説明

ぬいぐるみ玩具

【課題】製造コストの低減が図れるとともに、抱き心地がよく心が癒される新しい発想のぬいぐるみ玩具を提供すること。
【解決手段】ぬいぐるみ玩具Aの胴体部2には可撓性を有するワイヤー状部材5を曲折し、曲折した該ワイヤー状部材5の両端部5a、5bを頭部側3に、曲折部5cを後脚側に位置するように配置するとともに、上記ワイヤー部材5の適宜の場所を上記胴体部2に固定し、上記ワイヤー状部材5の両端部5a、5bをそれぞれ回動軸6a、6bに固定し、該回動軸6a、6bは所定間隔をおいて並設し、ぬいぐるみ玩具Aの頭部3には、モータ10を駆動力として上記回動軸6a、6bを同一方向に回動させ上記ワイヤー状部材5を捩じる駆動装置Bを配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ぬいぐるみ玩具、詳しくは寝かせた状態で身体を左右に捩じる動作をするぬいぐるみ玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、子猫などの愛玩動物を模した形態を有し、その手足部などを作動させる駆動部を内蔵したぬいぐるみ玩具が本出願人から提案されている(例えば、特許文献1)。このぬいぐるみ玩具は、ぬいぐるみ本体の内部に設けられた駆動部が駆動軸を回動させることにより、ぬいぐるみ本体に突設した四足に相当する4つの突出部が回動するようにしたもので、このぬいぐるみ玩具を仰向けにすると、4つの突出部は上方に延びた状態で自由に回動するので、子猫が仰向けになって足を動かすような動作を実現できるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願平7−14981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする問題点は、上述のぬいぐるみ玩具は、仰向けになって前脚と後脚とを動かすことができるが、駆動部から4つの脚に対応させて突出部を設け、この突出部を動かさなければならないため構造が複雑になり、製造に係るコストの上昇は避けることができない問題と、胴体部に駆動部を配置しているため抱いたときの抱き心地が悪いという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決し、製造コストの低減が図れるとともに、抱き心地がよく心が癒される新しい発想のぬいぐるみ玩具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために本発明に係るぬいぐるみ玩具は、以下の要件を備えることを特徴とする。
イ)上記ぬいぐるみ玩具の胴体部には可撓性を有するワイヤー状部材を曲折し、該ワイヤー状部材の両端部を頭部側に、曲折部を後脚側に位置するように配置するとともに、上記ワイヤー部材の適宜の場所を上記胴体部に固定したこと
(ロ)上記ワイヤー状部材の両端部をそれぞれ回動軸に固定し、該回動軸は所定間隔をおいて並設したこと
(ハ)上記ぬいぐるみ玩具の頭部には、モータを駆動力として上記回動軸を同一方向に回動させ上記ワイヤー状部材を捩じる駆動装置を配置したこと
【0007】
なお、前記駆動装置は、前記回動軸の回動位置を検出する検出部と、該検出部の検出結果に基づいて前記モータの回転を制御する制御部を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、胴体部に可撓性を有するワイヤー状部材を湾曲して折り曲げて配置し、頭部に配置した駆動装置でワイヤー状部材を捩じることにより胴体部を捩じることができ、胴体部には複雑な機構を配置する必要がなく簡単な構造でコストの低減を図ることができるとともに、抱き心地のよい心を癒されるぬいぐるみ玩具を提供することができる。
【0009】
請求項2の発明によれば、駆動装置に回動軸の回動位置を検出する検出部を設けたので、検出部の検出結果からモータの回転を制御し、ワイヤー状部材の捩じりを小さくしたり大きくしたり、しかも捩じり過ぎないように制御でき、ぬいぐるみ玩具の胴体部を捩じるだけでありながらその捩じり量や捩じり方向を制御することにより、様々な動きを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るぬいぐるみ玩具の一例を示す斜視図
