おもり付き立ち上がり補助具
【課題】立ち上がり補助具を安定させるために取り付けるおもりが、立ち上がり動作や、立ち上がり補助具の組立・分解作業の邪魔にならない立ち上がり動作補助具を提供する。
【解決手段】床面と接するベース部2と、手摺部4を備えベース部2に立設された支柱部3と、を備える立ち上がり補助具1において、ベース部2の裏面におもり5を備えたものとした。
【解決手段】床面と接するベース部2と、手摺部4を備えベース部2に立設された支柱部3と、を備える立ち上がり補助具1において、ベース部2の裏面におもり5を備えたものとした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主に介護・福祉の分野で使用される高齢者や要介護支援者らの立ち上がり補助具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高齢者や要介護支援者らが、日常生活において自力で立ち上がる際の補助具として、またリハビリテーションの道具として、立ち上がる際のバランスを補助しあるいは足腰の負担を軽減する立ち上がり補助具が広く用いられている。
【0003】
従来の立ち上がり補助具としては、図18に示すように、中空のホルダ部210が立設されたベース部200と、手摺部400を備えベース部200のホルダ部210に挿着された支柱部300と、を備えた立ち上がり補助具100がある(特許文献1参照)。この立ち上がり補助具100が使用時に倒れないよう安定させる方法として、従来は、ベース部200のホルダ部210に、図19に示すような円柱状のおもり500を外嵌する方法が採られていた。(非特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3034536号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】矢崎化工株式会社、“おもしくん CKA-J”、[online]、2001年、矢崎化工株式会社、[平成23年5月24日検索]、インターネット<URL:http://www.kaigo-web.info/kensaku/rental/cka-j.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の技術では、おもり500がベース部200の上に位置することになるため、使用者が誤って足先をおもり500に引っ掛けてしまうことがあり、おもり500が使用者の立ち上がり動作の邪魔になる場合があった。
【0007】
また、ホルダ部210に支柱部300の下端部を固定しているネジ310がおもり500によって覆われてしまうことから、ネジ310を脱着する度に重たいおもり500を上方に持ち上げる必要があるため、組立・分解時の作業性が悪かった。
【0008】
上記問題点に鑑み、本発明の解決しようとする課題は、立ち上がり動作の邪魔にならず、また組立・分解時の作業性に優れた、おもりを備えた立ち上がり補助具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る立ち上がり補助具は、床面と接するベース部と、手摺部を備え前記ベース部に立設された支柱部と、を備える立ち上がり補助具において、前記ベース部の裏面におもりを備えたことを特徴とする。
【0010】
この特定事項により、おもりがベース部の上にないため、使用者が誤って足先をおもりに引っ掛けてしまう虞がない。したがって、おもりが立ち上がり動作の邪魔になることはない。また、ベース部に対する支柱部の脱着作業時におもりが邪魔になることもない。
ベース部の裏面に掛止部が設けられ、この掛止部におもりが着脱自在に掛止されてもよい。この場合、ベース部に対するおもりの脱着作業が容易となる。
【0011】
前記立ち上がり補助具は、前記支柱部が、前記ベース部に立設されたホルダ部に立設され、前記ベース部は、前記ホルダ部の立設位置に連結孔を備え、前記おもりは、前記連結孔に対応する位置に連結孔を備え、前記ホルダ部は、下端内周面に雌ネジ溝を備え、前記ベース部及び前記おもり双方の前記連結孔に挿通され前記雌ネジ溝に螺合される雄ネジ部と、前記雌ネジ溝と前記雄ネジ部とが螺合されたとき前記ベース部及び前記おもりを前記ホルダ部の下端面とで挟持する突出部と、を有する固定金具と、を備えたものであってもよい。この場合、ホルダ部のベース部への組み付け作業と、おもりのベース部への組み付け作業とを同時に行うことができるため、組立作業性に優れるとともに、立ち上がり補助具におもりを掛止めするための追加部品を必要とせず、立ち上がり補助具を安価に製造できる。さらに、ベース部裏面におもりが確実に固定される。
【0012】
前記おもりは、板状であってもよい。この場合、おもりを含めたベース部全体の厚みが厚くなってしまうことを回避することができるとともに、おもりが持ち易くなるためおもりの脱着作業が簡単になるのに加えて、おもりを安価に製作することができる。さらに、おもりの重量をベース部全体に均一に作用させることができ、その結果、立ち上がり補助具が倒れにくくなり使用時の事故を防止できる。
【0013】
さらに、上記の立ち上がり補助具において、前記ベース部には、その周縁部に床面の方向に向かう傾斜面が設けられ、これによって前記ベース部の裏面と前記床面との間に形成されたスペース内に、前記おもりが収容されたものであってもよい。
【0014】
この場合、立ち上がり補助具を床面に設置した状態でおもりはベース部に覆い隠されるため、おもりによって立ち上がり補助具全体の意匠が損なわれる虞がない。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る立ち上がり補助具は、立ち上がり補助具を安定させるために取り付けるおもりが、立ち上がり動作や、立ち上がり補助具の組立・分解作業の邪魔にならない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る立ち上がり補助具の実施形態1を示す斜視図である。
【図2】図1に示す立ち上がり補助具のおもりを示す底面図及び側面図である。
【図3】図1に示す立ち上がり補助具における掛止部の配設形態の一例を示す要部底面図及び側面図である。
【図4】図2に示すおもりの装着手順を示すベース部の要部底面図である。
【図5】図2に示すおもりの装着完了状態を示すベース部の要部底面図である。
【図6】図1におけるA−A線に沿う断面図である。但し、断面を示すハッチングは省略している。
