説明

「エタノ−ル」と「水」を主成分とする混合溶剤に「2−クロロアセトフェノン」(CASNo532−24−4)を溶解させた、防犯用・有害鳥獣駆除用の「催涙性組成物」。

【発明の課題】 通称「CN」として防犯スプレ−等に使用されている、クロロアセトフェノンは、「塩基・アミン・アルコ−ルとの接触不可」と解釈されている為か、世界的にクロロアセトフェノンに対しての溶剤としては、非アルコ−ル系の、トルエン・キシレン等を主成分とする有機溶剤が利用されて今日に至っており、ドイツ・アメリカ等から輸入されている、当該防犯スプレ−の内容物も、ほとんどが有機溶剤を溶媒としている。
しかし上記、トルエン・キシレン等を主成分とする有機溶剤の毒性は強く、生体や環境へのダメ−ジの小さな物ではなかった為、クロロアセトフェノンの溶解パ−セントを諸外国からの輸入商品の内容濃度に準じ、1%前後の低濃度に限定してアルコ−ル系溶剤に溶解させた組成構造物を製造する。
【解決手段】 「エタノ−ル70%程度」を「水30%程度」と化合混合させ、乳化剤として「乳酸ナトリウム若干」を添加した溶液に、比較的安価な「2−クロロアセトフェノン重量パ−セント1%程度」を溶解させた組成構造溶液により、従来タブ−とされていた、溶質と触媒との嫌忌関係を180度転換させ、安価で生体並びに自然界へのダメ−ジの少ない、防犯用・有害鳥獣駆除用の「催涙性組成構造物」が本発明である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、「エタノ−ル」と「水」を主成分とする混合溶剤に「2−クロロアセトフェノン」(CAS No 532−24−4)を溶解させた、防犯用・有害鳥獣駆除用の「催涙性組成物」に関するものである。
【背景技術】
【0002】
厚生労働省が設立し、中央労働災害防止協会に運営を委託している安全衛生情報センタ−(JAISH)の、平成14年12月13日作成のクロロアセトフェノンに係るMSDS(化学物質等安全デ−タシ−ト)の中の、安全性及び反応性の項目中の、他物質等との危険混触等に関しては、「塩基・アミン・アルコ−ルとの接触不可」と記載されており、この解釈の為にか、世界的にクロロアセトフェノンに対しての溶剤としては、非アルコ−ル系の、トルエン・キシレン等を主成分とする有機溶剤が利用されて今日に至っており、ドイツ・アメリカ等から輸入されている、当該防犯スプレ−の内容物も、ほとんどが有機溶剤を溶媒としている。
【0003】
しかし国内におけるクロロアセトフェノンのMSDSの安全性及び反応性の項目中の危険混触等に関しては「混触等、危険性有り」(純正化学株式会社MSDS)/「酸化クロム(VI)で酸化され安息香酸になる。」「避けるべき条件:日光・熱」(和光純薬工業株式会社MSDS)/「避けるべき条件:日光・熱・酸化剤との接触」(関東化学株式会社MSDS)等、アルコ−ルとの具体的接触の可否に関しては、明記されていない。
【0004】
又、MSDS上の、危険有害な分解生成物に関しても「燃焼すると、一酸化炭素、二酸化炭素、塩化水素ガスが発生」(安全衛生情報センタ−)/「強酸化剤または還元剤と接触または混合する場合、反応が起こり、主として塩化水素からなる有毒で腐食性の蒸気が生じる」(純正化学株式会社)/「一酸化炭素、ハロゲン化物」(和光純薬工業株式会社)/「一酸化炭素、塩素、塩化水素」(関東化学株式会社)等、アルコ−ルとの結合による有害物質に関しては、具体的には記載されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
安全衛生情報センタ−に対し「アルコ−ルとの接触の不可」に対しての根拠を問い合わせたところ「ハ−バ−ド大学等の論文を引用。高濃度の接触条件下における見解の可能性が大。」との解答があり、低濃度の条件下においては、アルコ−ルに溶解させても、塩化水素の発生等の、具体的な問題は発生しない可能性が出てきた為、クロロアセトフェノンの溶解パ−セントを低濃度に限定して、アルコ−ルに溶解させた組成構造物を製造する。
【0006】
触媒として使用するアルコ−ル系溶剤も「分子構造が単純で、水での希釈も可能」で「有機溶剤に比べ、生体や自然界へのダメ−ジの少ない」エタノ−ルを利用する。
【0007】
又、溶剤としてのエタノ−ルも、96%の高濃度の物ではなく、水と化合させ、融解能力の許容範囲内で、なるべく濃度の低い物を使用する。
【発明を解決するための手段】
【0008】
1. 溶質であるクロロアセトフェノンは、安価の「2−クロロアセトフェノン」を使用し、溶剤に対しての重量パ−セントを1%程度とする。
2. 溶剤は、「エタノ−ル70%程度」を「水30%程度」と化合混合させ、乳化剤として「乳酸ナトリウム若干」を添加した溶液に、「2−クロロアセトフェノン重量パ−セント1%程度」を溶解させた、催涙性溶液の組成構造とする。
【0009】
上記の組成構造溶液により、従来タブ−とされていた、溶質と触媒との嫌忌関係を180度転換させ、安価で生体並びに自然界へのダメ−ジの少ない、防犯用・有害鳥獣駆除用の「催涙性組成構造物」が本発明である。
【発明の効果】
【0010】
本発明品をスプレ−缶等に封入し噴霧する事により、従来の有機溶剤を溶剤としていた催涙性スプレ−等の商品に比べ、金融機関等の防犯面並びに、有害鳥獣類の駆除面において、毒性の低い条件下で、相当な効果が期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0011】
コスト的にも比較的安く商品化でき、有機溶剤使用商品に比べ、生体や自然界へのダメ−ジの少ない条件下で、犯罪者に対しての防犯上の抑止効果と同時に、現在各自治体の抱えている、有害鳥獣類への対策面にも幅広い利用の可能性が期待できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
「エタノ−ル」と「水」を主成分とする混合溶剤に「2−クロロアセトフェノン」(CAS No 532−24−4)を溶解させた、防犯用・有害鳥獣駆除用の「催涙性組成物」。

【公開番号】特開2009−84260(P2009−84260A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−280954(P2007−280954)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(504438749)
【Fターム(参考)】