説明

ささり防止構造

【課題】本発明の目的は、脱穀物の持ち回りを防止すると共に該脱穀物を確実に選別部へと導き、穀粒の回収率の向上を図ることができる、コンバイン用のささり防止構造を提供する。
【解決手段】扱室内において軸線回りに回転駆動される扱胴本体及び扱胴本体の外表面に設けられた扱歯を有する扱胴と、穀稈の穂先側が扱室内に突入した状態で扱胴の軸線方向に沿って穀稈を搬送するフィードチェーン装置と、扱室の下方に受網を介して配置された選別部とを備え、扱胴によって穀稈から脱穀された穀粒を含む脱穀物を受網を介して選別部へ流下させるように構成されたコンバインに適用されるささり防止構造であって、脱穀物が該扱胴の回転に伴って持ち回されることを防止するささり防止体を備え、扱室には、ささり防止体に反射した脱穀物を、受網をバイパスして選別部へ案内する回収用通路が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扱室内で脱穀物の持ち回りを防止し、穀粒の回収率を高めることができるコンバインのささり防止構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、扱室内において軸線回りに回転駆動される扱胴本体及び扱胴本体の外表面に設けられた扱歯を有する扱胴と、穀稈の穂先側が扱室内に突入した状態で扱胴の軸線方向に沿って穀稈を搬送するフィードチェーン装置と、扱室の下方に受網を介して配置された選別部とを備え、扱胴の回転によって穀稈から脱穀された穀粒を含む脱穀物を前記受網を介して選別部へ流下させるように構成されたコンバインが知られている。
かかるコンバインは、扱歯を有する扱胴の回転によって、穀稈の穂先を脱穀する。脱穀された脱穀物は、受網を通じて選別部に流れ、そこで穀粒が選別される。
【0003】
ところで、上記扱室に於いて、穀稈を脱穀する扱歯が、扱胴の回転に伴って脱穀物を持ち回り、該持ち回った脱穀物が穀稈の株元に刺さるという、いわゆる「ささり粒」が発生する。このささり粒は、排藁と一緒に排出されるので、その改善が求められる。
このささり粒の発生を抑制するため、穀稈を搬送する流路の上方位置にささり防止体を配設したコンバインのささり防止構造が提案されている(特許文献1の[0030]及び図3等)。
該ささり防止構造は、扱歯が脱穀物を持ち回ることを防止して、ささり粒の発生を抑制できるので好ましいものである。
【0004】
しかしながら、上記従来のささり防止構造は、ささり防止体が穀稈の流路の上方位置に設けられている。このため、ささり防止体によって持ち回りを防止された脱穀物は、該流路に搬送されてくる穀稈の上に落ち、該穀稈の上に落ちた脱穀物は、脱穀済みの穀稈と共に排出されるおそれがある。従って、上記ささり防止構造では、持ち回りを防いだ脱穀物を、確実に選別部へと導くことができない。
【特許文献1】特開2001−120044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、脱穀物の持ち回りを防止すると共に該脱穀物を確実に選別部へと導き、穀粒の回収率の更なる向上を図ることができる、ささり防止構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の手段は、扱室内において軸線回りに回転駆動される扱胴本体及び扱胴本体の外表面に設けられた扱歯を有する扱胴と、穀稈の穂先側が扱室内に突入した状態で扱胴の軸線方向に沿って穀稈を搬送するフィードチェーン装置と、扱室の下方に受網を介して配置された選別部とを備え、扱胴によって穀稈から脱穀された穀粒を含む脱穀物を受網を介して選別部へ流下させるように構成されたコンバインに適用されるささり防止構造であって、扱歯によって穀稈から脱穀された脱穀物が該扱胴の回転に伴って持ち回されることを防止するささり防止体を備え、扱室には、ささり防止体に反射した脱穀物を、受網をバイパスして選別部へ案内する回収用通路が設けられていることを特徴とする。
【0007】
上記ささり防止構造は、ささり防止体が設けられているので、扱胴の回転に伴う脱穀物の持ち回りを防止できる。
さらに、上記ささり防止構造は、脱穀物を選別部へと案内する回収用通路を有するので、ささり防止体にて持ち回り防止された脱穀物を、回収用通路を介して選別部へと導くことができる。かかる選別部に導かれた脱穀物は、穀粒とその他のものに選別される。このように本発明のささり防止構造は、扱室内で持ち回り防止された脱穀物を確実に回収用通路に導くので、該脱穀物が穀稈に刺さって排出されることを抑制でき、その結果、穀粒の回収率を高めることができる。
また、上記ささり防止構造は、持ち回り防止された脱穀物を、受網をバイパスして選別部へ案内するので、受網に脱穀物が多量に滞留することを防止できる。従って、受網が、脱穀物などによって目詰まりする頻度を緩和できる。
【0008】
