説明

かき揚げ調理器具

【課題】形の整ったかき揚げを効率的に作ることを目的とする。
【解決手段】孔を具備して表面が略平面形状である底板部110と、底板部110の端部に接続されてその表面側に立設される底板支持部120と、両端部が開口して一の端部の開口部と底板部110とが接するように底板部110の表面上に載置されるかき揚げの型枠であって周壁に孔を具備する型枠部130と、型枠部130の側面に接続されて型枠部130の底板部110側の開口部とは反対側に立設される型枠支持部140と、底板支持部120に接続されて型枠支持部140における型枠との接続位置から所定の範囲に存在する部分を係止するとともに、各型枠における底板支持部120側とは反対側に各型枠を回動可能にする回動機構部150とを具備するかき揚げ調理器具100である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理器具に関し、特に、かき揚げを製造する場合に用いられるかき揚げ調理器具に関する。
【背景技術】
【0002】
天ぷらは、日本人にとって馴染み深く、食べる機会の多い料理である。天ぷらの中でも、野菜類や魚介類を細かく刻んで混ぜ合わせたものは、かき揚げと呼ばれている。このかき揚げは、例えば、細かく刻んだ野菜類や魚介類を天ぷら粉や水等とかき混ぜて作られるかき揚げの具を、玉じゃくし等ですくい上げて箸で形を整えてから、加熱された油が入れられた鍋の縁から流し込むように入れて作られる。
【0003】
かき揚げは、一般的に、太鼓型に整った形が理想とされている。しかしながら、かき揚げは、細かい材料が混ざり合った練りものであるかき揚げの具から形を整える必要があるため、理想の形に整えることは難しかった。そこで、かき揚げの形を整えるための各種の調理器具が提案されている。
【0004】
例えば、上下に開口する筒状部材であるとともに周壁に多数の貫通孔が設けられた型部材と、この型部材を支持する柄とを備えるかき揚げの調理器具が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−24217号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来技術では、型部材の周壁の上端縁と同じ高さになるまでフライヤーに油を入れて、その油が加熱された状態で型部材内にかき揚げの具を入れて、型部材内において菜箸等でかき揚げの具の形を整える。このため、円形状のかき揚げを作ることができるものの、かき揚げの厚さは、油に入れられた型部材内において菜箸等で整える必要がある。このため、厚さが均一な円形状のかき揚げを作るためには、ある程度の技術が必要であり、形の整ったかき揚げを効率的に作ることは困難である。
【0006】
また、上述の従来技術では、油の加熱によって、型部材内に入れたかき揚げの具が浮き上がることがある。この場合には、かき揚げの具の浮き上がった部分に熱がいき渡らず、食べたときの食感が良いかき揚げを作ることができない。このように、上述の従来技術でかき揚げを作る場合には、形の整ったかき揚げを効率的に作ることが困難である。
【0007】
そこで、本発明は、形の整ったかき揚げを効率的に作ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その第1の側面は、孔を具備して表面が略平面形状である底板と、前記底板の端部に接続されて前記表面側に立設される底板支持体と、両端部が開口して一の端部の開口部と前記底板とが接するように前記底板の表面上に載置されるかき揚げの型枠であって周壁に孔を具備する型枠と、前記型枠の側面に接続されて前記開口部とは反対側に立設される型枠支持体と、前記底板支持体に接続されて前記型枠支持体における前記型枠との接続位置から所定の範囲に存在する部分を係止するとともに前記型枠における前記底板支持体側とは反対側に当該型枠を回動可能にする回動機構部とを具備することを特徴とするかき揚げ調理器具である。これにより、底板とこの底板の表面上に載置された型枠とで構成されるかき揚げ入れ部に入れられたかき揚げの具を、かき揚げ入れ部とともに所定温度に加熱された油の中に入れて、所定時間経過後に型枠を移動させて、このかき揚げ入れ部に入れられたかき揚げの具を油の中に放出させるという作用をもたらす。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、形の整ったかき揚げを効率的に作ることができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態におけるかき揚げ調理器具100の外観を示す斜視図である。図2は、分離した状態のかき揚げ調理器具100の外観を示す斜視図である。図3は、かき揚げ調理器具100の外観を示す正面図である。図4は、かき揚げ調理器具100の外観を示す上面図である。図5は、かき揚げ調理器具100の外観を示す側面図である。
【0012】