【図7】図6におけるB部分の拡大図である。
【図8】図1に示す立ち上がり補助具のベース部の平面図である。
【図9】実施形態1についてのおもりの変形例を示す底面図及び側面図である。
【図10】本発明に係る立ち上がり補助具の実施形態1についての変形例を示す斜視図である。
【図11】本発明に係る立ち上がり補助具の実施形態2に係るおもりの裏面を示す斜視図である。
【図12】本発明に係る立ち上がり補助具の実施形態2におけるベース部の平面図である。
【図13】図11に示すおもりを装着した立ち上がり補助具の図12におけるD−D線に沿う断面図である。但し、断面を示すハッチングは省略している。
【図14】図13におけるC部分の拡大図である。
【図15】図11に示すおもりを装着した本発明に係る立ち上がり補助具で使用される化粧蓋の一例を示す断面図である。
【図16】図11に示すおもりを連結孔に座ぐり穴を設けないおもりに変更した場合の、当該おもりを装着した本発明に係る立ち上がり補助具で使用される化粧蓋の一例を示す(a)は平面図、(b)は断面図、(c)は底面図である。
【図17】本発明に係る立ち上がり補助具の実施形態3を示す正面図である。
【図18】従来の立ち上がり補助具の斜視図である。
【図19】従来の立ち上がり補助具に使用されるおもりの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1について、図1乃至図10を参照して説明する。
【0018】
本発明に係る立ち上がり補助具1は、図1に示すように、床面と接するベース部2と、手摺部4を備えベース部2に立設された支柱部3とを備えたものであって、ベース部2の裏面におもり5を備えたことを特徴とするものである。
【0019】
ベース部2は、立ち上がり補助具1を床面に定着させる機能を有する。本実施形態のベース部2の周端部には床面の方向に向かう傾斜面24が設けられており、これによってベース部2の中央部を床面から浮かせることで、おもり5、後述する掛止部6及び固定金具12をベース部2の裏面に取り付けるスペースが確保されている。このようになるベース部2は、立ち上がり補助具1の転倒による事故を回避するために、重心が低く床面との接触面積が大きくされている。このベース部2を構成するベース板21としては、金属製の板や強度の高い合成樹脂製の板を用いることが考えられる。上記した傾斜面24の周端縁部には、例えばゴム製や合成樹脂製の緩衝材22が装着されており、これによって、床面の傷の発生防止と使用者の安全確保とが図られている。
【0020】
支柱部3は、手摺部4を支持するものである。支柱部3は、図1に示すように、一本のパイプを中央で湾曲させたものでもよいし、湾曲させたパイプを複数本立設し、それらを横桟で連結したものでもよい。手摺部4の本数は1本でも、図示例のように複数本でもよい。
【0021】
ベース部2に対する支柱部3の立設構造としては、図6及び図7に示すように、例えば金属製パイプからなるホルダ部11と固定金具12とを用いたものが考えられる。ベース部2のベース板21には、図8に示すように、複数の連結孔23が形成されており、これら連結孔23に、それぞれベース板21の下方から雄ネジ部31を有する固定金具12が挿通される一方、ベース板21の上方から上記雄ネジ部31と螺合する雌ネジ溝32を下端部内周面に有するホルダ部11の下端部開口部が、ベース板21の上面から突出している固定金具12に被せられるとともに、ホルダ部11の雌ネジ溝21と固定金具12の雄ネジ部31とが螺合される。これによって、ベース板21がホルダ部11と固定金具12の突出部12aとで挟持された状態になる。こうして支柱部3を支持するホルダ部11がベース板21に固定される。なお、固定金具12の下面中心には六角レンチが挿入される六角孔33が形成されており、ホルダ部11との螺合作業がし易いように図られている。以上のようにしてベース板21に固定されたホルダ部11内に支柱部3の下端部を上方から挿入するとともに固定ビス11aをホルダ部11の外側から支柱部3の下端部に向けて螺入し該下端部をホルダ部11に固定することで、支柱部3がベース部2に立設される。なお、ホルダ部11の固定手段は上記のようなものに限らず、ベース板21にホルダ部11の下端部を溶接により取り付けてもよく、また、ホルダ部11を排して支柱部3の下端部をベース部2のベース板21に直接溶接してもよい。
【0022】
ここで、上記の例のように、固定金具12を用いた場合は、固定金具12の上面に、例えばゴム板34などの弾性材を接着し、ホルダ部11内に支柱部3が挿入される際、固定金具12と支柱部3との間に生じる衝撃を和らげるようにするとよい。
【0023】
手摺部4は、使用者が立ち上がる際につかむ手摺としての機能を有する。手摺部4は、つかみ易い形状のものであればよく、横桟に限らず縦梁でもよい。さらに、手摺部4は、人が握り易い太さのものとされる。手摺部4に適当な部材の例として、直径3cm程の円筒金属製パイプが挙げられる。手摺部4を支柱部3に連結支持させるには、溶接や樹脂性ジョイント41を用いるとよい。
【0024】
おもり5は、立ち上がり補助具1のベース部2におもりとして作用し、立ち上がり補助具1を倒れにくくする機能を有する。本実施形態におけるおもり5は、図2に示すように、板金から切り出された上板51と下板52とから構成されている。上板51はベース部2のベース板21とほぼ相似形状の長方形を呈しており、下板52は上板51よりも短辺が短い長方形を呈している。下板52は上板51と相互の短辺中央同士が重なった状態で溶接され一体化されている。上板51の各長辺にはそれぞれ矩形の切欠53が2つずつ所定間隔を隔てて形成されている。これら切欠53は、いずれも下板52と重ならない領域に設けられている。また、各切欠53の近傍には、それぞれ上板51の長辺に沿う方向に隣接してネジ孔56が設けられている。
【0025】
ベース部2のベース板21の裏面には、上記したおもり5を掛止する掛止部6が設けられている。掛止部6は、図3に示すように、ベース板21の裏面に取り付けられる取着部61と、おもり5と掛止される掛止爪部62とから構成されており、掛止爪部62には、おもり5装着時におもり5のネジ孔56と重合するネジ孔63が設けられている。掛止部6は、おもり5の上記した切欠53と対応するよう、且つ、各掛止爪部62の先端がベース板21の内方を向くようにしてベース板21の裏面に配設されている。各掛止爪部62とベース板21との間隙寸法は、おもり5の上板51の厚みと略等しく設定されており、これによっておもり5がその上板51の縁部において掛止爪部62とベース板21の裏面とでしっかりと挟持される。このようになる掛止部6としては、例えば、板金から切り出した金属片をクランク状に屈曲することにより形成されたものが用いられ、ベース板21には例えばスポット溶接により溶着される。なお、掛止部6の形状や材質等は上記したものに限定されない。例えば、掛止部6を、弾性を有するバネ板材で形成すれば、おもり5を掛止部6の弾性復元力でベース板21の裏面に圧着状態で固定することができる。
