説明

きのこ栽培用培地基材と、これを用いたきのこ栽培用培地およびきのこの栽培方法

【課題】きのこ栽培において理想的とされる条件にすることが可能であると共に、きのこ栽培用培地の廃棄物となる基材部分の容積を削減することにより、廃棄物の発生量を減らすことが可能なきのこ栽培用培地基材とこれを用いたきのこ栽培用培地およびきのこ栽培方法を提供する。
【解決手段】きのこ栽培に用いる培地基材であって、とうもろこしの茎の粉砕物を含むことまたは、コーンコブととうもろこしの茎の粉砕物を混合したことを特徴とするきのこ栽培用培地基材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、きのこの人工栽培に用いられるきのこ栽培用培地基材と、これを用いたきのこ栽培用培地およびきのこの栽培方法に関し、より詳細には、栽培びん1本あたりに充てんされる栄養分を減らすことなく、栽培用培地の水分量を増加させることを可能にすると共に、1びん当たりにおける培地の使用量を削減することが可能なきのこ栽培用培地基材と、これを用いたきのこ栽培用培地およびきのこの栽培方法に関する。
【背景技術】
【0002】
きのこの人工栽培を行う際に用いられる栽培用培地基材として、おがくずやコーンコブが広く用いられている。おがくずによるきのこ栽培においては、おがくずから栄養分として吸収される部分が少ないので廃培地となる割合が高いことに加えて、廃培地の堆肥化も不向きであることから、近年におけるきのこ栽培用培地基材としては、主にコーンコブが用いられている。
【0003】
また、きのこ栽培用培地基材に用いるおがくずは、木材を製造する際に発生する廃棄物を有効利用していたが、近年は木材の製材事業そのものが減少し、おがくずの入手が困難になりつつある。これに対し、とうもろこしの実を取り除いた後の不要物であるコーンコブは、安定的な入手が可能であるという利点もある。
また、特許文献1で開示されているように、産業廃棄物として廃棄されていたおからを栄養材としてコーンコブと共にきのこ栽培用培地に用いることにより、より安定的にしかも低コストできのこ栽培が可能となるきのこ栽培用培地が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−013206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、コーンコブを用いたきのこ栽培用培地の水分率は、通常60〜67パーセント程度であるとされている。これに対し、きのこ栽培に適したきのこ栽培用培地の水分率は68〜72パーセントの範囲であるとされている。従来の栽培方法においてきのこ栽培用培地の水分率が上限で67パーセントに抑えられている理由は、これ以上に水分率を上げると、栽培びんに充てんしたきのこ栽培用培地と水とが分離し、分離した水分が栽培びんの下方にたまってしまい、栽培びん内で均一に水分を保持することができなくなるためである。
【0006】
きのこ栽培用培地から水を分離させることなく栽培びん中の含水率を高めようとすると、栽培びんの容積に対するコーンコブの容積を増やして保水力を高める必要がある。しかしながら、栽培びんの容積は決まっているので、コーンコブの容積を増やそうとすると栄養材を削減しなければならず、この場合は栄養分が不足してしまうことになり、きのこの収量が減るという問題が生じる。
【0007】
近年、とうもろこしの価格が急騰し、とうもろこし農家が出荷調整をすることでコーンコブの流通量が不安定化し、きのこ生産者が安定的にコーンコブを入手することができないという課題も徐々に発生している。
【0008】
そこで本願発明は、きのこの人工栽培に用いられる栽培用培地の水分率および栄養量を、きのこ栽培において理想的とされる条件にすることが可能であると共に、きのこ栽培用培地の廃棄物となる基材部分の容積を削減することにより、廃棄物の発生量を減らすことができ、とうもろこしの出荷調整がなされたとしても、安定的に入手することが可能なきのこ栽培用培地基材と、これを用いたきのこ栽培用培地およびきのこの栽培方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、きのこ栽培に用いる培地基材であって、とうもろこしの茎の粉砕物を含むことを特徴とするきのこ栽培用培地基材である。また、とうもろこしの茎とコーンコブとを混合してきのこ栽培用培地基材とすることもできる。
【0010】
また、上記のきのこ栽培用培地基材に栄養材を混合してきのこ栽培用培地とすることもできる。さらに、このきのこ栽培用培地の水分率を68パーセントから72パーセントの範囲内に調整することが好ましい。
【0011】
