説明

あぶらとり紙及びあぶらとり紙の製造方法

【課題】両面にて皮脂が吸収できて他方の面には皮脂が滲み出さないようにするのはもちろん、両面が使用できるようにフィルム層を両面の原紙の間に介装させた場合でも柔らかいあぶらとり紙を提供すること。また、吸収した皮脂が分かり易いようにすること。
【解決手段】坪量が14g/m2 〜18g/m2 の範囲内の第1の原紙1を予め熱加圧による前処理を施す。坪量が14g/m2 〜18g/m2 の範囲内の第2の原紙2を予め熱加圧による前処理を施す。第1の原紙1の上面の全面にわたってポリエチレン樹脂3aを塗布して該第1の原紙1と第2の原紙2とを貼合する。該貼合による前記ポリエチレン樹脂3aが、厚みが10μm〜20μmの範囲内のポリエチレンフィルム層3となるように第1の原紙1と第2の原紙2との間に該ポリエチレンフィルム層3を介装させてあぶらとり紙5を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔のあぶら分(皮脂)を吸収するのに用いるあぶらとり紙及びあぶらとり紙の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、市場においては様々なあぶらとり紙が流通しており、あぶらとり紙は女性だけでなく、男性にも広く使用されてきている。一般的なあぶらとり紙は、1枚の紙の1層構造からなり、そのため、顔の皮脂を吸収した場合には、吸収した面から皮脂が裏面にまで浸透してくる。皮脂があぶらとり紙の裏面にまで染み込んでくると、あぶらとり紙を持っている手や指にまで吸収した皮脂が付着して、使用者は不快感を覚えることがある。
【0003】
そこで、本出願人は、下記の特許文献1に示すように、あぶらとり紙を2層構造として、皮脂の吸収面とは反対側の面(裏面)に樹脂を特殊コーティングして、裏面には皮脂が染み出さないようにしたあぶらとり紙を既に提供している。
【0004】
【特許文献1】特開平8−158293号公報(特許第2711997号)
【0005】
上記特許文献1によるあぶらとり紙により、多くの皮脂を吸収した場合でも、手や指には吸収した皮脂が付着せず、使用者には重宝がられてきた。
しかしながら、このあぶらとり紙は、その表面は皮脂を良く吸収するものの、裏面の樹脂面は皮脂を全く吸収しない(表面から皮脂が浸透しない)ため、使用者が樹脂面を顔の皮膚に当てて吸収しようとするという、誤って使用することがあり、一部の使用者から不評が出ていた。
【0006】
そこで、本出願人は上記の問題を解決すべく、あぶらとり紙の両面にも吸収機能を持たせたものを提供した(下記の特許文献2参照)。
【特許文献2】特開2000−287749号公報
【0007】
上記特許文献2に記載のあぶらとり紙は、合成樹脂製のフィルムと、このフィルムの上下面に設けた皮脂吸収用の原紙とをサンドイッチ構造とした3層のあぶらとり紙である。表裏の原紙の間に合成樹脂製のフィルムを介装することにより、一方の原紙で皮脂を吸収しても、吸収した皮脂がフィルムの存在により他方の原紙へ滲み出ることがない。そのため、両面の使用が可能となり、非常に経済的なあぶらとり紙を提供することができたものである。
【0008】
しかしながら、特許文献2のあぶらとり紙も以下に示すような問題があった。すなわち、特許文献2によるあぶらとり紙の製造方法において、上下の原紙と、この原紙の間のフィルムとを単に無地エンボス加工装置によりいきなり熱加圧することで、原紙とフィルムとを熱圧着していたため、出来上がったあぶらとり紙は、比較的硬く、手で触った場合でも少しごわごわ感があった。
【0009】
このように、特許文献2のあぶらとり紙は、あぶらとり紙の材料である原紙とフィルムとを直接熱加圧して熱圧着していたため、特にフィルムを熱加圧していたことで、あぶらとり紙自体が少し硬くなり、使用する際に若干難が生じていた。
また、特許文献2のあぶらとり紙では、色合いが薄い原紙を両面に用いていたため、実際には皮脂が良く吸収されているにも関わらず、見た目にはあまり皮脂が吸収されていないように感じられ、使用者は皮脂があまり吸収されないと錯覚する場合も多々あった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上述の問題点に鑑みて提供したものであって、少なくとも以下の目的を持ったあぶらとり紙及びあぶらとり紙の製造方法を提供するものである。
(1)両面にて皮脂が吸収できて他方の面には皮脂が滲み出さないようにするのはもちろん、両面が使用できるようにフィルム層を両面の原紙の間に介装させた場合でも柔らかいあぶらとり紙を提供すること。
