すべり覚検出センサ
【課題】被測定物の表面をなぞる場合のすべり覚と被測定物に継続的に押し当てた感圧を同時に検出する。
【解決手段】フレキシブルプリント基板等の基板3上に感圧素子用センサ電極4a,4bを配置し、その感圧素子用センサ電極4a,4bに対向して柔軟性を有する感圧素子1及び圧電素子2を積層構造で配置することにより、被測定物Wの表面をなぞる場合のすべり覚と被測定物Wに継続的に押し当てた感圧を同時に検出することが可能なセンサS1を実現する。また、感圧素子用センサ電極を基板3上に複数配置して感圧検出部の分解能を高める。
【解決手段】フレキシブルプリント基板等の基板3上に感圧素子用センサ電極4a,4bを配置し、その感圧素子用センサ電極4a,4bに対向して柔軟性を有する感圧素子1及び圧電素子2を積層構造で配置することにより、被測定物Wの表面をなぞる場合のすべり覚と被測定物Wに継続的に押し当てた感圧を同時に検出することが可能なセンサS1を実現する。また、感圧素子用センサ電極を基板3上に複数配置して感圧検出部の分解能を高める。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定物に押し当てたときの感圧検出とすべり覚とを検出するすべり覚検出センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被測定部の表面状態を検出する場合、圧電セラミックスや高分子圧電フィルム等の圧電素子を用いて被測定物の表面上をなぞり、圧電素子の一対の電極から信号を取出すことにより、すべり覚の検出を行っている(例えば、特許文献1参照。)。その触覚検出センサの一例を図14に示す。
【0003】
図14の触覚検出センサでは、圧電素子200の両端に電極201,202を配置し、表面状態を検出する側の電極201に接触子203を配置している。このようなセンサを用いて被測定物の表面上をなぞる動作、つまり水平方向(X方向)に移動させる動作を行うと、電極201、202間には被測定物の表面状態に応じて図9に示すような波形の電圧が出力される。
【0004】
また、圧電素子の特性として、センサを被測定物の表面に対して、垂直方向(Z方向)に押し当てた場合、押し当てた瞬間のみ、インパルス波形として、電極間から電圧が出力される。これは、圧電素子の物理的変形に伴い、微分型の電圧を出力するためである。
【0005】
以上のことから、圧電素子単体では、被測定物をなぞる場合のすべり覚検出は可能となるが、継続的な感圧検出を行うことができない。
【0006】
また、他の例として、図15に示すように、基板上210に振動子211、絶縁シート214、圧電素子212及び保護シート213をこの順で積層配置することにより、すべり覚と感圧を検出する触覚センサがある(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
その動作原理を説明すると、まず、振動子211用の電極215a,215bに既知の一定周波数の電圧を常時印加した状態で、圧電素子212にて振動子211からの伝達振動を検出する。このとき、圧電素子212を水平方向(X方向)に移動させながら被測定物(図示せず)に押し当てると、伝達振動量が変化するので、この振動量を検出することにより感圧を検知することができる。一方、図中の垂直方向(Z方向)において、圧電素子212で被測定物の表面をなぞると、表面状態に応じた出力を検出することができる。なお、伝達振動に対する感圧量と表面をなぞった場合のすべり量の出力電圧は、圧電素子212の両端の電極215c,215dから、電圧が合成された状態で出力されるため、感圧量とすべり量を分離するには、バンドパスフィルタ回路などを用いて分離する必要がある。
【特許文献1】特開平9−38082号公報
【特許文献2】特開2002−31574号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、触覚センサを圧電素子単体で構成した場合、前記したように、圧電素子の特性から被測定物に押し当てた瞬間または被測定物の表面をなぞる場合のすべり覚の検出は可能であるが、被測定物に継続的に押し当てた感圧を検出することが難しい。
【0009】
また、振動子と圧電素子を積層構造にしてすべり覚と感圧を検出する場合、前記したように、圧電素子の両端の電極から、すべり覚と感圧の両方の出力が合成されて出力されるため、回路上ですべり覚と感圧を分離する必要があって回路構成が複雑になる。これに伴って、センサ用回路も複雑になり回路の小型化が難しくなる結果、コストアップの要因となる。
【0010】
また、感圧センサとしての分解能を向上させるには、小型の圧電素子を多数配置する必要があるが、圧電素子に圧電セラミックス等を用いた場合、単位面積当りの出力感度は比較的大きいが、小型化のための製造加工が難しくなる。一方、圧電素子に高分子圧電フィルムを用いた場合、圧電セラミックスに比べて加工は容易となるが、出力感度は圧電セラミックスに比べて1〜2桁劣り、感圧センサの分解能の向上に対して弊害となる。
【0011】
本発明はそのような実情に鑑みてなされたものであり、被測定物の表面をなぞる場合のすべり覚と被測定物に継続的に押し当てた感圧を同時に検出することが可能であり、しかも、すべり覚と感圧の双方を簡単な回路構成のもとに精度よく検出することが可能なすべり覚検出センサの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のすべり覚検出センサは、基板上に配置された感圧素子用センサ電極と、柔軟性を有する感圧素子及び圧電素子とを備え、前記感圧素子用センサ電極に対向して前記感圧素子及び圧電素子が積層構造で配置されていることによって特徴づけられる。
【0013】
このように、感圧素子用センサ電極上に、柔軟性を有する感圧素子と圧電素子を積層構造で配置することにより、被測定物の表面をなぞる場合のすべり覚と被測定物に継続的に押し当てた感圧を同時に検出することが可能になる。また、感圧素子を用いているので感圧検出部の回路構成の簡素化とコストダウンを図ることができる。
【0014】
本発明のすべり覚検出センサにおいて、感圧素子用センサ電極を基板上に複数配置しておくと、感圧検出部の分解能を容易に向上させることができる。また、分解能向上に伴う製造工程についても単純に感圧素子用センサ電極を追加するだけでよいので、製造工程を複雑にすることなく分解能の向上を容易に実現できる。
【0015】
本発明のすべり覚検出センサにおいて、基板上に単一の感圧素子用センサ電極を配置するとともに、圧電素子用センサ電極を感圧素子に接触した状態で配置して、圧電素子用センサ電極が感圧素子用センサ電極を共用する構造としてもよい。このような構造を採用すると、センサ用電極の数を削減でき、センサ構造をより単純化することができる。この場合、感圧素子に接触する圧電素子用センサ電極を複数配置しておくと、感圧検出部の分解能をより一層向上させることができる。
【0016】
また、基板上に複数の感圧素子用センサ電極を配置するとともに、圧電素子用センサ電極を感圧素子に接触した状態で配置して、圧電素子用センサ電極が感圧素子用センサ電極を共用するという構造を採用すれば、センサ用電極の数を削減でき、センサ構造の単純化を図りながら、感圧検出部の分解能を向上させることができる。
【0017】
本発明のすべり覚検出センサにおいて、感圧素子用センサ電極と圧電素子用センサ電極とをマトリクス状に配置しておくと、マトリクス型の特徴から感圧検出部の分解能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のすべり覚検出センサによれば、感圧素子用センサ電極上に、柔軟性を有する感圧素子と圧電素子を積層構造で配置しているので、被測定物の表面をなぞる場合のすべり覚と被測定物に継続的に押し当てた感圧を同時に検出することが可能になる。また、感圧素子を用いているので、感圧検出部の回路構成の簡素化とコストダウンを図ることができる。さらに、フレキシブルプリント基板上に柔軟性を有する感圧素子と圧電素子を用いた構造とすることが可能であるので、曲面へのセンサ配置も容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
