説明

くじ引きシステム、くじ引き方法及びRFタグ

【課題】 紙資源の無駄を出さず、また個人データの入力を必要としないくじ引きシステム、くじ引き方法及びRFタグを提供する。
【解決手段】 シリアルIDを有するタグ端末300を搭載した名札を付けてホストアンテナ部306の通信エリアに集まり、次にホスト制御部302を用いて各タグ端末300からのシリアルIDを読み出しホストメモリ部303に記憶させる。次にホスト制御部302を用いて乱数を発生させ、当たり等の順位情報をシリアルIDと関連付けて作成し、各タグ端末300に送信し、タグ端末が持つ不揮発性のタグ表示部313に当たり等の順位情報を表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示手段を備えたRFタグを用いたくじ引きシステム、くじ引き方法及びRFタグに関する。
【背景技術】
【0002】
くじ引きは、商店の記念セールや、福引き、縁日など、広い範囲で行なわれている。これらくじ引きについてはいろいろなくじ引き方法が提案されている。例えば、一般に用いられているくじ引き方法としては、特許文献1にあるように、紙上に印刷された順位情報を、別に設けられた表示を隠す紙と重ねておき、くじを引いた後、くじ引き者がこの隠す紙をはがして順位情報を確認する方法が知られている。
【0003】
また、特許文献2では、全てオンラインでくじ引きを行ない、くじの購入、抽選、当たりの時の配当など、全て顧客端末より操作できるようにした方法が提案されている。
【0004】
また、特許文献3では、ICカードを用い、くじ購買者の暗証番号、個人データ等を販売店舗等に設置した端末機にて記録し、これらのデータをくじシステムのデータセンタのホストコンピュータに送信して該購買者に対するくじ番号を決定し、前記暗証番号、個人データ等とともに前記くじ番号も記憶させ、当選番号の決定後、記憶されていたデータをもとに配当を行なうくじシステムが提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−166682号公報
【特許文献2】特開2002−73881号公報
【特許文献3】特開平7−262325号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示された、紙上に印刷された順位情報を記したくじを用いたくじ引きシステムを用いた場合、くじ引き終了後のくじは通常廃棄されるため、紙資源の無駄が発生するという問題があった。また、開封のために切り離された接着代は、ごみとして周囲に捨てられる場合があり、環境面でも問題があった。
【0007】
また、特許文献2に示されたオンラインくじサービスシステムを用いた場合、くじに関する操作が全てオンライン化されているため、形あるものに触れることなくくじ引きが行なわれるため、興趣に欠けるという問題があった。
【0008】
また、特許文献3に示されたシステムでは、ICカードという実体を用いるため、くじ引き操作に現実感が得られるという利点は有しているが、ICカードで個人を認証するためにパスワードなどの情報を入力する必要があり、面倒かつプライバシーが侵害されるおそれがあるという問題があった。
【0009】
そこで本発明は、紙資源の無駄を出さず、かつ形あるものを用い、さらに個人認証データの入力を必要としないくじ引きシステム、くじ引き方法及びRF(Radio Frequency)タグを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のくじ引きシステムは、不揮発性の記憶部もしくは、電池によりバックアップされ等価的に不揮発性を有する記憶部を備え、シリアルIDを割り付けられた単独もしくは複数のRFタグと、予め設定されているくじ順位の制御情報に基づいて、前記RFタグのシリアルIDに対応したくじの順位情報を発生させるホストコンピュータと、前記RFタグに割り付けられている前記シリアルIDを読み出し、前記ホストコンピュータに出力するとともに、前記ホストコンピュータから出力された前記シリアルIDと前記シリアルIDに対応したくじの順位情報を受信し前記RFタグに出力する第1リーダ・ライタと、前記RFタグが前記シリアルIDに対応したくじの順位情報を不揮発性の記憶部もしくは、電気的にバックアップされ等価的に不揮発性を持つ記憶部に記憶した後、前記RFタグに表示要求信号を出力する第2リーダ・ライタと、前記第2リーダ・ライタからの表示要求信号を受けて、くじの順位情報を表示する、前記RFタグに付随した表示部とを有している。
【0011】