(2)少なくとも一方の原紙には色合いの濃い材料を用いて吸収した皮脂が分かり易いようにすること。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明の請求項1に記載のあぶらとり紙では、坪量が14g/m2 〜18g/m2 の範囲内で皮脂の吸収力を備えていて、予め熱加圧による前処理を施した第1の原紙1と、
坪量が14g/m2 〜18g/m2 の範囲内で皮脂の吸収力を備えていて、予め熱加圧による前処理を施した第2の原紙2と、
前記第1の原紙1と前記第2の原紙2との間に介装され、厚みが10μm〜20μmの範囲内のポリエチレンフィルム層3とからなり、
前記第1の原紙1または第2の原紙2の上面の全面にわたって塗布されたポリエチレン樹脂3aにて前記第1の原紙1と第2の原紙2とを貼合させることで前記ポリエチレンフィルム層3が形成されていることを特徴としている。
【0012】
請求項2に記載のあぶらとり紙では、前記第1の原紙1、第2の原紙2の少なくとも一方は、黒、赤、濃茶、紺などの色合いの濃い材料を用いていることを特徴としている。
【0013】
請求項3に記載のあぶらとり紙の製造方法では、坪量が14g/m2 〜18g/m2 の範囲内で皮脂の吸収力を備えている第1の原紙1に熱加圧を施す第1の前処理工程と、
坪量が14g/m2 〜18g/m2 の範囲内で皮脂の吸収力を備えている第2の原紙2に熱加圧を施す第2の前処理工程と、
前記第1の原紙1または第2の原紙2の上面の全面にわたってポリエチレン樹脂3aを塗布して該第1の原紙1と前記第2の原紙2とを貼合して、該貼合による前記ポリエチレン樹脂3aが、厚みが10μm〜20μmの範囲内のポリエチレンフィルム層3となるように第1の原紙1と第2の原紙2との間に該ポリエチレンフィルム層3を介装させたあぶらとり紙5を製造する貼合工程とからなることを特徴としている。
【0014】
請求項4に記載のあぶらとり紙の製造方法では、前記第1の原紙1、第2の原紙2の少なくとも一方は、黒、赤、濃茶、紺などの色合いの濃い材料を用いていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1に記載のあぶらとり紙によれば、第1の原紙1と第2の原紙2をそれぞれ前処理として熱加圧しているので、原紙1、2は平滑性が付与されると共に、加圧により薄くなることと、原紙1、2の貼合後に厚みが10μm〜20μmの範囲内のポリエチレンフィルム層3となるようにポリエチレン樹脂3aを第1の原紙1に塗布していることで、あぶらとり紙5自体を柔らかくすることができる。
これにより、硬い従来のあぶらとり紙とは異なり、非常に柔らかくて使用感の良いあぶらとり紙5を製造することができるようになった。また、あぶらとり紙5を使用した際の皮脂の吸収力も従来より損なうこともない。
【0016】
さらには、ポリエチレンフィルム層3の両面の原紙1、2にてそれぞれ皮脂を吸収でき、しかも、一方の原紙1で皮脂を吸収してもポリエチレンフィルム層3が介在していることで、他方の原紙2側に滲み出ることもなく、使い勝手が非常に良いあぶらとり紙5を提供できるものである。また、それぞれの原紙1、2にて皮脂を吸収させることができるので、両面の使用が可能となり、実質2倍の増量に匹敵するあぶらとり紙5を提供することができるものである。
【0017】
請求項2に記載のあぶらとり紙によれば、第1の原紙1、第2の原紙2の少なくとも一方は、黒、赤、濃茶、紺などの色合いの濃い材料を用いているので、皮脂の吸収の視認性が向上し、皮脂が取れていることの認識が容易となる。
【0018】
請求項3に記載のあぶらとり紙の製造方法によれば、第1の原紙1と第2の原紙2をそれぞれ前処理として熱加圧しているので、原紙1、2は平滑性が付与されると共に、加圧により薄くなることと、原紙1、2の貼合後に厚みが10μm〜20μmの範囲内のポリエチレンフィルム層3となるようにポリエチレン樹脂3aを第1の原紙1に塗布していることで、あぶらとり紙5自体を柔らかくすることができる。
これにより、硬い従来のあぶらとり紙とは異なり、非常に柔らかくて使用感の良いあぶらとり紙5を製造することができるようになった。また、あぶらとり紙5を使用した際の皮脂の吸収力も従来より損なうこともない。
【0019】
さらには、ポリエチレンフィルム層3の両面の原紙1、2にてそれぞれ皮脂を吸収でき、しかも、一方の原紙1で皮脂を吸収してもポリエチレンフィルム層3が介在していることで、他方の原紙2側に滲み出ることもなく、使い勝手が非常に良いあぶらとり紙5を提供できるものである。また、それぞれの原紙1、2にて皮脂を吸収させることができるので、両面の使用が可能となり、実質2倍の増量に匹敵するあぶらとり紙5を提供することができるものである。