<実施例1>
図1は、本発明のすべり覚検出センサの一例を模式的に示す断面図である。
【0021】
この例のすべり覚検出センサS1は、感圧素子1、圧電素子2、基板3、一対の感圧素子用センサ電極4a,4b、一対の中継電極5b、5a、一対の圧電素子用センサ電極7a、7b及び絶縁シート6などを備えている。なお、基板3としては、例えばフレキシブルプリント基板を用いる。
【0022】
基板3には凹部3aが形成されており、この凹部3a内に一対の感圧素子用センサ電極4a,4bが配置されている。感圧素子1は、基板3上の感圧素子用センサ電極4a,4b上(図1では下方)に所定の間隔をあけて対向した状態で配置されており、この感圧素子1上に絶縁シート6及び圧電素子2が積層構造で配置されている。
【0023】
ここで、感圧検出部を構成する感圧素子1と感圧素子用センサ電極4a,4bの配置に関して説明すると、それら感圧素子用センサ電極4a,4bは、基板3の絶縁層が形成されていない凹部3aに配置され、感圧素子1に圧力が加わらない初期状態では、感圧素子1との間にわずかな隙間が形成されるように配置されている。
【0024】
また、すべり覚検出部を構成する圧電素子2の配置については、圧電素子2の両面に各々配置された圧電素子用センサ電極7a、7bを基板3上に配線するため、各々の中継電極5b、5aを用いて接続する。ここで使用する中継電極5a、5bは、センサユニット全体に柔軟性をもたせるため、その配置構造によって基板3と圧電素子2との間にわずかに段差が発生する場合があることを考慮して、バネ構造の金属電極や導電性ゴム等を使用する。
【0025】
なお、この例で使用する感圧素子1は柔軟構造のもので、代表例としては、感圧ゴムのように、センサ素子部分に圧力を加えて押し当てると抵抗値が変化するものを挙げることができる。また、圧電素子2については、圧電素子の表面に圧力を加えると圧電素子の表面上に配置された電極から圧力に応じた微分型の出力で電圧を発生する圧電セラミックスや高分子圧電フィルム等を挙げることができる。これらのうち、高分子圧電フィルムは柔軟であり、また、加工が容易であるので好適である。
【0026】
次に、検出動作原理について説明する。なお、以下の例では凹凸のある被測定物Wの表面をなぞる場合のすべり覚検出と、被測定物Wに押し当てた場合の感圧検出について説明を行う。
【0027】
−すべり覚検出−
すべり覚検出を行う場合、すべり覚検出センサS1を、被測定物Wの表面に押し当てた状態で図1のX方向にすべらす。このようにすると、圧電素子2の両端の中継電極5a、5b(圧電素子用センサ電極7a、7b)から被測定物Wの表面状態に応じた出力電圧波形、例えば図9に示すような出力電圧波形Eが発生する。
【0028】
ここで、すべり覚検出センサS1を被測定物Wに単に押し当てただけでは、図9に示すような出力電圧波形Eは出力されず、押し当てた瞬間のみにインパルスの出力波形が発生する。これは、圧電素子は微分型の出力素子であるため、同じ圧力を継続して検出できないためである。このことから、すべり覚検出センサS1を押し当てたときに、被測定物Wがすべっているかどうかを判断することができる。その応用例としては、ロボットハンドで物体を把持しているときに把持力が弱いと、ハンドで把持している物体がすべり落ち始めるという現象が生じることがあり、その現象を検出することが可能となる。
【0029】
また、すべり覚検出センサS1をX方向に一定速度で移動させたとき、図9に示す出力電圧波形Eに、ある範囲内の周波数成分が発生するので、その周波数成分を分析することにより、被測定物Wの表面状態を推測することが可能となる。すなわち、金属面等は、表面の凹凸が小さくて均一なため、出力電圧波形の周波数成分が高くなるのに対し、木目等では、表面状態が荒くて凹凸が大きいため、周波数成分が低くて大きな出力電圧波形となる。従って、出力電圧波形Eを分析することにより表面状態を推測・検出することができる。
【0030】
なお、すべり覚検出センサS1を被測定物Wに対してX方向にすべらしたときのほか、図1のZ方向においてすべり覚検出センサS1を被測定物Wに押し当てた瞬間もインパルスの出力波形が検出されるが、この例では、後述する感圧素子1による感圧検出も同時に行うことができるので、感圧検出の値を併用することにより、圧電素子2から出力された出力電圧波形が、すべり覚検出センサS1を被測定物Wに押し当てた瞬間の出力電圧波形であるのか、被測定物Wの表面をすべらせた時の出力電圧波形であるのかを容易に区別することができる。
【0031】
−感圧検出について−
感圧検出を行う場合、すべり覚検出センサS1を被測定物Wの表面に押し当て、図1のZ方向に圧力を加えると、圧電素子2を通じて感圧素子1に圧力が加わり、感圧素子1が感圧素子用センサ電極4a、4bに接触する。このとき、感圧素子1として感圧ゴムを使用すると、感圧素子1への圧力に応じて抵抗値が変化する。従って、感圧素子用センサ電極4a,4b間の抵抗値を測定することにより、すべり覚検出センサS1を被測定物Wに押し当てたときの感圧を検出することができる。
【0032】
以上のことから、図1に示す構造のすべり覚検出センサS1を用いることにより、被測定物Wの表面をなぞる場合のすべり覚と、被測定物Wに継続的に押し当てた感圧とを同時に検出することが可能になる。
【0033】
また、図15に示した構造のように、振動子と圧電素子を用いて感圧を検出する場合、検出回路としてバンドパスフィルタ等を用いてすべり覚と感圧を分離する必要があって回路が複雑になるが、この例のすべり覚検出センサS1の場合、すべり覚に関しては、圧電素子1の出力電圧をそのまま利用することができる。また、感圧検出についても、感圧素子用センサ電極4a、4b間の抵抗値を測定するだけでよいので、検出回路の簡略化とコストダウンを図ることができる。
【0034】
ここで、図1のすべり覚検出センサS1において、基板3としてフレキシブルプリント基板を用い、また、圧電素子2に高分子圧電フィルムを用いることにより、センサ検出部が柔軟構造となるので、すべり覚検出センサS1を、ロボットハンドの指などの曲面ができる場所にも容易に設置することが可能となる。
【0035】
<実施例2>
図2は本発明のすべり覚検出センサの他の例を模式的に示す断面図である。
【0036】
この例のすべり覚検出センサS2は、図1の構造において、一対の感圧素子用センサ電極4a,4bに替えて、複数の感圧素子用センサ電極14a〜14fを基板3上に配置した点に特徴がある。それ以外の構造は、図1のすべり覚検出センサS1と同じである。
【0037】
この例において、すべり覚検出は、前記した<実施例1>と同じ動作原理で検出することができる。
【0038】
一方、感圧検出については、複数の感圧素子用センサ電極14a〜14fの各電極間の抵抗値を測定することにより検出する。具体的には、複数配置された感圧素子用センサ電極14a〜14fのうち、互いに隣合う2つのセンサ電極14aと14b、センサ電極14bと14c、センサ電極14cと14d、センサ電極14dと14e、センサ電極14eと14f、というような順番で、順次信号を回路上で切替えて各々電極間の抵抗値を測定することにより、各感圧素子用センサ電極14a〜14fに対する個別の感圧を検出することができる。
【0039】
ここで、圧電素子を用いた感圧検出センサでは、通常、感圧検出部の分解能を向上させようとすると、圧電素子の小型化が要求されるが、圧電素子として圧電セラミックスを用いた場合、検出感度は比較的高いが微細加工が難しい。また、圧電素子として高分子圧電フィルムを用いた場合、加工は行い易いが、圧電セラミックスと比較して一般に出力感度が低く、小型化するとノイズ成分が大きくなり、分解能向上に課題が発生する。
