説明

ごみ分別ゲーム装置

【課題】ごみ分別ゲームとして、ごみの実物を所定のごみ箱に投入できたかを競う方式では、広いスペースと専門の審判員が必要となる。ランプ表示されたごみをどの分別先へ投入すべきか押しボタンで指定する方式ではごみ種別と分別先が固定されてしまう。
【解決手段】 表示部21にごみ分別データ記憶部16からごみの絵とごみ分別アイテムを表示し、分別アイテムを指定することにより判定部23で正解・不正解を判定し、得点表示がなされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ごみの分別知識をゲームによって習得することを可能としたごみ分別ゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各自治体では、各家庭などから排出されるごみの再利用並びに環境悪化防止を目的として、厳格に区分けして設定されている分別アイテムに沿ったごみの分別排出の徹底を図っている。このため、ごみの分別率の向上は各自治体から市民へ行うべき啓蒙の中でも重要なテーマの一つである。
【0003】
自治体では、啓蒙施設としてリサイクルプラザと呼ばれるような施設を建設し、ごみ問題や分別の大切さ、正しい分別排出方法について教育・啓蒙する場合が増加している。特に、正しい分別については大人のみならず子供にとっても必要な知識であるため、ゲーム形式で啓蒙しているケースもある。
【0004】
ごみの分別ゲームとしては、次のような2種類の方法が知られている。すなわち、第1に実物のごみを用いてゲーム形式で得点を競う方法である。参加者が実物のごみを持って分別されたごみ箱に入れ、正しく分別されたごみ箱に投入したか否かを審判が判定して採点する形態である。
【0005】
また、第2の方法はエレメカ版の分別ゲームである。これは自治体の啓蒙施設のホールなどに設置されている横が約3〜4m、高さが約2mの装置であるが、パネルの一面に例えば、縦3列、横4列の12種類のいろいろなごみの絵が描かれており、各ごみの絵の下にはランプが設けられている。このパネルに連接した他のパネルには例えば6種類の分別アイテムが押しボタンとともに描かれている。そしてこの押し分別ボタンパネルの下方には正解者へ渡されるおまけグッズ取り出し口が設けられている。
【0006】
ゲーム参加者は、別途設けられているスタートボタンを押すと、ごみの絵のパネルのいずれかのごみランプが点灯する。ゲーム参加者はこのランプが点灯しているごみがどの分別アイテムに対応しているか判断してその分別アイテムの押しボタンを押す。パネルからは正解・不正解の音声が流れるとともに、正解の場合にはシールなどのおまけグッズが出てくるような構成である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した第1の分別ゲームは、ゲームを開催するために必要な広いスペース、多種類の実際のごみと分別ごみ箱、並びに正確な分別知識を有する審判員が必要であって、簡単に開催することは困難であった。
【0008】
また、第2の分別ゲームは、物理的な筐体・パネルに複数のごみを固定的に描き、分別アイテムについても同様に何種類かの分別アイテムを固定的に設定されており、これらのごみと分別アイテムについて一通りゲームを終了してしまうと、終了となり他のごみや分別アイテムへの拡張性がないため教育的効果は低かった。
【0009】
同様な理由によって、自治体においてごみの分別方法が変更になった場合には、筐体やパネルを作り替える必要があり、メンテナンス性が悪かった。また、多くの人に利用してもらうためには大きな装置を複数台用意する必要があり、床設置面積もとられコスト面でも多大な出費増となった。
【0010】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、ごみや分別アイテムの数にほぼ制限なく拡張可能であり、装置が小さくでき、多数の装置を安価に設置することが可能なごみ分別ゲーム装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1に係わるごみ分別ゲーム装置は、異なるごみ名称の各々をごみ分別アイテムに関連付けて格納するごみ分別データ記憶手段と、前記ごみを表示するとともに前記ごみ分別アイテムを前記ごみの表示と同一画面に表示する表示手段と、前記表示手段に表示されたごみが前記ごみ分別アイテムのいずれに該