【0020】
請求項4に記載のあぶらとり紙の製造方法によれば、第1の原紙1、第2の原紙2の少なくとも一方は、黒、赤、濃茶、紺などの色合いの濃い材料を用いているので、皮脂の吸収の視認性が向上し、皮脂が取れていることの認識が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。先ず、本発明者達は前記特許文献2でのあぶらとり紙が何故硬くなって、柔らかいものが出来ないかを試行錯誤をして実験を行なってきた。無地エンボス加工装置における原紙、フィルム等に加える温度、圧力、速度等をいろいろと加減して実験を行なっても結果は同じで、皮脂の吸収力は良いものの柔らかくて使用感の良いあぶらとり紙はどうしても製造することが出来なかった。
【0022】
そこで、本発明者達は、視点を変えてみることにした。つまり、今まではフィルムとこのフィルムの両面に原紙を配して、直接原紙とフィルムとを無地エンボス加工装置にて熱加圧していたので、原紙を予め無地エンボス加工装置でそれぞれ加工(プレス加工)して、その加工後に、該プレス加工した上下の原紙の間にフィルム層を形成すべく樹脂を接着剤のようにして介在させて、樹脂を上下の原紙とを貼合装置にて貼合させることにしてみた。また、樹脂の種類も試行錯誤して多種類の材料の中から特定の材料、すなわち、ポリエチレン樹脂を用いることにした。
その結果、皮脂の吸収も損なわず、しかも所望の柔らかくて使用感の良いあぶらとり紙を製造することができることを知見したものである。
【0023】
以下、具体的に説明する。図1は、あぶらとり紙の表面側に用いられる第1の原紙1をプレス加工する工程図を示し、第1の原紙1は、回動自在に軸支されているローラ10に巻回されており、このローラ10から第1の原紙1が無地エンボス加工装置20側に送給される。無地エンボス加工装置20にてプレス加工された第1の原紙1は、回動自在に軸支されているローラ11に巻き取られるようになっている。
【0024】
この無地エンボス加工装置20の構成は、前記特許文献2の無地エンボス加工装置と同様な構成であり、この無地エンボス加工装置20は、加圧ローラ21と受けローラ22とで構成されている。受けローラ22は固定された軸により回動自在に軸支されており、また、加圧ローラ21は、軸により回動自在に軸支されていると共に、上下方向に移動自在となっている。
さらに、加圧ローラ21は、エアー等の加圧手段(図示せず)により白抜きの矢印の方向に付勢されて受けローラ22側を加圧するようになっている。また、加圧ローラ21には、該加圧ローラ21を加熱するための加熱手段(図示せず)が設けられており、無地エンボス加工装置20に送給されてくる原紙1を所定の速度、温度、圧力にて熱加圧するようになっている。なお、加圧ローラ21、受けローラ22を回転駆動するモータ等の駆動手段は周知な構成なので、説明は省略する。
【0025】
ローラ10から送られてきた第1の原紙1は、上記無地エンボス加工装置20にて所定の圧力にて熱加圧されて、該熱加圧された第1の原紙1はローラ11にて巻き取られる。ここで、無地エンボス加工装置20における第1の原紙1に加える温度、速度は以下のように設定している。
(1)温度 130℃〜150℃
(2)速度 毎分4メートル〜6メートル
【0026】
図2は第2の原紙2を熱加圧する工程図を示し、ローラ12に巻回されている第2の原紙2を図1に示す無地エンボス加工装置20と同一の無地エンボス加工装置20にて、熱加圧しているものである。第2の原紙2を熱加圧する条件は、第1の原紙1の場合と同様であり、以下のようにしている。
(1)温度 130℃〜150℃
(2)速度 毎分4メートル〜6メートル
そして、無地エンボス加工装置20にて熱加圧された第2の原紙2は、ローラ13にて巻き取られる。
【0027】
図3は、実際にあぶらとり紙5を製造する工程図を示している。熱加圧加工された第1の原紙1を巻回したローラ11が上段に配置され、熱加圧加工された第2の原紙2を巻回したローラ13が下段に配置されている。そして、両ローラ11、13の間にポリエチレン樹脂3aを入れた容器35が配置されている。
容器35の底面には第2の原紙2の横幅とほぼ同じ長さのスリット(図示せず)が開口されており、このスリットからポリエチレン樹脂3aが第2の原紙2の上面にカーテン状に落下して第2の原紙2の上面にポリエチレン樹脂3aを塗布するような形となっている。
【0028】
また、上面にポリエチレン樹脂3aが塗布された第2の原紙2と第1の原紙1とを貼合する貼合装置30は、上ローラ31と下ローラ32とで構成されている。なお、この種の貼合装置30は周知な構成なので、詳細な説明は省略する。
