説明

ねじ結合

炭化水素坑井の探査及び作業で使用されるねじ結合1は第1管状部品と第2管状部品と含み、第1管状部品はその外周面に配置されたねじ山領域5を含む雄型端部3を含み、第2管状部品はその内周面に配置されたねじ山領域4を含む雌型端部2を含み、雄型端部の前記ねじ山領域5は雌型端部の前記ねじ山領域4の中につなぎ上げられ、ねじ山領域は各々雄及び雌のねじ山40、50を含み、ねじ山40、50はルート、クレスト、スタビングフランク及びロードフランクを含み、溝がルートに各々近接する雌型端部及び/又は雄型端部のねじ山領域40のロードフランクに設けられ、雄型端部のねじ山領域50のロードフランク及び/又はクレストに近接する雌型端部から各々に軸方向に突出するボスが設けられ、ボスは凸面及び凹面を含み、ボスは結合状態で半径隙間が凹面と溝の間に位置し、かつ軸向隙間がボス端部と溝底部の間に位置する状態で溝に格納される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に炭化水素坑井の採掘又は作業に用いられる管状部品の緊密結合分野に関する。採掘又は作業の間、結合は高い圧縮及び引張応力を受けるが、分解してはならない。
【背景技術】
【0002】
そのような結合は、軸方向の引張又は圧縮応力、内部又は外部の流体圧力性応力、曲げ又は捻じり応力も受けて、場合により組み合わされて強度が変動する。緊密性は、応力や現場での過酷な使用条件にもかかわらず、持続されなければならない。ねじ結合は、特に摩耗で性能劣化せずに、数回は組立及び分解できなければならない。管状部品は分解後に他の使用条件下で再使用されてよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4822081号明細書
【特許文献2】米国特許第5462315号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2002/27363号明細書
【特許文献4】欧州特許第1046179号明細書
【特許文献5】欧州特許第1302623号明細書
【特許文献6】特開2002−081584号公報
【特許文献7】欧州特許第0488912号明細書
【特許文献8】米国特許第3870351号明細書
【特許文献9】国際公開第2007/017082号パンフレット
【特許文献10】米国特許第4611838号明細書
【特許文献11】米国特許第6047797号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
張力を受けるとジャンプアウトという現象が生じて1のねじ山から他のねじ山へと伝搬する可能性があり、これにより結合が分解するリスクがある。その現象は内圧が高いと促進される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、炭化水素坑井の探査又は作業のための張力的挙動が改善された結合に関する。ねじ結合は第1及び第2の管状部品を含む。第1部品はその外周面上に配置されたねじ山領域を含む雄型端部を含む。第2部品はその内周面上に配置されたねじ山領域を含む雌型端部を含む。雄型端部のねじ山領域は雌ねじ端部のねじ山領域に入って組立てられる。ねじ山領域は各々雄と雌のねじ山を含む。ねじ山はルート、クレスト、スタビングフランク及びロードフランクを含む。ルート近傍の雌型端部及び/又は雄型端部各々のねじ山領域のロードフランクに溝が設けられている。クレスト近傍の雄型端部及び/又は雌型端部各々のねじ山領域のロードフランクから軸方向に突出したボスが設けられている。ボスは凸面及び凹面を含む。結合状態で凹面と溝の間に位置する半径隙間でボスは溝に格納される。軸方向隙間は結合状態でボス端部と溝底部の間に位置する。
【0006】
雄型端部及び/又は雌型端部の遠位面は対応する隣接面に対して軸方向に隣接して接続してよい。
【0007】
ボスは螺旋状に連続してよく、不連続でもよい。ねじ山は軸方向寸法が一定でもよい。軸方向隙間は結合状態で雄ねじ山と雌ねじ山のスタビングフランク間に位置してよい。スタビングフランク間の軸方向隙間は結合状態で0.05mm〜1mmの範囲であってよい。
【0008】
ボス端部と溝底部の間の軸方向隙間は結合状態で0.011mm〜2mmの範囲であってよい。
【0009】
ボスの凹状面と溝の間の半径隙間は結合状態で0.005mm〜2mmの範囲であってよい。
【0010】
ねじ山の軸方向寸法は変化してよい。
【0011】
