説明

ごみ分別装置

【課題】ごみ容器の分別装置について、一つのフックの係合による動作の不安定性を解消し、また、ごみを振分ける構造でのごみ詰まりをなくす。
【解決手段】ごみ分別装置1は、ごみを収容したごみ容器4を一旦停止させるごみ容器設置スペース2と、ごみ分別装置1に設置される搬送装置3と、分別するごみの種類の数だけ設けられた複数のごみ受容部5と、ごみ容器4を上方のごみ容器脱着位置に設置させるなど全体的な制御をつかさどる全体制御装置6と、ごみの種類を確認するごみ種類確認装置7と、ごみ容器洗浄装置8を備えて構成されている。分別装置1の搬送装置3に各把持腕と各把持爪を設けごみ容器を把持し、横移動装置により水平方向に移動することにより所定のごみ受容部の前まで搬送し、モーターなどからなる回転手段により各把持腕に把持したまま、ごみ容器を回転することで、ごみを排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送されたごみを振分ける分別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では高層建築物において、ごみの種類によって分別しているものがあった。
【0003】
例えば特許文献1に示すように、高層オフィスビルなどのごみの収集において、予め用意されたごみ容器(バケット)にごみを投入し、それを下降して最下階にてシリンダと1つのフックからなる押出装置によって押出し、その後ごみ容器を反転装置に係合してごみを1箇所に排出していた。
【0004】
また、特許文献2では建設中の高層建築物の廃材処理について、階上で投入された建築廃材を粉砕し、ごみ容器などに入れずに直接縦搬送しバタフライゲートにより複数のごみ受容部(シンク)に振分け、その後シュートによりごみ収集車に積替えし、処分場に運搬するものがある。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平01−303206号公報
【特許文献2】特開平09−002607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、高層オフィスビルのシステムにおいては、バケット搬送装置の搬送や反転装置の反転動作を1つのフックで係合して行っているため、搬送距離が長い場合や反転動作の衝撃が大きいときに不安定な係合状態となっていた。
【0007】
また、反転装置はごみ受容部の数だけ必要となる。
【0008】
一方、建設中の高層建築物の廃材処理においては、直接縦搬送するため振分け装置であるバタフライゲート部分でごみが詰まる可能性があった。
【0009】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、ごみをごみ受容部に排出するときにごみ容器を確実に把持して安定性を保持し、ごみ容器の落下を防止している。また、本件の搬送装置を用いて複数の受容部に対応させながら詰まりのおそれがない構造とした。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、この発明では、ごみ容器を把持しながら回転させる装置を設けた。
具体的には、第1の発明では
ごみ容器と、該ごみ容器を搬送する搬送装置と、複数のごみ受容部とを有するごみ分別装置を対象とする。
【0011】
そして、前記搬送装置は、前記ごみ容器を把持する把持手段と、該把持手段を横移動する横移動手段と、前記把持手段を垂直面内で回転する回転手段とを備えており、
【0012】
前記搬送装置によりごみ容器を把持し、前記いずれかのごみ受容部に搬送した後、回転してごみを排出する。
【0013】
上記の構成によると、ごみ容器を長距離搬送する際や反転動作をしてごみを排出する際の衝撃によって揺れなどが起こっても、把持手段を有しているため一つのフックで係合している場合よりも安定する。
【0014】
また横移動して所定のごみ受容部に搬送し、ごみ容器を回転してごみを排出することにより、ごみ詰まりを効果的に防止する。
【0015】
第2の発明では、第1の発明において、
把持手段には把持腕があり、把持腕は、一対で構成されている。
【0016】
上記の構成によると、把持腕が一対であるため、片方にごみ容器があり、ごみ排出のため横移動し半回転した後、そのまま最初の位置に戻り、ごみ容器を開放する。
【0017】
そのとき最初にごみ容器を把持する所には別の把持腕があり、次のごみ容器の受け入れが容易に行える。
【0018】
第3の発明では、第1乃至第2の発明において、
把持腕には把持爪があり、把持爪は、一対で構成されている。
【0019】
上記の構成によると、把持腕だけでなく、ごみ容器の開口部に引っかける把持爪があり、ごみ容器が落下するのを効果的に防止する。
―最後に記載―
【発明の効果】
【0020】
本発明では、搬送装置はごみ容器をしっかりと把持しているため、ごみ容器が落下することがなく、複数のごみ受容部に対応することができる。
【0021】
また、搬送装置の横移動手段はシリンダを利用しない構造から安価であり、メンテナンス性も向上することができる。
【0022】
ごみを排出するのに、ごみ容器を用い、搬送装置にて排出することから、詰まりの可能性は全くなく、スムーズにごみを排出することができる。
【0023】
ごみ容器には市販されている定型容器を使用することができ、一般家庭可燃ごみを廃棄する時に用いる、例えば使用後廃棄されるビニール袋と比較すると再利用できることにより環境によい。
【0024】
また、前記搬送装置により、ごみ容器を下方に回転してごみを排出した後、空になったごみ容器をごみ受容部以外の場所で洗浄でき、洗浄の際にはごみ容器の開口部が下向きのため下方から洗浄装置にて洗浄水を噴射して直接洗浄でき、洗った後の処理水はごみ容器に滞留することを防止することができる。

