説明

ねじ締め不良防止システム及びねじ締め不良防止プログラム

【課題】ねじ締め不良が生じる事態を総合的にチェックし、締結不良品の流出防止を図ることが可能なシステム等を提供する。
【解決手段】電動ドライバー20と、電動ドライバー20によるねじ締付トルク及びねじ締付軸力を検出するトルク検出器22と、電動ドライバー20のねじ締め角度を検出する回転角検出器23と、ねじ締め箇所を検出領域として配置され、ねじ締め不良を引き起こす要因となりうる予め設定された複数の管理項目それぞれの正常異常を判断するためのデータを検出する複数のねじ締め箇所検出センサ11と、各検出センサ11からの各検出データに基づいて複数の管理項目それぞれの正常異常を判断すると共に、各検出器22,23の検出データに基づいてねじ締結状態の正常異常を判断し、異常と判断した場合、その異常が解消されるまで次工程へ移行できないように電動ドライバー20の動作制限を行う制御部35とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ねじの締結不良を防止するねじ締め不良防止システム及びねじ締め不良防止プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
製品の組立作業では作業者によるねじ締め作業が行われている。ねじ締め作業は作業者の技能・感覚に大部分に依存していた。そのため、ねじの締結不良やトルク不足による緩みによる強度不足が生じる問題があった。そこで従来より、ねじ締結時の電動ドライバーの挙動データ(締付トルク、締付角度等)を測定し、正常状態の挙動データと比較し、締結作業が正常に完了したかを自動的にチェックするようにしたねじ締結装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−162548号公報(図1,図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のねじ締付装置は、ねじ締結時の電動ドライバーの挙動データに基づいて締結不良の有無をチェックしている。しかしながら、ねじの締結不良を生じさせる要因はねじの選択ミスやワークに対する被締結部材の位置ずれ等様々であり、電動ドライバーの挙動データをチェックするだけでは不十分であった。また、締結不良を検知した後、作業者は改めてねじの締め付を行うことになるが、従来のねじ締め装置では締結不良検出後の装置動作について特に言及しておらず、仮にねじの再締め付けを行わなくても次のねじ締め作業へと移ることが可能であると思われる。このため、締結不良品の市場への流出防止という観点からすると、その確実性に欠けるものであった。
【0005】
この発明はこのような点に鑑みなされたもので、ねじ締め不良が生じる事態を総合的にチェックし、締結不良品が市場に流出することを防止可能なねじ締め不良防止システム及びねじ締め不良防止プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るねじ締め不良防止システムは、ワークに被締結部材を固定するためのねじの締め付けを行う電動ドライバーと、電動ドライバーによるねじの締付トルク及びねじの締付軸力を検出するトルク検出器と、電動ドライバーのねじ締め角度を検出する回転角検出器と、ねじ締め箇所を検出領域として配置され、ねじ締め不良を引き起こす要因となりうる予め設定された複数の管理項目のそれぞれの正常異常を判断するためのデータを検出する複数のねじ締め箇所検出手段と、複数のねじ締め箇所検出手段からの各検出データに基づいて複数の管理項目それぞれの正常異常を判断すると共に、トルク検出器及び回転角検出器の検出データに基づいてねじ締結状態の正常異常を判断し、異常と判断した場合、その異常が解消されるまで次工程へ移行できないように電動ドライバーの動作を制限する制御手段とを備えたものである。
【0007】
この発明に係るねじ締め不良防止プログラムは、コンピューターを上記のねじ締め不良防止システムの制御手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、ねじの締結不良が生じる事態を総合的にチェックし、異常を検出した場合には、その異常が解決するまで次工程へ移行できないように電動ドライバーの動作を制限するようにした。このため、締結不良品が市場に流出する不都合を防止することが可能なシステム及びプログラムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の一実施の形態に係るねじ締め不良防止システムを生産ラインに適用した概略構成を示す図である。
【図2】この発明の一実施の形態に係るねじ締め不良防止システムの構成を示すブロック図である。
【図3】図1のねじ締め箇所検出センサによるねじ長検出の説明図である。