雌型端部のねじ山領域のクレストと雄型端部のねじ山領域のルートの間及び/又は雄型端部のねじ山領域のクレストと雌型端部のねじ山領域のルートの間の半径隙間は、結合状態で0.05mm〜0.5mmの範囲、好ましくは0.2mm未満であってよい。直径方向の干渉は、雌型端部のねじ山領域のクレストと雄型端部のねじ山領域のルートの間又は雄型端部のねじ山領域のクレストと雌型端部のねじ山領域のルートの間に設けられてよい。
【0012】
スタビングフランク間の軸方向隙間は結合状態で0.05mm〜2mmの範囲であってよい。
【0013】
ボスの大直径軸面は雄型端部のねじ山領域のクレストに整列してよい。
【0014】
雄型端部のねじ山領域のクレストは実質的に軸状又はテーパー状であってよい。雄型端部のねじ山領域のルートは実質的に軸状又はテーパー状であってよい。雌型端部のねじ山領域のクレストは実質的に軸状又はテーパー状であってよい。雌型端部のねじ山領域のルートは実質的に軸状又はテーパー状であってよい。
【0015】
雌型端部のねじ山領域のスタビングフランクは、10°〜35°の範囲、好ましくは15°〜25°の範囲の角度で正に傾斜した直線部分を含んでよい。雄型端部のねじ山領域のスタビングフランクは10°〜35°の範囲、好ましくは15°〜25°の範囲の角度で正に傾斜した直線部分を含んでよい。雄型端部及び雌型端部のねじ山領域のロードフランクは3°〜15°の範囲、好ましくは3°〜5°の範囲の角度で負に傾斜した直線部分を含んでよい。
【0016】
ボスの軸方向長は0.1mm〜1mmの範囲、好ましくは0.2mm〜0.4mmの範囲であってよい。ボスの軸方向長はボスの半径方向高の50%〜150%の範囲、好ましくは80%〜120%の範囲であってよい。ボスの半径方向高は0.1mm〜1.5mmの範囲、好ましくは0.2mm〜0.5mmの範囲であってよい。ボスの半径方向高は、ねじ山の半径方向高の5%〜45%の範囲、好ましくは10%〜30%の範囲であってよい。ボス端部は実質的に放射状であってよい。ねじ山の直径は変化してよい。
【0017】
管状部品の外部直径は250mmを超えてよく、好ましくは350mmを超えてよい。管状部品はケーシングであってよい。
【0018】
雄型端部及び/又は雌型端部の遠位面は、対応する隣接面に対して軸方向に隣接して接続してよい。
【0019】
雄型及び雌型端部は、金属/金属シールで締め付けることにより、互いに協働できるシール面を各々含んでよい。
【0020】
「つなぎ上げ」という用語は、ねじ山領域の相互的係合に関して、一方の部品の、他方に対する相対的な回転及び移動の操作を意味する。「結合」又は「組立」という用語は、相対的な回転及び移動を継続する結果、2つの部品間に所定の組立トルクが生じる、つなぎ上げに続く操作を意味する。これが結合状態である。フランクの角度は、ルートに接続するフィレット半径のレベルでフランクの基部を通過する半径方向の平面に対して時計回り方向に測定される。
【0021】
本発明の更なる特性及び利点は以下の詳細説明及び添付図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】長手方向の断面における第1のねじ結合を図式的に示したものである。
【図2】長手方向の断面における第2のねじ結合を図式的に示したものである。
【図3】長手方向の部分断面図において、結合のねじ山領域の例を図式的に示したものである。
【図4】長手方向の部分断面図において、結合のねじ山領域の例を図式的に示したものである。
【図5】長手方向の片側断面図において、結合のねじ山領域の例を図式的に示したものである。
【図6】高い軸方向負荷を受けた結合を図式的に示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
添付図面は、本発明を完成させるだけでなく、必要な場合はその定義をももたらす。
【0024】
結合を改善するため、本出願人はプレミアム結合という優れた結合を開発したが、これはAPI規格を超える。場合によっては、シール面はねじ山領域に隣接して設けられてよく、このシール面は、部品をつなぎ上げる際に干渉するように接触する。
【0025】
ねじ山領域は、雄型及び雌型の管状部品の各々の端部に設けられる。雌型の管状部品は長い管であってよく、又は対照的に、短いカップリング・タイプの管であってよい。高圧下での流体(液体又は気体)に対する緊密性は、したがって、シール面を相互に放射状に干渉しあうように接触させることに起因する。半径方向の干渉の強度は、雄型及び雌型のねじ山領域の相対的な軸方向位置決めの関数であり、この相対的位置決めは、例えば雄型端部及び雌型の各端部に設けられた隣接面の接触によって決定される。