【0040】
これに対し、図2に示すような構造を採用すると、すべり覚検出用圧電素子の形状は、感圧検出部の分解能を向上させるにあたり小型化する必要がなく、感圧素子用センサ電極の電極数を増加することにより、感圧検出部の分解能を向上させることができる。
【0041】
<実施例3>
図3は本発明のすべり覚検出センサの別の例を模式的に示す断面図である。
【0042】
この例のすべり覚検出センサS3は、図1の構造において、感圧素子用センサ電極4a,4bに替えて、単一の感圧素子用センサ電極14を配置した点、及び、図1の絶縁シート6を削除し、圧電素子2を感圧素子1に密着させるとともに、圧電素子用センサ電極7aを感圧素子用センサ電極として共用させる点に特徴がある。それ以外の構造は、図1のすべり覚検出センサS1と同じである。
【0043】
この例において、すべり覚検出は圧電素子用センサ電極7a,7bを用いて検出することができる。一方、感圧検出については、感圧素子用センサ電極14と圧電素子用センサ電極7a(感圧素子用センサ電極との共用電極)とを用いて検出することが可能であるので、前記した<実施例1>と比べてセンサ電極数と絶縁シート6を削減することができ、センサ構造の単純化と小型化を実現することができる。
【0044】
<実施例4>
図4は本発明のすべり覚検出センサの別の例を模式的に示す断面図である。
【0045】
この例のすべり覚検出センサS4は、図3の構造において、単一の感圧素子用センサ電極14に替えて、複数の感圧素子用センサ電極14a〜14fを基板3上に配置した点に特徴がある。それ以外の構造は、図3のすべり覚検出センサS3と同じである。
【0046】
この例において、すべり覚検出は、前記した<実施例3>と同様に圧電素子用センサ電極7a,7bを用いて検出することができる。
【0047】
一方、感圧検出については、複数の感圧素子用センサ電極14a〜14fと圧電素子用センサ電極7a(感圧素子用センサ電極との共用電極)との各電極間の抵抗値を測定することにより検出する。具体的には、複数配置された感圧素子用センサ電極14a〜14fと圧電素子用センサ電極7aとの間において、感圧素子用センサ電極14aと圧電素子用センサ電極7a、感圧素子用センサ電極14bと圧電素子用センサ電極7a、・・・、感圧素子用センサ電極14fと圧電素子用センサ電極7a、というような順番で、順次信号を回路上で切替えて各々の電極間の抵抗値を測定することにより感圧を検出することができる。
【0048】
ここで、図4に示す構造と前記した<実施例2>とが異なる点は、<実施例2>では、感圧素子用センサ電極14a〜14fの各電極間で感圧検出を行っているが、図4に示す構造では、感圧素子用センサ電極14a〜14fと圧電素子用センサ電極7aの電極間で感圧検出を行う点である。そして、前記した<実施例2>の場合、同一平面上(水平方向)に配置した感圧素子用センサ電極14a〜14f間において、水平方向の各位置の電極間の抵抗値を検出しているので、電極間のピッチを細かくすると感圧素子で検出される抵抗値の変化量が小さくなり、細かい感圧変化を捕らえにくくなる。これに対し、図4に示す構造では、圧電素子用センサ電極7aを共用電極としているので、感圧素子用センサ電極が垂直方向に配置された構造となることから、基板3上の感圧素子用センサ電極14a〜14fの各電極間のピッチを細かくしても、感圧素子1で検出される抵抗値の変化量が変らない。
【0049】
以上のことから、図4の構造を採用することにより、前記した<実施例3>の効果を維持しながら、感圧検出部の分解能を更に向上させることができる。
【0050】
<実施例5>
図5は本発明のすべり覚検出センサの別の例を模式的に示す断面図である。
【0051】
この例のすべり覚検出センサS5は、図3の構造において、圧電素子用センサ電極7aに替えて、複数の圧電素子用センサ電極17a〜17eを配置し、それら複数の圧電素子用センサ電極17a〜17eを感圧素子用センサ電極として共用させる点に特徴がある。それ以外の構造は、図3のすべり覚検出センサS3と同じである。
【0052】
前記した<実施例4>では、基板3上に複数の感圧素子用センサ電極14a〜14fを配置しているのに対し、この例では、圧電素子2側に複数の感圧素子用センサ電極17a〜17eを配置したものであり、基本的な動作原理及び効果は<実施例4>と同等であるが、すべり覚検出を行う場合、感圧素子用センサ電極7bと感圧素子用センサ電極17a〜17eとの各電極間で行うため、圧電素子2の出力電圧がすべり覚検出に必要な出力が十分得られる大きさの場合、圧電素子部の分解能を向上させることができる。なお、分割によりすべり覚検出が十分に行われない場合は、分割した各信号を合成し、1つのすべり覚検出部として取り扱うことにより、十分な出力を得ることができる。
【0053】
<実施例6>
図6は本発明のすべり覚検出センサの別の例を模式的に示す断面図である。
【0054】
この例のすべり覚検出センサS6は、図4の構造において、複数の感圧素子用センサ電極24a〜24fと複数の圧電素子用センサ電極27a〜27eとをマトリクス状に配置している点に特徴がある。
【0055】
ここで、感圧検出部については、基板3上に感圧素子用センサ電極24a〜24fをXラインに複数配置し、また、感圧素子1を挟んで圧電素子2側に圧電素子用センサ電極27a〜27eをYラインに複数配置した構造をとる。感圧検出動作としては、Xラインの複数の感圧素子用センサ電極24a〜24fのうちの1つ電極、例えば感圧素子用センサ電極24aに電圧を印加した状態で、感圧素子用センサ電極24aのライン上に圧力が加わると、感圧素子用センサ電極24aが感圧素子1を介して圧電素子用センサ電極27a〜27eの電極上に接触する。このとき、各部に加えられた圧力に応じて感圧素子1の抵抗値が変化するため、圧電素子用センサ電極27a〜27eの各々の電圧を測定することによりYラインの感圧を検出することができる。上記と同様に他の感圧素子用センサ電極24b〜24fについても各々電圧を印加して、圧電素子用センサ電極27a〜27eの各部の電圧を測定すれば、センサ全体の感圧分布を検出することができる。
【0056】
また、すべり覚検出については、前記した<実施例5>と同様に、感圧素子用センサ電極7bと圧電素子用センサ電極27a〜27eとの各電極間で行うことにより、すべり覚を検出することができる。
【0057】
この例のすべり覚検出センサS6によれば、マトリクス型電極の特徴から、感圧検出部の分解能を更に向上させることができる。
【0058】
<実施例7>
図7及び図8は、本発明のすべり覚検出センサの別の例を模式的に示す図である。
【0059】
この例のすべり覚検出センサS7は、複数のすべり覚・感圧検出部(例えば、実施例1〜実施例6のすべり覚検出センサS1,S2,S3,S4,S5またはS6のすべり覚・感圧検出部(感圧素子1及び圧電素子2等))をマトリクス状に配置した構造に特徴がある。以下、この例のすべり覚検出センサS7の応用例を図7及び図8を参照しながら説明する。
【0060】
図7に示す例は、すべり覚検出センサS7上に複数のすべり覚・感圧検出部10a1〜10e5をマトリクス状に配置したもので、すべり覚検出センサS7が被測定物におけるコーナー部等の線形エッジ部分Weに接触した場合の例である。
【0061】
図7において、線形エッジ部分Weに強く接触する部分つまりすべり覚・感圧検出部10a1,10b2,10c3,10d4,10e5では、強い感圧を検出するが、他の部分では、ほとんど感圧を検出しない。この結果から、線形エッジ部分Weの表面状態は、すべり覚検出センサS7に対して約45度の角度でコーナー部に接触していることが容易に分かる。
【0062】
