説明

ぬいぐるみ等の接合具

【課題】 ぬいぐるみ等の外観上の見栄えが好ましく、しかも、ぬいぐるみ等のポーズを安定させることができる接合具を提供する。
【解決手段】 凹面状の円盤体からなる基部から突出する軸部を有し、該軸部に複数の係合突起を有する軸盤と、該軸盤の軸部が嵌入し得る凹面状の円盤体からなり、軸盤の軸部が挿通される孔部を有するワッシャと、弾性変形が可能な合成樹脂からなり、軸盤の軸部が挿通された際に、軸部の複数の係合突起のいずれかと係合可能な絞り孔部を有する留めナットから構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物又は人の形を模したぬいぐるみ或いは人形等において胴体に頭、腕及び脚その他可動部を回動可能に接合できる接合具に関する。
【背景技術】
【0002】
動物又は人の形を模して形成したぬいぐるみは、様々なものが提案され実用に供されている。近年、胴体に対して頭、腕及び脚その他の可動部を回動できるようにしたぬいぐるみが存在している。図7は、そのようなぬいぐるみの一例を示す。
【0003】
図7に示すぬいぐるみ30は、例えば熊の形を模して形成したもので、胴体31、頭32、一対の腕33及び一対の脚34からなり、胴体31に対して頭32、一対の腕33及び一対の脚34がそれぞれ接合具Bを介して回動可能に接合されている。
【0004】
接合具Bは、図8及び図9に示すように、軸盤21、ワッシャ22及び留めナット23の三つの部材から構成され、軸盤21、ワッシャ22及び留めナット23は構成樹脂製である。軸盤21は、平板状の円盤体からなる基部21aから突出する軸部21bを有し、この軸部21bに複数の係合突起21cを有する。ワッシャ22は、軸盤21の基部21aとほぼ同一寸法の平板状の円盤体からなり、その中心に軸盤21の軸部21bが挿通される孔部22aを有する。留めナット23は、弾性変形が可能な合成樹脂からなり、軸盤21の軸部21bが挿通された際に、軸盤21における軸部21bの複数の係合突起21cのいずれかと係合可能な絞り孔部23aを有する。留めナット23の絞り孔部23aは、テーパ状に形成され、その小径側端縁23a´は軸盤21における軸部21bの係合突起21cの外径よりもやや小径の内径を有しており、絞り孔部23a内にテーパの大径側から軸盤21の軸部21bを強制的に挿通すると、前記小径側端縁23a´が弾性変形によって軸部21bの係合突起21cを次々と乗り越えたのちそのいずれかと係合するようになっている。このように留めナット23の絞り孔部23aが軸盤21における軸部21bの複数の係合突起21cのいずれかに係合することにより、留めナット23は軸盤21の軸部21bから抜脱しなくなる。
【0005】
胴体31に頭32を接合具Bにより接合する場合、まず、軸盤21を綿、スポンジその他の詰め物が充填されていない頭32の未縫製の詰め物充填用開口部(以下、開口部と称す)から頭32の内部に挿入し、軸盤21の軸部21bを頭32に予め形成されていた接合用孔部から突出させる。次に、この軸盤21の軸部21bを詰め物が充填されていない胴体31に予め形成されていた接合用孔部から胴体31の内部に挿入する。そして、胴体31の内部において、軸盤21の軸部21bに胴体31の未縫製の開口部から挿入したワッシャ22を軸盤21の基部21aに当接するまで嵌挿して頭12及び胴体11の表面布地を軸盤21の基部21aとワッシャ22とによって挟んだ状態で、軸盤21の軸部21bに胴体31の開口部から挿入した留めナット23をワッシャ22に突き当たるまで強制的に嵌挿して軸部21bの係合突起21cに留めナット23の絞り孔部23aを係合することにより、軸盤21の軸部21bからワッシャ22及び留めナット23が抜脱しなくなり、胴体31に頭32が回動可能に接合されることとなる。尚、腕13及び脚14も頭32の場合と同様の要領により、胴体31に接合具Bにより接合される。
【0006】