【図2】上記ぬいぐるみ玩具の平面図
【図3】駆動装置の構成を説明する分解斜視図
【図4】上記駆動装置の要部を説明する分解斜視図
【図5】上記駆動装置の検出部を説明する分解斜視図
【図6】上記ぬいぐるみ玩具のブロック図
【図7】上記駆動装置の動きを説明するフローチャート図
【図8】(a)〜(c)はワイヤー状部材の動きを説明する内部構造の平面図
【図9】(a)〜(c)はぬいぐるみ玩具の動きの説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1、2は、ぬいぐるみ玩具Aの一例を示し、このぬいぐるみ玩具Aは玩具本体1を犬を模して形成したもので、胴体部2は袋状に形成され、内部には綿やスポンジなどの弾性部材を充填するとともに、可撓性を有するワイヤー状部材(例えば、ナイロンを素材としたワイヤー)5を湾曲させて折り曲げ、両端部5a、5bを頭部3側に、略U字状に曲折した曲折部5cを後脚4側に位置するように配置し、ワイヤー状部材(以下、ワイヤーという)5の両端部5a、5bにはそれぞれ回動軸6a、6bを固定し、頭部3にはこの回動軸6a、6bを同一方向に回動させる駆動装置Bを配置したものである(図2参照)。なお、上記ワイヤー5は所定間隔をおいて胴体部2の腹部面2aに糸などの固定部材7で縫い付けて固定してある。
【0012】
駆動装置Bは、図3に示すように、前ケース8aと後ケース8bとで略球体状に形成されたケース8の内部に配置された、モータ10と、モータ10の回転軸に固定されたプーリ11と、このプーリ11にベルト12を介して連動する駆動プーリ13と、この駆動プーリ13の前面に一体に形成された歯車13aに噛みあう駆動歯車14と、この駆動歯車14と一体の歯車14aに歯車15a、15bが噛みあう2つの回動軸6a、6bとで主に構成され、上記2つの回動軸6a、6bは先端が後ケース8bに形成された軸孔16a、16bから後方に突出するように配置されている。
【0013】
そして、上記回動軸6a、6bには先端にそれぞれ嵌合凹部17a、17bが形成され、この嵌合凹部17a、17bにはワイヤー5の端部5a、5bが嵌め込まれ、嵌め込んだワイヤー5の端部5a、5bはそれぞれ固定ピン18で回動軸6a、6bに固定され、回動軸6a、6bが回動するとワイヤー5の端部5a、5bも回動軸6a、6bと一体で回動するようになっている(図4参照)。
【0014】
また、後ケース8bの外側には回動軸6aの回動位置を検出する検出部20が配置されている。この検出部20は後ケース8bの背面にネジ止めされるセンサ基板21と、センサホルダー22と、センサ23とで構成され、図5に示すように、センサ基板21には環状の導電部P0と、その外側に配置された4個の導電部(P1〜P4)がプリント配線され、導電部P0と導電部P1とでスイッチSW1を、導電部P0と導電部P2とでスイッチSW2を、導電部P0と導電部P3とでスイッチSW3を、導電部P0と導電部P4とでスイッチSW4をそれぞれ構成している。
【0015】
センサホルダー22は略円板状でセンサ基板21の中央に形成された開口部21aを貫通して突出した回動軸6aの軸部の断面と同じ形状に形成された嵌合孔24を嵌め合わせてセンサ基板21に対面するように固定されるとともに、回動軸6aと一体で回動するようになっている。このセンサホルダー22の前面には二股のブラシで構成されたセンサ23が固定され、回動軸6aが回動するとセンサホルダー22が一体で回動し、センサホルダー22に固定されたセンサ23がセンサ基板21上を移動し、導電部P0とP1〜P4の何れかを短絡すると、後述する制御部35は駆動軸6aの回転位置が判るようになっている。
【0016】
なお、図3において、符号25は電池ボックス、符号26は効果音を出力するスピーカ、符号27は回路基板、符号28はラバースイッチ、符号29は前ケース8aの上部に形成された開口部30に上下に回動可能に配置された操作プレートを示し、この操作プレート29を押下するとラバースイッチ28がONして駆動装置Bが作動するようになっている。
【0017】