【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係るごみ分別装置の設置状況を正面から見た正面図である。
【図2】本発明に係るごみ分別装置の設置状況を側面から見た側面図である。
【図3】本発明に係る分別装置における搬送装置の動作図である。
【図4】本発明に係る分別装置における搬送装置の詳細図である。
【図5】搬送装置における把持腕の動作図である。
【図6】分別装置の全体を上面から見た模式図である。
【図7】搬送装置における把持爪の動作図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、ごみ搬送装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0027】
1.装置の概要
図1、図2はごみ分別装置1の全体構成を概略的に示しており、ごみ分別装置1は、ごみを収容したごみ容器4を一旦停止させるごみ容器設置スペース2と、ごみ分別装置1に設置される搬送装置3と、分別するごみの種類の数だけ設けられた複数のごみ受容部5と、ごみ容器4を上方のごみ容器脱着位置に設置させるなど全体的な制御をつかさどる全体制御装置6と、ごみの種類を確認するごみ種類確認装置7と、ごみ容器洗浄装置8を備えて構成されている。
【0028】
なお、下方のごみ容器脱着位置にローラコンベアからなるごみ容器輩出装置12が設けられている。
【0029】
ごみ分別装置1の搬送装置3には図4にあるように水平方向に移動させる横移動手段36と全体制御装置6によって所定の受容部5の前で停止し、搬送装置3を垂直面内にて略180度回転させることによりごみ容器4に収容されたごみを受容部5に排出する回転機構35が設けられている。
【0030】
ごみ分別装置1は受容部5にごみを排出する際、その回転機構35によって周囲にごみが飛散しないようにシュートバンカー9とカバー10を備えて構成されている。
【0031】
2.ごみ設置スペース2の構成
ごみ容器設置スペース2は、図1と図6の斜線部に示す。ごみ容器4の設置床にベルトコンベヤによって構成される第1ごみ容器移動手段21を有しており、その隣には搬送装置3までの移動手段でベルトコンベヤもしくはローラコンベヤによって構成される第2ごみ容器移動手段22を備えている。第1ごみ容器移動手段21の通常運転では、運転方向は紙面正面からみて左側から右側へ移動する。また第1ごみ容器移動手段21は、ごみ容器4から落下した細かいごみが第1ごみ容器移動手段21上にある場合、逆に回転させ、細かいごみを排出するものである。その排出の際にごみが飛散しないようにカバー23が設置されている。カバー23下部は、筒状のシュート24になっている。このごみ容器設置スペース2はダストシュートなどで垂直にごみ容器4が搬送される場合や、水平にベルトコンベヤなどで運搬されてくる場合など、様々な場合に終端として対応する。また、ごみ容器設置スペース2ではごみ種類確認装置7により、集められたごみ容器4のごみの種類を確認するスペースとしても利用される。ここで第1ごみ容器移動手段21はベルトコンベヤだけでなく、モーターを使用したアームなどにより、ごみ容器4が上方のごみ容器脱着位置に設置される構造でもよい。
【0032】
3.搬送装置3の構成
搬送装置3は図4に示すようにごみ容器を把持する把持手段30と回転手段35と横移動手段36とから構成されている。
【0033】
把持手段30は各把持腕31、32と、固縛する各把持爪33が設けられており、各々の爪は把持部開閉機構34であるリンク機構により連結されている。このリンク機構はベルクランクからなり、把持部開閉機構34にあるストッパ341が図1に示すようにごみ分別装置1のフレーム100に設けられたブラケット11より離れるとバネ等の弾性体による付勢が解除され、ストッパ341が押出されることによりリンクL3が引き寄せられリンクL1、L2が作動し、把持腕31、32及び把持爪33がごみ容器4を把持、固縛する。また、把持腕31、32は把持腕31の一つだけでもよい。
【0034】
把持腕31、32は上下一対となっており各腕の動作は上方下方とで同期している。つまり上方がごみ容器を開放すると下方も開放し、上方がごみ容器を把持すると下方も把持する。
【0035】
搬送装置3を回転させる回転手段35は、搬送装置を水平移動させるモーター351とモーター351を支持する各スチフナ352と搬送装置の回転軸353と各ローラー354とローラーが設置される搬送装置全体を支持するフレーム355から構成されている。
【0036】
横移動手段36はフレーム355の左右端に連絡されたループ状の361を図示しないモーターとスプロケットとによりごみ容器4を水平方向に移動する。また伝達手段はチェーンとスプロケット以外にラックとピニオンやウォームギアなどでも良い。
【0037】
搬送装置3は図3のように動作する。すなわち図3の(a)は原点位置である上方のごみ容器脱着位置にあり、搬送装置3は前記第2ごみ容器移動手段21の最も近傍に存在する。そのとき把持部開閉機構34にあるストッパ341は、ブラケット11に当接されており、各把持腕31、32が図5の(A)位置に示すようにごみ容器4の径より大きく開いており、各把持爪33は図7の(a)に示すようにごみ容器4の上端よりも上方へ伸びてごみ容器4を開放している。搬送装置3が移動し始めるとストッパ341とブラケット11とが離れ、各把持腕31、32はごみ容器4を把持し各把持爪33は固縛する。このとき搬送装置3の各把持腕31、32は、ごみ容器を把持するために図5の(B)位置のように閉じ、各把持爪33は図7(b)のように上から下へ下降し固縛する。その後搬送装置3は、図3(b)のように所定のごみ受容部5まで移動する。