次いで、胴体31、頭32、腕33及び脚34のそれぞれに対して未縫製の開口部から詰め物を充填し、この開口部を縫い合わせることにより、図7に示すぬいぐるみ30が得られる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ぬいぐるみ30においては、接合具Bにおける軸盤21の基部21aとワッシャ22が平板状の円盤体からなるため、胴体31と頭32、腕33及び脚34の接合状態においてその接合面の納まりが悪くて接合ラインが不自然になり、外観上の見栄えが好ましくないという問題があった。しかも、平板状の円盤体からなる軸盤21の基部21aとワッシャ22では胴体31と頭32、腕33及び脚34を接合したときに、胴体31と頭32、腕33及び脚34の接地面積を広く取ることができず、胴体31と頭32、腕33及び脚34の接合面における摩擦抵抗が小さい。その結果、頭32、腕33及び脚34が容易に回動して回動位置を一定に保持させることができず、ぬいぐるみ30のポーズを安定させることができないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みて提案されたものであり、ぬいぐるみ等の外観上の見栄えが好ましく、しかも、ぬいぐるみ等のポーズを安定させることができる接合具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、円盤体からなる基部から突出する軸部を有し、該軸部に複数の係合突起を有する軸盤と、円盤体からなり、軸盤の軸部が挿通される孔部を有するワッシャと、弾性変形が可能な合成樹脂からなり、軸盤の軸部が挿通された際に、軸部の複数の係合突起のいずれかと係合可能な絞り孔部を有する留めナットから構成され、軸盤の軸部にワッシャ及び留めナットを順に嵌挿するようにしたぬいぐるみ等の接合具において、前記軸盤の基部が凹面状の円盤体からなり、かつ、前記ワッシャが前記軸盤の基部を嵌入し得る凹面状の円盤体からなることを特徴とする。
【0010】
本発明においては、軸盤の基部とワッシャを凹面状の円盤体としたことで、胴体と頭、腕及び脚その他の可動部を接合したときにその接合面が胴体側に入り込むとともに、胴体と頭、腕及び脚その他の可動部の接地面積が平面状から凹面状へ積極的に広げられて接合面における摩擦抵抗が増す。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、胴体と頭、腕及び脚その他の可動部の接合面が胴体側に入り込むので、自然な接合ラインが得られて外観上好ましいとともに、接合面における摩擦抵抗が増して頭、腕及び脚その他の可動部の回動姿勢を一定に保持できるので、ポーズを安定して保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1は、本発明の接合具Aを用いて製造されたぬいぐるみ10の正面図、図2は本発明の接合具Aの正面図、図3は図2の接合具Aの平面図、図4は図2の接合具Aの底面図、図5は図2の接合具Aのa−a線における断面図、図6は図2の接合具Aの分解図である。
【0013】
この実施形態のぬいぐるみ10は、例えば熊の形を模して形成したもので、胴体部11、頭部12、一対の腕部13及び一対の脚部14からなり、胴体部11に対して頭部12、一対の腕部13及び一対の脚部14がそれぞれ接合具Aを介して回動可能に接合されている。
【0014】
接合具Aは、図2乃至図6に示すように、軸盤1、ワッシャ2及び留めナット3の三つの部材より構成され、軸盤1、ワッシャ2及び留めナット3は合成樹脂製である。
【0015】
軸盤1は、椀状の円盤体からなる基部1aから突出する軸部1bを有し、この軸部1bに複数の係止突起1cを有する。
【0016】
ワッシャ2は、軸盤1の基部1aをすっぽり嵌入し得る椀状の円盤体からなり、その中心に軸盤1の軸部1bが挿通される孔部2aを有する。
【0017】
留めナット3は、弾性変形が可能な合成樹脂からなり、軸盤1の軸部1bが挿通された際、軸盤1における軸部1bの複数の係合突起1cのいずれかと係合可能な絞り孔部3aを有する。留めナット3の絞り孔部3aは、テーパ状に形成され、その小径側端縁3a´は軸盤1における軸部1bの係合突起1cの外径よりもやや小径の内径を有しており、絞り孔部1a内にテーパの大径側から軸盤1の軸部1bを強制的に挿通すると、前記小径側端縁3a´が弾性変形によって軸部1bの係合突起1cを次々と乗り越えたのちそのいずれかと食い込み状に係合するようになっている。このように留めナット3の絞り孔部3aが軸盤1における軸部1bの複数の係合段部1cのいずれかと係合することにより、留めナット3は軸盤11の軸部1bから抜脱しなくなる。
【0018】
次に、接合具Aを用いて胴体11に頭12、腕13及び脚14を接合する要領について説明する。
【0019】