また、コーンコブ、とうもろこしの茎からなる培地基材と、栄養材とを混合してきのこ栽培用培地とする工程と、該きのこ栽培用培地の水分率を68〜72パーセントに調整する工程と、前記水分調整されたきのこ栽培用培地を殺菌する殺菌工程と、前記殺菌されたきのこ栽培用培地に種菌を接種する工程と、前記種菌を接種した後のきのこ栽培用培地を培養する工程と、を生育工程の前に行うことを特徴とするきのこの栽培方法の発明がある。
【0012】
また、コーンコブ、とうもろこしの茎からなる培地基材と、栄養材とを混合してきのこ栽培用培地とする工程と、該きのこ栽培用培地の水分率を68〜72パーセントに調整する工程と、前記水分調整されたきのこ栽培用培地を殺菌する殺菌工程と、前記殺菌されたきのこ栽培用培地に種菌を接種する工程と、前記種菌を接種した後のきのこ栽培用培地を培養する工程と、前記培養されたきのこ栽培用培地を菌かきする工程と、前記菌かきしたきのこ栽培用培地からきのこの子実体を生育させる生育工程を行った後、生育させたきのこを収穫することを特徴とするきのこの栽培方法の発明もある。
【0013】
また、コーンコブ、とうもろこしの茎からなる培地基材と、栄養材とを混合してきのこ栽培用培地とする工程と、該きのこ栽培用培地の水分率を67〜71パーセントに調整する工程と、前記水分調整されたきのこ栽培用培地を殺菌する殺菌工程と、前記殺菌されたきのこ栽培用培地に液体種菌を接種する工程と、前記液体種菌を接種した後のきのこ栽培用培地を培養する工程と、を生育工程の前に行うことを特徴とするきのこの栽培方法とすることもできる。
【0014】
また、コーンコブ、とうもろこしの茎からなる培地基材と、栄養材とを混合してきのこ栽培用培地とする工程と、該きのこ栽培用培地の水分率を67〜71パーセントに調整する工程と、前記水分調整されたきのこ栽培用培地を殺菌する殺菌工程と、前記殺菌されたきのこ栽培用培地に液体種菌を接種する工程と、前記液体種菌を接種した後のきのこ栽培用培地を培養する工程と、前記培養されたきのこ栽培用培地を菌かきする工程と、前記菌かきしたきのこ栽培用培地からきのこの子実体を生育させる生育工程を行った後、生育させたきのこを収穫することを特徴とするきのこの栽培方法とすることもできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかるきのこ栽培用培地基材と、これを用いたきのこ栽培用培地およびきのこの栽培方法によれば、きのこ栽培用培地の基材部分の容量を増やすことなく、きのこ栽培用培地の水分率と栄養材とを、きのこ栽培において理想的とされる状態にすることが可能である。
また、きのこ栽培用培地の水分率を高めることにより、基材となるコーンコブおよびとうもろこしの茎粉砕物の使用量を削減すること、および、とうもろこしの茎粉砕物は栄養分としてその一部をきのこに吸収させることができるため、きのこ栽培用培地による廃棄物の発生量を削減することが可能になる。
また、とうもろこしの茎をきのこ栽培用培地の基材として用いているため、とうもろこしの収穫さえ終わっていれば、きのこ栽培用培地の基材原料が流通可能になるため、たとえとうもろこしの出荷調整がなされたとしても、きのこ栽培に適した栽培用培地を安定的に供給することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明にかかるきのこ栽培用培地基材とこれを用いたきのこ栽培用培地の実施形態について説明する。
本実施形態におけるきのこ栽培用培地基材(以下、単に培地基材という)には、従来から用いられているコ−ンコブに、とうもろこしの茎を粉砕して得たとうもろこし茎粉砕物を混合したものを用いている。とうもろこし茎の粉砕物は、とうもろこしを収穫した後の茎部分(茎体)をコーンコブ粉砕機によって粉砕することにより得ることができるため、新たにとうもろこしの茎専用の粉砕機を導入する必要はない。
きのこの人工びん栽培に用いられるきのこ栽培用培地(以下、単に培地という)は、コーンコブの粉砕物および、とうもろこし茎の粉砕物の混合物からなる培地基材に、米ぬかやふすま等を混合してなる栄養材を加えることにより構成されている。
【0017】
とうもろこしの茎部分は、コーンコブに比べて単位容積あたりの保水性が良好である。したがって培地内のコーンコブの一部をとうもろこし茎の粉砕物に置き換えた培地においては、コーンコブを主原料とした培地の上限水分率(水分率約67パーセント)よりも高い水分率にしても、培地と水分とが分離することがない。また、栽培びんに充てんする栄養材を削減する必要がないため、水分率のみならず栄養量についても理想的な条件とした培地を提供することができる。
【0018】
培地の構成について具体例により説明する。