【0029】
第2の原紙2は貼合装置30に送給される前に上述したようにポリエチレン樹脂3aが全面にわたって塗布され、また、第1の原紙1はガイドローラ15にガイドされて貼合装置30に送給されるようになっている。
貼合装置30では、第1の原紙1と第2の原紙2とがポリエチレン樹脂3aを介して貼り合わされることで、つまり、第1の原紙1と第2の原紙2との間にポリエチレン樹脂3aを介在させて、所謂ポリエチレンラミネートすることで、あぶらとり紙5が製造されることになり、この製造されたあぶらとり紙5は、回動自在に軸支されているローラ17にて巻き取られていく。
【0030】
ここで、上記第1の原紙1と第2の原紙2は同じ材料を用いており、原紙1、2の坪量は、14g/m2 〜18g/m2 の範囲であり、柔らかくて比較的皮脂の吸収性のある紙を用いている。例えば、白川製紙株式会社製の物を用いており、また、所謂カラーペーパーを用いている。
また、第1の原紙1と第2の原紙2の間に介装させた透明なポリエチレン樹脂3aは、貼合装置30にて貼合させた後は、ポリエチレンフィルム層3となり(図5参照)、このポリエチレンフィルム層3の厚みが、10μm〜20μmとなるように、ポリエチレン樹脂3aの塗布量及び貼合装置30にて調整している。これにより、柔らかくて使用感の良いあぶらとり紙5を製造することができた。なお、樹脂の材料としてはポリエチレン樹脂3aであり、他のポリエステル樹脂やポリプロピレン樹脂を用いた場合では、柔らかくて使用感の良いあぶらとり紙5は製造することが出来ず、樹脂の材料としてはポリエチレン樹脂3aが好適例である。
【0031】
図4は、ローラ17で巻き取ったあぶらとり紙5を手のひらサイズに裁断したあぶらとり紙5の平面図を示し、図5は該あぶらとり紙5の拡大断面図を示している。原紙1、2の色彩としては、少なくともどちらか一方の原紙1または原紙2は、黒、赤、濃茶、紺などの色合いの濃いものを使用している。
一方の原紙1に色合いの濃いものを使用した場合には、他方の原紙2には白、薄い茶色などの色合いの薄いものを使用しても良い。また、両原紙1、2共に色合いの濃いものを使用しても良い。
【0032】
少なくとも一方の原紙1、2に色合いの濃いものを用いる理由を以下に説明する。図6に示すあぶらとり紙5は、原紙1、2を共に色合いの薄いものを使用した場合であり、顔の皮脂を吸収した状態を示し、図中の7が皮脂の吸収部分である。
図6に示すように、あぶらとり紙5にて皮脂を吸収した場合、皮脂自体は非常に良く吸収できるものである。しかし、吸収部分7はある程度認識することができるものの、あぶらとり紙5の色合いが薄いために、吸収部分7がはっきりと見えにくくなり、そのため、使用者は皮脂があまり取れていないと錯覚を起こしてしまう。
【0033】
しかしながら、本実施形態では、原紙1、2の少なくともいずれかを色合いの濃いものを用いていることで、図7に示すように、吸収部分7がはっきりと表面に見えることになる。そのため、皮脂の吸収量が同じであっても、吸収部分7がはっきり見えるために、使用者は皮脂が十分に取れていることに納得することになる。
【0034】
このように、本実施形態では、第1の原紙1と第2の原紙2をそれぞれ前処理として熱加圧しているので、原紙1、2は平滑性が付与されると共に、加圧により薄くなることと、原紙1、2の間にポリエチレン樹脂3aを塗布して原紙1、2を貼合する場合に、原紙1、2の貼合後に厚みが10μm〜20μmの範囲内のポリエチレンフィルム層3となるようにポリエチレン樹脂3aを第2の原紙2に塗布すると共に、貼合装置30にて調整していることで、あぶらとり紙5自体を柔らかくすることができた。
これにより、本実施形態では、硬い従来のあぶらとり紙とは異なり、非常に柔らかくて使用感の良いあぶらとり紙5を製造することができるようになった。また、あぶらとり紙5を使用した際の皮脂の吸収力も従来より損なうこともない。
【0035】
また、第1の原紙1、第2の原紙2の少なくとも一方は、黒、赤、濃茶、紺などの色合いの濃い材料を用いているので、皮脂の吸収の視認性が向上し、皮脂が取れていることの認識が容易となる。
【0036】
さらには、ポリエチレンフィルム層3の両面の原紙1、2にてそれぞれ皮脂を吸収でき、しかも、一方の原紙1で皮脂を吸収してもポリエチレンフィルム層3が介在していることで、他方の原紙2側に滲み出ることもなく、使い勝手が非常に良いあぶらとり紙5を提供できるものである。
また、それぞれの原紙1、2にて皮脂を吸収させることができるので、両面の使用が可能となり、実質2倍の増量に匹敵するあぶらとり紙5を提供することができるものである。