かき揚げ調理器具100は、底板部110と、底板支持部120と、型枠部130と、型枠支持部140と、回動機構部150とを備える。なお、底板部110と型枠部130とでかき揚げ入れ部160を構成する。
【0013】
底板部110は、かき揚げの具を載せる部分であり、この例では、略円形状の略平面状板材である底板111乃至113が直列に並べて成形されるものである。また、底板111乃至113のそれぞれは、型枠131乃至133の一方の開口部を塞ぐことができる大きさである。さらに、この例では、底板111乃至113のそれぞれには、複数の孔が放射状に設けられている。この孔の大きさは、底板111乃至113にかき揚げの具を載せた場合に、かき揚げの具が孔から落ちない程度の大きさにする。なお、底板111乃至113は、一枚の板材を加工して成形することができる。また、底板111乃至113の形状として、円形状の代わりに、型枠131乃至133の開口部を塞ぐことができる他の形状にするようにしてもよい。なお、複数の孔については、等間隔に設けるようにしてもよい。
【0014】
底板支持部120は、T字型の板材を折り曲げて成形されるものであり、連結部121と、第1の柄122とを備える。なお、底板支持部120は、底板111乃至113の略中心の縁部分に設けるようにする。
【0015】
連結部121は、底板111乃至113と第1の柄122とを連結するものであり、T字型の板材の端部が折り曲げて成形される。この折り曲げて成形される一片の部分が、底板111乃至113の一部と接続される。また、連結部121は、底板111乃至113の補強板としても機能する。
【0016】
第1の柄122は、連結部121と回動機構部150の把持部151とを結ぶ柄であり、底板111乃至113に対して略垂直になるように成形される。
【0017】
型枠部130は、かき揚げの具を入れる部分であり、この例では、3つの型枠131乃至133から構成される。型枠131乃至133のそれぞれは、両端面が開口する円筒形状であり、その周壁には複数の孔が等間隔に設けられている。この孔の大きさは、型枠131乃至133にかき揚げの具を入れた場合に、かき揚げの具が孔から出ない程度の大きさにする。また、この例では、水平面上において型枠131乃至133が直列に並べて連結されるように、型枠131乃至133の外周面が接続される。また、型枠131乃至133の底板111乃至113側の開口部の開口面は、底板111乃至113と接するように成形される。
【0018】
型枠支持部140は、型枠部130を支持する板状部材であり、連結部141と、第2の柄(第一支持部)142と、第二支持部153と、押圧部154とを備える。なお、型枠支持部140は、型枠131乃至133の略中心の縁部分に設けるようにする。
【0019】
連結部141は、型枠131乃至133と第2の柄142とを連結する板材であり、一の面が、型枠131乃至133の外周面と接続され、他の面が第2の柄142と接続される。また、連結部141は、型枠131乃至133の補強板としても機能する。
【0020】
第2の柄142は、連結部141と第二支持部153とを結ぶ柄であり、型枠131乃至133の開口面に対して略垂直になるように連結部141に接続される。
【0021】
第二支持部153は、第2の柄142と押圧部154とを結ぶ板状部材であり、第2の柄142を構成する板状部材において、型枠部130の側面に接続されている端部とは反対側の端部が、型枠131乃至133の開口部の開口面に対して略平行となるように、型枠部130との接続面とは反対側に折り曲げて成形される。
【0022】
押圧部154は、第2の柄142を構成する板状部材において、第二支持部153における第2の柄142とは反対側の端部が、底板部110側とは反対側に立設するように折り曲げて成形されるフックである。また、押圧部154は、第2の柄142と略平行になるように成形される。なお、第2の柄142と第二支持部153と押圧部154とは、棒状体の板状部材が折り曲げて成形される。また、連結部141と第2の柄142と第二支持部153と押圧部154とを、T字型の板材を折り曲げて成形するようにしてもよい。
【0023】
回動機構部150は、把持部151と係止部152とを備える。
【0024】
把持部151は、かき揚げ調理器具100を使用する場合に、使用者が手に持つ部分である。また、把持部151は、第1の柄122を構成する板状部材において、底板部110の端部に接続されている端部とは反対側の端部が、底板111乃至113に対して略平行となるように、底板部110との接続面とは反対側に折り曲げて成形される。
【0025】