さらに、本発明の好ましい態様は、上記コンバインが、扱室の少なくとも一部を形成する脱穀機枠であって、扱胴を挟んでフィードチェーンとは反対側に位置する側壁と、扱胴より穀稈搬送方向上流側に位置する上流側端壁と、扱胴より穀稈搬送方向下流側に位置する下流側端壁とを有し、少なくともフィードチェーン装置に近接する側の側方が開口とされた脱穀機枠を有し、上記受網が、フィードチェーン装置に近接する側において扱胴の軸線方向に延びる基端側エッジと、扱胴の軸線を通る仮想垂直面よりフィードチェーン装置から離間する側において扱胴の軸線方向に延びる先端側エッジとを有し、扱胴本体の下方において該扱胴本体の外表面に沿うように脱穀機枠の側方開口から該脱穀機枠に脱着可能に装着され、ささり防止体が、受網の先端側エッジより扱胴の回転方向下流側において、基端部が扱胴の軸線を基準にして受網より径方向外方に位置し且つ先端部が扱胴の軸線を基準にして受網より径方向内方に位置するように配置され、扱室には、ささり防止体に反射した脱穀物を回収用通路に案内する案内板が設けられている上記ささり防止構造を提供する。
【0009】
上記ささり防止構造のささり防止体は、受網の先端側エッジ(フィードチェーン装置から離間する側のエッジ)より扱胴の回転方向下流側に配置されているので、持ち回り防止された脱穀物の一部が、仮に回収用通路に導かれずに受網側へと流れることがあっても、該脱穀物が穀稈に刺さらない。よって、脱穀物が穀稈に刺さって排出されることを防止でき、穀粒の回収率を高めることができる。
また、上記ささり防止体は、基端部が受網より径方向外方に位置し且つ先端部が受網より径方向内方に位置するように配置されているので、ささり防止体によって止められた脱穀物を、受網の径外方向外方へと反射させ易くなる。加えて、扱室には、案内板が設けられているので、ささり防止体に反射した脱穀物を、案内板によって、回収用通路に更に確実に導くことができる。
【0010】
また、本発明の好ましい態様では、上記案内板は、ささり防止体に反射した脱穀物を選別部におけるフィードパンへ向けるように構成されている上記ささり防止構造を提供する。
上記ささり防止構造は、案内板によって、ささり防止体に反射した脱穀物を、選別部のフィードパンに確実に導くことができる。なお、フィードパンに於いて、脱穀物は、車輌幅方向に分散されつつ、車輌後方側の下記チャフシーブへ向けて搬送される。
【0011】
さらに、本発明の好ましい態様では、上記脱穀機枠は上方が開口とされており、コンバインは、脱穀機枠の上方開口と側方開口のうち少なくともフィードチェーン装置より上方に位置する部分とを覆う扱室カバーであって、扱胴の軸線方向に平行な枢支軸回り回動可能に脱穀機枠に連結された扱室カバーを備え、上記ささり防止体が、扱室カバーを開放位置に位置させた際に、脱穀機枠の上方開口からアクセス可能な位置に設けられている上記いずれかのささり防止構造を提供する。
【0012】
かかるささり防止構造は、脱穀機枠に開閉可能に設けられた扱室カバーを開くことにより、脱穀機枠の上方開口からささり防止体にアクセスすることができる。従って、コンバインの一部を解体しなくても、扱室カバーを開くだけで、ささり防止体のメンテナンス(例えば、付着した脱穀粒の除去、ささり防止体の交換など)を行うことができる。
【0013】
なお、上記コンバインは、扱室の穀稈搬送方向下流側で且つフィードチェーン装置とは反対側の側方に設けられた送塵口を介して扱室に連通された処理室と、処理室内において前記扱胴と略平行な姿勢で軸線回りに回転駆動される送塵口処理胴とを備えているものが好ましく、かかる処理室を備えるコンバインのささり防止構造に於いては、上記ささり防止体が、扱胴における穀稈搬送方向上流側の端部近傍から送塵口へ至るように設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るささり防止構造は、ささり防止体によって持ち回り防止された脱穀物を、回収用通路を通じて、確実に選別部へと導くことができる。このため、本発明のささり防止構造を具備するコンバインは、穀粒の回収率を非常に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
<一実施形態>
以下、本発明について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
(コンバインの全体構成について)
図1及び図2に、本実施形態に係るささり防止構造250が適用されたコンバインAの側面図及び平面図を示す。
図1及び図2に於いて、コンバインAは、本機フレーム1と、本機フレーム1に支持された駆動源(図示せず)と、本機フレーム1の下方に配設され、且つ前記駆動源からトランスミッションを介して回転駆動される左右一対のクローラ式走行装置2と、本機フレーム1の前方において該本機フレーム1に昇降可能に支持された刈取装置10と、刈取装置10によって刈り取られた穀稈を脱穀処理する脱穀装置100と、脱穀装置100によって脱穀及び選別された穀粒を収容するグレンタンク40と、脱穀装置100によって脱穀処理された後の排藁を後方へ搬送する排藁搬送装置50と、を備え、脱穀装置100に、ささり防止構造250が具備されている。
なお、刈取装置10が設けられている側が、コンバインAの進行方向である。方向を示す用語として、コンバインAの進行方向側を「前」又は「穀稈搬送方向上流側」、コンバインAの進行方向と反対側を「後」又は「穀稈搬送方向下流側」という場合がある。
【0016】
刈取装置10は、穀稈を刈り取る刈取部20と、刈取部20によって刈り取られた穀稈を脱穀装置100へ向けて搬送する搬送部30と、を備えている。
刈取部20は、引起ケース21a及び引起タイン21bを含む引起機構21と、引起ケース21aの下方部から前方へ突出された分草板22と、引起ケース21aの後方に配設された刈刃23と、を有している。