【0037】
なお、上記あぶらとり紙5は、本来の用途は顔の皮脂を吸収するものであるが、あぶらとり紙5を構成している原紙1、2は、共に材料を紙材としているので、原紙1、2は水分を吸収することが可能である。そのため、あぶらとり紙5の他の用途としては、ハンカチやティッシュ等として使用できる。
【0038】
なお、上記実施形態では、第2の原紙2の上面にポリエチレン樹脂3aを塗布するようにしていたが、図3において第1の原紙1と第2の原紙2との上下の位置を逆にして、下側に配置した第1の原紙1の上面にポリエチレン樹脂3aを塗布して、第1の原紙1と第2の原紙2とを貼合装置30にて貼合してあぶらとり紙5を製造するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態における第1の原紙を前処理を施している状態を示す工程図である。
【図2】本発明の実施の形態における第2の原紙を前処理を施している状態を示す工程図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるあぶらとり紙を製造する工程図を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるあぶらとり紙の平面図である。
【図5】本発明の実施の形態におけるあぶらとり紙の拡大断面図である。
【図6】本発明の実施の形態における皮脂を吸収した状態を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態における皮脂を吸収した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0040】
1 第1の原紙
2 第2の原紙
3 ポリエチレンフィルム層
3a ポリエチレン樹脂
5 あぶらとり紙
7 吸収部分
20 無地エンボス加工装置
21 加圧ローラ
22 受けローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
坪量が14g/m2 〜18g/m2 の範囲内で皮脂の吸収力を備えていて、予め熱加圧による前処理を施した第1の原紙(1)と、
坪量が14g/m2 〜18g/m2 の範囲内で皮脂の吸収力を備えていて、予め熱加圧による前処理を施した第2の原紙(2)と、
前記第1の原紙(1)と前記第2の原紙(2)との間に介装され、厚みが10μm〜20μmの範囲内のポリエチレンフィルム層(3)とからなり、
前記第1の原紙(1)または第2の原紙(2)の上面の全面にわたって塗布されたポリエチレン樹脂(3a)にて前記第1の原紙(1)と第2の原紙(2)とを貼合させることで前記ポリエチレンフィルム層(3)が形成されていることを特徴とするあぶらとり紙。
【請求項2】
前記第1の原紙(1)、第2の原紙(2)の少なくとも一方は、黒、赤、濃茶、紺などの色合いの濃い材料を用いていることを特徴とする請求項1に記載のあぶらとり紙。
【請求項3】
坪量が14g/m2 〜18g/m2 の範囲内で皮脂の吸収力を備えている第1の原紙(1)に熱加圧を施す第1の前処理工程と、
坪量が14g/m2 〜18g/m2 の範囲内で皮脂の吸収力を備えている第2の原紙(2)に熱加圧を施す第2の前処理工程と、
前記第1の原紙(1)または第2の原紙(2)の上面の全面にわたってポリエチレン樹脂(3a)を塗布して該第1の原紙(1)と前記第2の原紙(2)とを貼合して、該貼合による前記ポリエチレン樹脂(3a)が、厚みが10μm〜20μmの範囲内のポリエチレンフィルム層(3)となるように第1の原紙(1)と第2の原紙(2)との間に該ポリエチレンフィルム層(3)を介装させたあぶらとり紙(5)を製造する貼合工程と
からなることを特徴とするあぶらとり紙の製造方法。
【請求項4】
前記第1の原紙(1)、第2の原紙(2)の少なくとも一方は、黒、赤、濃茶、紺などの色合いの濃い材料を用いていることを特徴とする請求項3に記載のあぶらとり紙の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−61081(P2009−61081A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−231186(P2007−231186)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【出願人】(595004115)株式会社 彩響舎 (13)
【出願人】(398016980)株式会社いちはら (17)
【Fターム(参考)】