【0026】
相対的位置決めは、隣接接触に起因するので、隣接面は結合の内部表面上に設けられる。その外縁部では、雄型端部はシール面によって拡張されたねじ山領域を含み、このシール面はそれ自体が隣接面で終わる末端部分によって拡張され、この隣接面は結合の回転軸に対して放射状に向いている。その内縁部では、雌型端部はシール面によって拡張されたねじ山領域を含み、このシール面はそれ自体が隣接面で終わる末端部分によって拡張され、この隣接面は、結合の回転軸に対して放射状に向いている。当該結合は、したがって、2重の隣接面を備える。他の結合は、ねじ山領域の外部又はねじ山領域の内部に放射状に単一の隣接面を備える。
【0027】
本出願人は特に、直径が300mmを超える、より詳細には375mmを超える大直径のねじ結合に重点的に取り組んだ。このような結合は、場合によっては、強い引張荷重及び圧縮性負荷を受ける。したがって、張力下及び圧縮状態における良好な結合性能が望まれる。張力荷重が過度であると、結合の2つの部品を離すように働く自発的現象により、ねじ山は互いに分離しうる。その結果は、技術面及び費用面で特に悩ましいものとなりうる。これは特に、ねじの噛み合わせがテーパー型母線である場合にあてはまり、ねじ山のジャンプアウトは、結合が完全に分解する原因となる。
【0028】
特許文献1には、油井探査管で用いられる、雄型と雌型の結合のためのねじの噛み合わせが記載されている。ショルダ及び端面がちょうど接触状態にある場合、このねじ山はフランク間で接触する自動ロックタイプである。隣接面は、異なる角度のテーパー状である。ねじ山はまた半径方向で自己固定される。そのタイプの自己ロック及び自己固定のねじ結合は、非常に高い組立トルクが必要であるが、大直径の管ではこのようなトルクを達成することは困難である。ねじの噛み合わせでの空隙率は非常に低く、そのため、つなぎ上げによってグリースは高圧下におかれ、それによりリークが起きるかもしれない。ねじ山に対する隣接面の軸方向位置は、工業的許容性のために不確定であり、シール面の位置決め精度は低下し、その結果、リークが起こるかもしれない。つなぎ上げ操作の終わりは、つなぎ上げの間に正の隣接が存在しないため、トルクの上限を決定することによりかろうじて検知することができる。隣接は最後の組立の間に達成される。つなぎ上げトルクが過度であるとシール面を塑性変形する可能性があり、これは結合の気密に悪影響を与える。
【0029】
特許文献2には、ねじの噛み合わせの2つの部分間が中心的に気密されている管状結合が記載されている。ねじ山のロードフランクは、組立後は、相互に接触している。不都合な点は、上記のタイプのものと実質的に同じである。
【0030】
特許文献3、特許文献4及び特許文献5は、組立後のねじ山平面の接触を想定している。
【0031】
特許文献6には、フックと協働したねじ山のプロファイルが記載されている。これらのフックは引張荷重及び半径方向変位荷重の全てを支持しており、このことは反復的、周期的負荷のあるねじ山にダメージを与えうる。引張荷重は表面積が狭いのために、低いままでなければならず、この表面積を経由して引張荷重が伝搬する。スタビングフランクは急傾斜しており、これは圧縮強度には悪影響を与える。ねじ山のクレストとバレーの間の干渉のため、高いつなぎ上げトルクが必要である。
【0032】
本出願人は、つなぎ上げトルクが低くてもねじ山の部分と関係なくジャンプアウトのリスクを大きく低減する結合を開発し、これにより、軸受面が適切に位置決めされて、グリースのための十分な空間がもたらされる。ねじの噛み合わせは、ねじ山の幅が可変である。スタビングフランク間の軸方向隙間は結合状態で、即ち、組立後、存在しており、半径隙間もねじ底とねじ頂点の間に存在する。ねじ山のロードフランクは負の角度である。ねじ山のスタビングフランクは正の角度である。隣接によりシール面を適切に位置決めできる。
【0033】
図1に示すように、ねじ管状結合1には雌型端部2及び雄型端部3がある。雌型端部2及び/又は雄型端部3は、長さ数メートルの管に属し、例えば長さ10〜15メートルのオーダーである。1の端部、一般には雌端部は、カップリングの端部を構成し、すなわち、短管が、各雄型端部を備える2の長管を共に結合できるようにする(ねじとカップリングによるT&C結合)。カップリングは2つの雌型端部を備えてよい。変形例として、長管は、1の雄型端部及び1の雌型端部を備えてよい(完全ねじ結合)。結合1は、工業的に大量生産されるタイプである。