当するかを指定するごみ分別アイテム指定手段と、前記表示されたごみが前記ごみ分別アイテム指定手段にて指定されたごみ分別アイテムに該当するか否かの正解・不正解を判定する判定手段とを具備することを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項2に係わるごみ分別ゲーム装置は、前記ごみ分別データ記憶手段には、前記ごみ毎に設定された得点データが記憶されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項3に係わるごみ分別ゲーム装置は、前記得点データが、前記ごみの種類によって異なる如く設定されていることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項4に係わるごみ分別ゲーム装置は、前記ごみ分別データ記憶手段には、前記ごみを表現する図形データが記憶されていることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項5に係わるごみ分別ゲーム装置は、前記ごみ分別データ記憶手段には、前記ごみ毎に廃棄にあたっての注意事項データが格納されていることを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項6に係わるごみ分別ゲーム装置は、前記表示手段が、複数の異なるごみ毎に前記判定手段にて判定される判定結果を所定回数表示するとともに、これら所定回数の判定結果に基づき前記正解・不正解に応じた前記ごみ毎に設定されている得点データを加算した結果を表示する如く設定されていることを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項7に係わるごみ分別ゲーム装置は、前記ごみ分別データ記憶手段には、前記得点データを加算した結果に応じた成績コメントデータが記憶されていることを特徴とする請求項6記載のごみ分別ゲーム装置。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係わるごみ分別ゲーム装置は、パーソナルコンピュータを利用したゲームで、取り扱えるごみの種別数はほぼ制限がなく、同様にごみ分別アイテムについてもその取り扱い種類にほぼ制限はない。また、装置としても小型軽量にすることができ、更にインターネットのようなネットワーク上に公開することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に本発明に係わる一実施形態を図を参照して説明する。本発明に係わるごみ分別ゲーム装置のハードウェア構成の概要は、図1(a)に示すように、サーバコンピュータ11とこれに接続された複数のクライアントコンピュータ12から構成されたクライアント/サーバシステム、あるいは第1図(b)に示すように1台のパソコン13で動作可能なスタンドアロン構成の両方に対応可能である。第1図(a)に示したクライアント/サーバ構成の場合には、インターネット14に公開することも可能である。
【0020】
次に本発明に係わるごみ分別ゲーム装置のソフトウェア構成について図2を参照して説明する。サーバコンピュータ11あるいは図1(b)に示したスタンドアロン構成のパソコン13では、ごみ分別ゲームのアプリケーション本体15とごみ分別データ記憶部16によって構成されている。クライアント/サーバシステムの場合には、図2に示すように、更にサーバコンピュータ11にはウエッブサーバ17が、クライアントコンピュータ12には、ウエッブブラウザ18とフラッシュプラグイン19が構成されている。
【0021】
図3には本発明に係わる一実施形態のごみ分別ゲーム装置の更に具体的な構成を示してある。すなわち、制御部20は装置全体の制御を司るものであって、この制御部20にはごみ分別データ記憶部16が接続されている。このごみ分別データ記憶部16には、図10に示すような、分別アイテム、この分別アイテムに該当するごみ名称並びに各ごみ毎に設定されている得点に関するそれぞれのデータが格納されている。
【0022】
ここでは分別アイテムとしては9種類のアイテムを選択し、それぞれに対して具体的なごみ名称が格納されている。ここではごみ分別アイテムとして9区分をあげてあるが、更に自治体によって他の異なる区分体系であってもよい。ごみ毎の分別先についても、自治体によって異なるため、テキストファイルによって変更することが可能である。このごみ分別アイテムには、図10のNO.20〜22に示すように「収集できない」との区分も入れてある。また、具体的ごみ名称として22種類をあげてあるが、これは一例であって実際には80種類あるいはそれ以上のごみ名称が格納される。