【0026】
次に、おもり5を掛止部6によりベース部2の裏面に掛止する手順について説明する。
【0027】
まず、ベース部2をその裏面が上方を向くようにして床面上にベース部2を置き、図4に示すように、おもり5をその上板51の方がベース部2側に位置するようにして切欠53と掛止部6の掛止爪部62とを一致させ、おもり5の切欠53内に掛止爪部62を通過させ、おもり5の上板51の上面をベース部2の裏面に密着させる。
次に、その状態を保ったまま、図5に示すように、おもり5を、そのネジ孔56が掛止爪部62のネジ孔63と重合する方向にスライドさせる。そして、両ネジ孔56,63同士が重合したら、掛止爪部62のネジ孔63からおもり5のネジ孔56に向けて止めネジ55を螺入し、これによっておもり5のベース部2への掛止が完了する。図6は、その状態を示す部分断面図である。
【0028】
上記した実施形態では、おもり5は2枚の板材(上板51及び下板52)から構成されたものであったが、おもり5は、そのようなものに限られず、例えば、図9に示すような一枚の板から構成されたものであってもよい。すなわち、これらの図に示されたおもり5aは、ベース部2のベース板21と略相似形状の長方形を呈する厚めの金属板の各長辺にそれぞれ2箇所に亘って、掛止部6と掛合する段差部57が形成されるとともに、これら段差部57にそれぞれ矩形の切欠58とネジ孔59とが形成されたものである。なお、切欠58とネジ孔59の配設要領は上記の実施形態におけるおもり5のものと同様である。
【0029】
上記した実施形態では、おもり5をベース部2の裏面に備える手段として、掛止部6による掛止手段を用いたが、このような手段に限られず、例えば、おもり5をベース部2に溶接するものでもよい。
【0030】
上記した実施形態では、ベース板21に設けられた連結孔の個数は2個であったが、例えば、図10に示すように、4個であってもよい。図10に示す立ち上がり補助具は、図12に示すベース部2に設けられた4個の連結孔23に裏面から固定金具12を挿通し、固定金具12の雄ネジ部31とホルダ部11の雌ネジ溝32とを螺合させることで、ベース部2に4個のホルダ部11を立設させた例である。この例では、各ホルダ部11に、主支柱部3aと副支柱部3bとからなる支柱部3の脚が挿入されている。ベース部2の中央部に位置する2個のホルダ部11には、一本のパイプを中央で湾曲させた主支柱部3aが立設されるとともに、この主支柱部3aのパイプ間には横桟である手摺部4が、例えば、樹脂性ジョイント41を用いて連結されている。ベース部2の端部に位置する2個のホルダ部11には、主支柱部3aの直線部の高さより低く、相互に同じ長さの2本のパイプ35からなる副支柱部3bがそれぞれ立設されている。この副支柱部3bの各上端と、主支柱部3aとは横桟36で連結されている。横桟36は、支柱部3全体の強度を確保する機能だけでなく、手摺としての機能も有する。該連結には、例えば、樹脂性ジョイント42を用いるとよい。
【0031】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2について、図11乃至図15を参照して説明する。本実施形態に係る立ち上がり補助具は、床面と接するベース部2と、手摺部4を備えるベース部2に立設された支柱部3と、を備え、ベース部2の裏面におもり5を備えた立ち上がり補助具1において、支柱部3は、ベース部2に立設されたホルダ部11に立設され、ベース部2は、ホルダ部11の立設位置に連結孔23を備え、おもり5は、連結孔23に対応する位置に連結孔54を備え、ホルダ部11は下端内周面に雌ネジ溝32を備え、ベース部2及びおもり5双方の連結孔23、54に挿通され雌ネジ溝32に螺合される雄ネジ部71と、雌ネジ溝32と雄ネジ部71とが螺合されたときベース部2及びおもり5をホルダ部11の下端面とで挟持する突出部72と、を有する固定金具70と、を備えたことを特徴としている。
【0032】
ベース部2、支柱部3及び手摺部4については、実施形態1と同一である。ただし、ベース部2に設けられる連結孔23は、後述するおもり5bの少なくとも4つの隅を固定するため、図12に示すように、4つ以上設けられることが望ましい。
【0033】
本実施形態のおもり5としては、例えば、図11に示すように、金属製の矩形板の角を落とし該矩形板の4隅近くに連結孔54として座ぐり穴54aを設けたおもり5bが用いられる。座ぐり穴54aのピッチは、ベース部2においてホルダ部11の立設位置に設けた連結孔23のピッチと同一にされる。さらに、座ぐり孔54aの直径(貫通部の内径)は、連結孔23の直径と同一とされる。
【0034】
ホルダ部11としては、例えば、図13に示すように、円筒状の金属パイプが用いられる。ホルダ部11の下端内周面には、雌ネジ溝32が設けられる。該雌ネジ溝32は、後述する固定金具70の備える雄ネジ部71と螺合するものとされる。ホルダ部11がベース部2に立設されたときホルダ部11の下端面がベース部2の表面に当接するよう、ホルダ部11の外径は、ベース部2に設けられる連結孔23の直径より大きくされる。
【0035】
固定金具70は、上部に雄ネジ溝が設けられた円柱部である雄ネジ部71を、下部に円柱部から張り出した鍔である突出部72を備える。図14に示すように、雄ネジ部71を雌ネジ溝32と螺合させ、突出部72とホルダ部11の下端面とでベース板21及びおもり5bを挟持させることで、ベース部2にホルダ部11及びおもり5bを固定させる。なお、立ち上がり補助具を使用した際ベース板21が撓み、取り付けた固定金具70が床面と接触し床面を傷付けてしまうのを防止するため、固定金具70の底面には緩衝材74が接着される。固定金具70の上面には、例えばゴム板34などの弾性材を接着し、ホルダ部11内に支柱部3が挿入される際、固定金具70と支柱部3との間に生じる衝撃を和らげるようにするとよい。なお、固定金具70の下面中心には六角レンチが挿入される六角孔73が形成されており、ホルダ部11との螺合作業がし易いように図られている。
