説明

しわ除去組成物

【課題】 アイロンがけやスチームプレス等の熱処理を行わなくても、風合いを損なうことなく、繊維製品のしわを除去することのできる、しわ除去組成物の提供。
【解決手段】 特定の一般式(1)又は一般式(2)又は(3)で表されるアルキレンオキサイド付加物(a)を含有するしわ除去組成物、並びにこのしわ除去組成物を繊維製品に付与する、繊維製品のしわ除去方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維製品のしわを除去することができ、特にアイロン等の熱処理を行わなくても、風合いを損なうことなく効果的にしわを除去することができる、しわ除去組成物及びしわ除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にスーツ等のドライクリーニング衣類は家庭での水洗いが困難であり、それらのしわ取り方法については、一般にアイロンがけやスチームプレス等の熱処理を行う方法がある。熱処理を行わずに衣類のしわを伸ばす手段として、特許文献1にヘキシレングリコールやイソプレングリコール等の特定の水溶性溶剤と水を組み合わせた組成物を衣類のしわ部にスプレーした後、放置するだけでしわ部を取り除く方法が開示されている。しかし、この方法では衣類についた軽いしわは取り除けるが、深いしわを完全に除去するのは困難である。また、特許文献2〜5には、布帛のしわ取り剤組成物及び方法が開示されている。これらの方法は、組成物を布帛にスプレー噴霧した後で吊り下げて自然乾燥するか、アイロン掛けを行うことでしわを除去しているが、自然乾燥だけでは十分にしわを除去することができず、またアイロン掛けはしわ取りには非常に効果的であるが、手間がかかる作業である上、風合い回復の上では不十分である。
【特許文献1】特開平10−25660号公報
【特許文献2】特表平10−508911号公報
【特許文献3】国際公開第99/55952号パンフレット
【特許文献4】国際公開第99/55953号パンフレット
【特許文献5】特開平1−6174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、アイロンがけやスチームプレス等の熱処理を行わなくても、風合いを損なうことなく繊維製品のしわを十分に除去することができる、しわ除去組成物及びしわ除去方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、下記一般式(1)又は(2)又は(3)で表される化合物(a)を含有するしわ除去組成物を提供する。
【0005】
【化4】

【0006】
〔式中、Rは炭素数10〜22の炭化水素基であり、EOはC24Oを示し、POはC36Oを示し、m及びnはそれぞれ平均付加モル数を示し、mは3〜100、nは1〜10の数であり、(PO)と(EO)は、ランダム付加でもブロック付加でもよく、(PO)と(EO)の付加順序は問わない。m1及びm2は平均付加モル数を示し、m1とm2の合計が3〜100のになる数であり、n1及びn2は平均付加モル数を示し、n1とn2の合計が1〜10になる数であり、(PO)と(EO)は、ランダム付加でもブロック付加でもよく、(PO)と(EO)の付加順序は問わない。Yは
【0007】
【化5】

【0008】
のいずれかであり、R’は水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基である。〕
【0009】
また、本発明は、上記しわ除去組成物を繊維製品に付与する繊維製品のしわ除去方法又は上記組成物を繊維製品のしわ除去に用いる用途に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のしわ除去組成物は、繊維製品にスプレーするだけで繊維製品のしわを効果的に除去することができ、特にアイロンがけやスチームプレス等の熱処理を行わなくても、風合いを損なうことなく、繊維製品のしわを効果的に除去することができる。また、本発明に係る(a)成分は、両新媒性であるため、処理後の繊維製品を着用、使用した後、洗濯する場合も、通常の水性媒体を用いる洗濯でも、あるいは有機溶剤を用いるドライクリーニングでも、容易に除去できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
<(a)成分>