例えば、胴体11に頭12を接合する場合、まず、軸盤1を綿、スポンジその他の詰め物を充填していない頭12の未縫製の開口部から頭12の内部に挿入し、軸盤1の軸部1bを頭12に予め形成されていた接合用孔部から突出させる。次に、この軸盤1の軸部1bを詰め物を充填していない胴体11に予め形成されていた接合用孔部から胴体11の内部に挿入する。そして、胴体11の内部において、軸盤1の軸部1bに胴体11の未縫製の開口部から挿入したワッシャ2を軸盤1の椀状基部1aがすっぽり嵌入するまで嵌挿し、これに伴って軸盤1の椀状基部1aとワッシャ2によって頭12及び胴体11の布地を挟み付ける。このように軸盤1の椀状基部1aとワッシャ2によって頭12及び胴体11の布地を挟み付けた状態で、軸盤1の軸部1bに胴体11の未縫製の開口部から挿入した留めナット3をワッシャ2に突き当たるまで強制的に嵌挿し、軸盤1における軸部1bの係合突起1cに留めナット3の絞り孔部3aを係合する。このように軸盤1における軸部1bの係合突起1cに留めナット3の絞り孔部3aを係合することにより、軸盤1の軸部1bからワッシャ2及び留めナット3が抜脱しなくなり、胴体11に頭12が回動可能に接合されることとなる。尚、腕13及び脚14も頭12の場合と同様の要領により、胴体11に接合される。
【0020】
次いで、胴体11、頭12、腕13及び脚14のそれぞれに対して未縫製の開口部から詰め物を充填し、この開口部を縫い合わせることにより図1に示すぬいぐるみ10が得られる。
【0021】
本発明の接合具Aにおいては、軸盤1の基部1aとワッシャ2を椀状に形成したことにより、胴体11と頭12、腕13及び脚14の接合状態においてその接合面が胴体11側に入り込んで自然な接合ラインが得られ、ぬいぐるみとしての外観上の見栄えが好ましい。しかも、軸盤1の基部1aとワッシャ2を椀状に形成して胴体11と頭12、腕13及び脚14の接地面積を平面状から球面状へ積極的に広くしたことにより、胴体11と頭12、腕13及び脚14との接合面における摩擦抵抗を増大することができる。従って、大きな摩擦抵抗力によって頭12、腕13及び脚14の回動を抑えることができるため、頭12、腕13及び脚14の回動位置を一定に保持できてポーズが安定する。
【0022】
尚、図示の実施形態の場合、ぬいぐるみ10は熊の形を模しているが、その他の動物を模しても構わない。また、ぬいぐるみの形態をとっているが、人形その他の形態を取っても構わない。
【0023】
また、図示の実施形態の場合、接合具Aにおける軸盤1の基部1aとワッシャ2は椀状の円盤体からなるが、凹面状の円盤体であればその形状は限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の接合具を用いて製造されたぬいぐるみの正面図である。
【図2】本発明の接合具の正面図である。
【図3】図2の接合具の平面図である。
【図4】図2の接合具の底面図である。
【図5】図2の接合具のa−a線における断面図である。
【図6】図2の接合具の分解図である。
【図7】従来の接合具を用いて製造されたぬいぐるみの正面図である。
【図8】従来の接合具の正面図である。
【図9】図8の接合具のb−b線における断面図である。
【符号の説明】
【0025】
A 接合具
1 軸盤
1a 基部
1b 軸部
1c 係合突起
2 ワッシャ
2a 孔部
3 留めナット
3a 絞り孔部
3a´ 絞り孔部の小径側端縁
10 ぬいぐるみ
11 胴体
12 頭
13 腕
14 脚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円盤体からなる基部から突出する軸部を有し、該軸部に複数の係合突起を有する軸盤と、円盤体からなり、軸盤の軸部が挿通される孔部を有するワッシャと、弾性変形が可能な合成樹脂からなり、軸盤の軸部が挿通された際に、軸部の複数の係合突起のいずれかと係合可能な絞り孔部を有する留めナットから構成され、軸盤の軸部にワッシャ及び留めナットを順に嵌挿するようにしたぬいぐるみ等の接合具において、
前記軸盤の基部が凹面状の円盤体からなり、かつ、前記ワッシャが前記軸盤の基部を嵌入し得る凹面状の円盤体からなることを特徴とするぬいぐるみ等の接合具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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