この構成によれば、等価的に不揮発性を持つ記憶部を有しているため、各RFタグにシリアルID情報を不揮発的に保持することができる。そのため、各RFタグから、第1リーダ・ライタを経由してホストコンピュータにシリアルIDを送信し、ホストコンピュータにより各シリアルIDと関連付けられたくじの順位情報を発生することができる。
【0012】
ホストコンピュータが発生した、各シリアルIDと関連付けられたくじの順位情報は各RFタグに送信され、各RFタグに付随した表示部により表示される。
【0013】
このようにRFタグに直接当たり等の順位情報が表示されるため、くじ引きの結果を見るために表示端末まで足を運ぶ必要がなく、その場で順位情報を確認することができる。
【0014】
また、くじ引きの実行に際して、くじ引き人には暗証番号等、くじ引き人のプライバシーに関する情報を入力する必要がないのでくじ引き人のプライバシーを尊重した形でくじ引きを行なうことができる。さらに、くじ引き人は、くじとなるRFタグをくじ引き人自ら選ぶことができるため、くじ引き人が引きたいと思うくじを選んでくじ引きを行なうことができる。
【0015】
また、本発明のくじ引きシステムは、前記RFタグは繰り返し使用されることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、RFタグは繰り返し使用できるため、紙を使用したくじ引きシステムのように、くじ引きのたびごとにごみを出すことがない。
【0017】
また、本発明のくじ引きシステムは、前記第1リーダ・ライタと前記第2リーダ・ライタは同一のものであることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、くじ引き人は第1リーダ・ライタの送受信可能な領域と、第2リーダ・ライタの送受信可能な領域を移動することなく、一ヶ所でくじ引きを実行することができる。
【0019】
また、本発明のくじ引き方法は、表示装置を有する単独あるいは複数のRFタグに対して割り付けられている個々のシリアルIDを第1リーダ・ライタに送信するステップと、前記第1リーダ・ライタに送信された前記シリアルIDをホストコンピュータに伝送するステップと、前記ホストコンピュータに予め設定されているくじ順位の制御情報に基づいて、前記ホストコンピュータにより各シリアルIDに対応したくじの順位情報を発生させるステップと、前記順位情報を、前記ホストコンピュータから前記RFタグの前記第1リーダ・ライタに伝送するステップと、前記第1リーダ・ライタから前記順位情報を、前記RFタグに送信するステップと、送信された前記順位情報を前記RFタグの不揮発性の記憶部に記憶させるステップと、前記順位情報を前記記憶部に記憶させた前記RFタグを一つあるいは複数個第2リーダ・ライタの通信圏に配置するステップと、前記ホストコンピュータの入力インターフェースに与えられた表示要求信号により、前記ホストコンピュータが、前記第2リーダ・ライタを経由して表示要求信号を前記RFタグに送信し、前記RFタグの前記タグ記憶部に記憶されている前記順位情報を前記表示装置により表示させるステップとを備えている。
【0020】
この方法によれば、RFタグに直接当たり等の順位情報が表示されるため、くじ引きの結果を見るために表示端末まで足を運ぶ必要がなく、その場で順位情報を確認することができる。また、当たり等の確率をくじ引き直前まで変えることができるため、景品の過不足等の問題を生じることなくくじ引きを行なうことができる。
【0021】
また、本発明のRFタグは、不揮発性の記憶部もしくは、電池によりバックアップされ等価的に不揮発性を有する記憶部と、前記RFタグごとに与えられるユニークなシリアルIDと、第1リーダ・ライタを経由してホストコンピュータに前記シリアルIDを送信する送信部と、前記ホストコンピュータより発信され前記第1リーダライタを経由して、前記シリアルIDに対応した順位情報を受信する受信部と、第2リーダ・ライタより送られてきた表示要求信号を受けて、くじの順位情報を表示する表示部とを有することを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、本発明のRFタグを上記くじ引きシステムに用いることにより、当たり等の順位情報を手元で確認することができる。また、当たり等の順位情報はリーダ・ライタから離れた場所であっても消失してしまうことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明を具体化した一実施形態について説明する。本実施形態は、新製品発表会のように多数の人が胸に名札をつけて集まっている状況で行なわれるくじ引きであって、名札の一部に電気泳動表示素子を用いたRFタグが付けられており、適当な時刻にくじ引きが行なわれ、その時刻に発表会会場にいた人を対象として行なわれるくじ引きについての実施形態である。