(a)成分の一般式(1)又は(2)又は(3)中、Rは炭素数10〜22の炭化水素基であり、好ましくは炭素数12〜18のアルキル基又は炭素数12〜18のアルケニル基である。炭素数16〜18のアルキル基がさらに好ましい。
【0012】
また、プロピレンオキシド(C36O基、以下、POと表記する場合もある)の平均付加モル数であるm又はm1+m2は、3〜100の数であり、好ましくは3〜60、より好ましくは10〜60の数である。m1、m2は、それぞれ0を超える数である。
【0013】
また、エチレンオキシド(C24O基、以下、EOと表記する場合もある)の平均付加モル数であるn又はn1+n2は、1〜10の数であり、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜3の数である。n1、n2は、それぞれ0を超える数である。
【0014】
また、一般式(1)又は(2)又は(3)中のPOとEOのモル比m/n又は(m1+m2)/(n1+n2)は、4〜12、更に6〜10が好ましい。
【0015】
上記化合物(a)は一般式(1’)で表される化合物も好ましく含む。
R−O−(PO)m−(EO)n−H (1’)
式(1’)中、Rは炭素数10〜22の炭化水素基であり、EOはC24Oを示し、POはC36Oを示し、m及びnはそれぞれ平均付加モル数を示し、mは3〜100、nは1〜10の数であり、(PO)と(EO)は、ランダム付加でもブロック付加でもよく、(PO)と(EO)の付加順序は問わない。また、mは10〜100、nは3〜10の数であることが好ましい。PO、EOの平均付加モル数はNMRにより求めることができる。
【0016】
本発明の(a)成分は、ROH又は以下
【0017】
【化6】

【0018】
のいずれかで表される化合物(R、R’は前記の通り、R''は炭素数2〜3の2価の炭化水素基)に、定法により、PO、EOを付加することにより得られる。
【0019】
本発明では特定範囲の平均付加モル数でPO、EOが付加した化合物を使用することにより、風合いを損なわずに、優れたしわ除去効果を得ることができる。
【0020】
(PO)と(EO)は、ランダム付加でもブロック付加でもよく、(PO)と(EO)の付加順序は問わない。(PO)、(EO)及び(PO)の順も含む。
【0021】
<(b)成分>
本発明のしわ除去組成物は、油性化合物(b)〔以下、(b)成分という〕を含有することが、しわ除去効果をより高めるために好ましい。(b)成分は、下記(b1)〜(b7)から選ばれる少なくとも1種の油性化合物であることが好ましい。
【0022】
(b1)平均分子量100〜500の飽和又は不飽和の直鎖もしくは分岐鎖炭化水素
(b2)平均分子量100〜300の1級又は2級アルコール
(b3)下記式(I)又は(II)で表されるエステル化合物又はエーテル化合物
【0023】
【化7】

【0024】
(式中、R1は炭素数8〜20の飽和又は不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の1価炭化水素基、R2は炭素数1〜20の飽和又は不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の1価炭化水素基、R3及びR4は、それぞれ独立に炭素数4〜18の飽和又は不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の1価炭化水素基を示す。)
(b4)平均分子量100〜500の脂肪酸
(b5)炭素数12〜24の脂肪酸のトリ、ジ又はモノグリセライド
(b6)スクアラン
(b7)コレステロール
【0025】
(b1)の炭化水素は、平均分子量100〜500の飽和又は不飽和の直鎖もしくは分岐鎖炭化水素であり、例えば石油から分離精製されるパラフィン系化合物を主成分とする留分、流動パラフィン等のパラフィン系オイル等が挙げられる。これらの中では平均分子量200〜400の流動パラフィンが好ましい。
【0026】
(b2)の平均分子量100〜300の1級又は2級アルコールとしては、炭素数8〜20の1級又は2級アルコールが挙げられ、炭素数14〜20のアルコールが好ましい。
【0027】
(b3)の上記式(I)又は(II)で表されるエステル化合物又はエーテル化合物としては、R1が炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基で、R2が炭素数1〜20のアルキル基であるエステル化合物、R3及びR4が炭素数4〜10のアルキル基であるエーテル化合物が好ましい。