また、他の応用として、コーナー部等の線形エッジ部分Weではなく、ロボットハンドにてワイヤ等を把持していると想定した場合、同様の感圧検出結果が得られる。しかしながら、ロボットハンドでの把持力が低い場合、感圧検出位置が変化しない状態でワイヤがすべりだす。ワイヤがすべりだすと、すべり覚検出部の圧電素子3によってすべり覚を検出することができる。このすべり覚を利用することにより、把持力を強めるなどのフィードバック制御を行うことが可能となる。
【0063】
図8の例は、被測定物の平面からコーナー部等を検出した場合の例で、図8のようにすべり覚検出センサS7が被測定物表面のコーナー部Wcの位置に移動したとき、被測定物Wの表面に強く接触する部分つまりすべり覚・感圧検出部10a2〜10a5,10b3〜10b5,10c4〜10c5,10d5では強い感圧を検出し、また、被測定物表面のコーナー部Wcに接触する部分つまりすべり覚・感圧検出部10a1,10b2,10c3,10d4,10e5において中程度の感圧を検出し、その他の部分では感圧を検出しない。この結果から、すべり覚検出センサS7が被測定物表面のコーナー部Wcを検出したことが容易に分かる。
【0064】
以上のように、本発明を利用することにより、被測定物の表面状態の検出やロボットハンドにより物体を把持する場合のセンサフィードバックへの応用が可能となる。
【0065】
ここで、本発明のすべり覚検出センサS1〜S7は、具体的には、複数の指機構部で物体の把持を行うロボットハンドの指機構部や指先部等に用いることができる。この場合、把持物の表面状態を検出しながら動作を行うことができるので、適切な把持圧で物体を安定に把持することができる。
【0066】
人の手と同様の構造を有するロボットハンドは、手のひらに相当するベースに複数の指機構部が装着され、その各指機構部は複数の関節部を介して複数のフレーム部を順次連結させて構成されている。そして、各関節部を作動させるアクチュエータが、適宜の箇所に設けられている。このようなロボットハンドは、複数の指機構部で物体の把持を行うだけでなく、本発明のすべり覚検出センサS1〜S7を搭載することで硬度・材質・形状・表面状態等の異なる多種多様な物体の把持を実現することができる。
【0067】
図10〜図13は、ロボットハンドの一例を示しており、図10はロボットハンドを手の甲側から見た平面図(上面図)、図11は親指側から見た側面図、図12は小指側から見た側面図、図13は手のひら側から見た平面図(下面図)である。
【0068】
ロボットハンドは、手のひらに相当するベース101と、ベース101に装着されている複数本(この例では人間の指と同じ5本)の指機構部102,103,104,105,106と、各指機構部102,103,104,105,106を駆動する駆動部とを備えている。駆動部は、アクチュエータとしての複数のモータと、各モータの駆動力を指機構部102,103,104,105,106に伝達する動力伝達部としてワイヤー(図示せず)とを備えている。
【0069】
駆動部であるモータは、ベース101部分において3平面に納められている。第1の平面上に親指用指機構部102を駆動する親指用モータ112,113,114が配置されており、第2の平面上に人差指用指機構部103を駆動する人差指用モータ116,117,118と、薬指用指機構部104及び小指用指機構部105を駆動する薬指・小指用モータ121とが配置されている。また、第3平面上に、親指用指機構部102を手のひらと平行に駆動するモータ111と、人差指用指機構部103を手のひらと平行に駆動するモータ115とが配置されているとともに、中指用指機構部104を駆動する中指用モータ119,120が配置されている。
【0070】
各指機構部102,103,104,105,106は、3つの関節部123,124,125と、この関節部123,124,125によって連結された2つのフレーム部126,127及び1つの指先部128とからなり、各関節部123,124,125はそれぞれ上記の対応するモータで駆動される。
【0071】
このような構造のロボットハンドにおいて、本発明のすべり覚検出センサS1〜S7を各指機構部102,103,104,105,106のフレーム部126,127及び指先部128などに装着することで、硬度・材質・形状・表面状態などが異なる多種多様な物体のスムーズな把持が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明のすべり覚検出センサは、被測定物の表面をなぞる場合のすべり覚と被測定物に継続的に押し当てた感圧を同時に検出することができるので、例えば、複数の指機構部で物体の把持を行うロボットハンドの指機構部や指先等に装着して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明のすべり覚検出センサの一例を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明のすべり覚検出センサの他の例を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明のすべり覚検出センサの別の例を模式的に示す断面図である。
【図4】本発明のすべり覚検出センサの別の例を模式的に示す断面図である。
【図5】本発明のすべり覚検出センサの別の例を模式的に示す断面図である。
【図6】本発明のすべり覚検出センサの別の例を模式的に示す断面図である。
【図7】本発明のすべり覚検出センサの別の例を模式的に示す図とその検出例を併記して示す図である。
【図8】図7のすべり覚検出センサによる他の検出例を示す図である。
【図9】すべり覚検出センサの出力電圧波形を示すグラフである。
【図10】ロボットハンドを手の甲側から見た上面図である。
【図11】ロボットハンドを親指側から見た側面図である。
【図12】ロボットハンドを小指側から見た側面図である。
【図13】ロボットハンドを手のひら側からみた下面図である。
【図14】単体の圧電セラミック素子を用いた触覚センサの一例を模式的に示す断面図である。
【図15】2枚の圧電セラミック素子を用いた触覚センサの一例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0074】
S1〜S6 すべり覚検出センサ
感圧素子1
圧電素子2
3 基板(フレキシブルプリント基板)
4a,4b 感圧素子用センサ電極
5a,5b 中継電極
6 絶縁シート
7a,7b 圧電素子用センサ電極
14 感圧素子用センサ電極
14a〜14f 感圧素子用センサ電極
17a〜17f 圧電素子用センサ電極
24a〜24f 感圧素子用センサ電極
27a〜27f 圧電素子用センサ電極
S7 すべり覚検出センサ
10a1〜10e5 すべり覚・感圧検出部
W 被測定物
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定物に押し当てたときの感圧検出とすべり覚とを検出するすべり覚検出センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被測定部の表面状態を検出する場合、圧電セラミックスや高分子圧電フィルム等の圧電素子を用いて被測定物の表面上をなぞり、圧電素子の一対の電極から信号を取出すことにより、すべり覚の検出を行っている(例えば、特許文献1参照。)。その触覚検出センサの一例を図14に示す。
【0003】
図14の触覚検出センサでは、圧電素子200の両端に電極201,202を配置し、表面状態を検出する側の電極201に接触子203を配置している。このようなセンサを用いて被測定物の表面上をなぞる動作、つまり水平方向(X方向)に移動させる動作を行うと、電極201、202間には被測定物の表面状態に応じて図9に示すような波形の電圧が出力される。
【0004】
また、圧電素子の特性として、センサを被測定物の表面に対して、垂直方向(Z方向)に押し当てた場合、押し当てた瞬間のみ、インパルス波形として、電極間から電圧が出力される。これは、圧電素子の物理的変形に伴い、微分型の電圧を出力するためである。