【図4】図1のねじ締め箇所検出センサによるねじ座金有無検出の説明図である。
【図5】対応策テーブルの一例を示す図である。
【図6】この発明の一実施の形態に係るねじ締め不良防止システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、この発明の一実施の形態に係るねじ締め不良防止システムを生産ラインに適用した概略構成を示す図である。図2は、この発明の実施の形態に係るねじ締め不良防止システムの構成を示すブロック図である。
図1に示す生産ラインは、生産ライン上を流れるワークWに対し、ねじ締め作業を含む各種作業を施して製品化していく生産ラインである。ここでのねじ締め作業は、ワークW(締結部材)に対し、板金1(被締結部材)を位置合わせしてワークWのねじ穴と板金の貫通穴とを連通させ、この連通穴にねじを螺合してワークWに板金1を固定する作業である。本例では、板金1枚につき4箇所設けられたねじ締め箇所2を予め決められた順序でねじ締めしていく作業を行うものとする。
【0011】
この生産ラインに適用されたねじ締め不良防止システム10は、ねじ締め箇所を検出領域としたねじ締め箇所検出センサ11を複数備えており、図1の例では、生産ライン上の製品が通過できるアーチ状の門12に設置されている。複数のねじ締め箇所検出センサ11は、ねじ締め不良を引き起こす要因を予め設定した複数の管理項目それぞれの正常異常を判断するためのデータを検出するセンサである。ねじ締め不良防止システム10は更に、ねじ締め用の電動ドライバー20と、パソコン30と、中継コントローラ40とを備えている。電動ドライバー20と中継コントローラ40はケーブル50で接続されており、また、中継コントローラ40とパソコン30とは通信線51で接続されている。また、複数のねじ締め箇所検出センサ11はケーブル52でパソコン30に接続されている。
【0012】
電動ドライバー20は、ドライバー先端を回転駆動するモータ21と、微小時間単位(1/1000秒レベル)でトルク及びねじの軸力を検出するトルク検出器22と、電動ドライバー20の回転角を計測する回転角検出器23とを有する。トルクは、ねじの径、ねじ面の摩擦係数及び座面の摩擦係数の影響を受けるため、ここでは軸力も検出して管理項目の異常判断に用いるようにしている。電動ドライバー20はこれら各検出器にて検出したねじ締めに関する挙動データを、ねじ締め期間中、定期的に中継コントローラ40を介してパソコン30に送信する。
【0013】
複数のねじ締め箇所検出センサ11は、ねじ締め箇所にセット(未締結状態)されたねじの長さを検出するためのねじ長検出センサ、ねじの座金の有無を検知するための座金有無検出センサ、製品本体に対する板金のズレを検知するための板金ズレ検出センサ、締め付け順序を検知するための順序検出センサ、製品本体に対する板金の滑りを検知するための板金滑り検出センサである。各ねじ締め箇所検出センサ11にて検出された検出データは、ケーブル52を介してパソコン30に送信される。なお、これらの各センサは全て別々のセンサでもよいし、いくつかをまとめて検出するセンサとしてもよい。また、各センサの具体的な構成は特に限定するものではなく、それぞれ検知対象を検知可能なセンサであればよい。ねじの長さを検知するセンサは、具体的には例えばCCDカメラ等の撮影手段により構成され、図3に示すように、ねじ3の軸部と直交する方向から撮影し、その画像をパソコン30側で処理することによりねじ長を検出することが可能である。また、座金有無検出センサも同様に図4に示すようにCCDカメラ等の撮影手段により構成され、ねじ3の軸部と直交する方向から撮影し、その画像をパソコン30側で処理することにより座金4の有無を検出可能である。
【0014】
パソコン30は、ねじ締め不良防止システム10全体を制御すると共に、ねじ締め箇所検出センサ11からの検出データや電動ドライバー20からの挙動データを処理するデータ処理装置としても機能するものである。パソコン30は、図2に示すように、キーボードやマウスなどの入力部31と、ディスプレイなどの表示部32と、各種プログラムやデータ等を記憶する記憶部33と、複数のねじ締め箇所検出センサ11や電動ドライバー20とのデータ通信を行うための通信インターフェース部34と、ねじ締め不良防止システム10全体を制御する制御部35とを備えている。
【0015】
記憶部33には、ねじ締め不良防止プログラム、作業指示書及び対応策テーブル等が記憶されている。ねじ締め不良防止プログラムは、締結箇所異常検出処理、締結状態異常検出処理及び異常時対応処理を行うプログラムである。締結箇所異常検出処理は、複数のねじ締め箇所検出センサ11のそれぞれの検出データに基づいて、予め設定された複数の管理項目それぞれの正常異常を判断する処理である。異常検出処理は、ねじ締め期間中の電動ドライバー20の挙動データに基づいて後述のプロファイルデータを算出し、プロファイルデータに基づいてねじ締めが正常に完了したか否かを判断する処理である。異常検出処理には、従来既存のアルゴリズムを採用できる。