【0028】
(b4)の平均分子量100〜500の脂肪酸としては、飽和又は不飽和の直鎖もしくは分岐鎖を有する脂肪酸のいずれでも良い。具体的には、炭素数6〜20の脂肪酸が挙げられ、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸が好ましい。
【0029】
(b5)の炭素数12〜24の脂肪酸のトリ、ジ又はモノグリセライドとしては、トリ、ジ又はモノミリスチン、トリ、ジ又はモノステアリン、トリ、ジ又はモノオレイン、トリ、ジ又はモノエルシン等が挙げられ、トリ、ジ又はモノミリスチン、トリ、ジ又はモノステアリン等の飽和脂肪酸のグリセライドが好ましく、トリミリスチン、トリステアリン等のトリグリセライドが更に好ましい。
【0030】
これらの(b)成分の中では、(b1)〜(b3)成分から選ばれる少なくとも1種が好ましく、(b1)及び(b2)成分が好ましく、(b1)成分が更に好ましく、平均分子量200〜400の流動パラフィンが特に好ましい。
【0031】
<(c)成分>
本発明のしわ除去組成物は、乳化剤(c)〔以下、(a)成分という〕及び水を含有することが好ましい。
【0032】
(c)成分の乳化剤としては、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド又はそのアルキレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤;モノ長鎖アルキル4級アンモニウム塩、ジ長鎖アルキル4級アンモニウム塩、トリ長鎖アルキル4級アンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、オレフインスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、脂防酸塩等の陰イオン界面活性剤;アミンオキサイド、スルホベタイン、カルボベタイン等の両性界面活性剤が挙げられ、HLB(グリフィン法、以下同じ)が4.0〜15.0の非イオン界面活性剤、炭素数10〜16の1価炭化水素基を1〜3個有する陽イオン界面活性剤、炭素数6〜14の1価炭化水素基を有する陰イオン界面活性剤から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0033】
本発明で特に好ましい乳化剤は、一般式(III)で表される非イオン界面活性剤である。
【0034】
5−O−(R6O)p−H (III)
〔式中、R5は、炭素数8〜22、好ましくは10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基あるいはアルケニル基であり、R6は炭素数2のアルキレン基、即ちエチレン基である。また、pは平均付加モル数を示す0.5〜30、好ましくは2〜20、特に好ましくは4〜10の数である。〕
【0035】
一般式(III)で表される化合物としては、例えば式(IV)で表される化合物が挙げられる。
【0036】
7−O−(C24O)r−H (IV)
〔式中、R7は炭素数10〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、rは平均付加モル数を示す1〜10、好ましくは3〜8の数である。〕
【0037】
<(d)成分>
本発明のしわ除去組成物は、シリコーン化合物(d)〔以下、(d)成分という〕を含有することが好ましい。
【0038】
(d)成分のシリコーン化合物としては、特に繊維の潤滑剤として用いることができるものが好ましい。具体的には、ジメチルポリシロキサン(以下、ジメチルシリコーンという)、又はジメチルシリコーンの側鎖もしくは末端のメチル基の一部がヒドロキシ基になっているオルガノポリシロキサン(以下、ヒドロキシシリコーンという)、前記ジメチルシリコーン又はヒドロキシシリコーンのメチル基(好ましくは側鎖のメチル基)の一部がメチル基以外の有機基になっているオルガノポリシロキサン(以下、変性シリコーンという)、ジメチルシロキサン鎖の中に有機基が導入されており末端がメチル基以外の有機基になっているオルガノポリシロキサン(以下、末端変性シリコーンという)等が挙げられる。
【0039】