容積が850ccの栽培びん内に所定の重量で充てんされる培地の水分率を1パーセント増加させるためには、培地基材であるコーンコブ10グラムをとうもろこし茎の粉砕物4〜6グラムに置き換え、コーンコブととうもろこし茎の粉砕物との重量差の分だけ水分量を増加させればよい。とうもろこし茎の粉砕物の数量は、培地における乾物量(培地から水分を除去したもの)の割合で換算すると1.5〜2.5パーセントに該当する。
コーンコブのみで培地基材を構成している場合における培地の水分率の上限が67パーセントであるとされているので、きのこ栽培において最適とされている培地の水分率である72パーセントとの差を解消するためには、栽培びん一本当たり約50グラムのコーンコブを20〜30グラムのとうもろこし茎の粉砕物に置き換えることになる。
【0019】
以上の説明にあるとおり、本実施形態にかかる培地によれば、栽培びんに所定重量で充てんされる培地における栄養材の重量を変えることなく、培地基材の重量のみを削減することができることに加え、従来のコーンコブのみからなる培地基材を用いた培地における含水率よりも高含水率を実現することが可能になり、きのこ栽培に適した培地を得ることができる。
【0020】
また、栽培びんに培地を充てんし、栽培びんのキャップを装着した後、栽培びん内の培地を高温殺菌する殺菌工程があるが、本実施形態における培地は含水率が高いので、栽培びん中に充てんされている培地の熱伝導が良好になり、培地の殺菌効率を向上させることができる。これにより殺菌工程に要する時間およびこれに伴う燃料消費等のエネルギー費を大幅に削減することができる。
また、培地の殺菌処理後には栽培びん中の培地に種菌を接種し、培養工程に入る。本実施形態においてはおが粉タイプの種菌を用いた。人工栽培においては、効率的な生産のためにトレイに栽培びんを複数本収納して取り扱いがなされる。このため、培養時においてはきのこ菌の培養に伴う発熱が発散せず、高温障害を生じることがある。このような高温障害を防ぐため、培養工程においては、培養室内を換気したり、エアコン(クーラー)を使用して栽培びんを冷却する処理を行っているが、本実施形態のように高含水率の培地を採用することにより、栽培びんの熱容量を増やすことができる。すなわち、各々の栽培びんにおける温度上昇そのものを抑えることができ、栽培びんを冷却する際に必要なエネルギーを削減することができる。
【0021】
上記に説明したとおり、本実施形態にかかる培地を用いることにより、培地の水分率として理想的といえる水分率68〜72パーセントに維持することができ、各生産工程において必要となる化石燃料や電力などに代表されるエネルギーの消費量を大幅に削減することができる。また、栽培びんに充てんする培地基材の量を削減できると共に、とうもろこし茎の粉砕物が、栄養分としてきのこに吸収されることになるので、きのこ栽培後における培地の廃棄量を削減することができる。
以上のことから、きのこの収量を大幅に向上させることができると共に低コストでのきのこ栽培が可能になり、きのこ栽培者の収益性を向上させることができる。
【0022】
以上に説明したとおり、本実施形態における培地基材とこれを用いた培地を採用することにより、きのこ生産の始まりから終わりにわたってすべての工程において従来技術に比べて省エネルギー化が可能になると共に、きのこの収量も増やすことができることから極めて有効な培地であることが諒解される。
【0023】
(実施例)
表1は、850ccの栽培びんを用いたきのこ栽培の実験に使用した培地の水分率と培地の内訳を示したものである。表2は、培地の水分率に応じたきのこの栽培条件およびきのこの収穫結果を示すものである。表3は、水分率62パーセントの培地と、水分率75パーセントの培地における殺菌工程を想定した到達温度と所要時間を示すものである。表4は、培地の水分率の違い(とうもろこし茎の使用量の差)による廃培地の乾物量の差を示すものである。
【表1】


【表2】


【表3】


【表4】

【0024】
栽培びんに充てんする培地へのとうもろこし茎の粉砕物の混合量に合わせて、培地の含水率を67〜75パーセントに設定してえのき茸栽培を行った。栽培びんへの培地充てん量は詰め重量が610グラムとなるように管理している。栽培びんへの培地の充てんは、従来の培地の充てんと同様にして行うことができた。
【0025】