【0038】
次に搬送装置3は、図3の(c)のように略180度回転することによって、ごみ容器4内のごみを排出する。排出した後のごみ容器4は搬送装置3に把持されたまま、左に水平移動して図3の(d)のように、下方のごみ容器脱着位置までもどる。そのときごみ容器4は略180度回転したままで、ごみ容器4の開口部は床面方向にある。ストッパ341とブラケット11が当接し、各把持腕31、32は図5の(A)位置のように大きく開き、各把持爪33は図7(a)のように上方へ伸びて開放される。
【0039】
ごみ容器4が下方のごみ容器脱着位置に戻ったとき、搬送装置3にある開放されたごみ容器4は、ローラコンベヤからなるごみ容器排出装置12により他の場所へ移動される。そのとき上方の搬送装置3は、ごみ容器4がなく新たなごみ容器を受け入れる状態になっている。
【0040】
新たにごみ容器4がごみ設置スペース2に設置され、次に第2ごみ容器移動手段22により、上方のごみ容器脱着位置にある時は、搬送装置3はごみ容器4を検知し、同時に下方のごみ容器脱着位置にごみ容器がないことを検知することにより、水平移動し始める。そうすると各把持腕31、32と各把持爪33は、新たなごみ容器4を把持、固縛し、所定の受容部前で停止し、回転してごみを排出する。
上記動作が繰り返されることによりごみが分別排出される。
【0041】
上方の各把持腕31、32、各把持爪33がごみ容器を把持、固縛し且つ下方の各把持腕31、32、各把持爪33がごみ容器4を開放することが搬送装置3の起動条件となる。
【0042】
4.複数のごみ受容部5
複数のごみ受容部5は予め決められたごみの種類の数だけ設置されている。受容部5は固定されたピット(穴、凹みで固定という意味なし)でも良いし、又は、移動できるコレクタでも良い。
【0043】
ここでは運搬に便利なコレクタを使用した場合を図示している。また、図6に示すように受容部5は搬送装置3の回転軸353を中心に左右に振分けられており、受容部5が最も少ない場合で2種類の分別をすることができる。また建築スペースに余裕があれば図6の右手方向に所望の数だけ増加させることができる。
【0044】
5.全体制御装置6の機能
全体制御装置6は、ごみ種類確認装置7、搬送装置3のごみ容器設置検知器及び回転角検知器、シュートバンカー9の蓋開閉検知器等からの信号を入力すると共に、搬送装置3の制御部、シュートバンカー9の開閉機構等への作動指令を出力する。
【0045】
まずごみ設置スペース2にあるごみ容器4のごみの種類を確認した後、自動で上方のごみ容器脱着位置に移動させる。上方のごみ容器着脱位置にごみ容器4が設置されると信号が全体制御装置6へ入力され、ごみ容器4を把持させ所定のごみ受容部の前まで搬送装置3を水平移動させ、回転させてごみを排出させる。
【0046】
6.ごみ種類確認装置7の機能
ごみ種類確認装置7は、ごみの種類別にボタンを有しておりごみ設置スペース2にごみ容器4が設置されたとき、ごみの種類を判断し手動でボタンを押すことによりごみの種類を全体制御装置6に認識させる。
【0047】
また検知器を有しており、ごみ容器4にRFID技術として代表的に使用されるICタグやバーコードなどを貼り付けることにより、ごみ設置スペース2に設置されたごみ容器4のごみの種類を自動で識別し、全体制御装置6に認識させる。ここでRFIDとは、Radio Frequency IDentification「電波による個体識別」の略である。
【0048】
さらに、検知器によって、ごみ種類別の色に着色されたごみ容器4を自動で識別し、全体制御装置6に認識させる。
【0049】
ごみ種類確認装置7は手動であれ自動であれごみの種類を判断することができ、判断結果を全体制御装置6に認識させる。
【0050】
7.ごみ容器洗浄装置8
ごみ容器洗浄装置8は、図1に示すようにごみ分別装置1の下方にありポンプとタンク及び昇降自在のノズルにより構成されている。
【0051】
搬送装置3が回転し、ごみを排出した後に下方のごみ容器脱着位置に戻ったとき、図3(d)にあるように、ごみ容器4の内部へ向かってノズルから洗浄水を噴射し洗浄する。
【0052】
ごみ容器4の開口部は床面に面しているため、洗浄後のごみ容器4の内部にある洗浄水は重力により自然に床面へ落下し、水滴がごみ容器4の内部に滞留することを防止する。
8.その他の事項
【0053】
シュートバンカー9は、受容部5の略真上に開口部がくるように設置されており、搬送装置3が略180度回転するとき、ごみ容器4から飛散したごみが受容部5以外の場所に飛散しないようにガイドをする役目を果たしている。またバンカー下部には蓋92がありシリンダ91によって開閉される。蓋92を設けることで搬送装置3の回転により排出したごみが直接コレクタに当たらないようにし、ごみの落下衝撃を緩和している。この蓋92は搬送装置3が停止してごみを排出してから、一定の時間後自動で開閉する。その制御は全体制御装置6においておこなう。
【0054】
カバー10は、分別装置1を全体的に覆っており、これもごみ容器4が搬送装置3によって略180°回転するときにごみ容器4からこぼれたごみが分別装置1の周辺に飛散しないようにするために設けられている。