変性シリコーンのメチル基以外の有機基としては、アミノ基を含む有機基、4級アンモニウム基を含む有機基、アミド基を含む有機基、ポリエーテル基を含む有機基、エポキシ基を含む有機基、カルボキシ基を含む有機基、アルキル基を含む有機基又はハロゲノアルキル基、ハロゲノアルキレン基もしくはハロゲノアリール基を含む有機基、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)鎖を含む有機基等が挙げられる。
【0040】
これらのシリコーン化合物の中では、シリコーンオイルと呼ばれる0〜40℃の温度で液状のシリコーン化合物が好ましい。
【0041】
[しわ除去組成物]
本発明のしわ除去組成物は、上記(a)成分に、更に必要により(b)成分、(c)成分、(d)成分、及び水を含有する組成物であり、O/Wエマルジョン型の組成物とすることができる。O/Wエマルジョンとする場合の乳化液滴の平均粒径は、繊維に(a)成分をできるだけ少量で均一に塗布することで、水分の蒸散速度を低減させて、しわを抑制し、且つ油剤による染みを抑制する観点から、0.1〜10μm、更に0.1〜3μmが好ましい。
【0042】
尚、本発明の乳化液滴の平均粒径は、動的光散乱計(大塚電子製、ELS-800)を用いて測定することができる。
【0043】
本発明のしわ除去組成物中の(a)成分の含有量は、しわ除去効果と配合組成物の溶液安定性の観点から、0.1〜5重量%が好ましく、0.2〜4重量%が更に好ましく、0.2〜2重量%が特に好ましい。
【0044】
また、本発明のしわ除去組成物中の(b)成分の含有量は、水分の蒸散速度を低減し、乾燥速度を低下させ、しわ発生を抑制させる観点から、0.01〜10重量%が好ましく、0.05〜2.0重量%が更に好ましく、0.01〜0.5重量%が特に好ましい。(c)成分の含有量は、(a)成分、更には(b)成分を効率的に乳化させる観点から、0.01〜20重量%が好ましく、0.1〜10重量%が更に好ましく、0.2〜1.0重量%が特に好ましい。
【0045】
本発明の組成物は、衣類が乾燥した状態での繊維同士の滑り性を向上させるために、(d)成分を含有することが好ましく、(d)成分の含有量は、0.02〜3.0重量%が好ましく、0.1〜0.5重量%が更に好ましい。
【0046】
本発明のしわ除去組成物は、上記(a)成分、更に(b)〜(d)成分以外に、香料、殺菌剤、防腐剤等を配合することができる。
【0047】
本発明の組成物を、O/Wエマルジョン型しわ除去組成物とする場合の製造法は特に限定されないが、例えば、上記各成分を水と混合し、乳化液滴の平均粒径が0.1〜10μmとなるように、ホモミキサー等で撹拌することにより得られる。
【0048】
[しわ除去方法]
本発明のしわ除去方法は、上記のような本発明のしわ除去組成物を、繊維製品に付与することにより、繊維製品のしわを除去する方法であり、アイロンがけやスチームプレス等の熱処理を行わなくてもしわを除去することができる。また、必要により熱処理を行ってもよい。
【0049】
本発明のしわ除去組成物を繊維製品に付与する方法としては、スプレー法が好ましく、噴霧装置を具備する容器に本発明のしわ除去組成物を充填し、繊維製品にスプレーすることが好ましい。噴霧装置としてはトリガー式が好ましく、特に実開平4−37554号公報の第1図に示されているような液垂れや噴霧の均一性に優れる蓄圧式トリガーを用いることが良好である。
【実施例】
【0050】
実施例1〜18及び比較例1〜8
下記成分を表1に示す割合で用い、(a)成分及び(b)成分に(c)成分を混合し、そこに(b)成分と等重量の水を混合し、ホモミキサーを用いて4000rpmで10分間攪拌した。攪拌後、残りの成分や水を加えて3000rpmで10分間攪拌してしわ除去組成物とした。得られた組成物について、下記方法でしわ取り性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0051】
<配合成分>
(a−1):一般式(1)中のRが炭素数18の直鎖アルキル基、mが38、nが6であり、アルキル基の炭素数、PO, EO の付加モル数で表すと、C18(PO)38(EO)6で表される化合物
(a−2):一般式(1)中のRが炭素数16の直鎖アルキル基、mが15、nが3でC16(PO)15(EO)3で表される化合物
(a−3):一般式(1)中のRが炭素数12の直鎖アルキル基、mが25、nが3でC12(PO)25(EO)3で表される化合物