図6は、ぬいぐるみ玩具Aの電気的構成を説明するブロック図を示し、制御部35であるマイクロコンピュータ(プログラマブル音声合成ICで構成すればよい)は、内蔵するメモリ36にモータ10を制御する制御プログラムやスピーカ26から出力する音声データ等を記憶し、操作プレート29を押し操作してラバースイッチ28をONさせると、制御部35はモータ10の正逆回転を制御するとともに、効果音をスピーカ26から出力するようになっている。
【0018】
なお、図6において、符号37は制御部35からのモータ駆動信号に基づいてモータ10を正逆回転させるドライブ回路、符号38は制御部35からの音声信号を増幅してスピーカ26から効果音を出力させるアンプ回路を示す。
【0019】
次に、上記制御部35によるモータ10の基本的な制御を図7のフローチャート図に基づいて説明する。レストポジションではSW1がON(導電部P0と導電部P1をセンサ23が短絡)の状態で、操作プレート29が押されるのを待つ(ステップST1)。操作プレート29が押されるとラバースイッチ28がONするので、制御部35はステップST2に進んでモータ10の回転方向をランダムに決定し、正回転又は逆回転させ、スイッチSW2又はSW3がONするまでモータ10を回転させる(ステップST3)。
【0020】
スイッチSW2又はSW3がONするとステップST4に進んでモータ10を反転させるか否かをランダムに決定し、反転させない場合はステップST5に進んで、スイッチSW4がONするまでモータ10を回転させ、スイッチSW4がONするとステップST6に進んで、ワイヤー5を捩じり過ぎないようにモータ10を反転させ、ステップST3に戻り、再びスイッチSW2又はSW3がONするのを待つ。
【0021】
ステップST4でモータ10を反転させた場合は、ステップST7に進んでスイッチSW1がONするまでモータ10を回転させる。スイッチSW1がONするとぬいぐるみ玩具Aはうつ伏せ状態のレストポジションに戻るので、ステップST8に進んで、モータ10を停止してぬいぐるみ玩具Aの動作を停止するのか否かをランダムに決定し、停止する場合はステップST1に戻ってスタートボタンが押されるのを待つ。停止しない場合は、ステップST3に戻ってスイッチSW2又はSW3がONするのを待つ。
【0022】
次に、上記構成のぬいぐるみ玩具Aの作動態様について説明する。レストポジションでは、玩具Aは、図1に示すように、うつ伏せの状態にあり、この状態で頭部3にタッチすると、操作プレート29が押圧されてラバースイッチ28がONするので、制御部35はモータ10の回転を正回転させるか逆回転させるかをランダムに決定し、モータ10を回転させる。
【0023】
レストポジションではワイヤー5は、図8(a)に示すように、水平状態にあり、この状態では、スイッチSW1がONしている。図4において、モータ10が時計方向に回転すると、モータ10の回転はプーリ11からベルト12を介して駆動プーリ13に伝達され、駆動プーリ13が時計方向に回転し、この駆動プーリ13の回転は、駆動歯車14に伝達され、駆動歯車14は反時計方向に回転し、この駆動歯車14と一体の歯車14aに歯車15a、15bが噛合している駆動軸6a、6bは、図8(b)に示すように、時計方向(矢印a方向)に回転するのでワイヤー5は、矢印a´方向に捩じれて曲折部5cは水平状態から垂直状態になり、ぬいぐるみ玩具Aは、図9(a)の中央のうつ伏せ状態から、胴体部2は捩じれて、図9(a)の左上側のぬいぐるみ玩具Aのように、左わき腹を上にしたような状態になり、この状態ではスイッチSW2がONしているので、制御部35はモータ10を反転させると、駆動軸6a、6bは反転し、スイッチSW1がONすると制御部35はレストポジション(図9(a)の中央のうつ伏せ状態)に戻ったと判断し、モータ10の回転を止めればよい。
【0024】
なお、図9(b)の右下側のうつ伏せの状態から、中央の左わき腹を上にしたような状態になって、スイッチSW2がONした時、制御部35がモータ10を反転させずに引き続き時計方向に回転させると、ワイヤー5はさらに捩じれて頭部3も含めて胴体部2全体が動かされて、左上側のお腹を上に向けた仰向け状態になる。この状態になるとスイッチSW4がONしているので制御部35は、モータ10の回転を停止して反転させスイッチSW1がONするまで回転させれば、ぬいぐるみ玩具Aはレストポジション(図9(b)の右下側のうつ伏せ状態)に戻る。