【0005】
以上のことから、圧電素子単体では、被測定物をなぞる場合のすべり覚検出は可能となるが、継続的な感圧検出を行うことができない。
【0006】
また、他の例として、図15に示すように、基板上210に振動子211、絶縁シート214、圧電素子212及び保護シート213をこの順で積層配置することにより、すべり覚と感圧を検出する触覚センサがある(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
その動作原理を説明すると、まず、振動子211用の電極215a,215bに既知の一定周波数の電圧を常時印加した状態で、圧電素子212にて振動子211からの伝達振動を検出する。このとき、圧電素子212を水平方向(X方向)に移動させながら被測定物(図示せず)に押し当てると、伝達振動量が変化するので、この振動量を検出することにより感圧を検知することができる。一方、図中の垂直方向(Z方向)において、圧電素子212で被測定物の表面をなぞると、表面状態に応じた出力を検出することができる。なお、伝達振動に対する感圧量と表面をなぞった場合のすべり量の出力電圧は、圧電素子212の両端の電極215c,215dから、電圧が合成された状態で出力されるため、感圧量とすべり量を分離するには、バンドパスフィルタ回路などを用いて分離する必要がある。
【特許文献1】特開平9−38082号公報
【特許文献2】特開2002−31574号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、触覚センサを圧電素子単体で構成した場合、前記したように、圧電素子の特性から被測定物に押し当てた瞬間または被測定物の表面をなぞる場合のすべり覚の検出は可能であるが、被測定物に継続的に押し当てた感圧を検出することが難しい。
【0009】
また、振動子と圧電素子を積層構造にしてすべり覚と感圧を検出する場合、前記したように、圧電素子の両端の電極から、すべり覚と感圧の両方の出力が合成されて出力されるため、回路上ですべり覚と感圧を分離する必要があって回路構成が複雑になる。これに伴って、センサ用回路も複雑になり回路の小型化が難しくなる結果、コストアップの要因となる。
【0010】
また、感圧センサとしての分解能を向上させるには、小型の圧電素子を多数配置する必要があるが、圧電素子に圧電セラミックス等を用いた場合、単位面積当りの出力感度は比較的大きいが、小型化のための製造加工が難しくなる。一方、圧電素子に高分子圧電フィルムを用いた場合、圧電セラミックスに比べて加工は容易となるが、出力感度は圧電セラミックスに比べて1〜2桁劣り、感圧センサの分解能の向上に対して弊害となる。
【0011】
本発明はそのような実情に鑑みてなされたものであり、被測定物の表面をなぞる場合のすべり覚と被測定物に継続的に押し当てた感圧を同時に検出することが可能であり、しかも、すべり覚と感圧の双方を簡単な回路構成のもとに精度よく検出することが可能なすべり覚検出センサの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のすべり覚検出センサは、基板上に配置された感圧素子用センサ電極と、柔軟性を有する感圧素子及び圧電素子とを備え、前記感圧素子用センサ電極に対向して前記感圧素子及び圧電素子が積層構造で配置されていることによって特徴づけられる。
【0013】
このように、感圧素子用センサ電極上に、柔軟性を有する感圧素子と圧電素子を積層構造で配置することにより、被測定物の表面をなぞる場合のすべり覚と被測定物に継続的に押し当てた感圧を同時に検出することが可能になる。また、感圧素子を用いているので感圧検出部の回路構成の簡素化とコストダウンを図ることができる。
【0014】
本発明のすべり覚検出センサにおいて、感圧素子用センサ電極を基板上に複数配置しておくと、感圧検出部の分解能を容易に向上させることができる。また、分解能向上に伴う製造工程についても単純に感圧素子用センサ電極を追加するだけでよいので、製造工程を複雑にすることなく分解能の向上を容易に実現できる。
【0015】
本発明のすべり覚検出センサにおいて、基板上に単一の感圧素子用センサ電極を配置するとともに、圧電素子用センサ電極を感圧素子に接触した状態で配置して、圧電素子用センサ電極が感圧素子用センサ電極を共用する構造としてもよい。このような構造を採用すると、センサ用電極の数を削減でき、センサ構造をより単純化することができる。この場合、感圧素子に接触する圧電素子用センサ電極を複数配置しておくと、感圧検出部の分解能をより一層向上させることができる。
【0016】
また、基板上に複数の感圧素子用センサ電極を配置するとともに、圧電素子用センサ電極を感圧素子に接触した状態で配置して、圧電素子用センサ電極が感圧素子用センサ電極を共用するという構造を採用すれば、センサ用電極の数を削減でき、センサ構造の単純化を図りながら、感圧検出部の分解能を向上させることができる。
【0017】
本発明のすべり覚検出センサにおいて、感圧素子用センサ電極と圧電素子用センサ電極とをマトリクス状に配置しておくと、マトリクス型の特徴から感圧検出部の分解能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のすべり覚検出センサによれば、感圧素子用センサ電極上に、柔軟性を有する感圧素子と圧電素子を積層構造で配置しているので、被測定物の表面をなぞる場合のすべり覚と被測定物に継続的に押し当てた感圧を同時に検出することが可能になる。また、感圧素子を用いているので、感圧検出部の回路構成の簡素化とコストダウンを図ることができる。さらに、フレキシブルプリント基板上に柔軟性を有する感圧素子と圧電素子を用いた構造とすることが可能であるので、曲面へのセンサ配置も容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
<実施例1>
図1は、本発明のすべり覚検出センサの一例を模式的に示す断面図である。
【0021】
この例のすべり覚検出センサS1は、感圧素子1、圧電素子2、基板3、一対の感圧素子用センサ電極4a,4b、一対の中継電極5b、5a、一対の圧電素子用センサ電極7a、7b及び絶縁シート6などを備えている。なお、基板3としては、例えばフレキシブルプリント基板を用いる。
【0022】
基板3には凹部3aが形成されており、この凹部3a内に一対の感圧素子用センサ電極4a,4bが配置されている。感圧素子1は、基板3上の感圧素子用センサ電極4a,4b上(図1では下方)に所定の間隔をあけて対向した状態で配置されており、この感圧素子1上に絶縁シート6及び圧電素子2が積層構造で配置されている。
【0023】
ここで、感圧検出部を構成する感圧素子1と感圧素子用センサ電極4a,4bの配置に関して説明すると、それら感圧素子用センサ電極4a,4bは、基板3の絶縁層が形成されていない凹部3aに配置され、感圧素子1に圧力が加わらない初期状態では、感圧素子1との間にわずかな隙間が形成されるように配置されている。
【0024】
また、すべり覚検出部を構成する圧電素子2の配置については、圧電素子2の両面に各々配置された圧電素子用センサ電極7a、7bを基板3上に配線するため、各々の中継電極5b、5aを用いて接続する。ここで使用する中継電極5a、5bは、センサユニット全体に柔軟性をもたせるため、その配置構造によって基板3と圧電素子2との間にわずかに段差が発生する場合があることを考慮して、バネ構造の金属電極や導電性ゴム等を使用する。
【0025】
なお、この例で使用する感圧素子1は柔軟構造のもので、代表例としては、感圧ゴムのように、センサ素子部分に圧力を加えて押し当てると抵抗値が変化するものを挙げることができる。また、圧電素子2については、圧電素子の表面に圧力を加えると圧電素子の表面上に配置された電極から圧力に応じた微分型の出力で電圧を発生する圧電セラミックスや高分子圧電フィルム等を挙げることができる。これらのうち、高分子圧電フィルムは柔軟であり、また、加工が容易であるので好適である。