【0034】
結合1は、炭化水素坑井のためのストリングのケーシング若しくはチュービング又は同様な坑井のための坑井改修の昇水管若しくはドリルパイプ・ストリングを構成するのに用いられてよい。
【0035】
管は、非合金、低合金若しくは高合金の鋼鉄又は鉄若しくは非鉄合金といった異なるタイプで製造されてよく、これらは機械的ストレスの程度、管の内部又は外部での流体の腐食性質等の使用条件に依存して、熱処理又は冷間加工される。例えば、耐腐食性である合金又は合成材料が保護コーティングとして施された耐腐食性の低い鋼鉄管を用いうる。
【0036】
雌ねじ端部2には雌ねじ山領域4を含む。雌ねじ山領域4は、例えば0.5°〜5°の範囲、好ましくは1°〜3°の範囲の半値角のテーパー状である。雌ねじ山領域4は雌要素2の内部に配置されている。雄型端部3は、雄型端部3の外面に配置された雄ねじ山領域5を含む。雄ねじ山領域5は雌ねじ山領域4と結合する。雄ねじ山領域5には、実質的に雌ねじ山領域4のテーパーに等しいテーパーがある。
【0037】
ねじ山領域4及び5について、隣接面7及び8の反対側に、雄型端部3は、結合の軸20に実質的に垂直である遠位面6を含む。「遠位面」との用語は、連続又は不連続のねじ山領域と、雄又は雌の要素の自由端部の間に位置する表面を意味する。遠位面はこの自由端部に位置してよい。この場合、遠位面6は末端である。雄ねじ山領域5は、末端面6からシール面を格納するのに十分な距離まで延びている。末端面6は、結合状態で、雌型端部2の、実質的に放射状のいかなる随意の面、特にショルダから、例えば少なくとも0.1mm離れている。
【0038】
雌型端部2の遠位面の形態は環状面で、この場合は実質的に放射状である。遠位面は、雌型端部2と雄型端部3の間の相対的な軸方向運動を制限することができる軸方向の隣接面8を形成している。隣接面8は、隣接面7を形成する雄端部3のショルダと接触しており、この場合は実質的に放射状である。隣接面8は放射状又は半径方向の面に対して45°までの角度で傾斜してよい。隣接面8は、特許文献7のテーパー形状、特許文献8若しくは特許文献9のドーナツ形状又は特許文献10の多段形状、特許文献11の突起又はこれらの組み合わせを具備してよい。当該文献は参照されることが勧められる。図1に示された例では絶対角度は1°未満である。雌型端部2及び雄型端部3の隣接面7及び8は、結合の外部側面に放射状に配置されている。隣接面7及び8は、雌ねじ山領域4及び雄ねじ山領域5と結合1の外面の間に配置される。
【0039】
雌型端部2はねじ山領域4と隣接面8の間に実質的にテーパー状又は円筒状の非ねじ面14を含み、これはねじ山領域5と隣接面7の間に配置された雄型端部3の実質的にテーパー状又は円筒状の面15から放射状に離れている。面14と15の間の空き空間は、つなぎ上げの際にグリースがねじ山領域4と5の間から排出される場合、グリース用液溜めとなりうる。当該面14及び15により、機械加工挿入物が通過することができる。
【0040】
隣接面8と反対のねじ山領域4の側面では、雌型端部2は凹部10及び回転表面12を含む。図1では、凹部10は、ねじ山領域4のねじ底を拡張する面の形態である。凹部10はねじ山領域4からの機械加工工具の除去を促進する。凹部10は、つなぎ上げの際にグリースがねじ山領域4と5の間から排出される場合、グリース用の液溜めとなりうる。凹部10は、ねじ山領域4のねじ底と同じテーパーがある形状であってよい。回転表面12は隣接面8と反対方向に凹部10を拡張する。回転表面12は隣接面8の反対方向で直径が減少する。回転表面12はテーパー状でよい。本発明の場合、回転表面12は、軸平面内の断面で円形又は楕円形アークのドーム形状である。円形又は楕円形アークの半径は、8mm〜25mmの範囲であってよい。これを超えると、雌型端部2は、実質的に円筒状の回転面16を含む。
【0041】
雄型端部3は雄ねじ山領域6を超えて遠位の末端面6まで軸方向に延びるリップ9を含む。リップ9の外部はねじ山領域5のねじ底を拡張する非ねじ面を含む。非ねじ面はねじ山領域5のねじ底と同じテーパーがあってもよい。ねじ山領域5とは反対の軸方向に、リップ9は回転面13を外部に含む。回転面13の軸方向長は、回転表面12の軸方向長よりもわずかに短い。回転面13の一部及び回転表面12の一部は、図に示された結合1の結合位置で放射状に相互干渉する接触状態にある。シール面を形成する回転表面12及び13により結合の内部と外部の間の流体運動を防ぐことできる。他の実施形態では、回転面13は円形又は楕円形アークのドーム形状でありえ及び/又は回転表面12はテーパー状であってよい。