係止部152は、第二支持部153および押圧部154を連通可能に、把持部151における底板部110側とは反対側の面上に設けられている係止部であり、開口部155から押圧部154および第二支持部153が挿入されて、第二支持部153が係止される。なお、係止部152は、板状部材がコ字型に折り曲げられて成形される。また、第1の柄122と把持部151とは、棒状体の板状部材が折り曲げて成形される。すなわち、回動機構部150は、型枠支持部140における型枠との接続位置から所定の範囲に存在する部分を係止部152が係止するとともに、型枠131乃至133における底板支持部120側とは反対側に型枠131乃至133を回動可能にするものである。
【0026】
ここで、分離されているかき揚げ調理器具100を組み合わせる方法について説明する。図2に示すように、かき揚げ調理器具100は、底板部110および底板支持部120と、型枠部130および型枠支持部140とに分離することができる。また、分離されているかき揚げ調理器具100を組み合わせる場合には、係止部152の第1の柄122側の開口部155から押圧部154を挿入し、第二支持部153の端部が係止部152に達するまで進める。これにより、図1、図3乃至図5に示すように、かき揚げ調理器具100を使用することができる状態になる。
【0027】
なお、図5に示すように、第1の柄122の長手方向の長さと、第2の柄142の長手方向の長さとは、略同一である。また、第二支持部153の長手方向の長さは、把持部151における第1の柄122側の端部から、係止部152の開口部155とは反対側の開口部までの長さと略同一である。また、底板111乃至113の一の面と、型枠131乃至133の一方の開口部の周縁とがそれぞれ密接する。このため、第二支持部153が係止部152に挿入され、型枠131乃至133が底板111乃至113の表面上に載置されている状態において、第1の柄122における底板部110が接続されている面と、第2の柄142における型枠部130が接続されている面とは反対側の面とが密接する。また、この場合に、把持部151と第二支持部153とが対向する。
【0028】
このように、かき揚げ調理器具100が組み合わされた状態では、底板部110および型枠部130で構成されるかき揚げ入れ部160にかき揚げの具を入れることができる。
【0029】
なお、底板111乃至113と型枠131乃至133とのそれぞれに設けられている各孔は、かき揚げの具が出ない程度の大きさのため、かき揚げ入れ部160に入れられたかき揚げの具が孔から出ることを防止する。また、これらの孔から効率的に加熱された油を出入りさせることができる。このように、加熱された油の対流によって、かき揚げの具の下から加熱された油を通すことができるため、かき揚げの具の上から加熱された油をかけなくてもよい。
【0030】
また、かき揚げ調理器具100は、第二支持部153および押圧部154を係止部152から引き抜くことによって、底板部110と底板支持部120と把持部151と係止部152とで構成される第一ユニットと、型枠部130と型枠支持部140とで構成される第二ユニットとに分離可能である。
【0031】
なお、かき揚げ調理器具100の素材としては、錆びにくく、加熱された油に入れることが可能な素材が望ましい。例えば、各部について304オールステンレスを用いることができる。このように、使用者が持ち易いように、薄くて軽い素材や熱伝導率の低い素材を用いることが好ましい。また、底板や型枠等の表面にかき揚げの具がこびりつかない素材を用いることが好ましい。そのために、底板や型枠等の表面にはフッ素加工を施すようにしてもよい。また、かき揚げ調理器具100を構成する素材としては、1つの素材で構成するようにしてもよく、また、複数の素材を組み合わせて用いるようにしてもよい。
【0032】
図6は、かき揚げ調理器具100の外観を示す斜視図であって、型枠部130および型枠支持部140を移動させた状態を示す図である。図7は、かき揚げ調理器具100の外観を示す側面図であって、型枠部130および型枠支持部140を移動させた状態を示す図である。
【0033】
例えば、かき揚げ調理器具100の使用者が把持部151を手で持った状態で、親指で押圧部154を矢印200方向に押す。そうすると、第二支持部153と押圧部154との境界156を支点(回動中心)として押圧部154が矢印200方向に移動を開始する。これにより、境界156を回動中心として、型枠部130および型枠支持部140の各部が、図7に示す矢印210方向に移動を開始する。
【0034】
さらに、親指で押圧部154を押し続けると、第二支持部153の把持部151とは反対側の面が、係止部152の開口部155における上側の周縁と衝突し、型枠部130および型枠支持部140の各部の移動が停止する。
【0035】
なお、この可動範囲は、底板部110および型枠部130で構成されるかき揚げ入れ部160に入れられたかき揚げの具を、図7に示す矢印220方向に押し出させることが可能な範囲に設定される。例えば、図7に示すように、移動後の型枠131乃至133の底板部110側の開口面が、移動前の型枠131乃至133の上面(底板部110とは反対側の開口面)よりも上側に位置する範囲に設定される。なお、かき揚げ調理器具100を移動前の状態に戻す場合には、押圧部154の押す力を弱めるか、押圧部154から親指を離すようにする。