【0024】
以下本実施形態について図面を参照して説明する。図1は、ホストコンピュータ及びリーダ・ライタの構成を示す構成図である。
【0025】
ホストコンピュータ100は、CPU101、ROM102、RAM103、入力インターフェース部105、出力インターフェース部106を備え、これらは、バス部104を介して接続されている。
またホストコンピュータ100の入力インターフェース部105にはキーボードやマウス等からなる入力部107とリーダ・ライタ112の無線受信部110とが接続されており、出力インターフェース部106にはLCD( Liquid Crystal Display:液晶表示画面)等からなる表示部108とリーダ・ライタ112の無線送信部109とが接続されている。また、無線送信部109、無線受信部110には送信と受信を共用しているリーダ・ライタ112のアンテナ部111が接続されている。
【0026】
CPU101は入力されたデータ等を演算するものである。ROM102は読み出し専用メモリであり、CPU101が必要とするOS等の情報が記憶されている。RAM103はハードディスクやメモリ等により構成されており、例えばキーボード等からなる入力部107から入力インターフェース部105を通して与えられた当たり等の順位情報や、CPU101による乱数発生の演算結果等を一旦蓄えておくものである。
【0027】
入力インターフェース部105は、キーボード等の媒体から、読み取り装置などの入力部107に与えられる情報をホストコンピュータが扱える信号形式に変換するものであり、出力インターフェース部106は、ホストコンピュータ100より得られた情報等を表示部108で扱える形式に変換するものである。表示部108は、例えば液晶表示画面からなり、当たり等の順位情報を提示するものである。
【0028】
リーダ・ライタ112の無線送信部109は、無線通信を用いて、RFタグ200に情報の送信を行なうよう情報を変換するものである。無線通信用に変換された情報はアンテナ部111を介してRFタグ200に信号を送るアンテナ部201に送られる。また、無線送信部109は信号と共にRFタグ200を動作させるための電力も供給しており、アンテナ部111を介してRFタグ200が備えているアンテナ部211に電波の形式で電力を供給している。
【0029】
無線受信部110は、RFタグ200が備えているアンテナ部211から送信された無線情報をアンテナ部111により受信して、ホストコンピュータ100の入力インターフェース部105を介してホストコンピュータ100に情報を伝達するためのものである。
【0030】
図2は、RFタグの構成を示した構成図である。RFタグ200は、CPU201、ROM202、RAM203、EEPROM204、無線送信部206、無線受信部207、出力インターフェース208を備え、これらは、バス部209を介して接続されている。また出力インターフェース部208には電気泳動表示素子210が接続されている。また、無線送信部206、無線受信部207には送信と受信とで共用されているアンテナ部211が接続されている。また、アンテナ部211には、無線信号を元に電力を得るための電力生成部205が接続されている。
【0031】
電力生成部205は、アンテナ部211が受けた無線電波から電力を生成し、RFタグ200が動作するために必要な電力を供給する。CPU201は、無線受信部207からバス部209を経由して与えられる、ホストコンピュータ100からの情報等を処理するものである。ROM202は読み出し専用メモリであり、CPU201の動作に必要なプログラム等の情報が記憶されている。RAM203はメモリにより構成されており、例えばCPU201の演算結果等を一旦蓄えておくものである。EEPROM204は、電気的に記憶内容が変更可能なROMで、RFタグ200のシリアルIDやくじの順位情報等、ホストコンピュータ100からの電力供給が遮断された後でも保持しておくべき情報を蓄えておくものである。
【0032】
出力インターフェース部208は、CPU201から送られた情報等を電気泳動表示素子210で扱える形式に変換するものである。電気泳動表示素子210は、当たり等のRFタグ200に与えられた順位情報を提示するものである。
【0033】