【0023】
また、図示してはいないが、ごみ分別データ記憶部16には、図10に示した各ごみを表す絵のデータも格納されている。これは後述するように表示部に分別先を問う特定のごみを示す際に、子供でもそのごみを理解できるように、絵を表示するためのものである。更に、ごみ分別データ記憶部16には各種コメントデータも格納されている。
【0024】
図3に戻るが、制御部20には表示部21が接続されている。また、制御部20にはごみ分別アイテム指定部22、判定部23、得点算出部24が設けられている。後に詳述するが、表示部21には分別先を問う特定のごみの絵とごみ名称あるいはごみの絵のみが表示されるとともに、この表示部に合わせてごみ分別アイテム(図10に示した9区分)が表示される。ゲーム参加者は、表示部21に表示されているごみがいずれのごみ分別アイテムに分別すべきかをごみ分別アイテム指定部22にて回答する。
【0025】
判定部23では、回答された分別先が正しいか誤りかを判定し、判定結果が正解であればごみ毎に設定されている図10に示した得点が得点算出部24によって算出される。1回のゲームで例えば10種類のごみについて分別区分を問う場合には、この得点算出部24では10種類のごみ毎に正解・不正解に応じて得点を加算し、途中経過の累積点数並びに10回の合計点数を算出する。算出された点数は制御部20を介して種々の画面に表示される。
【0026】
さて、図4には本発明に係わる一実施形態の動作を示すフローチャートを示してある。ここでは1回のゲームが10種類のごみについて分別先を問うように設定されている。なお、図5〜図9は図4の各ステップにおける表示画面例を示すものである。
【0027】
先ず待機状態のタイトル画面から開始する(ステップ1)。このタイトル画面は図5に示すようにタイトル25とスタートボタン26から構成されている。参加者がスタートボタン25をクリックすると、出題画面の第1問の画面が現れ、この画面のごみの絵を見て正しい分別アイテムを指定する(ステップ2)。
【0028】
出題画面としては、図6に示すように分別先を考えるごみ、すなわち洋服の絵27が表示されており、その下方には9区分のごみ分別アイテム28が表示されている。表示画面の左上にはスコア29が表示されているが、これは前問までの累積得点を示すための項目である。また、右上の戻るボタンは前問以前へ戻る際に利用する。図6ではごみを示すために洋服の絵のみを表示したが、この絵とともに文字で洋服と併記することもできる。
【0029】
参加者はこの図6に示した表示画面にてごみである洋服は9区分の内のいずれの分別区分に排出すべきかを回答するが、9区分のいずれかをクリックすることにより回答を行う。回答の内容に応じて図3の判定部23にて正解・不正解の判定を行い、正解画面あるいは不正解画面が表示される(ステップ3)。
【0030】
本例のごみである「洋服」は、ごみ分別アイテムが「燃やせるごみ」が正解であり、正解画面30として図7(a)の画面が表示される。「燃やせるごみ」以外の他の回答の場合には図7(b)に示す不正解画面31が表示される。正解画面には○印とともに正解の「燃やせるごみ」の表示がなされ、不正解画面には×印とともに「正解は燃やせるごみ」が表示される。
【0031】
このようにして図4のステップを出題画面第10問まで連続して行い、それぞれ正解画面あるいは不正解画面を表示し、10問終了時には結果表示画面を表示する(ステップ4)。結果表示画面は図8に例示するように10問の得点合計、コメント、戻るボタンが表示される。
【0032】
10問の満点が100点の場合、図8(a)は100点の例であるが、コメントとして「パーフェクトだ」として賞賛し、図(b)の80点では「ほとんど正解だ」、図(c)の50点〜79点では「もう少しがんばってみよう」、図(d)の1点〜49点では「正解半分以下だよ」、図(e)の0点では「全然違うよ」のようなコメントを参加者に提示する。戻るボタンは最初に戻ることを指示するためのボタンである。
【0033】