【0036】
このように、係止部152は、第二支持部153が係止部152に挿入され、型枠131乃至133が底板111乃至113の表面上に載置されている状態において、押圧部154における第二支持部153側の面が押された場合に、第二支持部153が所定の範囲を回動した後に係止部152の開口部155における上側の周縁と衝突する大きさとする。
【0037】
また、回動中心を第二支持部153と押圧部154との境界156とすることによって、型枠部130および型枠支持部140の各部が回動する場合に、型枠131乃至133を底板111乃至113の表面上から上下方向の上側に移動させながら回動させることができる。このため、かき揚げ入れ部160に入れられたかき揚げの具を放出する際に、かき揚げの具が底板111乃至113から離れやすくなる。
【0038】
次に本発明の実施の形態におけるかき揚げ調理器具100の使用方法について図面を参照して説明する。
【0039】
図8は、かき揚げ調理器具100を用いてかき揚げを製造している状態を示す図である。ここでは、油410を入れたフライヤー400を用いて、かき揚げを製造する場合について説明する。かき揚げの具としては、一般的なかき揚げの材料を使用する。なお、かき揚げの具の材料、量、厚み等に応じて、かき揚げを製造する場合における油の温度や、加熱された油に入れる時間は、適宜調整される。一例として、約170℃〜180℃に加熱された油を用いることができる。
【0040】
最初に、かき揚げの具を用意する。そして、かき揚げ調理器具100の把持部151を使用者の手500で持ち、かき揚げ入れ部160にかき揚げの具を適量入れる。また、かき揚げ入れ部160に入れたかき揚げの具の厚さを菜箸等で整える。
【0041】
続いて、かき揚げ調理器具100のかき揚げ入れ部160の部分を、加熱されているフライヤー400の油410の中に入れる。この状態では、底板111乃至113および型枠131乃至133のそれぞれに孔が設けられているため、これらの孔から効率的に加熱された油410が出入りする。このように、底板に孔が設けられているため、かき揚げ入れ部160に入れられたかき揚げの具の中心部分に、加熱された油410が効果的に出入りする。また、型枠に孔が設けられているため、かき揚げ入れ部160に入れられたかき揚げの具の周囲から加熱された油410が効果的に出入りする。これらにより、食べたときの食感の良いかき揚げを作ることができる。なお、かき揚げ調理器具100のかき揚げ入れ部160の部分を油410内に入れる場合には、かき揚げの具が水平となるように油面に着油させることが好ましい。
【0042】
そして、かき揚げ入れ部160の部分を油410の中に入れてから所定の時間(例えば、10秒から20秒程度)が経過すると、かき揚げ入れ部160内のかき揚げの具の表面が固まり始める。このように、かき揚げの具の表面が固まり始めたら、使用者は、親指501以外の指502乃至505で把持部151を握った状態で、押圧部154を矢印600方向に親指501で押す。そうすると、型枠部130および型枠支持部140の各部が、矢印310方向に移動する。
【0043】
これにより、かき揚げの具300が型枠部130とともに矢印310方向に移動するため、底板部110に載せられていたかき揚げの具300が底板部110から離れる。この移動によって、かき揚げの具300の下から底板部110がなくなるとともに、矢印320方向に進む力がかき揚げの具300に加わり、さらに、型枠部130は円周方向を移動するため、かき揚げの具300が型枠部130から離れて油410内に放出される。
【0044】
なお、押圧部154を矢印600方向に親指501で押し続けても、型枠部130が定位置で停止するため、型枠部130による油の飛び散りを防止することができる。また、かき揚げ入れ部160の部分を油410の中に入れてから所定時間(例えば、10秒から20秒程度)経過後に、かき揚げの具300をかき揚げ入れ部160から放出することによって、かき揚げ入れ部160内にトロ(天ぷら粉の練り)が残らないようにすることができる。なお、かき揚げの具300を油410内に放出する場合には、水平にかき揚げを放出することが好ましい。
【0045】
続いて、油410内に放出されたかき揚げの具300を裏返す等の処理を施しながら、かき揚げの製造を継続する。
【0046】
以上で示したように、かき揚げ調理器具100を用いてかき揚げを製造する場合には、かき揚げ入れ部160にかき揚げの具を入れて厚さ等を整えてから、加熱された油に入れることができるため、かき揚げの形を整える作業が容易である。また、加熱された油にかき揚げの具を入れてから所定時間経過後に、押圧部154を押すことによって、形の整ったかき揚げの具を油の中に放出することができるため、かき揚げ調理器具100からかき揚げの具を取り出す時間を短縮することができ、かき揚げの作業工程を容易にすることができる。このように、かき揚げ調理器具100を用いることによって、熟練した職人でなくても、形の整ったかき揚げを容易に作ることができる。