無線送信部206は、無線通信を用いて、RFタグ200から情報の送信を行なえるよう情報を変換するものである。無線通信用に変換された情報はアンテナ部211を介してリーダ・ライタ112が備えているアンテナ部111に送られる。リーダ・ライタ112の無線受信部110は、RFタグ200が駆動するアンテナ部211から送信された無線情報をリーダ・ライタ112のアンテナ部111により受信して、ホストコンピュータ100の入力インターフェース部105を介してホストコンピュータ100に受信した情報を伝達するものである。
【0034】
図3は、ホストコンピュータを用いてタグ端末に順位情報を記憶・表示させるシステムのブロック図である。以下このブロック図に沿って説明を行なう。
【0035】
ホスト制御部302とホストメモリ部303は図1におけるホストコンピュータ100に対応するものであり、くじ引き開始指示部301からの信号を受けてホスト制御部302はくじ引きシステムの実行を開始するものである。ホストメモリ部303は、ホスト制御部302のOSや、ホスト制御部302から送られてきた情報を一時記憶するためのメモリであり、図1に記載のROM102及びRAM103に対応している。
【0036】
ホスト受信部304とホスト送信部305とホストアンテナ部306は、図1におけるリーダ・ライタ112に属するもので、ホスト受信部304は無線受信部110に、ホスト送信部305は無線送信部109に、ホストアンテナ部306はアンテナ部111にそれぞれ対応している。
【0037】
タグ端末300は、図2におけるRFタグ200に対応している。タグアンテナ部307は図2におけるアンテナ部211、タグ電力生成部308は図2における電力生成部205に対応している。同様にして、タグ受信部309は無線受信部207、タグ送信部310は無線送信部206、タグ制御部311はCPU201、タグメモリ部312は、ROM202とRAM203とEEPROM204、タグ表示部313は出力インターフェース部208と電気泳動表示素子210、にそれぞれ対応している。
【0038】
くじ引き開始指示部301はまず、ホスト制御部302にくじ引き開始を指示するくじ引き開始信号を送信する。くじ引き開始指示部301から信号を受けたホスト制御部302は、ホスト送信部305に、タグ端末300に当該タグ端末300のシリアルIDを送信させる指示信号を送信する。
【0039】
指示信号を受けたホスト送信部305は、指示信号を電波に変換し、ホストアンテナ部306を通して、タグ端末300のタグアンテナ部307に送信する。ここで、タグアンテナ部307に受信された電波から、タグ電力生成部308により、タグ端末300を動作させるための電力が生成され、タグ電力生成部308から供給された電力によってタグ端末300は電気的動作を開始する。
【0040】
タグ電力生成部308から電力の供給を受け、電気的動作を開始したタグ端末300は、タグアンテナ部307を通して指示信号を受信する。タグアンテナ部307から指示信号を受けたタグ受信部309は、電波の形式で受けた指示信号をタグ制御部311が認識できる信号形式に変換した後、タグ制御部311に指示信号を送信する。
【0041】
指示信号を受けたタグ制御部311は、タグメモリ部312からシリアルIDを受信する。なお、シリアルIDは不揮発性メモリ中に記憶されており、タグ端末への電波の供給が止まっていても記憶は保持されている。
【0042】
シリアルIDを受信したタグ制御部311は、シリアルIDをタグ送信部310に送信する。そしてシリアルIDを受信したタグID送信部310は、指示信号を電波に変換し、タグアンテナ部307を通してホストアンテナ部306に送信する。ここで、ホストアンテナ部306で受信したシリアルIDは、ホスト受信部304により電波の形式で受けた指示信号をホスト制御部302が認識できる信号形式に変換した後、ホスト制御部302に送信される。
【0043】
シリアルIDを受信したホスト制御部302は、シリアルIDをホストメモリ部303に記憶させる。その後、ホスト制御部302は、シリアルIDをホストメモリ部303に記憶させたという信号をタグ端末300に送信する。
【0044】
信号は、ホスト送信部305、ホストアンテナ部306、タグアンテナ部307、タグ受信部309を経由して、タグ制御部311に送信される。続けて、タグ制御部311は不揮発性の表示装置を用いたタグ表示部313に、ホストメモリ部303にシリアルIDが受信されたことを表示させる(例えば、タグ表示部313の画面に「くじ引き中」等と表示させる)。
【0045】
なお、タグ端末300が複数ある場合には、同様な処理を各タグ端末300毎について行ない、送受信可能なタグ端末300のシリアルIDを全てホストメモリ部303に記憶する。この際、タグ表示部313の表示が、ホストメモリ部303にシリアルIDが受信された状態への表示に切り替わっていないタグ端末300が存在した場合、そのタグ端末300を改めてホストアンテナ部306のそばに配置、具体的にはくじ引き人がホストアンテナ部306のそばにくるようにした後、再度くじ引き開始指示部301からホスト制御部302にくじ引き開始を指示するくじ引き開始信号を送信する。