刈取装置10は、分草板22によって穀稈を分草し、その後部に立設された引起しケース21aから突出された引起タイン21bによって穀稈を引き起こし、刈刃23にて株元を刈り取るようにしている。
搬送部30は、上部搬送機構及び縦搬送機構を含み、刈り取られた穀稈の株元を脱穀装置100におけるフィードチェーン装置260へ受け継ぐように構成されている。フィードチェーン装置260によって搬送された穀稈は、後記に詳述する脱穀装置100にて脱穀選別される。脱穀装置100にて脱穀選別された穀粒は、グレンタンク40に収容される。
このグレンタンク40には、排出オーガ41及び縦オーガ42が設けられている。また、グレンタンク40の底部には、排出コンベア(図示せず)が前後方向に設けられ、この排出コンベアの後部は、縦オーガ42の下部に連通されている。そして、グレンタンク40に収容された穀粒は、排出コンベアから縦オーガ42及び排出オーガ41を通じて、排出オーガ41の先端部から排出される。
【0017】
他方、上記フィードチェーン装置260の後端には、排藁搬送チェーンを備える排藁搬送装置50が設けられている。さらに、排藁搬送チェーンの後部下方には、排藁カッター装置及び拡散コンベアなどを含む排藁処理部60が設けられている。排藁処理部60は、フィードチェーン装置260から受け渡された排藁を切断して藁片にした後、この藁片を拡散しながら圃場に均一放出し、或いは排藁を切断せずに放出するように構成されている。
【0018】
次に、脱穀装置100について説明する。
図3に、図2の脱穀装置100を前後方向で切断した参考断面図を示す。図4に、前方側から同脱穀装置100を視た図であって、これを前後方向に直交する方向で切断した参考正面図を示す。図5に、同脱穀装置100を上方側から視た平面図を示す。
脱穀装置100は、脱穀部200と、選別部400と、を有し、脱穀部200に、本発明のささり防止構造250が具備されている。
【0019】
(脱穀部について)
図3に於いて、脱穀部200は、扱胴230を収容する扱室210と、扱室210内に設けられ且つ上記駆動源によって作動的に回転駆動される扱胴駆動軸220と、扱胴駆動軸220に相対回転不能に支持された扱胴230と、扱胴230の下方側に設けられた受網240と、扱室210内に設けられたささり防止構造250と、刈取装置10から受け継いだ刈取穀稈を穂先側が扱室210に突入した状態で扱胴230の軸線方向に沿って穀稈を搬送するフィードチェーン装置260と、を含んでいる。
なお、本実施の形態においては、フィードチェーン装置260は、前方側から後方側へ向かって刈取穀稈を搬送するように構成されている。
【0020】
具体的には、図3及び図4に示すように、扱室210は、主として、脱穀機枠211と、扱室カバー212と、から構成されている。
脱穀機枠211は、扱胴230を挟んで上記フィードチェーン装置260に対して反対側に位置する側壁211aと、扱胴230より穀稈搬送方向上流側に位置する上流側端壁211bと、扱胴230より穀稈搬送方向下流側に位置する下流側端壁211cと、扱胴230の上方及びフィードチェーン装置260に近接する側に設けられた上方開口211d及び側方開口211eと、を有する。なお、この上流側端壁211bには、脱穀前の穀稈を扱室210内へ挿入するため、スリット状の穀稈挿入用開口211b’が形成されている。下流側端壁211cには、脱穀後の排藁を排出するため、スリット状の排出用開口211c’が形成されている。
扱室カバー212は、脱穀機枠211の上方開口211dを覆い且つ脱穀機枠211の側方開口211eのうちフィードチェーン装置260の上方位置に於ける開口部分を覆うように形成されている。この扱室カバー212は、脱穀機枠211に対して開閉可能に設けられている。例えば、扱室カバー212は、扱胴230の軸線方向に平行な枢支軸212a回りに回動可能に、脱穀機枠211に取り付けられている。なお、図4に、扱室カバー212を開けた状態を2点差線で示している。
【0021】
扱胴駆動軸220は、その両端部が脱穀機枠211の上流側端壁211b及び下流側端壁211cに軸支されている。
扱胴駆動軸220に支持された扱胴230は、前方外表面が前方へ向かうに従い次第に小径となるテーパ面230aに形成された略円柱状の扱胴本体231と、この扱胴本体231の外表面に植設された複数の扱歯232と、を有する。複数の扱歯232は、扱胴本体231の周方向に所定間隔を開けて配置された扱歯列が、扱胴230の軸線方向に平行多段状に列設されている。もっとも、扱歯232の配置は、これに限られず、例えば、複数の扱歯232が、扱胴本体231の外表面に螺旋状に植設されていてもよい。
【0022】
受網240は、扱胴230の軸線を通る仮想垂直面VPよりフィードチェーン装置260から離反する側に於いて、扱胴230の軸線方向に伸びる先端側エッジ241と、フィードチェーン装置260に近接する側に於いて、扱胴230の軸線方向に伸びる基端側エッジ242と、先端側エッジ241及び基端側エッジ242の間に形成された正面視半円形状の網本体243と、を有する。
網本体243の面内には、脱穀物が通過可能な複数の孔(網目)が形成されている。受網240は、その網本体243が扱胴230の下方及び下方両側方を覆うように、扱胴230の外表面に沿って設けられている。この受網240は、メンテナンスなどのため、脱穀機枠211に対して脱着可能に取り付けられている。この受網240の脱着は、例えば、脱穀機枠211の側方開口211eから行うことができるように構成されている。もっとも、受網240は、脱穀機枠211の側壁211a側に於ける上方開口211dから脱着できるように構成されていてもよい。