【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明によれば、ごみの収集システムにおいて、予めごみの種類を選定して分別収集するような種々のごみの縦搬送装置や、選別システム、ごみ真空収集装置などに有用である。
【符号の説明】
【0056】
1 未だ書いていないごみ分別装置
2 ごみ容器設置スペース
3 搬送装置
30 把持手段
35 回転手段
36 横移動手段
4 ごみ容器
5 ごみ受容部
6 全体制御装置
7 ごみ種類確認装置
8 ごみ容器洗浄装置
11 ブラケット
12 ごみ容器排出装置2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ごみ容器と、該ごみ容器を搬送する搬送装置と、複数のごみ受容部とを有するごみ分別装置において、
前記搬送装置は、前記ごみ容器を把持する把持手段と、
該把持手段を横移動する横移動手段と、
前記把持手段を垂直面内で回転する回転手段とを備え、
前記搬送装置によりごみ容器を把持し、前記いずれかのごみ受容部に搬送した後、回転してごみを排出することを特徴とするごみ分別装置。

【請求項2】
前記搬送装置の把持手段は、一対の把持腕を備えたことを特徴とする請求項1記載(特許第2866624大氣社を参考)のごみ分別装置


【請求項3】
前記搬送装置の把持手段は、開閉自在に一対の把持爪を備えたことを特徴とする請求項1及び2記載のごみ分別装置









【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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