【0026】
次に、検出動作原理について説明する。なお、以下の例では凹凸のある被測定物Wの表面をなぞる場合のすべり覚検出と、被測定物Wに押し当てた場合の感圧検出について説明を行う。
【0027】
−すべり覚検出−
すべり覚検出を行う場合、すべり覚検出センサS1を、被測定物Wの表面に押し当てた状態で図1のX方向にすべらす。このようにすると、圧電素子2の両端の中継電極5a、5b(圧電素子用センサ電極7a、7b)から被測定物Wの表面状態に応じた出力電圧波形、例えば図9に示すような出力電圧波形Eが発生する。
【0028】
ここで、すべり覚検出センサS1を被測定物Wに単に押し当てただけでは、図9に示すような出力電圧波形Eは出力されず、押し当てた瞬間のみにインパルスの出力波形が発生する。これは、圧電素子は微分型の出力素子であるため、同じ圧力を継続して検出できないためである。このことから、すべり覚検出センサS1を押し当てたときに、被測定物Wがすべっているかどうかを判断することができる。その応用例としては、ロボットハンドで物体を把持しているときに把持力が弱いと、ハンドで把持している物体がすべり落ち始めるという現象が生じることがあり、その現象を検出することが可能となる。
【0029】
また、すべり覚検出センサS1をX方向に一定速度で移動させたとき、図9に示す出力電圧波形Eに、ある範囲内の周波数成分が発生するので、その周波数成分を分析することにより、被測定物Wの表面状態を推測することが可能となる。すなわち、金属面等は、表面の凹凸が小さくて均一なため、出力電圧波形の周波数成分が高くなるのに対し、木目等では、表面状態が荒くて凹凸が大きいため、周波数成分が低くて大きな出力電圧波形となる。従って、出力電圧波形Eを分析することにより表面状態を推測・検出することができる。
【0030】
なお、すべり覚検出センサS1を被測定物Wに対してX方向にすべらしたときのほか、図1のZ方向においてすべり覚検出センサS1を被測定物Wに押し当てた瞬間もインパルスの出力波形が検出されるが、この例では、後述する感圧素子1による感圧検出も同時に行うことができるので、感圧検出の値を併用することにより、圧電素子2から出力された出力電圧波形が、すべり覚検出センサS1を被測定物Wに押し当てた瞬間の出力電圧波形であるのか、被測定物Wの表面をすべらせた時の出力電圧波形であるのかを容易に区別することができる。
【0031】
−感圧検出について−
感圧検出を行う場合、すべり覚検出センサS1を被測定物Wの表面に押し当て、図1のZ方向に圧力を加えると、圧電素子2を通じて感圧素子1に圧力が加わり、感圧素子1が感圧素子用センサ電極4a、4bに接触する。このとき、感圧素子1として感圧ゴムを使用すると、感圧素子1への圧力に応じて抵抗値が変化する。従って、感圧素子用センサ電極4a,4b間の抵抗値を測定することにより、すべり覚検出センサS1を被測定物Wに押し当てたときの感圧を検出することができる。
【0032】
以上のことから、図1に示す構造のすべり覚検出センサS1を用いることにより、被測定物Wの表面をなぞる場合のすべり覚と、被測定物Wに継続的に押し当てた感圧とを同時に検出することが可能になる。
【0033】
また、図15に示した構造のように、振動子と圧電素子を用いて感圧を検出する場合、検出回路としてバンドパスフィルタ等を用いてすべり覚と感圧を分離する必要があって回路が複雑になるが、この例のすべり覚検出センサS1の場合、すべり覚に関しては、圧電素子1の出力電圧をそのまま利用することができる。また、感圧検出についても、感圧素子用センサ電極4a、4b間の抵抗値を測定するだけでよいので、検出回路の簡略化とコストダウンを図ることができる。
【0034】
ここで、図1のすべり覚検出センサS1において、基板3としてフレキシブルプリント基板を用い、また、圧電素子2に高分子圧電フィルムを用いることにより、センサ検出部が柔軟構造となるので、すべり覚検出センサS1を、ロボットハンドの指などの曲面ができる場所にも容易に設置することが可能となる。
【0035】
<実施例2>
図2は本発明のすべり覚検出センサの他の例を模式的に示す断面図である。
【0036】
この例のすべり覚検出センサS2は、図1の構造において、一対の感圧素子用センサ電極4a,4bに替えて、複数の感圧素子用センサ電極14a〜14fを基板3上に配置した点に特徴がある。それ以外の構造は、図1のすべり覚検出センサS1と同じである。
【0037】
この例において、すべり覚検出は、前記した<実施例1>と同じ動作原理で検出することができる。
【0038】
一方、感圧検出については、複数の感圧素子用センサ電極14a〜14fの各電極間の抵抗値を測定することにより検出する。具体的には、複数配置された感圧素子用センサ電極14a〜14fのうち、互いに隣合う2つのセンサ電極14aと14b、センサ電極14bと14c、センサ電極14cと14d、センサ電極14dと14e、センサ電極14eと14f、というような順番で、順次信号を回路上で切替えて各々電極間の抵抗値を測定することにより、各感圧素子用センサ電極14a〜14fに対する個別の感圧を検出することができる。
【0039】
ここで、圧電素子を用いた感圧検出センサでは、通常、感圧検出部の分解能を向上させようとすると、圧電素子の小型化が要求されるが、圧電素子として圧電セラミックスを用いた場合、検出感度は比較的高いが微細加工が難しい。また、圧電素子として高分子圧電フィルムを用いた場合、加工は行い易いが、圧電セラミックスと比較して一般に出力感度が低く、小型化するとノイズ成分が大きくなり、分解能向上に課題が発生する。
【0040】
これに対し、図2に示すような構造を採用すると、すべり覚検出用圧電素子の形状は、感圧検出部の分解能を向上させるにあたり小型化する必要がなく、感圧素子用センサ電極の電極数を増加することにより、感圧検出部の分解能を向上させることができる。
【0041】
<実施例3>
図3は本発明のすべり覚検出センサの別の例を模式的に示す断面図である。
【0042】
この例のすべり覚検出センサS3は、図1の構造において、感圧素子用センサ電極4a,4bに替えて、単一の感圧素子用センサ電極14を配置した点、及び、図1の絶縁シート6を削除し、圧電素子2を感圧素子1に密着させるとともに、圧電素子用センサ電極7aを感圧素子用センサ電極として共用させる点に特徴がある。それ以外の構造は、図1のすべり覚検出センサS1と同じである。
【0043】
この例において、すべり覚検出は圧電素子用センサ電極7a,7bを用いて検出することができる。一方、感圧検出については、感圧素子用センサ電極14と圧電素子用センサ電極7a(感圧素子用センサ電極との共用電極)とを用いて検出することが可能であるので、前記した<実施例1>と比べてセンサ電極数と絶縁シート6を削減することができ、センサ構造の単純化と小型化を実現することができる。
【0044】
<実施例4>
図4は本発明のすべり覚検出センサの別の例を模式的に示す断面図である。
【0045】
この例のすべり覚検出センサS4は、図3の構造において、単一の感圧素子用センサ電極14に替えて、複数の感圧素子用センサ電極14a〜14fを基板3上に配置した点に特徴がある。それ以外の構造は、図3のすべり覚検出センサS3と同じである。
【0046】
この例において、すべり覚検出は、前記した<実施例3>と同様に圧電素子用センサ電極7a,7bを用いて検出することができる。
【0047】
一方、感圧検出については、複数の感圧素子用センサ電極14a〜14fと圧電素子用センサ電極7a(感圧素子用センサ電極との共用電極)との各電極間の抵抗値を測定することにより検出する。具体的には、複数配置された感圧素子用センサ電極14a〜14fと圧電素子用センサ電極7aとの間において、感圧素子用センサ電極14aと圧電素子用センサ電極7a、感圧素子用センサ電極14bと圧電素子用センサ電極7a、・・・、感圧素子用センサ電極14fと圧電素子用センサ電極7a、というような順番で、順次信号を回路上で切替えて各々の電極間の抵抗値を測定することにより感圧を検出することができる。