【0023】
フィードチェーン装置260は、穀稈を前方側から後方側へと搬送するフィードチェーンを有する。フィードチェーン装置260の上方には、藁押さえ装置(図示せず)がフィードチェーンに対向して設けられている。藁押さえ装置は、フィードチェーン装置260によって搬送される穀稈をフィードチェーンに向けて押圧する。なお、藁押さえ装置は、扱室カバー212の下端部に設けられている。
【0024】
(ささり防止構造について)
次に、本発明の特徴部分である、ささり防止構造250について説明する。
図3〜図5に示すように、ささり防止構造250は、主として扱胴230の回転に伴って持ち回される脱穀物を選別部400へ導くため、扱室210内に設けられている。
ささり防止構造250は、扱室210内で扱胴230の回転に伴って持ち回される脱穀物を止めるささり防止体251と、該ささり防止体251に当たって反射した脱穀物を、受網240をバイパスして選別部400へ案内する回収用通路255と、を有する。
【0025】
ささり防止体251は、全体として細長い長状部材で形成され、例えば、扱胴230の穀稈搬送方向上流側から後述する処理室300の送塵口330へ至るように延びて設けられている。また、このささり防止体251は、その長手方向が扱胴230の軸線方向と略平行になるように設けられている。もっとも、ささり防止体251は、該軸線方向に対して傾斜して設けられていてもよい。
ささり防止体251は、例えば、扱室カバー212、脱穀機枠211、受網240などに装着される。好ましくは、ささり防止体251は、扱室カバー212に装着される。また、ささり防止体251は、脱着可能に装着されていることが好ましい。
【0026】
具体的には、ささり防止体251は、細長い長状部材からなり、且つ固定側に取り付けるための取付片252と、取付片252の先端部から突設されたささり防止片253と、を有している。本実施形態では、ささり防止体251は、扱室カバー212に装着されている。
取付片252は、ささり防止体251を所定位置に固定できるものであればその形状、材質は特に限定されず、例えば、金属、硬質プラスチックなどの剛性のある長状部材(例えば、所定厚の帯状板等)を用いることができる。
取付片252は、扱胴230の前方側から視て、受網240の先端側エッジ241の上方側(先端側エッジ241よりも扱胴230の回転方向下流側)であって、扱胴230の軸線(回転中心軸)を基準にして、受網240よりも径外方向に位置して配置されている。この位置に配置された長状の取付片252の長手部は、受網240の先端側エッジ241の長手方向と略平行であり、扱胴本体231のテーパ面230aから送塵口330の前方端の上方に至って延設されている。
【0027】
該取付片252は、扱室カバー212の内面であって、扱胴230の軸線を基準にして、フィードチェーン装置260と反対側に取付られている。本実施形態では、扱室カバー212は、脱穀機枠211の側壁211aに回動自在に設けられているので、取付片252は、扱室カバー212の内面側であって、扱室カバー212の枢支軸212a近傍位置に取り付けられている。
かかる扱室カバー212に取り付けられたささり防止体251は、扱室カバー212を開けることにより、脱穀機枠211の上方開口211dから使用者がアクセス可能である。
なお、ささり防止体251が脱穀機枠211の上方開口211dからアクセス可能とは、扱室カバー212を開けて脱穀機枠211の上方開口211dを開放した状態で、標準的な成人男性が、手を伸ばしてささり防止体251に触れることができることを含む意味である。
上記取付片252は、ささり防止体251のメンテナンスなどのため、扱室カバー212に対して脱着可能に取り付けられている。取付片252の脱着可能な取付方法は特に限定されず、例えば、ボルトナットなどの締付具を用いる取付方法等の公知な手段を用いることができる。もっとも、ささり防止体251は、扱室カバー212等に対して容易に脱着できないように一体的に設けられていてもよい。
【0028】
一方、ささり防止片253は、取付片252の先端部全体に設けられている。該ささり防止片253の基部は、受網240より径外方向に位置する取付片252に固定的に取り付けられ、ささり防止片253の先端部は、扱胴230の軸線を基準にして、受網240より径内方向に位置するように設けられている。
【0029】
ささり防止片253は、扱胴230の回転によって持ち回される脱穀物を止めることができるものであれば特に限定されず、例えば、扱胴230の回転を許容しつつ空間(扱胴と受網の間の空間)を遮蔽できるもの(例えば、無数の起毛が植設された所謂ブラシや、ゴム製シートなどの軟質シートに先端側から複数の切り目が形成された易変形体など)、厚手のゴム製シートなどの軟質部材、硬質プラスチックシートなどの剛性シートなどの剛性部材などを用いることができる。中でも、ささり防止片253は、扱胴230の回転に支障を来さず且つ脱穀物の持ち回りを防止できることから、扱胴230の回転を許容しつつ空間を遮蔽できるものが好ましい。この好ましいささり防止片253を用いる場合、図4に示すように、ささり防止片253の先端側が、扱胴230の軸線方向に沿って視た際(扱胴230の前方側から視た際)、扱歯232の回転軌跡内に突入するように設けられ、好ましくはささり防止片253の先端部が扱胴本体231の外表面に接するように設けられる。特に、上記好ましいささり防止片253は、複数の扱歯232が扱胴本体231に螺旋状に配置されている扱胴230に対して用いる場合に効果的である。