【0042】
回転面13は実質的にテーパー状である。テーパーの角度は、1°〜45°の範囲、3°〜20°の範囲が好ましく、例えば6°である。回転面13のテーパーの角度はねじ山領域4及び5のテーパー角度よりも大きくてよい。遠位末端面6は、ねじ山領域4の反対側の回転面13の端部と結合する。結合は、面7及び8により形成された軸方向隣接を含み、これにより、結合状態で回転表面12及び13により形成されるシール領域の位置決めが正確になる。
【0043】
図2の実施形態は、シールを形成する回転表面12が例えば1°〜30°の範囲の半値角でテーパー状であることを除き、上記実施形態と類似である。シールを形成する回転面13は、1°〜30°の範囲である半値角でテーパー状である。回転面13の半値角は、回転表面12の半値角よりも小さい。公知の方法では、直径方向の干渉を図示するために、回転表面12及び13は相互侵入のように表される。明らかに、回転表面12及び13は相互接触領域でわずかに変形する。回転表面12は、実質的に放射状のショルダ18の後に凹部10に軸方向で続く。
【0044】
第2シール領域は、隣接面7、8とねじ山領域4、5の間で軸方向に設けられている。非ねじ山内部表面14には、軸方向断面でわずかにドーム化された、例えば円形又は楕円形アークがある。雌型端部2の内部表面14はねじ底40の延長に位置している。雄型端部3の外面15はねじ頂点50の延長に位置する。外面15は、例えば1°〜45°の範囲の半値角でテーパー状である。内部表面14及び外面15は直径方向で干渉するように配列されている。
【0045】
雄型端部3は、隣接面7に近接するシール面15及び隣接面7に対して遠位にあるシール面13を含む。シール面13は、結合状態又は組立状態で、シール面12と緊密に接触する。シール面15は、雄ねじ山領域5と雄型3の外面3aの間に配置されている。シール面15は、結合状態又は組立状態で、シール面14と緊密に接触している。
【0046】
雄型端部3のリップ9は、シール面15と雄型端部3の口径3bの間に延びる、実質的に放射状の末端面6を含む。口径3bの直径は変化してよい。このことは、厚さが過剰であるとよりよい接触圧力をもたらすことを意味する。末端面6の半径は、管の直径次第で0.5mm〜16mmでよく、管直径は550mmまででよく、250mmより大きいのが好ましく、350mmより大きいのがより好ましい。結合状態では、末端面6は雌型端部2の実質的に放射状のいかなる面からも、例えば少なくとも0.1mmは離れている。結合には軸方向の隣接があるが、これによって、結合状態において一方ではシール面12及び13、他方ではシール面14及び15により形成された、2つのシール領域の位置決めが正確になる。
【0047】
図3で示されるように、雌ねじ山領域4は、軸方向長がクレストに近接するねじ山40を含み、これは基部に近接する軸方向長より短い。雄ねじ山領域5は、軸方向長がクレストに近接するねじ山50を含み、これは基部に近接する軸方向長より長い。1つのねじ山のスタビングフランクの傾斜角度は時計回りで、この角度は結合の軸に垂直な半径方向の面に対して測定される。1つのねじ山のロードフランクの傾斜角度は反時計回りで、この角度は、結合の軸に垂直な半径方向の面に対してとられる。雌ねじ山領域4のスタビングフランクの傾斜角度は、雄ねじ山領域5のスタビングフランクの傾斜角度に実質的に等しい。雌ねじ山領域4のロードフランクの傾斜角度は、雄ねじ山領域5のロードフランクの傾斜角度に実質的に等しい。「フランクの傾斜」という用語は、当該フランクのテーパー部分の傾斜又は2つの曲率半径の間の変曲点での接線の傾斜のいずれかを意味する。
【0048】
ねじ山40、50は、クレスト41、51、ルート42、52、ロードフランク43、53、及びスタビングフランク44、54を含む。結合の面取りは、フランクとクレストの間、及びフランクとルートの間にもたらされる。クレスト41、51及びルート42、52の幅は一定で管の軸に沿っている。クレスト41、51及びルート42、52の直径は、ねじの噛み合わせのテーパーのため、管の軸に沿って相当するねじ山の位置の関数として変化してよい。ねじ山40、50のクレスト41、51及びルート42、52はねじ結合の軸に並行である。これにより、つなぎ上げの間の機械加工及び係合が促進される。