【0046】
対象となる全てのタグ端末300と通信できた状態とした後、ホスト制御部302は、ホストメモリ部303に予め記憶してある、当たり等の確率情報を元に、乱数等を用いて各シリアルIDに当たり等の順位情報を割り付け、タグ端末300にシリアルIDと関連付けられた順位情報を送信する。
【0047】
ホスト制御部302から出力されたシリアルIDと関連付けられた順位情報は、ホスト送信部305、ホストアンテナ部306、タグアンテナ部307、タグ受信部309を経由してタグ制御部311に送信される。
【0048】
タグ制御部311は、タグ受信部309から送られてきた信号を判断し、タグ端末300のシリアルIDと同じシリアルIDに割り付けられている順位情報を受け取ったときのみ、順位情報をタグメモリ部312にある不揮発性メモリに順位情報を記憶させる。
【0049】
次に、くじ引き開始指示部301はホスト制御部302にくじ引き開票信号を送信する。くじ引き開票信号を受信したホスト制御部302は、くじ引き開票信号をホスト送信部305、ホストアンテナ部306、タグアンテナ部307、タグ受信部309を経由して、タグ制御部311に送信する。タグ制御部311は、不揮発性の表示装置を用いたタグ表示部313に順位情報を表示させるよう命令を送信する。
【0050】
次に、くじ引きを実行するステップをフローチャートを用いて説明する。図4は本発明のくじ引きシステムのブロック図である図3の構成を用いてくじ引きを実行する時のフローチャートである。
【0051】
まず、ステップS1では、くじ引き開始前に、ホストアンテナ部306のそばにタグ端末300を集めるように配置する。くじ対象者の胸にピンで付けられた名札上にタグ端末300が設置されている本実施形態では、くじ対象者にホストアンテナ部306の通信エリア内に集まってもらうことで実現される。
【0052】
次にステップS2では、くじ引き開始指示部301よりくじ引き開始信号を受けたホスト制御部302は、ホスト送信部305、ホストアンテナ部306、タグアンテナ部307、タグ受信部309を経由して、タグ制御部311にくじ引き開始信号を送信する。
【0053】
次にステップS3では、タグ制御部311は、この信号を受けてタグメモリ部312からシリアルIDを読み出す。
【0054】
シリアルIDを読み出したタグ制御部311は、タグ送信部310、タグアンテナ部307、ホストアンテナ部306、ホスト受信部304を経由してホスト制御部302にシリアルIDを送信する。
【0055】
次にステップS4では、ホスト制御部302は、タグ端末300のシリアルIDを受信した後、シリアルIDが伝達されたことを示す信号をタグ端末300に送信する。ホスト制御部302は、シリアルIDが伝達されたことを示す信号をホスト制御部302から、ホスト送信部305、ホストアンテナ部306、タグアンテナ部307、タグ受信部309を経由してタグ制御部311に送る。
【0056】
次にステップS5では、シリアルIDを受信したという信号を受けたタグ制御部311は、タグ表示部313に、”くじ引き中”や”当たり決定中”という表示を出すようタグ表示部313に指示を送る。
【0057】
次にステップS6では、対象となる全てのRFタグ200のタグ表示部313の表示が、”くじ引き中”や”当たり決定中”になっていることを確認する。もし、”くじ引き中”になっていないタグ表示部313があった場合、当該RFタグ200を有する人がホストアンテナ部306のそばに行くようにするなどして、全てのタグ表示部313の表示が「くじ引き中」になるようにする。
【0058】
次にステップS7では、ホスト制御部302が発生した乱数等の情報と、予め与えられていた当たりの確率を用いて決定した当たり等の順位情報をシリアルID毎に割り付ける。例えば、1等の確率を百分の一にする場合、任意のシリアルIDに対応して、0から100の間でホスト制御部302で乱数を発生させ、乱数の値が0以上1未満であった場合、1等とすることで公平に当たりを振り分けることができる。なお、一等の確率を決める場合、くじの総数を元に確率を定めると都合がよい。例えば、1等の商品を5個用意し、くじ総数が75本あったとすれば、乱数を0から75までの範囲で発生させ、0以上5未満の値であったとき一等とすれば、くじ総数に対応した確率でくじ引きが可能となる。
【0059】