【0036】
ホルダ部11の立設に使用しない連結孔23には、図15に示すように、化粧蓋80が被せられる。化粧蓋80は、全体が中実のものであって、ベース部2及びおもり5bの各連結孔23,54内に挿入される円柱部81と、この円柱部81の上部に位置する突出部82とからなる。円柱部81の直径は、連結孔23及び連結孔54の直径より僅かに小さい直径とされ、円柱部81の高さは、ベース板21の板厚とおもり5bの板厚との和から座ぐり穴54aの座ぐりの深さ寸法を引いた長さとされる。突出部82は、円柱部81の上端から円盤状に張り出した鍔である。突出部82の上面は平滑面とされるとともに、その外周縁部はテーパ面とされている。さらに、化粧蓋80の底面中央には、後述する固定板90と連結させるためにネジ孔83が設けられている。
【0037】
化粧蓋80を装着するには、固定板90及び皿ネジ700が使用される。固定板90は、厚さがおもり5bの座ぐり穴54aの座ぐりの深さ程度とされ、直径は、座ぐり穴54aの座ぐり部分の直径より僅かに小さくされている。固定板90の中央には、例えば、皿ネジ700の頭部の円錐台側面が密着するよう、上に向かうにしたがって縮径された孔91が形成されている。さらに、立ち上がり補助具を使用した際ベース板21が撓み、取り付けた固定板90が床面と接触し床面を傷付けてしまうのを防止するため、固定板90の下面には、孔91を設けた部分を除き、緩衝材92が貼着されている。このようになる固定板90の孔91に皿ネジ700を挿通し、化粧蓋80に設けられたネジ孔83に該皿ネジ700を螺合させることで、ベース板21とおもり5bとを化粧蓋80と固定板90とで挟持させ、おもり5bをベース部2に固定させる。
【0038】
上の例では、おもり5bに連結孔54として座ぐり穴54aを設けたが、連結孔54は必ずしも座ぐり穴である必要はなく、例えば、図16(b)に示すように、おもり5bの連結孔54を座ぐり部分の無い孔に変更したおもり5cであってもよい。この例では、化粧蓋80に替えて、図16(b)に示すような、化粧蓋80aが用いられる。化粧蓋80aは、全体が中実のものであって、ベース部2及びおもり5cの各連結孔23,54内に挿入される円柱部81aと、この円柱部81aの上部に位置する突出部82aとからなる。円柱部81aの直径は、連結孔23及び連結孔54の直径より僅かに小さい直径とされ、円柱部81aの高さは、ベース板21の板厚とほぼ同じ長さとされる。突出部82aは、円柱部81aの上端から円盤状に張り出した鍔である。突出部82aの上面は平滑面とされるとともに、その外周縁部は曲面とされている。さらに、化粧蓋80aの上面中央には、後述する固定板90aと連結させるために、例えば、皿ネジ700aの頭部の円錐台側面が密着するよう、下に向かうにしたがって縮径された孔84が設けられている。
【0039】
化粧蓋80aを装着するには、固定板90a及び皿ネジ700aが使用される。固定板90aは、上板である円板94と下板である円板95とからなる。円板94は、その厚さがおもり5cの板厚よりわずかに小さく、その直径が連結孔54の直径よりわずかに小さくされている。円板95は、その直径が連結孔54の直径より大きくされる。固定板90aの中央には、例えば、皿ネジ700aに螺合するネジ孔96が形成されている。さらに、立ち上がり補助具を使用した際ベース板21が撓み、取り付けた固定板90aが床面と接触し床面を傷付けてしまうのを防止するため、固定板90aの下面には、ネジ孔96を設けた部分を除き、緩衝材92aが貼着されている。化粧蓋80aに設けられた孔84に皿ネジ700aを挿通し、このようになる固定板90aのネジ孔96に該皿ネジ700aを螺合させることで、ベース板21とおもり5cとを化粧蓋80aと固定板90aとで挟持させ、おもり5cをベース部2に固定させる。
【0040】
なお、おもり5は、上記した実施形態1,2のように単品のものに限られず、複数の部品から構成されたものであってもよい。
【0041】
また、上記した実施形態1,2では、ベース部2は、周端部に床面の方向に向かう傾斜面24が設けられることで、その裏面側におもり5等を取り付ける空間が形成されたものであったが、これに限らない。例えば、図17に示すように、ベース部2は、上記したような傾斜面24を有しない、全体が平板であるベース板21からなるものであってもよい。その場合、平板であるベース板21の裏面に平板からなるおもり5が接着又は溶着され、おもり5の下面に突起物が現れないようにするとよい。
【符号の説明】
【0042】
1 立ち上がり補助具
2 ベース部
3 支柱部
4 手摺部
5、5a、5b、5c おもり
6 掛止部
11 ホルダ部
23 連結孔
32 雌ネジ溝
54 連結孔
70 固定金具
71 雄ネジ部
72 突出部
【技術分野】
【0001】
この発明は、主に介護・福祉の分野で使用される高齢者や要介護支援者らの立ち上がり補助具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高齢者や要介護支援者らが、日常生活において自力で立ち上がる際の補助具として、またリハビリテーションの道具として、立ち上がる際のバランスを補助しあるいは足腰の負担を軽減する立ち上がり補助具が広く用いられている。
【0003】
従来の立ち上がり補助具としては、図18に示すように、中空のホルダ部210が立設されたベース部200と、手摺部400を備えベース部200のホルダ部210に挿着された支柱部300と、を備えた立ち上がり補助具100がある(特許文献1参照)。この立ち上がり補助具100が使用時に倒れないよう安定させる方法として、従来は、ベース部200のホルダ部210に、図19に示すような円柱状のおもり500を外嵌する方法が採られていた。(非特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3034536号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】矢崎化工株式会社、“おもしくん CKA-J”、[online]、2001年、矢崎化工株式会社、[平成23年5月24日検索]、インターネット<URL:http://www.kaigo-web.info/kensaku/rental/cka-j.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の技術では、おもり500がベース部200の上に位置することになるため、使用者が誤って足先をおもり500に引っ掛けてしまうことがあり、おもり500が使用者の立ち上がり動作の邪魔になる場合があった。