【0048】
ここで、図4に示す構造と前記した<実施例2>とが異なる点は、<実施例2>では、感圧素子用センサ電極14a〜14fの各電極間で感圧検出を行っているが、図4に示す構造では、感圧素子用センサ電極14a〜14fと圧電素子用センサ電極7aの電極間で感圧検出を行う点である。そして、前記した<実施例2>の場合、同一平面上(水平方向)に配置した感圧素子用センサ電極14a〜14f間において、水平方向の各位置の電極間の抵抗値を検出しているので、電極間のピッチを細かくすると感圧素子で検出される抵抗値の変化量が小さくなり、細かい感圧変化を捕らえにくくなる。これに対し、図4に示す構造では、圧電素子用センサ電極7aを共用電極としているので、感圧素子用センサ電極が垂直方向に配置された構造となることから、基板3上の感圧素子用センサ電極14a〜14fの各電極間のピッチを細かくしても、感圧素子1で検出される抵抗値の変化量が変らない。
【0049】
以上のことから、図4の構造を採用することにより、前記した<実施例3>の効果を維持しながら、感圧検出部の分解能を更に向上させることができる。
【0050】
<実施例5>
図5は本発明のすべり覚検出センサの別の例を模式的に示す断面図である。
【0051】
この例のすべり覚検出センサS5は、図3の構造において、圧電素子用センサ電極7aに替えて、複数の圧電素子用センサ電極17a〜17eを配置し、それら複数の圧電素子用センサ電極17a〜17eを感圧素子用センサ電極として共用させる点に特徴がある。それ以外の構造は、図3のすべり覚検出センサS3と同じである。
【0052】
前記した<実施例4>では、基板3上に複数の感圧素子用センサ電極14a〜14fを配置しているのに対し、この例では、圧電素子2側に複数の感圧素子用センサ電極17a〜17eを配置したものであり、基本的な動作原理及び効果は<実施例4>と同等であるが、すべり覚検出を行う場合、感圧素子用センサ電極7bと感圧素子用センサ電極17a〜17eとの各電極間で行うため、圧電素子2の出力電圧がすべり覚検出に必要な出力が十分得られる大きさの場合、圧電素子部の分解能を向上させることができる。なお、分割によりすべり覚検出が十分に行われない場合は、分割した各信号を合成し、1つのすべり覚検出部として取り扱うことにより、十分な出力を得ることができる。
【0053】
<実施例6>
図6は本発明のすべり覚検出センサの別の例を模式的に示す断面図である。
【0054】
この例のすべり覚検出センサS6は、図4の構造において、複数の感圧素子用センサ電極24a〜24fと複数の圧電素子用センサ電極27a〜27eとをマトリクス状に配置している点に特徴がある。
【0055】
ここで、感圧検出部については、基板3上に感圧素子用センサ電極24a〜24fをXラインに複数配置し、また、感圧素子1を挟んで圧電素子2側に圧電素子用センサ電極27a〜27eをYラインに複数配置した構造をとる。感圧検出動作としては、Xラインの複数の感圧素子用センサ電極24a〜24fのうちの1つ電極、例えば感圧素子用センサ電極24aに電圧を印加した状態で、感圧素子用センサ電極24aのライン上に圧力が加わると、感圧素子用センサ電極24aが感圧素子1を介して圧電素子用センサ電極27a〜27eの電極上に接触する。このとき、各部に加えられた圧力に応じて感圧素子1の抵抗値が変化するため、圧電素子用センサ電極27a〜27eの各々の電圧を測定することによりYラインの感圧を検出することができる。上記と同様に他の感圧素子用センサ電極24b〜24fについても各々電圧を印加して、圧電素子用センサ電極27a〜27eの各部の電圧を測定すれば、センサ全体の感圧分布を検出することができる。
【0056】
また、すべり覚検出については、前記した<実施例5>と同様に、感圧素子用センサ電極7bと圧電素子用センサ電極27a〜27eとの各電極間で行うことにより、すべり覚を検出することができる。
【0057】
この例のすべり覚検出センサS6によれば、マトリクス型電極の特徴から、感圧検出部の分解能を更に向上させることができる。
【0058】
<実施例7>
図7及び図8は、本発明のすべり覚検出センサの別の例を模式的に示す図である。
【0059】
この例のすべり覚検出センサS7は、複数のすべり覚・感圧検出部(例えば、実施例1〜実施例6のすべり覚検出センサS1,S2,S3,S4,S5またはS6のすべり覚・感圧検出部(感圧素子1及び圧電素子2等))をマトリクス状に配置した構造に特徴がある。以下、この例のすべり覚検出センサS7の応用例を図7及び図8を参照しながら説明する。
【0060】
図7に示す例は、すべり覚検出センサS7上に複数のすべり覚・感圧検出部10a1〜10e5をマトリクス状に配置したもので、すべり覚検出センサS7が被測定物におけるコーナー部等の線形エッジ部分Weに接触した場合の例である。
【0061】
図7において、線形エッジ部分Weに強く接触する部分つまりすべり覚・感圧検出部10a1,10b2,10c3,10d4,10e5では、強い感圧を検出するが、他の部分では、ほとんど感圧を検出しない。この結果から、線形エッジ部分Weの表面状態は、すべり覚検出センサS7に対して約45度の角度でコーナー部に接触していることが容易に分かる。
【0062】
また、他の応用として、コーナー部等の線形エッジ部分Weではなく、ロボットハンドにてワイヤ等を把持していると想定した場合、同様の感圧検出結果が得られる。しかしながら、ロボットハンドでの把持力が低い場合、感圧検出位置が変化しない状態でワイヤがすべりだす。ワイヤがすべりだすと、すべり覚検出部の圧電素子3によってすべり覚を検出することができる。このすべり覚を利用することにより、把持力を強めるなどのフィードバック制御を行うことが可能となる。
【0063】
図8の例は、被測定物の平面からコーナー部等を検出した場合の例で、図8のようにすべり覚検出センサS7が被測定物表面のコーナー部Wcの位置に移動したとき、被測定物Wの表面に強く接触する部分つまりすべり覚・感圧検出部10a2〜10a5,10b3〜10b5,10c4〜10c5,10d5では強い感圧を検出し、また、被測定物表面のコーナー部Wcに接触する部分つまりすべり覚・感圧検出部10a1,10b2,10c3,10d4,10e5において中程度の感圧を検出し、その他の部分では感圧を検出しない。この結果から、すべり覚検出センサS7が被測定物表面のコーナー部Wcを検出したことが容易に分かる。
【0064】
以上のように、本発明を利用することにより、被測定物の表面状態の検出やロボットハンドにより物体を把持する場合のセンサフィードバックへの応用が可能となる。
【0065】
ここで、本発明のすべり覚検出センサS1〜S7は、具体的には、複数の指機構部で物体の把持を行うロボットハンドの指機構部や指先部等に用いることができる。この場合、把持物の表面状態を検出しながら動作を行うことができるので、適切な把持圧で物体を安定に把持することができる。
【0066】
人の手と同様の構造を有するロボットハンドは、手のひらに相当するベースに複数の指機構部が装着され、その各指機構部は複数の関節部を介して複数のフレーム部を順次連結させて構成されている。そして、各関節部を作動させるアクチュエータが、適宜の箇所に設けられている。このようなロボットハンドは、複数の指機構部で物体の把持を行うだけでなく、本発明のすべり覚検出センサS1〜S7を搭載することで硬度・材質・形状・表面状態等の異なる多種多様な物体の把持を実現することができる。
【0067】
図10〜図13は、ロボットハンドの一例を示しており、図10はロボットハンドを手の甲側から見た平面図(上面図)、図11は親指側から見た側面図、図12は小指側から見た側面図、図13は手のひら側から見た平面図(下面図)である。