【0025】
一方、レストポジションで、モータ10が反時計方向に回転すると、モータ10の回転はプーリ11からベルト12を介して駆動プーリ13に伝達され、駆動プーリ13が反時計方向に回転し、この駆動プーリ13の回転は、駆動歯車14に伝達され、駆動歯車14は時計方向に回転し、この駆動歯車14に歯車15c、15aが噛合している駆動軸6a、6bは、図8(c)に示すように、時計方向(矢印b方向)に回転するのでワイヤー5は、矢印b´方向に捩じれて曲折部5cは水平状態から垂直状態になり、玩具本体1の胴体部2は捩じれて、図9(a)の右下側の右わき腹を上にしたような状態になり、この状態ではSW3がONしているので、制御部35はモータ10を反転させれば、駆動軸6a、6bは反転し、スイッチSW1がONすると制御部35はレストポジション(図9(a)の中央のうつ伏せ状態)に戻ったと判断し、モータ10の回転を止めればよい。
【0026】
なお、スイッチSW3がONした時、制御部35がモータ10を反転させずに引き続き反時計方向に回転させると、図9(c)の中央の右わき腹を上にした状態から、ワイヤー5はさらに捩じれて、頭部3も含めて胴体部2全体が動かされて、右下側のお腹を上に向けた仰向け状態になる。この状態になるとスイッチSW4がONしているので制御部35は、モータ10の回転を停止して反転させ、スイッチSW1がONするまで回転させれば、ぬいぐるみ玩具Aはレストポジション(図9(c)の右上側のうつ伏せ状態)に戻る。
【0027】
上述したように、モータ10が回転すると、駆動軸6a、6bが回転し、この駆動軸6a、6bの回転位置は、SW1〜SW4のどのスイッチがONしているかで制御部35は認識することができ、モータ10をさらに同じ方向に回転させるか、又は逆転させるかをランダムに決定し、位置を認識したら直ぐにモータ10を動かすか、しばらくしてから動かすかで胴体部の捩じれの動きの早さが変わり、単にワイヤー5を捩じるだけでありながら、複雑な動きをさせることができ、シンプルな構造で動きを目で楽しむことができる新しい発想の玩具を実現することができる。
【0028】
なお、本実施例では、頭部3を押圧することによりラバースイッチ28をONさせて玩具Aを始動させたが、図示しない、音センサを設け、音を感知すると制御部はモータを回転させ玩具Aを始動させるようにしてもよい。
【0029】
また、モータ10の回転や回転方向は、制御部35がランダムに決定している場合について説明したが、予めモータ10の動作パターンを複数作成してメモリ36に記憶させ、ラバースイッチ28がONした時点で複数の動作パターンの中からランダムに動作パターンを読み出し、読み出した動作パターンに基づいて制御部35はモータ10を制御するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 玩具本体
2 胴体部
3 頭部
5 ワイヤー(ワイヤー状部材)
5a 端部
5b 端部
5c 曲折部
6a 回動軸
6b 回動軸
7 固定部材
10 モータ
A ぬいぐるみ玩具
B 駆動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の要件を備えることを特徴とするぬいぐるみ玩具。
(イ)上記ぬいぐるみ玩具の胴体部には可撓性を有するワイヤー状部材を曲折し、該ワイヤー状部材の両端部を頭部側に、曲折部を後脚側に位置するように配置するとともに、上記ワイヤー部材の適宜の場所を上記胴体部に固定したこと
(ロ)上記ワイヤー状部材の両端部をそれぞれ回動軸に固定し、該回動軸は所定間隔をおいて並設したこと
(ハ)上記ぬいぐるみ玩具の頭部には、モータを駆動力として上記回動軸を同一方向に回動させ上記ワイヤー状部材を捩じる駆動装置を配置したこと
【請求項2】
前記駆動装置は、前記回動軸の回動位置を検出する検出部と、該検出部の検出結果に基づいて前記モータの回転を制御する制御部を備えた、請求項1記載のぬいぐるみ玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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