次に、ステップS8では、S7で各シリアルID毎に割り付けられた順位情報をタグ端末300に送信する。ホスト制御部302は、ホスト制御部302が生成した、シリアルID毎に割り付けられた順位情報を、ホスト制御部302からホスト送信部305、ホストアンテナ部306、タグアンテナ部307、タグ受信部309を経由して、タグ制御部311に送信する。
【0060】
次に、ステップS9では、くじ引き開始指示部301はくじ引き開票信号をホスト制御部302に送信する。くじ引き開票信号を受けたホスト制御部302は、くじ引き開票信号をホスト送信部305、ホストアンテナ部306、タグアンテナ部307、タグ受信部309を経由して、タグ制御部311に送信する。くじ引き開票信号を受信したタグ制御部311は、タグ表示部313に順位情報を表示させる信号を送信する。タグ表示部313は、この信号を受けて順位情報を、タグ表示部313に表示する。ここで、くじ対象者は自分のつけているタグ端末300が何等の当たりになっているのかなどを知ることとなる。
【0061】
次に、ステップS10では、順位情報に基づいて景品を配る等の処理を行ない、くじ引きが完了する。また、胸に付けていたタグ端末300は、くじ引き終了後に回収し、再びくじ引きに用いる。
【0062】
以上述べたようにしていくことで、くじ引きを行なうことができる。この方式を用いた場合、くじ引き時点で名札をつけて会場にいる人数を把握した状態でくじ引きが行なえるため、当たりの数を過不足なく配当できるため、当たりの品物が余ったり、不足したりすることなくくじ引きを行なうことが可能となる。
【0063】
以下、実施形態の効果を記載する。
【0064】
(1)RFタグ200に直接当たり等の順位情報が表示されるため、くじ引きの結果を見るために表示端末まで足を運ぶ必要がなく、その場で順位情報を確認することができる。
【0065】
(2)RFタグ200は再利用されるため、紙を用いたくじ引きと比べごみが発生しないため、環境負荷を小さくできる。また、紙を用いてくじ引きを行なうと当日の参加者の集まり具合で当たりの確率を変えることは困難であるが、本発明のくじ引きシステムを用いれば、くじ引き直前まで当たりの確率を調整できるため、賞品を過不足なく配布することができる。
【0066】
(3)リーダ・ライタ112をRFタグ200への順位情報書き込みとRFタグ200上での順位情報表示要請の両方の目的に用いているため、くじ引き人はリーダ・ライタ112のアンテナ部111の近傍にいるだけでくじ引きが実行でき、他のリーダ・ライタの通信可能領域に移動する必要がない。
【0067】
(4)RFタグ200の表示画面が、「くじ引き中」、「当たり決定中」等くじ引きが完了するまでに多岐にわたるメッセージを表示させることが可能であるため、くじ引き人が退屈することなく、順位決定を待つことができる。
【0068】
(5)RFタグ200の表示画面を用いることで当たり等の順位情報を手元で確認することができる。また、当たり等の順位情報はリーダ・ライタから離れた場所であっても消失してしまうことがない。
【0069】
(変形例1)前記実施形態では、一つのリーダ・ライタ112をRFタグ200にくじの順位情報を不揮発性の記憶装置に記憶させる動作と、RFタグ200に表示要求信号を出力させる動作を行なわせているが、これは、別のリーダ・ライタを用いて行なってもよい。例えば福引き等に本発明を適用する場合、福引き人に福引き券の枚数分だけ第1のリーダ・ライタにより書き込み済みのRFタグを選んでもらい、別の場所に設けられた、表示要求信号を出力させる第2のリーダ・ライタの受信圏に運びRFタグの表示を参照することで、紙を用いた福引きと同等の興趣を実現することができる。
【0070】
(変形例2)前記実施形態では、RFタグ200にくじの順位情報を記憶させるときにEEPROM204に記憶させているが、これは必ずしもEEPROMという記憶装置を用いなくとも良い。例えば、電気泳動表示素子210に情報を表示させ、その後電気泳動表示素子210への駆動を停止し、電気泳動表示素子210のメモリ効果を用いて記憶する手段などを用いても良く、電波の供給が途絶えてもくじの順位情報が保持できる手段であれば用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】ホストコンピュータの構成を示す構成図。
【図2】RFタグの構成を示した構成図。
【図3】タグ端末に順位情報を記憶・表示させるためのブロック図。
【図4】くじ引きを実行するときのフローチャート。
【符号の説明】
【0072】