【0016】
プロファイルデータは、締付時間、本締結時間、締付トルク傾き、ねじ締め付け角度、ねじ締め時の軸力である。締結時間は、締付を開始してから締付が完了するまでの時間である。締付完了は、予め設定された目標トルクに到達したことを以て締付完了と判断する。本締結時間は、着座(ねじの頭部の座面が板金1の表面に当接)した時から目標トルクに到達するまでの時間である。締付トルク傾きとは、(締付完了時トルク−着座時トルク)/本締結時間である。ねじ締め付け角度とは、着座したときから目標トルクに到達するまでの締込回転角度である。
【0017】
異常時対応処理は、締結箇所異常検出処理及び締結状態異常検出処理により異常と判断した場合、記憶部33に記憶された対応策テーブル36に従って対応策を実行する処理である。この対応策は、異常が解消されるまで次工程へ移行できないように電動ドライバー20の動作を制限する等を行う。この対応策は、前記複数の管理項目を含む各異常検出項目毎に予め設定されており、その設定内容は後述の図5に示す対応策テーブルに記憶されている。また、作業指示書は、生産する製品に使用するねじの種類や、ねじの締付順序等が記載されたものである。対応策テーブルには、締結箇所異常検出処理及び締結状態異常検出処理により異常が検出された場合の対応策が登録されている。
【0018】
図5は、対応策テーブルの一例を示す図である。この例では、複数の異常検出項目を登録した第1テーブル36aと、具体的な複数の対応策の内容を登録した第2テーブル36bとが対応策名A〜Dによって対応付けられて対応策テーブル36が構成されている。
異常検出項目としては、1.ねじの種類(ねじの長さ)、2.ねじの種類(ねじの座有無)、3.不締まり(板金のズレ)、4.不締まり(締付順序)、5.被締結部材(板金)の回転(板金滑り)の5つの管理項目がある。また、電動ドライバー20からの挙動データに基づく異常検出時の対応策として、6.ねじ締め不良、の項目も異常検出項目として対応策テーブル36に登録されている。
【0019】
対応策Aは、異常が解消されるまで次の工程へ進めなくする。具体的には、電動ドライバー20に動作制限をかける。対応策Aの○部分に関しては、電動ドライバー20にインターロックを掛けて電動ドライバー20を動かなくし、対応策Aの△に関しては、異常箇所の再ねじ締めに関しては電動ドライバー20の動作を可能とし、それ以外の動作に関し、電動ドライバー20にインターロックを掛けて動かなくする。対応策Bは、作業指示書を表示部32上に表示し、作業者にねじ締め不良があったことを警告する。対応策Cは、現状確認(例えば、使用したねじの確認)を促す警告表示を表示部32上に行う。また、生産ラインにパトライトと称する赤、黄、緑の3色灯を設けている場合には、パトライトを黄色に点灯させる。対応策Dは、ねじ締め不良が発生したことを通知する警告表示を表示部32上に行う。また、生産ラインにパトライトと称する赤、黄、緑の3色灯を設けている場合には、パトライトを赤色に点灯させる。
【0020】
制御部35は、通信インターフェース部34を介して複数のねじ締め箇所検出センサ11からの検出データを取得すると共に電動ドライバー20からの挙動データを定期的に受信する。そして、制御部35は、記憶部33に記憶されたねじ締め不良防止プログラムに従って締結箇所異常検出処理及び締結状態異常検出処理を行い、異常を検出すると、異常時対応処理を行って記憶部33に記憶された対応策テーブル36に従った対応策を実行する。
【0021】
図6は、この発明の一実施の形態に係るねじ締め不良防止システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。以下、図6を参照してねじ締め不良防止システムにおける制御動作について説明する。
まず、作業者は、ねじ締め作業が開始される前にパソコン30を操作して作業指示書を読み出して表示部32上に表示する。また、パソコン30を操作して初期設定を行う(S1)。初期設定されるデータとしては、作業指示書にて指示されているねじの種類(ねじの長さ、ねじの座金の有無)、ねじ締め箇所の数及びねじ締め順序等である。そして、生産ラインの動作が開始されると、複数のねじ締め箇所検出センサ11はそれぞれセンシングを開始し、検出データをパソコン30に順次出力する。また、電動ドライバー20によるねじ締めが開始されると、電動ドライバー20から挙動データが定期的にパソコン30へと送信される。
【0022】