【0047】
また、板材を加工するのみでかき揚げ調理器具100を製造することができるため、かき揚げ調理器具100の構造を簡単にすることができる。このため、かき揚げ調理器具100を小型化することができる。さらに、かき揚げ調理器具100を簡単に分離することができるため、かき揚げ調理器具100の洗浄が容易である。また、3つのかき揚げを同時に作ることができるため、かき揚げを効率的に作ることができる。
【0048】
このように、本発明の実施の形態によれば、形の整ったかき揚げを効率的に作ることができる。
【0049】
なお、本発明の実施の形態では、かき揚げの原料の単位やフライヤーの幅を考慮して、底板と型枠との組み合わせが3つの場合について説明したが、これらの組み合わせを1つまたは3以外の複数個にするようにしてもよい。また、底板を円形状とし、型枠の断面形状を円形状とした場合について説明したが、底板については、型枠の開口部を塞ぐことができる形状であれば、他の形状とするようにしてもよい。また、型枠については、所望するかき揚げの形に合わせて、例えば、断面形状を六角形等の多角形や楕円等の他の形状とするようにしてもよい。さらに、底板および型枠に設けられている孔については、底板および型枠で構成されるかき揚げ入れ部内に、加熱された油が効率的に出入りすることができるように他の配置構成をとるようにしてもよい。
【0050】
なお、本発明の実施の形態は本発明を具現化するための一例を示したものであり、特許請求の範囲における発明特定事項とそれぞれ対応関係を有するが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形を施すことができる。
【0051】
なお、本発明の実施の形態におけるかき揚げ調理器具100は、これを用いたかき揚げの製造方法として捉えてもよい。
【実施例1】
【0052】
次に、本発明の一実施例である実施例1について説明する。
【0053】
かき揚げ調理器具100の素材としては、厚さが約1mmの304オールステンレスの板状部材を加工して各部に用いる。また、底板部110を構成する底板と型枠部130を構成する型枠とは、3個の組み合わせによって構成する。
【0054】
型枠部130を構成する各型枠については、304オールステンレスの板状部材を円筒状になるように成形して、外径を約100mm、上下方向の高さを約28mmとし、この周壁に等間隔に設けられた各孔の直径を約8mmとする。
【0055】
底板部110を構成する各底板については、型枠部130を構成する各型枠の外径よりも大きい直径の円形板材としてその直径を約110mmとし、この円形板材に放射状に設けられた各孔の直径を約5mmとする。なお、3個の底板の各端部が繋がるように、1枚の304オールステンレスの板状部材を加工して底板部110を作る。
【0056】
底板支持部120を構成する連結部121および第1の柄122と、回動機構部150を構成する把持部151とについては、1枚のT字型の304オールステンレスの板状部材を折り曲げて成形される。連結部121について、折り曲げて成形される一片の部分は、約10mm×約200mmとして、この一片の部分が各底板の裏面の一部と接続される。また、連結部121の各底板に対して略垂直となる部分は、約28mm×約200mmとして、この部分の大きさを連結部141の大きさと略同一とする。また、第1の柄122については、連結部121の上端の位置から把持部151の位置までの長さを約200mmとし、幅を約25mmとする。また、把持部151については、その長手方向の長さを約60mmとし、幅方向の長さを約25mmとする。
【0057】
型枠支持部140を構成する連結部141については、約28mm×約200mmとして、この部分が各型枠の側面の一部と接続される。型枠支持部140を構成する第2の柄142と第二支持部153と押圧部154とについては、1枚の直線状の304オールステンレスの板状部材を折り曲げて成形される。第2の柄142について、連結部141との接続面を約28mm×約25mmとして、この部分が連結部141の真中部分と接続される。また、第2の柄142については、連結部141の上端の位置から第二支持部153の位置までの長さを約200mmとし、幅を約25mmとする。また、第二支持部153については、その長手方向の長さを約30mmとし、幅方向の長さを約25mmとする。また、押圧部154については、その長手方向の長さを約40mmとし、幅方向の長さを約25mmとする。
【0058】
係止部152については、把持部151の第1の柄122側とは反対側の端部から約30mmの位置に、係止部152の開口部155とは反対側の開口部が配置されるようにして、把持部151の表面からの高さを約10mmとし、幅方向の長さを約10mmとする。また、第二支持部153を係止部152に挿入して底板部110の表面上に型枠部130が配置されている状態において、把持部151と第二支持部153との間に約2mm程度の隙間ができるようにする。