100…ホストコンピュータ、101…CPU、102…ROM、103…RAM、104…バス部、105…入力インターフェース部、106…出力インターフェース部、107…入力部、108…表示部、109…無線送信部、110…無線受信部、111…アンテナ部、112…リーダ・ライタ、200…RFタグ、201…CPU、202…ROM、203…RAM、204…EEPROM、205…電力生成部、206…無線送信部、207…無線受信部、208…出力インターフェース部、209…バス部、210…電気泳動表示素子、211…アンテナ部、300…タグ端末、301…くじ引き開始指示部、302…ホスト制御部、303…ホストメモリ部、304…ホスト受信部、305…ホスト送信部、306…ホストアンテナ部、307…タグアンテナ部、308…タグ電力生成部、309…タグ受信部、310…タグ送信部、311…タグ制御部、312…タグメモリ部、313…タグ表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性の記憶部もしくは、電池によりバックアップされ等価的に不揮発性を有する記憶部を備え、シリアルIDを割り付けられた単独もしくは複数のRFタグと、
予め設定されているくじ順位の制御情報に基づいて、前記RFタグのシリアルIDに対応したくじの順位情報を発生させるホストコンピュータと、
前記RFタグに割り付けられている前記シリアルIDを読み出し、前記ホストコンピュータに出力するとともに、前記ホストコンピュータから出力された前記シリアルIDと前記シリアルIDに対応したくじの順位情報を受信し前記RFタグに出力する第1リーダ・ライタと、
前記RFタグが前記シリアルIDに対応したくじの順位情報を不揮発性の記憶部もしくは、電気的にバックアップされ等価的に不揮発性を持つ記憶部に記憶した後、前記RFタグに表示要求信号を出力する第2リーダ・ライタと、
前記第2リーダ・ライタからの表示要求信号を受けて、くじの順位情報を表示する、前記RFタグに付随した表示部とを有することを特徴とするくじ引きシステム。
【請求項2】
前記RFタグは繰り返し使用されることを特徴とする請求項1に記載のくじ引きシステム。
【請求項3】
前記第1リーダ・ライタと前記第2リーダ・ライタは同一のものであることを特徴とする請求項1に記載のくじ引きシステム。
【請求項4】
表示部を有する単独あるいは複数のRFタグに対して割り付けられている個々のシリアルIDを第1リーダ・ライタに送信するステップと、
前記第1リーダ・ライタに送信された前記シリアルIDをホストコンピュータに伝送するステップと、
前記ホストコンピュータに予め設定されているくじ順位の制御情報に基づいて、前記ホストコンピュータにより各シリアルIDに対応したくじの順位情報を発生させるステップと、
前記順位情報を、前記ホストコンピュータから前記第1リーダ・ライタに伝送するステップと、
前記第1リーダ・ライタから前記順位情報を前記RFタグに送信するステップと、
送信された前記順位情報を前記RFタグの不揮発性の記憶部もしくは電池によりバックアップされ等価的に不揮発性を有する記憶部に記憶させるステップと、
前記順位情報を前記記憶部に記憶させた前記RFタグが一つあるいは複数個第2リーダ・ライタの通信圏外に存在している時、通信圏外にある前記RFタグを第2リーダ・ライタの通信圏に配置するステップと、
前記ホストコンピュータの入力インターフェースに与えられた表示要求信号により、前記ホストコンピュータが、前記第2リーダ・ライタを経由して表示要求信号を前記RFタグに送信し、前記RFタグの前記タグ記憶部に記憶されている前記順位情報を前記表示機能により表示させるステップとを備えたくじ引き方法。
【請求項5】
請求項1に記載のくじ引きシステムに用いられるRFタグであって、
不揮発性の記憶部もしくは、電池によりバックアップされ等価的に不揮発性を有する記憶部と、
前記RFタグごとに与えられるユニークなシリアルIDと、
第1リーダ・ライタを経由してホストコンピュータに前記シリアルIDを送信する送信部と、
前記ホストコンピュータより発信され前記第1リーダライタを経由して、前記シリアルIDに対応した順位情報を受信する受信部と、
第2リーダ・ライタより送られてきた表示要求信号を受けて、くじの順位情報を表示する表示部とを有することを特徴とするRFタグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−79232(P2006−79232A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−260554(P2004−260554)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】