【0068】
ロボットハンドは、手のひらに相当するベース101と、ベース101に装着されている複数本(この例では人間の指と同じ5本)の指機構部102,103,104,105,106と、各指機構部102,103,104,105,106を駆動する駆動部とを備えている。駆動部は、アクチュエータとしての複数のモータと、各モータの駆動力を指機構部102,103,104,105,106に伝達する動力伝達部としてワイヤー(図示せず)とを備えている。
【0069】
駆動部であるモータは、ベース101部分において3平面に納められている。第1の平面上に親指用指機構部102を駆動する親指用モータ112,113,114が配置されており、第2の平面上に人差指用指機構部103を駆動する人差指用モータ116,117,118と、薬指用指機構部104及び小指用指機構部105を駆動する薬指・小指用モータ121とが配置されている。また、第3平面上に、親指用指機構部102を手のひらと平行に駆動するモータ111と、人差指用指機構部103を手のひらと平行に駆動するモータ115とが配置されているとともに、中指用指機構部104を駆動する中指用モータ119,120が配置されている。
【0070】
各指機構部102,103,104,105,106は、3つの関節部123,124,125と、この関節部123,124,125によって連結された2つのフレーム部126,127及び1つの指先部128とからなり、各関節部123,124,125はそれぞれ上記の対応するモータで駆動される。
【0071】
このような構造のロボットハンドにおいて、本発明のすべり覚検出センサS1〜S7を各指機構部102,103,104,105,106のフレーム部126,127及び指先部128などに装着することで、硬度・材質・形状・表面状態などが異なる多種多様な物体のスムーズな把持が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明のすべり覚検出センサは、被測定物の表面をなぞる場合のすべり覚と被測定物に継続的に押し当てた感圧を同時に検出することができるので、例えば、複数の指機構部で物体の把持を行うロボットハンドの指機構部や指先等に装着して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明のすべり覚検出センサの一例を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明のすべり覚検出センサの他の例を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明のすべり覚検出センサの別の例を模式的に示す断面図である。
【図4】本発明のすべり覚検出センサの別の例を模式的に示す断面図である。
【図5】本発明のすべり覚検出センサの別の例を模式的に示す断面図である。
【図6】本発明のすべり覚検出センサの別の例を模式的に示す断面図である。
【図7】本発明のすべり覚検出センサの別の例を模式的に示す図とその検出例を併記して示す図である。
【図8】図7のすべり覚検出センサによる他の検出例を示す図である。
【図9】すべり覚検出センサの出力電圧波形を示すグラフである。
【図10】ロボットハンドを手の甲側から見た上面図である。
【図11】ロボットハンドを親指側から見た側面図である。
【図12】ロボットハンドを小指側から見た側面図である。
【図13】ロボットハンドを手のひら側からみた下面図である。
【図14】単体の圧電セラミック素子を用いた触覚センサの一例を模式的に示す断面図である。
【図15】2枚の圧電セラミック素子を用いた触覚センサの一例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0074】
S1〜S6 すべり覚検出センサ
感圧素子1
圧電素子2
3 基板(フレキシブルプリント基板)
4a,4b 感圧素子用センサ電極
5a,5b 中継電極
6 絶縁シート
7a,7b 圧電素子用センサ電極
14 感圧素子用センサ電極
14a〜14f 感圧素子用センサ電極
17a〜17f 圧電素子用センサ電極
24a〜24f 感圧素子用センサ電極
27a〜27f 圧電素子用センサ電極
S7 すべり覚検出センサ
10a1〜10e5 すべり覚・感圧検出部
W 被測定物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に配置された感圧素子用センサ電極と、柔軟性を有する感圧素子及び圧電素子とを備え、前記感圧素子用センサ電極に対向して前記感圧素子及び圧電素子が積層構造で配置されていることを特徴とするすべり覚検出センサ。
【請求項2】
前記感圧素子用センサ電極が前記基板上に複数配置されていることを特徴とする請求項1記載のすべり覚検出センサ。
【請求項3】
前記基板上に単一の感圧素子用センサ電極が配置されているとともに、前記圧電素子の圧電素子用センサ電極が前記感圧素子に接触した状態で配置されており、その圧電素子用センサ電極が感圧素子用センサ電極を共用する構造となっていることを特徴とする請求項1記載のすべり覚検出センサ。
【請求項4】
前記基板上に複数の感圧素子用センサ電極が配置されているとともに、前記圧電素子の圧電素子用センサ電極が前記感圧素子に接触した状態で配置されており、その圧電素子用センサ電極が感圧素子用センサ電極を共用する構造となっていることを特徴とする請求項1記載のすべり覚検出センサ。
【請求項5】
前記感圧素子に接触する圧電素子用センサ電極が複数配置されていることを特徴とする請求項3記載のすべり覚検出センサ。
【請求項6】
前記感圧素子用センサ電極と圧電素子用センサ電極とがマトリクス状に配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のすべり覚検出センサ。
【請求項1】
基板上に配置された感圧素子用センサ電極と、柔軟性を有する感圧素子及び圧電素子とを備え、前記感圧素子用センサ電極に対向して前記感圧素子及び圧電素子が積層構造で配置されていることを特徴とするすべり覚検出センサ。
【請求項2】
前記感圧素子用センサ電極が前記基板上に複数配置されていることを特徴とする請求項1記載のすべり覚検出センサ。
【請求項3】
前記基板上に単一の感圧素子用センサ電極が配置されているとともに、前記圧電素子の圧電素子用センサ電極が前記感圧素子に接触した状態で配置されており、その圧電素子用センサ電極が感圧素子用センサ電極を共用する構造となっていることを特徴とする請求項1記載のすべり覚検出センサ。
【請求項4】
前記基板上に複数の感圧素子用センサ電極が配置されているとともに、前記圧電素子の圧電素子用センサ電極が前記感圧素子に接触した状態で配置されており、その圧電素子用センサ電極が感圧素子用センサ電極を共用する構造となっていることを特徴とする請求項1記載のすべり覚検出センサ。
【請求項5】
前記感圧素子に接触する圧電素子用センサ電極が複数配置されていることを特徴とする請求項3記載のすべり覚検出センサ。
【請求項6】
前記感圧素子用センサ電極と圧電素子用センサ電極とがマトリクス状に配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のすべり覚検出センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−10407(P2006−10407A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−185352(P2004−185352)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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