パソコン30の制御部35は、複数のねじ締め箇所検出センサ11からの検出データ及び電動ドライバー20からの挙動データを受信(S2)すると、受信データに基づいて異常の有無を判定する(S3)。そして、異常と判定した場合、電動ドライバー20に動作制限をかける他、各項目対応の対応策を行う(S4)。そして、異常が解消すると(S5)、電動ドライバー20の動作制限を解除して(S6)、ステップS2に戻る。以下、各異常検出項目のそれぞれについて順に具体的に説明する。
【0023】
1.ねじの種類(ねじの長さ)
制御部35は、ねじ長検出センサからのねじ長と初期設定にて設定されたねじ長とを比較する。そして、ねじ長さの間違いを検出すると、異常と判断して対応策A〜Dを実施する。ねじ長検出センサにより検出されたねじ長が初期設定よりも長い場合、ワークWのねじ穴の裏面側に配置された配線や配管などを突いて損傷させる可能性がある。このため、管理項目としてねじの長さを検出することにより、配線や配管などに損傷が生じた製品が市場に流出することを未然に防止することができる。
【0024】
2.ねじの種類(ねじの座有無)
制御部35は、座金有無検出センサからの検出データと初期設定にて設定された座金の有無の設定内容とを比較し、座金有無検出センサからの検出データが初期設定と違っていれば、異常と判断して対応策A、B、Dを実施する。通常、製品の仕様やねじの用途に合わせてねじの座有り/座無しを使い分けている。よって、ねじの座有無を検出することにより、座金の使い間違いが生じたままの製品が市場に流出することを未然に防止することができる。
【0025】
3.不締り(板金のズレ)
制御部35は、ねじの締結前、板金ズレ検出センサによりワークWのねじ穴と板金1の貫通穴とのズレがあるかどうかを検出し、ズレがあった場合、異常と判断して対応策A、B、Dを実施する。板金1がズレたままねじを締結しようとすると、斜め締めとなり締結不足となる可能性がある。よって、板金1のズレを検出することにより締結不足のねじ締め箇所がある製品が市場に流出することを未然に防止することができる。
【0026】
4.不締り(締付順序)
制御部35は、板金1の4箇所のねじ締め箇所に対するねじ締め順序を順序検出センサにより検出しており、その締付順序が初期設定と違っていることを検知すると、異常と判断して対応策A〜Cを行う。締結順序を間違えると、板金1の貫通穴とワークWのねじ穴とがズレてしまい、ねじ締めを行えなくなる可能性がある。よって、締付順序を検出することにより、この不都合を防止することができる。
【0027】
5.被締結部材の回転
制御部35は、板金滑り検出センサにより、ワークWに対する板金1の滑りを検出した場合、異常と判断して対応策AとDとを行う。これにより、滑った板金1によりねじ山が破壊される所謂ねじバカが生じて締結不能になることを防止することができる。
【0028】
6.ねじ締め不良
制御部35は、電動ドライバー20からの挙動データに基づいてねじ締め不良の有無を判定するためのプロファイルデータを適宜算出し、そのプロファイルを正常状態のプロファイルと比較し、ねじ締め不良を検出する。ねじ締め不良を検出した場合、異常と判断して対応策AとDとを行う。これにより、締結不良箇所が存在する製品が市場に流出することを未然に防止することができる。なお、この場合の対応策Aは上記とは多少異なり、異常箇所の再ねじ締めに関しては電動ドライバー20の動作を可能とし、それ以外の動作に関し、電動ドライバー20にインターロックを掛けて電動ドライバー20が動作できないようにするものとする。
【0029】
ここで、電動ドライバー20の動作制限解除について説明する。例えば、ねじの長さ間違いがあった場合、作業者は、正しいねじを選択して再度ねじ締めを試みる。このとき、ねじ締め箇所検出センサ11のうち、ねじ長検出センサは、正しいねじが選択された状態の検出データを制御部35に出力しており、制御部35は、ねじ長検出センサからの検出データに基づいてねじ長を、ここでは正常と判断する。そして、制御部35は、ねじ長の異常が解消されたと判断して電動ドライバー20のインターロックを解除する。また、他に例えば、電動ドライバー20からの挙動データに基づきねじ締め異常があると判断した場合、制御部35は電動ドライバー20にインターロックを掛けて動かなくする。しかし、ねじ締め箇所検出センサ(例えば、順序検出センサ)11からの検出データに基づき、異常箇所への再ねじ締めと判断した場合には、制限付きでインターロックを解除して電動ドライバー20を動作可能とする。電動ドライバー20により異常箇所の再ねじ締め作業が行われている間、トルク検出器22及び回転角検出器23は検出データを制御部35に出力しており、制御部35は、受信した検出データに基づき再ねじ締めが正常に完了したと判断した場合、電動ドライバー20のインターロックを全面的に解除し、次の作業へと移行可能とする。
【0030】