上記のようにささり防止片253の先端側が、扱歯232の回転軌跡内に突入するように設けられていれば、前後隣合う扱歯間に存して持ち回される脱穀物をも、ささり防止片253によって、回収用通路255に導けるので好ましい。
なお、ささり防止片253は、扱胴本体251のテーパ面230aに対向する部分に於いては、図3に示すように、テーパ面230aに接するように設けられている。
【0030】
また、ささり防止体251と受網240の先端側エッジ241の間には、回収用通路255に繋がる連通口254が開口されている。該連通口254は、ささり防止体251に当たって反射した脱穀物を回収用通路255へと導くため、回収用通路255と、受網240及び扱胴本体230の間に有する空間と、を繋ぐ通路を形成している。
【0031】
次に、回収用通路255は、ささり防止体251に反射した脱穀物を受網240を介さずに選別部400へ導くための迂回路である。
該回収用通路255は、脱穀機枠211の側壁211aと受網240の間に設けられている。
回収用通路255の上方側は、ささり防止体251の連通口254に対応して、それと略同長さ(又はそれ以上の長さ)で扱胴230の軸線方向に延設されている。回収用通路255の下方側は、下方に向かうに従い狭まった漏斗状に形成され、回収用通路255の下方部にシュート部255aが形成されている。該シュート部255aの下端部には、開口が形成されており、該開口は、選別部400のフィードパンの前方部(特に、前方フィードパン411aの前方部)に配置されている。
【0032】
他方、回収用通路255の上方側には、案内板256が設けられている。案内板256は、ささり防止体251によって反射した脱穀物を、回収用通路255へと確実に案内するためのものである。
該案内板256は、例えば、剛性のある長状部材(例えば、厚みのある帯状板等)で構成されており、ささり防止体251に対応して設けられている。案内板256の長手方向長さは、ささり防止体251の長手方向長さと略同じ又はそれ以上の長さであることが好ましい。もっとも、案内板256の長さは、ささり防止体251よりも短く形成してもよい。
案内板256の取付位置は、特に限定されないが、ささり防止体251に反射した脱穀物が回収用通路255以外に逃げないようにするため、ささり防止体251との間に間隙を有しないように設けられていることが好ましい。かかる隙間を有しないようにするため、案内板256の上端部は、例えば、ささり防止体251の取付片252の基部に取り付けられている。もっとも、案内板256は、扱室カバー212などに取り付けられていてもよい。また、案内板256は、脱着可能に取り付けられていてもよいし、固定的に取り付けられていてもよい。
【0033】
案内板256は、その下端部が回収用通路255側へ向くように配置されている。例えば、案内板256は、下外方に傾斜状に設けられている。このように案内板256を設けることにより、案内板256と、扱胴230の半径方向に突出したささり防止体251とが、連通口254の上方に於いて山型状の面を成す。このため、ささり防止体251に当たって反射した脱穀物は、更に、案内板256に当たって回収用通路255の上方へ流れる。従って、持ち回り防止された脱穀物を、回収用通路255により確実に案内できる。
【0034】
(処理室について)
本実施形態のコンバインは、図3及び図5に示すように、脱穀部200の後方に、処理室300が併設されている。
該処理室300は、扱室210の後部の側方(例えば、グレンタンク側)に設けられている。
処理室300は、処理室ケース340と、処理室ケース340内に設けられた略円柱状の送塵口処理胴310と、送塵口処理胴310の下方及び下方両側方を覆うように設けられている半円形状の処理胴網320と、扱室210と処理室300との間の連通口である送塵口330と、を有する。
処理室ケース340は、送塵口処理胴310などを被覆する筺体で形成され、処理室ケース340の側壁前方が、脱穀機枠211の側壁211aの後方に接して配置されている。
送塵口処理胴310は、扱胴230の軸線方向と平行となるように、扱胴230の後部の側方で且つ前後方向に横架され、回転可能に軸支されている。送塵口330は、脱穀機枠211の側壁211aの後方部とこれに対面する処理室ケース340の側壁の前方部とを連通するために、両部の間に開口されている。
処理室300は、扱胴230で処理できなかった枝梗付着粒等の未処理物及び脱穀物を再処理するために設けられている。すなわち、未処理物等は、扱室210から送塵口330を通じて処理室300内に導かれる。そして、送塵口処理胴310の回転によって未処理物等が処理され、この処理物のみが、処理胴網320の孔(網目)を通過して流下する。
【0035】
なお、送塵口処理胴310の後端部の外表面には前後に長い板体よりなる羽体311が固設されている。該羽体311は、送塵口処理胴310と一体的に回転し、送塵口処理胴310により処理室300後方まで搬送されてきた藁屑は該羽体311の回転によって跳ね飛ばされて排出される。