【0007】
また、ホルダ部210に支柱部300の下端部を固定しているネジ310がおもり500によって覆われてしまうことから、ネジ310を脱着する度に重たいおもり500を上方に持ち上げる必要があるため、組立・分解時の作業性が悪かった。
【0008】
上記問題点に鑑み、本発明の解決しようとする課題は、立ち上がり動作の邪魔にならず、また組立・分解時の作業性に優れた、おもりを備えた立ち上がり補助具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る立ち上がり補助具は、床面と接するベース部と、手摺部を備え前記ベース部に立設された支柱部と、を備える立ち上がり補助具において、前記ベース部の裏面におもりを備えたことを特徴とする。
【0010】
この特定事項により、おもりがベース部の上にないため、使用者が誤って足先をおもりに引っ掛けてしまう虞がない。したがって、おもりが立ち上がり動作の邪魔になることはない。また、ベース部に対する支柱部の脱着作業時におもりが邪魔になることもない。
ベース部の裏面に掛止部が設けられ、この掛止部におもりが着脱自在に掛止されてもよい。この場合、ベース部に対するおもりの脱着作業が容易となる。
【0011】
前記立ち上がり補助具は、前記支柱部が、前記ベース部に立設されたホルダ部に立設され、前記ベース部は、前記ホルダ部の立設位置に連結孔を備え、前記おもりは、前記連結孔に対応する位置に連結孔を備え、前記ホルダ部は、下端内周面に雌ネジ溝を備え、前記ベース部及び前記おもり双方の前記連結孔に挿通され前記雌ネジ溝に螺合される雄ネジ部と、前記雌ネジ溝と前記雄ネジ部とが螺合されたとき前記ベース部及び前記おもりを前記ホルダ部の下端面とで挟持する突出部と、を有する固定金具と、を備えたものであってもよい。この場合、ホルダ部のベース部への組み付け作業と、おもりのベース部への組み付け作業とを同時に行うことができるため、組立作業性に優れるとともに、立ち上がり補助具におもりを掛止めするための追加部品を必要とせず、立ち上がり補助具を安価に製造できる。さらに、ベース部裏面におもりが確実に固定される。
【0012】
前記おもりは、板状であってもよい。この場合、おもりを含めたベース部全体の厚みが厚くなってしまうことを回避することができるとともに、おもりが持ち易くなるためおもりの脱着作業が簡単になるのに加えて、おもりを安価に製作することができる。さらに、おもりの重量をベース部全体に均一に作用させることができ、その結果、立ち上がり補助具が倒れにくくなり使用時の事故を防止できる。
【0013】
さらに、上記の立ち上がり補助具において、前記ベース部には、その周縁部に床面の方向に向かう傾斜面が設けられ、これによって前記ベース部の裏面と前記床面との間に形成されたスペース内に、前記おもりが収容されたものであってもよい。
【0014】
この場合、立ち上がり補助具を床面に設置した状態でおもりはベース部に覆い隠されるため、おもりによって立ち上がり補助具全体の意匠が損なわれる虞がない。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る立ち上がり補助具は、立ち上がり補助具を安定させるために取り付けるおもりが、立ち上がり動作や、立ち上がり補助具の組立・分解作業の邪魔にならない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る立ち上がり補助具の実施形態1を示す斜視図である。
【図2】図1に示す立ち上がり補助具のおもりを示す底面図及び側面図である。
【図3】図1に示す立ち上がり補助具における掛止部の配設形態の一例を示す要部底面図及び側面図である。
【図4】図2に示すおもりの装着手順を示すベース部の要部底面図である。
【図5】図2に示すおもりの装着完了状態を示すベース部の要部底面図である。
【図6】図1におけるA−A線に沿う断面図である。但し、断面を示すハッチングは省略している。
【図7】図6におけるB部分の拡大図である。
【図8】図1に示す立ち上がり補助具のベース部の平面図である。
【図9】実施形態1についてのおもりの変形例を示す底面図及び側面図である。
【図10】本発明に係る立ち上がり補助具の実施形態1についての変形例を示す斜視図である。
【図11】本発明に係る立ち上がり補助具の実施形態2に係るおもりの裏面を示す斜視図である。
【図12】本発明に係る立ち上がり補助具の実施形態2におけるベース部の平面図である。
【図13】図11に示すおもりを装着した立ち上がり補助具の図12におけるD−D線に沿う断面図である。但し、断面を示すハッチングは省略している。
【図14】図13におけるC部分の拡大図である。
【図15】図11に示すおもりを装着した本発明に係る立ち上がり補助具で使用される化粧蓋の一例を示す断面図である。
【図16】図11に示すおもりを連結孔に座ぐり穴を設けないおもりに変更した場合の、当該おもりを装着した本発明に係る立ち上がり補助具で使用される化粧蓋の一例を示す(a)は平面図、(b)は断面図、(c)は底面図である。
【図17】本発明に係る立ち上がり補助具の実施形態3を示す正面図である。
【図18】従来の立ち上がり補助具の斜視図である。
【図19】従来の立ち上がり補助具に使用されるおもりの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1について、図1乃至図10を参照して説明する。
【0018】
本発明に係る立ち上がり補助具1は、図1に示すように、床面と接するベース部2と、手摺部4を備えベース部2に立設された支柱部3とを備えたものであって、ベース部2の裏面におもり5を備えたことを特徴とするものである。
【0019】
ベース部2は、立ち上がり補助具1を床面に定着させる機能を有する。本実施形態のベース部2の周端部には床面の方向に向かう傾斜面24が設けられており、これによってベース部2の中央部を床面から浮かせることで、おもり5、後述する掛止部6及び固定金具12をベース部2の裏面に取り付けるスペースが確保されている。このようになるベース部2は、立ち上がり補助具1の転倒による事故を回避するために、重心が低く床面との接触面積が大きくされている。このベース部2を構成するベース板21としては、金属製の板や強度の高い合成樹脂製の板を用いることが考えられる。上記した傾斜面24の周端縁部には、例えばゴム製や合成樹脂製の緩衝材22が装着されており、これによって、床面の傷の発生防止と使用者の安全確保とが図られている。