以上説明したように、この実施の形態では、ねじの締結不良が生じる事態を総合的にチェックし、異常を検出した場合には、その異常が解消されるまで次工程へ移行できないように電動ドライバー20の動作を制限するようにした。このため、締結不良品が市場に流出する不都合を防止することが可能なシステム及びプログラムを得ることができる。
【0031】
また、異常を検出した場合の電動ドライバー20の動作制限として、具体的には、ねじ締め箇所検出センサ11からの各検出データに基づく異常検出の場合、電動ドライバー20にインターロックを掛けて電動ドライバー20が完全に動かなくなるようにした。また、電動ドライバー20の挙動データに基づく異常検出の場合、異常箇所の再ねじ締めに関しては電動ドライバー20の動作を可能とし、それ以外には電動ドライバー20が動かなくなるようにした。以上により、作業者にとってみれば電動ドライバー20が動かなくなることにより異常の発生に確実に気付くことができ、結果的に正常なねじ締めの完了へと導くことができる。
【0032】
また、ねじの締結不良が生じる要因として、この例では、ねじの長さ違い、ねじの座金の有無、ワークWに対する板金1の位置ズレ、締結順序及びワークWに対する板金1の回転、を設定しており、ねじ締め不良防止システム10はこれらの各管理項目の正常異常を判断することが可能である。但し、ねじ締め不良防止システム10は、これらの全ての管理項目の正常異常を判断することに限定されず、少なくとも各管理項目のうち1以上を判断できるように構成されていればよく、また、管理項目は上記5項目に限られたものではない。
【符号の説明】
【0033】
1 板金、10 ねじ締め不良防止システム、11 ねじ締め箇所検出センサ、12 門、20 電動ドライバー、21 モータ、22 トルク検出器、23 回転角検出器、30 パソコン、31 入力部、32 表示部、33 記憶部、34 通信インターフェース部、35 制御部、40 中継コントローラ、50 ケーブル、51 通信線、52 ケーブル、W ワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに被締結部材を固定するためのねじの締め付けを行う電動ドライバーと、
前記電動ドライバーによるねじの締付トルク及びねじの締付軸力を検出するトルク検出器と、
前記電動ドライバーのねじ締め角度を検出する回転角検出器と、
ねじ締め箇所を検出領域として配置され、ねじ締め不良を引き起こす要因となりうる予め設定された複数の管理項目のそれぞれの正常異常を判断するためのデータを検出する複数のねじ締め箇所検出手段と、
前記複数のねじ締め箇所検出手段からの各検出データに基づいて前記複数の管理項目それぞれの正常異常を判断し、また、前記トルク検出器及び前記回転角検出器の検出データに基づいてねじ締結状態の正常異常を判断し、異常と判断した場合、その異常が解消されるまで次工程へ移行できないように前記電動ドライバーの動作を制限する制御手段と
を備えたことを特徴とするねじ締め不良防止システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記複数のねじ締め箇所検出手段からの各検出データに基づいて前記複数の管理項目それぞれの正常異常を判断し、異常と判断した場合、その異常が解消されるまで電動ドライバーにインターロックを掛けて電動ドライバーが動かなくなるように制御し、また、前記トルク検出器及び前記回転角検出器の検出データに基づいてねじ締結状態の正常異常を判断し、異常と判断した場合、その異常が解消されるまで、その異常箇所の再ねじ締め以外の電動ドライバー動作ができなくなるように電動ドライバーにインターロックを掛ける制御を行うことを特徴とする請求項1記載のねじ締め不良防止システム。
【請求項3】
前記ねじ締め箇所検出手段は、ねじの長さ、ねじの座金の有無、ワークに対する被締結部材の位置ズレ、締結順序及びワークに対する被締結部材の回転の少なくとも1以上を判断可能なデータを検出することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のねじ締め不良防止システム。
【請求項4】
コンピューターを請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のねじ締め不良防止システムの前記制御手段として機能させるためのねじ締め不良防止プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−20353(P2012−20353A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158556(P2010−158556)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パトライト
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】