【0049】
ロードフランク43は、半径方向の面に対して3°〜15°、好ましくは3°〜5°で傾斜してよい。ロードフランク44は、半径方向の面に対して3°〜15°、好ましくは3°〜5°で傾斜してよい。スタビングフランク44は、10°〜35°、好ましくは15°〜25°で傾斜してよい。スタビングフランク54は10°〜35°で傾斜してよい。ルート42の長さは0.5mm〜3mmの範囲でよい。ルート52の長さは0.5mm〜3mmの範囲でよい。ねじ山40及び50の高さは3〜25の範囲での比率をもたらす。
【0050】
さらに、溝又はチャネル45は、ねじ山40のロードフランク43の基部に設けられる。溝45はルート42の延長に形成される。溝45の半径方向寸法は0.11mm〜2mmの範囲である。溝45の軸方向の寸法は0.1mm〜1.5mmの範囲である。溝45は一般に、螺旋形状である。軸方向断面では、溝45は実質的に放射状の底部45a、大直径縁45b及び小直径縁45cを含む。小直径縁45cは実質的に軸状又はテーパー状である。大直径45bは実質的に軸状で、好ましくはルート42と同じ直径である。
【0051】
あるいは、溝がねじ山50のロードフランク53の基部に設けられ、かつ、ボスがねじ山40のロードフランク43のクレストに設けられる。
【0052】
ねじ山50のロードフランク53はボス55を備える。ボス55は、クレスト51の延長に形成される。ボス55の半径方向寸法は、ねじ山50の半径方向寸法で、0.1mm〜1.5mmの範囲である。ボス55の軸方向寸法は、ねじ山50のルート52の軸方向寸法で、0.1mm〜1mmの範囲である。ボス55は一般に螺旋形状である。軸方向断面で、ボス55は、実質的に放射状の面55a、大直径縁55b及び小直径縁55cを含む。実質的に放射状の面55aはボス55の自由端を形成しうる。大直径縁55bは凸状である。小直径縁55cは凹状である。小直径縁45cは実質的に軸状である。大直径縁55bは、好ましくはクレスト51と同じ直径であり、実質的に軸状である。ボス55の断面積は、0.01mm〜3mmの範囲であってよい。ボス55の半径方向寸法は、0.1〜1.5mmのオーダー、好ましくは0.2mm〜0.5mmの範囲である。ボス55の軸方向寸法は、0.1mm〜1mmのオーダーであり、0.2mm〜0.5mmの範囲が好ましい。
【0053】
ボス55の半径方向高はねじ山の半径方向高の比として表してよく、例えば5%〜45%の範囲、10%〜30%の範囲であるのが好ましい。ボス55の軸方向の長さはその半径方向高の比として表してよく、例えば50%〜150%の範囲、80%〜120%の範囲であるのが好ましい。
【0054】
(組立後の)結合状態では、半径方向の隙間が小直径縁45cと小直径縁55cの間に存在する。この半径方向の隙間は0.1mm〜2mmの範囲であってよい。
【0055】
(組立後の)結合状態では、半径方向の隙間が雌ねじ山領域4のねじ山40のクレスト41と雄ねじ山領域5のねじ山50のルート52の間に存在する。半径方向の隙間は、0.05mm〜0.5mmのオーダーである。結合状態における半径方向の隙間は、望ましいグリースの量及び機械加工公差に従って選択しうる。機械加工の質が高い場合、0.15mm以下の隙間が望ましい。結合状態では、半径方向の隙間は、ねじ山40のルート42とねじ山50のクレスト51の間に存在してよい。半径方向の隙間は0.05mm〜0.5mmのオーダーである。あるいは、0〜1mmのオーダーの干渉が可能である。
【0056】
(組立後の)結合状態では、軸向隙間は、図3〜5で示されるように、雌ねじ山領域4のねじ山40のスタビングフランク44及び54の各々と雄ねじ山領域5のねじ山50の間に存在する。軸向隙間は0.002mm〜1mmのオーダーである。結合状態における軸向隙間は、望ましいグリースの量、フランクの角度及び機械加工公差に従って選択しうる。機械加工が高品質で実行される場合は0.5mm以下の隙間が望ましい。ロードフランク43及び53は、組立後に干渉負荷を吸収する。
【0057】
ねじの噛み合わせは放射状に保持するフックを相互に形成する。
【0058】
結合の面取りは、0.05mm〜3mmの範囲であってよい。結合の面取りは、ロードフランクの最下部で応力の集中を軽減し、結合の疲労挙動を改善する。
【0059】