培地特性を示す表1について説明する。培地における栄養材の量は水分率にかかわらず124グラムとしている。培地の水分率が67パーセントのものは、とうもろこし茎を使用せず、コーンコブ103グラムのみにより培地基材が構成されている。また、水分率が68パーセントの培地は、コーンコブ92グラムととうもろこし茎4グラムにより培地基材をなし、含水率67パーセントの培地基材に比べて培地基材量が現物重量で7グラム、乾物重量で6グラム削減され、現物重量が削減分に相当する重量の水が増加している。以下同様にして、含水率69〜75パーセントの培地においては、含水率を1パーセント増加するごとに、コーンコブ10〜11グラムがとうもろこし茎4グラムに置き換えられることになる。そして、コーンコブととうもろこし茎との重量差分に相当する水分増加している。すなわち、培地の含水率が高くなると、現物量および乾物量が徐々に減少することが諒解される。
【0026】
表1にある培地を栽培びんに充てんした後、24時間における栽培びん内における水分移動(栽培びんの上部と下部における含水率の差を水分移動としている)は、含水率72パーセントの培地において1パーセント以下であり、含水率75パーセントの培地において2パーセントであった。このことは、とうもろこし茎の保水性がコーンコブの保水性よりも優れていることを示す。
【0027】
栽培びんに培地を充てんした後、殺菌工程を行うが、本実施形態においては水分率62パーセントの培地と水分率75パーセントの培地を用いて実験を行った。温度計測条件は、温度センサを栽培びんの培地内に10cm差し込んだ状態で計測した。表3にそれぞれの培地における温度上昇の変遷を示す。
表3によると、殺菌温度である98.6℃までの間における中間温度に到達するまでの所要時間はいずれの中間温度においても、水分率75パーセントの培地のほうが短時間であった。培地の温度を殺菌温度までに上昇させるための所要時間差においては、64分差となった。このことから水分率が高い培地であれば殺菌に要する時間を大幅に短縮することができるため、燃料代の節約に貢献することが明らかになったといえる。
【0028】
殺菌工程を終えた後、培地にえのき茸の種菌を接種し、培養工程にてきのこ菌を培養した。本実施例においてはおが粉タイプの種菌を用いた。培養工程においては、栽培びん内の最高温度が19〜19.5℃の範囲になるように培養室の温度を設定する必要がある。本実施形態においては、含水率69パーセント以下の栽培びんに対しては室温13.8℃とした。これに対して、含水率が70パーセント以上の栽培びんにおいては、室温14.8℃設定にしても高温障害を生じさせることなく培養することができた。また、それぞれの室温における培養工程に要した時間は、室温を13.8℃に設定した栽培びんにおいては26日間、室温を14.8℃に設定した栽培びんにおいては25日間を要した。培養工程においては、含水率74,75パーセントの培地で、低部の菌回りに遅れを生じているものが散見された。
【0029】
培養工程を終えた後、菌かきを行い、一旦菌の生育を抑制した後、生育工程にてきのこを生育させた。生育工程においては、子実体が真っ直ぐに成長するように、巻紙を栽培びんに装着した。また、菌かき以降の栽培条件は含水率にかかわらず同一条件下で栽培した。
以上の栽培条件下で収穫したえのき茸の収量は、表2に示すとおりである。含水率68パーセント以上の培地で栽培したえのき茸は、従来の培地(含水率67パーセント)で栽培されたえのき茸に比べて収量が増加していることが諒解される。えのき茸の品質については、含水率74パーセントおよび75パーセントの培地で栽培したえのき茸は他の含水率の培地で栽培したえのき茸よりも若干品質が劣っているようにも見受けられたが、販売商品としての品質は十分に満足していた。
含水率が69〜71パーセントの培地で栽培したえのき茸は、収量および品質共に従来の培地で栽培したえのき茸よりも顕著に向上している。
【0030】
きのこ栽培後における廃培地について表4に基づいて検討する。
表4より、培地の水分率を高めることにより培地に使用する資材量を削減することができるのはもちろん明らかであるが、廃培地の量を比較すると、とうもろこしの茎を用いない培地における詰め込み時の乾物量に対する廃培地の乾物量の減少率に比較して、とうもろこしの茎を用いた培地における詰め込み時の乾物量に対する廃培地の乾物量の減少率の方が高くなっていることから、きのこの成長によってとうもろこしの茎が栄養分として吸収されているということがいえる。
【0031】
以上実施形態に基づいて本願発明について詳細に説明してきたが、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態であっても本願発明の技術的範囲に属することはもちろんである。例えば、以上の実施形態において培地に接種している種菌は、おが粉タイプの種菌を用いているが、種菌として液体種菌を用いることもできる。液体種菌は種菌そのものが水分を含有しているため、殺菌工程前における培地の水分率を67〜71パーセントに調整することで、おが粉タイプの種菌を接種した場合と同様のきのこ栽培用培地の状態(培地の水分率と同じ水分率の状態)を得ることができる。液体種菌を用いる場合であっても、きのこ栽培用培地の水分率の調整以外における栽培工程は、おが粉タイプの種菌を用いた上記実施形態と同様にして行うことができるため、液体種菌を用いた場合のきのこの栽培方法についての詳細な説明は省略している。