【0059】
これらの実施例1における構成によって、本発明の実施の形態で示した効果を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】かき揚げ調理器具100の外観を示す斜視図である。
【図2】分離した状態のかき揚げ調理器具100の外観を示す斜視図である。
【図3】かき揚げ調理器具100の外観を示す正面図である。
【図4】かき揚げ調理器具100の外観を示す上面図である。
【図5】かき揚げ調理器具100の外観を示す側面図である。
【図6】型枠部130および型枠支持部140を移動させた状態におけるかき揚げ調理器具100の外観を示す斜視図である。
【図7】型枠部130および型枠支持部140を移動させた状態におけるかき揚げ調理器具100の外観を示す側面図である。
【図8】かき揚げ調理器具100を用いてかき揚げを製造している状態を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
100 かき揚げ調理器具
110 底板部
111〜113 底板
120 底板支持部
121 連結部
122 第1の柄
130 型枠部
131〜133 型枠
140 型枠支持部
141 連結部
142 第2の柄
150 回動機構部
151 把持部
152 係止部
153 第二支持部
154 押圧部
155 開口部
156 境界
160 かき揚げ入れ部
300 かき揚げの具
400 フライヤー
410 油
500 手
501〜505 指

【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔を具備して表面が略平面形状である底板と、
前記底板の端部に接続されて前記表面側に立設される底板支持体と、
両端部が開口して一の端部の開口部と前記底板とが接するように前記底板の表面上に載置されるかき揚げの型枠であって周壁に孔を具備する型枠と、
前記型枠の側面に接続されて前記開口部とは反対側に立設される型枠支持体と、
前記底板支持体に接続されて前記型枠支持体における前記型枠との接続位置から所定の範囲に存在する部分を係止するとともに前記型枠における前記底板支持体側とは反対側に当該型枠を回動可能にする回動機構部と
を具備することを特徴とするかき揚げ調理器具。
【請求項2】
前記底板支持体および前記型枠支持体は、板状部材からなり、
前記型枠支持体は、
前記型枠に接続されて前記開口部の開口面に対して略垂直となるように立設される第一支持部と、
前記第一支持部における前記型枠側とは反対側の端部においてその板状部材が前記開口部の開口面に対して略平行となるように前記型枠との接続面とは反対側に折り曲げて成形される第二支持部と、
前記第二支持部における前記型枠側とは反対側の端部においてその板状部材が前記型枠側とは反対側に立設するように折り曲げて成形される押圧部とを具備し、
前記底板支持体は、前記底板に対して略垂直となるように立設され、
前記回動機構部は、
前記底板支持体における前記底板側とは反対側の端部においてその板状部材が前記底板に対して略平行となるように前記底板との接続面とは反対側に折り曲げて成形される把持部と、
前記把持部における前記底板側とは反対側の面上に設けられて前記第二支持部を回動可能に係止する係止部とを具備し、
前記型枠が前記底板の表面上に載置されて前記第二支持部が前記係止部に係止されている状態において、前記第一支持部における前記型枠との接続面とは反対側の面と前記底板支持体における前記底板との接続面とが対向する
ことを特徴とする請求項1記載のかき揚げ調理器具。
【請求項3】
前記型枠が前記底板の表面上に載置されて前記第二支持部が前記係止部に係止されている状態において、前記押圧部における前記第二支持部側の面が押された場合には、前記第二支持部と前記押圧部との間を回動中心として前記型枠支持体と前記型枠とが回動することを特徴とする請求項2記載のかき揚げ調理器具。
【請求項4】
前記押圧部における前記第二支持部側の面が押されて前記型枠支持体と前記型枠とが回動する場合に、前記型枠支持体と前記型枠とが所定の範囲を回動した後に前記係止部の内側面に前記第二支持部が衝突して前記型枠支持体と前記型枠とが停止することを特徴とする請求項3記載のかき揚げ調理器具。
【請求項5】
前記型枠支持体を前記係止部から引き抜くことによって、前記底板と前記底板支持体と前記回動機構部とで構成される第一ユニットと、前記型枠と前記型枠支持体とで構成される第二ユニットとに分離可能であることを特徴とする請求項2記載のかき揚げ調理器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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