図3の例において、スタビングフランク44及び54の角度は25°に等しい。ロードフランク43及び53の角度は3°に等しい。クレスト41とルート52の間の半径隙間は、0.15mmに等しい。スタビングフランク44と54の間の軸方向隙間は0.5mmのオーダーである。小直径縁45cと小直径縁55cの間の半径隙間は0.1mmに等しい。ボス55の半径方向寸法は0.38mmに等しい。ボス55の軸方向寸法は0.35mmに等しい。
【0060】
図4及び5の例において、スタビングフランク44及び54の角度は、15°〜25°の範囲である。ロードフランク43及び53の角度は等しく、3°〜5°の範囲である。クレスト41とルート52の間の半径隙間は0.05mm〜0.15mmの範囲である。スタビングフランク44と54の間の軸方向隙間は0.5mmのオーダーである。小直径縁45cと小直径縁55cの間の半径隙間は0.2mmに等しい。ボス55の半径方向寸法は0.35mmに等しい。ボス55の軸方向寸法は0.35mmに等しい。
【0061】
図5の例において、溝45の小直径縁45cの角度は好ましくは1°〜30°の範囲で、テーパー状である。ボス55の小直径縁55cの角度は好ましくは10°〜30°の範囲で、テーパー状である。小直径縁45c及び55cのテーパーは等しくてよい。
【0062】
図6は高い引張応力を受けた結合を示したものである。雌型端部2は外部に変形する傾向があり、雌要素2の自由端での隣接面8に近接する面14に近づくにつれて、直径は拡大する。雄ねじ山56と係合している最後の雌ねじ山46は大きな半径方向に変形される。最後の雌ねじ山46の溝45は、弾性変形又は塑性変形した状態で、雄ねじ山56のボス55と接触している。雄ねじ山57と係合している最後から2番目の雌ねじ山47は、より短い半径方向に変形を受ける。最後から2番目の雌ねじ47の溝45は、わずかに弾性変形した状態で雄ねじ山57のボス55と接触している。雄ねじ山58と係合した最後から3番目の雌ねじ山48は、わずかな半径方向に離れており、半径方向の隙間は、最後から3番目の雌ねじ山48の溝45の小直径縁45cと雄ねじ山57のボス55の小直径縁55cの間で保存されている。したがって、自由端から第3番目のねじ山48は正常な機械的機能をもたらすことができる。最初の2つのねじ山47及び48により、軸方向張力の反作用を受けて、雌型端部2の直径の増大が軽減される。最初の2つのねじ山47及び48は半径方向の完全な結合を維持し、軸方向の張力を受ける従来の結合で生じると予想されるジャンプアウトを防ぐ。
【0063】
雌型4及び雄型5のねじ山領域は多条ねじ、好ましくは2重ねじを構成してよい。これによりつなぎ上げが速くなる。
【0064】
変形例では、スタビングフランク44及び54の角度は、0〜-5°であってよい。
【0065】
本結合は坑井の内部ケーシングを構成するのによく適合する。
【0066】
本発明は、上記の結合及び管に限定されず、単なる実施例を目的とし、本明細書添付された請求の範囲の文脈において、当業者によって想定されうるいかなる変形例をも包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素坑井の探査及び作業で使用されるねじ結合(1)であって、
前記結合は第1管状部品と第2管状部品と含み、
前記第1管状部品はその外周面に配置されたねじ山領域(5)を含む雄型端部(3)を含み、
前記第2管状部品はその内周面に配置されたねじ山領域(4)を含む雌型端部(2)を含み、
前記雄型端部の前記ねじ山領域(5)は、前記雌型端部の前記ねじ山領域(4)の中につなぎ上げられ、
前記ねじ山領域(4、5)は各々雄及び雌のねじ山(40、50)を含み、
前記ねじ山(40、50)はルート(42、52)、クレスト(41、51)、スタビングフランク(44、54)及びロードフランク(43、53)を含み、
溝(45)が、前記ルート(42)に各々近接する前記雌型端部及び/又は雄型端部の、前記ねじ山領域(40)の前記ロードフランクに設けられ、
前記雄型端部のねじ山領域(50)の前記ロードフランクから及び/又は前記クレスト(51)に近接する前記雌型端部から、各々に軸方向に突出するボス(55)が設けられ、
前記ボス(55)は凸面(55b)及び凹面(55c)を含み、
前記ボス(55)は、結合状態で半径隙間が前記凹面と前記溝の間に位置し、かつ軸向隙間が前記ボス端部と前記溝底部の間に位置する状態で前記溝(45)に格納される、
ことを特徴とする、ねじ結合。
【請求項2】
前記ボスは連続的である、請求項1記載のねじ結合。
【請求項3】
前記ボスは不連続的である、請求項1記載のねじ結合。
【請求項4】