【0020】
支柱部3は、手摺部4を支持するものである。支柱部3は、図1に示すように、一本のパイプを中央で湾曲させたものでもよいし、湾曲させたパイプを複数本立設し、それらを横桟で連結したものでもよい。手摺部4の本数は1本でも、図示例のように複数本でもよい。
【0021】
ベース部2に対する支柱部3の立設構造としては、図6及び図7に示すように、例えば金属製パイプからなるホルダ部11と固定金具12とを用いたものが考えられる。ベース部2のベース板21には、図8に示すように、複数の連結孔23が形成されており、これら連結孔23に、それぞれベース板21の下方から雄ネジ部31を有する固定金具12が挿通される一方、ベース板21の上方から上記雄ネジ部31と螺合する雌ネジ溝32を下端部内周面に有するホルダ部11の下端部開口部が、ベース板21の上面から突出している固定金具12に被せられるとともに、ホルダ部11の雌ネジ溝21と固定金具12の雄ネジ部31とが螺合される。これによって、ベース板21がホルダ部11と固定金具12の突出部12aとで挟持された状態になる。こうして支柱部3を支持するホルダ部11がベース板21に固定される。なお、固定金具12の下面中心には六角レンチが挿入される六角孔33が形成されており、ホルダ部11との螺合作業がし易いように図られている。以上のようにしてベース板21に固定されたホルダ部11内に支柱部3の下端部を上方から挿入するとともに固定ビス11aをホルダ部11の外側から支柱部3の下端部に向けて螺入し該下端部をホルダ部11に固定することで、支柱部3がベース部2に立設される。なお、ホルダ部11の固定手段は上記のようなものに限らず、ベース板21にホルダ部11の下端部を溶接により取り付けてもよく、また、ホルダ部11を排して支柱部3の下端部をベース部2のベース板21に直接溶接してもよい。
【0022】
ここで、上記の例のように、固定金具12を用いた場合は、固定金具12の上面に、例えばゴム板34などの弾性材を接着し、ホルダ部11内に支柱部3が挿入される際、固定金具12と支柱部3との間に生じる衝撃を和らげるようにするとよい。
【0023】
手摺部4は、使用者が立ち上がる際につかむ手摺としての機能を有する。手摺部4は、つかみ易い形状のものであればよく、横桟に限らず縦梁でもよい。さらに、手摺部4は、人が握り易い太さのものとされる。手摺部4に適当な部材の例として、直径3cm程の円筒金属製パイプが挙げられる。手摺部4を支柱部3に連結支持させるには、溶接や樹脂性ジョイント41を用いるとよい。
【0024】
おもり5は、立ち上がり補助具1のベース部2におもりとして作用し、立ち上がり補助具1を倒れにくくする機能を有する。本実施形態におけるおもり5は、図2に示すように、板金から切り出された上板51と下板52とから構成されている。上板51はベース部2のベース板21とほぼ相似形状の長方形を呈しており、下板52は上板51よりも短辺が短い長方形を呈している。下板52は上板51と相互の短辺中央同士が重なった状態で溶接され一体化されている。上板51の各長辺にはそれぞれ矩形の切欠53が2つずつ所定間隔を隔てて形成されている。これら切欠53は、いずれも下板52と重ならない領域に設けられている。また、各切欠53の近傍には、それぞれ上板51の長辺に沿う方向に隣接してネジ孔56が設けられている。
【0025】
ベース部2のベース板21の裏面には、上記したおもり5を掛止する掛止部6が設けられている。掛止部6は、図3に示すように、ベース板21の裏面に取り付けられる取着部61と、おもり5と掛止される掛止爪部62とから構成されており、掛止爪部62には、おもり5装着時におもり5のネジ孔56と重合するネジ孔63が設けられている。掛止部6は、おもり5の上記した切欠53と対応するよう、且つ、各掛止爪部62の先端がベース板21の内方を向くようにしてベース板21の裏面に配設されている。各掛止爪部62とベース板21との間隙寸法は、おもり5の上板51の厚みと略等しく設定されており、これによっておもり5がその上板51の縁部において掛止爪部62とベース板21の裏面とでしっかりと挟持される。このようになる掛止部6としては、例えば、板金から切り出した金属片をクランク状に屈曲することにより形成されたものが用いられ、ベース板21には例えばスポット溶接により溶着される。なお、掛止部6の形状や材質等は上記したものに限定されない。例えば、掛止部6を、弾性を有するバネ板材で形成すれば、おもり5を掛止部6の弾性復元力でベース板21の裏面に圧着状態で固定することができる。
【0026】
次に、おもり5を掛止部6によりベース部2の裏面に掛止する手順について説明する。
【0027】
まず、ベース部2をその裏面が上方を向くようにして床面上にベース部2を置き、図4に示すように、おもり5をその上板51の方がベース部2側に位置するようにして切欠53と掛止部6の掛止爪部62とを一致させ、おもり5の切欠53内に掛止爪部62を通過させ、おもり5の上板51の上面をベース部2の裏面に密着させる。
次に、その状態を保ったまま、図5に示すように、おもり5を、そのネジ孔56が掛止爪部62のネジ孔63と重合する方向にスライドさせる。そして、両ネジ孔56,63同士が重合したら、掛止爪部62のネジ孔63からおもり5のネジ孔56に向けて止めネジ55を螺入し、これによっておもり5のベース部2への掛止が完了する。図6は、その状態を示す部分断面図である。
【0028】
上記した実施形態では、おもり5は2枚の板材(上板51及び下板52)から構成されたものであったが、おもり5は、そのようなものに限られず、例えば、図9に示すような一枚の板から構成されたものであってもよい。すなわち、これらの図に示されたおもり5aは、ベース部2のベース板21と略相似形状の長方形を呈する厚めの金属板の各長辺にそれぞれ2箇所に亘って、掛止部6と掛合する段差部57が形成されるとともに、これら段差部57にそれぞれ矩形の切欠58とネジ孔59とが形成されたものである。なお、切欠58とネジ孔59の配設要領は上記の実施形態におけるおもり5のものと同様である。
【0029】
上記した実施形態では、おもり5をベース部2の裏面に備える手段として、掛止部6による掛止手段を用いたが、このような手段に限られず、例えば、おもり5をベース部2に溶接するものでもよい。
【0030】