また、上記実施形態においては、栽培びんによるきのこ栽培について説明しているが、培地を袋に充てんしてきのこ栽培を行う菌床栽培においても本願発明を適用することができるのはもちろんである。
【0032】
また、上記実施形態におけるきのこの栽培方法は、コーンコブ、とうもろこしの茎からなる培地基材の編成から生育させたきのこを収穫するまでの一連のきのこの栽培方法について説明しているが、この栽培方法に限定されるものではない。例えば、いわゆるきのこの培養センターで行われる工程についても本願発明の技術的範囲に属するものである。具体的には、コーンコブ、とうもろこしの茎からなる培地基材と、栄養剤の混合体からなるきのこ栽培用培地を組成する工程と、きのこ栽培用培地の水分を所定水分率となるように調整する工程と、水分調整されたきのこ栽培用培地を殺菌する工程と、殺菌されたきのこ栽培用培地にきのこの種菌を接種する工程と、種菌を接種したきのこ栽培用培地を培養する工程と、を生育工程の前に行うきのこの栽培方法である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
きのこ栽培に用いる培地基材であって、
とうもろこしの茎の粉砕物を含むことを特徴とするきのこ栽培用培地基材。
【請求項2】
きのこ栽培に用いる培地基材であって、
コーンコブと、とうもろこしの茎の粉砕物とを混合してなることを特徴とするきのこ栽培用培地基材。
【請求項3】
請求項1または2記載のきのこ栽培用培地基材に、栄養材を添加することにより構成されていることを特徴とするきのこ栽培用培地。
【請求項4】
水分率を68〜72パーセントとしたことを特徴とする請求項3記載のきのこ栽培用培地。
【請求項5】
コーンコブ、とうもろこしの茎からなる培地基材と、栄養材とを混合してきのこ栽培用培地とする工程と、
該きのこ栽培用培地の水分率を68〜72パーセントに調整する工程と、
前記水分調整されたきのこ栽培用培地を殺菌する殺菌工程と、
前記殺菌されたきのこ栽培用培地に種菌を接種する工程と、
前記種菌を接種した後のきのこ栽培用培地を培養する工程と、を生育工程の前に行うことを特徴とするきのこの栽培方法。
【請求項6】
コーンコブ、とうもろこしの茎からなる培地基材と、栄養材とを混合してきのこ栽培用培地とする工程と、
該きのこ栽培用培地の水分率を68〜72パーセントに調整する工程と、
前記水分調整されたきのこ栽培用培地を殺菌する殺菌工程と、
前記殺菌されたきのこ栽培用培地に種菌を接種する工程と、
前記種菌を接種した後のきのこ栽培用培地を培養する工程と、
前記培養されたきのこ栽培用培地を菌かきする工程と、
前記菌かきしたきのこ栽培用培地からきのこの子実体を生育させる生育工程を行った後、生育させたきのこを収穫することを特徴とするきのこの栽培方法。
【請求項7】
コーンコブ、とうもろこしの茎からなる培地基材と、栄養材とを混合してきのこ栽培用培地とする工程と、
該きのこ栽培用培地の水分率を67〜71パーセントに調整する工程と、
前記水分調整されたきのこ栽培用培地を殺菌する殺菌工程と、
前記殺菌されたきのこ栽培用培地に液体種菌を接種する工程と、
前記液体種菌を接種した後のきのこ栽培用培地を培養する工程と、を生育工程の前に行うことを特徴とするきのこの栽培方法。
【請求項8】
コーンコブ、とうもろこしの茎からなる培地基材と、栄養材とを混合してきのこ栽培用培地とする工程と、
該きのこ栽培用培地の水分率を67〜71パーセントに調整する工程と、
前記水分調整されたきのこ栽培用培地を殺菌する殺菌工程と、
前記殺菌されたきのこ栽培用培地に液体種菌を接種する工程と、
前記液体種菌を接種した後のきのこ栽培用培地を培養する工程と、
前記培養されたきのこ栽培用培地を菌かきする工程と、
前記菌かきしたきのこ栽培用培地からきのこの子実体を生育させる生育工程を行った後、生育させたきのこを収穫することを特徴とするきのこの栽培方法。

【公開番号】特開2009−254351(P2009−254351A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−53393(P2009−53393)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(502131316)有限会社三幸商事 (2)
【出願人】(308005040)有限会社金丸物産金井きのこ園 (1)
【Fターム(参考)】