前記ボス(55)の前記端部と前記溝(45)の前記底部の間の前記軸方向隙間は結合状態で0.011mm〜2mmの範囲である、請求項1〜3いずれか1項記載のねじ結合。
【請求項5】
前記ボス(55)の前記凹面と前記溝(45)の間の前記半径隙間は結合状態で0.005mm〜2mmの範囲である、請求項1〜4いずれか1項記載のねじ結合。
【請求項6】
前記ねじ山は一定の軸方向寸法を有し、軸方向隙間は結合状態で前記雄及び雌のねじ山の前記スタビングフランク(44、54)の間に位置する、請求項1〜5いずれか1項記載のねじ結合。
【請求項7】
前記スタビングフランク(44、54)の間の前記軸方向隙間は、結合状態で0.05mm〜1mmの範囲である、請求項6記載のねじ結合。
【請求項8】
前記ねじ山の軸方向寸法は可変である、請求項1〜5のいずれか1項記載のねじ結合。
【請求項9】
半径隙間が結合状態で前記雄ねじ山の前記クレスト(51)と前記雌ねじ山の前記ルート(42)の間及び/又は前記雌ねじ山の前記クレスト(41)と前記雄ねじ山の前記ルート(52)の間に位置する、請求項1〜8いずれか1項記載のねじ結合。
【請求項10】
前記雌型端部の前記ねじ山領域(4)の前記クレスト(41)と前記雄型端部の前記ねじ山領域(5)の前記ルート(52)の間の前記半径隙間及び/又は前記雄ねじ山の前記クレスト(51)と前記雌ねじ山の前記ルート(42)の間の前記半径隙間は、結合状態で0.05mm〜0.5mmの範囲、好ましくは0.2mm未満である、請求項9記載のねじ結合。
【請求項11】
前記雄ねじ山の前記クレスト(51)と前記雌ねじ山の前記ルート(42)の間又は前記雌ねじ山の前記クレスト(41)と前記雄ねじ山の前記ルート(52)の間に結合状態で干渉が存在する、請求項1〜8いずれか1項記載のねじ結合。
【請求項12】
前記雄型及び雌型端部の前記ねじ山領域の前記スタビングフランク(44)は、10°〜35°の範囲、好ましくは15°〜25°の範囲の角度で正に傾斜した直線部分を含む、請求項1〜11いずれか1項記載のねじ結合。
【請求項13】
前記雄型及び雌型の端部の前記ねじ山領域の前記ロードフランク(43)は、3°〜15°の角度、好ましくは3°〜5°の角度で負に傾斜した直線部分を含む、請求項1〜12いずれか1項記載のねじ結合。
【請求項14】
前記ボス(55)の軸方向長は、0.1mm〜1mmの範囲、好ましくは0.2mm〜0.4mmの範囲である、請求項1〜13いずれか1項記載のねじ結合。
【請求項15】
前記ボス(55)の前記軸方向長は、前記ボスの半径方向高の50〜150%の範囲、好ましくは80%〜120%の範囲である、請求項1〜14いずれか1項記載のねじ結合。
【請求項16】
前記ボス(55)の前記半径方向高は、0.1mm〜1.5mmの範囲、好ましくは0.2mm〜0.5mmの範囲である、請求項1〜15いずれか1項記載のねじ結合。
【請求項17】
前記ボス(55)の前記半径方向高は、前記ねじ山の前記半径方向高の5%〜45%の範囲、好ましくは10%〜30%の範囲である、請求項1〜16いずれか1項記載のねじ結合。
【請求項18】
前記雌型(4)及び雄型(5)のねじ領域は多条ねじ、好ましくは2重ねじである、請求項1〜17いずれか1項記載のねじ結合。
【請求項19】
前記雄型端部及び/又は雌型端部の遠位面が、相当する隣接面に対して軸方向に隣接して接続する、請求項1〜18いずれか1項記載のねじ結合。
【請求項20】
前記雄型及び雌型端部の各々は、金属/金属シールで互いに締め付けて協働するシール面を含む、請求項19記載のねじ結合。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−512393(P2013−512393A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540321(P2012−540321)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【国際出願番号】PCT/EP2010/007191
【国際公開番号】WO2011/063976
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(504255249)ヴァルレック・マンネスマン・オイル・アンド・ガス・フランス (30)
【氏名又は名称原語表記】VALLOUREC MANNESMANN OIL & GAS FRANCE
【出願人】(000002118)住友金属工業株式会社 (2,544)
【Fターム(参考)】