なお、図7に示した正解・不正解画面では、○・×と正解のごみ分別アイテムを表示したが、図9に示すように更にごみの種類によっては、特に有用な知識あるいは注意事項を表示することができる。例えば図9(a)の正解画面では出題のごみが「ガスボンベ」の場合、ごみ分別アイテムは「びん・かん」で正解であるが、更に画面には「ガスボンベは孔をあけて出して下さい」との注意事項を表示することにより、ごみ収集中の爆発事故防止の啓蒙に役立てることができる。
【0034】
また、図9(b)の不正解画面では出題のごみが「洗濯機」の場合、回答が正解の「収集できない」以外の回答で不正解になったが、正解の「収集できない」との表示に加えて「お店へ持っていって下さい」とのコメントを表示する。このようにして、特定のごみの種類によっては、排出にあたり安全上重要な事柄や法制上定められている事項を参加者に啓蒙あるいは周知徹底を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態の概要を示す構成図。
【図2】本発明の一実施形態のソフトウェア構成を示す図。
【図3】本発明の一実施形態の具体的構成を示す図。
【図4】本発明の一実施形態の動作を説明するためのフローチャート。
【図5】本発明の一実施形態のタイトル画面を示す図。
【図6】本発明の一実施形態の出題画面を示す図。
【図7】本発明の一実施形態の正解・不正解画面を示す図。
【図8】本発明の一実施形態の得点画面を示す図。
【図9】本発明の一実施形態の他の正解・不正解画面を示す図。
【図10】本発明の一実施形態のデータ構成を示す図。
【符号の説明】
【0036】
11…サーバコンピュータ、12…クライアントコンピュータ、13…パーソナルコンピュータ、14…インターネット、15…アプリケーションソフト本体、16…ごみ分別データ記憶部、17…ウエッブサーバ、18…ウエッブブラウザ、19…フラッシュプラグイン、20…制御部、21…表示部、22…ごみ分別アイテム指定部、23…判定部、24…得点算出部、25…タイトル、26…スタートボタン、27…絵、28…分別アイテム、29…スコア、30…正解画面、31…不正解画面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なるごみ名称の各々をごみ分別アイテムに関連付けて格納するごみ分別データ記憶手段と、前記ごみを表示するとともに前記ごみ分別アイテムを前記ごみの表示と同一画面に表示する表示手段と、前記表示手段に表示されたごみが前記ごみ分別アイテムのいずれに該当するかを指定するごみ分別アイテム指定手段と、前記表示されたごみが前記ごみ分別アイテム指定手段にて指定されたごみ分別アイテムに該当するか否かの正解・不正解を判定する判定手段とを具備することを特徴とするごみ分別ゲーム装置。
【請求項2】
前記ごみ分別データ記憶手段には、前記ごみ毎に設定された得点データが記憶されていることを特徴とする前記請求項1記載のごみ分別ゲーム装置。
【請求項3】
前記得点データは、前記ごみの種類によって異なる如く設定されていることを特徴とする請求項2記載のごみ分別ゲーム装置。
【請求項4】
前記ごみ分別データ記憶手段には、前記ごみを表現する図形データが記憶されていることを特徴とする請求項1記載のごみ分別ゲーム装置。
【請求項5】
前記ごみ分別データ記憶手段には、前記ごみ毎に廃棄にあたっての注意事項データが格納されていることを特徴とする請求項1記載のごみ分別ゲーム装置。
【請求項6】
前記表示手段は、複数の異なるごみ毎に前記判定手段にて判定される判定結果を所定回数表示するとともに、これら所定回数の判定結果に基づき前記正解・不正解に応じた前記ごみ毎に設定されている得点データを加算した結果を表示する如く設定されていることを特徴とする請求項3記載のごみ分別ゲーム装置。
【請求項7】
前記ごみ分別データ記憶手段には、前記得点データを加算した結果に応じた成績コメントデータが記憶されていることを特徴とする請求項6記載のごみ分別ゲーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−81731(P2006−81731A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−269800(P2004−269800)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(390014568)東芝プラントシステム株式会社 (273)
【Fターム(参考)】