上記した実施形態では、ベース板21に設けられた連結孔の個数は2個であったが、例えば、図10に示すように、4個であってもよい。図10に示す立ち上がり補助具は、図12に示すベース部2に設けられた4個の連結孔23に裏面から固定金具12を挿通し、固定金具12の雄ネジ部31とホルダ部11の雌ネジ溝32とを螺合させることで、ベース部2に4個のホルダ部11を立設させた例である。この例では、各ホルダ部11に、主支柱部3aと副支柱部3bとからなる支柱部3の脚が挿入されている。ベース部2の中央部に位置する2個のホルダ部11には、一本のパイプを中央で湾曲させた主支柱部3aが立設されるとともに、この主支柱部3aのパイプ間には横桟である手摺部4が、例えば、樹脂性ジョイント41を用いて連結されている。ベース部2の端部に位置する2個のホルダ部11には、主支柱部3aの直線部の高さより低く、相互に同じ長さの2本のパイプ35からなる副支柱部3bがそれぞれ立設されている。この副支柱部3bの各上端と、主支柱部3aとは横桟36で連結されている。横桟36は、支柱部3全体の強度を確保する機能だけでなく、手摺としての機能も有する。該連結には、例えば、樹脂性ジョイント42を用いるとよい。
【0031】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2について、図11乃至図15を参照して説明する。本実施形態に係る立ち上がり補助具は、床面と接するベース部2と、手摺部4を備えるベース部2に立設された支柱部3と、を備え、ベース部2の裏面におもり5を備えた立ち上がり補助具1において、支柱部3は、ベース部2に立設されたホルダ部11に立設され、ベース部2は、ホルダ部11の立設位置に連結孔23を備え、おもり5は、連結孔23に対応する位置に連結孔54を備え、ホルダ部11は下端内周面に雌ネジ溝32を備え、ベース部2及びおもり5双方の連結孔23、54に挿通され雌ネジ溝32に螺合される雄ネジ部71と、雌ネジ溝32と雄ネジ部71とが螺合されたときベース部2及びおもり5をホルダ部11の下端面とで挟持する突出部72と、を有する固定金具70と、を備えたことを特徴としている。
【0032】
ベース部2、支柱部3及び手摺部4については、実施形態1と同一である。ただし、ベース部2に設けられる連結孔23は、後述するおもり5bの少なくとも4つの隅を固定するため、図12に示すように、4つ以上設けられることが望ましい。
【0033】
本実施形態のおもり5としては、例えば、図11に示すように、金属製の矩形板の角を落とし該矩形板の4隅近くに連結孔54として座ぐり穴54aを設けたおもり5bが用いられる。座ぐり穴54aのピッチは、ベース部2においてホルダ部11の立設位置に設けた連結孔23のピッチと同一にされる。さらに、座ぐり孔54aの直径(貫通部の内径)は、連結孔23の直径と同一とされる。
【0034】
ホルダ部11としては、例えば、図13に示すように、円筒状の金属パイプが用いられる。ホルダ部11の下端内周面には、雌ネジ溝32が設けられる。該雌ネジ溝32は、後述する固定金具70の備える雄ネジ部71と螺合するものとされる。ホルダ部11がベース部2に立設されたときホルダ部11の下端面がベース部2の表面に当接するよう、ホルダ部11の外径は、ベース部2に設けられる連結孔23の直径より大きくされる。
【0035】
固定金具70は、上部に雄ネジ溝が設けられた円柱部である雄ネジ部71を、下部に円柱部から張り出した鍔である突出部72を備える。図14に示すように、雄ネジ部71を雌ネジ溝32と螺合させ、突出部72とホルダ部11の下端面とでベース板21及びおもり5bを挟持させることで、ベース部2にホルダ部11及びおもり5bを固定させる。なお、立ち上がり補助具を使用した際ベース板21が撓み、取り付けた固定金具70が床面と接触し床面を傷付けてしまうのを防止するため、固定金具70の底面には緩衝材74が接着される。固定金具70の上面には、例えばゴム板34などの弾性材を接着し、ホルダ部11内に支柱部3が挿入される際、固定金具70と支柱部3との間に生じる衝撃を和らげるようにするとよい。なお、固定金具70の下面中心には六角レンチが挿入される六角孔73が形成されており、ホルダ部11との螺合作業がし易いように図られている。
【0036】
ホルダ部11の立設に使用しない連結孔23には、図15に示すように、化粧蓋80が被せられる。化粧蓋80は、全体が中実のものであって、ベース部2及びおもり5bの各連結孔23,54内に挿入される円柱部81と、この円柱部81の上部に位置する突出部82とからなる。円柱部81の直径は、連結孔23及び連結孔54の直径より僅かに小さい直径とされ、円柱部81の高さは、ベース板21の板厚とおもり5bの板厚との和から座ぐり穴54aの座ぐりの深さ寸法を引いた長さとされる。突出部82は、円柱部81の上端から円盤状に張り出した鍔である。突出部82の上面は平滑面とされるとともに、その外周縁部はテーパ面とされている。さらに、化粧蓋80の底面中央には、後述する固定板90と連結させるためにネジ孔83が設けられている。
【0037】
化粧蓋80を装着するには、固定板90及び皿ネジ700が使用される。固定板90は、厚さがおもり5bの座ぐり穴54aの座ぐりの深さ程度とされ、直径は、座ぐり穴54aの座ぐり部分の直径より僅かに小さくされている。固定板90の中央には、例えば、皿ネジ700の頭部の円錐台側面が密着するよう、上に向かうにしたがって縮径された孔91が形成されている。さらに、立ち上がり補助具を使用した際ベース板21が撓み、取り付けた固定板90が床面と接触し床面を傷付けてしまうのを防止するため、固定板90の下面には、孔91を設けた部分を除き、緩衝材92が貼着されている。このようになる固定板90の孔91に皿ネジ700を挿通し、化粧蓋80に設けられたネジ孔83に該皿ネジ700を螺合させることで、ベース板21とおもり5bとを化粧蓋80と固定板90とで挟持させ、おもり5bをベース部2に固定させる。
【0038】
上の例では、おもり5bに連結孔54として座ぐり穴54aを設けたが、連結孔54は必ずしも座ぐり穴である必要はなく、例えば、図16(b)に示すように、おもり5bの連結孔54を座ぐり部分の無い孔に変更したおもり5cであってもよい。この例では、化粧蓋80に替えて、図16(b)に示すような、化粧蓋80aが用いられる。化粧蓋80aは、全体が中実のものであって、ベース部2及びおもり5cの各連結孔23,54内に挿入される円柱部81aと、この円柱部81aの上部に位置する突出部82aとからなる。円柱部81aの直径は、連結孔23及び連結孔54の直径より僅かに小さい直径とされ、円柱部81aの高さは、ベース板21の板厚とほぼ同じ長さとされる。突出部82aは、円柱部81aの上端から円盤状に張り出した鍔である。突出部82aの上面は平滑面とされるとともに、その外周縁部は曲面とされている。さらに、化粧蓋80aの上面中央には、後述する固定板90aと連結させるために、例えば、皿ネジ700aの頭部の円錐台側面が密着するよう、下に向かうにしたがって縮径された孔84が設けられている。
