疲労寿命が極端に短いものが見られ、平均疲労寿命がD1の約3/4で、標準偏差が約3倍あり、信頼性に劣る結果となった。そこで、D1の試験片の破面を肉眼で観察したところ、疲労寿命が短かった試験片は、いずれも疲労き裂の起点が破断面内であるのに対し、疲労寿命が長かった試験片は、いずれも試験片表面から疲労き裂が発生していた。そこで、疲労寿命が短かった試験片の破断面をさらに走査型電子顕微鏡で詳細に観察したところ、疲労き裂の起点と思われる箇所に、窒素が濃化した析出物が認められた。この析出物を分析したところ、N添加に用いた未溶解の窒化物(TiN)であることが確認された。
【0030】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明のチタン合金は、航空機や自動車、スポーツ用品等に加えてさらに、高速鉄道や高速船舶、ロケット、医療機器、蒸気タービンブレードなどの分野にも好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明のチタン合金と従来合金、比較合金の、疲労強度と熱間変形抵抗との関係を比較して示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Al:3.0〜5.0mass%、
V:1.0〜3.0mass%、
Fe:1.0〜1.8mass%、
Mo:0.9〜1.7mass%、
O:0.05〜0.25mass%を含有し、
残部がTiおよび不可避的不純物からなり、下記(1)式で表されるアルミ当量Aleqが4〜8mass%、下記(2)式で表されるβ変態温度Tβが880〜980℃であるα−β型チタン合金。

Aleq(mass%)=[Al]+10×[O]+27.7×[N] ・・・(1)
β(℃)=886+147.7×[O]+294.3×[N]+20.4×[Al]−19.8×[Fe]−13.1×[V]−10.3×[Mo] ・・・(2)
【請求項2】
上記成分組成に加えてさらに、N:0.02〜0.15mass%を含有することを特徴とする請求項1に記載のα−β型チタン合金。
【請求項3】
請求項2に記載のTi合金を溶製するに当たり、溶解原料にFe−V−N合金を使用してNを添加することを特徴とするα−β型チタン合金の溶製方法。

【図1】
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