(a−4):一般式(1)中のRが炭素数18の直鎖アルキル基、mが38、nが6でC18 (EO)6(PO)38で表される化合物
(a−5):一般式(1)中のRが炭素数18の直鎖アルキル基、mが20、nが5でC18 (PO)10(EO)5(PO)10で表される化合物
(a−6):一般式(1)中のRが炭素数18の直鎖アルキル基、mが30、nが5でC18 (PO)10(EO)5(PO)20で表される化合物
(a−7):一般式(1)中のRが炭素数18の直鎖アルキル基、mが55、nが2でC18 (EO)2(PO)55で表される化合物
(a−8):一般式(1)中のRが炭素数18の直鎖アルキル基、mが3、nが1でC18 (EO)1(PO)3で表される化合物
(a−9):一般式(1)中のRが炭素数18の直鎖アルキル基、mが3、nが3でC18 (EO)3(PO)3で表される化合物
(a−10):一般式(1)中のRが炭素数18の直鎖アルキル基、mが10、nが5でC18 (PO)10(EO)5で表される化合物
(a−11):一般式(1)中のRが炭素数18の直鎖アルキル基、mが15、nが5でC18 (PO)10(EO)5(PO)5で表される化合物
(a−12):一般式(1)中のRが炭素数20の直鎖アルキル基、mが15、nが7でC20 (EO)7(PO)15で表される化合物
(a’−1):一般式(1)中のRが炭素数12の直鎖アルキル基、mが12、nが12でC12 (PO)12(EO)12で表される化合物
(a’−2):一般式(1)中のRが炭素数12の直鎖アルキル基、mが0、nが8でC12 (EO)8で表される化合物
(a’−3):一般式(1)中のRが炭素数18の直鎖アルキル基、mが0、nが30でC18 (EO)30で表される化合物
(a’−4):一般式(1)中のRが炭素数18の直鎖アルキル基、mが20、nが20でC18 (EO)20(PO)20で表される化合物
(a’−5):一般式(1)中のRが炭素数18の直鎖アルキル基、mが18、nが32でC18 (EO)3(PO)3(EO)29(PO)15で表される化合物
(a’−6):一般式(1)中のRが炭素数18の直鎖アルキル基、mが23、nが30でC18 (EO)6(PO)3(EO)24(PO)20で表される化合物
(b−1):流動パラフィン(モレスコホワイトP−55、松村石油(株)製、平均分子量296)
(b−2):セチルアルコール、試薬(和光純薬(株)製)
(c−1):炭素数10〜14の直鎖第1級アルコールにEOを平均5モル付加した非イオン界面活性剤(HLB10.8)
(d−1)シリコーン化合物(1):LE−463(日本ユニカー(株)製、ジメチルポリシロキサンの乳化物)
(d−2)シリコーン化合物(2):ABN SILWET FZ−2203(日本ユニカー(株)製、ジメチルポリシロキサンとポリアルキレンオキサイドの共重合体)
【0052】
<しわ取り性の評価法>
(1)スプレーしわ取り性の評価
木綿ブロード#60(染色試材、(株)谷頭商店)及びウール生地(ウールサージ、(株)谷頭商店)からなる試験布20cm×10cmにイオン交換水をスプレー噴霧して湿潤させた後、試験布を2つ折りにして、40℃に設定した恒温室内で折り目部分に2kgの重りを載せ、24時間放置することによってしわをつけ、これをしわ取り評価のモデルじわとした。
【0053】
これらモデルじわのついた試験布に対し、試験布乾燥時重量に対して50重量%のしわ除去組成物をスプレー容器(キャニヨン製、T−7500)で噴霧した後、25℃/50%RHの恒温室に12時間放置し、自然乾燥させた。乾燥終了後、試験布のしわの取れ具合を判定した。
【0054】
判定はしわ除去組成物をスプレー処理した布と、処理前の布(対照)とを、5名のパネラーに以下の基準で採点してもらい、その平均値を求めて評価点とした。
・しわ判定基準
5:全くしわがない
4:ほとんどしわがない
3:僅かにしわが残っている
2:相当しわが残っている
1:著しくしわが残っている。
【0055】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)又は(2)又は(3)で表される化合物(a)を含有するしわ除去組成物。
【化1】