【0036】
また、上記処理胴網320の下方には、送塵搬送コンベア350が前後方向に軸架されている。送塵搬送コンベア350はスクリュー式のコンベアであり、該送塵搬送コンベア350によって、処理胴網320から落下してきた処理物は、前方(送塵口処理胴310の搬送方向とは反対の方向)に向かって搬送されて、送塵搬送コンベア350の前端から選別部400の前方部(選別処理開始端部)に再投入される。
【0037】
(選別部について)
次に、選別部400は、揺動選別及び風選別の2種類の選別方式により、扱室210で脱穀された脱穀物及び処理室300での処理物が、一番物と二番物と藁屑等に分別される。
図3に示すように、揺動選別は、主として揺動選別装置410によって行われ、風選別は、主として送風機420によって行われる。
なお、選別部400には、揺動選別装置410の後方且つ上方において藁屑等を機体外部に排出する吸引ファン430が備えられている。
【0038】
揺動選別装置410及び送風機420は、選別部400の機枠440内に収納されている。
揺動選別装置410は、揺動駆動機構450によって機枠440(固定側)に対して揺動するように構成されている。該揺動選別装置410の前端部は、扱胴230の前端部下方まで延出され、揺動選別装置410の後端部は送塵口処理胴310の後端部下方まで延出されている。
具体的には、揺動選別装置410は、前後のフィードパン411a,411bと、前方フィードパン411aの後下方に設けられた第一選別部であるチャフシーブ412と、後方フィードパン411bの後部に連設された第二選別部である網状のグレンシーブ413と、チャフシーブ412の後方に設けられたストローラック414と、を有する。
前後のフィードパン411a,411bは、例えば、板状の部材を波形に成形したものが用いられる。前方フィードパン411aは、扱室210の受網240の前下方から略中央下方にかけて配置されている。後方フィードパン411bは、前方フィードパン411aの後下方に配置されている。チャフシーブ412は、開度を調節可能な複数のチャフフィンから形成され、前方フィードパン411aと後方フィードパン411bの上下間に配置されている。グレンシーブ413は、網状体から形成され、後方フィードパン411bの後方に連続して設けられている。
【0039】
送風機420は、揺動選別装置410の前下方に於いて、処理物に対して選別風を送風するように配設される唐箕421と、唐箕421の後方で選別風を送風する副圧送ファンであるセカンドファン422と、を有する。
唐箕421は、機枠440内で揺動選別装置410により選別される処理物に対して、前下方から後上方へ送風することで、細かい藁屑等を後方へ吹き飛ばす。
セカンドファン422は、唐箕421の選別風が弱まる機枠440内の後方においても風選別による選別性能が低下しないようにしており、細かい藁屑等を吸引ファンへ送る。
【0040】
また、選別部400には、揺動選別装置410及び送風機420によって選別された処理物を集約させる樋構造と、前記樋構造に集約された処理物を所定箇所へ搬送するコンベア部が備えられている。
前記樋構造は、一番物を集約させる側面視略V字状の一番回収部(一番樋)454と、二番物を集約させるように一番回収部454より後方側に配置された側面視略V字状の二番回収部(二番樋)455と、を有している。
前記コンベア部は、前記一番回収部454内に配設された第一コンベア451aと、第一コンベアの搬送方向下流側において前記一番回収部454に連接された揚穀筒451と、揚穀筒451に内挿された揚穀コンベア(図示せず)と、前記二番回収部455内に配設された第二コンベア452aと、前記第二コンベア452aの搬送方向下流側において前記二番回収部に連接された還元筒452と、前記還元筒452に内挿された二番還元コンベアと、を含んでいる。
前記一番回収部454内に集約された一番物は、前記第一コンベア451a及び前記揚穀コンベアによって前記グレンタンク40内に搬送される。
前記二番回収部455内に集約された二番物は、前記第二コンベア452a及び前記二番還元コンベアによって前記前方フィードパン411a上に戻され、再度、揺動選別される。
【0041】
(本発明のささり防止構造を有するコンバインの使用例)
上記コンバインAは、刈取装置10によって刈り取られた穀稈を、フィードチェーン装置260によって扱室210内に搬送し、扱歯232を有する扱胴230の回転によって脱穀する。
扱室210内で脱穀された脱穀物は、受網240の網目から流下し、選別部400によって選別される。
一方、扱室210内で脱穀された脱穀物の一部は、受網240から流下せず、扱胴230の回転に伴って持ち回されるが、上記コンバインAは、ささり防止体251が設けられているので、該脱穀物はささり防止体251に止められ、持ち回られることを防止することができる。ささり防止体251に当たって反射した脱穀物は、連通口254を通過し、案内板256によって案内されつつ、回収用通路255に導かれる。
回収用通路255に入った脱穀物は、シュート部255aを介して、選別部400のフィードパンの前方部に導かれ、そこで、選別処理が行われる。なお、持ち回り防止された脱穀物は、選別部400の前方部(選別部に於ける選別処理開始端部)に導かれるので、該脱穀物に対する選別処理時間が長くなり、それだけ穀粒の選別回収を高めることができる。
