説明

おから溶解処理方法

【課題】豆腐製造業者は豆腐製造の際に生じる副産物のおからの処理に苦慮しており、温泉水を用いておからを溶解してこれらの問題を解決せんとするものである。
【解決手段】おからは、豆腐を製造するときの豆乳の絞り粕であり、前述のおからと島原温泉の温泉水(長崎県島原市)とを、重量比で、5〜1:100の割合で均一に混合し、前述のおからを圧力鍋で1kpa以上に保持して、30分〜120分間加圧加熱する。処理終了後のおからの溶解率は、全体の約70%が溶解せしめ、溶解した液状化処理した液体は液肥として活用可能にしたおから溶解処理方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豆腐の製造にて発生する副産物のおからを温泉水を利用して溶解処理する 方法である。
【背景技術】
【0002】
おから(別名、うの花、きらず)は、豆腐を製造するときの豆乳の絞り粕であり、原料大豆1kgから1.2kg〜1.5kg(水分80〜85%)のおからが産生し、年間75万トン(2006年の推定)もの大量のおからが副生している。従来、おからは、ごく一部が食品素材や肥料として利用されているが、大部分は家畜の飼料として用いられている。しかし、おからは水分が多く、飼料効率が低いので、畜産業者から敬遠される傾向にある。また、近年、公害などの面から畜産業者が遠隔地に移転し、運搬経費が増大し、加えて海外から安価な飼料が大量に輸入されており、コスト的に飼料としてのおからの利用には限界がある。更に、おからは、放置すると微生物が繁殖して短時間に腐敗が起こり、強い悪臭を発する欠点があり、直ちに処理しなければならないという問題がある。このように、豆腐製造業者にとって、おからの処理は大きな問題であり、処理業者にお金を払って処理(飼料としての利用、焼却など)を依頼しているのが現状である。
【0003】
【特許文献1】特開2007−135419号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、豆腐製造業者はおからの処理に苦慮しているが、食品素材としてみると、おからには、乾物換算で、蛋白質:24.5%、脂肪:13.0%、粗繊維:18.4%、無機栄養素(カルシウム、りんなど):3.5%が含まれており、良質な食品素材である。特に、植物繊維を含有することから、食物繊維源としても注目されている。しかしながら、おからを食品素材として利用する場合、おからには多くの欠点があり、例えば、食感が悪い、調理法が限定される(例えば、吸油性が大きいので、油料理に用いると油を吸収してしまう;調理中にばらけてしまい、まとまりが悪いなど)、粘着性・結着性に欠けるので、他の食品素材と混合して加工食品を製造するときに混和性が悪く、まとまりに欠けるなどの問題がある。このような問題から、従来は、極めて少量のおからが食品素材として利用されたにすぎない。本発明は上記の問題を解決するためになされたもので、温泉水を用いておからを溶解してこれらの問題を解決せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、上記の課題を解決するために、おからの処理法を検討した結果、おからを、温泉水で処理することにより、おからを約70%溶解させることに注目し、試行錯誤の結果、本発明は完成したものである。
【0006】
本発明は、おからと温泉水とを、重量比で、1:5〜1:100の範囲で均一に混合後、加圧・加熱処理することによりおからを溶解処理する方法で、おからと温泉水との混合割合は、好ましくは、重量比で、1:20〜1:50の割合で、最も好ましくは、重量比で、1:35〜1:45の割合で均一に混合後、加圧・加熱処理することにより、全体の約70%が溶解して液状化処理することが可能となった。さらに、加熱時間は30分〜120分で効果的に溶解できた。また、加圧圧力を1kpa以上に保持することにより液状化処理できた。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、おからを約70%溶解処理できれば、豆腐の絞り粕であるおからが年間75万トン副生するので、22万トンまで減少するため、処理業者に支払う処理費を大幅に削減できるうえに、溶解して液状化処理した液体は液肥として活用でき、省エネ・省資源にも有効かつ地球環境に大変優しいおから溶解処理方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
温泉水との割合
本発明において、「おから」は、大豆を粉砕し、絞って豆乳を分離した後の不溶性成分と絞りきれなかった豆乳成分とからなる。「おから処理」のためのおからと、島原温泉の温泉水との割合は、1:100までの範囲である。
均一混合割合の限定理由
1:5以下での不具合の理由は、おからを浸せきした場合、おからが全て浸らないので、上手く処理ができなかった。
1:100以上の不具合の理由は、温泉水による効果が認められなかった。
【実施例】
【0009】
次に実施例により本発明を更に具体的に説明する。表中の×、△、○印は、溶解度合を示している。 以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0010】
表1は、おからを温泉水に対し、重量比で、1:5〜1:100を入れ、30分〜120分間、圧力鍋(1kpa〜100kpaの範囲)にて加熱した処理後のおからは、約70%溶解したが、10分にて加熱処理したおからは、十分な溶解処理に至らなかった様子を示している。 表2は、温泉水に対して、重量比で、1:5以下では、おからを浸せきした場合、おからが全て浸らないので、上手く処理ができない。また、重量比で、1:100以上に関しては、温泉水の効果が認められなかった様子を示している。
【表1】

【表2】

【0011】
従来、豆腐の製造により生ずる「おから」は、全体の約5%が食用に供されているが、残りの95%の大部分が動物飼料や堆肥として、あるいは廃棄物として廃棄・焼却されているが、本願発明によれば、天然に湧き出ている温泉水により廃棄物として処理されているおからを約70%も削減でき、経済的にも環境的にも非常に有効な処理法である。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明は、豆腐製造の際に生じる副産物のおからの溶解処理方法に関し、溶解して液状化処理した液体は液肥として活用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
おからと温泉水とを、重量比で、1:5〜1:100の割合で均一に混合後、加圧・加熱することを特徴とするおから溶解処理方法。
【請求項2】
おからと温泉水とを好ましくは、重量比で、1:20〜1:50の割合で均一に混合後、加圧・加熱することを特徴とする請求項1に掲載のおから溶解処理方法。
【請求項3】
おからと温泉水とを最も好ましくは、重量比で、1:35〜1:45の割合で均一に混合後、加圧・加熱することを特徴とする請求項1に掲載のおから溶解処理方法。
【請求項4】
加圧にて30分〜120分加熱することを特徴とする請求項1〜3に記載のおから溶解処理方法。
【請求項5】
加圧圧力1kpa以上に保持したことを特徴とする請求項1〜4に記載のおから溶解処理方法。

【公開番号】特開2008−264759(P2008−264759A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2007−205264(P2007−205264)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(307027979)
【出願人】(307029504)
【Fターム(参考)】