〔式中、Rは炭素数10〜22の炭化水素基であり、EOはC24Oを示し、POはC36Oを示し、m及びnはそれぞれ平均付加モル数を示し、mは3〜100、nは1〜10の数であり、(PO)と(EO)は、ランダム付加でもブロック付加でもよく、(PO)と(EO)の付加順序は問わない。m1及びm2は平均付加モル数を示し、m1とm2の合計が3〜100のになる数であり、n1及びn2は平均付加モル数を示し、n1とn2の合計が1〜10になる数であり、(PO)と(EO)は、ランダム付加でもブロック付加でもよく、(PO)と(EO)の付加順序は問わない。Yは
【化2】


のいずれかであり、R’は水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基である。〕
【請求項2】
化合物(a)が、一般式(1)及び(2)中のRが炭素数12〜18のアルキル基、m又はm1+m2が3〜60の数、n又はn1+n2が1〜8の数の化合物である請求項1記載のしわ除去組成物。
【請求項3】
化合物(a)が、一般式(1)及び(2)中のRが炭素数16〜18のアルキル基、m又はm1+m2が3〜60の数、n又はn1+n2が1〜3の数である請求項1記載のしわ除去組成物。
【請求項4】
化合物(a)が、一般式(1)及び(2)中のモル比m/n又は(m1+m2)/(n1+n2)が4〜12である化合物である請求項1〜3の何れか1項記載のしわ除去組成物。
【請求項5】
化合物(a)を0.1〜5重量%含有する請求項1〜4の何れか1項記載のしわ除去組成物。
【請求項6】
油性化合物(b)を含有する請求項1〜5の何れか1項記載ののしわ除去組成物。
【請求項7】
油性化合物(b)が、下記(b1)〜(b7)から選ばれる少なくとも1種の油性化合物である請求項6記載のしわ除去組成物。
(b1)平均分子量100〜500の飽和又は不飽和の直鎖もしくは分岐鎖炭化水素
(b2)平均分子量100〜300の1級又は2級アルコール
(b3)下記式(I)又は(II)で表されるエステル化合物又はエーテル化合物
【化3】


(式中、R1は炭素数8〜20の飽和又は不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の1価炭化水素基、R2は炭素数1〜20の飽和又は不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の1価炭化水素基、R3及びR4は、それぞれ独立に炭素数4〜18の飽和又は不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の1価炭化水素基を示す。)
(b4)平均分子量100〜500の脂肪酸
(b5)炭素数12〜24の脂肪酸のトリ、ジ又はモノグリセライド
(b6)スクアラン
(b7)コレステロール
【請求項8】
乳化剤(c)及び水を含有する請求項1〜7の何れか1項記載のしわ除去組成物。
【請求項9】
乳化剤(c)が、HLB(グリフィン法)が4.0〜15.0の非イオン界面活性剤、炭素数10〜16の1価炭化水素基を1〜3個有する陽イオン界面活性剤、炭素数6〜14の1価炭化水素基を有する陰イオン界面活性剤から選ばれる少なくとも1種である請求項8記載のしわ除去組成物。
【請求項10】
更に、シリコーン化合物(d)を含有する請求項1〜9の何れか1項記載のしわ除去組成物。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか1項記載のしわ除去組成物を、繊維製品に付与する、繊維製品のしわ除去方法。
【請求項12】
熱処理を行わない請求項11記載のしわ除去方法。
【請求項13】
請求項1〜10の何れか1項記載の組成物を繊維製品のしわ除去に用いる用途。
【請求項14】
化合物(a)が、一般式(1’)で表される化合物である請求項1記載のしわ除去組成物。
R−O−(PO)m−(EO)n−H (1’)
〔式中、Rは炭素数10〜22の炭化水素基であり、EOはC24Oを示し、POはC36Oを示し、m及びnはそれぞれ平均付加モル数を示し、mは3〜100、nは1〜10の数であり、(PO)と(EO)は、ランダム付加でもブロック付加でもよく、(PO)と(EO)の付加順序は問わない。〕

【公開番号】特開2006−104648(P2006−104648A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−259181(P2005−259181)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】