【0039】
化粧蓋80aを装着するには、固定板90a及び皿ネジ700aが使用される。固定板90aは、上板である円板94と下板である円板95とからなる。円板94は、その厚さがおもり5cの板厚よりわずかに小さく、その直径が連結孔54の直径よりわずかに小さくされている。円板95は、その直径が連結孔54の直径より大きくされる。固定板90aの中央には、例えば、皿ネジ700aに螺合するネジ孔96が形成されている。さらに、立ち上がり補助具を使用した際ベース板21が撓み、取り付けた固定板90aが床面と接触し床面を傷付けてしまうのを防止するため、固定板90aの下面には、ネジ孔96を設けた部分を除き、緩衝材92aが貼着されている。化粧蓋80aに設けられた孔84に皿ネジ700aを挿通し、このようになる固定板90aのネジ孔96に該皿ネジ700aを螺合させることで、ベース板21とおもり5cとを化粧蓋80aと固定板90aとで挟持させ、おもり5cをベース部2に固定させる。
【0040】
なお、おもり5は、上記した実施形態1,2のように単品のものに限られず、複数の部品から構成されたものであってもよい。
【0041】
また、上記した実施形態1,2では、ベース部2は、周端部に床面の方向に向かう傾斜面24が設けられることで、その裏面側におもり5等を取り付ける空間が形成されたものであったが、これに限らない。例えば、図17に示すように、ベース部2は、上記したような傾斜面24を有しない、全体が平板であるベース板21からなるものであってもよい。その場合、平板であるベース板21の裏面に平板からなるおもり5が接着又は溶着され、おもり5の下面に突起物が現れないようにするとよい。
【符号の説明】
【0042】
1 立ち上がり補助具
2 ベース部
3 支柱部
4 手摺部
5、5a、5b、5c おもり
6 掛止部
11 ホルダ部
23 連結孔
32 雌ネジ溝
54 連結孔
70 固定金具
71 雄ネジ部
72 突出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面と接するベース部と、
手摺部を備え前記ベース部に立設された支柱部と、
を備える立ち上がり補助具において、
前記ベース部の裏面におもりを備えたこと
を特徴とする立ち上がり補助具。
【請求項2】
請求項1に記載の立ち上がり補助具において、
前記ベース部の裏面に掛止部が設けられ、この掛止部に前記おもりが着脱自在に掛止されたことを特徴とする立ち上がり補助具。
【請求項3】
請求項1に記載の立ち上がり補助具において、
前記支柱部は、前記ベース部に立設されたホルダ部に立設され、
前記ベース部は、前記ホルダ部の立設位置に連結孔を備え、
前記おもりは、前記連結孔に対応する位置に連結孔を備え、
前記ホルダ部は下端内周面に雌ネジ溝を備え、
前記ベース部及び前記おもり双方の前記連結孔に挿通され前記雌ネジ溝に螺合される雄ネジ部と、
前記雌ネジ溝と前記雄ネジ部とが螺合されたとき前記ベース部及び前記おもりを前記ホルダ部の下端面とで挟持する突出部と、を有する
固定金具と、
を備えたことを特徴とする立ち上がり補助具。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載の立ち上がり補助具において、
前記おもりは、板状であることを特徴とする立ち上がり補助具。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載の立ち上がり補助具において、
前記ベース部には、その周縁部に床面の方向に向かう傾斜面が設けられ、これによって前記ベース部の裏面と前記床面との間に形成されたスペース内に、前記おもりが収容されたことを特徴とする立ち上がり補助具。
【請求項1】
床面と接するベース部と、
手摺部を備え前記ベース部に立設された支柱部と、
を備える立ち上がり補助具において、
前記ベース部の裏面におもりを備えたこと
を特徴とする立ち上がり補助具。
【請求項2】
請求項1に記載の立ち上がり補助具において、
前記ベース部の裏面に掛止部が設けられ、この掛止部に前記おもりが着脱自在に掛止されたことを特徴とする立ち上がり補助具。
【請求項3】
請求項1に記載の立ち上がり補助具において、
前記支柱部は、前記ベース部に立設されたホルダ部に立設され、
前記ベース部は、前記ホルダ部の立設位置に連結孔を備え、
前記おもりは、前記連結孔に対応する位置に連結孔を備え、
前記ホルダ部は下端内周面に雌ネジ溝を備え、
前記ベース部及び前記おもり双方の前記連結孔に挿通され前記雌ネジ溝に螺合される雄ネジ部と、
前記雌ネジ溝と前記雄ネジ部とが螺合されたとき前記ベース部及び前記おもりを前記ホルダ部の下端面とで挟持する突出部と、を有する
固定金具と、
を備えたことを特徴とする立ち上がり補助具。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載の立ち上がり補助具において、
前記おもりは、板状であることを特徴とする立ち上がり補助具。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載の立ち上がり補助具において、
前記ベース部には、その周縁部に床面の方向に向かう傾斜面が設けられ、これによって前記ベース部の裏面と前記床面との間に形成されたスペース内に、前記おもりが収容されたことを特徴とする立ち上がり補助具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−9922(P2013−9922A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148064(P2011−148064)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000113779)マツ六株式会社 (68)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000113779)マツ六株式会社 (68)
【Fターム(参考)】
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