【0042】
一方、ささり防止体251の後方部に於いて持ち回り防止された脱穀物についても、回収用通路255に導かれる。ところで、該脱穀物のうちの一部は、回収用通路255に入らない場合も考えられる。この点、上記ささり防止体251は、送塵口330に至るまで設けられているので、ささり防止体251にて持ち回り防止された脱穀物の一部であって、回収用通路255に入らない脱穀物は、送塵口330から処理室300へ入り、そこで処理される。処理された脱穀物は、処理室300から選別部400へと導かれ、回収用通路255を介した脱穀物と同様に、選別部400で選別処理される。
そして、選別部400に於いて選別された穀粒は、グレンタンク40へと収容される。
【0043】
このように、上記ささり防止構造250は、脱穀物の持ち回りを防止し、穀粒の回収率を高めることができる。また、上記ささり防止構造250は、ささり防止体251で持ち回り防止された脱穀物を、受網240をバイパスして選別部400へ導くので、受網240の内側に脱穀物が多量に滞留することも防止できる。従って、上記ささり防止構造250を有するコンバインAは、受網240を介して脱穀物を選別部400へ導くと共に、回収用通路255を介して脱穀物を選別部400へ導くことにより、扱室210内に存する脱穀物の多くを速やかに選別部400へ導くことができる。
【0044】
<他の実施形態>
以下、本発明の他の実施形態(変形例)について説明する。ただし、下記様々な他の実施形態の説明において、上記一実施形態と異なる構成及び効果について主として説明し、一実施形態と同様の構成及び効果については、その説明を省略し、用語及び符号を援用する場合がある。
【0045】
上記一実施形態では、ささり防止体251が、扱室カバー212に装着されているささり防止構造250を例示したが、例えば、ささり防止体251が、受網240や脱穀機枠211に装着されていてもよい。
ささり防止体251の取付位置は特に限定されないが、好ましくは、ささり防止体251は、フィードチェーン装置260と反対側(扱胴230の軸線を通る仮想垂直面VPよりフィードチェーン装置260から離反する側)に設けられる。なぜなら、ささり防止体251によって持ち回り防止された脱穀物の一部が、仮に回収用通路255に導かれないことがあっても、その脱穀物は、穀稈に刺さることなく、受網240の内側に落ち、受網240を介して選別部400へ流下するからである。従って、ささり防止体251(ささり防止構造250)が、フィードチェーン装置260側と反対側に設けられているコンバインAは、穀粒の回収率をより高めることができる。
【0046】
図6及び図7に、変形例に係るささり防止構造250であって、ささり防止体251が、受網240の先端側エッジ241に装着されているものを示す。
この場合、ささり防止体251と受網240の間に、回収用通路255へ繋がる連通口254を形成するため、ささり防止体251の取付片252に、長手方向に所定間隔を開けて複数の脚部252aが突設されている。取付片252は、その脚部252aを介して受網240の先端側エッジ241に取り付けられ、複数の脚部252aの間に連通口254が形成される。この場合でも、扱室カバー212を開ければ、受網240の先端側エッジ241に装着されたささり防止体251は、脱穀機枠211の上方開口211dからアクセス可能である。
【0047】
なお、特に図示しないが、ささり防止体251を脱穀機枠211に装着する場合には、ささり防止体251の前端部及び後端部を、脱穀機枠211の上流側端壁211b及び下流側端壁211cに装着することが好ましい。このようにささり防止体251を脱穀機枠211に装着する場合でも、該ささり防止体251は、扱室カバー212を開け、脱穀機枠211の上方開口211dからアクセス可能となる所定位置に装着されていることが好ましい。
【0048】
また、上記一実施形態では、ささり防止体251は、扱胴本体231の前方部から少なくとも送塵口330に至るまで延設されているが、ささり防止体251は、扱胴230の軸線方向に部分的に設けられていてもよい。
例えば、図8に示すように、長手方向長さが比較的短く形成されたささり防止体251が、扱胴本体231の前方部にのみ設けられているものでもよい。また、同様に短く形成されたささり防止体251が、扱胴本体231の前方部と、扱胴本体231の後方部(例えば、扱胴230の軸長方向中央部から送塵口330の上方に亘る部分)とにそれぞれ設けられていてもよい。このようにささり防止体251が部分的に設けられる場合に於いて、回収用通路255及び案内板256は、ささり防止体251に対応して設けてもよいし、上記一実施形態のように、扱胴230の前端部から送塵口330に至るまで設けられていてもよい。
また、ささり防止体251は、上記一実施形態よりも長く形成されていてもよい。例えば、ささり防止体251が、扱胴本体231の軸線方向長さと略同じ長さに形成されていてもよい。
【0049】
さらに、上記一実施形態では、回収用通路255のシュート部255aは、選別部400の前方部に脱穀物を導くように構成されているので、持ち回り防止された脱穀物の選別処理効率に優れているが、例えば、回収用通路255のシュート部255aが、選別部400の前後方向中央部または後方部に脱穀物を導くように構成されていてもよい。
また、回収用通路255は、漏斗状のシュート部255aを有しないものでもよい。
【0050】
なお、上記一実施形態では、処理室300を備えるコンバインAを例示したが、本発明のささり防止構造250は、処理室300を具備しないコンバインに適用することもできる。この場合、ささり防止体251は、扱胴230の軸線方向長さと略同長さに設けられいることが好ましいが、上記変形例のように、ささり防止体251が扱胴230の軸線方向に部分的に設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンバインを示す側面図。
【図2】同平面図。
【図3】同コンバインの脱穀装置の扱室内の概略構造を示す図であって、前後方向で切断した側面断面図。
【図4】同脱穀装置の扱室内の概略構造を示す図であって、前後方向と直交する方向で切断した正面断面図。
【図5】同脱穀装置の扱室内の概略構造を示す平面図。
【図6】他の実施形態に係る脱穀装置の扱室内の概略構造を示す正面断面図。
【図7】図6の丸囲いX部の拡大参考斜視図。
【図8】他の実施形態に係る脱穀装置の概略構造を示す平面図。
【0052】
A…コンバイン 2…クローラー式走行装置
10…刈取装置 20…刈取部
30…搬送部 40…グレンタンク
100…脱穀装置 200…脱穀部
210…扱室 212…扱室カバー
220…扱胴駆動軸 230…扱胴
231…扱胴本体 232…扱歯
240…受網 241…受網の先端側エッジ
242…受網の基端側エッジ 250…ささり防止構造
251…ささり防止体 252…取付片
252a…脚部 253…ささり防止片
254…連通口 255…回収用通路
256…案内板 300…処理室
310…送塵口処理胴 320…処理胴網
330…送塵口 400…選別部
410…揺動選別装置 420…送風機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱室内において軸線回りに回転駆動される扱胴本体及び扱胴本体の外表面に設けられた扱歯を有する扱胴と、穀稈の穂先側が前記扱室内に突入した状態で前記扱胴の軸線方向に沿って穀稈を搬送するフィードチェーン装置と、前記扱室の下方に受網を介して配置された選別部とを備え、前記扱胴によって穀稈から脱穀された穀粒を含む脱穀物を前記受網を介して前記選別部へ流下させるように構成されたコンバインに適用されるささり防止構造であって、
前記扱歯によって穀稈から脱穀された脱穀物が該扱胴の回転に伴って持ち回されることを防止するささり防止体を備え、
前記扱室には、前記ささり防止体に反射した脱穀物を、前記受網をバイパスして前記選別部へ案内する回収用通路が設けられていることを特徴とするささり防止構造。
【請求項2】
前記コンバインは、前記扱室の少なくとも一部を形成する脱穀機枠であって、前記扱胴を挟んで前記フィードチェーンとは反対側に位置する側壁と、前記扱胴より穀稈搬送方向上流側に位置する上流側端壁と、前記扱胴より穀稈搬送方向下流側に位置する下流側端壁とを有し、少なくとも前記フィードチェーン装置に近接する側の側方が開口とされた脱穀機枠を有し、
前記受網は、前記フィードチェーン装置に近接する側において前記扱胴の軸線方向に延びる基端側エッジと、前記扱胴の軸線を通る仮想垂直面より前記フィードチェーン装置から離間する側において前記扱胴の軸線方向に延びる先端側エッジとを有し、前記扱胴本体の下方において該扱胴本体の外表面に沿うように前記脱穀機枠の側方開口から該脱穀機枠に脱着可能に装着され、
前記ささり防止体は、前記受網の先端側エッジより前記扱胴の回転方向下流側において、基端部が前記扱胴の軸線を基準にして前記受網より径方向外方に位置し且つ先端部が前記扱胴の軸線を基準にして前記受網より径方向内方に位置するように配置され、
前記扱室には、前記ささり防止体に反射した脱穀物を前記回収用通路に案内する案内板が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のささり防止構造。
【請求項3】
前記案内板は、前記ささり防止体に反射した脱穀物を前記選別部におけるフィードパンへ向けるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のささり防止構造。
【請求項4】
前記脱穀機枠は上方が開口とされており、前記コンバインは、前記脱穀機枠の上方開口と側方開口のうち少なくとも前記フィードチェーン装置より上方に位置する部分とを覆う扱室カバーであって、前記扱胴の軸線方向に平行な枢支軸回り回動可能に前記脱穀機枠に連結された扱室カバーを備え、
前記ささり防止体は、前記扱室カバーを開放位置に位置させた際に、前記脱穀機枠の上方開口からアクセス可能な位置に設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載のささり防止構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−182977(P2008−182977A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−20778(P2007−20778)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】